JP3570102B2 - 自動販売機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネットの庫内に複数基の商品収納ラックを左右に並べて前方へ引出し可能に搭載した自動販売機を対象に、同時に引出せるラックの基数を規制するようにラックの相互間をインターロック機構で連係した自動販売機に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭記のようにキャビネットの庫内に複数基の引出し式商品収納ラックを搭載し、商品の補充時には商品収納ラックを前方に引出し、この引出し位置でラック内に商品を装填するようにした自動販売機が周知である。
また、この場合にラック内に商品をフルローディングした状態では、商品収納ラックの1基当たりの重量が70〜80Kgにもなることから、同時に複数基のラックを引き出すと、荷重の重心が前方に移ってキャビネットが転倒するおそれがある。
【0003】
そこで、商品収納ラックへの商品補充,あるいは機内点検のためにラックを引き出す場合には、1回に引き出せるラックの基数を1基に規制し、他のラックを庫内の格納位置に拘束させるようにした引出し式商品収納ラックのインターロック機構が従来より提案され、実開昭61−16678,実開昭61−84977号公報などで公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来提案になるインターロック機構は構造が複雑で部品点数も多く、また商品収納ラックを庫内の格納位置に係止固定するには、インターロック機構の他に各ラックごとに鎖錠機構を備える必要があってコスト高であるなどの解決すべき問題点があり、その改善策が望まれている。
【0005】
さらに、昨今では自動販売機の道路はみ出しが社会的な問題になっていることから自動販売機が薄形化する傾向にあり、この面からも自動販売機の奥行き寸法の増加を招かないインターロック機構の開発が要望されている。
本発明は上記の点にかんがみなされたものであり、その目的は前記課題を解決し、簡易,かつコンパクトな構造で、しかも動作面での高い信頼性が確保できるインターロック機構を装備した自動販売機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の自動販売機においては、隣り合う商品収納ラックの相互間に介挿して商品収納ラックを庫内の格納位置に係止拘束する左右揺動式のロック片と、各商品収納ラックごとに前記ロック片に対向してラックケースの前面上部に設けた上下動式のロック片釈放用スライダ,および左右動式のロック片連係用スライダとの組合せからなる商品収納ラックのインターロック機構を備え、各商品収納ラックを庫内に格納した状態では各ロック片がその左右に並ぶ商品収納ラックの前縁にまたがって各ラックを格納位置に拘束し、いずれか1基の商品収納ラックのロック片釈放用スライダを引き上げ操作してロック片を側方へ押しやることにより、当該ラックの拘束を解除して前方への引出しを可能にする同時に、これに連動して各ロック片を他の商品収納ラックに備えたロック片連係用スライダを介して鎖錠位置に移動し、この位置で他の商品収納ラックを格納位置に拘束するように構成するものとする。
【0007】
前記の構成によれば、ロック片が個々の商品収納ラックを格納位置に係止するストッパ機能,および1基のラックを引出した際に他のラックを格納位置に拘束するインターロック機能を有しており、またロック片釈放用スライダ,ロック片連係用スライダが一括して商品収納ラックの前面上部に装備されており、しかもロック片は商品収納ラックより前方にはみ出すことがないので、インターロック機構を少ない部品点数でコンパクトに構成でき、インターロック機構の設置により自動販売機の奥行き寸法が増加することもない。また、各ロック片は個々に分離独立した部品で、かつロック片の相互間はラック側に設けた連係スライダを介して連動するよう連係されている。したがって、商品収納ラックのレイアウトに合わせてストッパの取付け箇所を取捨選択することで、同時に引き出せるラックを必要に応じて任意に設定できるなどの応用も可能となる。
【0008】
