従来、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関の顧客は、入金、出金、振込、通帳記帳等の金融取引を行う場合、前記金融機関の支店等に配設されたATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動化機器としての現金自動取引装置を利用するようになっている。この場合、該現金自動取引装置は、硬貨入出金装置、紙幣入出金装置、取引明細票発行装置、カード取扱装置等の各種の装置を備えている。そして、該各種の装置は、それぞれ独立のユニットとして構成され、現金自動取引装置の本体に対して引出し可能に取り付けられている。
そのため、前記各種の装置の保守、点検等の場合には、該当するユニットを現金自動取引装置の本体から引き出すようになっている。例えば、紙幣入出金装置に紙幣を補充する必要がある場合、オペレータは紙幣入出金装置のユニットを現金自動取引装置の本体から引出し、紙幣を補充した後、前記ユニットを再び現金自動取引装置の本体に戻すようになっている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
図2は従来の現金自動取引装置の要部構成図である。なお、図2(a)は本体にユニットが格納され、該ユニットにモジュールが格納されている図、図2(b)はユニットにモジュールが格納された状態でユニットが本体から引き出された状態の図、図2(c)は本体にユニットが格納され、該ユニットからモジュールが引き出された状態の図、図2(d)は本体からユニットが引き出され、該ユニットからモジュールが引き出された状態の図、図2(e)は正面図である。
図において、101は現金自動取引装置の本体であり、紙幣入出金装置等のユニット102が前記本体101にユニット単位で引出し可能に収納してある。また、ユニット102は保守性を上げるために、該ユニット102内部の紙幣収納庫等も、別個のユニットとして引出し可能に収納してある。ここでは、前記別個のユニットをモジュール103と称して説明する。
そして、本体101とユニット102には、互いに入れ子式に嵌(かん)合し、矢印B−Bの方向に引出し可能なスライドレール104がそれぞれ設けられている。該スライドレール104は、本体101に図示されないねじによって固定されている固定側レール104aと、ユニット102の側面に図示されないねじによって固定されている可動側レール104bとから成る。同様に、ユニット102とモジュール103には、互いに入れ子式に嵌合し、矢印B−Bの方向に引出し可能なスライドレール105がそれぞれ設けられている。該スライドレール105は、モジュール103に図示されないねじによって固定されている固定側レール105aと、ユニット102の側面に図示されないねじによって固定されている可動側レール105bとから成る。
さらに、ユニット102はキャスタ106を有し、該キャスタ106はローラ106aとブラケット106bとから成る。前記ローラ106aはブラケット106bに回転可能に固定されており、ブラケット106bはモジュール103に図示されないねじによって固定されている。ローラ106aはユニット102又はモジュール103の引出し時に設置面に接触し回転を行う。
これにより、図2(b)に示されるように、モジュール103がユニット102に格納された状態で該ユニット102を本体101から引き出すこともできる。また、図2(c)に示されるように、ユニット102が本体101に格納された状態でモジュール103だけを本体101から引き出すこともできる。さらに、図2(d)に示されるように、ユニット102を本体101から引き出し、かつ、モジュール103をユニット102から引き出すこともできる。
次に、従来の現金自動取引装置のロック機構について説明する。
図3は従来の現金自動取引装置のロック機構のロック状態を示す図、図4は従来のロック機構のロック解除状態を示す図である。
図3及び4に示されるように、ユニット102と本体101とをロックするロック機構として、ユニット102の側面には断面がコ字状のユニットロックリンク107が回転可能に設けられ、本体101にはユニットロックリンク107の凹部と係合するロックポスト108が設けられている。そして、ユニットロックリンク107は、ユニット102の側面に固定された支軸を中心に回転可能であり、図示されないスプリングによって反時計回り方向に回転する付勢力を受けており、図示されないストッパに当接して、ロックポスト108と係合する位置で停止する。
また、ユニットロックレバ109は、ユニット102の側面に回転可能に設けられ、例えば、オペレータが行うロック解除操作によって発生する他からの力をA部に受けると、ユニット102の側面に固定された支軸を中心に反時計回り方向に回転を行う。そして、ユニットロックリンク107は、ユニットロックレバ109が回転すると該ユニットロックレバ109からの力を受け、時計回り方向に回転を行う。なお、ユニットロックレバ109は、図示されないスプリングによって時計回り方向に常に回転する付勢力を受けており、図示されないストッパに当接して、図3に示される位置で停止する。
