JP3569477B2 - 回転カップ式薬液塗布装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、液晶パネル、マスク等の基板表面に、遠心力を利用して薄膜を形成したり、薬液を塗布する回転カップ式薬液塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転カップ式薬液塗布装置は、処理基板を装填した回転カップの上部をフードで覆って外部とは遮断した密閉空間を形成し、その環境下で、回転カップ及び処理基板を回転させ、遠心力を利用して基板表面に薬液を塗布するものが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の回転カップ式薬液塗布装置は、処理基板を装填した回転カップの上部をフードで覆い、外部とは遮断した密閉空間の中で薬液塗布を行うので、外部の風の影響を受けないため、四角い基板でも隅々まで均一に塗布することができることや、塗布液の乾燥を抑制できるため、高粘度の薬液を塗布することが容易である等の数々の長所を有している。
【0004】
しかしながら、このような回転カップ式薬液塗布装置であっても、乾燥工程は密閉状態で行うことができないため、薬液の種類によっては、乾燥工程時の気流が塗布膜に影響し、風紋が生じる等により、塗布膜の面内均一性が他の薬液と比べて劣ることがある。そのため、限られた薬液に対してのみ、回転カップによる塗布が有効であった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、回転カップ上面を覆うフードに、ある程度の通気性を持たせて、乾燥条件等を制御してやることによって、気流による風紋を抑制できることが知られている。しかし、塗布時及び乾燥前の薄膜は微妙な空気の流れによって、均一性が損なわれるため、この方法で塗布する場合、塗布時と乾燥時とではフードの通気性を変えてやる必要があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、塗布薬液の性質によって、塗布膜の面内均一性が崩れる現象を解消し、広範囲の薬液を高精度に塗布することができる回転カップ式薬液塗布装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の回転カップ式薬液塗布装置は、内部に薬液の供給される基板装填用の回転カップを備えた回転部材と、この回転部材を高速回転させる駆動機構と、上記回転カップとの結合によって内部に亜密閉空間を作る第1のフードと、上記第1のフードとの結合によって上記回転カップの亜密閉状態を変化させるための第2のフードが設けられている回転カップ式薬液塗布装置において、上記第1のフードと第2のフードとを昇降させるフード昇降機構が備えられ、上記フード昇降機構及び第1のフードと第2のフードには、第1のフードと第2のフードとを同時に上昇させる吊持機構と、第2のフードのみを上昇させる吊持機構とが備えられているものである。
【0008】
上記構成においては、回転カップの状態を、フードなしの状態、第1のフードで覆った状態、及び第1のフードと第2のフードで覆った状態の3種類の状態への切替えを行うことが可能となる。
【0009】
従って、薬液の種類に応じて、フードの状態の組み合わせを変えることにより、塗布処理中の処理基板表面上の空気の流れを制御することができ、従来の回転カップに比べて多くの薬液を高精度に塗布することができるようになる。
【0010】
請求項2記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構の一つは、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、該フードが回転カップの軸に対して周方向のある角度で停止している時、該フード昇降機構が上昇すると上記第1吊持部と係合し第1のフードを上昇させる第1系合部とから成り、前記吊持機構の他の一つは、前記第2のフードに設けられた第2吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、上記周方向の角度をずらした別の位置で該フード昇降機構が上昇すると上記第2吊持部と係合し第2のフードを上昇させる第2係合部とから成り、上記フード昇降機構が下降した状態では、第1吊持部と第1系合部、及び、第2吊持部と第2係合部のいずれの係合も解除されるように構成されているものである。
【0011】
上記構成においては、フードの組み合わせを、回転カップの周方向の停止位置とフード昇降機構の昇降タイミングとによって選択できる。そのため、きわめて簡単な構造でフードの状態切替えを行うことができる。
【0012】
請求項3記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項2に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記フード昇降機構は、前記第1吊持部と1係合部、及び、前記第2吊持部と第2係合部のどちらも係合せず昇降可能な位置が存在するものである。
【0013】
上記構成においては、フードを外して洗浄等を行うとき、第1吊持部と第1係合部、及び、第2吊持部と第2係合部のどちらも係合せず、昇降可能な位置でフード昇降機構を上昇させれば、第1のフードも第2のフードも回転カップ上に置かれた状態でフード昇降機構のみを上昇させることができる。このため、洗浄等の際にはフードを簡単に取り外すことができる。また、取り付ける際にも回転カップ上に第1のフードと第2のフードとをセットして、フード昇降機構を下降させれば簡単にフードをセットすることができる。
【0014】
請求項4記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項2又は請求項3に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記第1吊持部は、前記第1のフードの外周部分に周方向の角度を等分した複数位置に設けられ、前記第1係合部は、上記第1吊持部に対応するように前記フード昇降機構に複数設けられ、前記第2吊持部は、前記第2のフードの上面中央部に上面視矩形に突設され、前記第2係合部は、上記フード昇降機構に設けられ、上記第2のフードが上昇された状態でその周方向位置決めが成されるような形状の穴を有し、この穴は、前記第2吊持部の外縁よりも大きい寸法に形成され、ある周方向角度で該吊持部が挿通し得る穴と、上記第2吊持部の外縁よりも小さい寸法に形成され、上記とは周方向に角度をずらせた位置で該吊持部の外縁が載置される穴とから成るものである。
【0015】
上記構成においては、第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とが係合する位置は、回転カップの回転軸に対して周方向の角度が所定角度(例えば、3個所の場合、120°)回転するごとに存在する。また、第2のフードに設けられた第2吊持部とフード昇降機構に設けられた第2係合部(穴)とが係合する位置も、所定角度(例えば、第2吊持部が正方形の場合、90°)ごとに存在する。そして、第2係合部の穴より周方向に所定角度(上記の場合、45°)だけ角度をずらして、前記吊持部材の外縁よりも大きい寸法に形成された穴が存在する。
【0016】
このことから、回転カップの回転軸に対して周方向の角度が第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とが係合する位置を基準とし、これと同じ位置に、第2のフードに設けられた第2吊持部とフード昇降機構に設けられた第2係合部とが係合する位置を配置し、この位置を第1のフードを上昇させる位置とする。この位置から周方向に90°回転させた位置では、第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とは係合せず、第2のフードに設けられた第2吊持部と、フード昇降機構に設けられた第2係合部とのみが係合する。従って、この位置を第2のフードのみを上昇させる位置とすることができる。そして、第1のフードを上昇させる位置から45°回転させた位置が、上記第1吊持部と第1係合部、及び第2吊持部と第2係合部のどちらも係合しない位置とすることができ、フードを切り替える際の周方向の位置を極めてきりの良い数値にすることができる。
【0017】
請求項5記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードに設けられた第2吊持部とから成り、前記フード昇降機構には、開閉動作により前記第1吊持部又は第2吊持部との係合を選択できる係合部が、第1吊持部及び第2吊持部に各々対応して設けられているものである。
【0018】
上記構成においては、昇降させるフードの選択を係合部の開閉によって行うため、回転カップの周方向の角度に関係なく第1のフードと第2のフードの昇降を選択することが可能である。
【0019】
請求項6記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードの表面に設けられた第2吊持部とから成り、前記フード昇降機構には、上記第1吊持部を把持する把持機構と、上記第2吊持部を把持する把持機構とが設けられているものである。
