JP3573224B2 - 紙葉類繰出し装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、主としてローラによる摩擦を利用して載置台上に積載された紙葉類の最上位の紙葉類から1枚ずつ繰出す方式の紙葉類繰出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から紙葉類、例えば紙幣の識別や計数のために集積紙葉類から順次1枚ずつ繰出す紙葉類繰出し装置として、キッカローラ、フィードローラ、およびゲートローラを上部に有し、昇降駆動手段による載置台の上昇移動により載置台上に集積された紙葉類の最上位の紙葉類を前記キッカローラに押し当て、キッカローラおよびフィードローラの回転により紙葉類を繰出すとともに紙葉類の減少に応じて昇降駆動手段により載置台を上昇移動せしめて繰出しを継続するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかして上記従来の紙葉類繰出し装置では、キッカローラが一定位置に設けられているので、載置台上に集積される紙幣同士が密着していたり、新券のように周縁が互いに張付いているような場合、キッカローラにより繰出す際に2枚乃至はそれ以上の紙幣が同時に繰出されることが頻発する。また紙幣の繰出しに応じて載置台が上昇するもの故、載置台上に集積される紙幣の量により繰出し条件が変化し、常に1枚ずつ確実に繰出させることが難しいという問題がつきまとうものであった。
【0004】
本発明はこれに鑑み、載置台上の紙葉類の性質や量にかかわらず常に同じ条件で安定確実な繰出しを可能とする紙葉類繰出し装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記従来の技術が有する問題点を解決する手段として、特に請求項1に記載の発明は、キッカローラ、フィードローラ、およびゲートローラを上部に有し、昇降駆動手段による載置台の上昇移動により載置台上に集積された集積紙葉類の最上位の紙葉類を前記キッカローラに押し当て、キッカローラおよびフィードローラの回転により紙葉類を繰出すとともに紙葉類の減少に応じて昇降駆動手段により載置台を上昇移動せしめて繰出しを継続する紙葉類繰出し装置において、前記フィードローラは、フィードローラ用回転軸に複数設けられており、前記ゲートローラは、前記複数のフィードローラに対向して、当該フィードローラの下部に複数設けられており、前記キッカローラは、キッカローラ用回転軸に複数設けられており、前記フィードローラ用回転軸には、前記複数のフィードローラとは異なる位置に、第1のプーリーが複数設けられており、前記キッカローラ用回転軸には、前記複数のキッカローラとは異なる位置に、第2のプーリーが複数設けられており、前記複数の第1のプーリーと前記複数の第2のプーリーとの間に、前記複数のフィードローラ及び前記複数のキッカローラの外周面と略同一面とされる外周面を有する複数のフィードベルトが張設されており、集積紙葉類の繰出し方向前端縁が当る立壁の上端域に形成され、前記複数のフィードローラに対向して設けられる前記複数のゲートローラに向けて傾斜して、立壁から前記複数のフィードローラと前記複数のゲートローラとのゲート間隙へ向かうに従って集積紙葉類の枚数を減少させるようになっている傾斜壁と、前記フィードローラ用回転軸を中心に上下方向に揺動可能とされ、前記キッカローラ用回転軸を軸支する第1アームと、集積紙葉類の繰出し方向後端位置に臨む集積紙葉類上面位置に臨み、回転によって集積紙葉類の繰出し方向後端縁をずらせ、その繰出し方向前端縁を前記傾斜壁にそわせる複数のさばきローラと、前記複数のさばきローラが設けられるさばきローラ用軸と、前記キッカローラ用回転軸を中心に前記さばきローラ用軸を上下方向に揺動可能な第2アームと、を更に備え、前記載置台は、前記複数のキッカローラおよび前記複数のさばきローラが当接し得る繰出し方向長さを有していることを特徴とする紙葉類繰出し装置である。