JP2995263B2 - 回転式薬液処理装置のシール構造 - Google Patents

回転式薬液処理装置のシール構造

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JP2995263B2 JP6105360A JP10536094A JP2995263B2 JP 2995263 B2 JP2995263 B2 JP 2995263B2 JP 6105360 A JP6105360 A JP 6105360A JP 10536094 A JP10536094 A JP 10536094A JP 2995263 B2 JP2995263 B2 JP 2995263B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体の素子およびマ
スク、並びに液晶パネル等の製造工程において、ウエ
ハ、マスクあるいは液晶パネル等の表面に薄膜を形成さ
せたり、あるいは同表面を現像したりエッチングする遠
心力を利用した回転式薬液処理装置のシール構造に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】半導体製造工程においては、ウエハ等の
基盤の上に、感光液等の塗布剤が均一に塗布された塗膜
が形成される。このような塗膜に所定の処理が施されて
半導体製品が製造される。塗膜の厚みは通常数ミクロン
と極めて薄く、また均一な厚みが要求されることから、
上記要求を満足させることが可能な図10に示すような
薬液処理装置10が利用される。
【0003】この図に示すように、薬液処理装置10
は、回転カップ20と、この回転カップ20の上面を被
覆するフード30と、回転カップ20を軸心回りに回転
可能に支持しかつ外周部を被覆するケーシング40とを
備えた構成を有している。上記回転カップ20の上面に
基盤Bを吸着配置し、その上に塗布剤を滴下した後、フ
ード30で覆って回転カップ20を高速回転させること
によって、遠心力で回転中心から径方向に塗布剤を拡散
させて基盤B上に均一な塗膜を形成させるようになって
いる。
【0004】回転カップ20の外周縁部には、フード3
0と回転カップ20との間に形成される基盤載置空間S
と外部とを連通する複数の排出孔201が穿設され、余
分な塗布剤がこれらの排出孔201を介してケーシング
40に設けられた回収通路401内に放出されるように
なっている。
【0005】そして、上記回転カップ20の高速回転に
よって基盤B上に空気の渦流が形成されると、塗膜の表
面に波紋が形成され、塗膜の厚みの均一性が損なわれる
ことから、基盤載置空間Sの上部はフード30によって
密閉状態にされている。この密閉状態を確実なものにす
るために、フード30の周縁部分の上部に設けられた環
状突起202に蟻溝状のリング溝203が形成され、こ
のリング溝203にゴムなどの柔軟性を有するシール材
で形成されたOリング204が嵌め込まれている。
【0006】そしてこのOリング204の上部は上記リ
ング溝203から若干外部に突出されているため、フー
ド30を回転カップ20に装着するとフードの下面部が
Oリング204の上記若干突出された部分に当接し、基
盤載置空間Sの上部は閉止状態になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の基盤
載置空間Sの閉止構造においては、上記Oリング204
の上面部(当接面)が面一状態でリング溝203内に嵌
装されている場合には、フード30の下面がOリング2
04の当接面に隙間なく当接し、Oリング204のシー
ル作用によって基盤載置空間Sの上部の閉止性は有効に
確保されるが、リング溝203はOリング204の抜け
防止のため上部の開口幅を狭くしてあることから、Oリ
ング204はリング溝203に向かって押圧しながら嵌
め込まれるため、リング溝203に嵌め込まれたOリン
グ204の周方向の密度分布が不均一になる場合が多
く、その結果、Oリング204の当接面に凹凸が形成さ
れた状態になっている。
【0008】従って、フード30を回転カップ20に被
せてもフード30の下面部とOリング204との間に上
記凹凸に起因する隙間が形成され、基盤載置空間Sの上
部は良好な閉止状態にならず、隙間から漏れ入った空気
の流れで基盤載置空間S内に渦流が生じ、基盤Bの表面
に均一な塗膜が形成されなくなる。
【0009】かかる不都合を解消するために、リング溝
203の開口を大きくして蟻溝とは異なる形状にするこ
とが考えられるが、このようにすると、フード30を開
放するときに裏面にOリング204が付着してリング溝
203から外れてしまうという新たな問題点が発生す
る。
【0010】さらに、フード30が偏心状態で回転カッ
