JP2012251225A - 転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法 - Google Patents

転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 フードを介して排ガスが集塵される転炉型反応炉の炉口に配置される炉口金物に水冷処理などを施さずとも、また、いかなる構造の炉口金物であっても、炉口金物の溶損を抑制することのできる炉口金物溶損防止方法を提供する。
【解決手段】 本発明の転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法は、炉口周囲の耐火煉瓦の上部側に炉口金物を有する転炉型反応炉1に収容された溶融金属2に酸素ガスを供給し、炉内での発生ガスを炉口上方に設置したフード4を介して回収しながら前記溶融金属を製錬または精錬する際に、製錬中または精錬中の炉口圧力を大気圧よりも高くなるように調整し、炉口部での大気のフード内への巻き込みを抑制する。その際に、前記炉口圧力の設定値を大気圧に対して10Pa以上30Pa以下の範囲内で高くなるように調整することが好ましい。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鉄鋼製造過程の製錬工程や精錬工程で使用される上吹き転炉や底吹き転炉、更には上底吹き転炉などの所謂、転炉型反応炉の炉口の周囲に配置される炉口金物の溶損を転炉型反応炉の炉口圧力の制御によって抑制する方法に関する。
鉄鋼の製錬及び精錬工程では、溶銑の脱炭精錬やクロム鉱石の溶融還元製錬などに、上吹き転炉、底吹き転炉、上底吹き転炉が使用されている。我が国における主流の転炉は、上吹きランスのみを具備した上吹き転炉であったが、その後、その内部に収容される溶融金属のガス攪拌が可能な底吹き転炉が導入されるに伴い、従来の上吹き転炉を改造して攪拌用または精錬用のガス(酸素ガスの他、例えばArガス、窒素ガス、炭化水素ガスなど)を底吹きする羽口を併設した上底吹き転炉の利用も増加している。
このような転炉型反応炉の基本構造は、広口の壺形状をした鉄皮の内壁に耐火煉瓦が内張され、内部に収容される溶融金属の排出を配慮し、前記鉄皮を水平方向から支持する2本のトラニオン軸を回転軸として傾動可能としたものである。また、製錬時或いは精錬時には、内部に収容される溶融金属に酸素ガスを供給して様々の精錬反応を生じさせるために、反応炉の上方から内部へ昇降可能な上吹きランスを挿入したり、或いは、反応炉の底部や側壁部に羽口を設けたりしている。更に、反応炉内で形成されるスラグの酸化状態を変化させたり、炉内で発生したCOガスを溶融金属の浴面上で燃焼(「二次燃焼」と呼ぶ)して省エネ効果を発揮させたりするために、上吹きランスのランス高さ(溶融金属浴面からランス先端までの距離)を調整できるようにもなっている。
転炉型反応炉に収容した溶融鉄を酸素吹錬する際には、例えば溶銑に含有される炭素或いは加熱用に添加した炭材などと酸素ガスとが反応してCOガスが発生する。また、酸素ガスの浴面への衝突或いは吹き込みに起因して、溶融鉄、造滓剤、炭材などの粒子(まとめて「ダスト」と呼ぶ)が飛散し、これらのダストは発生するCOガスに随伴して転炉型反応炉から排出される。本発明では、転炉型反応炉から排出されるガスを「排ガス」と呼ぶ。前記ダストを集塵するべく、炉口の上方にはフードが設けられており、ダストを含有する排ガスはこのフードを介して集塵機に回収されるようになっている。近年では、炉内での反応によって発生するCOガスを未燃焼のまま回収するべく、排ガスの回収装置として非燃焼ガス回収装置(「OG装置」ともいう)が広く用いられている。
この非燃焼ガス回収装置を用いた操業では、転炉型反応炉直上の炉口圧力(「フード内圧力」ともいう)を検出し、炉口圧力が予め設定された値になるように、非燃焼ガス回収装置に設けられたダンパーの開度を制御することが行われている。例えば、特許文献1には、炉口圧力を大気圧に対して−1〜+2mmH2O(−9.8〜+19.6Pa)に制御して溶銑を脱炭精錬することが開示されている。炉口圧力を大気圧よりも低くすれば、大気がフード内に吸い込まれ、炉口圧力を大気圧よりも高くすれば、排ガスが反応炉内から大気中に排出されることになる。