また請求項2は、請求項1において、前記さばきローラ用軸には、前記複数のさばきローラとは異なる位置に、第3のプーリーが複数設けられており、前記第2のプーリーと前記第3のプーリーとの間に駆動伝達用のベルトが巻装されて、前記さばきローラ用軸と前記キッカローラ用回転軸との内の一方の軸の回転が他方の軸に伝達されるようになっており、前記さばきローラの周速は、前記キッカローラの周速より、やや速くなっていることを特徴とするものである。さらに請求項3は、前記第1アームの揺動下降を検知する検知手段が設けられ、前記第1アームの揺動下降を前記検知手段が検知したとき、前記載置台の昇降駆動手段が上昇作動するようになっていることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
請求項1の発明は次の作用を行なう。すなわち載置台上に集積された紙葉類の最上位の紙葉類がキッカローラおよびさばきローラに当接し、最上位の紙葉類がキッカローラにより1枚ずつけり出され、フィードローラとゲートローラとの間に送り込まれ、1枚のみに分離されて繰出される。この繰出しとともに紙葉類の繰出し方向後端位置にはさばきローラが接触し、紙葉類の繰出し方向後端縁をずらせ、その繰出し方向前端縁を傾斜壁にそわせてフィードローラとゲートローラによる1枚分離作用(ゲート作用)をやりやすくする。
【0007】
紙葉類の繰出しが進み、紙葉類の量が減少すると、昇降駆動手段により載置台が上昇し、常に繰出し態勢におかれる。請求項2の発明では、請求項1の発明の作用に加え、フィードローラとキッカローラとの一方を駆動、他方を従動とし、その伝達ベルトをフィードベルトに使用するのでキッカローラおよびフィードベルトにより紙葉類の繰出し力が付与され、紙葉類の繰出しが確実に行なわれる。また請求項3の発明は、さばきローラにも回転伝達がなされ、かつこのさばきローラの周速をキッカローラよりやや速くしていることにより、さばきローラがキッカローラとともに最上位紙葉類面に接触しているときはキッカローラとさばきローラの速度差によりその最上位紙葉類に部分的なごくわずかのたわみが生じ、紙葉類同士の分離作用を助けることになる。またさばきローラが最上位紙葉類の後続紙葉類後端縁と接触するときはそれら紙葉類の前端縁を傾斜壁にそわせ、紙葉類の分離作用を確実にする。また請求項4のように、第1アームの所定量の下降を検知したとき載置台を上昇させるようにすれば、常に最適な条件下での繰出しをなさしめることができる。
【0008】
【実施例】
以下、本発明を図面に示す実施例を参照して説明する。
【0009】
図1は本発明による紙葉類繰出し装置の作動状態の側面を示し、図2は同平面を示している。
【0010】
上記図における載置台1は、紙幣等の紙葉類Pの繰出し方向長さ(紙幣の場合は短手方向長さ)と略同長を有する板状のもので、図示しないが例えば上下方向に無端回動するベルトに固定され、モータMとこのモータMにより駆動されるベルトの回動により所定量ずつ上昇作動させるようになっている。またモータMの逆転とベルトの逆回動により下降移動されるようになっている。本発明の昇降駆動手段は前述のモータMおよびベルト等で構成される。
【0011】
上記載置台1の紙葉類繰出し方向(図1矢印A方向)の前方に隔離した位置の上方には左右一対のフィードローラ2,2が図示しない機枠に軸承された回転軸3に固着して設けられ、この回転軸3の外端部のプーリー4とモータMのプーリー5とにベルト6が巻装されてフィードローラ2,2に図1において矢印方向への回転が与えられるようになっている。
【0012】
上記フィードローラ2,2の下部位置にはこれと対応してゲートローラ7,7が軸8に対しワンウエイクラッチ(図示省略)を介して軸承され、この軸8のプーリー9,9,9,9とモータMにより回転する軸10上のプーリー11,11,11,11とにベルト12,12,12,12が巻装されて図1において矢印方向への回転が与えられるが、ゲートローラ7,7は矢印方向へはワンウエイクラッチにより回転不能とされ、また反矢印方向へは回転自由とされている。
