JP3569363B2 - 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置 - Google Patents

金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属溶解炉から排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備、特にスクラップ予熱装置を備える金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の金属材料や金属類や鉱石などの溶解、溶融、精錬または製錬工程、特にステンレス鋼等を含む特殊鋼や、高合金鉄などを溶製する製鉄や製鋼工程においては、様々な金属溶解炉や金属溶解溶融炉や金属製錬炉などが用いられる。このうちの電気炉では、主に、スクラップやフェロアロイや鉱石など種々の金属分を含有する主原料と、主に、精錬やスラグ塩基度調整用としての造滓材や加炭材や還元材などを含む副原料などから成る原料の溶解または溶融、さらに精錬などに用いられる。現在、使用されている電気炉は、その多くが次第に大形化され、大容量を有し、交流電源または直流電源を用いるアーク加熱式電気炉である。このような電気炉内には、通常、前述のように、種々の主副原料が配合された固体原料が装入される。電気炉に備えられている電極に通電するとアーク放電が始まり、このアーク放電により発生した熱によって固体原料が溶解または溶融されて種々の金属や合金などの溶湯、溶銑または溶鋼など、すなわち広義の金属溶湯とスラグとが溶解または溶融されて溶製される。原料の溶解および溶融時には、主原料中や加炭材のコークス中に含まれるカーボンは、クロム鉱石等の酸化物中の酸素および炉内の空気中酸素と反応して、COガスを発生する。このため、電気炉から排出される排ガス中には、COガスが含まれる。
【0003】
近年、電気炉には、集塵設備およびスクラップ予熱装置を付帯設備として設ける事例が多くなっている。集塵設備は、電気炉から排出される排ガス中のダストを除去する環境対策用の設備であり、スクラップ予熱装置は排ガスの顕熱を利用して省エネルギを図るための装置である。前記設備が設けられている場合には、電気炉から排出される排ガスは空気とともに吸引され、排ガス中のCOガスと空気中の酸素との酸化反応によって高温の燃焼排ガスを生成する。この高温の燃焼排ガスはスクラップ予熱装置に導かれ、排ガスの顕熱によってスクラップを予熱した後、集塵設備でダストを除去されて外部に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、集塵設備およびスクラップ予熱装置を備える電気炉においては、排ガス中のダスト除去およびスクラップの予熱を行うことができるので、良好な作業環境の下で省エネルギ操業を行うことができる。しかしながら、電気炉操業中に集塵設備が異常を生じたとき、たとえばダストの詰まり等で空気取込口が小さくなり、前記空気の吸引が不充分となった場合、空気の吸引量不足によって電気炉から排出される排ガス中のCOガスが完全燃焼しない場合がある。従来の電気炉操業においては、前記異常を検知することができないので、前記COガスが未燃のままスクラップ予熱装置に流入して、装置内に滞留し、スクラップ予熱装置内の温度上昇に伴い、前記未燃COガスが空気中の酸素と反応し、COガスの異常燃焼を生じて設備を破損する恐れがある。
【0005】
また、集塵設備のガスクーラがダストで詰まったり、集塵設備の配管が破損したりした場合には、集塵設備の集塵能力が低下するので、電気炉から発生する排ガスおよびダストを充分に吸引することができなくなり、電気炉の電極挿通孔などの開口部などから排ガスおよびダストが炉外へ排出することとなる。このような場合、作業場がダストで覆われ、作業環境が悪化するばかりでなく、電気炉をハウスで覆っている場合には、COガスがハウス内に滞留し、COガス中毒の発生する恐れもある。
【0006】
本発明の目的は、前記問題を解決し、電気炉など金属溶解炉の集塵設備に異常を生じた場合でも、異常を迅速に検知して、COガスの異常燃焼などの不具合発生を未然に防止することのできる金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、金属溶解炉から排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられており、
前記排ガスと空気とを吸引して排ガスと空気とを反応させて燃焼し、
燃焼排ガスを採取して、燃焼排ガス中の所定成分の濃度を連続的に測定し、
燃焼排ガス中の所定成分の濃度が予め定めるしきい値に達したとき、金属溶解炉の集塵設備が異常であると判断することを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法である。
本発明に従えば、金属溶解炉の集塵設備の異常判定は、集塵設備の状況に対応して変動する前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度によって集塵設備の状況を連続的に把握し、集塵設備の異常発生と対応する値に設定されている予め定めるしきい値に基づいて集塵設備の異常を判定することによって行われるので、前記異常判定を正確、かつ確実に行うことができる。
【0008】
また本発明は、前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度としてCO濃度を測定し、このCO濃度が3%以上になったとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする。
