JP3570222B2 - 回転伝達装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉蓋を有する電子機器において、開閉蓋を駆動するために駆動力を伝達する回転伝達装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転伝達装置はCD付きラジオカセットに使われているようなスリップ機能付きの回転伝達装置が知られている。
図5は従来の回転伝達装置の分解斜視図を示すものである。
図5において、伝達ギア1に形成された支軸2が樹脂ワッシャ5及び駆動ギア6を貫通して相対的に回転可能となるよう構成されている。駆動ギア6の内側凹部とギア端面には合成皮革シート7が貼付され、伝達ギア1の支軸2に形成されたHカット部分3にギアカバー8のH形孔9が嵌合して蓋がされる様に構成されている。更に、ギアカバー8の内側凹部10にコイルばね11が挿入され、伝達ギア1の支軸2に形成された爪4にばねカバー12が係合され、コイルばね11がギアカバー8を駆動ギア6の方向へ押し付けるように構成されている。
以上のような構成により、伝達ギア1とギアかバー8は一体となって回転し、ギアカバー8と駆動ギア6に貼付された2ヶ所の合成皮革シート7との摩擦力により、伝達される回転トルクが小のときはこれら全てが一体となって回転し、伝達される回転トルクが大のときは伝達ギア1及びギアカバー8と駆動ギア6との間で相対的に回転し、回転トルクが伝達されないように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回転伝達装置においては、部品点数が多い上、駆動ギア6の内側凹部とギア端面に合成皮革シート7を貼付するという困難な作業が要求されている。更に、伝達ギア1に樹脂ワッシャ5、駆動ギア6、ギアカバー8、コイルばね11、ばねカバー12を重ねあわせるため支軸方向に長くなり、薄形でコストの安い回転伝達装置を提供することができなかった。
【0004】
本発明は、上記のような問題点を解決し、開閉蓋を有する電子機器において、部品点数が少なく、組立が容易な、非常に薄形でコストの安い回転伝達装置を提供することを目的としてなされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の回転伝達装置は、歯車の内側にカム収納凹部、及び、カム収納凹部の一端に1対のカム定位リブ、及び、中心に軸孔を形成した駆動ギアと、軸、及び、軸の根元の一端にフックを形成した伝達ギアと、駆動ギアの軸孔に伝達ギアの軸を挿入して組み合わせたとき、駆動ギアのカム収納凹部に収納され、且つ駆動ギアの一対のカム定位リブに挟まれるロック部、及び、駆動ギアの軸孔に対しロック部と反対側に位置し伝達ギアのフックに嵌合するフック嵌合部、及び、フック嵌合部に連続した円形のフック遊嵌部を形成したカムと、駆動ギアのカム収納凹部内において、カムのロック部を駆動ギアのカム定位リブに押し付ける方向に力を加えるばねとを備え、駆動ギアと伝達ギアとの間に相対的に大なる回転トルクが加わったとき、駆動ギアのカム定位リブとカムのロック部の係合が外れると同時に、カムのフック嵌合部と伝達ギアのフックの嵌合が外れ、駆動ギアと伝達ギアは相対的に回転し、回転トルクが伝達されなくなるよう構成したものである。
【0006】
これにより、開閉蓋を有する電子機器において、部品点数が少なく、組立が容易な、非常に薄形でコストの安い回転伝達装置が得られる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、歯車の内側に形成したカム収納凹部及びこのカム収納凹部の一端に形成した一対のカム定位リブ並びに中心に形成した軸孔を有する駆動ギアと、中心に形成した軸及びこの軸の根元に形成したフックを有する伝達ギアと、前記駆動ギアのカム収納凹部に収納され且つ駆動ギアの一対のカム定位リブに挟まれるロック部及び駆動ギアの軸孔に対しロック部と反対側に位置し伝達ギアのフックに嵌合するフック嵌合部並びにこのフック嵌合部に連続した円形のフック遊嵌部を形成したカムと、前記駆動ギアのカム収納凹部内においてカムのロック部を駆動ギアのカム定位リブに押し付ける方向に力を加えるばねとを備え、駆動ギアと伝達ギアとの間に相対的に大なる回転トルクが加わったとき、駆動ギアのカム定位リブとカムのロック部の係合が外れると同時に、カムのフック嵌合部と伝達ギアのフックの嵌合が外れ、駆動ギアと伝達ギアは相対的に回転し、回転トルクが伝達されなくなるよう構成したものであり、部品点数が少なく、組立が容易な、非常に薄形でコストの安い回転伝達装置が得られるという作用を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、駆動ギアに動力を伝達する駆動手段と、伝達ギアより駆動力が伝達される開閉蓋を備え、開閉蓋に衝撃力が加えられたとき、開閉蓋が遊嵌状態になる様に構成したものであり、開閉蓋に加わる外部からの衝撃力に対し、内部の駆動系及び伝達系の部品を保護するという作用を有する。