【0013】
またプーリー11,11,11,11に対向してベルト12,12,12,12に圧接する従動ローラ11′,11′,11′,11′,(図1、図3〜図5に図示)が設けられる。
【0014】
前記フィードローラ2,2は、その周面周方向に2条の凹溝2a,2aが形成されており、ゲートローラ7,7の周面周方向には前記凹溝2a,2aに対応する2条の凸条7a,7aが形成されていてこれら凹溝2a,2aと凸条7a,7aとが若干入り組んで凹溝2a,2aと凸条7a,7aの各エッジ部間で1枚の紙葉類Pのみを通すゲート間隙を形成するようになっている。
【0015】
前記載置台1の紙葉類繰出し方向Aの端部に近接した位置には、載置台1上の紙葉類Pの繰出し方向前端が当る垂直な立壁13が機体側に固設され、この立壁13の上部域は斜め前方に延びて前記ゲートローラ7,7の上部域と交差する位置から水平に延びる傾斜壁13Aとされ、前記ゲートローラ7,7の上端部はこの傾斜壁13Aの上面よりやや上部に突出しておかれている。
【0016】
前記フィードローラ2,2の回転軸3には第1アーム14の基部が枢支され、この第1アーム14の前記載置台1の紙葉類繰出し方向前半部に対応する位置に一対のキッカローラ15,15がブッシュ16,16を介して軸支される軸17上に設けられ、この第1アーム14は自重により前記回転軸3を中心に上下方向揺動自在とされている。なお各キッカローラ15,15は、軸17に対する内側寄りに幅の小なるキッカローラ周面を、また外側寄りに幅の大なるキッカローラ周面を各々有している。
【0017】
前記回転軸3上のプーリー18,18と前記キッカローラ15,15の軸17上のプーリー19,19とにベルト20,20が巻回されてキッカローラ15,15がフィードローラ2,2に従動回転されるようになっており、前記ベルト20,20の外表面はフィードローラ2,2およびキッカローラ15,15の外周面と略同一面とされ、ベルト20,20もフィード機能を有するようになっている。
【0018】
前記キッカローラ15,15の軸17には第2アーム21,21の基部が枢支され、また第2アーム21,21同士は固定片21aで固定されているので第2アーム21,21は一体的に上下動自在に設けられている。この第2アーム21,21には前記載置台1の後半部に対応する位置に一対のさばきローラ22,22が軸23により支持されている。この軸23上のプーリー24と前記キッカローラ15,15の軸17上のプーリー25とにベルト26が巻回され、さばきローラ22,22がキッカローラ15,15に従動回転されるようになされている。そしてさばきローラ22,22の周速はキッカローラ15,15の周速よりやや速く、1.06倍の周速に設定されている。前記第1アーム14の側面には突部27があって機枠側に設けられたストッパ28,29の間におかれ、このストッパ28,29により第1アーム14の上限および下限位置が定められている。
【0019】
また第1アーム14の下端には水平方向へ延びる取付部14aが4個形成されており、この取付部14a下面に紙葉類の上面をガイドするガイド板30が固定され、第2アーム21は前記ガイド板30上に固定されたストッパ31に当接自在とされ、第2アーム21の下限を定めている。
【0020】
前記第1アーム14の突部27が下方のストッパ29に当接乃至はその近傍にあるときOFFとなり、第1アーム14が所定量下降揺動したときONとなって第1アーム14の下降を検知する検知手段としてのセンサSが設けられている。
【0021】
なお図1、図2においてS,S,Sは紙葉類Pの有無を検出する受光センサを示し、各センサS,S,Sに対応する各投光センサは図示していない。
【0022】