【0020】
上記構成においては、フードの昇降時には吊持機構が吊持部を把持しているため、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態に係る回転カップ式薬液塗布装置について図面を参照して説明する。図1は回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図、図2は回転カップ及び蓋体の部分断面斜視図である。薬液塗布装置1は、円筒状の大径軸部(回転部材)24及びこの大径軸部24の頂部に設けられた円盤状の回転カップ20を有する回転部材2と、回転カップ20との結合によって内部に亜密閉空間を作る第1のフード3と、第1のフード3との結合によって上記亜密閉状態を変化させるための第2のフード300と、回転部材2が装着されるケーシング4と、第1のフード3及び第2のフード300の着脱を行うフード昇降機構5と、回転カップ20を回転させるカップ回転機構(駆動機構)6と、回転カップ20の中径軸部21を昇降させる昇降機構7とから構成されている。
【0022】
回転カップ20は、中径軸部21と、環状皿部22とから構成されている。環状皿部22の上面は、中径軸部21の上面と面一、或いはわずかに低い面一状になるように寸法設定されており、この面一の面に塗膜形成を施す基盤Bが中径軸部21の中心軸に一致して載置されるようになっている。上記環状皿部22の外周縁部には、上方に突出した環状堰部22aが設けられており、この環状堰部22aによって第1のフード3を受けるようになっている。第1のフード3は、多孔質の焼結合金で形成されたディスクフィルター32とこれを保持する環状支持部31から構成され、第1のフード3が環状堰部22aに装着された状態となると、第1のフード3及び環状堰部22aで囲まれた部分に基盤載置空間(亜密閉空間)Sが形成される。
【0023】
また、第1のフード3の環状支持部31の上面には、第2のフード300を受けるべく環状の接合部36が形成されていて、第2のフード300が第1のフード3の上面に装着された状態になると、基盤載置空間Sは密閉空間になるよう構成されている。
【0024】
環状堰部22aの下部には、基盤載置空間Sから外方に向かって斜め下方に傾斜した小径の排出穴201が所定間隔で複数個穿設されており、この排出穴201を介して基盤載置空間S内の余分な塗布剤が外部に排出される。また、環状堰部22a外縁上面には位置決め片22bが等間隔に複数個突設されている。中径軸部21の下部には、同心の回転軸23が共回り可能に結合されている。中径軸部21及び回転軸23の軸心部分にはそれらを貫通した吸気通路23aが形成されており、回転軸23の下端部に接続されたチューブ23bを介して、図示しない真空ポンプによって基盤Bが中径軸部21に吸引される。回転カップ20は、中径軸部21の小径部が筒状の大径軸部24の筒穴に嵌め込まれた状態で大径軸部24に固定されている。大径軸部24の上部にはフランジ部が形成され、このフランジ部には、回転カップ20の環状皿部22が固定されている。
【0025】
大径軸部24の下部は、支持架台Pに穿設された装着穴P1に嵌め込まれ、フランジ25aを有する支持筒体25にベアリング26を介して嵌装されている。従って、回転カップ20は、支持架台Pに対して回転軸23の軸心回りに回転可能になっている。大径軸部24は、その下部で従動プーリ63に固定されている。従動プーリ63は、後述するようにカップ回転機構6によって駆動される。
【0026】
また、ケーシング4は環状体を有し、大径軸部24が嵌め込まれた状態でフランジ25aに支持固定され、その上部は回転カップ20を囲繞している。ケーシング4の内部には、環状の回収通路401が形成されており、この回収通路401の上部に環状の排出用帯穴41が設けられ、この排出用帯穴41の開口は、環状堰部22aに穿設された排出穴201に対向した位置に設けられている。従って、回転カップ20の基盤載置空間Sから排出された不要物はこの排出用帯穴41を介して回収通路401内に導入される。回収通路401の周方向一部には下方に向かって垂直穴42が設けられ、回収通路401に溜った不要物はこの垂直穴42から外部に排出される。なお、この垂直穴42には図示しないが排気手段が設けられ、回転カップ20内部の排気流量を制御するよう構成されている。
【0027】
第1のフード3の環状支持部31の上方外周には、後述するフード昇降機構5による着脱動作を可能にすべく、第1吊持部33が周方向120°おきに3個所設けられている。なお、上記第1吊持部33は、第1係合部51bと係合した際に、周方向と軸方向の位置決めがなされるように、先端下面が外方に向かうに従って薄肉となる形状のテーパ面33aに形成されている。また、環状支持部31の外周側面には、前記環状堰部22a外縁上面に突設された位置決め片22bと係合し回転カップ20と回転一体となるように係止溝35が形成され、内縁上面には、第2のフード300に設けられた位置決め片304と係合し回転カップ20と回転一体となるように係止溝34が設けられている。
【0028】
第2のフード300は、フード本体301と、フード本体301の中心部が上方に突出した円柱状の第2吊持部302とで構成されている。吊持部302の頂部には、後述するフード昇降機構5による着脱動作を可能にすべく、胴部302a、及び胴部302aよりも径の大きい上面視正方形状の鍔部(フランジ)302bが形成されている。さらに、鍔部302b下部には、下方に向かうに従って細くなる形状のテーパ面302cが形成されている。
【0029】
フード昇降機構5は、第1のフード3を回転カップ20に対して着脱するためと、第2のフード300を第1のフード3に対して脱着するために設けられている。フード昇降機構5は、ケーシング4に囲繞された第1のフード3及び第2のフード300を閉止する蓋体51、水平腕が蓋体51に固定されたL字アーム52、及びL字アーム52を上下動させるシリンダ機構(昇降機構)53で構成されている。シリンダ機構53は、長いストロークを有する長ストロークシリンダ531と、短いストロークを有する低速用の短ストロークシリンダ532とからなる。長ストロークシリンダ531及び短ストロークシリンダ532は直列で縦置きとされ、短ストロークシリンダ532の頂部に出没可能に突設されたシリンダロッド532aの上端部が長ストロークシリンダ531の底部に接続され、さらに、長ストロークシリンダ531の頂部がL字アーム52の垂直腕に固定されている。
【0030】
一方、蓋体51の中央部には伏せ椀部51aが設けられている。この伏せ椀部51aは、L字アーム52の先端下部に固定されており、内部に内部空間58を有している。伏せ椀部51a下方の蓋体51の外縁下部には、第1吊持部33と係合する第1係合部51bが突設されている。後述するカップ回転機構6によって周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置で停止され、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたときに、第1のフード3は蓋体51と一体的に移動する。即ち、短ストロークシリ−ンダ532及び長ストロークシリンダ531により蓋体51を上方に引き上げると、第1のフード3も上方に引き上げられる。このとき、第2のフード300は第1のフード3の上に乗った状態にあるので、第1のフード3と同時に引き上げられる。
【0031】
また、蓋体51の中央部には正方形の穴55が貫設されており、この穴55は、第2吊持部302の鍔部302bの外径よりも大きく寸法設定されている。また、この穴55の内縁であって伏せ椀部51a内には、第2吊持部302の鍔部302bの形状に応じてテーパ面302cと係止することで、フード昇降機構5と第2のフード300との係合を調整する第2係合部51cを成す窪み状の穴が設けられている。テーパ面302cは、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたときに、第2係合部51cと係合するように設定され、後述するカップ回転機構6によって周方向の位置が第2吊持部302と第2係合部51cが係合する位置で停止され、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたとき、第2のフード300は蓋体51と一体的に移動する。即ち、短ストロークシリ−ンダ532及び長ストロークシリンダ531により蓋体51を上方に引き上げると、第2のフード300も上方に引き上げられる。
【0032】