【0009】
以下本発明の実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施の形態における回転伝達装置の分解斜視図を示し、図2は駆動ギアと伝達ギアとの間に加わる相対的な回転トルクが大のときの、伝達ギアのフックが遊嵌状態にいたるメカニズムの断面図、図3は開閉蓋を有する電子機器の開閉蓋が閉状態の断面図、図4は開閉蓋を有する電子機器の開閉蓋が開状態の断面図である。
【0010】
図1、図2において、回転伝達装置は、駆動ギア13と、伝達ギア17と、カム20と、ばね25とにより構成しており、駆動ギア13は駆動源の動力が伝達され、伝達ギア17より開閉蓋等の被回転部に伝達するものである。また、カム20とばね25は、駆動ギア13から伝達ギア17への回転伝達において、回転トルクが一定値以上になったときに両者間を遊嵌状態とする作用を与えるためのものである。
【0011】
前記駆動ギア13には、駆動ギア13の歯車の内側に形成したカム収納凹部14と、そのカム収納凹部14の中心に形成した軸孔15と、カム収納凹部14の一端に形成した一対のカム定位リブ16を有している。伝達ギア17には、その中心に形成した軸18と、軸18の根元の一端に形成したフック19を有している。また、カム20は、駆動ギア13の一対のカム定位リブ16に挟まれるように形成したロック部21と、駆動ギア14の軸孔15に対しロック部21と反対側に位置し伝達ギア17のフック19に嵌合するフック嵌合部22と、フック嵌合部22に連続した円形状に形成したフック遊嵌部23と、ロック部21の反対側に形成したばね係合リブ24とを有している。そして、駆動ギア13の軸孔15に伝達ギア17の軸18を挿入して組み合わせたとき、カム20は駆動ギア13のカム収納凹部14に収納される。更に、ばね25は、カム20がカム収納凹部14に収納された状態において、同様に駆動ギア13のカム収納凹部14に収納され、且つカム20のばね係合リブ24に係合して、カム20のロック部21を駆動ギア13のカム定位リブ16の方向に押し付けるように作用する構成となっている。
【0012】
図3、図4は、以上のように構成した回転伝達装置を開閉蓋32の開閉駆動伝達部に使用した例を示すものである。同図において、機器内部に配置固定された駆動源であるモータ26から、ベルト27を介してプーリギア28に回転が伝わり、更に、プーリギア28により駆動ギア13を回転させ、伝達ギア17を介して、開閉蓋32と一体となっているクランパーホルダー29に形成された回動ギア部30に回転伝達されるように構成したものである。すなわち、モータ26の駆動により、駆動ギア13と伝達ギア17を介して、伝達ギア17と噛み合う回動ギア部30により、クランパーホルダー29を回転軸31を中心に回転し、開閉蓋32を回動して開閉するように構成されている。
【0013】
以上のように構成された回転伝達装置について、以下その動作について説明する。
【0014】
駆動ギア13と伝達ギア17との間に相対的に回転トルクが加わったとき、回転トルクが小のときは、駆動ギア13のカム定位リブ16とカム20のロック部21の係合、及びカム20のフック嵌合部22と伝達ギア17のフック19との嵌合により、駆動ギア13から伝達ギア17に回転トルクが伝達される。駆動ギア13と伝達ギア17との間の相対的な回転トルクが大のときは、図2(a)に示す矢印Aの如く、伝達ギア17の軸18が駆動ギア13に対して相対的に回転すると同時に、カム20は駆動ギア13に形成されたカム定位リブ16の斜面16aに沿って滑り、矢印Bの方向に移動する。回転トルクが加わりつづけるとカム20は更に矢印Bの方向に移動し、図2(b)に示すように伝達ギア17のフック19とカム20のフック嵌合部22との嵌合が外れて遊嵌状態となり、伝達ギア17の軸18及びフック19はカム20のフック遊嵌部23の範囲で矢印Aの方向に回転し、駆動ギア13から伝達ギア17に回転トルクは伝達されなくなる。この状態で伝達ギア17のみがほぼ1回転すると、再度伝達ギア17のフック19とカム20のフック嵌合部22が嵌合状態になると同時に、駆動ギア13のカム定位リブ16とカム20のロック部21が係合状態となる。