同様に、ユニット102とモジュール103とをロックするロック機構として、モジュール103の側面には断面がコ字状のモジュールロックリンク110が回転可能に設けられ、ユニット102にはモジュールロックリンク110の凹部と係合するロックポスト111が設けられている。そして、モジュールロックリンク110は、モジュール103に固定されている回転支軸を中心に回転可能であり、図示されないスプリングによって反時計回り方向に回転する付勢力を受けており、図示されないストッパに当接して、ロックポスト111と係合する位置で停止する。
また、モジュールロックレバ112は、モジュール103の側面に回転可能に設けられ、例えば、オペレータが行うロック解除操作によって発生する他からの力をA部に受けると、モジュール103に固定されている回転支軸を中心に反時計回り方向に回転を行う。そして、モジュ−ルロックリンク110は、モジュールロックレバ112が回転すると該モジュールロックレバ112からの力を受け、時計回り方向に回転を行う。なお、モジュールロックレバ112は、図示されないスプリングによって時計回り方向に回転する付勢力を受けており、図示されないストッパに当接して、図3に示される位置で停止する。
そして、図4に示されるように、ユニット102のロック及びモジュール103のロックを解除すると、図2(d)に示されるように、本体101からユニット102が引き出され、かつ、該ユニット102からモジュール103が引き出された状態を作り出すことが可能である。
前記現金自動取引装置においては、ユニット102のみ、又は、モジュール103のみを引き出した場合には本体101が転倒することはないが、ユニット102を引き出し、さらに、モジュール103も引き出すと、本体101が転倒する恐れがある。そのため、安全上、モジュール103にキャスタ106を付けて、転倒防止を行っている。
特開2002−104667号公報
特開平11−110614号公報
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の構成を示す図である。
図において、11は装置本体であり、12は該装置本体11に引出し可能に取り付けられたユニットとしての第1ユニットであり、13は該第1ユニット12に引出し可能に取り付けられたユニットとしての第2ユニットである。
本実施の形態において、前記装置本体11は、例えば、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関の支店等に配設されたATM、CD等の現金自動取引装置、現金の出納処理を行う現金処理機、両替機等の金融自動化機器の本体であるが、鉄道の駅、バスの停留所、遊園地、ゲームセンタ等の遊技場、映画館等の劇場、博物館、駐車場、レストラン等の食堂、ゴルフ場等のスポーツ施設等に配設された自動券売機の本体であってもよく、その他のいかなる種類の装置、いかなる場所に配設される装置、いかなる目的に使用される装置の本体であってもよい。ここでは、説明の都合上、前記装置本体11が、金融自動化機器の一種である現金自動取引装置の本体である場合について説明する。
この場合、現金自動取引装置は、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関の支店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット等の商店等に配設されたATM、CD、両替機、キオスク(KIOSK)端末等である。そして、前記金融機関の顧客は、現金自動取引装置を自分で操作して入金、出金、通帳記帳、残高照会、振込、振替等の金融取引を行う。そして、現金自動取引装置は、硬貨入出金装置、紙幣入出金装置、取引明細票発行装置、カード取扱装置等の各種の装置を備えているが、該各種の装置は、それぞれ独立のユニットとして構成され、装置本体11に対して引出し可能に取り付けられている。
そして、ユニットの数はいくつであってもよいが、ここでは、説明の都合上、第1ユニット12及び第2ユニット13のみが装置本体11に引出し可能に取り付けられているものとする。また、前記第1ユニット12は、例えば、紙幣入出金装置のユニットであり、第2ユニット13は、紙幣入出金装置のユニットに引出し可能に取り付けられている紙幣収納庫等のユニットであるものとする。なお、第2ユニット13は、第1ユニット12に引出し可能に取り付けられているのであるから、装置本体11に対しても引出し可能となっている。
本実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構は、図に示されるように、ロック機構として、第1ユニット12をロックして装置本体11から引出し不能とする第1ロック機構、及び、第2ユニット13をロックして第1ユニット12から引出し不能とする第2ロック機構を有する。そして、前記第1ロック機構及び第2ロック機構は、両方が同時に解除可能とならず、いずれか一方のみが選択されて解除可能となる。これにより、第1ユニット12及び第2ユニット13の両方が同時に装置本体11から引き出されることが防止され、第1ユニット12又は第2ユニット13のいずれか一方のみが選択的に装置本体11から引き出されることとなる。