本発明に従えば、燃焼排ガス中のCO濃度のしきい値が金属溶解炉の集塵設備の異常発生と対応する値であり、かつ燃焼排ガスの最高温度域におけるCOガスの爆発限界濃度とほぼ一致する値に選ばれているので、金属溶解炉の集塵設備の異常判定を正確、かつ確実に行うことができ、さらにCOガスの異常燃焼を確実に防止することができる。
【0009】
また本発明は、前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度としてO 濃度を測定し、このO 濃度が5%以下になったとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする。
本発明に従えば、燃焼排ガス中のO 濃度のしきい値が、金属溶解炉の集塵設備の異常発生と対応する適正な値に選ばれているので、金属溶解炉の集塵設備の異常判定を確実に行うことができる。
【0010】
また本発明は、前記燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であり、かつ前記燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下であるとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする。
本発明に従えば、金属溶解炉の集塵設備が異常であると判定するには、燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度のしきい値をともに満たす必要があるので、前記CO濃度およびO 濃度の異常値による誤判定が防止され、前記異常判定を適正かつ確実に行うことができる。
【0011】
また本発明は、金属溶解炉から排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられており、
電気炉から排出される排ガスと空気とを吸引する吸引手段と、
排ガスと空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段と、
燃焼手段の出側に設けられ、燃焼排ガスを採取するサンプルプローブと、
サンプルプローブで採取した燃焼排ガス中の成分濃度を連続的に測定するガス分析手段と、
燃焼排ガス中の成分濃度のしきい値を予め定める値に設定する設定手段と、
ガス分析手段の出力に応答し、燃焼排ガス中の成分濃度と設定手段によって設定されたしきい値とを対比し、燃焼排ガス中の成分濃度がしきい値に達したとき金属溶解炉の集塵設備が異常であると判断する判定手段と、
判定手段によって前記集塵設備が異常であると判断されたとき警報を発する警報手段とを含むことを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置である。
本発明に従えば、金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置は、ガス分析手段によって連続的に測定した燃焼排ガス中の成分濃度と、設定手段によって集塵設備の異常発生と対応する値に設定されている予め定める前記成分濃度のしきい値とに基づいて、判定手段によって金属溶解炉の集塵設備の異常判定を行うことができるので、前記異常判定が正確かつ確実に行われ、異常を迅速に検知することができる。このため、COガスの異常燃焼による設備破損などを未然に防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置(以後、「異常判定装置」と略称することがある)の構成を簡略化して示す系統図である。図1には、金属溶解炉、たとえばステンレス鋼を溶解する電気炉10ならびに電気炉10に付帯して設けられている集塵設備2およびスクラップ予熱装置19の系統図も併せて示している。
【0013】
異常判定装置1は、電気炉10から排出される排ガスと空気とを吸引する吸引手段16と、排ガスと空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段11と、燃焼手段11の下流側に設けられ、燃焼排ガスを採取するサンプルプローブ3と、サンプルプローブ3で採取した燃焼排ガスの成分濃度を連続的に測定するガス分析手段であるガス分析計4と、燃焼排ガスの成分濃度のしきい値を予め定める値に設定する設定手段5と、燃焼排ガスの成分濃度としきい値とに基づいて電気炉10の集塵設備2の異常判定を行う判定手段6と、判定手段6によって集塵設備2が異常であると判定されたとき警報を発する警報手段7とを含んで構成される。
【0014】
前記吸引手段16は誘引ファンによって実現され、誘引ファン16は常時、一定流量で排ガスを吸引して、集塵設備全体に排ガスの流れを形成する。前記燃焼手段11は燃焼塔によって実現され、燃焼塔11は電気炉10から排出される排ガス中の未燃ガスであるCOガスを空気中の酸素と反応させて燃焼し、高温の燃焼排ガスを生成させる。
【0015】
前記集塵設備2は、電気炉10から排出されるダストを捕集する集塵機26と、排ガスを冷却するガスクーラ25と、排ガスを導く第1集塵ダクト14a〜第5集塵ダクト14e(集塵ダクト14と総称することがある)と、集塵ダクト14を通過する排ガスの流量を調整する第1ダンパ18a〜第4ダンパ18dとを含んで構成される。
【0016】
前記スクラップ予熱装置19は、断熱材料を内張りしたバスケット20と、バスケット20を収容するスクラップ予熱装置本体21と、バスケット20の上部に昇降自在に乗載されるフード22と、フード22を昇降させる昇降手段23とを含んで構成される。スクラップはバスケット20に装入され、そのままスクラップ予熱装置本体21内に収容された後、フード22で覆われ、前記燃焼塔11から排出される燃焼排ガスによって予熱される。
