JP3573487B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、使い捨ておむつに関し、更に詳細には、おむつの使用時にファスニングテープを粘着させるためのターゲットテープがなく、裏面シートの柔軟性に優れ、使用中にファスニングテープが外れたり、裏面シートが破れたりしない使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来販売されていた使い捨ておむつは、おむつ止着用のファスニングテープを直接バックシート上に粘着させて、おむつを使用するものであったが、これらの使い捨ておむつにおいては、使用中にバックシートが破れたり、ファスニングテープが外れたり、バックシートが柔軟性に欠ける等の何れかの問題が起きていたため、現在市販されている使い捨ておむつのほとんどが、該ファスニングテープを止着させるための補強フィルム(ターゲットテープ)を使用している。該ターゲットテープの目的は、ファスニングテープをバックシートに貼った際の、バックシートの破れを防止するための補強が主である。
【0003】
しかし、上記ターゲットテープを使用したおむつにおいては、ファスニングテープはターゲットテープ上に貼る必要が有るが、お母さんが赤ちゃんにおむつを装着する際に、ファスニングテープを貼り間違いでバックシート上に貼り、バックシートが破れてしまう問題がしばしば起こる。さらに、ファスニングテープをターゲットテープ上に貼る制約を受けることは、おむつのサイズ調整に制約を受けることになり好ましくない。
【0004】
そこで、近年、ターゲットテープの無い使い捨ておむつも数種類は販売されている。
これらの使い捨ておむつは、バックシートの破れを生じなくするために、ファスニングテープの剥離力を弱くしたり、バックシートの強度を強くしたりして対応している。しかし、ファスニングテープの剥離力を弱くすると、バックシートの破れは防げるものの、装着者の活動中にファスニングテープが外れてしまう問題が起こる。また、バックシートの強度を強くすると、バックシートが硬くなり使用感が悪く好ましくない。これらの問題があるため、上記使い捨ておむつは、比較的動きの少ない大人用や低月齢用にしか使用できないのが現状である。
【0005】
更に、上記の問題を解消するために、ターゲットテープのない使い捨ておむつに関する技術が種々提案されている。
例えば、特開平5−287244号公報には、テープの粘着剤層の保持時間、剪断接着力及び剥離力を規定した、おむつのファスニングテープとして用いることができるテープシステムが記載されている。また、特開昭55−93802号公報及び特開昭56−9402号公報には、バックシートを補強したターゲットテープの無い使い捨ておむつが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記特開平5−287244号公報には、バックシートに関しては何等記載されておらず、同公報に記載のテープシステムを用いても通常のバックシートでは充分な効果が得られず、また、バックシートの柔らかさや、使用感については何等改良されていない。また、特開昭55−93802号公報及び特開昭56−9402号公報に記載の使い捨ておむつでは、バックシートを補強しているため、バックシートの柔らかさや、使用感が悪化するという問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、ターゲットテープが無いおむつであって、着用者が激しく動いても裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりせず、更には裏面シートの柔軟性やおむつの使用感にも優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ターゲットテープを有しない使い捨ておむつについて種々検討を行った結果、裏面シートとファスニングテープとの物性の関係を規定することにより、上記目的を達成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体と、装着時におむつを固定するためのファスニングテープと、該ファスニングテープの不必要時に該ファスニングテープを折り返し部によって、折り返してその粘着面を粘着させておくリリーステープとを有する使い捨ておむつにおいて、上記裏面シートは、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下で、且つ破断強度が250g/cm以上であり、上記ファスニングテープは、該裏面シートに対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下で且つ500g荷重下での保持時間が10分以上であり、上記裏面シートは、多孔性シートであり、その透湿度が0.5〜4.0g/100cm2・hrであり、上記裏面シートには、上記ファスニングテープを粘着させるための補強フィルムが無い、ことを特徴とする使い捨ておむつを提供するものである。
【0010】
【作用】
本発明の使い捨ておむつは、上記裏面シートにターゲットテープがなく、その使用時には、ファスニングテープと裏面シートとを直接粘着させて使用する。この際、ファスニングテープと裏面シートとが特定の物性を有しているので、おむつの使用時に裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりすることがない。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の使い捨ておむつを添付図面を参照して更に詳細に説明すると共に、実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の使い捨ておむつの1実施例におけるおむつの表側(腹側)を示す斜視図であり、図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開図である。
【0012】
本実施例の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート間に介在する吸収体4と、装着時におむつを固定するためのファスニングテープ10と、該ファスニングテープ10の不必要時に該ファスニングテープ10を折り返し部11によって、折り返してその粘着面12を粘着させておくリリーステープ20(図2参照)とを有する。
そして、上記裏面シート3は、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下で、且つ破断強度が250g/cm以上であり、上記ファスニングテープ10は、該裏面シート3に対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下で、且つ500g荷重下での保持時間が10分以上であり、上記裏面シート3には、上記ファスニングテープ10を粘着させるための補強フィルムが無い。
【0013】
更に詳細に説明すると、本実施例の使い捨ておむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収体4が股下領域が縊れた砂時計状に湾曲形成され、表面シート2及び裏面シート3も吸収体4の形状に即して股下領域が上述の如く湾曲形成されており、該吸収体4は、表面シート2及び裏面シート3により挟持・固定されている。また、上記吸収体4の周縁部における前後のウエスト部5,5’とレッグ部6とには、おむつを着用した際に、着用者にウエスト部5,5’とレッグ部6とをフィットさせるための弾性伸縮部材7が表面シート2と裏面シート3とにより固定されて設けられている。
【0014】
次いで、上記使い捨ておむつ1を構成する各部材の形成材料について説明する。