なお、本実施の形態において、第1ロック機構は、ロック部材である第1ユニットロックリンクとしてのユニットロックリンク17、ロックポスト18、及び、第1ユニットロックレバとしてのユニットロックレバ19を備え、第2ロック機構は、ロック部材である第2ユニットロックリンクとしてのモジュールロックリンク20、ロックポスト21、及び、第2ユニットロックレバとしてのモジュールロックレバ22を備える。なお、前記ユニットロックリンク17、ロックポスト18、ユニットロックレバ19、モジュールロックリンク20、ロックポスト21及びモジュールロックレバ22の構成については、各々、前記「背景技術」において説明したものと同様であるので、前記「背景技術」におけるユニットロックリンク107、ロックポスト108、ユニットロックレバ109、モジュールロックリンク110、ロックポスト111及びモジュールロックレバ112の構成に関する記載を援用する。
そして、第1ユニット12には、かんぬきレバ23が上下方向に摺(しゅう)動可能に取り付けられている。該かんぬきレバ23は、上下方向に延在する細長い角穴を備え、該角穴が第1ユニット12に固定されている図示されないスタッドに移動可能に係合する。また、前記かんぬきレバ23は、上端近傍に固定された上部シャフト24a及び下端近傍に固定された下部シャフト24bを備える。
ここで、前記かんぬきレバ23が上方に位置するときに、ユニットロックレバ19が図に示される状態から時計回り方向に回転すると、上部シャフト24aがユニットロックレバ19に当接して該ユニットロックレバ19の回転を不能とする。また、前記かんぬきレバ23が下方に位置するときに、モジュールロックレバ22が図示される状態から時計回り方向に回転すると、下部シャフト24bがモジュールロックレバ22に当接して該モジュールロックレバ22の回転を不能とする。
さらに、前記かんぬきレバ23の中央に形成された角穴には、選択部材としてのセレクトレバ25に固定されたシャフト26が挿入されて係合している。なお、前記セレクトレバ25は、第1ユニット12に対して回転可能に取り付けられ、図における右端近傍の支軸を中心に揺動する。そして、図における左端、すなわち、自由端が上下動するようにセレクトレバ25を揺動させると、該セレクトレバ25の中央近傍に固定されたシャフト26が上下動することによって、かんぬきレバ23が上下動させられる。なお、セレクトレバ25の揺動可能範囲は、かんぬきレバ23の上下動可能な範囲に対応する。
そして、前記シャフト26には、引張りスプリング27の一端に形成されたフックが掛けられている。なお、前記引張りスプリング27の他端に形成されたフックは、第1ユニット12に固定されたスタッド28に掛けられている。そのため、前記引張りスプリング27の張力によって、シャフト26がスタッド28とセレクトレバ25の支軸とを通る直線よりも上方に位置するとき、セレクトレバ25は上方に付勢され、その揺動可能範囲における上側の位置で停止させられ、また、シャフト26がスタッド28とセレクトレバ25の支軸とを通る直線よりも下方に位置するとき、セレクトレバ25は下方に付勢され、その揺動可能範囲における下側の位置で停止させられる。
また、かんぬきレバ23は、L字型の断面形状を備え、側面(図面に対して垂直な面)における上端近傍及び下端近傍に図示されない角穴がそれぞれ形成されている。そして、上端近傍の角穴には、かんぬきレバ23が上方に位置するときに、第2ユニットセキュリティリンクとしてのモジュールセキュリティリンク29に固定されているポスト30が挿入される。また、下上端近傍の角穴には、かんぬきレバ23が下方に位置するときに、第1ユニットセキュリティリンクとしてのユニットセキュリティリンク31に固定されているポスト32が挿入される。
そして、前記モジュールセキュリティリンク29は、横方向に摺動可能に第1ユニット12に取り付けられている。前記モジュールセキュリティリンク29は、左右方向に延在する細長い角穴を備え、該角穴が第1ユニット12に固定されているスタッドに移動可能に係合する。また、前記モジュールセキュリティリンク29は、図示されないスプリングによって図における左方に付勢されている。さらに、前記モジュールセキュリティリンク29の左端にはポスト30が固定されている。そして、図に示されるように、第2ユニット13が第1ユニット12にセットされている場合、すなわち、第2ユニット13が第1ユニット12から引き出されていない場合、第2ユニット13に固定されているポスト33が、モジュールセキュリティリンク29の左端面を押して、ポスト30がかんぬきレバ23の上端近傍の角穴に差し込まれない位置まで、前記モジュールセキュリティリンク29を右方に移動させる。
