JP6191707B2 - 転炉ガス回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転炉からの排出ガスを回収するフードと炉口との隙間から外気のフードへの流入を防止する転炉炉口シール装置及び転炉ガス回収方法に関する。
製鋼工程で用いる転炉では、炭素濃度の高い溶銑に酸素を吹き付けて、溶銑中の炭素を酸化して除去する脱炭精錬を行い、溶鋼を生成する。脱炭精錬中に転炉から、一酸化炭素などの燃焼成分を含む排出ガス(以下適宜「転炉ガス」とも呼ぶ)が発生する。燃焼成分はエネルギー源として利用できる。よって、煙道を介して転炉ガスを回収する転炉ガス回収設備を用い、フードを有する煙道を転炉の炉口上方に配置し、脱炭精錬の際には、フードから転炉ガスを回収している。
転炉では内部の溶鋼と噴きつけた酸素により激しい酸化反応を起こしており、炉口付近には飛散した内部の溶鋼およびスラグが付着する。炉口に付着した溶鋼量およびスラグ量は部位によって異なる。このため、炉口に付着した溶鋼およびスラグを含む炉口の高さは、部位によって異なるので、炉口とフードとの隙間をなくすことができない。また、詳細なメカニズムは明確ではないが、転炉ガスの発生量は、数Hz程度の周期で大きく変動している。現在の排ガス吸引ではこの変動に追従することができないので、転炉ガスの発生量が比較的多い場合にはフードより転炉ガスが漏れ出し、周囲の大気と反応し、炉口周辺で燃焼する。また、転炉ガスの発生量が比較的少ない場合には炉口周辺で燃焼した転炉ガスを吸込んでいることが判明した。このように、炉口周辺で燃焼した転炉ガスを吸込むと、転炉ガス中の燃焼成分が減少するのでエネルギー源としての転炉ガスの利用価値は低下する。
そこで、特許文献1には、フードにスカート部を設け、フードと炉口との隙間を狭くするとともに、フード内へ外気が流入することを防止する転炉炉口シール装置が開示されている。この転炉炉口シール装置は、フード下部に取り付けられたスカート部と、該スカート部の下部外周に設けられた中空断面の環状部材と、該環状部材に設けられたノズルと、を有しており、特許文献1では、スカート部で、フードと炉口との隙間をより小さなものとし、更に、ノズルから炉口外縁付近に向けて空気を噴出することで、フード内への外気の流入を防止している。
特許文献2には、フードと炉口とのシールガスとして排ガスを用いる転炉のスカートシール装置が開示されている、また、特許文献3には、フードと炉口とのシールガスとしてCOを用いる転炉の排ガス処理設備が開示されている。
特開平2−185912号公報 実開平7−38164号公報 特開昭59−222514号公報
特許文献1の転炉炉口シール装置は、フードと炉口との隙間を小さくすることで転炉ガスを燃焼させる外気の吸込み量を減らすことを目的とする。しかしながら、転炉ガスの発生量が大きく変動する転炉において、フードと炉口との隙間を小さくすると、フード内の内圧の変動が大きくなり、これにより転炉の炉圧の変動も大きくなる。炉圧の変動が大きくなることは、炉圧の制御性を低下させる。炉圧の制御性を向上させるには、炉圧を平均化処理することが必要である。炉圧の平均化処理を行うには、フード内の内圧が高い場合には転炉ガスの排出量を増やし、フード内の内圧が低い場合は転炉ガスの排出量を減らすことになるので、フードと炉口との隙間を空けて操業しているのと同様の状態となり、フードと炉口との隙間を小さくするメリットを享受できないことになる。
さらに、特許文献1の転炉炉口シール装置では、スカート部と炉口との間に空隙を形成することとし、ノズルから空気を噴出している。このように、炉口からの吸い込み・噴出しを防ぐ形で空気を噴射しているので、噴射している空気を吸い込むと、空気中に含まれる酸素と転炉ガスとが反応し転炉ガス中の燃焼成分が減少するので、転炉ガスの価値は低下する。
また、特許文献2においては、排ガスをシールガスとして用いており、特許文献3においてはCOをシールガスとして用いている。特許文献2においては、転炉ガスをシールガスとして用いているので、転炉ガスの量が減少し、転炉ガス中の燃焼成分の量も減少する。また、特許文献3においては、COガスを別途用意する必要があるので設備が大きくなり、有効な手段ではないと考えられる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、回収される転炉ガス中の酸素成分の量の増加を確実に防いで、回収される転炉ガス中の燃焼成分の量を増加させることを可能とする転炉炉口シール装置及び転炉ガス回収方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下の通りである。