このように、短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531による二段構えで蓋体51を昇降させるようにしているのは、まず、短ストロークシリンダ532によって低速で第1のフード3又は第2のフード300を上昇させることにより、基盤載置空間Sの急激な圧力変化を抑止して、基盤載置空間Sへの塵の侵入を抑制するとともに、基盤載置空間S内の圧力が大気圧と等しくなった時点で長ストロークシリンダ531を高速作動させることにより、迅速にフードを上昇させることによって、フードの引き上げに要する時間の短縮を図るためである。逆に、フードを閉止するときは、まず、長ストロークシリンダ531を高速作動させてある程度の位置までフードを下降させ、その後、短ストロークシリンダ532の低速作動によって、基盤載置空間Sがフードによって低速で閉止される。なお、シリンダ機構53の代りにボールネジとモーター等を使用してフード昇降機構5を昇降させるようにしても構わない。
【0033】
また、上記回転カップ20を回転軸23の軸心回りに回転させるために、支持架台Pの下部にはカップ回転機構6が設けられている。このカップ回転機構6は、駆動モータ61と、この駆動モータ61の駆動軸に共回りするように設けられた駆動プーリ62と、駆動プーリ62及び従動プーリ63の両プーリ間に張設されたベルト64とから構成されている。
【0034】
回転軸23の外周面にはスプラインが形成されており、このスプラインに噛合するボールスプライン63aが大径軸部24の筒穴の下部に嵌入固定されている。従動プーリ63は、大径軸部24及びボールスプライン63aと共回りするように固定されているので、駆動モータ61の回転力は駆動プーリ62、ベルト64、及び従動プーリ63を介してボールスプライン63a及び大径軸部24に伝達される。さらに、駆動モータ61の回転力は、ボールスプライン63aを介して回転軸23にも伝達され、中径軸部21及び環状皿部22でなる回転カップ20が回転する。また、カップ回転機構6は回転カップ20の周方向の停止位置を第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置、第2吊持部302と第2係合部51cとが係合する位置、どちらも係合しない位置を選択して停止できるよう構成されている。
【0035】
また、回転軸23の下部には昇降機構7が設けられている。この昇降機構7は、回転軸23の下端部近傍に縦置き状態で設けられた第二シリンダ71と、この第二シリンダ71のシリンダロッド72の上端部に結合された昇降ブロック73と、この昇降ブロック73の上下動をガイドするための上下方向に延びたガイドレール74とから構成されている。昇降ブロック73は、ベアリング73aを介して回転軸23の下部に結合されており、第二シリンダ71を作動させてシリンダロッド72を上下動させることにより回転軸23を上下動させる。回転軸23が第二シリンダ71の作動によって上昇させられると、その頂部に設けられた回転カップ20の中径軸部21と大径軸部24との結合状態が解除され、中径軸部21のみが環状皿部22に対して上方に移動し、基盤Bの載置や取り上げ動作が容易に行い得るようになる。
【0036】
以上の構成でなる薬液塗布装置1によって、基盤Bの表面に塗膜を形成する方法について説明する。まず、回転機構6によって周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bが係合する位置で停止し、シリンダ機構53を稼働させて短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531を作動させる。これにより、L字アーム52及び伏せ椀部51aを介して蓋体51が上昇する。そうすると、伏せ椀部51a下方の蓋体51の外縁下部に突設された第1係合部51bが第1吊持部33と係合し、第1のフード3は蓋体51と一体的に移動する。このとき、第2のフード300は第1のフード3の上に乗った状態で第1のフード3と同時に引き上げられ、回転カップ20の基盤載置空間Sが外部に露出した状態になる(図1の2点鎖線及び図3参照)。
【0037】
この状態において、さらに第二シリンダ71を作動させて昇降ブロック73を上昇させれば、この上昇によって回転軸23を介して中径軸部21が上昇し、その上面部が基盤載置空間Sから外部に突出した状態になる。この状態で中径軸部21の上面に、図示しないロボットアーム等又はマニュアル操作で基盤Bを正確に載置し、吸気通路23aから真空吸着を行う。その後、第二シリンダ71を上記と逆に作動させて中径軸部21を下降させ、再度環状皿部22と面一状態にし、基盤Bの表面に所定量の塗布剤を滴下する。そして、シリンダ機構53を駆動して短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531をこの順序で上記と逆向きに作動させ、蓋体51を介して第1フード3を下降させると、基盤載置空間Sが閉止される。
【0038】
そして、カップ回転機構6の駆動モータ61を駆動させれば、その回転駆動はベルト64等によって大径軸部24及びボールスプライン63aに伝達され、回転カップ20は所定の速度で回転する。この回転カップ20の回転による遠心力により、基盤B上に滴下された塗布剤は径方向に薄く拡散し、基盤Bの表面に塗膜が形成される。基盤B上から振り切られた余分な塗布剤は、回転カップ20の環状堰部22aに穿設された排出穴201から排出され、ケーシング4の排出用帯穴41を介して回収通路401内に導入され、垂直穴42から外部に導出される。
【0039】
そして、所定時間経過後、カップ回転機構6によって回転カップ20を、その周方向位置が第2吊持部302と第2係合部51cとが係合する位置で停止させ、フード昇降機構5により第2のフード300のみを持ち上げ、回転カップ20上には第1のフード3のみが載置された状態にする。この状態で所定の時間、基板表面を乾燥させ、乾燥終了後、フード昇降機構5が下降し、 カップ回転機構6により回転カップ20を、その周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置に移動させ、フード昇降機構5により、第1のフード3を上昇させ、回転カップ20上の塗膜が形成された基盤Bが露出した状態にする。この状態で、昇降機構7により回転カップ20の中径軸部21を上昇させると、回転カップ20の上に載置された基盤Bは基盤載置空間Sから外部に押し出される。基盤Bは、ロボットアーム等によって回転カップ20から取り出され、次の工程に移送される。
【0040】
次に、各吊持部及び係合部の係合状態について図面を参照して説明する。図3は、カップ回転機構6が第1吊持部33と第1係合部51bとの係合位置で停止し、フード昇降機構5により、第1のフード3を上昇させた状態を示す。この状態では回転カップ20の基盤載置空間Sが外部に露出した状態になっており、基板Bを装着したり薬液を滴下するときの状態である。ここで、カップ回転機構6の停止位置と各吊持部及び係合部の位置関係を説明するために、上記第1吊持部33と第1係合部51bが係合する位置でのカップ回転機構6の停止位置を基準の0°とする。
【0041】
次に、図4は上記カップ回転機構6の停止位置が基準の0°の時、フード昇降機構5が下降し、回転カップ20の基盤載置空間Sが第1のフード3及び第2のフード300により閉止された状態を示す。この状態で回転カップ20を所定の速度で回転させることによって遠心力により、基盤B上に滴下された塗布剤を径方向に薄く拡散し、基盤Bの表面に塗膜を形成する。
【0042】
次に、図5に示すように、カップ回転機構6によって周方向の位置が第2吊持部302と第2係合部51cとが係合し、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合しない位置、すなわち、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する基準位置から周方向に90°回転させた状態とする。なお、回転させる方向はどちらの方向でも構わない。さらに、この状態から、フード昇降機構5が上昇すると、第2吊持部302と第2係合部51cとが係合し、第2のフード300のみが開放され、第1のフード3のみで回転カップ20を覆った図6に示す状態になる。
【0043】
ここで、第1のフード3上面は多孔質の焼結合金で形成されたディスクフィルター32で構成されているため、少量の空気が回転カップ20内に流入し、基板B表面には微少な気流が発生する。この気流により基板B表面を乾燥させる。このように微少な気流で基板B表面を乾燥させることにより、回転カップ20を開放状態で乾燥させた場合に比べ気流よる塗布膜のむらが生じにくくなり、より均一な塗布膜を得ることができる。
【0044】
乾燥工程終了後、再びカップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第2吊持部302と第2係合部51cとは係合しているが、第1吊持部33と第1係合部51bとは係合しない位置に移動させた状態において、フード昇降機構5により蓋体51を下降させる。その後、カップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する基準位置に回転させ、フード昇降機構5により蓋体51を上昇させれば、第1のフード3が上昇する。そして、第二シリンダ71を作動させて昇降ブロック73を上昇させれば、この上昇によって回転軸23を介して中径軸部21が上昇し、その上面部が基盤載置空間Sから外部に突出した状態になる。この状態で図示しないロボットアーム等又はマニュアル操作で塗布膜が形成された基盤Bを回収する。さらに、連続して処理を行う場合は、再び中径軸部21に未処理基板を載置し、上記工程を繰り返す。