同様に、前記ユニットセキュリティリンク31も、横方向に摺動可能に第1ユニット12に取り付けられている。前記ユニットセキュリティリンク31は、左右方向に延在する細長い角穴を備え、該角穴が第1ユニット12に固定されているスタッドに移動可能に係合する。また、前記ユニットセキュリティリンク31は、図示されないスプリングによって図における左方に付勢されている。さらに、前記ユニットセキュリティリンク31の左端にはポスト32が固定されている。なお、前記ユニットセキュリティリンク31の右端近傍には、他の角穴が形成され、該角穴には、押し付けレバ34の下端近傍に固定されたスタッドが挿入されて係合している。これにより、押し付けレバ34が回転してスタッドが移動すると、それに連動して、ユニットセキュリティリンク31も横方向に移動する。
前記押し付けレバ34は、第1ユニット12に固定されているスタッドに回転可能に係合し、該スタッドを中心に回転する。また、前記押し付けレバ34は、その下端近傍が、前記スタッドを介してユニットセキュリティリンク31に係合され、さらに、該ユニットセキュリティリンク31がスプリングによって左方に付勢されているので、時計回り方向に回転するように付勢される。そのため、前記押し付けレバ34は、ユニットセキュリティリンク31の摺動可能範囲の限界まで回転して停止する。そして、第1ユニット12が装置本体11にセットされている場合、すなわち、第1ユニット12が装置本体11から引き出されていない場合、装置本体11に固定されているポスト35が押し付けレバ34の上端近傍の右側側面を左方へ押して、ポスト32がかんぬきレバ23の下端近傍の角穴に差し込まれない位置まで、ユニットセキュリティリンク31を右方に移動させる。
次に、前記構成のユニット同時引出し防止機構の動作について説明する。まず、装置本体11に第1ユニット12をセットし、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態から、第1ユニット12を引き出す動作に合わせて説明を行う。
図5は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第1の図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第2の図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第3の図である。
まず、オペレータがセレクトレバ25を作動させ、第1ユニット12をロックして装置本体11から引出し不能とする第1ロック機構を選択して解除可能とする。この場合、装置本体11に第1ユニット12をセットし、かつ、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態になっているので、セレクトレバ25は、その自由端が上下動するように揺動可能となっている。そして、図5に示されるように、セレクトレバ25の自由端を下方に移動させる。これにより、かんぬきレバ23が下方に移動し、第1ロック機構を解除可能とすること、すなわち、ユニットロック解除可能が選択される。
次に、ユニットロック解除が行われる。この場合、図6に示されるように、ユニットロックレバ19がオペレータによって反時計回り方向に回転させられると、ユニットロックリンク17は、ユニットロックレバ19からの力を受け、時計回り方向に回転させられる。これにより、ユニットロックリンク17の凹部とロックポスト18との係合が解除されるので、第1ロック機構が解除され、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことができる。
続いて、第1ユニット12の引出しが行われる。この場合、図7に示されるように、オペレータによって第1ユニット12が装置本体11から引き出される。その際、第2ユニット13は、第1ユニット12にセットされているので、該第1ユニット12が装置本体11から引き出されると、第1ユニット12とともに装置本体11から引き出される。
そして、第1ユニット12が装置本体11から引き出されることによって、装置本体11に固定されているポスト35が押し付けレバ34から離れるので、該押し付けレバ34は、ユニットセキュリティリンク31を付勢するスプリングの付勢力によって、時計回り方向に回転をする。また、ユニットセキュリティリンク31は、前記スプリングの付勢力によって左方に移動し、ポスト32がかんぬきレバ23の側面に形成された角穴に挿入される。このように、ポスト32が前記角穴に挿入されるので、かんぬきレバ23は、第1ユニット12の引出しが行われる際に、上方に移動不能となる。すなわち、かんぬきレバ23は、第2ロック機構を解除可能とする方向、すなわち、モジュールロック解除可能とする方向に移動不能となる。
これにより、第1ユニット12の引出しが行われるときには、第2ロック機構の解除が不能となり、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことができなくなる。すなわち、第1ユニット12及び第2ユニット13の同時引出しが防止される。