上記表面シート2としては、排泄物を吸収体へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、表面シート2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
【0015】
また、上記吸収体4としては、解繊パルプを主材とした高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。該高分子吸水ポリマーは、上記吸収体4の上層、中層、下層のいずれに存在させてもよく、また、パルプと混合したものであってもよい。また、該高分子吸水ポリマーは自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体などが好ましく挙げられる。
【0016】
また、上記弾性伸縮部材7は、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく挙げられ、150%伸長時の応力が40〜150グラムのものが好ましい。
【0017】
上記ファスニングテープ10としては、ゴム系、アクリル系、シリコン系等の粘着剤を用いて、上記の各物性を満たすように粘着面12を形成したものであればその粘着剤の組成等は何等限定されるものではないが、ゴム系の粘着剤としては、例えば、天然ゴム、合成ゴムを主体をしたものがいずれも使用され、特にホットメルト塗工による無公害化の点等からは、ABA型又はAB型ブロック共重合体(Aは、熱可塑性ブロック、Bはラバーブロックで、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体若しくはこれらの水素添加物等)を主体としたものが好ましい。
また、上記のアクリル系の粘着剤も、特に限定されず、例えば、粘着性を与えるTgの低い柔らかい主モノマーと、接着性や凝集力を与えるTgの高く硬いコモノマーを少量と、架橋や接着性の改良のための官能基含有モノマーとを共重合して得られる重合体等が使用される。
上記主モノマーとしては、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)等が挙げられ、上記コモノマーとしては、酢酸ビニル(VAc)、アクリルニトリル(AN)、アクリルアマイド(AM)、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレート(MA)等が挙げられ、上記官能基含有モノマーとしては、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、イタコン酸(IA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)、アクリルアマイド(AM)、メチロールアクリルアマイド(N−MAN)、グリシジルメタクリレート(GMA)、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0018】
また、上記粘着面の厚さは、特に限定されないが、通常20〜100μmが好適である。
【0019】
また、基材としてのフィルムやテープは何等限定されないが、例えば、特開昭63−112704号公報に記載のポリプロピレン含有プラスチックや、ポリプロピレンとポリプロピレン含有プラスチックとの積層物、或いは、ポリエステルよりなるものが好適であり、その表面はフラット状マット状でもよい。更に発泡体や凹凸表面の基材も用いることもできる。また、この基材として、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系エラストマーを主成分としたフィルムを用いた場合には、良好なスリップ性を発現せしめることができ、またファスニングテープをソフトにすることができる。基材厚としては、50μm〜150μmが使用上好ましい。
【0020】
また、上記裏面シート3としては、上記の各物性を満足すると共に、透湿性を有する多孔性シートであって、該多孔性シートの透湿度が0.5〜4.0g/100cm2・hrであるものが用いられる。
【0021】
ここで、上記透湿度は下記の如くして求められるものである。
透湿度は、JISZ−0208に準じて求められる。具体的には下記の1)装置及び器具、2)用剤及び3)試験片を用いて、下記4)操作を行い、下記5)算出にあてはめて求められる。
【0022】
1)装置及び器具
▲1▼透湿カップ
▲2▼恒温恒湿装置:規定の温湿度に保たれ空気が試験片を0.5〜2.5m/sの速度で循環できる装置。
・上記恒温恒湿装置における条件:温度30℃,相対湿度90±2%(乾球30℃,湿球28.6℃)
▲3▼天秤:0.01gまで秤量できる天秤
▲4▼ウォーターバス
▲5▼デシケーター
▲6▼フルイ〔米国テーラー(Tyler)標準フルイ〕(7メッシュ,28メッシュ)
【0023】
2)用剤
▲1▼吸収剤:塩化カルシウム(U字管用)で粒度は2380μ(7メッシュ)を通過し、590μ(28メッシュ)にはとどまるもの。
▲2▼封ろう剤:融点50〜52℃のパラフィンワックス80WT%及び粘性ポリイソブチレン(低重合度)20WT%。
透湿カップを10個使用する時は、パラフィンワックス160gと粘性ポリイソブチレン40gとを計量する。これをウォーターバスにて加熱し約100℃で溶融混合して封ろう剤とする。また、使用する際は、約60℃〜70℃に加熱して用いる。
▲3▼n−ヘプタン:透湿カップにて付着した封ろう剤の除去に用いる。
【0024】
3)試験片
▲1▼試験片は使用する透湿カップの内径より大きい直径(約70mm)を持つ円形のもので同一試料からは4枚の試験片を切り取って試験に備える。
▲2▼各試験片について5カ所の厚みを測定する。
【0025】
4)操作
▲1▼吸収剤を透湿カップにいれ試験片を備えたリングで蓋をした後、溶融した封ろう剤をカップの周縁の溝に流しこみ透湿カップとリングとを固定して、これを試験体とする。
▲2▼透湿カップ側面にNo.を記入し、デシケーター中に30分放置した後の重量を 測定し、この時の重量をW0 とする。
▲3▼試験体を所定の試験条件に保った恒温恒湿装置中に入れ、1時間後に取り出しデシケーター中に放置する。5分後に取り出し重量を測定し、これをW1 と する。
【0026】
5)算出
透湿度は1時間後の重量変化(W1 −W0 )を透湿面積100cm2 に換算することによって求める。尚、透湿カップの透湿面積は28.27cm2 である。
【0027】
また、上記多孔性シートとしては、下記の多孔性シートで、且つ上記物性を有するものが、特に好ましく用いられる。
結晶性ポリオレフィンと、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して相分離を起こす化合物とを溶融混合することにより、該結晶性ポリレフィンと化合物とからなる溶液を得、該溶液からシートを成型し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することにより微細孔を形成させてなる多孔性シート。
【0028】
また、上記多孔性シートにおいて用いられる上記結晶性ポリオレフィンは、重量平均分子量Mwの数平均分子量Mnに対する比率がMw/Mn>5.0、好ましくはMw/Mn>6.0であるポリプロピレンであるのが好ましい。
ここで、上記比率は分子量の分布を表す指標であり、上記比率がMw/Mn>5.0であると、例えば、上記ポリプロピレンに上記化合物として鉱油を20重量%以上溶融混合する時に、上記ポリプロピレンに上記鉱油が速やかに溶解し、安定して混合することができるので、上記比率がMw/Mn>5.0であるのが好ましい。
【0029】
また、上記ポリプロピレンの重量平均分子量は、30〜60万の範囲であることが好ましく、その融点は、155〜170℃の範囲であることが好ましい。