【0045】
次に、フード昇降機構5からの第1のフード3及び、第2のフード300の取り外しについて図7及び図8を参照して説明する。図7はフード昇降機構5が下降した状態であり、カップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第1吊持部33と第1係合部51b、及び第2吊持部302と第2係合部51cのどちらも係合しない位置、すなわち基準位置から45°回転させた位置に移動させた状態を示す。回転させる方向はどちらの方向でも構わない。この状態でフード昇降機構5を上昇させても、第1吊持部33と第1係合部51b、及び第2吊持部302と第2係合部51cのどちらも係合しないため、図8に示すように、第1のフード3と第2のフード300とは回転カップ20の上方に取り残された状態になる。このようにして、人手を介することなく、フード昇降機構5から第1のフード3と第2のフード300とを取り外すことができる。
【0046】
また、本実施形態では、第2のフード300の上部に環状の検出突起305を設けると共に蓋体51に上記検出突起305を検出すべく検出センサー55が設けられている。この検出センサー55は透過型のホトセンサーで形成され、回転カップ20に第1のフード3が、また、第1のフード3に第2のフード300が完全に装着された状態では、検出センサー55の光を遮光せず、回転カップ20と第1のフード3、または、第1のフード3と第2のフード300の装着が完全に行われなかった場合等、第2のフード300が上方に浮き上がった状態になった時、検出センサー55の光を遮光するように構成されている。検出センサー55の光が遮光された時は、カップ回転機構6を駆動させると構造物を破損させる可能性があるので、カップ回転機構6を駆動させないように制御される。
【0047】
図9は本発明の他の実施形態による回転カップ式薬液塗布装置を示す(請求項5相当)。この実施形態では、係合部が開閉動作可能で、吊持部との係合を選択できるように構成されている。その他の構成は前記実施形態と同等である。
【0048】
この実施形態における係合部について説明すると、L字型に形成された揺れ腕511aの下端に第1係合部51bが設けられ、この揺れ腕511aは、揺動可能に上部で支持ピン511bにより支えられ、シリンダ511dを動作させシリンダロッド511eを突出させて、揺れ腕511a上部先端を押えることにより、係合部51bが回転カップ中心から外側に向かって揺動し、第1吊持部33と係合しない位置(2点鎖線の位置)まで移動するよう構成されている。そして、係合位置に移動させるには、シリンダ511dを上記と逆に動作させ、シリンダロッド511eを埋没させると、スプリング511cの力により揺れ腕511a上部先端が押し戻され、第2吊持部33と係合可能になるように構成されている。また、第2係合部51cも上記第1係合部51bと同様に構成されている。
【0049】
なお、この実施形態では、係合部をシリンダの力で係合を解除する方向に移動させるよう構成されているが、シリンダとスプリングの位置を入れ替えることにより、シリンダの力で係合する位置に移動させることも可能である。
【0050】
この実施形態においては、回転カップの周方向の位置に関係なく昇降させるフードを選択できる構造にすることが可能であるため、回転カップ20の停止位置を一個所にしても昇降させるフードを選択することが可能である。なお、本実施形態においては、第1吊持部33と第2吊持部302との形状を円環状にしても構わない。
【0051】
図10は本発明のさらに他の実施形態による回転カップ式薬液塗布装置を示す(請求項6相当)。この実施形態では、係合部を開閉動作させることにより係合部で吊持部を挟み込む構成(把持機構)を採用している。その他の構成は前記実施形態と同じである。
【0052】
この実施形態のものでは、昇降時にフードを確実に固定できるため、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【0053】
なお、本発明の回転カップ式薬液塗布装置は、上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、フードと吊持機構の数を増やし、2個以上のフードを多段に設けた構成としてもよく、この場合、回転カップ20内の状態を更に多く選択することができるようになる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、回転カップの状態を、フードなしの状態、第1のフードで覆った状態、及び第1のフードと第2のフードとで覆った状態の3種類の中から任意に選択可能であるため、薬液の種類に応じて塗布工程と乾燥工程等でフードの組み合わせを変化させ、塗布処理中の処理基板表面上の空気の流れを制御することにより、従来の回転カップに比べ多くの薬液を高精度に塗布することができる。
【0055】
また、請求項2の発明によれば、上記効果に加えて、フードの組み合わせを、回転カップの周方向の停止位置と昇降機構の昇降タイミングとによって選択可能であるため、きわめて簡単な構造でフードの切替えを行うことができる。
【0056】
また、請求項3の発明によれば、さらに、洗浄等の際にフードを簡単に取り外すことができ、また、取り付ける際にも回転カップ上に第1のフードと第2のフードをセットして昇降機構を下降させることで、簡単にフードをセットすることができる。
【0057】
また、請求項4の発明によれば、さらに、フードを切り替える際の周方向の位置を極めてきりの良い数値にすることができる。
【0058】
また、請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、回転カップの周方向の角度に関係なく第1のフードと第2のフードの昇降を選択することができる。
【0059】
また、請求項6の発明によれば、さらに、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【図2】同装置における回転カップ及び蓋体の部分断面斜視図。
【図3】第1のフードと第2のフードを上昇させた時の部分断面斜視図。
【図4】第1吊持部と第1係合部が係合する位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図5】第2吊持部と第2係合部が係合する位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図6】上記図示の状態から第2のフードのみを上昇させた時の部分断面斜視図。
【図7】第1吊持部と第1係合部及び第2吊持部と第2係合部のどちらも係合しない位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図8】上記図示の状態からフード昇降機構を上昇させた時の部分断面斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【符号の説明】
1 回転カップ式薬液塗布装置
2 回転部材
3 第1のフード
5 フード昇降機構
6 駆動機構
20 回転カップ
33 第1吊持部(吊持機構)
51b 第1係合部(吊持機構)
51c 第2係合部(穴、吊持機構)
55 穴
300 第2のフード
302 第2吊持部(吊持機構)
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、液晶パネル、マスク等の基板表面に、遠心力を利用して薄膜を形成したり、薬液を塗布する回転カップ式薬液塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転カップ式薬液塗布装置は、処理基板を装填した回転カップの上部をフードで覆って外部とは遮断した密閉空間を形成し、その環境下で、回転カップ及び処理基板を回転させ、遠心力を利用して基板表面に薬液を塗布するものが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のこの種の回転カップ式薬液塗布装置は、処理基板を装填した回転カップの上部をフードで覆い、外部とは遮断した密閉空間の中で薬液塗布を行うので、外部の風の影響を受けないため、四角い基板でも隅々まで均一に塗布することができることや、塗布液の乾燥を抑制できるため、高粘度の薬液を塗布することが容易である等の数々の長所を有している。
【0004】
しかしながら、このような回転カップ式薬液塗布装置であっても、乾燥工程は密閉状態で行うことができないため、薬液の種類によっては、乾燥工程時の気流が塗布膜に影響し、風紋が生じる等により、塗布膜の面内均一性が他の薬液と比べて劣ることがある。そのため、限られた薬液に対してのみ、回転カップによる塗布が有効であった。
【0005】