次に、装置本体11に第1ユニット12をセットし、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態から、第2ユニット13を引き出す動作に合わせて説明を行う。
図8は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第4の図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第5の図、図10は本発明の第1の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第6の図である。
まず、オペレータがセレクトレバ25を作動させ、第2ユニット13をロックして装置本体11から引出し不能とする第2ロック機構を選択して解除可能とする。この場合、装置本体11に第1ユニット12をセットし、かつ、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態になっているので、セレクトレバ25は、その自由端が上下動するように揺動可能となっている。そして、図8に示されるように、セレクトレバ25の自由端を上方に移動させる。これにより、かんぬきレバ23が上方に移動し、第2ロック機構を解除可能とすること、すなわち、モジュールロック解除可能が選択される。
次に、モジュールロック解除が行われる。この場合、図9に示されるように、モジュールロックレバ22がオペレータによって反時計回り方向に回転させられると、モジュールロックリンク20は、モジュールロックレバ22からの力を受け、時計回り方向に回転させられる。これにより、モジュールロックリンク20の凹部とロックポスト21との係合が解除されるので、第2ロック機構が解除され、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことができる。
続いて、第2ユニット13の引出しが行われる。この場合、図10に示されるように、オペレータによって第2ユニット13が第1ユニット12から引き出される。その際、該第1ユニット12が装置本体11にセットされているので、第2ユニット13は装置本体11からも引き出される。
そして、第2ユニット13が第1ユニット12から引き出されることによって、第2ユニット13に固定されているポスト33がモジュールセキュリティリンク29の左端面から離れるので、該モジュールセキュリティリンク29は、スプリングの付勢力によって、左方に移動をする。すると、ポスト30がかんぬきレバ23の側面に形成された角穴に挿入される。このように、ポスト30が前記角穴に挿入されるので、かんぬきレバ23は、第2ユニット13の引出しが行われる際に、下方に移動不能となる。すなわち、かんぬきレバ23は、第1ロック機構を解除可能とする方向、すなわち、ユニットロック解除可能とする方向に移動不能となる。
これにより、第2ユニット13の引出しが行われるときには、第1ロック機構の解除が不能となり、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことができなくなる。すなわち、第1ユニット12及び第2ユニット13の同時引出しが防止される。
このように、本実施の形態においては、第1ユニット12の引出しが行われるときには、かんぬきレバ23がモジュールロック解除可能とする方向に移動不能となるので、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことが不可能となり、一方、第2ユニット13の引出しが行われるときには、かんぬきレバ23がユニットロック解除可能とする方向に移動不能となるので、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことが不可能となる。
そのため、第1ユニット12と第2ユニット13とを同時に引き出すことが確実に防止され、キャスタを付けなくても、装置本体11の転倒を確実に防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図11は本発明の第2の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の構成を示す図である。
本実施の形態において、第1ユニット12をロックして装置本体11から引出し不能とする第1ロック機構は、第1ユニット12の側面に固定された支軸に回転可能に取り付けられた断面がコ字状の第1ユニットロックリンクとしてのユニットロックリンク47、及び、装置本体11に固定され、前記ユニットロックリンク47の凹部と係合するロックポスト18を有する。ロック部材である前記ユニットロックリンク47は、図示されないスプリングによって時計回り方向に回転するように付勢され、図示されないストッパに当接して、凹部がロックポスト18と係合する位置で停止する。