(1)転炉の上方に配置され、前記転炉からの排出ガスを回収するフードに取り付けられるスカート部を有する転炉炉口シール装置であって、前記転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素を噴出することが可能な窒素ガス噴出口が、前記スカート部の外側で環状に複数設けられていることを特徴とする転炉炉口シール装置。
(2)遮風部材が、前記転炉の炉口と前記窒素ガス噴出口との間で環状に配置されていることを特徴とする(1)に記載の転炉炉口シール装置。
(3)(1)または(2)に記載の転炉炉口シール装置を用い、転炉からの排出ガスを回収する方法であって、窒素ガス噴出口から窒素ガスを噴出することで窒素ガス流れを形成し、前記フードに前記転炉の外側の空気が流入することを防ぐことを特徴とする転炉ガス回収方法。
(4)予め、前記窒素ガス噴出口から前記窒素ガスを噴出するとともに排出ガスを回収する操業を行っておき、前記操業のデータから作成された、前記排出ガス中の燃焼ガス成分量と前記窒素ガスの供給流量との関係式に基づき、前記燃焼ガス成分量が予め定めた目標値を超えることになる前記窒素ガスの供給流量の範囲を特定し、供給する窒素ガスの流量を、特定した範囲内の供給流量とすることを特徴とする(3)に記載の転炉ガス回収方法。
本発明では、転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素ガスを吹き出すことで、窒素ガス噴出口と転炉の炉口との間で、炉口に向かって外気(空気)が流れることを防止し、回収される転炉ガス中の酸素成分の割合の増加を確実に防ぎ、エネルギー源としての転炉ガスの価値の低下を抑えることができる。また、本発明によって、回収される転炉ガス中の燃焼成分の量を確実に増加させる、供給すべき窒素ガスの流量の最適値を定めることができ、窒素ガスの使用コストの低減を図ることができる。
転炉ガス回収設備を示す図である。 図1に示すフードに配置された転炉炉口シール装置の鉛直断面図である。 転炉ガス中の燃焼ガス成分量[体積%]と窒素ガス供給流量[Nm/時]との関係の一例を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態の一例を具体的に説明する。まずは、転炉ガス回収設備の構成を図1に示す。転炉ガス回収設備100は、転炉1からの排出ガス(転炉ガス)を回収する設備である。転炉ガス回収設備100は、転炉1の上方に配置されるフード3、該フード3が接続する煙道6、該煙道6に設けられる除塵機7,8、煙道6内を吸引するブロワー5、煙道6に接続しているガスホルダー9と煙突11、を有する。また、転炉1の炉口とフード3との間に、上下方向に移動可能なスカート部4を有する転炉炉口シール装置40が配置されている。
転炉操業では、高炉で生成された溶銑を転炉1内に装入し、溶銑に向けて酸素を吹き込むことで、溶銑の脱炭精錬を行う。酸素吹込ランス2は、転炉1に向けられた状態でフード3に挿入され、酸素吹込ランス2から転炉1内の溶銑に向けて酸素が吹込まれる。脱炭精錬中に転炉1で発生する転炉ガスは、一酸化炭素ガスを多量に含み高温であり、エネルギー源として利用できる。よって、煙道6に設けられたブロワー5によって煙道6内を吸引し、フード3に転炉ガスを吸引して、該転炉ガスをガスホルダー9に回収する。
煙道6は、図示を省略してあるが、水などの冷却媒体で冷却可能となっている複数の冷却管から構成されており、煙道6は常に冷却されている。転炉ガスは、煙道6を通過している間に冷却され、除塵機7,8で除塵される。図1に示すように、煙道6は、2本に枝分かれしており、一方はガスホルダー9に通じ、もう一方は煙突11に通じている。枝分かれしている煙道6の部分には、ダンパ10a〜10cが設けられていて、該ダンパ10a〜10cを切り換えることによって、煙道6を通過する気体の送り先として、ガスホルダー9あるいは煙突11を適宜選択できる。特に、酸素吹込初期及び末期では、転炉ガスは、一酸化炭素の濃度が低い、すなわち、エネルギー源として利用可能な燃焼成分の濃度が低いので、ダンパ10a〜10cを切り換えることによって、転炉ガスを煙突11に送り、その頂部で燃焼させてから、大気に放散してもよい。
