JP3574295B2 - 光ディスク再生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク再生装置の初期調整中に振動による調整誤差をなくし、信頼性を向上した光ディスク再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク再生装置で光ディスク上のデータを読み取るためには、光ピックアップが光ディスク上のピットを正確に追尾し(トラッキング)、また、ピット上に常に焦点を結ばせる(フォーカス)必要がある。そのために、検出信号に基いて光ピックアップと光ディスクの相対的な位置関係を微調整するトラッキングサーボ機構とフォーカスサーボ機構が設けられている。
【0003】
しかし、光ディスク再生装置の電源が投入された時、または光ディスクが再生装置に装着された時には、光ピックアップと光ディスクの相対的な位置が変動する。そのために、例えば予め光ピックアップと光ディスクのピットの中心が一致するように初期調整を行い、その位置を中心としてサーボ制御を行うことによりサーボが外れないようにしている。この初期調整には、各サーボ機構についてオフセット、バランス、ゲインの3項目(合計6項目)が実施される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
車載用の光ディスク再生装置では、車両の走行中にも電源投入、光ディスクの交換、装着が日常的に行われている。従来のような光ディスク再生装置の初期調整方法では、悪路を走行中に初期調整を行うと振動により初期調整がずれたまま調整が終了してしまう恐れがある。このような場合には、初期調整が最適値(中心値)に設定されていないためにマージンが少なく、再生中に光ディスクのばらつき、装置に加わる振動等の外乱によりサーボが外れ易くなり、音飛び、エラーが発生する確率が高くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、初期調整中に振動により初期調整が最適値からずれたまま終了してしまうことがなく、安定したディスク再生が可能な光ディスク再生装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために本発明は、データの記録された円板状の光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクからの反射光を検出する検出手段と、前記検出手段により検出された検出信号に基いて前記検出手段をフィードバック制御するサーボ手段と、前記サーボ手段の初期調整を行う初期調整手段を備えた光ディスク再生装置において、振動を検出する振動検出手段と、前記初期調整手段により前記サーボ手段の初期調整を実行している間に、前記振動検出手段が前記光ディスク再生装置に振動があることを検出した時に、前記初期調整手段による前記サーボ手段の初期調整の実行を中断する中断手段を備え、前記初期調整手段は、初期調整が所定時間内に終了しない場合には、前記振動検出手段によって振動が検出されていたとしても、前記サーボ手段の初期調整を強制的に行うものであることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記中断手段により前記サーボ手段の初期調整の実行を中断している間に、前記振動検出手段が前記光ディスク再生装置に振動がないことを検出した場合には、前記初期調整手段による前記サーボ手段の初期調整の実行を許可する許可手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、前記振動検出手段による振動検出中は、振動検出中である旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、前記初期調整手段によって初期調整が所定時間内に終了できなかった場合には、前記サーボ手段の初期調整が異常であった旨を報知する異常報知手段を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
【実施例】
図1は本発明の一実施例の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。また、図2は本発明の一実施例の光ディスク再生装置のデジタル制御部の行う初期調整処理のフローチャートである。以下、図に従って説明する。
12は光ディスク2を所定の線速度で回転駆動するスピンドルモータである。2はデータが円板上にらせん状にピットで記録された光ディスクである。11は光ディスク2にレーザ光を照射してピットからの反射光をフォトダイオードで受光してピットの有無による反射光の差に基づき記録されている情報を読み取る光ピックアップである。13は光ピックアップを光ディスク2の半径方向に移動させるスレッドモータである。
【0012】
4はアクチュエータ(図示せず)を駆動して常にピット上に焦点を結ぶように光ピックアップ11を調整するフォーカスサーボ系で、光ピックアップ13から出力されるフォーカス信号を増幅するフォーカスプリアンプ41、フォーカス信号に基いてフォーカスサーボ信号を算出するフォーカスサーボ機構43、フォーカスサーボ信号を増幅してアクチュエータ(図示せず)に出力するフォーカスサーボアンプ42及びフォーカスサーボの初期調整を自動的に行うフォーカスサーボ調整機構44で構成される。5はアクチュエータ(図示せず)を駆動して所定のトラック上を追尾するように光ピックアップ11を調整するトラッキングサーボ系で、光ピックアップ13から出力されるトラッキング信号を増幅するトラッキングプリアンプ51、トラッキング信号に基いてトラッキングサーボ信号を算出するトラッキングサーボ機構53、トラッキングサーボ信号を増幅してアクチュエータ(図示せず)に出力するトラッキングサーボアンプ52及びトラッキングサーボの初期調整を自動的に行うトラッキングサーボ調整機構54で構成される。