また紙葉類Pの通過を検知しモータMを一時的に停止させる投受光タイプの紙葉類通過検知センサS,S′が設けられている。
【0023】
次に上記実施例の作用を図3〜図5を参照して説明する。
【0024】
載置台1が下降位置におかれ、その上面に集積されている紙葉類Pの上面がキッカローラ15,15やさばきローラ22,22から離反しているときは、図3に示すように第1アーム14の突部27は第1アーム14に加わる自重等の付勢力により下部のストッパ29に当って下降限位置におかれ、センサSはOFFとなっているとともに、第2アーム21は第2アーム21に加わる自重等の付勢力によりガイド板30上のストッパ31に当って下降限位置におかれている。
【0025】
載置台1上の紙葉類Pを繰出すときは、モータMを正転させて載置台1を上昇させ、紙葉類Pの上面がキッカローラ15,15およびさばきローラ22,22に当り、さらに押し上げると第1、第2アーム14,21が上昇揺動し、第1アーム14がセンサSを遮切るとその検知信号によりモータMが停止され、載置台1の上昇が停る。
【0026】
ここで繰出し指令によりモータM,Mが駆動し、フィードローラ2,2の回転軸3が回転し、プーリー18,18、ベルト20,20、プーリー19,19を介しキッカローラ15,15が図4において矢印方向に回転するとともに、プーリー25、ベルト26、プーリー24を介してさばきローラ22,22が図4において矢印方向に回転する。
【0027】
これによりキッカローラ15,15、フィードローラ20,20が最上位の紙葉類Pをけり出し、さばきローラ22,22が集積紙葉類Pの繰出し方向後端縁を前方へ押しやり、繰出しを助ける。なおさばきローラ22,22の作用の詳細は後述する。
【0028】
上記のようにけり出された紙葉類Pは傾斜壁13上からフィードローラ2,2とゲートローラ7,7との間にキッカローラ15,15およびベルト20,20の協働で送り込まれ、フィードローラ2,2とゲートローラ7,7との間のゲート間隙を通過する際に2枚重なりの下位の紙葉類Pは送出方向へは回転不能なゲートローラ7,7によって戻され、1枚のみを通過させる。
【0029】
こうして繰出しが進み、載置台1上の紙葉類Pの量が減少すると、図5示のように第1アーム14および第2アーム21が次第に下降揺動する。第1アーム14が下降揺動してセンサSがOFFになるとその検知信号によりモータMが正転して載置台1が上昇し、図4示のように再びセンサSがONになると停止する。
【0030】
この載置台1の上昇中にもフィードローラ2,2、キッカローラ15,15、フィードベルト20,20は回転を継続しており、紙葉類の繰出しは引き続き行なわれる。
【0031】
以上の動作を繰り返し、最後の紙葉類が繰出されると、キッカローラ15,15、さばきローラ22,22、フィードベルト20,20は載置台1上面と摩擦接触するが、センサS,S,Sのすべてが紙葉類無を検知してモータMを逆転させ、載置台1を下降させて紙葉類装填位置に停止させる。またモータM,Mについては最後の紙葉類が繰出されて搬送されたのちの所定の時期に停止される。
【0032】
なおフィードローラ2,2、キッカローラ15,15、フィードベルト20,20は全周摩擦面とされており、モータMは紙葉類1枚が繰出される都度一時的に回転を停止する。一方、モータMは繰出された紙葉類を搬送するために連続回転する。このモータMの回転は紙葉類通過検知センサS,S′および制御部(図示せず)内のタイマーTによって制御される。モータMの回転と停止の状況を図6を参照して説明すると、スタート指令操作によりモータMおよびモータMが回転する。ここではフィードローラ2,2、キッカローラ15,15、フィードベルト20,20の周速とベルト12,12の周速は等しく設定されているものとし、モータM,Mの回転速度もそれに対応した回転速度とする。
【0033】