転炉操業では次の三工程を行う。すなわち、まずは、高炉で生成された溶銑を転炉1に装入する受銑工程を行い、次いで、脱炭精錬を含む精錬工程を行い、最後に、精錬後の溶鋼を転炉1から取り出す出鋼工程を行う。受銑工程及び出鋼工程では、転炉1を傾動させて、取鍋などの容器から転炉1に受銑したり、転炉1から前記容器に出鋼することになるので、スカート部4は上下方向に移動可能な構成となっている。受銑工程及び出鋼工程では、スカート部4を上方向に移動させて、転炉1を傾動可能な状態とする。一方で、精錬工程では、スカート部4を下方向に移動させて、転炉1の炉口とフード3との隙間を小さくし、該隙間からのフード3への外気の流入をある程度防止している。
スカート部4を有する転炉炉口シール装置40を図2に示し、図2を用い、該転炉炉口シール装置40の構成を説明する。図2は、転炉1の炉口1aとフード3との隙間をスカート部4で小さくした状態を示し、転炉炉口シール装置40、フード3及び転炉1の鉛直断面を示してある。転炉炉口シール装置40は、冷却管4aが複数並列されて構成されているスカート部4及び冷却媒体循環機構4bを有し、冷却管4aは、水などの冷却媒体が循環可能な構成となっている。冷却媒体循環機構4bは冷却管4aに接続しており、冷却管4aに冷却媒体を循環させることで、スカート部4を冷却している。これにより、高温の転炉ガスがスカート部4を通過しても、スカート部4は、図2に示す形状を保持可能となっている。
スカート部4の外周には、水が満たされた二重管構造の水封筒13が設けられている。また、フード3の外周には、シール筒14が設けられ、該シール筒14の外側では構材15が設けられている。構材15には、上下方向に移動可能なシリンダロッド12aを有するシリンダ12が設けられている。シール筒14が水封筒13内の水に浸漬するように、シリンダロッド12aが、ピン16によって水封筒13に連結されている。このようにして、スカート部4とフード3との間を水封しつつ、スカート部4が上下方向に移動可能なようにフード3に取り付けられている。
スカート部4は、その下端が炉口1aの形状に適合するように広げられ、炉口1aと全体が面接触可能なように構成されている。但し、精錬工程中に、転炉中の溶銑からノロや地金が溢出して、炉口1aに付着し、炉口1aの表面が凹凸状になり、スカート部4と炉口1aとの面接触が不完全なものとなる可能性がある上に、炉口1aの表面が凹凸状となった状態で、炉口1aの表面に形成された凸部がスカート部4に接触すると、該スカート部4を構成する冷却管4aが損傷する可能性もある。そこで、精錬工程中に、スカート部4を、下方向に移動させ炉口1aに近づけるものの、炉口1aに接触させず、スカート部4と炉口1aとの間に空隙Hを形成することとしている。
空隙Hを形成した状態でフード3に転炉ガスを吸引すると、空隙Hから外気(空気)も吸引され、転炉ガス中の酸素成分の割合が増加し、回収される転炉ガス中の燃焼成分が、その外気の酸素成分と反応して、エネルギー源としての転炉ガスの価値が低下する可能性がある。そこで、本発明者は、空隙Hから外気の流入量を抑え、更に、外気が流入しても、回収される転炉ガスの酸素成分を増加させない転炉炉口シール装置40の構成を鋭意検討し、スカート部4の外側で窒素ガス噴出口18aを環状に複数設け、該窒素ガス噴出口18aから転炉1の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素ガスを噴出する構成を導いた。
図2に示すように、転炉炉口シール装置40では、断面が中空に形成された環状管17を、スカート部4の内部を囲むように設けており、環状管17に、転炉1の上部外壁に向いている窒素ガス噴出ノズル18を複数設けている。窒素ガス噴出ノズル18は窒素ガス噴出口18aを有し、該窒素ガス噴出口18aから窒素ガスを噴出することで窒素ガス流れ19を形成し得る。精錬工程中に該窒素ガス流れ19を形成すれば、窒素ガス噴出口18aと炉口1aとの間で、炉口1aに向かう気体流れが形成されにくくなり、フード3への外気の吸引量を抑えることができる。外気が吸引されるとしても、スカート部4の外側の空隙Hの近傍において、気体は概ね窒素Nとなっているので、回収される転炉ガス中の窒素成分は増加するものの、酸素成分は増加せず、燃焼成分が外気の酸素と反応することを防げ、エネルギー源としての転炉ガスの利用価値が低下することを防止できる。