そこで、この問題を解決するために、回転カップ上面を覆うフードに、ある程度の通気性を持たせて、乾燥条件等を制御してやることによって、気流による風紋を抑制できることが知られている。しかし、塗布時及び乾燥前の薄膜は微妙な空気の流れによって、均一性が損なわれるため、この方法で塗布する場合、塗布時と乾燥時とではフードの通気性を変えてやる必要があった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するもので、塗布薬液の性質によって、塗布膜の面内均一性が崩れる現象を解消し、広範囲の薬液を高精度に塗布することができる回転カップ式薬液塗布装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の回転カップ式薬液塗布装置は、内部に薬液の供給される基板装填用の回転カップを備えた回転部材と、この回転部材を高速回転させる駆動機構と、上記回転カップとの結合によって内部に亜密閉空間を作る第1のフードと、上記第1のフードとの結合によって上記回転カップの亜密閉状態を変化させるための第2のフードが設けられている回転カップ式薬液塗布装置において、上記第1のフードと第2のフードとを昇降させるフード昇降機構が備えられ、上記フード昇降機構及び第1のフードと第2のフードには、第1のフードと第2のフードとを同時に上昇させる吊持機構と、第2のフードのみを上昇させる吊持機構とが備えられているものである。
【0008】
上記構成においては、回転カップの状態を、フードなしの状態、第1のフードで覆った状態、及び第1のフードと第2のフードで覆った状態の3種類の状態への切替えを行うことが可能となる。
【0009】
従って、薬液の種類に応じて、フードの状態の組み合わせを変えることにより、塗布処理中の処理基板表面上の空気の流れを制御することができ、従来の回転カップに比べて多くの薬液を高精度に塗布することができるようになる。
【0010】
請求項2記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構の一つは、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、該フードが回転カップの軸に対して周方向のある角度で停止している時、該フード昇降機構が上昇すると上記第1吊持部と係合し第1のフードを上昇させる第1系合部とから成り、前記吊持機構の他の一つは、前記第2のフードに設けられた第2吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、上記周方向の角度をずらした別の位置で該フード昇降機構が上昇すると上記第2吊持部と係合し第2のフードを上昇させる第2係合部とから成り、上記フード昇降機構が下降した状態では、第1吊持部と第1系合部、及び、第2吊持部と第2係合部のいずれの係合も解除されるように構成されているものである。
【0011】
上記構成においては、フードの組み合わせを、回転カップの周方向の停止位置とフード昇降機構の昇降タイミングとによって選択できる。そのため、きわめて簡単な構造でフードの状態切替えを行うことができる。
【0012】
請求項3記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項2に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記フード昇降機構は、前記第1吊持部と1係合部、及び、前記第2吊持部と第2係合部のどちらも係合せず昇降可能な位置が存在するものである。
【0013】
上記構成においては、フードを外して洗浄等を行うとき、第1吊持部と第1係合部、及び、第2吊持部と第2係合部のどちらも係合せず、昇降可能な位置でフード昇降機構を上昇させれば、第1のフードも第2のフードも回転カップ上に置かれた状態でフード昇降機構のみを上昇させることができる。このため、洗浄等の際にはフードを簡単に取り外すことができる。また、取り付ける際にも回転カップ上に第1のフードと第2のフードとをセットして、フード昇降機構を下降させれば簡単にフードをセットすることができる。
【0014】
請求項4記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項2又は請求項3に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記第1吊持部は、前記第1のフードの外周部分に周方向の角度を等分した複数位置に設けられ、前記第1係合部は、上記第1吊持部に対応するように前記フード昇降機構に複数設けられ、前記第2吊持部は、前記第2のフードの上面中央部に上面視矩形に突設され、前記第2係合部は、上記フード昇降機構に設けられ、上記第2のフードが上昇された状態でその周方向位置決めが成されるような形状の穴を有し、この穴は、前記第2吊持部の外縁よりも大きい寸法に形成され、ある周方向角度で該吊持部が挿通し得る穴と、上記第2吊持部の外縁よりも小さい寸法に形成され、上記とは周方向に角度をずらせた位置で該吊持部の外縁が載置される穴とから成るものである。
【0015】
上記構成においては、第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とが係合する位置は、回転カップの回転軸に対して周方向の角度が所定角度(例えば、3個所の場合、120°)回転するごとに存在する。また、第2のフードに設けられた第2吊持部とフード昇降機構に設けられた第2係合部(穴)とが係合する位置も、所定角度(例えば、第2吊持部が正方形の場合、90°)ごとに存在する。そして、第2係合部の穴より周方向に所定角度(上記の場合、45°)だけ角度をずらして、前記吊持部材の外縁よりも大きい寸法に形成された穴が存在する。
【0016】
このことから、回転カップの回転軸に対して周方向の角度が第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とが係合する位置を基準とし、これと同じ位置に、第2のフードに設けられた第2吊持部とフード昇降機構に設けられた第2係合部とが係合する位置を配置し、この位置を第1のフードを上昇させる位置とする。この位置から周方向に90°回転させた位置では、第1のフードに設けられた第1吊持部とフード昇降機構に設けられた第1係合部とは係合せず、第2のフードに設けられた第2吊持部と、フード昇降機構に設けられた第2係合部とのみが係合する。従って、この位置を第2のフードのみを上昇させる位置とすることができる。そして、第1のフードを上昇させる位置から45°回転させた位置が、上記第1吊持部と第1係合部、及び第2吊持部と第2係合部のどちらも係合しない位置とすることができ、フードを切り替える際の周方向の位置を極めてきりの良い数値にすることができる。
【0017】
請求項5記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードに設けられた第2吊持部とから成り、前記フード昇降機構には、開閉動作により前記第1吊持部又は第2吊持部との係合を選択できる係合部が、第1吊持部及び第2吊持部に各々対応して設けられているものである。
【0018】
上記構成においては、昇降させるフードの選択を係合部の開閉によって行うため、回転カップの周方向の角度に関係なく第1のフードと第2のフードの昇降を選択することが可能である。
【0019】
請求項6記載の回転カップ式薬液塗布装置は、請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置であって、前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードの表面に設けられた第2吊持部とから成り、前記フード昇降機構には、上記第1吊持部を把持する把持機構と、上記第2吊持部を把持する把持機構とが設けられているものである。
【0020】
上記構成においては、フードの昇降時には吊持機構が吊持部を把持しているため、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態に係る回転カップ式薬液塗布装置について図面を参照して説明する。図1は回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図、図2は回転カップ及び蓋体の部分断面斜視図である。薬液塗布装置1は、円筒状の大径軸部(回転部材)24及びこの大径軸部24の頂部に設けられた円盤状の回転カップ20を有する回転部材2と、回転カップ20との結合によって内部に亜密閉空間を作る第1のフード3と、第1のフード3との結合によって上記亜密閉状態を変化させるための第2のフード300と、回転部材2が装着されるケーシング4と、第1のフード3及び第2のフード300の着脱を行うフード昇降機構5と、回転カップ20を回転させるカップ回転機構(駆動機構)6と、回転カップ20の中径軸部21を昇降させる昇降機構7とから構成されている。
【0022】
回転カップ20は、中径軸部21と、環状皿部22とから構成されている。環状皿部22の上面は、中径軸部21の上面と面一、或いはわずかに低い面一状になるように寸法設定されており、この面一の面に塗膜形成を施す基盤Bが中径軸部21の中心軸に一致して載置されるようになっている。上記環状皿部22の外周縁部には、上方に突出した環状堰部22aが設けられており、この環状堰部22aによって第1のフード3を受けるようになっている。第1のフード3は、多孔質の焼結合金で形成されたディスクフィルター32とこれを保持する環状支持部31から構成され、第1のフード3が環状堰部22aに装着された状態となると、第1のフード3及び環状堰部22aで囲まれた部分に基盤載置空間(亜密閉空間)Sが形成される。