モータMの回転によりフィードローラ2,2とゲートローラ7,7のゲート間隙から紙葉類が繰出され、その紙葉類の前端縁がセンサS,S′を遮切るとタイマーTがセットされ、所定時間tの経過時にモータMを一時停止させる。さらに時間が経過し所定時間tの経過時にモータMが再度回転を始める。この所定時間tは処理される紙葉類の種類のうち最短繰出方向長さLの紙葉類を搬送する時間より小なる時間とされ、また所定時間tは処理される紙葉類の種類のうち最長繰出方向長さLの紙葉類を搬送する時間より大なる時間とされる。
【0034】
そのため長短異なる紙葉類が繰出される場合であっても紙葉類同士に間隔があけられて搬送されることになる。
【0035】
すなわち1枚目の紙葉類の前端縁がフィードローラ2,2とゲートローラ7,7を脱出してセンサS,S′に至り、それから所定時間tの間にその紙葉類の繰出方向長さ域の大半はベルト12,12,12,12と従動ローラ11′,11′,11′,11′の挟持域を通過している。そして前述の所定時間tの経過時にモータMが停止されると、繰出中の紙葉類はベルト12,12,12,12と従動ローラ11′,11′,11′,11′とで引き続き搬送され、次に繰出予定の紙葉類はその前端縁がフィードローラ2,2とゲートローラ7,7のゲート間隙内またはゲート間隙直前位置にあり、かつモータMの一時停止によってフィードローラ2,2、フィードベルト20,20、キッカローラ15,15、さばきローラ22,22が一時停止されており、次のモータMの回転開始まで紙葉類の繰出しは行なわれないのである。
【0036】
また所定時間tの経過中にベルト12,12,12,12と従動ローラ11′,11′,11′,11′で挟持搬送中の繰出し紙葉類は最長長さLのものであってもセンサS,S′より左方へ搬送されており、モータMの再度の回転時には繰出し紙葉類間に十分な間隔があけられた状態で繰出されることになるのである。
【0037】
なお図6中センサS,S′を紙葉類が遮切っている状態をオン状態(立上げ線)として示し、実線は最短紙葉類Lの遮切り状態、一点鎖線は最長紙葉類Lの遮切り状態を示している。
【0038】
次にさばきローラ22,22の作用をさらに詳しく説明する。
【0039】
図3の状態から載置台1が上昇すると、載置台1上の集積紙葉類のうち最上位の紙葉類の上面にキッカローラ15,15、フィードベルト20,20、さばきローラ22,22が接触する(図4示)。スタート指令によりモータM,Mが回転すると、キッカローラ15,15、フィードローラ2,2、フィードベルト20,20、さばきローラ22,22、ベルト12,12,12,12が回転し、前述の最上位紙葉類はその上面に接触するキッカローラ15,15、フィードベルト20,20、さばきローラ22,22によって図4において左方のゲート間隙(フィードローラ2,2とゲートローラ7,7の間隙)を通り、ベルト12,12,12,12とローラ11′,11′,11′,11′との間にくわえこまれて左方へ搬送される。
【0040】
この最初に繰出される最上位紙葉類の繰出時においては、キッカローラ15,15、フィードベルト20,20の周速よりさばきローラ22,22の周速がやや速いので最上位紙葉類はさばきローラ22,22からキッカローラ15,15に向けて送り込み勝手となり、このさばきローラ22,22がキッカローラ15,15による紙葉類のけり出し作用を補助することになる。
【0041】
また最初の1枚目の最上位紙葉類の繰出し前には後続紙葉類群の前端縁は立壁13位置にあるが、キッカローラ15,15、フィードベルト20,20、さばきローラ22,22による紙葉類の繰出し動作、特に最初の1枚目から5枚目位までの紙葉類の繰出し動作中に後続紙葉類群も追従移動され、それらの前端縁が傾斜壁13Aにそうことになる。
【0042】