【0013】
6はユーザに初期調整の進行状況及び調整結果の良否を報知するためのランプである。71x、71y、71zはそれぞれX軸、Y軸、Z軸の3方向から装置(光ピックアップ11)に加わった振動(加速度)を検出する振動検出器で、加速度を検出する圧電素子等から構成され検出した振動(加速度)を電気信号に変換して出力する。72x、72y、72zはそれぞれ振動検出器71x、71y、71zからの信号を周波数補正及び増幅する振動検出器イコライザ回路である。8は装置全体を制御するためのマイクロコンピュータ等で構成されたデジタル制御部である。
【0014】
次に、初期調整処理について図2のフローチャートに従って説明する。サーボ機構の初期調整は、光ビームが光ディスク上の所定のトラックを追尾できるようにトラッキングバランス、トラッキングオフセット及びトラッキングゲインを調整するものと、光ビームが光ディスクのピット上に集束できるようにフォーカスバランス、フォーカスオフセット及びフォーカスゲインを調整するものの合計6項目あり、それぞれ同じフローチャートで順次実行される。
【0015】
ステップS11では、初期調整条件が整ったか否かを判断して調整条件が整えばステップS12に移り、整わなければ待機する。再生装置の電源が投入された時または光ディスクが交換された時には、電子回路の変動、光ディスクのばらつき等のために初期調整が必要となる。つまり、このような時に初期調整条件が整ったと判断する(Y肯定)。例えば、トラッキングバランス調整ではデジタル制御部8はトラッキングサーボ調整機構54に対してトラッキングバランス調整開始指令を出力する。
【0016】
ステップS12では、タイマをセットしてステップS13に移る。この処理は所定時間内に初期調整が終了できるか否かを判断するために行う。初期調整の間は光ディスクの再生が行えないので、この時間はユーザが我慢できる程度に設定される(6項目の処理全体で5〜6秒間とすれば、1項目に対して1秒間程度に設定される)。ステップS13では、ランプを点滅させてステップS14に移る。つまり、ユーザに初期調整中(または振動検出中)であることを知らせるためにランプ6を点滅させる。
【0017】
ステップS14では、振動電圧がゼロか否かを判断してゼロであればステップS15に移り、ゼロでなければステップS21に移る。つまり、デジタル制御部8は振動検出器71x、71y、71zで検出され、振動検出器イコライザ回路72x、72y、72zで補正及び増幅して入力された再生装置(主として光ピックアップ11)の振動電圧値がゼロ(または所定の閾値以下である)であるか否かを判断する。尚、振動電圧は各方向の検出値、3方向の検出値のベクトル合成値のいずれを用いて判断するかは予め決められている。この振動検出処理は初期調整を開始する前に振動が発生しているか否かを判断し、振動が検出されると初期調整を開始しないようにするためのものである(禁止手段に対応)。尚、この場合振動の有無を振動検出器71x、71y、71zの出力で判断しているが、初期調整中に再生装置から検出される検出信号のレベル及び波形により光ピックアップ11に振動が加わっているか否かを判断する方法もある。また、サブコードの信号を検出して、連続すべきデータ(アドレス,時間情報等)が飛べば振動があると判断する方法もある。
【0018】
ステップS15では、初期調整を開始してステップS16に移る。例えば、トラッキングバランス調整では、トラッキングサーボを停止して、この時のトラッキングエラー信号を求めサンプリングする。サンプリングしたサンプルから抽出された周波数が予め定めた所定値となるサンプル信号のレベルの平均値が0となるように、トラッキングエラー信号増幅器の駆動条件を調整する。
【0019】
ステップS16では、所定時間内であるか否かを判断し、所定時間内であればステップS17に移り、所定時間を経過(超過)すればステップS22に移る。この判断はステップS12でセットされたタイマの経過時間で判断する。
ステップS17では、振動電圧がゼロか否かを判断してゼロであればステップS18に移り、ゼロでなければステップS20に移る。この振動検出処理は調整を開始した後に振動が発生したか否かを判断し、振動が検出されると初期調整を中断するためのものである。
【0020】
ステップS18では、初期調整が終了したか否かを判断し終了すればステップS19に移り、終了していなければステップS16に戻る。つまり、所定の初期調整が終了しなければステップS16に戻ってステップS18までの処理を繰り返す。このように振動が検出されない状態で初期調整を継続する。尚、この間に、所定時間が経過するとステップS16からステップS22に移って振動があっても強制的に初期調整を行うか、予め設定された調整値を入力するかが判断される。また、振動が検出されるとステップS17からステップS20に移り初期調整は中断される。
【0021】
ステップS19では、ランプを消灯させて処理を終わる。つまり、正常に初期調整が終了したことをユーザに知らせるためにランプ6を消す。
ステップS20では、初期調整中断指令を出力してステップS14に戻る。つまり、初期調整中に再生装置に加わった振動が閾値を超えたので、このまま初期調整を継続して終了すると誤差が発生する恐れがあるのでデジタル制御部8はトラッキングサーボ調整機構54に初期調整を中断するように指示する(中断手段に対応)。そして、調整途中のデータを消去してステップS14に戻って振動を検出して振動が検出されないと、ステップS15で初期調整を開始する(許可手段に対応)。
【0022】
ステップS21では、所定時間内であるか否かを判断し、時間内であればステップS14に戻り、時間を経過(超過)すればステップS22に移る。この判断はステップS12でセットされたタイマの経過時間で判断する。つまり、初期調整を開始する条件が整っているが、ステップS14で振動が検出され何時まで待っても初期調整が開始できない場合の対応策をとるべきか否かを判断するための処理である。