【0017】
原料の溶解中、電気炉10から排出されるダストを含む排ガスは、電気炉10の天井蓋13に設けられている集塵エルボ12から炉外に排出され、集塵エルボ12と対向して間隔をあけて設けられている第1集塵ダクト14a内に吸引される。この吸引力は、前記誘引ファン16によってもたらされるものであり、前記排ガスを吸引するばかりでなく、前記集塵エルボ12と第1集塵ダクト14aとの間隙に形成される空気取り入れ口15から空気を第1集塵ダクト14a内に吸引する。第1集塵ダクト14a内に吸引された前記排ガスおよび空気は、前記燃焼塔11に導かれ、第1集塵ダクト14a内および燃焼塔11内で酸化反応する。前記酸化反応熱で高温となった燃焼排ガスは、大部分第1ダンパ18aを備える第2集塵ダクト14bを経て、前記スクラップ予熱装置19にフード22から導かれ、バスケット20に装入されているスクラップを予熱する。スクラップを予熱した排ガスは、スクラップ予熱装置19の出側の第3ダンパ18cを備える第4集塵ダクト14dに導かれる。
【0018】
燃焼塔11から排出される排ガスの一部は、スクラップ予熱装置19をとおらないで第2ダンバ18bを備える第3集塵ダクト14cを経て、前記第4集塵ダクト14dに導かれる。なお、前記サンプルプローブ3は、第3集塵ダクト14cに設置されており、設置位置は第2ダンバ18bの上流側である。また、サンプルプローブ3の上流側には、近接して燃焼排ガスの温度を測定する温度センサ17が設けられている。第4集塵ダクト14dに導かれたダストを含む排ガスはガスクーラ25で冷却され、集塵機26においてバグフィルタによって除塵され、集塵機26の下流側に設けられている前記誘引ファン16によって外部に排出される。電気炉10の天井蓋13開放時や、後記出湯口37開放時や、スクラップ予熱装置19のフード22開放時などに発生するダストを含む排ガスは、電気炉10を覆うハウス24aおよびスクラップ予熱装置19を覆うハウス24bの上部に設けられているフード27a,27bを介して、第4ダンパ18dを備える第5集塵ダクト14eに前記誘引ファン16の吸引力によって導かれ、集塵機26を経て外部へ排出される。
【0019】
前記集塵設備2には、▲1▼前記空気取り入れ口15のダストによる目詰まり、▲2▼スクラップ予熱装置19のシール性劣化、▲3▼ガスクーラ25のダストによる目詰まり、▲4▼集塵ダクト14の破損、などの異常が発生することがある。前記▲1▼の異常が発生した場合には、空気取り入れ口15から吸引される空気量が不足するので、燃焼塔11において電気炉10から排出された排ガス中のCOガスが完全燃焼しない。このため、COガスが未燃のまま前記スクラップ予熱装置19内に流入して、滞留し、CO濃度が高い場合には、COガスの爆発限界に達し、スクラップ予熱装置19内に流入する酸素と反応してCOガスの異常燃焼を生じ、設備を破損する恐れがある。前記▲2▼〜▲4▼の異常が発生した場合には、集塵設備2の集塵能力が低下するので、電気炉10から発生する排ガスおよび空気取り入れ口15からの空気を充分に吸引することができなくなる。このため、前記▲1▼と同様の問題が発生するばかりでなく、電気炉10から発生する排ガスが電気炉10の電極挿通孔などの開口部などから炉外に排出され、電気炉10を覆っているハウス24a内にCOガスが滞留し、COガス中毒の発生する恐れがある。さらに、作業場がダストで覆われ、作業環境が悪化する。
【0020】
図2は電気炉の構成を簡略化して示す正面から見た断面図であり、図3は図2に示す電気炉の天井蓋の平面図である。電気炉10は、天井蓋13と炉本体30とを含み、天井蓋13には自在に昇降する電極40と、同心円状に配置されている水冷管31と、電気炉の排ガスを炉外に導く集塵エルボ12とが設けられている。炉本体30は、大略的に円筒状の炉壁33と炉床34とを有しており、炉床34には撹拌用ガスを吹き込むためのガス吹込用ノズル38が設けられている。炉壁33の下部および炉床34の内表面には、耐火物層が設けられており、外表面には鉄皮35が設けられている。炉壁33の上部には、水冷管31が配設されており、酸素吹精用ランスなどを装入する作業口36、および溶湯を出湯する出湯口37が設けられている。炉壁33と炉床34とで形成される内部空間39には、スクラップなど各種原料が装入され、電極40への通電によって各種原料が溶解、溶融して、ステンレス溶鋼41およびスラグ43が貯留される。原料を溶解、溶融するに伴い、原料中のカーボン源および加炭材であるコークスが、原料中の酸化物および炉内酸素と反応して、COガスなどの排ガスが発生する。
【0021】
図4は、サンプルプローブの構成を簡略化して示す系統図である。サンプルプローブ3は、排ガスを採取するサンプルプローブ本体45と、排ガス中のダストを捕集する焼結フィルタ47と、ガス分析計4に採取ガスを導くガス輸送管路46と、焼結フィルタ47の外側に洗浄ガスを吹き付ける外側洗浄ノズル48aと、焼結フィルタ47の内側に洗浄ガスを吹き付ける内側洗浄ノズル48bと、外側洗浄ノズル48aと内側洗浄ノズル48bとに洗浄ガスを供給する洗浄ガス供給手段49と、タイマ53とを含んで構成される。洗浄ガス供給手段49は、洗浄ガス供給源50と、外側洗浄用管路51と、内側洗浄用管路52と、外側洗浄用電磁弁51aと、内側洗浄用電磁弁52aとを含んで構成される。焼結フィルタ47は、金属製、たとえば耐熱性および除塵性の優れたチタン製のフィルタであり、サンプルプローブ本体45と、ガス輸送管路46との接続部に設けられる。
【0022】