さばきローラ22,22は前端縁が傾斜壁13A側へ移動しようとする紙葉類群の後端縁に接触して回転するので、それらの前端縁を傾斜壁13Aにそわせる働きをする。すなわちこれがさばき作用である。特に第1アーム14の揺動によるキッカローラ15,15の上下移動とは別に第2アーム21の揺動によりさばきローラ22,22も上下移動され、かつさばきローラ22,22の下降限はキッカローラ15,15の下降限より下方に設定されている。そのため前端縁が傾斜壁13A側へ移動されて傾斜階段状となった紙葉類群の後端縁部分にさばきローラ22,22の周縁下部域が当接して回転するこきとになり、さばきローラ22,22の周縁下部の円弧形状にそって紙葉類群の後端縁が揃えられ、これらの紙葉類群の前端縁は傾斜壁13Aにそって揃えられ、傾斜壁13Aによる紙葉類同士の分離作用を助け、上側の紙葉類前端縁から順にゲート間隙へ進入することになり、さばきローラ22,22は紙葉類の1枚分離作用を保証することになる。
【0043】
特にこのさばきローラ22,22の紙葉類けり出しの補助作用および紙葉類後端縁のさばき作用(延いては紙葉類前端縁のさばき作用ともなる)は載置台1上の紙葉類の量の多少にかかわらず、また載置台1上の最後の1枚の紙葉類に至るまで確実に行なえるが、その理由はキッカローラ15,15が第1アーム14に揺動可能に設けられていることと、さばきローラ22,22が第2アーム21に揺動可能に設けられていることと、さばきローラ22,22がキッカローラ15,15より下方位置に下がることに起因している。
【0044】
特に日本の紙幣のように金種にかかわらず一定長さ(短手長さ)の紙葉類の繰出しにはこのさばきローラ22,22の適用による実効は大である。
【0045】
このように前記さばきローラ22,22はその周速がキッカローラ15,15の周速よりも若干速いので、キッカローラ15,15によるけり出しを助け、しかも集積紙葉類Pの繰出し方向後端を積極的に前方へ向けてさばき、紙葉類群の前端縁を傾斜壁13Aにそわせ、紙葉類Pの1枚ずつの確実な繰出しに寄与する。
【0046】
なお本実施例ではモータMを間欠的に停止させて紙葉類間の間隔をあけて繰出すようにしているが、ベルト12の周速をフィードローラ2、フィードベルト20,20、キッカローラ15,15、さばきローラ22,22の周速より大とし、その周速差によって紙葉類間の間隔をあけるようにしてもよいことはもちろんである。
【0047】
またモータM,Mの回転開始時期については、本実施例では載置台1上の紙葉類位置およびキッカローラ15,15、さばきローラ22,22の位置が繰出し準備状態になった後の繰出し指令操作時である。すなわちモータMの正転により載置台1が上昇し、載置台1上の紙葉類Pの上面がキッカローラ15,15およびさばきローラ22,22に当ってそれらを押し上げ、第1アーム14がセンサSを遮切ってモータMが停止され、このモータMの停止後に繰出し指令操作が行なわれてモータM,Mが回転を開始するが、この例に限定されるものではなく、繰出し指令操作を行なうことによってモータM,M,Mを同時に回転開始させてもよい。この場合は載置台1の上昇中に、キッカローラ15,15、フィードローラ2,2、フィードベルト20,20、さばきローラ22,22が回転を始め、載置台1上の紙葉類がそれらに接触した直後から紙葉類の繰出しが開始される。そして紙葉類の繰出し中にキッカローラ15,15、さばきローラ22,22は載置台1上の紙葉類Pで押し上げられ、第1アーム14がセンサSを遮切り、モータMは停止され、以後の繰出し動作は前述の実施例と同じ動作をする。
【0048】
なお本実施例の傾斜壁13Aは直線的とした傾斜壁面の例であるが、円弧形状の傾斜壁面であってもよいことはいうまでもない。また本実施例はモータMによってフィードローラの回転軸をまず駆動し、この回転軸に連動させてキッカローラの軸を駆動せしめ、さらにキッカローラの軸に連動させてさばきローラの回転軸をさせているが、この回転の伝達系はこれに限定されるものではない。
【0049】