同様に、第2ユニット13をロックして第1ユニット12から引出し不能とする第2ロック機構は、第1ユニット12の側面に固定された支軸に回転可能に取り付けられた断面がコ字状の第2ユニットロックリンクとしてのモジュールロックリンク50、及び、第2ユニット13に固定され、前記モジュールロックリンク50の凹部と係合するロックポスト21を有する。ロック部材である前記モジュールロックリンク50は、図示されないスプリングによって時計回り方向に回転するように付勢され、図示されないストッパに当接して、凹部がロックポスト21と係合する位置で停止する。
また、第1ユニット12には、本実施の形態におけるかんぬきレバ53が上下方向に摺動可能に取り付けられている。該かんぬきレバ53は、上端近傍に固定された上部シャフト54a及び下端近傍に固定された下部シャフト54bを備える。そして、前記かんぬきレバ53が下方に移動するときに、上部シャフト54aは、ユニットロックリンク47に当接して該ユニットロックリンク47を反時計回り方向に回転させる。これにより、ユニットロックリンク47の凹部とロックポスト18との係合が解除される。また、前記かんぬきレバ53が上方に移動するときに、下部シャフト54bは、モジュールロックリンク50に当接して該モジュールロックリンク50を反時計回り方向に回転させる。これにより、モジュールロックリンク50の凹部とロックポスト21との係合が解除される。
さらに、前記かんぬきレバ53の中央に形成された角穴には、セレクトレバ25に固定されたシャフト26が挿入されて係合している。そして、図における左端、すなわち、自由端が上下動するようにセレクトレバ25を揺動させると、該セレクトレバ25の中央近傍に固定されたシャフト26が上下動することによって、かんぬきレバ53が上下動させられる。なお、セレクトレバ25の揺動可能範囲は、かんぬきレバ53の上下動可能な範囲に対応する。
また、かんぬきレバ53は、L字型の断面形状を備え、側面(図面に対して垂直な面)における上半部及び下半部に図示されない角穴がそれぞれ形成されている。そして、上半部の角穴には、かんぬきレバ53が上方に位置するときに、モジュールセキュリティリンク29に固定されているポスト30が挿入される。また、下半部の角穴には、かんぬきレバ23が下方に位置するときに、ユニットセキュリティリンク31に固定されているポスト32が挿入される。
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、本実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作について説明する。まず、装置本体11に第1ユニット12をセットし、該第1ユニット12に第2ユニット13にセットした状態から、第1ユニット12を引き出す動作に合わせて説明を行う。
図12は本発明の第2の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第1の図、図13は本発明の第2の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第2の図である。
まず、オペレータがセレクトレバ25を作動させ、第1ユニット12をロックして装置本体11から引出し不能とする第1ロック機構を選択して解除可能とする。この場合、装置本体11に第1ユニット12をセットし、かつ、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態になっているので、セレクトレバ25は、その自由端が上下動するように揺動可能となっている。そして、図12に示されるように、セレクトレバ25の自由端を下方に移動させる。これにより、かんぬきレバ53が下方に移動し、第1ロック機構を解除可能とすること、すなわち、ユニットロック解除可能が選択される。
また、セレクトレバ25の自由端を下方に移動させてかんぬきレバ53を下方に移動させると、該かんぬきレバ53の上部シャフト54aは、ユニットロックリンク47に当接して該ユニットロックリンク47を反時計回り方向に回転させる。これにより、ユニットロックリンク47の凹部とロックポスト18との係合が解除されるので、第1ロック機構が解除され、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことができる。
次に、第1ユニット12の引出しが行われる。この場合、図13に示されるように、オペレータによって第1ユニット12が装置本体11から引き出される。その際、第2ユニット13は、第1ユニット12にセットされているので、該第1ユニット12が装置本体11から引き出されると、第1ユニット12とともに装置本体11から引き出される。
そして、第1ユニット12が装置本体11から引き出されることによって、装置本体11に固定されているポスト35が押し付けレバ34から離れるので、該押し付けレバ34は、ユニットセキュリティリンク31を付勢するスプリングの付勢力によって、時計回り方向に回転する。また、ユニットセキュリティリンク31は、前記スプリングの付勢力によって左方に移動し、ポスト32がかんぬきレバ53の側面に形成された角穴に挿入される。このように、ポスト32が前記角穴に挿入されるので、かんぬきレバ53は、第1ユニット12の引出しが行われる際に、上方に移動不能となる。すなわち、かんぬきレバ53は、第2ロック機構を解除可能とする方向、すなわち、モジュールロック解除可能とする方向に移動不能となる。