【0023】
また、第1のフード3の環状支持部31の上面には、第2のフード300を受けるべく環状の接合部36が形成されていて、第2のフード300が第1のフード3の上面に装着された状態になると、基盤載置空間Sは密閉空間になるよう構成されている。
【0024】
環状堰部22aの下部には、基盤載置空間Sから外方に向かって斜め下方に傾斜した小径の排出穴201が所定間隔で複数個穿設されており、この排出穴201を介して基盤載置空間S内の余分な塗布剤が外部に排出される。また、環状堰部22a外縁上面には位置決め片22bが等間隔に複数個突設されている。中径軸部21の下部には、同心の回転軸23が共回り可能に結合されている。中径軸部21及び回転軸23の軸心部分にはそれらを貫通した吸気通路23aが形成されており、回転軸23の下端部に接続されたチューブ23bを介して、図示しない真空ポンプによって基盤Bが中径軸部21に吸引される。回転カップ20は、中径軸部21の小径部が筒状の大径軸部24の筒穴に嵌め込まれた状態で大径軸部24に固定されている。大径軸部24の上部にはフランジ部が形成され、このフランジ部には、回転カップ20の環状皿部22が固定されている。
【0025】
大径軸部24の下部は、支持架台Pに穿設された装着穴P1に嵌め込まれ、フランジ25aを有する支持筒体25にベアリング26を介して嵌装されている。従って、回転カップ20は、支持架台Pに対して回転軸23の軸心回りに回転可能になっている。大径軸部24は、その下部で従動プーリ63に固定されている。従動プーリ63は、後述するようにカップ回転機構6によって駆動される。
【0026】
また、ケーシング4は環状体を有し、大径軸部24が嵌め込まれた状態でフランジ25aに支持固定され、その上部は回転カップ20を囲繞している。ケーシング4の内部には、環状の回収通路401が形成されており、この回収通路401の上部に環状の排出用帯穴41が設けられ、この排出用帯穴41の開口は、環状堰部22aに穿設された排出穴201に対向した位置に設けられている。従って、回転カップ20の基盤載置空間Sから排出された不要物はこの排出用帯穴41を介して回収通路401内に導入される。回収通路401の周方向一部には下方に向かって垂直穴42が設けられ、回収通路401に溜った不要物はこの垂直穴42から外部に排出される。なお、この垂直穴42には図示しないが排気手段が設けられ、回転カップ20内部の排気流量を制御するよう構成されている。
【0027】
第1のフード3の環状支持部31の上方外周には、後述するフード昇降機構5による着脱動作を可能にすべく、第1吊持部33が周方向120°おきに3個所設けられている。なお、上記第1吊持部33は、第1係合部51bと係合した際に、周方向と軸方向の位置決めがなされるように、先端下面が外方に向かうに従って薄肉となる形状のテーパ面33aに形成されている。また、環状支持部31の外周側面には、前記環状堰部22a外縁上面に突設された位置決め片22bと係合し回転カップ20と回転一体となるように係止溝35が形成され、内縁上面には、第2のフード300に設けられた位置決め片304と係合し回転カップ20と回転一体となるように係止溝34が設けられている。
【0028】
第2のフード300は、フード本体301と、フード本体301の中心部が上方に突出した円柱状の第2吊持部302とで構成されている。吊持部302の頂部には、後述するフード昇降機構5による着脱動作を可能にすべく、胴部302a、及び胴部302aよりも径の大きい上面視正方形状の鍔部(フランジ)302bが形成されている。さらに、鍔部302b下部には、下方に向かうに従って細くなる形状のテーパ面302cが形成されている。
【0029】
フード昇降機構5は、第1のフード3を回転カップ20に対して着脱するためと、第2のフード300を第1のフード3に対して脱着するために設けられている。フード昇降機構5は、ケーシング4に囲繞された第1のフード3及び第2のフード300を閉止する蓋体51、水平腕が蓋体51に固定されたL字アーム52、及びL字アーム52を上下動させるシリンダ機構(昇降機構)53で構成されている。シリンダ機構53は、長いストロークを有する長ストロークシリンダ531と、短いストロークを有する低速用の短ストロークシリンダ532とからなる。長ストロークシリンダ531及び短ストロークシリンダ532は直列で縦置きとされ、短ストロークシリンダ532の頂部に出没可能に突設されたシリンダロッド532aの上端部が長ストロークシリンダ531の底部に接続され、さらに、長ストロークシリンダ531の頂部がL字アーム52の垂直腕に固定されている。
【0030】
一方、蓋体51の中央部には伏せ椀部51aが設けられている。この伏せ椀部51aは、L字アーム52の先端下部に固定されており、内部に内部空間58を有している。伏せ椀部51a下方の蓋体51の外縁下部には、第1吊持部33と係合する第1係合部51bが突設されている。後述するカップ回転機構6によって周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置で停止され、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたときに、第1のフード3は蓋体51と一体的に移動する。即ち、短ストロークシリ−ンダ532及び長ストロークシリンダ531により蓋体51を上方に引き上げると、第1のフード3も上方に引き上げられる。このとき、第2のフード300は第1のフード3の上に乗った状態にあるので、第1のフード3と同時に引き上げられる。
【0031】
また、蓋体51の中央部には正方形の穴55が貫設されており、この穴55は、第2吊持部302の鍔部302bの外径よりも大きく寸法設定されている。また、この穴55の内縁であって伏せ椀部51a内には、第2吊持部302の鍔部302bの形状に応じてテーパ面302cと係止することで、フード昇降機構5と第2のフード300との係合を調整する第2係合部51cを成す窪み状の穴が設けられている。テーパ面302cは、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたときに、第2係合部51cと係合するように設定され、後述するカップ回転機構6によって周方向の位置が第2吊持部302と第2係合部51cが係合する位置で停止され、蓋体51がL字アーム52によって上昇されたとき、第2のフード300は蓋体51と一体的に移動する。即ち、短ストロークシリ−ンダ532及び長ストロークシリンダ531により蓋体51を上方に引き上げると、第2のフード300も上方に引き上げられる。
【0032】
このように、短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531による二段構えで蓋体51を昇降させるようにしているのは、まず、短ストロークシリンダ532によって低速で第1のフード3又は第2のフード300を上昇させることにより、基盤載置空間Sの急激な圧力変化を抑止して、基盤載置空間Sへの塵の侵入を抑制するとともに、基盤載置空間S内の圧力が大気圧と等しくなった時点で長ストロークシリンダ531を高速作動させることにより、迅速にフードを上昇させることによって、フードの引き上げに要する時間の短縮を図るためである。逆に、フードを閉止するときは、まず、長ストロークシリンダ531を高速作動させてある程度の位置までフードを下降させ、その後、短ストロークシリンダ532の低速作動によって、基盤載置空間Sがフードによって低速で閉止される。なお、シリンダ機構53の代りにボールネジとモーター等を使用してフード昇降機構5を昇降させるようにしても構わない。
【0033】
また、上記回転カップ20を回転軸23の軸心回りに回転させるために、支持架台Pの下部にはカップ回転機構6が設けられている。このカップ回転機構6は、駆動モータ61と、この駆動モータ61の駆動軸に共回りするように設けられた駆動プーリ62と、駆動プーリ62及び従動プーリ63の両プーリ間に張設されたベルト64とから構成されている。
【0034】
回転軸23の外周面にはスプラインが形成されており、このスプラインに噛合するボールスプライン63aが大径軸部24の筒穴の下部に嵌入固定されている。従動プーリ63は、大径軸部24及びボールスプライン63aと共回りするように固定されているので、駆動モータ61の回転力は駆動プーリ62、ベルト64、及び従動プーリ63を介してボールスプライン63a及び大径軸部24に伝達される。さらに、駆動モータ61の回転力は、ボールスプライン63aを介して回転軸23にも伝達され、中径軸部21及び環状皿部22でなる回転カップ20が回転する。また、カップ回転機構6は回転カップ20の周方向の停止位置を第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置、第2吊持部302と第2係合部51cとが係合する位置、どちらも係合しない位置を選択して停止できるよう構成されている。