また、転炉型反応炉で溶融鉄の酸素吹錬をする場合には、酸素ガスと、溶融金属中に含まれる炭素或いは投入された副原料に含まれる炭素とで、酸化反応を起こし、炉内及び排ガスの温度は2000℃近くまで上昇する。炉内で発生したCOガスをCO2ガスに炉内空間で二次燃焼させる場合には、更に温度が上昇する。
一方、図1に転炉型反応炉の例として上吹き転炉の縦断面概略図を示すように、転炉1の炉口部には、内張りされた耐火煉瓦31が脱落しないようにするべく該耐火煉瓦31を押さえ付けるための炉口金物30が設置されている。尚、図1において、符号1は転炉、26は炉口、27は鉄皮、28は炉口フランジ、29は炉口金物座であり、鉄鋼製の炉口金物30は、炉口26の円周方向で複数個に分割され、それぞれがボルト(図示せず)を介して鉄鋼製の炉口金物座29に取り付けられている。炉口金物30の上部に集塵用のフードが設けられていることから、従って、炉口金物30は、前述したような高温の雰囲気下に晒される。
炉口金物30は、高温雰囲気下に晒されることで溶損する。その溶損は構造上から炉口金物30の内径が大きくなる方向に進行するので、やがて、内張りされた耐火煉瓦31の押さえが効かなくなり、耐火煉瓦31の抜け落ち及び破損などの原因になって、転炉1の寿命を劣化させる。そこで、従来、冷却能を高めた水冷構造の炉口金物(例えば、特許文献2)や、上吹きランスから水を供給することにより炉口金物を冷却する方法(例えば、特許文献3)が提案されている。
しかしながら、特許文献2に提案される炉口金物は、構造が複雑で製作に手間がかかり、高価になるばかりでなく、使用中に水漏れ事故を起こす恐れがある。また、特許文献3に記載される炉口金物の冷却方法は、上吹ランスからの水漏れ事故を起こす恐れがあり、また、水が炉内の溶融金属やスラグなどの高温溶融物と接触することで水蒸気爆発を起こす恐れがある。
特開昭58−177412号公報 特開平5−1315号公報 特開2000−282128号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、フードを介して排ガスが集塵される転炉型反応炉の炉口に配置される炉口金物に水冷処理などを施さずとも、また、いかなる構造の炉口金物であっても、炉口金物の溶損を抑制することのできる炉口金物溶損防止方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく、鋭意研究検討を行った。その結果、従来、特許文献1に開示されるように炉口圧力を大気圧と同等に制御しており、大気圧は精錬中には急激に変化しないものの、炉口圧力は炉内でのCOガスの発生量に応じて変化することから、炉口圧力を大気圧と同等に制御するといえども、炉口圧力は大気圧を中心値として上下に或る圧力幅の範囲で変動しているのが実態であり、炉口圧力の変動に伴って、炉口から大気を吸引したり、逆に排ガスを排出したりしていることが分かった。即ち、炉内が大気圧に対して負圧になる場合に炉口から侵入する大気により排ガス中のCOガスが燃焼(二次燃焼)し、この二次燃焼による雰囲気温度の上昇により、炉口金物の溶損が促進されるとの知見を得た。つまり、炉口圧力つまりフード内圧力を大気圧よりも常に高くすることで、侵入する大気による二次燃焼が抑えられ、炉口金物の溶損が抑制されることを見出した。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
(1)炉口周囲の耐火煉瓦の上部側に炉口金物を有する転炉型反応炉に収容された溶融金属に酸素ガスを供給し、炉内での発生ガスを炉口上方に設置したフードを介して回収しながら前記溶融金属を製錬または精錬する際に、製錬中または精錬中の炉口圧力を大気圧よりも高くなるように調整し、炉口部での大気のフード内への巻き込みを抑制することを特徴とする、転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法。
(2)前記炉口圧力の設定値を大気圧に対して10Pa以上30Pa以下の範囲内で高くなるように調整することを特徴とする、上記(1)に記載の転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法。