また、上記ポリプロピレンは、ホモタイプ、ブロックタイプ、ランダムタイプのいずれでもよく、これらを単独または2種以上混合して用いることができ、更にポリエチレン等の他の樹脂を混合して用いることもできる。
【0030】
また、上記ポリプロピレンは、上記ポリプロピレンが高結晶性を示して剛性が向上するので、上記の比率を満足することの他に、更にアイソタクチックペンダット分率(P)とメルトインデックス(MI)とが、1.00≧P≧0.015LogMI+0.955の関係にあるのが特に好ましい。
ここで、上記アイソタクチックペンダット分率(P)は、ポリプロピレンの結晶性を表す指標である。
【0031】
また、上記MIは、0.03〜2.0g/10分の範囲であるのが好ましい。上記MIが、0.03未満であると、造粒若しくは成形加工時の溶融物の流動性が不良なため動力を要し経済的でなく、生産スピードも上げることができず、また、2.0を超えると、溶融時の張力が減少し、例えばインフレーション法によりシートを成形するときにバブルを持ち上げにくく成形が不安定になるので、上記範囲とするのが好ましい。
【0032】
また、上記化合物としては、上記の特性を有していれば特に限定されないが、具体的には、流動パラフィン等の鉱油、合成潤滑油、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート、トリエチレングリコール、ジブチルフタレート、並びに、フタール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及び/又は脂肪族多塩基カルボン酸とアルキルアルコールとのエステル等が好ましく挙げられる。
【0033】
上記多孔性シートにおいて、上記結晶性ポリオレフィンと上記化合物との配合割合は、上記結晶性ポリオレフィン30〜90重量部、好ましくは60〜80重量部に対して、上記化合物70〜10重量部、好ましくは40〜20重量部である。
【0034】
上記結晶性ポリオレフィンの配合割合が30重量部未満の場合には、マトリックスとなる樹脂の割合が少ないために延伸して得られるシートの賦形性が悪く、巻物にした時の微細孔の潰れや鉱油等の液状物のにじみ出しが生じる場合があり、90重量部を超える場合には、延伸しても透湿性が付与されるような上記微細孔を形成することができない場合があるので、上記の配合割合とするのが好ましい。
【0035】
また、上記溶融混合する際における温度は、上記結晶性ポリオレフィンの融点以上、好ましくは180〜250℃の範囲であり、上記溶融混合して上記溶液を得るには、2軸混練機を用い、ホッパーより上記ポリプロピレンのペレットを定量してフィードし、上記2軸混練機のベント孔より上記化合物を注入する方法等により得ることができる。
【0036】
また、上記シートを形成するには、上記溶液を一度冷却して、コンパウンド化されたペレットを作った後、単軸の押し出し機を用いて円形ダイスよりインフレーション成形する方法、又は2軸混練機を用い、その先端にギアポンプを介して接続された円形ダイスによりインフレーション成形する方法等により行うことができる。
【0037】
また、上記シートを形成する際には、必要に応じ、例えば下記の各種添加剤を下記の添加量の範囲内で添加することができる。
p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等のポリプロピレンの結晶の大きさを制御する結晶造核剤を上記溶液全体に対して0.5重量%以下;無水シリカ、ゼオライト等の裂け防止用無機フィラーを上記溶液全体に対して1重量%以下;酸化チタン、硫酸バリュウム、炭酸カルシウム、タルク等の隠蔽性を付与する無機フィラー;上記溶液全体に対して20重量%以下;フタロシアニンブルー、キナクドリンレッド、ジオキサンバイオレット、イソインドリノン等の着色剤;上記溶液全体に対して0.05重量%以下。
尚、上記結晶造核剤を添加する場合には、結晶造核剤マスターバッチとして添加するのが好ましい。
【0038】
また、上記延伸における延伸倍率は1.2〜3倍、延伸温度は10〜80℃とするのが好ましく、延伸方向は、一軸方向又は二軸方向のいずれでもよい。
上記延伸により形成される上記微細孔は、孔径が0.05〜1μmであるのが好ましい。
【0039】
而して、本発明の使い捨ておむつ1は、上記裏面シート3が、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下、好ましくは30〜40gで、且つ破断強度が250g/cm以上、更に好ましくは300〜1000g/cmであり、上記ファスニングテープ10は、該裏面シート3に対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下、更に好ましくは150〜300g/cmで、且つ500g荷重下での保持時間が10分以上、更に好ましくは30〜600分、最大好ましくは60〜600分であり、上記裏面シート3には、上記ファスニングテープ10を粘着させるための補強フィルム(ターゲットテープ)が無いことを特徴とする。
即ち、本発明の使い捨ておむつは、上記の物性を有する裏面シートと、上記の物性を有するファスニングテープとを組み合わせることを特徴とするものであり、これによって補強フィルムを設ける必要がなく、柔軟で装着性に優れるという効果が奏される。
【0040】
上記荷重が100g/cm未満であると、おむつ装着中に上記ファスニングテープに荷重がかかった際に裏面シートが伸び過ぎ易く、ファスニングテープが裏面シートの伸びに追従できないため、ファスニングテープが外れたり、伸びた部分が破れたりする。300g/cmを超えると、裏面シートが伸びにくいため、装着者の体の動きに追従することができず、装着感が悪い。
上記バルクソフトネスが55gを超えると、裏面シートの柔軟性が悪く、おむつ全体がゴワゴワした感じになり、感触が悪い。
上記破断強度が250g/cm未満であると、おむつ装着後にファスニングテープを剥がす際に、裏面シートが破れてしまう。
上記180°剥離力が400g/cmを超えると、おむつ装着後にファスニングテープを剥がす際に、裏面シートが破れてしまう。
上記保持時間が10分未満であると、おむつ装着中に装着者が激しく動いたり、座ったりした際に、ファスニングテープに応力がかかり、ファスニングテープが外れ排泄物のモレを起こす原因となる。
また、上記補強フィルムは、従来の使い捨ておむつにおいて、ファスニングテープの貼着用に設けられていたターゲットテープ等を意味するものである。
【0041】
ここで、上記各物性は、下記の如くして求められるものである。
1.裏面シートの3%伸張時の荷重
▲1▼測定装置 テンシロン万能試験装置・引張試験モード(オリエンテック社製)
▲2▼試料 図3(a)に示すように、おむつより5か所サンプリングする(このとき、粘着剤、台紙等が裏面シートに付着した場合は、裏面シートに影響を与えない程度に、トルエン等の有機溶剤で拭き取る)。この際、サンプリングされた各サンプルの寸法は、10mm×(25mm+50mm+25mm)〔図3参照〕である。
▲4▼測定結果 3%伸張時(チャック間距離50mmが51.5mmになった時)の引張強度を5つの各サンプルについて測定して、その平均を求める。
【0042】
2.バルクソフトネス
▲1▼測定装置 テンシロン万能試験装置・圧縮試験モード(オリエンテック社製)
▲2▼試料 (1)サンプリングする場所については上記の1.裏面シートの3%伸張時の荷重におけるサンプリングする場所と同じであるが、サンプルの寸法は、30mm×150mmとする。
(2)測定サンプル:図4(a)に示すように、サンプリングした各サンプルを用いて直径45mmの表(おむつの外表面側)を外側とする円筒aを作り、重なり合った部分の上端と下端とをホッチキスで止める。次いで、図4(b)に示す塩ビ製の輪bを上記円筒aの下部にあて:図4に示す(c)測定サンプルcとする。