【0035】
また、回転軸23の下部には昇降機構7が設けられている。この昇降機構7は、回転軸23の下端部近傍に縦置き状態で設けられた第二シリンダ71と、この第二シリンダ71のシリンダロッド72の上端部に結合された昇降ブロック73と、この昇降ブロック73の上下動をガイドするための上下方向に延びたガイドレール74とから構成されている。昇降ブロック73は、ベアリング73aを介して回転軸23の下部に結合されており、第二シリンダ71を作動させてシリンダロッド72を上下動させることにより回転軸23を上下動させる。回転軸23が第二シリンダ71の作動によって上昇させられると、その頂部に設けられた回転カップ20の中径軸部21と大径軸部24との結合状態が解除され、中径軸部21のみが環状皿部22に対して上方に移動し、基盤Bの載置や取り上げ動作が容易に行い得るようになる。
【0036】
以上の構成でなる薬液塗布装置1によって、基盤Bの表面に塗膜を形成する方法について説明する。まず、回転機構6によって周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bが係合する位置で停止し、シリンダ機構53を稼働させて短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531を作動させる。これにより、L字アーム52及び伏せ椀部51aを介して蓋体51が上昇する。そうすると、伏せ椀部51a下方の蓋体51の外縁下部に突設された第1係合部51bが第1吊持部33と係合し、第1のフード3は蓋体51と一体的に移動する。このとき、第2のフード300は第1のフード3の上に乗った状態で第1のフード3と同時に引き上げられ、回転カップ20の基盤載置空間Sが外部に露出した状態になる(図1の2点鎖線及び図3参照)。
【0037】
この状態において、さらに第二シリンダ71を作動させて昇降ブロック73を上昇させれば、この上昇によって回転軸23を介して中径軸部21が上昇し、その上面部が基盤載置空間Sから外部に突出した状態になる。この状態で中径軸部21の上面に、図示しないロボットアーム等又はマニュアル操作で基盤Bを正確に載置し、吸気通路23aから真空吸着を行う。その後、第二シリンダ71を上記と逆に作動させて中径軸部21を下降させ、再度環状皿部22と面一状態にし、基盤Bの表面に所定量の塗布剤を滴下する。そして、シリンダ機構53を駆動して短ストロークシリンダ532及び長ストロークシリンダ531をこの順序で上記と逆向きに作動させ、蓋体51を介して第1フード3を下降させると、基盤載置空間Sが閉止される。
【0038】
そして、カップ回転機構6の駆動モータ61を駆動させれば、その回転駆動はベルト64等によって大径軸部24及びボールスプライン63aに伝達され、回転カップ20は所定の速度で回転する。この回転カップ20の回転による遠心力により、基盤B上に滴下された塗布剤は径方向に薄く拡散し、基盤Bの表面に塗膜が形成される。基盤B上から振り切られた余分な塗布剤は、回転カップ20の環状堰部22aに穿設された排出穴201から排出され、ケーシング4の排出用帯穴41を介して回収通路401内に導入され、垂直穴42から外部に導出される。
【0039】
そして、所定時間経過後、カップ回転機構6によって回転カップ20を、その周方向位置が第2吊持部302と第2係合部51cとが係合する位置で停止させ、フード昇降機構5により第2のフード300のみを持ち上げ、回転カップ20上には第1のフード3のみが載置された状態にする。この状態で所定の時間、基板表面を乾燥させ、乾燥終了後、フード昇降機構5が下降し、 カップ回転機構6により回転カップ20を、その周方向の位置が第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する位置に移動させ、フード昇降機構5により、第1のフード3を上昇させ、回転カップ20上の塗膜が形成された基盤Bが露出した状態にする。この状態で、昇降機構7により回転カップ20の中径軸部21を上昇させると、回転カップ20の上に載置された基盤Bは基盤載置空間Sから外部に押し出される。基盤Bは、ロボットアーム等によって回転カップ20から取り出され、次の工程に移送される。
【0040】
次に、各吊持部及び係合部の係合状態について図面を参照して説明する。図3は、カップ回転機構6が第1吊持部33と第1係合部51bとの係合位置で停止し、フード昇降機構5により、第1のフード3を上昇させた状態を示す。この状態では回転カップ20の基盤載置空間Sが外部に露出した状態になっており、基板Bを装着したり薬液を滴下するときの状態である。ここで、カップ回転機構6の停止位置と各吊持部及び係合部の位置関係を説明するために、上記第1吊持部33と第1係合部51bが係合する位置でのカップ回転機構6の停止位置を基準の0°とする。
【0041】
次に、図4は上記カップ回転機構6の停止位置が基準の0°の時、フード昇降機構5が下降し、回転カップ20の基盤載置空間Sが第1のフード3及び第2のフード300により閉止された状態を示す。この状態で回転カップ20を所定の速度で回転させることによって遠心力により、基盤B上に滴下された塗布剤を径方向に薄く拡散し、基盤Bの表面に塗膜を形成する。
【0042】
次に、図5に示すように、カップ回転機構6によって周方向の位置が第2吊持部302と第2係合部51cとが係合し、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合しない位置、すなわち、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する基準位置から周方向に90°回転させた状態とする。なお、回転させる方向はどちらの方向でも構わない。さらに、この状態から、フード昇降機構5が上昇すると、第2吊持部302と第2係合部51cとが係合し、第2のフード300のみが開放され、第1のフード3のみで回転カップ20を覆った図6に示す状態になる。
【0043】
ここで、第1のフード3上面は多孔質の焼結合金で形成されたディスクフィルター32で構成されているため、少量の空気が回転カップ20内に流入し、基板B表面には微少な気流が発生する。この気流により基板B表面を乾燥させる。このように微少な気流で基板B表面を乾燥させることにより、回転カップ20を開放状態で乾燥させた場合に比べ気流よる塗布膜のむらが生じにくくなり、より均一な塗布膜を得ることができる。
【0044】
乾燥工程終了後、再びカップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第2吊持部302と第2係合部51cとは係合しているが、第1吊持部33と第1係合部51bとは係合しない位置に移動させた状態において、フード昇降機構5により蓋体51を下降させる。その後、カップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第1吊持部33と第1係合部51bとが係合する基準位置に回転させ、フード昇降機構5により蓋体51を上昇させれば、第1のフード3が上昇する。そして、第二シリンダ71を作動させて昇降ブロック73を上昇させれば、この上昇によって回転軸23を介して中径軸部21が上昇し、その上面部が基盤載置空間Sから外部に突出した状態になる。この状態で図示しないロボットアーム等又はマニュアル操作で塗布膜が形成された基盤Bを回収する。さらに、連続して処理を行う場合は、再び中径軸部21に未処理基板を載置し、上記工程を繰り返す。
【0045】
次に、フード昇降機構5からの第1のフード3及び、第2のフード300の取り外しについて図7及び図8を参照して説明する。図7はフード昇降機構5が下降した状態であり、カップ回転機構6により回転カップ20の周方向の位置を、第1吊持部33と第1係合部51b、及び第2吊持部302と第2係合部51cのどちらも係合しない位置、すなわち基準位置から45°回転させた位置に移動させた状態を示す。回転させる方向はどちらの方向でも構わない。この状態でフード昇降機構5を上昇させても、第1吊持部33と第1係合部51b、及び第2吊持部302と第2係合部51cのどちらも係合しないため、図8に示すように、第1のフード3と第2のフード300とは回転カップ20の上方に取り残された状態になる。このようにして、人手を介することなく、フード昇降機構5から第1のフード3と第2のフード300とを取り外すことができる。
【0046】
また、本実施形態では、第2のフード300の上部に環状の検出突起305を設けると共に蓋体51に上記検出突起305を検出すべく検出センサー55が設けられている。この検出センサー55は透過型のホトセンサーで形成され、回転カップ20に第1のフード3が、また、第1のフード3に第2のフード300が完全に装着された状態では、検出センサー55の光を遮光せず、回転カップ20と第1のフード3、または、第1のフード3と第2のフード300の装着が完全に行われなかった場合等、第2のフード300が上方に浮き上がった状態になった時、検出センサー55の光を遮光するように構成されている。検出センサー55の光が遮光された時は、カップ回転機構6を駆動させると構造物を破損させる可能性があるので、カップ回転機構6を駆動させないように制御される。