電気炉10において、原料の溶解が行われているときには、サンプルプローブ3によって排ガスの採取が行われる。排ガスは、サンプルプローブ本体45内に吸引され、焼結フィルタ47によってダストを捕集され、電磁弁46aを備えたガス輸送管路46を経てガス分析計4に導かれる。排ガスの吸引は、ガス分析計4の内部に設置された後記吸引ポンプ56によって行われる。電気炉10において、原料の装入が行われているときには、サンプルプローブ3の焼結フィルタ47の洗浄が行われる。洗浄は、洗浄ガスである高圧窒素ガスを焼結フィルタ47に次のような手順で吹き付け、付着ダストを吹払除去することによって行われる。なお、窒素ガスの吹き付け圧力は、たとえば2kg/cmである。
【0023】
高圧窒素ガスの吹き付けは、外側洗浄用管路51の電磁弁51aを開いて高圧窒素ガスを外側洗浄ノズル48aに供給し、焼結フィルタ47の外側に窒素ガスを吹き付けた後、内側洗浄用管路52の電磁弁52aと前記電磁弁51aとの開閉を逆に切換え、高圧窒素ガスを内側洗浄ノズル48bに供給し、焼結フィルタ47の内側に窒素ガスを吹き付けることによって行われる。なお、前記操作は複数回、たとえば3回繰り返され、電磁弁51a,52aの切換えは、タイマ53によって行われる。
【0024】
このように、サンプルプローブ3の焼結フィルタ47は、電気炉10において原料の装入が行われる毎に、外側および内側の両方から高圧窒素ガスによる洗浄が行われるので、サンプルプローブ3によって排ガスを極めて長期間にわたって連続して採取することができる。なお、サンプルプローブ3の排ガスの連続採取可能期間は、たとえば10ケ月であり、ダストの捕集を行わない従来のサンプルプローブの排ガスの連続採取可能期間は、たとえば1〜3チャージである。
【0025】
図5は、ガス分析計の構成を簡略化して示す系統図である。ガス分析計4は、フィルタ55と、吸引ポンプ56と、電磁弁57と、CO/CO 濃度計58と、O 濃度計59とを含んで構成される。吸引ポンプ56によって吸引された排ガスは、吸引ポンプ56の上流側に設けられている2個のフィルタ55によって0.2μm以上のダストを除去され、直列に配置されているO 濃度計59およびCO/CO 濃度計58の両方にこの順序で導入され、排ガスの成分濃度分析後、外部へ排出される。各濃度計58,59への排ガスの導入は、電磁弁57の開閉によって行われる。CO/CO 濃度計58は、赤外線吸収式濃度計であり、排ガス中のCOガスおよびCO ガス濃度を同時に測定することができる。CO/CO 濃度計58の仕様は、表1に示すとおりである。O 濃度計59は、磁気流量比式濃度計であり、排ガス中のO ガス濃度を測定することができる。O 濃度計59の仕様は、表2に示すとおりである。
【0026】
【表1】
Figure 0003569363
【0027】
【表2】
Figure 0003569363
【0028】
電気炉10の実操業中、原料の装入時期を除いて、燃焼排ガス中のCO、COおよびO濃度が、前記ガス分析計4によって連続的に測定される。前記集塵設備2の異常発生時には、前述のように燃焼塔11における空気吸引量が不足し、電気炉から排出された排ガス中のCOガスの酸化反応が抑制されるので、燃焼塔11の出側における燃焼排ガス中には未燃COガスが残存する。また、前記集塵設備2の異常の程度が大きくなるにつれて、燃焼排ガス中のCO濃度が上昇し、O濃度が低下するので、燃焼排ガス中のCO濃度およびO濃度を連続的に測定することによって、前記集塵設備2の異常発生状況を連続的に把握することができる。なお、燃焼排ガス中のCO 濃度を測定するのは、COガスの酸化反応によって生成するCO 濃度の測定によって、電気炉10から発生したCOガスに対する未燃COガス量の割合を把握することができるからである。
【0029】
前記設定手段5は、パーソナルコンピュータなどによって実現され、燃焼排ガスの成分濃度のしきい値を予め定める値に設定する。燃焼排ガスの成分濃度のしきい値は、前記集塵設備2の異常発生と対応する燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度を事前に把握することによって、燃焼排ガスの成分毎に後述する予め定める値に設定される。
【0030】
前記判定手段6は、プロセスコンピュータなどによって実現され、ガス分析計4の出力に応答し、排ガスの成分濃度と、設定手段5によって設定されたしきい値とを対比し、排ガスの成分濃度がしきい値に達したとき集塵設備が異常であると判断する。前記警報手段7は、ブザーなどによって実現される。
【0031】
このように異常判定装置1は、電気炉10から排出される排ガスを空気と反応させて燃焼後、燃焼排ガスをサンプルプローブ3によって採取し、前記集塵設備2の状況に応じて変化する排ガス中の所定成分の濃度をガス分析計4によって連続的に測定し、排ガスの所定成分の濃度が設定手段5によって設定される予め定めるしきい値に達したとき、判定手段6によって前記集塵設備2が異常であると判断し、警報手段7などによって警報を発することができる。このため、異常判定装置1の判定は、正確かつ確実に行われ、集塵設備2の異常を迅速に検知することができる。また、スクラップ予熱装置19における前記COガスの異常燃焼、およびハウス24a内における前記COガス中毒などの発生を未然に防止することが可能となり、電気炉10の操業安全性を大幅に向上させることができる。
【0032】
図6は、異常燃焼の発生した電気炉の実操業における燃焼塔出側の燃焼排ガスの成分濃度変化を示す推移図である。図6には、前記温度センサ17によって測定した燃焼塔11出側の燃焼排ガスの温度変化も併せて示している。推移線G1は、燃焼排ガス中のCO濃度の推移を示しており、推移線G2は燃焼排ガス中のO 濃度の推移を示しており、推移線T1は燃焼排ガスの温度の推移を示している。
【0033】