【0023】
ステップS22では、初期調整の実行を強制するか否かを判断して初期調整の実行を強制するならばステップS23に移り、初期調整を実行せず設定値に調整するならばステップS25に移る。この処理は初期調整開始前または初期調整中に振動が検出され初期調整が開始できず、または中断されて所定時間内に終わらず、ユーザの我慢の限界に達するので最適ではないがやむを得ず行うもので、振動があっても強制的に初期調整を実行する(強制手段に対応)か、予め設定された調整値を入力する(入力手段に対応)かを判断するものである。この判断は予めユーザにより初期条件として設定されている。
【0024】
ステップS23では、初期調整を開始してステップS24に移る。つまり、振動が検出されても初期調整を実行する。ステップS24では、初期調整が終了したか否かを判断し終了すればステップS26に移り、終了していなければ待機する(終了するまで待つ)。尚、この間は振動検出の有無にかかわらず初期調整を継続する。
【0025】
ステップS25では、予め設定された値に調整してステップS26に移る。つまり、最適ではないがやむを得ず予め設定している初期調整値に調整する。この値は過去の平均的な値であり、この処理により光ディスク再生には支障がない程度には調整できる。
ステップS26では、ランプを点灯させて処理を終わる。つまり、ユーザに振動があるために正規の初期調整が終了していないことを知らせるためにランプ6を点灯する(異常報知手段)。このランプ点灯によりユーザが車両を安全な場所に止めて振動がない状態にして初期調整を再度実行することも可能になる。
【0026】
尚、以上の開始から終了までのトラッキングバランス調整処理が終了すると、トラッキングオフセット、トラッキングゲイン、フォーカスオフセット、フォーカスバランス及びフォーカスゲインの調整も同様のルーチンで実行される。この場合、合計6項目の内、各初期調整中に振動が検出された時に実行していた項目のみ、本フローチャートのステップS22以降の処理を行うのであって、既に振動がない状態で初期調整が終了している項目については初期調整をやり直す必要はない。
【0027】
以上のように本実施例では、自動的に振動を検出し、振動があると初期調整を実行せず、振動がなくなると初期調整を開始するので、振動により初期調整がずれたまま終了してしまうことがないので、再生中にサーボがはずれることもなく、音飛び、エラー等の発生がなくなる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、初期調整中に振動により初期調整が最適値からずれたまま終了してしまうことがなく、安定したディスク再生が可能な光ディスク再生装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光ディスク再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の光ディスク再生装置のデジタル制御部の行う初期調整処理のフローチャートである。
【符号の説明】
2・・・光ディスク、 43・・フォーカスサーボ機構、
11・・光ピックアップ、 44・・フォーカスサーボ調整機構、
12・・スピンドルモータ、 51・・トラッキングプリアンプ、
13・・スレッドモータ、 52・・トラッキングサーボアンプ、
32・・スレッドサーボ機構、 53・・トラッキングサーボ機構、
41・・フォーカスプリアンプ、 54・・トラッキングサーボ調整機構、
42・・フォーカスサーボアンプ、 8・・・デジタル制御部、
4・・・フォーカスサーボ系、 5・・・トラッキングサーボ系、
6・・・ランプ、 71x、71y、71z・・振動検出器、
72x、72y、72z・・振動検出器イコライザ回路。

Claims (4)

  1. データの記録された円板状の光ディスクに光ビームを照射して前記光ディスクからの反射光を検出する検出手段と、
    前記検出手段により検出された検出信号に基いて前記検出手段をフィードバック制御するサーボ手段と、
    前記サーボ手段の初期調整を行う初期調整手段を備えた光ディスク再生装置において、
    振動を検出する振動検出手段と、
    前記初期調整手段により前記サーボ手段の初期調整を実行している間に、前記振動検出手段が前記光ディスク再生装置に振動があることを検出した時に、前記初期調整手段による前記サーボ手段の初期調整の実行を中断する中断手段を備え、
    前記初期調整手段は、初期調整が所定時間内に終了しない場合には、前記振動検出手段によって振動が検出されていたとしても、前記サーボ手段の初期調整を強制的に行うものであることを特徴とする光ディスク再生装置。
  2. 前記中断手段により前記サーボ手段の初期調整の実行を中断している間に、前記振動検出手段が前記光ディスク再生装置に振動がないことを検出した場合には、前記初期調整手段による前記サーボ手段の初期調整の実行を許可する許可手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
  3. 前記振動検出手段による振動検出中は、振動検出中である旨を報知する報知手段を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ディスク再生装置。
  4. 前記初期調整手段によって初期調整が所定時間内に終了できなかった場合には、前記サーボ手段の初期調整が異常であった旨を報知する異常報知手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光ディスク再生装置。
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