プ20に装着されると、回転カップ20を高速回転させ
たときにフード30の周面部が下段周面202の外方側
に形成された段壁に振動状態で激突擦過し、この激突擦
過によって微細な粉塵が発生して負圧状態の基盤載置空
間S内に吸引されるため、基盤Bが汚染され、塗布製品
の歩留が低下するという問題点も有している。
【0011】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、確実に回転カップの基盤載置空間内
の上部を密閉状態で閉止するとともに、一旦装着された
Oリングは外れることがなく、かつ、回転カップを高速
回転させても発塵することのない回転式薬液処理装置の
シール構造を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
回転式薬液処理装置のシール構造は、回転カップと、こ
の回転カップを上方から環状の弾性シール部材を介して
被覆するフードとを有する回転式薬液処理装置のシール
構造において、上記回転カップには周縁部上面に環状突
起が設けられ、上記環状突起は径方向外方の壁面に上記
弾性シール部材の内周面側が嵌入可能な環状溝が形成さ
れ、上記フードには被覆時に上記弾性シール部材の外周
面側であって上記環状溝から一部露出した面に当接する
環状縁部が形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0013】本発明の請求項2記載の回転式薬液処理装
置のシール構造は、請求項1記載の回転式薬液処理装置
のシール構造において、上記環状溝は断面視で楔形状に
形成されていることを特徴とするものである。
【0014】本発明の請求項3記載の回転式薬液処理装
置のシール構造は、請求項1記載の回転式薬液処理装置
のシール構造において、上記環状溝は断面視で円弧形状
に形成されていることを特徴とするものである。
【0015】本発明の請求項4記載の回転式薬液処理装
置のシール構造は、請求項1乃至3のいずれかに記載の
回転式薬液処理装置のシール構造において、上記環状溝
の開口部の底部には径方向に先上がりに傾斜した傾斜底
面が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】本発明の請求項5記載の回転式薬液処理装
置のシール構造は、回転カップと、この回転カップを上
方から環状の弾性シール部材を介して被覆するフードと
を有する回転式薬液処理装置のシール構造において、上
記回転カップには周縁部上面に第1環状溝が設けられ、
上記フードには第1環状溝に嵌入する環状突部が設けら
れ、この環状突部は径方向外方の壁面に上記弾性シール
部材の内周面側が嵌入可能な第2環状溝が形成されてい
ることを特徴とするものである。
【0017】
【作用】上記請求項1記載の回転式薬液処理装置のシー
ル構造によれば、回転カップの環状突起の径方向外方の
壁面に設けられた環状溝には環状の弾性シール部材の一
部が嵌入されおり、この弾性シール部材は環状溝から一
部露出しているため、回転カップがフードで被覆される
と、フードの環状縁部が上記弾性シール部材の環状溝か
ら露出した部分に当止した状態で回転カップはシール部
材を介して密閉状態になる。
【0018】そして、弾性シール部材は環状溝に嵌入さ
れ、環状突起に鉢巻き状に装着されているため、回転カ
ップを閉止しているフードを上昇させたとき、弾性シー
ル部材がフードに粘着したままフードに同伴してシール
部材が環状溝から外れるような不都合は起らない。
【0019】また、環状溝を従来のように蟻溝にする必
要がないため、環状溝へのシール部材の嵌入時に、シー
ル部材を無理に押圧し変形させることに起因する密度分
布の不均一によってシール部材の露出面が面一になら
ず、そのためシール性が損なわれることはない。
【0020】上記請求項2記載の回転式薬液処理装置の
シール構造によれば、環状溝は断面視で楔形状に形成さ
れているため、この楔形状の陥没部に確実に弾性シール
部材は保持される。
【0021】上記請求項3記載の回転式薬液処理装置の
シール構造によれば、環状溝は断面視で円弧形状に形成
されているため、この円弧状の陥没部に確実に弾性シー
ル部材は保持される。また、環状溝を円弧形状にしたこ
とにより、弾性シール部材の外周面はこの環状溝に密着
するため、弾性シール部材が環状溝に嵌入された状態で
弾性シール部材の露出部分に外力が作用しても、両者の
密着部分において弾性シール部材は変形せず、弾性シー
ル部材の露出部分で生じていることとなり、弾性シール
部材の半分だけが変形に加担することとなる。その結
果、同一変形量に対する弾性応力が大きくなり、その分
フードが偏心して回転カップに装着された場合の偏心矯
正力が向上する。