本発明によれば、炉内での発生ガスを炉口上方に設置したフードを介して回収しながら転炉型反応炉で溶融金属を製錬または精錬する際に、転炉型反応炉の炉口圧力を大気圧よりも高い状態に保持するので、大気のフード内への巻き込みが抑制されることで、炉口部での排ガスの大気による二次燃焼が抑制され、その結果、炉口部に配置した炉口金物への熱負荷が軽減し、炉口金物に水冷構造のような特別の構造を施さなくても、炉口金物の溶損を効果的に防止することが可能となる。その結果、いかなる構造の炉口金物であっても、溶損速度が従来よりも遅くなり、転炉型反応炉の寿命を従来に比べて延長させることが実現される。
炉口金物を有する上吹き転炉の縦断面概略図である。 上吹き転炉における排ガスの回収設備の構成を示す概略図である。 炉口圧力の設定値と排ガス中の窒素ガス流量との関係の調査結果を示す図である。 排ガス中の窒素ガス流量と炉口部の雰囲気温度(雰囲気温度と溶鋼温度との差)との関係の調査結果を示す図である。 炉口圧力の設定値を「大気圧+10Pa」及び「大気圧+30Pa」としたそれぞれの期間における炉口金物内径の推移及び損耗速度を示す図である。 炉口圧力の設定値を「大気圧±0Pa」とした際の炉口金物内径の推移及び損耗速度を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
先ず、転炉型反応炉として、溶銑の脱炭精錬または予備脱燐処理を行う上吹き転炉を例とし、上吹き転炉における排ガスの回収設備について説明する。図2は、炉内での反応によって発生するCOガスを未燃焼のまま回収するための、上吹き転炉における排ガスの回収設備(非燃焼ガス回収装置)の構成を示す概略図である。尚、上底吹き転炉及び底吹き転炉においても、発生する排ガスを未燃焼のまま回収する排ガス回収設備は、図2に示す構成と同様である。
図2において、溶銑2を収容した転炉1の内部には上方から上吹きランス3が挿入され、この上吹きランス3から酸素ガスが溶銑2に吹き付けけられて溶銑2の脱炭精錬や予備脱燐処理が行われる。溶銑2の脱炭精錬及び予備脱燐処理により炉内からCOガスを主体とする排ガスが発生する。転炉1の上方にはフード4が設置され、フード4の後段には、煙道23を経由して、一次集塵機6、エルボーセパレーター7、二次集塵機8、エルボーセパレーター10、排ガス流量計11、吸引ファンダンパー12、No.1誘引送風機13、No.2誘引送風機14、サイレンサー15、三方弁16の順に設置されており、排ガスの回収流路を構成している。三方弁16を越えた以降の排ガス流路は2つに分岐しており、1つは煙突18から大気に放散される流路であり、他の1つは回収弁17を経てガスホルダー19に至り、ガスホルダー19で回収される流路である。No.1誘引送風機13及びNo.2誘引送風機14は電動機(図示せず)により駆動され、これにより転炉内の発生ガスが吸引され、煙突18から放散されるか若しくはガスホルダー19に回収される。図2は2基の誘引送風機13,14を直列に設置した例であるが、誘引送風機の設置数は2基に限るものではなく、3基以上としてもまた1基であっても構わない。
フード4の転炉炉口との接続側は、スカート5と呼ばれる、上下移動が可能な構造(フード4とスカート5との間は水封構造)となっており、排ガスを回収する場合には、スカート5は下降し、スカート5と転炉1の炉口金物(図1を参照のこと)とは原則的には接触した状態となる。但し、炉口金物の表面には地金やスラグが付着するので、スカート5と炉口金物との間には隙間が形成される。つまり、密閉された状態にはならない。フード4の下部には、転炉1の炉口圧力を測定するための炉口圧力検出器20が設置され、炉口圧力検出器20の測定結果は炉圧制御演算機21へ入力されている。炉口圧力の測定端はスカート5の内側に通じていればよく、フード4とスカート5と水封部とに囲まれた位置がより好ましい。フード4とスカート5と水封部とに囲まれた位置は、排ガスの流れがないために圧力差が生じなく、排ガスの動圧の影響を受けにくいからである。