図2の構成では、転炉1の上部外壁に窒素ガスを噴出してあるが、窒素ガス噴出ノズル18を炉口1aの外縁に向けてもよい。その場合でも、転炉1の上部外壁に向いている場合と同様に、フード3に空隙Hから外気が吸引されることを防止できる。
また、図2に示すように、炉口1aと窒素ガス噴出口18aとの間に遮風部材21が、炉口1aと窒素ガス噴出口18aとの間で環状に配置されていることが好ましい。遮風部材21によって、外気が空隙Hからフード3により吸引されにくくなる。遮風部材21は、耐火布や耐火物などの耐火材料で構成する。炉口1a近傍は高温となるからである。
<実験>
窒素ガス噴出口から窒素ガスを噴出して窒素ガス流れを形成することで奏する、回収される転炉ガス中の燃焼成分の割合が増加する効果を評価するべく、図2に示す転炉炉口シール装置40を用いて、窒素ガス噴出口18aから窒素ガスを噴出して窒素ガス流れ19を形成しつつ転炉ガスを回収し、転炉ガスの成分を分析した(本発明例A)。また、図2に示す転炉炉口シール装置40を用いるものの、窒素ガス噴出口18aから空気を噴出して空気流れを形成しつつ転炉ガスを回収し、転炉ガスの成分を分析した(比較例A)。本実験では、溶銑300トンを転炉1に装入し、1回の脱炭精錬につき、溶銑に向けて酸素12000Nm吹き込んで脱炭精錬を行った。
本発明例Aと比較例Aとで、転炉炉口シール装置40へ供給する空気及び窒素ガスの流量を5000[Nm/時]で同量とした。本発明例Aと比較例Aとで1回の脱炭精錬で回収された転炉ガスの成分、熱量及び回収量を表1に示す。
Figure 0006191707
表1によれば、窒素ガス流れ(本発明例A)及び空気流れを形成する場合(比較例A)のいずれでも、転炉ガス中の酸素が反応し、回収される転炉ガス中には酸素はほとんど存在しないことになる。しかしながら、本発明例Aでは、比較例Aの場合よりも、転炉ガス中の燃焼成分である一酸化炭素COの割合が増加し、二酸化炭素COの割合が減少している。このことから、本発明例Aでは、外気の酸素Oがフード3に遮断されて、その酸素Oが、転炉ガス中の一酸化炭素COと反応することを防げたことがわかる。実験結果から、窒素ガス流れ19を形成することによって、回収される転炉ガス中の燃焼成分を増加させることが可能であるとわかる。
転炉炉口シール装置40では、転炉1の上部外壁に向けて窒素ガスを噴出するので、窒素のコストが掛かることになる。よって、転炉炉口シール装置40へ供給される窒素ガスの流量(窒素ガス供給流量)[Nm/時]、すなわち、複数の窒素ガス噴出口18aから噴出される窒素ガスの総流量を抑えることが望ましい。本発明者は、窒素ガス供給流量を抑える方法を検討し、転炉ガス中の燃焼ガス成分量[体積%]と窒素ガス供給流量[Nm/時]との間には、燃焼ガス成分量を縦軸とし、窒素ガス供給流量を横軸としたグラフにおいて上に凸となる形状の関係が成立することを、今までの操業データから見出し、燃焼ガス成分量が、予め設定する目標値を超えることになる窒素ガス供給流量の最適値を特定する方法を確立した。転炉ガス中の燃焼ガス成分とは、水素H及び一酸化炭素COのガス成分をいう。
今までの操業データを解析して作成した、転炉ガス中の燃焼ガス成分量と窒素ガス供給流量との関係の一例を図3に示す。図3のグラフに示すように、燃焼ガス成分量と窒素ガス供給流量との間には、上に凸となる形状の関係が成立している。窒素ガス供給流量を増加させることによって、精錬工程中に形成される窒素ガス流れ19が大きくなっていき(図2参照)、転炉1の外側から空隙Hに向かう気体流れが形成されにくくなって、空隙Hに流入していく外気の量が抑えられ、回収される転炉ガス中に外気の酸素成分が流入せず、転炉ガス中の燃焼成分の量は大きくなっていく。しかしながら、窒素ガス供給流量を更に増加させ、窒素ガス流れ19を大きくし過ぎると、フード3への転炉ガスの流れに抗して、窒素ガス流れ19が、空隙Hの転炉ガスを巻き込む現象が生じ、転炉ガスが空隙Hからある程度流出し、燃焼成分の量は減少していく。よって、燃焼ガス成分量と窒素ガス供給流量との間には、図3のグラフにおいて、上に凸の形状の関係が成立すると推察される。