【0022】上記請求項4記載の回転式薬液処理装置の
シール構造によれば、環状溝の開口部の底部には径方向
外方に先上がりに傾斜した傾斜底面が形成されているた
め、この傾斜底面に誘導されて弾性シール部材はより確
実に環状溝に嵌入された状態になる。
【0023】上記請求項5記載の回転式薬液処理装置の
シール構造によれば、フードには第1環状溝に嵌入する
環状突部が設けられ、この環状突部は径方向外方の壁面
に上記弾性シール部材の内周面側が嵌入可能な第2環状
溝が形成され、これに弾性シール部材が装着されている
ため、フードを上昇させた状態、すなわち回転カップを
開放状態で回転させても、弾性シール部材が遠心力で広
がって外れてしまうことがない。従って、基盤表面を洗
浄した後などに高速回転で乾燥させることができる。
【0024】
【実施例】図1は、本発明が適用されている回転式薬液
処理装置の一例を示す一部切欠き斜視図であり、図2は
そのA−A線断面図である。これらの図に示すように、
薬液処理装置1は、円盤状の回転カップ2、この回転カ
ップ2の上面を覆うフード3、上記回転カップ2が嵌装
されるケーシング4、フード3の着脱を行うフード着脱
機構5、回転カップ2を回転させるカップ回転機構6、
および中径軸部21を昇降させる昇降機構7とから構成
されている。
【0025】上記回転カップ2は、中径軸部21と、環
状皿部22とから構成されている。上記環状皿部22の
上面は、上記中径軸部21の上面と面一、あるいはわず
かに低い面一状になるように寸法設定されており、この
面一の面に塗膜形成を施す基盤Bが中径軸部21の中心
軸に一致して載置されるようになっている。上記環状皿
部22の外周縁部には上方に突出した環状堰部22aが
設けられており、環状堰部22aでフード3を受けるよ
うになっている。フード3が装着された状態でこの環状
堰部22aによって囲まれた部分に基盤載置空間Sが形
成される。
【0026】上記環状堰部22aの下部の周面には基盤
載置空間Sから外方に向かって斜め下方に傾斜した小径
の排出孔201が所定間隔で複数個穿設されており、こ
の排出孔201を介して基盤載置空間S内の余分な塗布
剤を外部に排出するようになっている。
【0027】上記中径軸部21の下部には同心の回転軸
23が共回り可能に結合されている。中径軸部21およ
び回転軸23の軸心部分にはそれらを貫通した吸気通路
23aが形成されており、図略の真空ポンプを作動する
ことによって回転軸23の下端部に接続されたチューブ
23bを介して基盤Bを中径軸部21に吸引するように
なっている。
【0028】回転カップ2は、中径軸部21の小径部が
筒状の大径軸部24の筒孔に嵌め込まれた状態で大径軸
部24に固定されている。この大径軸部24の上部には
フランジ部が形成され、このフランジ部は上記回転カッ
プ2の環状皿部22が固定されている。
【0029】大径軸部24の下部は、支持架台Pに穿設
された装着孔P1に嵌め込まれ、外周面にフランジ25
aを有する支持筒体25に、ベアリング26を介して嵌
装されている。従って、回転カップ2は、支持架台Pに
対して回転軸23の軸心回りに回転可能になっている。
【0030】上記フード3は、フード本体31、このフ
ード本体31の中心部が上方に突出した円柱状の把持部
32、およびフード本体31の外周縁部が上方に膨出し
た膨出縁部33から構成されている。この膨出縁部33
は上記環状堰部22aに対応して設けられているもの
で、膨出縁部33の底面部が環状堰部22aの上面部に
接近することによって回転カップ2を閉止するようにな
っている。上記把持部32の頂部には後述するフード着
脱機構5による着脱動作を可能にすべくその下の胴部3
2aよりも径の大きい鍔部32bが形成されている。
【0031】上記ケーシング4は環状体を有し、大径軸
部24が嵌め込まれた状態でフランジ25aに支持固定
され、その上部は回転カップ2を囲繞している。
【0032】ケーシング4の内部には環状の回収通路4
01が形成されており、この回収通路401の上部に環
状の排出用帯孔41が設けられ、この排出用帯孔41の
開口は上記環状堰部22aに穿設された排出孔201に
対向して設けられている。従って、回転カップ2の基盤
載置空間Sから排出された不要物はこの排出用帯孔41
を介して回収通路401内に導入される。回収通路40
1の周方向一部には下方に向かって垂直孔42が設けら
れ、回収通路401に溜った不要物はこの垂直孔42か
ら外部に排出されるようになっている。
【0033】また、薬液処理装置1には、フード3を回
転カップ2に対して着脱するために、フード着脱機構5
が設けられている。このフード着脱機構5は、ケーシン
グ4に囲繞され、フード3を閉止する蓋体51、水平腕