▲4▼測定結果
サンプルを20mm圧縮した時の最高強度を5つの各サンプルについて測定して、その平均を求め、これをバルクソフトネスとする。
【0043】
3.破断強度
上記「1.裏面シートの3%伸張時の荷重の測定」と同様に試験を行い、破断した時点での荷重を求め、該荷重を破断強度とした。
【0044】
4.保持時間
▲1▼測定装置 恒温槽付保持力試験機 (テスター産業社製)
▲2▼試料 図5に示すように、おむつより、裏面シートを6ヵ所サンプリングする(このとき、粘着剤及び台紙等が裏面シートに付着した場合は、該粘着剤及び該台紙等を、裏面シートに影響を与えない程度に、トルエン等の有機溶剤で除去する)。この際、サンプリングしたサンプルの寸法は、100mm×100mmである。
▲4▼測定結果 図6に示すように、サンプルに接着面積(図6中の斜線部分)が25mm×30mmとなるようにファスニングテープを貼り、垂直方向(図6に示す矢印方向)に500gの荷重をかけ、6つの各サンプルについて、保持時間を測定して、その平均を求める。尚、この際、ファスニングテープは、サンプリングする前の各サンプルのおむつにおける幅方向(図5に示す矢印方向)に向けて貼って評価を行い、またファスニングテープの接着は200gのゴムローラーを1往復かけて行った。
【0045】
5.180°剥離力
アクリル板(50mm×125mm×3mm)に両面テープ(MD30mm)を貼り、さらにその上にバックシートを傷つけぬように貼り、図7(a)に示す被着体を得、ついで、該被着体にファスニングテープを図7(b)に示すように25mm×20mmだけ粘着させ、25mm幅1kgのゴムローラーを1往復させて圧着した後、40℃80%RHで24時間保管し、更に、室温で30分経過させて、下記の条件で180°剥離テストを行い、平均荷重を求め、ファスニングテープの対バックシート粘着力(g/25mm)とする。測定は、5つのサンプルについて行い、その平均値をもって表す。尚、測定値は、測定後、テープ10mm幅に換算する〔実測値×(10/25)〕。
▲1▼測定装置 テンシロン万能引張試験装置
▲2▼試料 サンプリングの場所及びサンプルの寸法については、上記〔1.裏面シートの3%伸張時の荷重〕におけるサンプリングの場所及びサンプルの寸法と同様(150×50mm)である。
▲3▼測定条件 上記〔1.裏面シートの3%伸張時の荷重〕における測定条件と同様である。
▲4▼測定結果 上述のように測定した5つのサンプルの剥離力の平均を求める。
【0046】
〔実施例1〕
下記の如くして、フィルムA及びフィルムBを調整し、また、下記の如くして、テープTを調整した。得られたフィルムA及びフィルムBをそれぞれ裏面シートとして用い、またテープTをファスニングテープとして用いて、図1及び図2に示す使い捨ておむつを作成した。
得られたおむつについて、上述の測定方法に従って、裏面シートの3%伸張時の荷重、バルクソフトネス及び破断強度、ファスニングテープの180°剥離力及び保持時間を測定し、更に、得られたおむつの使用後の裏面シートの破れ、ファスニングテープの外れ及び裏面シートの感触について試験を行った。測定及び試験の結果について、〔表1〕に示す。
【0047】
(フィルムA)
ポリプロピレン(チッソ石油化学製、商品名「XF1932」)70重量部及び流動パラフィン(出光石油化学製、商品名「PW90」)30重量部からなる組成物を、2軸混練押出機に投入して作成した混練ペレットを用い、空冷式インフレーション成形機によりフィルムを成形し、更にそのフィルムを1軸方向へ1.5倍に延伸してフィルムAを得た。得られたフィルムAの厚みは、約35μmであり、該フィルムAは、透湿度1.9g/100cm2 ・hrの多孔性フィルムであった。
【0048】
(フィルムB)
上記組成物に代えて、ポリプロピレン(三井石油化学製、商品名「B200」)66重量部、結晶造核剤マスターバッチ(イーシー化学製、商品名「EC−1」、濃度2wt%)4重量部及び流動パラフィン(出光石油化学製、商品名「PW90」)30重量部とからなる組成物を用いた以外は、上記のフィルムAの製造と同様にして、厚み約35μmのフィルムBを得た。該フィルムBは、透湿度2.0g/100cm2 ・hrの多孔性フィルムであった。
【0049】
(テープT)
粘着剤としてカネボウ−NSC(株)製、商品名「パネルマスターAM936」(主成分−アクリル樹脂)を、テープ基材として、厚さ50μmのPETフィルム上に粘着剤塗工厚み 30μmで塗布してテープTを得た。
【0050】
〔比較例1〕
〔表1〕に示す従来のターゲットテープを有するおむつ及び従来のターゲットテープを有さないおむつについて、同様の測定及び試験を行った。その結果も併せて〔表1〕に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、ターゲットテープの無く、着用者が激しく動いても裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりせず、更には裏面シートの柔軟性やおむつの使用感にも優れたものである。
また、特に従来は、補強フィルムが非透湿性である為、透湿性シートをバックシートとして用いても上記補強フィルムを設けた部分が非透湿であったが、裏面シートとして透湿性を有する多孔性シートを用いた本発明の使い捨ておむつにおいては、おむつの使用時におけるムレ防止性にも優れたものとなる。
更に、上記多孔性シートとして特定の多孔性シートを用いた場合には、本願に記載したバックシートの物性を有するシートの製造が容易である。(請求項2の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの1実施例におけるおむつの表側(腹側)を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開図である。
【図3】図3は、3%伸張時の荷重を測定する際のサンプリング場所及びサンプル寸法を示す概略図である。
【図4】図4は、バルクソフトネスを測定する際の測定サンプルを形成する態様を示す概略図である。
【図5】図5は、保持時間を測定する際のサンプリング場所を示す概略図である。
【図6】図6は、保持時間を測定する態様を示す概略図である。
【図7】図7(a)は、180°剥離力を測定する際に作成する被着体を示す平面図であり、図7(b)は、該被着体上にファスニングテープを粘着させた態様を示す側面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 ウエスト部
6 レッグ部
7 弾性伸縮部材
10 ファスニングテープ
11 折り曲げ部
12 粘着面
20 リリーステープ
【産業上の利用分野】
本発明は、使い捨ておむつに関し、更に詳細には、おむつの使用時にファスニングテープを粘着させるためのターゲットテープがなく、裏面シートの柔軟性に優れ、使用中にファスニングテープが外れたり、裏面シートが破れたりしない使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来販売されていた使い捨ておむつは、おむつ止着用のファスニングテープを直接バックシート上に粘着させて、おむつを使用するものであったが、これらの使い捨ておむつにおいては、使用中にバックシートが破れたり、ファスニングテープが外れたり、バックシートが柔軟性に欠ける等の何れかの問題が起きていたため、現在市販されている使い捨ておむつのほとんどが、該ファスニングテープを止着させるための補強フィルム(ターゲットテープ)を使用している。該ターゲットテープの目的は、ファスニングテープをバックシートに貼った際の、バックシートの破れを防止するための補強が主である。
【0003】