これにより、第1ユニット12の引出しが行われるときには、第2ロック機構の解除が不能となり、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことができなくなる。すなわち、第1ユニット12及び第2ユニット13の同時引出しが防止される。
次に、装置本体11に第1ユニット12をセットし、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態から、第2ユニット13を引き出す動作に合わせて説明を行う。
図14は本発明の第2の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第3の図、図15は本発明の第2の実施の形態におけるユニット同時引出し防止機構の動作を示す第4の図である。
まず、オペレータがセレクトレバ25を作動させ、第2ユニット13をロックして装置本体11から引出し不能とする第2ロック機構を選択して解除可能とする。この場合、装置本体11に第1ユニット12をセットし、かつ、該第1ユニット12に第2ユニット13をセットした状態になっているので、セレクトレバ25は、その自由端が上下動するように揺動可能となっている。そして、図14に示されるように、セレクトレバ25の自由端を上方に移動させる。これにより、かんぬきレバ53が上方に移動し、第2ロック機構を解除可能とすること、すなわち、モジュールロック解除可能が選択される。
また、セレクトレバ25の自由端を上方に移動させてかんぬきレバ53を上方に移動させると、該かんぬきレバ53の下部シャフト54bは、モジュールロックリンク50に当接して該モジュールロックリンク50を反時計回り方向に回転させる。これにより、モジュールロックリンク50の凹部とロックポスト21との係合が解除されるので、第2ロック機構が解除され、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことができる。
続いて、第2ユニット13の引出しが行われる。この場合、図15に示されるように、オペレータによって第2ユニット13が第1ユニット12から引き出される。その際、該第1ユニット12が装置本体11にセットされているので、第2ユニット13は装置本体11からも引き出される。
そして、第2ユニット13が第1ユニット12から引き出されることによって、第1ユニット12に固定されているポスト33がモジュールセキュリティリンク29の左端面から離れるので、該モジュールセキュリティリンク29は、スプリングの付勢力によって、左方に移動をする。すると、ポスト30がかんぬきレバ53の側面に形成された角穴に挿入される。このように、ポスト30が前記角穴に挿入されるので、かんぬきレバ53は、第2ユニット13の引出しが行われる際に、下方に移動不能となる。すなわち、かんぬきレバ53は、第1ロック機構を解除可能とする方向、すなわち、ユニットロック解除可能とする方向に移動不能となる。
これにより、第2ユニット13の引出しが行われるときには、第1ロック機構の解除が不能となり、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことができなくなる。すなわち、第1ユニット12及び第2ユニット13の同時引出しが防止される。
このように、本実施の形態においては、第1ユニット12の引出しが行われるときには、かんぬきレバ53がモジュールロック解除可能とする方向に移動不能となるので、第2ユニット13を第1ユニット12から引き出すことが不可能となり、一方、第2ユニット13の引出しが行われるときには、かんぬきレバ53がユニットロック解除可能とする方向に移動不能となるので、第1ユニット12を装置本体11から引き出すことが不可能となる。
そのため、第1ユニット12と第2ユニット13とを同時に引き出すことが確実に防止され、キャスタを付けなくても、装置本体11の転倒を確実に防止することができる。
また、セレクトレバ25を作動させることによって、ユニットロックリンク47又はモジュールロックリンク50が回転し、第1ロック機構又は第2ロック機構が解除される。
そのため、オペレータは、第1ロック機構又は第2ロック機構を解除するための動作を別途行う必要がなく、第1ユニット12又は第2ユニット13を容易に引き出すことができる。
なお、前記第1及び第2の実施の形態においては、装置本体11が金融自動化機器の本体である場合について説明したが、複数のユニットが引出し可能に取り付けられている本体であれば、いかなる装置の本体であってもよい。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。