時刻t1では、電気炉10に原料の初期装入が行われ、通電が開始される。原料の溶解が進行するに伴い、原料中のカーボンおよびコークスが原料中の酸化物および酸素と反応して、COガスが発生する。COガスの発生量は、溶解初期には反応が活発で多く、溶解が進行するにつれて減少する。通常、電気炉10から排出された排ガス中のCOガスは、燃焼塔11において吸引された空気中の酸素と反応して完全燃焼するので、燃焼塔11出側の燃焼排ガス中のCO濃度はほぼ0%である。しかしながら、図6に示す電気炉の実操業においては、空気取り入れ口15の目詰まりなどの集塵設備2の異常発生によって空気の吸引量が少なくなり、COガスを完全燃焼させることができない。このため、燃焼排ガス中のCO濃度が極めて高濃度になっており、最大10%に達している。一方、燃焼排ガス中のO 濃度は、空気の吸引量が少ない状態で、COの酸化反応によって酸素が消費されるので、極めて低濃度になっており、最小0%に達している。また、燃焼塔11出側の燃焼排ガスの温度は、COガスの酸化反応熱によって高温になっており、900〜1100℃の温度範囲で推移している。なお、前記CO濃度、O 濃度および燃焼排ガス温度の変動が激しいのは、集塵設備2の異常発生に伴う吸引力低下に起因するものである。
【0034】
時刻t2では、原料の追加装入が行われ、再度通電が開始される。原料の追加装入量は、初期装入量よりも少なく、COガスの発生量が少ないので、空気の吸引量が少なくともCOガスは、燃焼塔11においてほぼ完全燃焼する。このため、燃焼排ガス中のCO濃度はほぼ0%であり、それに対応して燃焼排ガス中のO 濃度は空気中の酸素の濃度である約20%を示す。また、燃焼排ガス温度は、COガスの発生量が少ないので、低下して600〜800℃の温度範囲で推移する。時刻t3では、追加装入した原料が溶解したと判断され、溶湯の温度調整およびスラグ中酸化クロムの還元精錬などが行われ、時刻t4で出湯が行われる。時刻t3以後の燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度ならびに燃焼排ガス温度の推移は、時刻t2からt3における推移と同様である。
【0035】
このように、燃焼塔11の出側において燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度を連続的に測定することによって、集塵設備2の異常発生を検知することができる。
【0036】
図7は、COガスの爆発限界濃度の温度依存性を示す特性図である。曲線L1はCOガスの爆発限界濃度の下限界線を示し、曲線U1は上限界線を示す。図7において、斜線を施した領域が爆発危険領域である。図7から燃焼塔11の燃焼排ガス最高温度域である900〜1100℃におけるCOガスの爆発限界濃度の下限界は3〜4%であるので、前記図6の時刻t1から時刻t2間においては、COガスの異常燃焼が発生することが判る。
【0037】
図8は、図6に示す実操業と同一の条件における集塵設備の状況と燃焼塔出側の燃焼排ガス中のCO濃度との関係を示す特性図である。記号W,B,Gは、集塵設備の状況を表す記号であり、その内容は表3に示す通りである。図8中に示す○印は、電気炉の通電開始からの経過時間が30分未満の操業初期におけるデータであることを示す記号であり、×印は、電気炉の通電開始から30分間以上経過した時刻におけるデータであることを示す記号である。
【0038】
【表3】
Figure 0003569363
【0039】
図8から集塵設備2の状況が記号Wの状況である場合、すなわち空気取り入れ口15の隙間がダストの詰まりやすい30mmであり、かつガスクーラ25のダスト詰まりなどで集塵能力が低下している状態では、空気の吸引量が大幅に不足し、COガスの酸化反応が抑制されるので、燃焼排ガス中のCO濃度が非常に高くなり、7〜22%の範囲で変動することが判る。また、図8から集塵設備2の状況が記号Bの状況である場合、すなわち空気取り入れ口15の隙間は、ダスト詰まりの恐れのない100mmであるけれども、ガスクーラ25のダスト詰まりなどで集塵能力が低下している状態では、空気の吸引量が不足し、COガスの酸化反応が抑制されるので、燃焼排ガス中のCO濃度が高くなり、3〜8%の範囲で変動することが判る。なお、前記集塵設備2の状況が記号Wおよび記号Bの状況である場合には、図7からCOガスの異常燃焼が生じる恐れがある。さらにまた図8から、集塵設備2の状況が記号Gの状況である場合、すなわち空気取り入れ口15の隙間がダスト詰まりの恐れのない100mmであり、かつ集塵能力が充分に確保されている状態では、燃焼排ガス中のCO濃度が極めて低く、ほぼ0%であることが判る。このため、空気取り入れ口15の隙間は、100mmに設定することが好ましい。
【0040】
このように、集塵設備2の状況によって燃焼排ガス中のCO濃度が変動するので、逆に燃焼排ガス中のCO濃度から集塵設備2の異常発生を検知することができる。たとえば、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上のときには、ガスクーラ25のダスト詰まりや、集塵ダクト14の穴開きなど集塵能力の低下をもたらす集塵設備2の異常が発生していることが検知され、燃焼排ガス中のCO濃度が8%以上のときには、前記異常に加えてさらに空気取り入れ口15のダスト詰まりが発生していることが検知される。このため、前記設定手段5によって設定される燃焼排ガス中のCO濃度の前記予め定めるしきい値は、3%に選ばれることが好ましい。これによって、前記異常判定装置1は、ガス分析計4によって測定された燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上のとき、集塵設備2が異常であると、正確かつ確実に判断することができる。
【0041】