しかし、上記ターゲットテープを使用したおむつにおいては、ファスニングテープはターゲットテープ上に貼る必要が有るが、お母さんが赤ちゃんにおむつを装着する際に、ファスニングテープを貼り間違いでバックシート上に貼り、バックシートが破れてしまう問題がしばしば起こる。さらに、ファスニングテープをターゲットテープ上に貼る制約を受けることは、おむつのサイズ調整に制約を受けることになり好ましくない。
【0004】
そこで、近年、ターゲットテープの無い使い捨ておむつも数種類は販売されている。
これらの使い捨ておむつは、バックシートの破れを生じなくするために、ファスニングテープの剥離力を弱くしたり、バックシートの強度を強くしたりして対応している。しかし、ファスニングテープの剥離力を弱くすると、バックシートの破れは防げるものの、装着者の活動中にファスニングテープが外れてしまう問題が起こる。また、バックシートの強度を強くすると、バックシートが硬くなり使用感が悪く好ましくない。これらの問題があるため、上記使い捨ておむつは、比較的動きの少ない大人用や低月齢用にしか使用できないのが現状である。
【0005】
更に、上記の問題を解消するために、ターゲットテープのない使い捨ておむつに関する技術が種々提案されている。
例えば、特開平5−287244号公報には、テープの粘着剤層の保持時間、剪断接着力及び剥離力を規定した、おむつのファスニングテープとして用いることができるテープシステムが記載されている。また、特開昭55−93802号公報及び特開昭56−9402号公報には、バックシートを補強したターゲットテープの無い使い捨ておむつが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記特開平5−287244号公報には、バックシートに関しては何等記載されておらず、同公報に記載のテープシステムを用いても通常のバックシートでは充分な効果が得られず、また、バックシートの柔らかさや、使用感については何等改良されていない。また、特開昭55−93802号公報及び特開昭56−9402号公報に記載の使い捨ておむつでは、バックシートを補強しているため、バックシートの柔らかさや、使用感が悪化するという問題がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、ターゲットテープが無いおむつであって、着用者が激しく動いても裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりせず、更には裏面シートの柔軟性やおむつの使用感にも優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ターゲットテープを有しない使い捨ておむつについて種々検討を行った結果、裏面シートとファスニングテープとの物性の関係を規定することにより、上記目的を達成し得ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体と、装着時におむつを固定するためのファスニングテープと、該ファスニングテープの不必要時に該ファスニングテープを折り返し部によって、折り返してその粘着面を粘着させておくリリーステープとを有する使い捨ておむつにおいて、上記裏面シートは、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下で、且つ破断強度が250g/cm以上であり、上記ファスニングテープは、該裏面シートに対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下で且つ500g荷重下での保持時間が10分以上であり、上記裏面シートは、多孔性シートであり、その透湿度が0.5〜4.0g/100cm2・hrであり、上記裏面シートには、上記ファスニングテープを粘着させるための補強フィルムが無い、ことを特徴とする使い捨ておむつを提供するものである。
【0010】
【作用】
本発明の使い捨ておむつは、上記裏面シートにターゲットテープがなく、その使用時には、ファスニングテープと裏面シートとを直接粘着させて使用する。この際、ファスニングテープと裏面シートとが特定の物性を有しているので、おむつの使用時に裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりすることがない。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の使い捨ておむつを添付図面を参照して更に詳細に説明すると共に、実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の使い捨ておむつの1実施例におけるおむつの表側(腹側)を示す斜視図であり、図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開図である。
【0012】
本実施例の使い捨ておむつ1は、図1に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート間に介在する吸収体4と、装着時におむつを固定するためのファスニングテープ10と、該ファスニングテープ10の不必要時に該ファスニングテープ10を折り返し部11によって、折り返してその粘着面12を粘着させておくリリーステープ20(図2参照)とを有する。
そして、上記裏面シート3は、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下で、且つ破断強度が250g/cm以上であり、上記ファスニングテープ10は、該裏面シート3に対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下で、且つ500g荷重下での保持時間が10分以上であり、上記裏面シート3には、上記ファスニングテープ10を粘着させるための補強フィルムが無い。
【0013】
更に詳細に説明すると、本実施例の使い捨ておむつ1は、図1及び図2に示すように、吸収体4が股下領域が縊れた砂時計状に湾曲形成され、表面シート2及び裏面シート3も吸収体4の形状に即して股下領域が上述の如く湾曲形成されており、該吸収体4は、表面シート2及び裏面シート3により挟持・固定されている。また、上記吸収体4の周縁部における前後のウエスト部5,5’とレッグ部6とには、おむつを着用した際に、着用者にウエスト部5,5’とレッグ部6とをフィットさせるための弾性伸縮部材7が表面シート2と裏面シート3とにより固定されて設けられている。
【0014】
次いで、上記使い捨ておむつ1を構成する各部材の形成材料について説明する。
上記表面シート2としては、排泄物を吸収体へ透過させる液透過性シートで肌着に近い感触を有したものが好ましく、このような液透過性シートとしては、例えば、織布、不織布、多孔性フィルム等が好ましく挙げられる。また、表面シート2の周縁にシリコン系油剤、パラフィンワックス等の疎水性化合物を塗布する方法や、予めアルキルリン酸エステルのような親水性化合物を全体に塗布し、周縁を温水で洗浄する方法により、撥水処理を施し、周縁における尿等の滲みによる漏れを防止することができる。
【0015】
また、上記吸収体4としては、解繊パルプを主材とした高分子吸水ポリマーを併用したものが好ましい。該高分子吸水ポリマーは、上記吸収体4の上層、中層、下層のいずれに存在させてもよく、また、パルプと混合したものであってもよい。また、該高分子吸水ポリマーは自重の20倍以上の液体を吸収して保持し得る保持性能を有し、ゲル化する性質を有する粒子状のものが好ましく、このような高分子吸水ポリマーとしては、例えば、デンプン−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、デンプン−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物、アクリル酸(塩)重合体などが好ましく挙げられる。