が蓋体51に固定されたL字アーム52、並びに、この
L字アーム52を上下動させる長いストロークを備えた
長ストロークシリンダ531および短いストロークを備
えた低速用の短ストロークシリンダ532から構成され
ている。これらの長ストロークシリンダ531および短
ストロークシリンダ532は直列で縦置きとされ、短ス
トロークシリンダ532の頂部に出没可能に突設された
シリンダロッド532aの上端部が長ストロークシリン
ダ531の底部に接続され、さらに、長ストロークシリ
ンダ531の頂部に出没可能に突設されたシリンダロッ
ド531aの上端部がL字アーム52の垂直腕に固定さ
れている。
【0034】上記蓋体51の中央部には上記把持部32
の胴部32aの外径より大径でかつ鍔部32bよりも小
径の嵌入孔が設けられ、また蓋体51の中央部には鍔部
32bを内部に収容する伏せ椀部51aが設けられてい
る。短ストロークシリンダ532および長ストロークシ
リンダ531により蓋体51を上方に引き上げると、上
記嵌入孔の縁部が鍔部32bに係合して、フード3も上
方に引き上げられる。
【0035】このように、短ストロークシリンダ532
および長ストロークシリンダ531による二段構えで蓋
体53を昇降させるようにしているのは、まず、短スト
ロークシリンダ532によって低速でフード3を上昇さ
せることにより、基板載置空間Sの急激な圧力変化を抑
止して基板載置空間Sへの塵の侵入を抑制するととも
に、基板載置空間S内の圧力が大気圧と等しくなった時
点で長ストロークシリンダ531を高速作動させること
により迅速にフード3を上昇させることによってフード
3の引き上げに要する時間の短縮を図るためである。逆
にフード3を閉止するときは、まず長ストロークシリン
ダ531を高速作動させてある程度の位置までフード3
を下降させ、その後短ストロークシリンダ532の低速
作動によって基板載置空間Sはフード3によって低速で
閉止される。
【0036】また、上記回転カップ2を回転軸23の軸
心回りに回転させるために、支持架台Pの下部にはカッ
プ回転機構6が設けられている。このカップ回転機構6
は、駆動モータ61、この駆動モータ61の駆動軸に共
回りするように設けられた駆動プーリ62、大径軸部2
4およびボールスプライン63aと共回りするように設
けられた従動プーリ63および駆動プーリ62と従動プ
ーリ63との間に張設されたベルト64から構成されて
いる。
【0037】上記回転軸23の外周面にはスプラインが
形成されており、このスプラインに噛合するボールスプ
ライン63aが大径軸部24の筒孔の下部に嵌入固定さ
れている。上記従動プーリ63は大径軸部24およびボ
ールスプライン63aと共回りするように固定されてい
る。従って、上記駆動モータ61の回転力は駆動プーリ
62、ベルト64および従動プーリ63を介して大径軸
部24およびボールスプライン63aに伝達され、ま
た、上記ボールスプライン63aを介して回転軸23に
伝達され、中径軸部21および環状皿部22からなる回
転カップ2が回転するようになっている。
【0038】また、回転軸23の下部には昇降機構7が
設けられている。この昇降機構7は、回転軸23の下端
部近傍に縦置き状態で設けられた第二シリンダ71、こ
の第二シリンダ71のシリンダロッド72の上端部に結
合された昇降ブロック73およびこの昇降ブロック73
の上下動をガイドするための上下方向に延びたガイドレ
ール74から構成されている。
【0039】上記昇降ブロック73は、ベアリング73
aを介して回転軸23の下部に結合されており、第二シ
リンダ71を作動させてシリンダロッド72を上下動さ
せることにより回転軸23を上下動させるようになって
いる。回転軸23が第二シリンダ71の作動によって上
昇させられると、その頂部に設けられた回転カップ2の
中径軸部21と大径軸部24との結合状態が解除され、
中径軸部21のみが環状皿部22に対して上方に移動
し、基盤Bの載置や取り上げ動作が容易に行い得るよう
になる。
【0040】本回転式薬液処理装置は以上のように構成
されているので、基盤Bの表面に塗膜を形成させるに
は、まず、図2の二点鎖線で示すように、短ストローク
シリンダ532および長ストロークシリンダ531を作
動させてシリンダロッド531a、L字アーム52およ
び連結部51bを介して蓋体51を上昇させる。そうす
ると、伏せ椀部51aが把持部32の鍔部32bを摘ん
だ状態でフード3を上方に持ち上げ、回転カップ2の基
盤載置空間Sが外部に露出した状態になる。
【0041】この状態でさらに第二シリンダ71を作動
させて昇降ブロック73を上昇させれば、この上昇によ
って回転軸23を介して中径軸部21は上昇し、その上
面部が基盤載置空間Sから外部に突出した状態になる。