二次集塵機8として設置したPAベンチュリーにはダンパー9(以下「PAダンパー9」と記す)が設置されており、PAダンパー9はPAダンパー駆動装置22によりその開度が調整されるようになっている。PAダンパー駆動装置22には炉圧制御演算機21の信号が入力されており、PAダンパー駆動装置22は炉圧制御演算機21の信号によりPAダンパー9の開度を調整するようになっている。即ち、炉圧制御演算機21は、炉口圧力検出器20の測定結果に基づき、炉口圧力が所定値の範囲(例えば、特許文献1では、大気圧に対して−1〜+2mmH2O)になるように、PAダンパー9の開度を調整している。この炉口圧力の制御方法は、その制御性が高い方法であるならば、いかなる制御方法であってもよく、通常、一般的なPI制御が行われている。フード4につながる煙道23の頂部には、排ガスを採取するためのガス採取管24が設けられ、採取された排ガスはガス分析計25で定量分析されるように構成されている。
このような構成の排ガス回収設備を有する上吹き転炉において、従来の炉口金物の溶損防止対策は、炉口金物自体を冷却することに集中して行われており、本発明者らは着眼点を変更し、炉口金物の溶損を引き起こす炉口金物直上の雰囲気温度を低下できれば、炉口金物の構造とは無関係に炉口金物の溶損防止ができるのではないかと考えた。そこで、炉口圧力制御の設定値変更によって炉口部からの大気のフード内への巻き込み量を制御し、炉口金物の溶損防止の可能性を検討した。
その結果、炉口部からの大気のフード内への巻き込み量は炉口圧力に応じて変動することを確認した。図3に、炉口圧力の設定値(=炉口圧力−大気圧=大気圧との差)と排ガス中の窒素ガス流量との関係を調査した結果を示す。排ガス中の窒素ガス流量は、ガス分析計24で測定される排ガス中の窒素ガス濃度と、排ガス流量計11で測定される排ガス流量とを乗算して求めた値である。図3に示すように、煙道23の頂部における排ガス中の窒素ガス流量は、炉口圧力設定値を大気圧に対して高くすればするほど減少しており、炉口圧力の設定値を変化させることで排ガス中の窒素ガス流量を調節できることが分かった。
また図4に、炉口部での大気の巻き込み量の指標である排ガス中の窒素ガス流量と炉口部での二次燃焼による雰囲気温度上昇の指標である「炉口金物直上の雰囲気温度−溶鋼温度」との関係を調査した結果を示す。炉口金物直上の雰囲気温度は、その時の溶鋼温度の影響を受けるので(溶鋼温度が高い場合は炉口金物直上の雰囲気温度もそれに応じて高くなる)、炉口金物直上の雰囲気温度と溶鋼温度との差分を用いて二次燃焼による温度上昇を評価した。図4に示すように、炉口金物直上の雰囲気温度は、排ガス中窒素ガス流量の増加に伴って高くなる傾向が確認された。これは、炉口金物直上の雰囲気温度は、炉口部で巻き込まれた大気による排ガス中COガスの二次燃焼に影響していることを示している。即ち、煙道頂部における窒素ガス流量の変化は、炉口部からの大気の巻き込み量の変化を示しており、炉口圧力の設定値を変更することは、大気に含まれる酸素ガスと排ガスに含まれるCOガスとの酸化反応の抑制及び促進に効果のあることが分かる。
これらの結果から、炉口部における大気の巻き込みを抑制するためには、炉口圧力を少なくとも大気圧よりも高く保持する必要のあることが分かった。
本発明は、これらの検討結果に基づきなされたものであり、本発明に係る炉口金物の溶損防止方法は、炉口金物を有する転炉型反応炉に収容された溶融金属に酸素ガスを供給し、炉内での発生ガスを炉口上方に設置したフードを介して回収しながら前記溶融金属を製錬または精錬する際に、製錬中または精錬中の炉口圧力を大気圧よりも高くなるように調整し、炉口部での大気のフード内への巻き込みを抑制することを特徴とする。
更に、本発明者らは、炉口圧力を大気圧よりもどの程度高くすれば炉口金物の溶損が効率的に抑制されるかを確認するために、炉口圧力を大気圧と同等、大気圧よりも+10Pa、大気圧よりも+30Paの3水準に設定して脱炭精錬を行い、そのときの炉口金物の内径の変化を調査した。
その結果、炉口圧力を大気圧よりも10Pa高く設定した場合、及び、大気圧よりも30Pa高く設定した場合に、溶損に起因する炉口金物の内径拡大が抑制されることを確認した。炉口圧力を+30Paを超えて大気圧よりも高く設定した場合には、炉口金物の溶損は減少するものの、炉口部からの排ガスの噴出が激しくなり、排ガスの回収率が低下するのみならず、排ガス中ダストの環境への流出量が多くなることから好ましくない。つまり、炉口圧力を大気圧よりも+10〜+30Paの範囲内に設定することで、ダスト流出などの環境への影響を抑えた状態で、炉口金物の溶損を効率的に抑制できることを確認した。