【0016】
また、上記弾性伸縮部材7は、糸ゴム、平ゴム、フィルムタイプのゴムあるいはフィルム状の発泡ポリウレタン等が好ましく挙げられ、150%伸長時の応力が40〜150グラムのものが好ましい。
【0017】
上記ファスニングテープ10としては、ゴム系、アクリル系、シリコン系等の粘着剤を用いて、上記の各物性を満たすように粘着面12を形成したものであればその粘着剤の組成等は何等限定されるものではないが、ゴム系の粘着剤としては、例えば、天然ゴム、合成ゴムを主体をしたものがいずれも使用され、特にホットメルト塗工による無公害化の点等からは、ABA型又はAB型ブロック共重合体(Aは、熱可塑性ブロック、Bはラバーブロックで、例えば、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体若しくはこれらの水素添加物等)を主体としたものが好ましい。
また、上記のアクリル系の粘着剤も、特に限定されず、例えば、粘着性を与えるTgの低い柔らかい主モノマーと、接着性や凝集力を与えるTgの高く硬いコモノマーを少量と、架橋や接着性の改良のための官能基含有モノマーとを共重合して得られる重合体等が使用される。
上記主モノマーとしては、エチルアクリレート(EA)、ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)等が挙げられ、上記コモノマーとしては、酢酸ビニル(VAc)、アクリルニトリル(AN)、アクリルアマイド(AM)、スチレン(St)、メチルメタクリレート(MMA)、メチルアクリレート(MA)等が挙げられ、上記官能基含有モノマーとしては、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸(AA)、イタコン酸(IA)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(DM)、アクリルアマイド(AM)、メチロールアクリルアマイド(N−MAN)、グリシジルメタクリレート(GMA)、無水マレイン酸等が挙げられる。
【0018】
また、上記粘着面の厚さは、特に限定されないが、通常20〜100μmが好適である。
【0019】
また、基材としてのフィルムやテープは何等限定されないが、例えば、特開昭63−112704号公報に記載のポリプロピレン含有プラスチックや、ポリプロピレンとポリプロピレン含有プラスチックとの積層物、或いは、ポリエステルよりなるものが好適であり、その表面はフラット状マット状でもよい。更に発泡体や凹凸表面の基材も用いることもできる。また、この基材として、オレフィン系、スチレン系、ウレタン系、ポリエステル系エラストマーを主成分としたフィルムを用いた場合には、良好なスリップ性を発現せしめることができ、またファスニングテープをソフトにすることができる。基材厚としては、50μm〜150μmが使用上好ましい。
【0020】
また、上記裏面シート3としては、上記の各物性を満足すると共に、透湿性を有する多孔性シートであって、該多孔性シートの透湿度が0.5〜4.0g/100cm2・hrであるものが用いられる。
【0021】
ここで、上記透湿度は下記の如くして求められるものである。
透湿度は、JISZ−0208に準じて求められる。具体的には下記の1)装置及び器具、2)用剤及び3)試験片を用いて、下記4)操作を行い、下記5)算出にあてはめて求められる。
【0022】
1)装置及び器具
▲1▼透湿カップ
▲2▼恒温恒湿装置:規定の温湿度に保たれ空気が試験片を0.5〜2.5m/sの速度で循環できる装置。
・上記恒温恒湿装置における条件:温度30℃,相対湿度90±2%(乾球30℃,湿球28.6℃)
▲3▼天秤:0.01gまで秤量できる天秤
▲4▼ウォーターバス
▲5▼デシケーター
▲6▼フルイ〔米国テーラー(Tyler)標準フルイ〕(7メッシュ,28メッシュ)
【0023】
2)用剤
▲1▼吸収剤:塩化カルシウム(U字管用)で粒度は2380μ(7メッシュ)を通過し、590μ(28メッシュ)にはとどまるもの。
▲2▼封ろう剤:融点50〜52℃のパラフィンワックス80WT%及び粘性ポリイソブチレン(低重合度)20WT%。
透湿カップを10個使用する時は、パラフィンワックス160gと粘性ポリイソブチレン40gとを計量する。これをウォーターバスにて加熱し約100℃で溶融混合して封ろう剤とする。また、使用する際は、約60℃〜70℃に加熱して用いる。
▲3▼n−ヘプタン:透湿カップにて付着した封ろう剤の除去に用いる。
【0024】
3)試験片
▲1▼試験片は使用する透湿カップの内径より大きい直径(約70mm)を持つ円形のもので同一試料からは4枚の試験片を切り取って試験に備える。
▲2▼各試験片について5カ所の厚みを測定する。
【0025】
4)操作
▲1▼吸収剤を透湿カップにいれ試験片を備えたリングで蓋をした後、溶融した封ろう剤をカップの周縁の溝に流しこみ透湿カップとリングとを固定して、これを試験体とする。
▲2▼透湿カップ側面にNo.を記入し、デシケーター中に30分放置した後の重量を 測定し、この時の重量をW0 とする。
▲3▼試験体を所定の試験条件に保った恒温恒湿装置中に入れ、1時間後に取り出しデシケーター中に放置する。5分後に取り出し重量を測定し、これをW1 と する。
【0026】
5)算出
透湿度は1時間後の重量変化(W1 −W0 )を透湿面積100cm2 に換算することによって求める。尚、透湿カップの透湿面積は28.27cm2 である。
【0027】
また、上記多孔性シートとしては、下記の多孔性シートで、且つ上記物性を有するものが、特に好ましく用いられる。
結晶性ポリオレフィンと、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して相分離を起こす化合物とを溶融混合することにより、該結晶性ポリレフィンと化合物とからなる溶液を得、該溶液からシートを成型し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸することにより微細孔を形成させてなる多孔性シート。
【0028】
また、上記多孔性シートにおいて用いられる上記結晶性ポリオレフィンは、重量平均分子量Mwの数平均分子量Mnに対する比率がMw/Mn>5.0、好ましくはMw/Mn>6.0であるポリプロピレンであるのが好ましい。
ここで、上記比率は分子量の分布を表す指標であり、上記比率がMw/Mn>5.0であると、例えば、上記ポリプロピレンに上記化合物として鉱油を20重量%以上溶融混合する時に、上記ポリプロピレンに上記鉱油が速やかに溶解し、安定して混合することができるので、上記比率がMw/Mn>5.0であるのが好ましい。
【0029】
また、上記ポリプロピレンの重量平均分子量は、30〜60万の範囲であることが好ましく、その融点は、155〜170℃の範囲であることが好ましい。
また、上記ポリプロピレンは、ホモタイプ、ブロックタイプ、ランダムタイプのいずれでもよく、これらを単独または2種以上混合して用いることができ、更にポリエチレン等の他の樹脂を混合して用いることもできる。
【0030】
また、上記ポリプロピレンは、上記ポリプロピレンが高結晶性を示して剛性が向上するので、上記の比率を満足することの他に、更にアイソタクチックペンダット分率(P)とメルトインデックス(MI)とが、1.00≧P≧0.015LogMI+0.955の関係にあるのが特に好ましい。
ここで、上記アイソタクチックペンダット分率(P)は、ポリプロピレンの結晶性を表す指標である。
【0031】
また、上記MIは、0.03〜2.0g/10分の範囲であるのが好ましい。上記MIが、0.03未満であると、造粒若しくは成形加工時の溶融物の流動性が不良なため動力を要し経済的でなく、生産スピードも上げることができず、また、2.0を超えると、溶融時の張力が減少し、例えばインフレーション法によりシートを成形するときにバブルを持ち上げにくく成形が不安定になるので、上記範囲とするのが好ましい。