また、本発明によれば、前記構成におけるインターロック機構のロック片は、後端を揺動支点として左右に揺動可能なL字形板であって、下方に屈曲した前端部が商品収納ラックの格納位置でその頂部に設けたUチャンネル状の天板の前端側縁部に係合し、かつ前端部にはロック片釈放用スライダの操作に連動してロック片を中立位置から側方に揺動させるV字形の傾斜カム部を形成した構成となし、単一部品のロック片で商品収納ラックの格納位置での係止拘束,および釈放スライダの引き上げ操作によるロック解除が行えるようにしている。
【0009】
さらに、複数基の商品収納ラックがキャビネット庫内の複数の部屋に分けて収設されている場合には、各部屋の間にまたがり、各部屋ごとに備えたインターロック機構のロック片のうち、部屋の側端部に配置したロック片同士の間を連係リンクを介して相互連結し、これにより各部屋の相互間でも商品収納ラックの同時引出しを阻止するインターロック機能を確保するようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を形態別に図面に基づいて説明する。
〔実施例1〕
図1ないし図3は本発明の請求項1,2に対応する実施例を示すものである。図において、1は自動販売機のキャビネット、2はキャビネット1の庫内に左右に並べて収設した引出し式の商品収納ラック(各ラックには左側から順に記号A,B,C,Dを付す)であり、各商品収納ラック2は個々にラックケースの頂部に設けたUチャンネル状のラック天板3a,可動搬送ホルダ3b,固定搬送ホルダ3cの組合せからなるレール機構3を介して前方へ引出し可能にキャビネット1の天井に吊り下げ支持されている。なお、ラック天板3aはその側縁が左右側方に張出し、その前端面には後記するスライダの取付座3b(図2参照)を備えている。
【0011】
また、前記の引出し式商品収納ラック2に対して、隣接し合う商品収納ラック2の間に介挿して庫内の天井側に配備したロック片4、各ラックごとにその上部前面に一括して設けた上下動式のロック片釈放スライダ5,および左右動式のロック片連係スライダ6とで商品収納ラックに対するインターロック機構を構成している。
【0012】
ここで、ロック片4は、後端を段付きねじ4aでキャビネット1の天井に軸支し、ここを揺動支点として左右に揺動可能なL字形板であって、その前端部4bが下方に屈曲しており、かつ先端部には次記ロック片釈放スライダ5の釈放操作で従動するようにV字状の傾斜カム部4cが形成されている。
一方、ロック片釈放スライダ5は、図2で示すように、左右両側縁を背後に折り曲げて前記ロック片4の傾斜カム部4cに対向するアクチュエータ片5aを形成したものであって、その板面中央に縦長な溝穴5bが開口し、該溝穴に通した段付きねじ5c,およびワッシャ5dを介してラック天板3aの前面取付座3bへ上下動可能に取付けられている。さらに、該スライダ5の下端には商品収納ラック2の前面を覆ったカバー2aが吊り下げてある。なお、カバー2aの前面には手を差し入れる把手穴2bが開口している。
【0013】
また、ロック片連係スライダ6はその左右両端に背後側に折れ曲がって前記ロック片4の側縁に対向するL字状の舌片6aを形成したものであって、その板面には横長な溝穴6bが開口し、該溝穴に通した段付きねじ6cを介して前記のロック片釈放スライダ5の裏面側に並べてラック天板3aの前面取付座3bへ左右方向へスライド可能に取付けられている。
【0014】
次に、前記構成になるインターロック機構の動作を図1,および図3(a),(b) により説明する。まず、図3(a) は商品収納ラック2を庫内格納位置に拘束しているロック状態を表しており、隣り合う商品収納ラック2の間に介挿したロック片4は中立姿勢に位置し、この位置でロック片4の下方に屈曲した前端部4bがUチャンネル状のラック天板3aの前端側縁部に係合してラックを前方へ引き出せないように格納位置に拘束している。また、この鎖錠状態では、ロック片釈放スライダ5は下降位置に後退しており、ロック片連係スライダ6は左右のロック片4の間に挟まれた形で中立位置にある。
【0015】
ここで、商品を補充すべき商品収納ラック2に対し、前面カバー2aを把手穴に手を掛けて上方に押し上げると、図3(b) で示すように前面カバー2aと結合したロック片釈放スライダ5が矢印X方向に上昇スライドし、その左右両端のアクチュエータ片5aがロック片4の傾斜カム部4cに当たってロック片を側方(矢印Y方向)に押し出す。これにより、ロック片4とラック天板3aとの係合が外れて商品収納ラック2のロックが解除される。
【0016】