本発明を適用する際には、転炉型反応炉の炉口圧力を制御する手段が必要であり、例えば図2に示す、PAダンパー9、誘引送風機13,14、炉口圧力検出器20、炉圧制御演算機21及びPAダンパー駆動装置22を有する排ガス回収設備の設置された転炉型反応炉に適用することができる。但し、図2に示す排ガス回収設備に限るものではなく、炉口圧力を精度良く制御できる手段を有する限り、本発明を適用することができる。
以上説明したように、本発明によれば、転炉型反応炉の炉口圧力を大気圧よりも高い状態に保持するので、大気のフード内への巻き込みが抑制されることで、炉口部での排ガスの二次燃焼が抑制され、その結果、炉口部に配置した炉口金物への熱負荷が軽減し、炉口金物の溶損を効果的に防止することが実現される。
転炉型反応炉として鉄鋼製の炉口金物を有する上底吹き転炉型溶融還元炉を用い、溶銑を鉄浴とし、酸素ガスを上底吹きしながら前記鉄浴上に投入したクロム鉱石を炭材(コークス)で溶融還元し、ステンレス鋼溶製用の含クロム溶銑を製造する溶融還元製錬に本発明を適用した。この上底吹き転炉型溶融還元炉には、図2に示す排ガス回収設備と同様の排ガス回収設備が配置されている。1チャージあたりの溶銑の装入量は平均95.2トン、クロム鉱石の装入量は平均107トンであり、これにより1チャージあたり平均で160トンの含クロム溶銑が得られた。このとき、上底吹きの酸素ガス流量は670Nm3/minとし、上吹きランスの先端位置は溶融金属面から4.7m上方位置とした。
酸素吹錬中の炉口圧力の設定値は、「大気圧+10Pa」及び「大気圧+30Pa」の2水準(本発明例)で行った。具体的には、炉口金物を新品に交換した後、11チャージ製錬するまでは炉口圧力の設定値を「大気圧+10Pa」とし、12チャージ目以降は「大気圧+30Pa」とし、製錬後に炉口金物の内径を光学的計測装置で測定し、それぞれの期間における炉口金物内径の1チャージあたりの損耗速度を調査した。また、比較のために、酸素吹錬中の炉口圧力の設定値を「大気圧±0Pa」とする操業(従来例)も行った。
図5に、酸素吹錬中の炉口圧力の設定値を「大気圧+10Pa」及び「大気圧+30Pa」としたそれぞれの期間における炉口金物内径の推移及び損耗速度を示し、また、図6に、酸素吹錬中の炉口圧力の設定値を「大気圧±0Pa」とした際の炉口金物内径の推移及び損耗速度を示す。図5及び図6に示すように、炉口圧力の設定値を「大気圧+10Pa」とした場合は、炉口金物損耗速度(両側の合計)は6.8mm/ch、炉口圧力の設定値を「大気圧+30Pa」とした場合は5.1mm/chであったのに対し、従来の炉口圧力の設定値を「大気圧±0Pa」とした場合には、炉口金物損耗速度は8.2mm/chであった。
これらの結果から、本発明を適用することにより、炉口金物の溶損を従来に比べて大幅に低減できることが確認された。
1 転炉
2 溶銑
3 上吹きランス
4 フード
5 スカート
6 一次集塵機
7 エルボーセパレーター
8 二次集塵機
9 PAダンパー
10 エルボーセパレーター
11 排ガス流量計
12 吸引ファンダンパー
13 No.1誘引送風機
14 No.2誘引送風機
15 サイレンサー
16 三方弁
17 回収弁
18 煙突
19 ガスホルダー
20 炉口圧力検出器
21 炉圧制御演算機
22 PAダンパー駆動装置
23 煙道
24 ガス採取管
25 ガス分析計
26 炉口
27 鉄皮
28 炉口フランジ
29 炉口金物座
30 炉口金物
31 耐火煉瓦

Claims (2)

  1. 炉口周囲の耐火煉瓦の上部側に炉口金物を有する転炉型反応炉に収容された溶融金属に酸素ガスを供給し、炉内での発生ガスを炉口上方に設置したフードを介して回収しながら前記溶融金属を製錬または精錬する際に、製錬中または精錬中の炉口圧力を大気圧よりも高くなるように調整し、炉口部での大気のフード内への巻き込みを抑制することを特徴とする、転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法。
  2. 前記炉口圧力の設定値を大気圧に対して10Pa以上30Pa以下の範囲内で高くなるように調整することを特徴とする、請求項1に記載の転炉型反応炉での炉口圧力制御による炉口金物の溶損防止方法。
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