【0032】
また、上記化合物としては、上記の特性を有していれば特に限定されないが、具体的には、流動パラフィン等の鉱油、合成潤滑油、ジオクチルフタレート、ジエチルフタレート、トリエチレングリコール、ジブチルフタレート、並びに、フタール酸、トリメリット酸、ピロメリット酸及び/又は脂肪族多塩基カルボン酸とアルキルアルコールとのエステル等が好ましく挙げられる。
【0033】
上記多孔性シートにおいて、上記結晶性ポリオレフィンと上記化合物との配合割合は、上記結晶性ポリオレフィン30〜90重量部、好ましくは60〜80重量部に対して、上記化合物70〜10重量部、好ましくは40〜20重量部である。
【0034】
上記結晶性ポリオレフィンの配合割合が30重量部未満の場合には、マトリックスとなる樹脂の割合が少ないために延伸して得られるシートの賦形性が悪く、巻物にした時の微細孔の潰れや鉱油等の液状物のにじみ出しが生じる場合があり、90重量部を超える場合には、延伸しても透湿性が付与されるような上記微細孔を形成することができない場合があるので、上記の配合割合とするのが好ましい。
【0035】
また、上記溶融混合する際における温度は、上記結晶性ポリオレフィンの融点以上、好ましくは180〜250℃の範囲であり、上記溶融混合して上記溶液を得るには、2軸混練機を用い、ホッパーより上記ポリプロピレンのペレットを定量してフィードし、上記2軸混練機のベント孔より上記化合物を注入する方法等により得ることができる。
【0036】
また、上記シートを形成するには、上記溶液を一度冷却して、コンパウンド化されたペレットを作った後、単軸の押し出し機を用いて円形ダイスよりインフレーション成形する方法、又は2軸混練機を用い、その先端にギアポンプを介して接続された円形ダイスによりインフレーション成形する方法等により行うことができる。
【0037】
また、上記シートを形成する際には、必要に応じ、例えば下記の各種添加剤を下記の添加量の範囲内で添加することができる。
p−tert−ブチル安息香酸アルミニウム塩、1,2,3,4−ジベンジリデンソルビトール、1,2,3,4−ジ−(p−エチルベンジリデン)ソルビトール等のポリプロピレンの結晶の大きさを制御する結晶造核剤を上記溶液全体に対して0.5重量%以下;無水シリカ、ゼオライト等の裂け防止用無機フィラーを上記溶液全体に対して1重量%以下;酸化チタン、硫酸バリュウム、炭酸カルシウム、タルク等の隠蔽性を付与する無機フィラー;上記溶液全体に対して20重量%以下;フタロシアニンブルー、キナクドリンレッド、ジオキサンバイオレット、イソインドリノン等の着色剤;上記溶液全体に対して0.05重量%以下。
尚、上記結晶造核剤を添加する場合には、結晶造核剤マスターバッチとして添加するのが好ましい。
【0038】
また、上記延伸における延伸倍率は1.2〜3倍、延伸温度は10〜80℃とするのが好ましく、延伸方向は、一軸方向又は二軸方向のいずれでもよい。
上記延伸により形成される上記微細孔は、孔径が0.05〜1μmであるのが好ましい。
【0039】
而して、本発明の使い捨ておむつ1は、上記裏面シート3が、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下、好ましくは30〜40gで、且つ破断強度が250g/cm以上、更に好ましくは300〜1000g/cmであり、上記ファスニングテープ10は、該裏面シート3に対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下、更に好ましくは150〜300g/cmで、且つ500g荷重下での保持時間が10分以上、更に好ましくは30〜600分、最大好ましくは60〜600分であり、上記裏面シート3には、上記ファスニングテープ10を粘着させるための補強フィルム(ターゲットテープ)が無いことを特徴とする。
即ち、本発明の使い捨ておむつは、上記の物性を有する裏面シートと、上記の物性を有するファスニングテープとを組み合わせることを特徴とするものであり、これによって補強フィルムを設ける必要がなく、柔軟で装着性に優れるという効果が奏される。
【0040】
上記荷重が100g/cm未満であると、おむつ装着中に上記ファスニングテープに荷重がかかった際に裏面シートが伸び過ぎ易く、ファスニングテープが裏面シートの伸びに追従できないため、ファスニングテープが外れたり、伸びた部分が破れたりする。300g/cmを超えると、裏面シートが伸びにくいため、装着者の体の動きに追従することができず、装着感が悪い。
上記バルクソフトネスが55gを超えると、裏面シートの柔軟性が悪く、おむつ全体がゴワゴワした感じになり、感触が悪い。
上記破断強度が250g/cm未満であると、おむつ装着後にファスニングテープを剥がす際に、裏面シートが破れてしまう。
上記180°剥離力が400g/cmを超えると、おむつ装着後にファスニングテープを剥がす際に、裏面シートが破れてしまう。
上記保持時間が10分未満であると、おむつ装着中に装着者が激しく動いたり、座ったりした際に、ファスニングテープに応力がかかり、ファスニングテープが外れ排泄物のモレを起こす原因となる。
また、上記補強フィルムは、従来の使い捨ておむつにおいて、ファスニングテープの貼着用に設けられていたターゲットテープ等を意味するものである。
【0041】
ここで、上記各物性は、下記の如くして求められるものである。
1.裏面シートの3%伸張時の荷重
▲1▼測定装置 テンシロン万能試験装置・引張試験モード(オリエンテック社製)
▲2▼試料 図3(a)に示すように、おむつより5か所サンプリングする(このとき、粘着剤、台紙等が裏面シートに付着した場合は、裏面シートに影響を与えない程度に、トルエン等の有機溶剤で拭き取る)。この際、サンプリングされた各サンプルの寸法は、10mm×(25mm+50mm+25mm)〔図3参照〕である。
▲4▼測定結果 3%伸張時(チャック間距離50mmが51.5mmになった時)の引張強度を5つの各サンプルについて測定して、その平均を求める。
【0042】
2.バルクソフトネス
▲1▼測定装置 テンシロン万能試験装置・圧縮試験モード(オリエンテック社製)
▲2▼試料 (1)サンプリングする場所については上記の1.裏面シートの3%伸張時の荷重におけるサンプリングする場所と同じであるが、サンプルの寸法は、30mm×150mmとする。
(2)測定サンプル:図4(a)に示すように、サンプリングした各サンプルを用いて直径45mmの表(おむつの外表面側)を外側とする円筒aを作り、重なり合った部分の上端と下端とをホッチキスで止める。次いで、図4(b)に示す塩ビ製の輪bを上記円筒aの下部にあて:図4に示す(c)測定サンプルcとする。
▲4▼測定結果
サンプルを20mm圧縮した時の最高強度を5つの各サンプルについて測定して、その平均を求め、これをバルクソフトネスとする。
【0043】
3.破断強度
上記「1.裏面シートの3%伸張時の荷重の測定」と同様に試験を行い、破断した時点での荷重を求め、該荷重を破断強度とした。
【0044】
4.保持時間
▲1▼測定装置 恒温槽付保持力試験機 (テスター産業社製)
▲2▼試料 図5に示すように、おむつより、裏面シートを6ヵ所サンプリングする(このとき、粘着剤及び台紙等が裏面シートに付着した場合は、該粘着剤及び該台紙等を、裏面シートに影響を与えない程度に、トルエン等の有機溶剤で除去する)。この際、サンプリングしたサンプルの寸法は、100mm×100mmである。