また、図1は左右に並ぶ複数の商品収納ラック2のうち、左端に並ぶラックAのロックを前記操作により解除して前方に引出した状態を表しており、ラックAのロックを解除すると、これに連動してラックAとラックBとの間に介挿したロック片4が段付きねじ4aを支点に反時計方向に揺動し、この位置で隣接するラックBを格納位置に鎖錠するとともに、このロック片4の動きはラックBの前面に設けたロック片連係スライダ6を介してラックBとラックCの間に介挿したロック片4に伝達され、該ロック片を反時計方向に揺動してラックCを鎖錠する。また、この動きに従動してラックCとDの間に介挿したロック片4も揺動してラックDを鎖錠する。なお、商品収納ラック2を前方に引き出すと、そのラック天板3aの側縁がロック片4を押して揺動位置に拘束する。このインターロック動作から判るように、左右に並ぶ複数基の商品収納ラック2のうち、いずれか1基のラックを前方に引き出すと、残りのラックは前方へ引き出せないようにロック片4で格納位置に拘束される。そして、先に引出したラックを庫内に押し込んだ後、改めて別な商品収納ラック2の前面カバー2aを押し上げると、そのラックは、左右のロック片4がそれぞれ側方に押し出された図3(b) の鎖錠釈放状態になって前方へ引き出すことができるようにり、他のラックは格納位置に拘束される。
【0017】
次に、図4(a) 〜(c) に前記したインターロック機構の適用例を示す。すなわち、(a) 図は左右に並ぶ5基の商品収納ラックA〜Eに対して、全てのラック相互間にロック片4を介挿しており、これにより1回に引き出せるラック数が1基に限定される。一方、(b) 図ではラックAとラックBとの間からロック片4を外している。これにより、ラックB〜Eは(a) 図と同様にラック相互間がインターロックされるのに対して、ラックAはインターロック機構の拘束を受けずに自由に引き出すことができる。さらに、(c) 図ではラックBとラックCとの間のロック片を外している。これにより、ラックA,BとラックC〜Eとの2グループで各ラック間がインターロックされる。このように、商品収納ラックのレイアウトに合わせてロック片4の取付け箇所を必要に応じて取捨選択することにより、同時に引き出せるラックを任意に限定することが可能である。
【0018】
〔実施例2〕
次に、本発明の応用例として請求項3に対応する実施例を図5,図6に示す。この実施例は、図5で示すように自動販売機のキャビネット庫内を複数の部屋(図示例では左室Iと右室IIの2室) に仕切り、各部屋ごとに庫内を冷却,ないし加熱してコールド商品,ホット商品を併売できるようにした自動販売機を実施対象としたものであり、各室I,IIごとに引出し式の商品収納ラック2が収設され、かつ各室に収設した商品収納ラックには実施例1で述べたと同様なインターロック機構が装備されている。
【0019】
そして、左室Iと右室IIの相互間で商品収納ラック2同士をインターロックするために、この実施例では左室I内の右端側,および右室IIの左端側にもロック片4を追加装備するとともに、双方のロック片4の間を室間の仕切壁を貫通して布設した連係リンク7を介して相互連結し、左室I内のロック片4と右室IIのロック片4との間を連係するようにしている。なお、連係リンク7は室間の熱貫流を低く抑えるために、伝熱性の低い材質,もしくは細いワイヤなどを使用するのがよい。
【0020】
ここで、図5(a),(b) のうち、(a) 図は左室Iと右室IIに収設した各商品収納ラック2を共に格納位置に拘束ているロック状態を表し、(b) 図は右室IIの左端に並ぶ商品収納ラック2のロックを釈放した状態を表しており、(b) 図ではロック釈放操作に伴うロック片4の動きが連係リンク7を介して左室Iの右端に並ぶロック片4に伝達され、これにより左室Iの商品収納ラックが格納位置に拘束されている。また、図6(a),(b) はラック引出しに伴うロック片4,連係リンク7の挙動を表す図であり、(a) 図は右室IIの商品収納ラックを引き出した場合、(b) 図は左室Iの商品収納ラックを引出した場合に対応する。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば、インターロック機構のロック片が個々の商品収納ラックを格納位置に係止するストッパ機能,および1基のラックを引出した際に他のラックを格納位置に拘束するインターロック機能を有しており、またロック片に対する釈放用スライダ,連係用スライダが一括して商品収納ラックの前面上部に装備されており、これによりインターロック機構を少ない部品点数でコンパクトに構成できる。