JPH028909Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は紙葉類の繰出し装置にかかり、特に複
数枚重ね合せられた紙幣等の紙葉類群の最前位の
紙葉類から繰出しローラの回転による摩擦力によ
り順次１枚ずつ間歇的に繰出すようにした紙葉類
の繰出し装置に関する。

（従来の技術） 繰出しローラを用いて紙葉類を１枚ずつ繰出す
繰出し装置は、一般に紙葉類の表面に摩擦接触し
て紙葉類をけり出すキツカローラと、紙葉類の先
端部において１枚の紙葉類のみの通過を許容して
回転するフイードローラとで構成されている。

上記キツカローラは、界面の一部に摩擦力の大
きい突出部分を設け、このキツカローラを常時回
転することにより前記突出部分の摩擦力で紙葉類
を１枚ずつ間歇的に送り出す構成となつている。

（考案が解決しようとする課題） しかるに上記従来の繰出し装置では、紙葉類の
繰出し力がキツカローラの突出部分の表面の摩擦
力のみに頼つているため、特に流通紙幣のように
使用頻度によつて性状が異なつているような紙葉
類を取扱う場合、スリツプ等により紙葉類が繰出
されない事態が生じたり、あるいは先行紙葉類と
次位の紙葉類との間隔が一定にならないなどの不
都合が生じ、次工程において特に高精度が要求さ
れる紙幣の識別を行なう場合などではタイミング
がずれて確実な識別ができないという欠点をもた
らすことになる。

そこで上記欠点を解消するためにキツカローラ
の回転駆動源にステツピングモータを用いてキツ
カローラを間歇駆動させ、繰出される紙葉類の送
出間隔を一定にすることが考えられる。

しかしながらステツピングモータの駆動により
キツカローラとフイードローラとを回転させ、紙
葉類がフイードローラから抜け出すまで回転させ
ると、１枚目の紙葉類がキツカローラから抜ける
とき２枚目の紙葉類がキツカローラに接触して送
られようとするが、１枚目の紙葉類のみがフイー
ドローラで送られ、２枚目の紙葉類はフイードロ
ーラで送られないため、２枚目の紙葉類がしわに
なつてジヤミングを起す。さらにステツピングモ
ータが回転駆動したとき同様な現象が発生し、こ
れにより紙葉類の間歇送りが不安定となるばかり
でなく、紙葉類が損傷したり、延いては紙葉類が
詰つて繰出し不能になるという結果になりかねな
い。

本考案はこれに鑑み、上記従来技術の諸欠点を
解消することを目的としてなされたもので、紙葉
類の間歇送りを確実に行なうことができ、特に高
い精度が要求される紙幣の識別部への繰出しに適
用したとき紙葉類の繰出し間隔を一定に保つて確
実な識別を行なわせることができ、かつ繰出し部
における紙葉類の詰りが生じない紙葉類繰出し装
置を提供するにある。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 上記従来技術の課題を解決するため、本考案に
おいては、重積して整列する紙葉類群の最前位の
紙葉類の表面に摩擦接触して紙葉類をけり出すキ
ツカローラと、前記紙葉類群の最前位の紙葉類の
先端部においてゲート部材に対向して１枚の紙葉
類のみの通過を許容して回転するフイードローラ
とを有する紙葉類処理機において、外周面全域が
摩擦面とされるキツカローラと、前記フイードロ
ーラとキツカローラとを同期して間歇的に駆動す
るステツピングモータと、このステツピングモー
タから前記フイードローラへの駆動伝達系中に設
けられステツピングモータからの駆動伝達の有無
に係わらずフイードローラを紙葉類繰出し方向へ
の回転のみを許容する一方向クラツチと、フイー
ドローラの軸に対し、自由回転自在に設けられる
一対の搬送回転体と、連続回転駆動され、前記一
対の搬送回転体と協働して繰出される紙葉類を挾
持搬送する一対の搬送体と、繰出される紙葉類の
後端がキツカローラを通過したことを検出してス
テツピングモータを停止させるとともにその紙葉
類が前記一対の搬送体により所定の位置まで搬送
されたときにステツピングモータを駆動せしめる
検出手段とを具備し、前記検出手段が繰出される
紙葉類の後端がキツカローラを通過したことを検
出した際にステツピングモータを停止させること
によりキツカローラが固定保持されて次の紙葉類
の繰出しが阻止されるとともにフイードローラは
一対の搬送体により挾持搬送される紙葉類との摩
擦によつて追従回転されることを特徴とするもの
である。