この状態で中径軸部21の上面に図略のロボットアーム
等あるいはマニュアル操作で基盤Bを正確に載置し、吸
気通路23aを介して真空吸着を行う。その後第二シリ
ンダ71を上記と逆に作動させて中径軸部21を下降さ
せ、再度環状皿部22と面一状態にし、基盤Bの表面に
所定量の塗布剤を滴下する。
【0042】そして、短ストロークシリンダ532、長
ストロークシリンダ531をこの順序で上記と逆向きに
作動させてフード3を下降させ、基盤載置空間Sを閉止
する。なお、基盤Bの吸引はフード3の閉止後すなわち
回転カップ2の回転開始までに行うようにしてもよい。
【0043】この状態でカップ回転機構6の駆動モータ
61を駆動させれば、その回転駆動は駆動プーリ62、
ベルト64、従動プーリ63を介して大径軸部24およ
びボールスプライン63aに伝達され、また、上記およ
びボールスプライン63aを介して回転軸23に伝達さ
れ、回転カップ2は所定の速度で回転する。この回転カ
ップ2の回転による遠心力で基盤B上に滴下された塗布
剤は径方向に薄く拡散し、基盤Bの表面に塗膜が形成さ
れる。基盤B上から振り切られた余分な塗布剤は、回転
カップ2の環状堰部22aに穿設された排出孔201か
ら排出され、ケーシング4の排出用帯孔41を介して回
収通路401内に導入され、垂直孔42から外部に導出
される。
【0044】そして、所定時間経過後、駆動モータ61
の回転駆動を停止し、短ストロークシリンダ532、長
ストロークシリンダ531をこの順序で駆動させてシリ
ンダロッド531aを上方に移動させることによってフ
ード3は持ち上げられ、回転カップ2上の塗膜が形成さ
れた直後の基盤Bが露出した状態になる。この状態で、
第二シリンダ71の作動によってシリンダロッド72が
上昇し、このシリンダロッド72に結合された回転軸2
3を介して回転カップ2の中径軸部21は上昇し、その
上に載置された基盤Bは基盤載置空間Sから外部に押し
出される。そして、基盤Bは同様にロボットアーム等に
よって回転カップ2から取り出され、つぎの工程に移送
されることになる。以上の操作を繰り返すことによって
基盤Bの表面に塗布剤の均一な塗膜が形成されることに
なる。
【0045】図3は、図2の部分拡大図であり、本発明
に係るシール構造の第1実施例を示している。この図に
示すように、回転カップ2の外周部に形成された環状堰
部22aの上面部には、環状であって断面略矩形状の内
側突起27と外側突起28とからなる二条の突起が径方
向に所定間隔を置いて形成されている。また、内側突起
27と外側突起28とによって挟まれた部分には水平な
底面29aを有する環状溝29が形成されている。
【0046】内側突起27側の外周側の壁面には底面2
9aから連続して、断面視で楔形状の楔溝29bが凹設
されている。この楔溝29bには鉢巻き状でOリング9
が装着されている。この環状溝29の底面29aの溝幅
寸法は、少なくともOリング9の線径寸法より大きめに
設定されており、Oリング9が楔溝29bに嵌入された
状態で、Oリング9の外周面と外側突起28の内壁面と
の間には、隙間が形成された状態になっている。
【0047】この楔溝29bの上下方向の開口幅は、上
記Oリング9の線径と略同じに寸法設定されている。従
って、楔溝29bに嵌入されたOリング9は、その内側
の略半分近い部分が楔溝29b内に嵌入された状態にな
っているとともに、残りの外側の部分は楔溝29bから
環状溝29に露出した状態になっている。
【0048】一方、膨出縁部33の下面部には、上記内
側突起27に嵌入される縁部環状溝33aが凹設されて
いる。また、膨出縁部33の外周部には、環状溝29内
であって、Oリング9と外側突起28との隙間に嵌入さ
れる環状縁部33bが設けられている。縁部環状溝33
aは、フード3の中心側は矩形状にされる一方、外方側
は環状縁部33bの内壁面33cが形成されるととも
に、内側突起27の上部外方傾斜面に対応した傾斜面3
3eを有して形成されている。
【0049】従って、フード3で回転カップ2が閉止さ
れた状態では、Oリング9は内側が楔溝29bによっ
て、また外側、すなわち環状溝29に露出されている側
が上記内壁面33cと傾斜面33eとのV字面で押圧当
接することによって、断面変形を小さくした状態で位置
規制される。また、内側突起27の外径と内壁面33c
との隙間はOリング9の線径よりも狭くすることで、フ
ード3の開放時にOリング9が外れるのを確実に阻止す
ることができる。なお、縁部環状溝33a、環状縁部3
3bの形状は、フード3がOリング9にのみ当接し得る
形状寸法に設定されている。
【0050】本発明に係る回転式薬液処理装置のシール
構造は、Oリング9が環状溝29の内側突起27側に設
けられた楔溝29bに嵌め込まれるため、まず、Oリン