なお、集塵設備2が異常であると判断する他の判断基準として、燃焼排ガス中のO濃度を用いてもよい。前記O濃度の予め定めるしきい値は、5%に選ばれることが好ましい。これは、前記図6に示すように燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下のとき、前記CO濃度が3%以上であることによるものである。これによって、前記異常判定装置1は、前記CO濃度を判定基準とする場合と同様に、燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下のとき、集塵設備2が異常であると正確かつ確実に判断することができる。
【0042】
さらにまた、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であり、かつ燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下であるとき、集塵設備2が異常であると判断してもよい。この判断基準によって、集塵設備2が異常であると判定するには、燃焼排ガス中のCOおよびO のしきい値をともに満たす必要があるので、前記CO濃度およびO 濃度の異常値による誤判定が防止され、前記異常判定を適正かつ確実に行うことができる。
【0043】
図9は、燃焼排ガス中のCO濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。ステップa1では、電気炉10に原料が装入され、通電が開始される。装入原料としては、フェロニッケルと、フェロクロムおよびステンレス鋼屑などが主として用いられる。通電開始後、原料の加熱および溶解に伴ってCOガスが発生する。電気炉10から発生したCOガスを含む排ガスは、前記誘引ファン16の吸引力によって燃焼塔11に導かれ、前記空気取り入れ口15から吸引された空気と反応して燃焼する。前述のように、空気取り入れ口15の隙間および集塵設備2の集塵能力が充分に確保されている場合には、空気が充分吸引されるので、前記排ガス中のCOガスは燃焼塔11において完全燃焼し、燃焼塔11出側の燃焼排ガス中のCO濃度がほぼ0%になる。しかしながら、ガスクーラ25のダスト詰まりなど集塵設備2に異常が発生している場合には、空気の吸引量が不足するので、前記COガスの酸化反応が抑制され、前記燃焼排ガス中には、未燃COガスが残存する。ステップa2では、燃焼塔11の出側において燃焼排ガス中のCO濃度が測定される。この測定は、前記サンプルプローブ3によって採取された燃焼排ガスを用いて、前記CO/CO 濃度計58によって行われ、通電中連続して測定される。
【0044】
ステップa3では、燃焼排ガス中のCO濃度が予め定めるしきい値以上であるか否かが判断される。このしきい値は、前述のように集塵設備2が異常であると判断される燃焼排ガス中のCO濃度のしきい値であり、設定手段5によって3%に設定されている。ステップa3における判断が否定の場合には、集塵設備2が異常なしと判断され、ステップa6に進む。ステップa3における判断が肯定の場合には、集塵設備2が異常であると判断され、警報手段7により警報が出された後、ステップa4に進む。ステップa4では、集塵設備2の異常対策が行われる。異常対策は、集塵設備2を正常状態へ復帰させるために集塵能力の向上を図る方向で行われる。すなわち、前記誘引ファン16、第2ダンパ18bおよび第3ダンパ18cを、次のような順序で操作することによって集塵能力を段階的に向上させる。なお、第2ダンパ18bは、燃焼塔11から排出される燃焼排ガスのうち、スクラップ予熱装置19を通過しない燃焼排ガスの流量を調整するダンパであり、第3ダンパ18cは、第2ダンパ18bとスクラップ予熱装置19とを通過した燃焼排ガスの流量を調整するダンパである。
【0045】
(1)誘引ファン16の出力を100%にアップする。なお、第2ダンパ18bおよび第3ダンパ18cのダンパ開度は、ともに正常時のダンパ開度である15%のままである。
(2)第2ダンパ18bのダンパ開度を25%、50%、100%の順序で段階的に増大させる。なお、誘引ファン16の出力および第3ダンパ18cのダンパ開度は、それぞれ100%、15%のままである。
(3)第3ダンパ18cのダンパ開度を25%、50%、100%の順序で段階的に増大させる。なお、誘引ファン16の出力および第2ダンパ18bのダンパ開度は、ともに100%のままである。
【0046】
ステップa5では、再度、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、前記異常対策によって集塵設備2が正常状態に復帰していないと判断され、警報が出された後、再度ステップa4に戻り、前記異常対策よりもさらに集塵能力を向上させた次段階の異常対策が行われる。この処理ループは、ステップa5における判断が否定になるまで繰り返される。ステップa5における判断が否定であれば、ステップa6に進む。ステップa6では、電気炉10の通電が終了しているか否かが判断される。この判断が否定であれば、再度ステップa3に戻り、前記処理が繰り返される。ステップa6における判断が肯定であれば、本通電期間中における集塵設備2の異常判定を終了する。なお、前記異常対策は、あくまでも緊急避難的な措置であり、長期にわたる継続は、熱ロスが増大するので好ましくない。このため、直近の定期修理時期に集塵設備2の異常個所の点検、補修を行うことが必要である。
【0047】