（作用） まずキツカローラにより送り出された紙葉類群
の最前位の紙葉類は、フイードローラとゲート部
材の間を通つて搬送体へと搬送される。このとき
紙葉類の後端がキツカローラを通過するとこれを
検知してステツピングモータが停止し、フイード
ローラとキツカローラの駆動が停止する。この際
キツカローラは固定保持されて次の紙葉類の送出
を阻止する。しかしフイードローラは一方向クラ
ツチの働きにより紙葉類が搬送体により挾持搬送
されるとき紙葉類との摩擦により回転させられる
が、追従回転可能なため搬送を妨げることはな
い。

次に紙葉類が搬送体により所定位置（紙葉類間
を所定の間隔にする）まで搬送されるとステツピ
ングモータが再起動され、次の紙葉類を繰出し、
前記と同様に搬送される。この結果、紙葉類の間
隔を一定に保ちつつジヤムの生じない確実な間歇
送りが可能となる。

（実施例） 以下、図面に示す実施例を参照して本考案を説
明する。

図に示す実施例は、本考案を紙幣繰出し装置に
適用した場合を示すもので、載置台１上に重積状
態に整列載置される最前位の紙幣Ｓに面してキツ
カローラ２と、その下方部にフイードローラ３，
３および搬送回転体４，４とが設けられている。

前記キツカローラ２は、周面が摩擦係数の大き
い材料で形成され、紙幣Ｓの巾方向中央部に位置
するように軸５上に設けられ、この軸５の端部の
プーリー６とステツピングモータ７のプーリー８
とにベルト９が掛け渡され、キツカローラ２に紙
幣繰出し方向（矢印方向）への回転が与えられる
ようになつている。

前記フイードローラ３，３は、前記軸５と平行
して下方部に配設される軸１０上に紙幣Ｓの巾方
向両端部位下端位置に設けられ、これらフイード
ローラ３，３間の軸１０上に搬送回転体４，４が
回転自由に設けられている。

上記軸１０の端部にはプーリー１１があつて、
このプーリー１１と前記キツカローラ２の軸５上
のプーリー１２とにベルト１３が掛け渡され、こ
の軸１０に前記キツカローラ２と同方向への回転
が与えられるようになつている。上記プーリー１
１内には一方向クラツチ１４が内蔵されており、
フイードローラ３，３を前記回転方向へのみ回転
を許容するようになつている。なおこの一方向ク
ラツチ１４はフイードローラ３，３内に内蔵する
ようにしてもよい。

ゲート部材１５，１５は第２図、第３図に示す
ように、前記フイードローラ３，３に対向して設
けられるもので、フイードローラ３，３の大径部
分３ａおよびその間の小径部分３ｂに嵌り合う小
径部分１５ａおよび大径部分１５ｂを有し、これ
ら各周面間で紙幣Ｓが１枚のみ通過し得るゲート
間隙が形成される。そしてこのゲート部材１５，
１５には、紙幣Ｓの繰出し方向への回転は阻止し
逆方向への回転は許容する一方向クラツチ１６が
内蔵されている。