グ9の環状溝29への装着操作は極めて容易であり、従
来の溝が蟻溝であったために押し込まなければならなか
ったというOリング9の装着操作の困難性が解消され
る。
【0051】また、楔溝29bは内側突起27の外壁面
に横方向に凹設されているため、Oリング9がこの楔溝
29bに鉢巻き状に嵌入され、その弾性により楔溝29
bに嵌まり込むと、内側突起27を締め付けた状態にな
り、フード3の閉止時にたとえOリング9が縁部環状溝
33aの内面に粘着したとしても、フード3の開放時に
Oリング9がフード3の上昇に同伴して環状溝29から
外れるというようなことはない。
【0052】さらに、たとえフード3が回転カップ2の
回転中心に対して偏心状態で装着されたとしても、Oリ
ング9が弾性変形し、この弾性変形によって生じる弾性
応力によってフード3の環状縁部33bの内壁面33c
が押圧され、この押圧によって偏心状態は解消される。
【0053】従って、従来のような回転カップ2の回転
による遠心力によってフード3が回転中心から外方に向
かう力を受けて回転カップ2の一部と接触し、その結果
擦過摩耗で粉塵が発生するような不都合が有効に抑止さ
れる。
【0054】図4は、本発明の第2実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、第1実
施例の環状溝29に代えて、環状溝29の底面が径方向
外方に先上がりの傾斜底面29a′を採用したものであ
る。その他は第1実施例と同じである。このように環状
溝29の底面を傾斜底面29a′とすることによって、
この傾斜底面29a′と楔溝29bの下面部とで環状溝
29の底面部にV字形状の溝が形成されるため、この溝
に案内されてOリング9がより確実に、かつ、安定して
環状溝29内に嵌入される。
【0055】図5は、本発明の第3実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、内側突
起27の外周側の壁面に、第1実施例の楔溝29bに代
えて断面円弧状の円弧溝29b′を採用したものであ
る。円弧溝29b′の曲率径はOリング9の厚径と等し
いことが好ましい。その他は実施例1のものと同じであ
る。円弧溝29b′を採用したことにより、Oリング9
の内側の面がこの円弧溝29b′に密着するため、Oリ
ング9の露出部分に外力が作用しても、両者の密着部分
におけるOリング9の変形が抑制されることになる。従
って、形状変形はOリング9の露出部分だけとなり、O
リング9の半分だけが変形に加担することとなるため、
同一変形量に対する弾性応力が大きくなり、その分フー
ド3が偏心して回転カップ2に装着された場合の偏心矯
正力が向上する。
【0056】図6は、本発明の第4実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、内壁面
33cに代えて傾斜面33c′を採用したものである。
その他は第1実施例と同じである。このように、環状縁
部33bの内壁面に傾斜面33c′を形成したことによ
って、フード3の嵌入を円滑に行うことができる。ま
た、傾斜面33eと傾斜面33cとで形成される角度が
より鈍角になりOリング9の周面形状に近づくため、シ
ール効果が向上する。従って、両傾斜面33e、33
c′のOリング9への当接部分をOリング9の曲率半径
に合致した円弧形状にしてもよい。
【0057】図7は、本発明の第5実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、環状堰
部22aに第1〜第4実施例に示されている外側突起2
8が設けられておらず、その代りに楔溝29bの開口部
から径方向外方に底面29a″が延設されている。そし
て、この底面29a″の縁部に位置決め突起290が立
設されている。
【0058】一方、上記フード3の環状縁部33bの径
方向先端部には、上記位置決め突起290に対応した位
置決め凹部33dが凹設されており、フード3による回
転カップ2の閉止時に位置決め突起290が位置決め凹
部33dに嵌入してフード3の位置決めが行われるよう
になっている。その他は実施例1と同じである。
【0059】このように、回転カップ2に位置決め突起
290を設けるとともに、フード3に位置決め突起29
0に対応した位置決め凹部33dを設けることにより、
フード3と回転カップ2とを完全に同期させた状態で回
転させることができる。
【0060】図8は、本発明の第6実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、上記第
5実施例の楔溝29b″の下部に水平な底面291が形
成され、この底面291とこれに続く底面29a″とが