このように本実施の形態によれば、集塵設備2の異常判定は、電気炉10の通電中、集塵設備2の状況に対応して変動する燃焼排ガス中のCO濃度によって集塵設備2の状況を連続的に把握し、集塵能力の低下などの集塵設備2の異常発生と対応する値に設定されている予め定めるしきい値に基づいて、集塵設備2の異常を判定する方法によって行われるので、集塵設備2の異常判定を正確かつ確実に行うことができる。これによって、異常判定時には、集塵能力を向上させるための異常対策を迅速に実施することができるので、空気の吸引量不足に基づくスクラップ予熱装置19における前記COガスの異常燃焼の発生、および集塵能力低下に基づくハウス24a内における前記COガス中毒の発生などを未然に防止することが可能となり、電気炉10の操業安全性を大幅に向上することができる。
【0048】
図10は、燃焼排ガス中のO 濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。本フローチャートの構成は、図9に示すフローチャートの構成と基本的には同一であり、両者の相違点は測定ガスがCOガスでなくO ガスである点と、異常判定のしきい値が異なる点とである。このため、図10の説明は、重複を避けるために省略する。これによって、O 濃度による集塵設備の異常判定を正確かつ確実に行うことができるので、CO濃度による場合と同様の効果を得ることができる。
【0049】
図11は、燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。ステップc1では、電気炉10に原料が装入され、通電が開始される。通電開始後の電気炉10における排ガス発生状況および燃焼塔11における燃焼排ガス発生状況は、前記図9に示すフローチャートのステップa1において述べたとおりである。ステップc2では、燃焼塔11の出側において、燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度が測定される。これらの測定は、前記サンプルプローブ3によって採取された燃焼排ガスを用いて前記CO/CO 濃度計58によって行われ、通電中連続して測定される。ステップc3では、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であるか否かが判断される。この判断が否定の場合には、集塵設備2が異常なしと判断され、ステップc8に進む。ステップc3における判断が肯定の場合には、ステップc4に進む。ステップc4では、燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下であるか否かが判断される。この判断が否定の場合には、集塵設備2が異常なしと判断され、ステップc8に進む。ステップc4における判断が肯定の場合には、集塵設備2が異常であると判断され、警報が出された後、ステップc5に進む。
【0050】
ステップc5では、集塵設備2の異常対策が実施される。異常対策の内容は、前記図9に示すフローチャートのステップa4と全く同一である。ステップc6では、再度、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であるか否かが判断される。この判断が否定であれば、前記異常対策によって集塵設備2が正常状態に復帰していると判断され、ステップc8に進む。ステップc6における判断が肯定であれば、ステップc7に進む。ステップc7では、再度燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下であるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、前記異常対策によって集塵設備2が正常状態に復帰していないと判断され、警報が出された後、再度ステップc5に戻り、前記異常対策よりもさらに集塵能力を向上させた次段階の異常対策が行われる。この処理ループは、ステップc6またはステップc7のいずれかにおける判断が否定になるまで繰り返される。ステップc7における判断が否定であれば、ステップc8に進む。ステップc8では、電気炉10の通電が終了しているか否かが判断される。この判断が否定であれば、再度ステップc3に戻り、前記処理が繰り返される。ステップc8における判断が肯定であれば、本通電期間中における集塵設備2の異常判定を終了する。
【0051】
このように本実施の形態では、集塵設備2が異常であると判断するには、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であり、かつO 濃度が5%以下でなければならないので、前記CO濃度およびO 濃度の異常値による誤判定が防止され、集塵設備2の異常判定を適正かつ確実に行うことができる。
【0052】
【実施例】
図2および図3に示す90トン電気炉を用いて、ステンレス鋼を溶製した。SUS304系のステンレス鋼を溶製する場合の主原料配合を、表4に示す。長期間にわたる溶製によって得られた結果を、表5に示す。本発明の実施例については、集塵設備2の異常判定は、燃焼排ガス中のCO濃度に基づいて行い、図1に示す異常判定装置1を用いて図9に示すフローチャートの手順に従って行った。従来法の比較例については、集塵設備2の異常判定は行わなかった。
【0053】
表5から、本発明の実施例は、比較例に比べて、COの異常燃焼の発生が皆無になったこと、ガスクーラ25の清掃時期を、燃焼排ガス中のCO濃度の推移により管理することができるので、清掃頻度を低減することができること、COの異常燃焼の発生を防止することができるので、スクラップ予熱装置19の稼働率を増加することができること、スクラップ予熱装置19の稼働率増加によって電力原単位が低下し、省エネルギを図ることができることなどが判る。
【0054】
【表4】
Figure 0003569363
【0055】
【表5】
Figure 0003569363
【0056】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、次に示すような効果が得られる。