また第1アーム14、第2アーム21はそれに取り付けられる部材の重さも含めた自重により下方へ付勢されるが、さらに付勢力が必要な場合にはスプリングによる付勢としてもよいことはもちろんである。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、キッカローラ、フィードローラ、およびゲートローラを上部に有し、昇降駆動手段による載置台の上昇移動により載置台上に集積された集積紙葉類の最上位の紙葉類を前記キッカローラに押し当て、キッカローラおよびフィードローラの回転により紙葉類を繰出すとともに紙葉類の減少に応じて昇降駆動手段により載置台を上昇移動せしめて繰出しを継続する紙葉類繰出し装置において、前記フィードローラは、フィードローラ用回転軸に複数設けられており、前記ゲートローラは、前記複数のフィードローラに対向して、当該フィードローラの下部に複数設けられており、前記キッカローラは、キッカローラ用回転軸に複数設けられており、前記フィードローラ用回転軸には、前記複数のフィードローラとは異なる位置に、第1のプーリーが複数設けられており、前記キッカローラ用回転軸には、前記複数のキッカローラとは異なる位置に、第2のプーリーが複数設けられており、前記複数の第1のプーリーと前記複数の第2のプーリーとの間に、前記複数のフィードローラ及び前記複数のキッカローラの外周面と略同一面とされる外周面を有する複数のフィードベルトが張設されており、集積紙葉類の繰出し方向前端縁が当る立壁の上端域に形成され、前記複数のフィードローラに対向して設けられる前記複数のゲートローラに向けて傾斜して、立壁から前記複数のフィードローラと前記複数のゲートローラとのゲート間隙へ向かうに従って集積紙葉類の枚数を減少させるようになっている傾斜壁と、前記フィードローラ用回転軸を中心に上下方向に揺動可能とされ、前記キッカローラ用回転軸を軸支する第1アームと、集積紙葉類の繰出し方向後端位置に臨む集積紙葉類上面位置に臨み、回転によって集積紙葉類の繰出し方向後端縁をずらせ、その繰出し方向前端縁を前記傾斜壁にそわせる複数のさばきローラと、前記複数のさばきローラが設けられるさばきローラ用軸と、前記キッカローラ用回転軸を中心に前記さばきローラ用軸を上下方向に揺動可能な第2アームと、を更に備え、前記載置台は、前記複数のキッカローラおよび前記複数のさばきローラが当接し得る繰出し方向長さを有していることを特徴とするので、キッカローラによりけり出される紙葉類およびそれに続く後続紙葉類群の繰出し方向後端縁にさばきローラが接触して回転し、このさばきローラの回転によって紙葉類群の繰出方向後端縁が繰出し方向にずらされ、その結果紙葉類群の繰出し方向前端縁は傾斜壁にそわされて紙葉類同士が傾斜壁にそってずらされ、フィードローラとゲートローラによる1枚分離繰出し動作の確実化が図られる。特にさばきローラの紙葉類群後端縁のずらし作用、延いては紙葉類群前端縁のずらし作用、すなわちさばき作用は、載置台上に集積される紙葉類の量の大小に拘らず常に一定のさばきをなさしめ得て2枚乃至はそれ以上の同時けり出しを防ぎ、確実な繰出しができる。
【0051】
特に、フィードローラの回転軸とキッカローラの軸との間に巻装されるベルトの外周面をフィードローラおよびキッカローラの周面と略同一面となるようにすれば、ベルトもフィード機能を分担し、紙葉類の繰出しの安定化を図ることができる。
【0052】
また請求項2のように、さばきローラをその周速がキッカローラの周速よりやや速い回転を与えるようにすれば、キッカローラによるけり出しに支障を与えずにさばき作用とけり出しの補助作用をなさしめることができ、一層良好なさばき作用を期することができる。
【0053】
さらに請求項3のように、キッカローラを支持する第1アームの揺動下降を検知する検知手段を設け、この検知手段が第1アームの下降を検知したとき載置台を上昇させるようにすれば、常にキッカローラやさばきローラに対し紙葉類を一定の条件をもって接触させることができ、紙葉類の繰出しおよびさばき作用を安定させ、確実な繰出しに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による紙葉類繰出し装置の一実施例を示す作動状態時の側面図。