面一になっている他は上記図7に示す第5実施例と同じ
である。
【0061】図9は、本発明の第7実施例に係るシール
構造を示す断面図である。この実施例の場合は、内側突
起27の外周壁面に、第1〜第6実施例に示したような
環状溝(楔溝29b、円弧溝29b′楔溝29b″)を
設けずに、それらに代わるものとして環状縁部(環状突
部)33bの外周壁面に楔溝(第2環状溝)331が形
成されている。
【0062】そして、この楔溝331に鉢巻き状態でO
リング9が嵌入されている。この楔溝331の開口部の
上部に膨出縁部33が外方に延設され、その縁部に図7
および図8に示すのと同様の位置決め凹部33dが凹設
されているとともに、外側突起28の上面部には上記位
置決め凹部33dに嵌入する位置決め突起290が立設
されている。
【0063】そして、環状縁部33bが環状溝(第1環
状溝)29の底面29aに嵌入された状態でOリング9
は外側突起280の内周面に当接するように寸法設定さ
れている。また、上記楔溝331の開口部の溝幅はOリ
ング9の線径よりも若干小さめに寸法設定されているた
め、環状縁部33bが底面29a内に嵌入された状態で
Oリング9の下面が底面29aの底面に当接するように
なっている。
【0064】従って、フード3が回転カップ2に装着さ
れた状態で、回転カップ2とフード3とはOリング9を
介して接合された状態になっており、Oリング9の弾力
性によってフード3は回転カップ2に確実に装着され、
基盤載置空間S内を確実に密封状態にすることができ
る。
【0065】また、Oリング9はフード3に装着される
ため、フード3を上昇させた状態、すなわち回転カップ
2を開放状態で高速回転させても、Oリング9が遠心力
で広がって外れてしまうことがない。従って、基盤表面
を洗浄した後などに高速回転で乾燥させることができ
る。
【0066】なお、上記実施例において、楔溝331の
代わりに円弧溝が適用されてもよい。また、外側突起2
8の内側壁面と環状溝29の底面29aとで形成される
隅部をOリング9の外周曲面に沿うように形状設定して
もよい。
【0067】また、上記図5〜図8に示す第3実施例〜
第7実施例において、内側突起27と外側突起28との
間に形成される底面を、図4に示す第2実施例の傾斜底
面29a′と同様の傾斜面にしてもよい。
【0068】さらに、図5に示す第3実施例において適
用されている円弧溝29b′を、断面視で扁平、さらに
はが矩形状または多角形状の角溝にしてもよい。
【0069】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の回転式薬液処理
装置のシール構造によれば、回転カップの環状突起の壁
面に設けられたシール部材を嵌入する環状溝は、従来の
ような蟻溝ではないため、環状溝へのシール部材の嵌入
時に、シール部材を無理に押圧し変形させることに起因
する密度分布の不均一によってシール部材の露出面が面
一にならず、そのためシール性が損なわれるという不都
合を確実に回避することができる。
【0070】また、弾性シール部材は環状突起の環状溝
に鉢巻き状で嵌入したため、回転カップを閉止している
フードを上昇させても、弾性シール部材がフードに粘着
してフードに同伴することによってシール部材が環状溝
から外れるような不都合を防止することができる。
【0071】本発明の請求項2記載の回転式薬液処理装
置のシール構造によれば、環状溝を断面視で楔形状に形
成したため、この楔形状の陥没部に確実に弾性シール部
材を保持することができる。
【0072】本発明の請求項3記載の回転式薬液処理装
置のシール構造によれば、環状溝を断面視で円弧形状に
形成したため、この円弧状の陥没部に確実に弾性シール
部材を保持することができる。また、環状溝を円弧形状
にしたことにより、弾性シール部材の外周面はこの環状
溝の内周面に密着するため、弾性シール部材が環状溝に
嵌入された状態で弾性シール部材の露出部分に外力が作
用しても、両者の密着部分において弾性シール部材は形
状変形しないで形状変形は弾性シール部材の露出部分だ
けとなり、弾性シール部材の半分だけが変形に加担する
こととなり、同一変形量に対する弾性応力が大きくな
り、その分フードが偏心して回転カップに装着された場
合の偏心矯正力の向上を図ることができる。
【0073】本発明の請求項4記載の回転式薬液処理装
置のシール構造によれば、環状溝の開口部の底部に径方
向に先上がりに傾斜した傾斜底面が形成し、シール部材
をこの傾斜底面に誘導させるようにしたため、弾性シー
ル部材をより確実に環状溝に嵌入させることができる。
【0074】本発明の請求項5記載の回転式薬液処理装
置のシール構造によれば、フードに第1環状溝に嵌入す
る環状縁部を設け、この環状縁部に径方向外方の壁面に