(a)空気取り入れ口15のダスト詰まり、ガスクーラ25のダスト詰まりおよび集塵ダクト14の破損など集塵設備2の異常発生を正確かつ確実に検知することができるので、集塵能力を向上させるための異常対策を迅速に行うことが可能となり、空気の吸引量不足に基づくCOの異常燃焼の発生を未然に防止することができる。このため、スクラップ予熱装置などの設備破損が防止され、電気炉10の操業安全性が大幅に向上する。
(b)前記異常対策の実施により、集塵設備2の集塵能力低下に基づく電気炉10の開口部からの排ガスの排出を防止することができるので、電気炉10を覆っているハウス24a内にCOガスが滞留し、COガス中毒の発生する危険性を未然に回避することができる。また、作業場がダストで覆われる作業環境の悪化も防止することができる。
(c)スクラップ予熱装置におけるCOの異常燃焼が防止されるので、スクラップ予熱装置の稼働率を増加させることができる。このため、電力原単位が低下し、省エネルギを図ることができる。
(d)ガスクーラの清掃時期を合理的に決定することができるので、過剰な清掃作業を排除することが可能となり、清掃頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電気炉の集塵設備の異常判定装置の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】電気炉の構成を簡略化して示す正面から見た断面図である。
【図3】図2に示す電気炉の天井蓋の平面図である。
【図4】サンプルプローブの構成を簡略化して示す系統図である。
【図5】ガス分析計の構成を簡略化して示す系統図である。
【図6】異常燃焼の発生した電気炉の実操業における燃焼塔出側の燃焼排ガスの成分濃度変化を示す推移図である。
【図7】COガスの爆発限界濃度の温度依存性を示す特性図である。
【図8】図6に示す実操業と同一の条件における集塵設備の状況と燃焼塔出側の燃焼排ガス中のCO濃度との関係を示す特性図である。
【図9】燃焼排ガス中のCO濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】燃焼排ガス中のO 濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】燃焼排ガス中のCO濃度およびO 濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 電気炉の集塵設備の異常判定装置
2 集塵設備
3 サンプルプローブ
4 ガス分析計
5 設定手段
6 判定手段
7 警報手段
10 電気炉
11 燃焼塔
15 空気取り入れ口
16 誘引ファン
19 スクラップ予熱装置
24a ハウス
25 ガスクーラ
26 集塵機

Claims (5)

  1. 金属溶解炉から排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられており、
    前記排ガスと空気とを吸引して排ガスと空気とを反応させて燃焼し、
    燃焼排ガスを採取して、燃焼排ガス中の所定成分の濃度を連続的に測定し、
    燃焼排ガス中の所定成分の濃度が予め定めるしきい値に達したとき、金属溶解炉の集塵設備が異常であると判断することを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法。
  2. 前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度としてCO濃度を測定し、このCO濃度が3%以上になったとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法。
  3. 前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度としてO 濃度を測定し、このO 濃度が5%以下になったとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法。
  4. 前記燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であり、かつ前記燃焼排ガス中のO 濃度が5%以下であるとき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法。
  5. 金属溶解炉から排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられており、
    電気炉から排出される排ガスと空気とを吸引する吸引手段と、
    排ガスと空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段と、
    燃焼手段の出側に設けられ、燃焼排ガスを採取するサンプルプローブと、
    サンプルプローブで採取した燃焼排ガス中の成分濃度を連続的に測定するガス分析手段と、
    燃焼排ガス中の成分濃度のしきい値を予め定める値に設定する設定手段と、
    ガス分析手段の出力に応答し、燃焼排ガス中の成分濃度と設定手段によって設定されたしきい値とを対比し、燃焼排ガス中の成分濃度がしきい値に達したとき金属溶解炉の集塵設備が異常であると判断する判定手段と、
    判定手段によって前記集塵設備が異常であると判断されたとき警報を発する警報手段とを含むことを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置。
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