【0015】
この回転伝達装置にてモータ26の回転を伝達して開閉蓋32を開閉する際、モータ26による小さい回転トルクの伝達の場合は開閉蓋32が正常に開閉し、開閉蓋32が開状態のとき手で衝撃的に閉められるというような大きな回転トルクが作用した場合は、駆動ギア13と伝達ギア17の間で回転トルクが伝達されず遊嵌状態となり、開閉蓋32や伝達系の部材の破損を防止することができることとなる。
【0016】
以上のように本実施形態によれば、駆動ギア13の歯幅のなかでカム収納凹部14を形成し、カム収納凹部14の中にカム20及びばね25を収納して伝達ギア17を組み合わせることにより、伝達する回転トルクが小のときは正常に回転トルクを伝達し、伝達する回転トルクが大のときは駆動ギア13と伝達ギア17の間で回転トルクが伝達されなくすることができることとなる。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、歯車の内側に形成したカム収納凹部及びこのカム収納凹部の一端に形成した一対のカム定位リブ並びに中心に形成した軸孔を有する駆動ギアと、中心に形成した軸及びこの軸の根元に形成したフックを有する伝達ギアと、前記駆動ギアのカム収納凹部に収納され且つ駆動ギアの一対のカム定位リブに挟まれるロック部及び駆動ギアの軸孔に対しロック部と反対側に位置し伝達ギアのフックに嵌合するフック嵌合部並びにこのフック嵌合部に連続した円形のフック遊嵌部を形成したカムと、前記駆動ギアのカム収納凹部内においてカムのロック部を駆動ギアのカム定位リブに押し付ける方向に力を加えるばねとを備え、駆動ギアと伝達ギアとの間に相対的に大なる回転トルクが加わったとき、駆動ギアのカム定位リブとカムのロック部の係合が外れると同時に、カムのフック嵌合部と伝達ギアのフックの嵌合が外れ、駆動ギアと伝達ギアは相対的に回転し、回転トルクが伝達されなくなるよう構成したものであり、部品点数が少なく、組立が容易で、非常に薄形でコストの安い回転伝達装置が得られると共に、伝達する回転トルクが小のときは正常に回転トルクを伝達し、開閉蓋に外部から衝撃力が加えられたときは開閉蓋が遊嵌状態となって内部の駆動系、及び、伝達系の部品を保護することができる回転伝達装置が得られるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による回転伝達装置の分解斜視図
【図2】(a)(b)は同回転伝達装置に加わる回転トルクが大のときの伝達ギアのフックが遊嵌状態にいたるメカニズムの断面図
【図3】同回転伝達装置を搭載した開閉蓋を有する電子機器の開閉蓋が閉状態の断面図
【図4】同電子機器の開閉蓋が開状態の断面図
【図5】従来の回転伝達装置の分解斜視図
【符号の説明】
13 駆動ギア
14 カム収納凹部
15 軸孔
16 カム定位リブ
17 伝達ギア
18 軸
19 フック
20 カム
21 ロック部
22 フック嵌合部
23 フック遊嵌部
25 ばね
26 モータ
32 開閉蓋

Claims (2)

  1. 歯車の内側に形成したカム収納凹部及びこのカム収納凹部の一端に形成した一対のカム定位リブ並びに中心に形成した軸孔を有する駆動ギアと、中心に形成した軸及びこの軸の根元に形成したフックを有する伝達ギアと、前記駆動ギアのカム収納凹部に収納され且つ駆動ギアの一対のカム定位リブに挟まれるロック部及び駆動ギアの軸孔に対しロック部と反対側に位置し伝達ギアのフックに嵌合するフック嵌合部並びにこのフック嵌合部に連続した円形のフック遊嵌部を形成したカムと、前記駆動ギアのカム収納凹部内においてカムのロック部を駆動ギアのカム定位リブに押し付ける方向に力を加えるばねとを備え、
    駆動ギアと伝達ギアとの間に相対的に大なる回転トルクが加わったとき、駆動ギアのカム定位リブとカムのロック部の係合が外れると同時に、カムのフック嵌合部と伝達ギアのフックの嵌合が外れ、駆動ギアと伝達ギアは相対的に回転し、回転トルクが伝達されなくなるよう構成したことを特徴とする回転伝達装置。
  2. 請求項1において、駆動ギアに動力を伝達する駆動手段と、伝達ギアより駆動力が伝達される開閉蓋を備え、開閉蓋に衝撃力が加えられたとき、開閉蓋が遊嵌状態になることを特徴とする請求項1記載の回転伝達装置。
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