上記弾性シール部材の内周面側が嵌入可能な第2環状溝
を形成したため、フードを上昇させた状態、すなわち回
転カップを開放状態で回転させても、弾性シール部材が
遠心力で広がって外れてしまうことがない。従って、基
盤表面を洗浄した後などに高速回転で乾燥させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転式薬液処理装置のシール構造
の一例を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
1実施例を示す断面図である。
【図4】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
2実施例を示す断面図である。
【図5】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
3実施例を示す断面図である。
【図6】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
4実施例を示す断面図である。
【図7】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
5実施例を示す断面図である。
【図8】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
6実施例を示す断面図である。
【図9】本発明の回転式薬液処理装置のシール構造の第
7実施例を示す断面図である。
【図10】従来の回転式薬液処理装置のシール構造を説
明するための断面示の説明図である。
【符号の説明】
1 薬液処理装置 2 回転カップ 21 中径軸部 22 環状皿部 22a 環状堰部 201 排出孔 23 回転軸 23a 吸気通路 23b チューブ 24 大径軸部 25 支持筒体 25a フランジ 26 ベアリング 27 内側突起 28 外側突起 29 環状溝 29a 底面 29b 楔溝 3 フード 31 フード本体 32 把持部 33 膨出縁部 33a 縁部環状溝 33b 環状縁部 33c 内壁面 4 ケーシング 41 排出用帯孔 401 回収通路 42 垂直孔 5 フード着脱機構 51 蓋体 52 L字アーム 531 長ストロークシリンダ 532 短ストロークシリンダ 531a,532a シリンダロッド 6 カップ回転機構 61 駆動モータ 62 駆動プーリ 63 従動プーリ 7 昇降機構 71 第二シリンダ 72 シリンダロッド 73 昇降ブロック73 9 Oリング

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転カップと、この回転カップを上方か
    ら環状の弾性シール部材を介して被覆するフードとを有
    する回転式薬液処理装置のシール構造において、上記回
    転カップには周縁部上面に環状突起が設けられ、上記環
    状突起は径方向外方の壁面に上記弾性シール部材の内周
    面側が嵌入可能な環状溝が形成され、上記フードには被
    覆時に上記弾性シール部材の外周面側であって上記環状
    溝から一部露出した面に当接する環状縁部が形成されて
    いることを特徴とする回転式薬液処理装置のシール構
    造。
  2. 【請求項2】 上記環状溝は断面視で楔形状に形成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の回転式薬液処理
    装置のシール構造。
  3. 【請求項3】 上記環状溝は断面視で円弧形状に形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の回転式薬液処
    理装置のシール構造。
  4. 【請求項4】 上記環状溝の開口部の底部には径方向に
    先上がりに傾斜した傾斜底面が形成されていることを特
    徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回転式薬液
    処理装置のシール構造。
  5. 【請求項5】 回転カップと、この回転カップを上方か
    ら環状の弾性シール部材を介して被覆するフードとを有
    する回転式薬液処理装置のシール構造において、上記回
    転カップには周縁部上面に第1環状溝が設けられ、上記
    フードには第1環状溝に嵌入する環状突部が設けられ、
    この環状突部は径方向外方の壁面に上記弾性シール部材
    の内周面側が嵌入可能な第2環状溝が形成されているこ
    とを特徴とする回転式薬液処理装置のシール構造。
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