▲4▼測定結果 図6に示すように、サンプルに接着面積(図6中の斜線部分)が25mm×30mmとなるようにファスニングテープを貼り、垂直方向(図6に示す矢印方向)に500gの荷重をかけ、6つの各サンプルについて、保持時間を測定して、その平均を求める。尚、この際、ファスニングテープは、サンプリングする前の各サンプルのおむつにおける幅方向(図5に示す矢印方向)に向けて貼って評価を行い、またファスニングテープの接着は200gのゴムローラーを1往復かけて行った。
【0045】
5.180°剥離力
アクリル板(50mm×125mm×3mm)に両面テープ(MD30mm)を貼り、さらにその上にバックシートを傷つけぬように貼り、図7(a)に示す被着体を得、ついで、該被着体にファスニングテープを図7(b)に示すように25mm×20mmだけ粘着させ、25mm幅1kgのゴムローラーを1往復させて圧着した後、40℃80%RHで24時間保管し、更に、室温で30分経過させて、下記の条件で180°剥離テストを行い、平均荷重を求め、ファスニングテープの対バックシート粘着力(g/25mm)とする。測定は、5つのサンプルについて行い、その平均値をもって表す。尚、測定値は、測定後、テープ10mm幅に換算する〔実測値×(10/25)〕。
▲1▼測定装置 テンシロン万能引張試験装置
▲2▼試料 サンプリングの場所及びサンプルの寸法については、上記〔1.裏面シートの3%伸張時の荷重〕におけるサンプリングの場所及びサンプルの寸法と同様(150×50mm)である。
▲3▼測定条件 上記〔1.裏面シートの3%伸張時の荷重〕における測定条件と同様である。
▲4▼測定結果 上述のように測定した5つのサンプルの剥離力の平均を求める。
【0046】
〔実施例1〕
下記の如くして、フィルムA及びフィルムBを調整し、また、下記の如くして、テープTを調整した。得られたフィルムA及びフィルムBをそれぞれ裏面シートとして用い、またテープTをファスニングテープとして用いて、図1及び図2に示す使い捨ておむつを作成した。
得られたおむつについて、上述の測定方法に従って、裏面シートの3%伸張時の荷重、バルクソフトネス及び破断強度、ファスニングテープの180°剥離力及び保持時間を測定し、更に、得られたおむつの使用後の裏面シートの破れ、ファスニングテープの外れ及び裏面シートの感触について試験を行った。測定及び試験の結果について、〔表1〕に示す。
【0047】
(フィルムA)
ポリプロピレン(チッソ石油化学製、商品名「XF1932」)70重量部及び流動パラフィン(出光石油化学製、商品名「PW90」)30重量部からなる組成物を、2軸混練押出機に投入して作成した混練ペレットを用い、空冷式インフレーション成形機によりフィルムを成形し、更にそのフィルムを1軸方向へ1.5倍に延伸してフィルムAを得た。得られたフィルムAの厚みは、約35μmであり、該フィルムAは、透湿度1.9g/100cm2 ・hrの多孔性フィルムであった。
【0048】
(フィルムB)
上記組成物に代えて、ポリプロピレン(三井石油化学製、商品名「B200」)66重量部、結晶造核剤マスターバッチ(イーシー化学製、商品名「EC−1」、濃度2wt%)4重量部及び流動パラフィン(出光石油化学製、商品名「PW90」)30重量部とからなる組成物を用いた以外は、上記のフィルムAの製造と同様にして、厚み約35μmのフィルムBを得た。該フィルムBは、透湿度2.0g/100cm2 ・hrの多孔性フィルムであった。
【0049】
(テープT)
粘着剤としてカネボウ−NSC(株)製、商品名「パネルマスターAM936」(主成分−アクリル樹脂)を、テープ基材として、厚さ50μmのPETフィルム上に粘着剤塗工厚み 30μmで塗布してテープTを得た。
【0050】
〔比較例1〕
〔表1〕に示す従来のターゲットテープを有するおむつ及び従来のターゲットテープを有さないおむつについて、同様の測定及び試験を行った。その結果も併せて〔表1〕に示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、ターゲットテープの無く、着用者が激しく動いても裏面シートが破れたり、ファスニングテープが外れたりせず、更には裏面シートの柔軟性やおむつの使用感にも優れたものである。
また、特に従来は、補強フィルムが非透湿性である為、透湿性シートをバックシートとして用いても上記補強フィルムを設けた部分が非透湿であったが、裏面シートとして透湿性を有する多孔性シートを用いた本発明の使い捨ておむつにおいては、おむつの使用時におけるムレ防止性にも優れたものとなる。
更に、上記多孔性シートとして特定の多孔性シートを用いた場合には、本願に記載したバックシートの物性を有するシートの製造が容易である。(請求項2の効果)。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの1実施例におけるおむつの表側(腹側)を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す使い捨ておむつの展開図である。
【図3】図3は、3%伸張時の荷重を測定する際のサンプリング場所及びサンプル寸法を示す概略図である。
【図4】図4は、バルクソフトネスを測定する際の測定サンプルを形成する態様を示す概略図である。
【図5】図5は、保持時間を測定する際のサンプリング場所を示す概略図である。
【図6】図6は、保持時間を測定する態様を示す概略図である。
【図7】図7(a)は、180°剥離力を測定する際に作成する被着体を示す平面図であり、図7(b)は、該被着体上にファスニングテープを粘着させた態様を示す側面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 ウエスト部
6 レッグ部
7 弾性伸縮部材
10 ファスニングテープ
11 折り曲げ部
12 粘着面
20 リリーステープ
Claims (2)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に介在する吸収体と、装着時におむつを固定するためのファスニングテープと、該ファスニングテープの不必要時に該ファスニングテープを折り返し部によって、折り返してその粘着面を粘着させておくリリーステープとを有する使い捨ておむつにおいて、
上記裏面シートは、上記使い捨ておむつの幅方向における3%伸張時の荷重が100g/cm〜200g/cmで、バルクソフトネスが45g以下で、且つ破断強度が250g/cm以上であり、
上記ファスニングテープは、該裏面シートに対する180°剥離力(上記裏面シートに粘着させて、40℃80%RHで24時間経過した後の剥離力)が400g/cm以下で且つ500g荷重下での保持時間が10分以上であり、
上記裏面シートは、多孔性シートであり、その透湿度が0.5〜4.0g/100cm2・hrであり、
上記裏面シートには、上記ファスニングテープを粘着させるための補強フィルムが無い、
ことを特徴とする使い捨ておむつ。 - 上記多孔性シートが、結晶性ポリオレフィンと、該結晶性ポリオレフィンの融点以上の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して混和性があり溶解するが、該結晶性ポリオレフィンの融点以下の温度では該結晶性ポリオレフィンに対して相分離を起こす化合物とを溶融混合することにより、該結晶性ポリレフィンと化合物とからなる溶液を得、該溶液からシートを成型し、次いで該シートを少なくとも一つの方向に延伸をすることにより微細孔を形成させてなる多孔性シートであり、
上記結晶性ポリオレフィンと上記化合物との配合割合は、該結晶性ポリオレフィン30〜90重量部に対して、該化合物70〜10重量部であり、
上記延伸における延伸倍率は1.2〜3倍で、上記延伸により形成される上記微細孔の孔径が0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
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