【図2】同、平面図。
【図3】同、繰出し作動開始前の状態を示す側面図。
【図4】同、繰出し開始時の状態を示す側面図。
【図5】同、繰出しが進み、第1アームが下降した状態を示す側面図。
【図6】モータM,Mの駆動タイミング図。
【符号の説明】
1 載置台
2 フィードローラ
3 回転軸
7 ゲートローラ
13 立壁
13A 傾斜壁
14 第1アーム
15 キッカローラ
21 第2アーム
22 さばきローラ
27 突部
28,29,31 ストッパ
0 昇降駆動手段としてのモータ

Claims (3)

  1. キッカローラ、フィードローラ、およびゲートローラを上部に有し、昇降駆動手段による載置台の上昇移動により載置台上に集積された集積紙葉類の最上位の紙葉類を前記キッカローラに押し当て、キッカローラおよびフィードローラの回転により紙葉類を繰出すとともに紙葉類の減少に応じて昇降駆動手段により載置台を上昇移動せしめて繰出しを継続する紙葉類繰出し装置において、
    前記フィードローラは、フィードローラ用回転軸に複数設けられており、
    前記ゲートローラは、前記複数のフィードローラに対向して、当該フィードローラの下部に複数設けられており、
    前記キッカローラは、キッカローラ用回転軸に複数設けられており、
    前記フィードローラ用回転軸には、前記複数のフィードローラとは異なる位置に、第1のプーリーが複数設けられており、
    前記キッカローラ用回転軸には、前記複数のキッカローラとは異なる位置に、第2のプーリーが複数設けられており、
    前記複数の第1のプーリーと前記複数の第2のプーリーとの間に、前記複数のフィードローラ及び前記複数のキッカローラの外周面と略同一面とされる外周面を有する複数のフィードベルトが張設されており、
    集積紙葉類の繰出し方向前端縁が当る立壁の上端域に形成され、前記複数のフィードローラに対向して設けられる前記複数のゲートローラに向けて傾斜して、立壁から前記複数のフィードローラと前記複数のゲートローラとのゲート間隙へ向かうに従って集積紙葉類の枚数を減少させるようになっている傾斜壁と、
    前記フィードローラ用回転軸を中心に上下方向に揺動可能とされ、前記キッカローラ用回転軸を軸支する第1アームと、
    集積紙葉類の繰出し方向後端位置に臨む集積紙葉類上面位置に臨み、回転によって集積紙葉類の繰出し方向後端縁をずらせ、その繰出し方向前端縁を前記傾斜壁にそわせる複数のさばきローラと、
    前記複数のさばきローラが設けられるさばきローラ用軸と、
    前記キッカローラ用回転軸を中心に前記さばきローラ用軸を上下方向に揺動可能な第2アームと、
    を更に備え、
    前記載置台は、前記複数のキッカローラおよび前記複数のさばきローラが当接し得る繰出し方向長さを有している
    ことを特徴とする紙葉類繰出し装置。
  2. 前記さばきローラ用軸には、前記複数のさばきローラとは異なる位置に、第3のプーリーが複数設けられており、
    前記第2のプーリーと前記第3のプーリーとの間に駆動伝達用のベルトが巻装されて、前記さばきローラ用軸と前記キッカローラ用回転軸との内の一方の軸の回転が他方の軸に伝達されるようになっており、
    前記さばきローラの周速は、前記キッカローラの周速より、やや速くなっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類繰出し装置。
  3. 前記第1アームの揺動下降を検知する検知手段が設けられ、前記第1アームの揺動下降を前記検知手段が検知したとき、前記載置台の昇降駆動手段が上昇作動するようになっている
    ことを特徴とする請求項1に記載の紙葉類繰出し装置。
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