【0047】
図9は本発明の他の実施形態による回転カップ式薬液塗布装置を示す(請求項5相当)。この実施形態では、係合部が開閉動作可能で、吊持部との係合を選択できるように構成されている。その他の構成は前記実施形態と同等である。
【0048】
この実施形態における係合部について説明すると、L字型に形成された揺れ腕511aの下端に第1係合部51bが設けられ、この揺れ腕511aは、揺動可能に上部で支持ピン511bにより支えられ、シリンダ511dを動作させシリンダロッド511eを突出させて、揺れ腕511a上部先端を押えることにより、係合部51bが回転カップ中心から外側に向かって揺動し、第1吊持部33と係合しない位置(2点鎖線の位置)まで移動するよう構成されている。そして、係合位置に移動させるには、シリンダ511dを上記と逆に動作させ、シリンダロッド511eを埋没させると、スプリング511cの力により揺れ腕511a上部先端が押し戻され、第2吊持部33と係合可能になるように構成されている。また、第2係合部51cも上記第1係合部51bと同様に構成されている。
【0049】
なお、この実施形態では、係合部をシリンダの力で係合を解除する方向に移動させるよう構成されているが、シリンダとスプリングの位置を入れ替えることにより、シリンダの力で係合する位置に移動させることも可能である。
【0050】
この実施形態においては、回転カップの周方向の位置に関係なく昇降させるフードを選択できる構造にすることが可能であるため、回転カップ20の停止位置を一個所にしても昇降させるフードを選択することが可能である。なお、本実施形態においては、第1吊持部33と第2吊持部302との形状を円環状にしても構わない。
【0051】
図10は本発明のさらに他の実施形態による回転カップ式薬液塗布装置を示す(請求項6相当)。この実施形態では、係合部を開閉動作させることにより係合部で吊持部を挟み込む構成(把持機構)を採用している。その他の構成は前記実施形態と同じである。
【0052】
この実施形態のものでは、昇降時にフードを確実に固定できるため、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【0053】
なお、本発明の回転カップ式薬液塗布装置は、上記実施形態の構成に限られることなく種々の変形が可能であり、例えば、フードと吊持機構の数を増やし、2個以上のフードを多段に設けた構成としてもよく、この場合、回転カップ20内の状態を更に多く選択することができるようになる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、回転カップの状態を、フードなしの状態、第1のフードで覆った状態、及び第1のフードと第2のフードとで覆った状態の3種類の中から任意に選択可能であるため、薬液の種類に応じて塗布工程と乾燥工程等でフードの組み合わせを変化させ、塗布処理中の処理基板表面上の空気の流れを制御することにより、従来の回転カップに比べ多くの薬液を高精度に塗布することができる。
【0055】
また、請求項2の発明によれば、上記効果に加えて、フードの組み合わせを、回転カップの周方向の停止位置と昇降機構の昇降タイミングとによって選択可能であるため、きわめて簡単な構造でフードの切替えを行うことができる。
【0056】
また、請求項3の発明によれば、さらに、洗浄等の際にフードを簡単に取り外すことができ、また、取り付ける際にも回転カップ上に第1のフードと第2のフードをセットして昇降機構を下降させることで、簡単にフードをセットすることができる。
【0057】
また、請求項4の発明によれば、さらに、フードを切り替える際の周方向の位置を極めてきりの良い数値にすることができる。
【0058】
また、請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、回転カップの周方向の角度に関係なく第1のフードと第2のフードの昇降を選択することができる。
【0059】
また、請求項6の発明によれば、さらに、昇降時の振動や外力に対してフードの安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【図2】同装置における回転カップ及び蓋体の部分断面斜視図。
【図3】第1のフードと第2のフードを上昇させた時の部分断面斜視図。
【図4】第1吊持部と第1係合部が係合する位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図5】第2吊持部と第2係合部が係合する位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図6】上記図示の状態から第2のフードのみを上昇させた時の部分断面斜視図。
【図7】第1吊持部と第1係合部及び第2吊持部と第2係合部のどちらも係合しない位置でフード昇降機構を下降させた時の部分断面斜視図。
【図8】上記図示の状態からフード昇降機構を上昇させた時の部分断面斜視図。
【図9】本発明の他の実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【図10】本発明のさらに他の実施形態に係る回転カップ式薬液塗布装置の縦断面図。
【符号の説明】
1 回転カップ式薬液塗布装置
2 回転部材
3 第1のフード
5 フード昇降機構
6 駆動機構
20 回転カップ
33 第1吊持部(吊持機構)
51b 第1係合部(吊持機構)
51c 第2係合部(穴、吊持機構)
55 穴
300 第2のフード
302 第2吊持部(吊持機構)
Claims (6)
- 内部に薬液の供給される基板装填用の回転カップを備えた回転部材と、この回転部材を高速回転させる駆動機構と、上記回転カップとの結合によって内部に亜密閉空間を作る第1のフードと、上記第1のフードとの結合によって上記回転カップの亜密閉状態を変化させるための第2のフードが設けられている回転カップ式薬液塗布装置において、
上記第1のフードと第2のフードとを昇降させるフード昇降機構が備えられ、上記フード昇降機構及び第1のフードと第2のフードには、第1のフードと第2のフードとを同時に上昇させる吊持機構と、 第2のフードのみを上昇させる吊持機構とが備えられていることを特徴とする回転カップ式薬液塗布装置。 - 前記吊持機構の一つは、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、該フードが回転カップの軸に対して周方向のある角度で停止している時、該フード昇降機構が上昇すると上記第1吊持部と係合し第1のフードを上昇させる第1系合部とから成り、
前記吊持機構の他の一つは、前記第2のフードに設けられた第2吊持部と、前記フード昇降機構に設けられ、上記周方向の角度をずらした別の位置で該フード昇降機構が上昇すると上記第2吊持部と係合し第2のフードを上昇させる第2係合部とから成り、
上記フード昇降機構が下降した状態では、第1吊持部と第1系合部、及び、第2吊持部と第2係合部のいずれの係合も解除されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置。 - 前記フード昇降機構は、前記第1吊持部と1係合部、及び、前記第2吊持部と第2係合部のどちらも係合せず昇降可能な位置が存在することを特徴とする請求項2に記載の回転カップ式薬液塗布装置。
- 前記第1吊持部は、前記第1のフードの外周部分に周方向の角度を等分した複数位置に設けられ、
前記第1係合部は、上記第1吊持部に対応するように前記フード昇降機構に複数設けられ、
前記第2吊持部は、前記第2のフードの上面中央部に上面視矩形に突設され、前記第2係合部は、上記フード昇降機構に設けられ、上記第2のフードが上昇された状態でその周方向位置決めが成されるような形状の穴を有し、
この穴は、前記第2吊持部の外縁よりも大きい寸法に形成され、ある周方向角度で該吊持部が挿通し得る穴と、上記第2吊持部の外縁よりも小さい寸法に形成され、上記とは周方向に角度をずらせた位置で該吊持部の外縁が載置される穴とから成ることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の回転カップ式薬液塗布装置。 - 前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードに設けられた第2吊持部とから成り、
前記フード昇降機構には、開閉動作により前記第1吊持部又は第2吊持部との係合を選択できる係合部が、第1吊持部及び第2吊持部に各々対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置。 - 前記吊持機構は、前記第1のフードに設けられた第1吊持部と、第2のフードの表面に設けられた第2吊持部とから成り、
前記フード昇降機構には、上記第1吊持部を把持する把持機構と、上記第2吊持部を把持する把持機構とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回転カップ式薬液塗布装置。
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