前記フイードローラ３，３および搬送回転体
４，４に続いて搬送体１７が設けられている。

この搬送体１７は、フイードローラ３，３の軸
１０の直下方にこれと平行して設けられる軸１８
と、前記フイードローラ３，３とゲート部材１
５，１５との間の下方部に設けられる軸１９と、
これら軸１８，１９に離隔して設けられる軸２０
とを有し、前記軸１８，２０上のプーリー２１，
２２間に掛け渡されるベルト２３，２３はフイー
ドローラ３，３と対応する位置におかれ、軸１９
上のプーリー２４と軸２０上のプーリー２５とに
掛け渡される搬送体２６，２６は前記搬送回転体
４，４の周面下部に圧接して設けられており、前
記軸２０端のプーリー２７にはモータ２８のプー
リー２９に掛けられるベルト３０が掛け渡されて
矢印方向への回転が伝達されるようになつてい
る。

前記搬送体１７の搬送面の適所には、搬送され
る紙幣Ｓの後端位置が少くともキツカローラ２を
通過したことを検出するセンサ３１が設けられて
いる。

このセンサ３１は繰出される紙幣Ｓのピツチ、
すなわち第４図Ａのように紙幣Ｓの先端と先端と
の間隔Ｐを決めるもので、後続の装置、たとえば
サイズの異なる紙幣であつても紙幣識別部へ送入
するタイミングを容易の設定することができる。

上記センサ３１の後流側には他のセンサ３２が
設けられている。そしてこれらセンサ３１，３２
による紙幣Ｓの繰出しタイミングは、センサ３１
によりステツピングモータ７の停止、センサ３２
でステツピングモータ７の起動をなさしめるよう
にしている。しかしこのセンサは単一とし、紙幣
Ｓの先端（または後端）を検出してステツピング
モータ７を停止させ、紙幣Ｓの後端が抜けたとき
ステツピングモータ７を起動させるようにしても
よく、また紙幣Ｓの後端が抜けてから所定秒時遅
延させてからステツピングモータ７を起動させる
ようにしてもよい。この場合は、紙幣Ｓのピツチ
は第４図Ｂのように紙幣Ｓの後端と次の紙幣Ｓの
先端との間隔P′が一定となる。

なお、上記センサ３１，３２には、反射型、透
過型の光電管、マイクロスイツチ、その他適宜な
手段を採用することができる。図において３３は
載置台１上に装填される紙幣Ｓの背部をキツカロ
ーラ２側へ押圧する押圧体である。

つぎに上記実施例の作用について説明する。

紙幣Ｓを重積状に整列させて載置台１上に収納
し、図示しないスタートボタンを押すとモータ２
８が駆動され、搬送体１７のベルト２３、搬送体
２６が帯動する。これら搬送ベルトのうち内側の
２本の搬送体２６，２６は搬送回転体４，４の周
面に接触しているため搬送回転体４，４も矢印方
向に回転される。

これと同時にステツピングモータ７が起動さ
れ、キツカローラ２およびフイードローラ３，３
が矢印方向に回転し、キツカローラ２の回転によ
りその周面の摩擦によつて最前位の紙幣Ｓを送り
出す。

送り出された紙幣Ｓはフイードローラ３，３と
ゲート部材１５，１５との間のゲート間隙に進入
し、１枚のみの紙幣Ｓがこのゲート間隙を通つて
送り出され、搬送体２６，２６と搬送回転体４，
４との間に挾まれて搬送される。

紙幣Ｓの先端がセンサ３１により検出される
と、その検出信号によりステツピングモータ７が
停止され、これによりキツカローラ２の回転も停
止されるが、搬送体１７のベルト２３、搬送体２
６は駆動されているので、紙幣Ｓは搬送回転体
４，４と搬送体２６，２６とで挾まれたまゝ搬送
される。このときフイードローラ３，３は、上記
のようにして搬送される紙幣Ｓに引張られるよう
に摩擦力によつて追従回転し、紙幣Ｓの搬送をス
ムーズにする。

搬送される紙幣Ｓの先端がセンサ３２の位置に
到達すると、その検出信号によりステツピングモ
ータ７が再起動され、次位の紙幣Ｓを繰出し、前
記と同様にして搬出される。