また、ロック片は商品収納ラックより前方にはみ出すことがないので、インターロック機構を少ない部品点数でコンパクトに構成でき、インターロック機構の設置により自動販売機の奥行き寸法が増加することもない。しかも、各ロック片は個々に分離独立した部品で、かつロック片の相互間はラック側に設けた連係スライダを介して連動するよう連係されている。したがって、庫内における商品収納ラックのレイアウトに合わせてストッパの取付け箇所を取捨選択することで、同時に引き出せるラックを必要に応じて任意に限定できる。
【0022】
さらに、請求項3の構成を採用することにより、自動販売機のキャビネット庫内に仕切られた複数の部屋の間でも商品収納ラックのインターロック機構を連係動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応する実施例の構成図であり、商品収納ラックを1基引き出した際の状態を表す外観斜視図
【図2】図1における商品収納ラックに装備したインターロック機構の組立構造を表す分解斜視図
【図3】図1におけるインターロック機構の動作説明図であり、(a) は商品収納ラックのロック状態,(b) はロック釈放の状態を表す図
【図4】インターロック機構の使用例を表す図であり、(a),(b),(c) はそれぞれ商品収納ラックに対するロック片の取付箇所を変えた場合のレイアウト図
【図5】本発明の実施例2に対応するインターロック機構の構成,動作の説明図であり、(a) は左右室の商品収納ラックをロックした状態,(b) は右室の商品収納ラックのロックを釈放した状態を表す図
【図6】図5の実施例に対応するロック片,連係リンクの動作説明図であり、(a),(b) はそれぞれ右室,左室の商品収納ラックを引出した際の状態を表す図
【符号の説明】
1 自動販売機のキャビネット
2 商品収納ラック
3 レール機構
3a ラック天板
4 ロック片
4a 段付きねじ(揺動支軸)
4b 前端部
4c 傾斜カム部
5 ロック片釈放スライダ
5a アクチュエータ片
6 ロック片連係スライダ
7 連係リンク

Claims (3)

  1. 左右一列に並べてキャビネットの庫内に収設した複数基の商品収納ラックを有し、各商品収納ラックがラック天板を含むレール機構を介して前方へ引出し可能に吊り下げ支持された自動販売機において、隣り合う商品収納ラックの相互間に介挿して商品収納ラックを庫内の格納位置に係止拘束する左右揺動式のロック片と、各商品収納ラックごとに前記ロック片に対向してラックケースの前面上部に設けた上下動式のロック片釈放用スライダ,および左右動式のロック片連係用スライダとの組合せからなる商品収納ラックのインターロック機構を備え、各商品収納ラックを庫内に格納した状態では各ロック片がその左右に並ぶ商品収納ラックの前縁にまたがって各ラックを格納位置に拘束し、いずれか1基の商品収納ラックのロック片釈放用スライダを引き上げ操作してロック片を側方へ押しやることにより、当該ラックの拘束を解除して前方への引出しを可能にする同時に、この釈放操作に連動して各ロック片を他の商品収納ラックに備えたロック片連係用スライダを介して鎖錠位置に移動し、この位置で他の商品収納ラックを格納位置に拘束するようにしたことを特徴とする自動販売機。
  2. 請求項1記載の自動販売機において、インターロック機構のロック片は後端を揺動支点として左右に揺動可能なL字形板であり、下方に屈曲した前端部が商品収納ラックの格納位置でその頂部に設けたUチャンネル状の天板の前端側縁部に係合し、かつ前端部にはロック片釈放用スライダの操作に連動してロック片を中立位置から側方に揺動させるV字形の傾斜カム部を形成したものであることを特徴とする自動販売機。
  3. 請求項1,または2記載の自動販売機において、複数基の商品収納ラックがキャビネット庫内の複数の部屋に分けて収設されている場合には、各部屋の間にまたがり、各部屋ごとに備えたインターロック機構のロック片のうち、部屋の側端側に配置したロック片同士の間を連係リンクを介して相互連結したことを特徴とする自動販売機。
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