なお、上記実施例の説明は紙幣の繰出し装置の
場合について行なつたが、紙幣以外の紙葉類であ
つても同様にして用いることができ、また各部の
構成部材の形状構造等についても図示実施例に限
定されるものではない。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案の紙葉類繰出し装
置は重積して整列する紙葉類群の最前位の紙葉類
に対向して設けられたフイードローラの回転によ
り紙葉類を１枚ずつ繰出す紙葉類処理機におい
て、前記フイードローラの上流側に設けられ、該
フイードローラへ紙葉類を供給するキツカローラ
と、前記フイードローラとキツカローラとを同期
して間歇的に駆動するステツピングモータと、繰
出される紙葉類の後端が少くともキツカローラを
通過したことを検出する検出手段と、前記フイー
ドローラを紙葉類の繰出し方向へのみ回転を許容
する一方向クラツチと、前記フイードローラから
繰出された紙葉類を搬送する搬送体とを具備し、
前記検出手段による検出信号により前記ステツピ
ングモータの駆動を制御するとともに搬送体によ
り搬送される紙葉類との摩擦によつて前記フイー
ドローラを追従回転させるようにしたので、紙葉
類をけり出し後ステツピングモータを停止させて
キツカローラを止めてもフイードローラおよびこ
れに協働してフイードローラ軸上の一対の搬送回
転体が従動回転して紙葉類の搬出を助け、この一
対の搬送回転体と対向する一対の搬送体により紙
葉類の搬送をおこなうので、繰出される紙葉類の
搬送開始がおくれることなくジヤミングの発生や
間隔詰り、斜行等が防止され、スムーズな紙葉類
の繰出しができる優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による紙葉類繰出し装置の一実
施例を示す斜視図、第２図は同縦断側面図、第３
図はフイードローラとゲート部材との関係を示す
拡大平面図、第４図Ａ，Ｂは紙葉類の搬送状況を
示す説明図である。 １……載置台、２……キツカローラ、３……フ
イードローラ、４……搬送回転体、７……ステツ
ピングモータ、１４，１６……一方向クラツチ、
１５……ゲート部材、１７……搬送体、２３……
ベルト、２６……搬送体、２８……モータ、３
１，３２……センサ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 重積して整列する紙葉類群の最前位の紙葉類の
   表面に摩擦接触して紙葉類をけり出すキツカロー
   ラ２と、前記紙葉類群の最前位の紙葉類の先端部
   においてゲート部材１５に対向して１枚の紙葉類
   のみの通過を許容して回転するフイードローラ
   ３，３とを有する紙葉類処理機において、外周面
   全域が摩擦面とされるキツカローラ２と、前記フ
   イードローラ３，３とキツカローラ２とを同期し
   て間歇的に駆動するステツピングモータ７と、こ
   のステツピングモータ７から前記フイードローラ
   ３，３への駆動伝達系中に設けられステツピング
   モータ７からの駆動伝達の有無に係わらずフイー
   ドローラ３，３を紙葉類繰出し方向への回転のみ
   を許容する一方向クラツチ１４と、フイードロー
   ラ３，３の軸１０に対し、自由回転自在に設けら
   れる一対の搬送回転体４，４と、連続回転駆動さ
   れ、前記一対の搬送回転体４，４と協働して繰出
   される紙葉類を挾持搬送する一対の搬送体２６，
   ２６と、繰出される紙葉類の後端がキツカローラ
   ２を通過したことを検出してステツピングモータ
   ７を停止させるとともにその紙葉類が前記一対の
   搬送体２６，２６により所定の位置まで搬送され
   たときにステツピングモータ７を駆動せしめる検
   出手段３１，３２とを具備し、前記検出手段３
   １，３２が繰出される紙葉類の後端がキツカロー
   ラ２を通過したことを検出した際にステツピング
   モータ７を停止させることによりキツカローラ２
   が固定保持されて次の紙葉類の繰出しが阻止され
   るとともにフイードローラ３，３は一対の搬送体
   ２６，２６により挾持搬送される紙葉類との摩擦
   によつて追従回転されることを特徴とする紙葉類
   処理機における紙葉類の繰出し装置。