前述の関係を利用して、回収される転炉ガス中の燃焼ガス成分量を高位にする窒素ガス供給流量の最適値を求めることができる。まずは、予め、窒素ガス噴出口18aから窒素ガスを噴出するとともに転炉ガスを回収する操業を行っておき、その操業データに基づいて、図3に示すように、グラフにデータをプロットする。そして、適宜、回帰計算などで、転炉ガス中の燃焼ガス成分量[体積%]と窒素ガス供給流量[Nm/時]との関係を示す、上に凸となる形状を表す二次関数などとなる近似曲線32(関係式)を作成する。次いで、転炉ガス中の燃焼ガス成分量[体積%]の目標値31を定め、近似曲線32から目標値31となる窒素ガス供給流量の下限値33と上限値34とを特定し、下限値33と上限値34とで定まる範囲の値が、窒素ガスの流量の最適値となる。今後の操業においては、この最適値の流量で窒素ガスを転炉炉口シール装置40を供給して、窒素ガス噴出口18aから窒素ガスを噴出すれば、回収される転炉ガス中の燃焼ガス成分量が目標値31を超えることが期待できる。
図3のグラフが得られた操業において、燃焼ガス成分量を60体積%以上含む転炉ガスを回収しようとする場合には、燃焼ガス成分量が60体積%を若干超えた61体積%を目標値31と定め、近似曲線32から、下限値33を2000Nm/時と特定することができ、上限値34を8000Nm/時と特定することができる。よって、2000〜8000Nm/時で定まる範囲の値を窒素ガスの供給流量の最適値とすることができる。なお、目標値31を73体積%程度とすれば、近似曲線32から、下限値33を4000Nm/時と特定し、上限値を6000Nm/時と特定することができる。
本実施形態では、スカート部4を囲むように設けられた環状管17に、転炉1の上部外側壁に向いている窒素ガス噴出ノズル18を複数設け、該窒素ガス噴出ノズル18から窒素ガスを噴出しているが、本発明はこの形態に限定されるものではない。本発明は、スカート部4の外側で環状に複数設けられた窒素ガス噴出口18aから転炉1の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素ガスを噴出し、窒素ガス流れ19を形成できればよい。例えば、スカート部4の外側で、スカート部4を囲むように環状に、窒素ガス噴出口が形成されたガス供給管を複数配置し、窒素ガス噴出口から転炉1の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素ガスを噴出するようにしても、窒素ガス流れ19を形成できる。
図2に示すスカート部4は、冷却管4aが水平方向に複数並列されて構成されているが、本発明のスカート部はこの形態に限定されるものではなく、スカート部4は冷却可能な構成となっていればよい。例えば、スカート部4を、冷却管を鉛直方向に複数並列した構成としてもよいし、内管と外管とからなる二重管構造とし、内管を転炉ガスが通過する部分とし、内管と外管との間隙に冷却水を循環させる構成にしてもよい。これにより、スカート部4を冷却可能な構成とし得る。
以上のようにして、転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素ガスを吹き出すことで、窒素ガス噴出口と転炉の炉口との間で、炉口に向かって空気が流れることを防止し、回収される転炉ガス中の酸素成分の割合の増加を確実に防ぎ、エネルギー源としての転炉ガスの価値の低下を抑えることができる。また、本発明によって、回収される転炉ガス中の燃焼成分の量を確実に増加させる、供給すべき窒素ガスの流量の最適値を定めることができ、窒素ガスの使用コストの低減を図ることができる。
また、転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて吹き出す窒素ガスは、空気から酸素を分離する設備において副生される窒素ガスを用いてよい。空気中には、79体積%程度の窒素と、21体積%程度の酸素が含まれていることから、空気から酸素を分離する設備においては、窒素ガスが多量に副生される。このため、転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて吹き出すガスとして窒素ガスを用いることで、コストを増加させることなく当該窒素ガスを用意できる。また、副生される窒素ガスを用いることで、大きなガス貯蔵設備を設ける必要がなくなるので、設備の大型化も抑制することができる。
図1に示す転炉ガス回収設備100を用いて、転炉操業における溶銑の脱炭精錬中に生じる転炉ガスを回収する操業を複数回行った。この操業では、前述の実験と同様の条件とし、溶銑300トンを転炉1に装入し、1回の脱炭精錬につき、溶銑に向けて酸素12000Nm吹き込んで脱炭精錬を行なった。
まずは、転炉ガス回収設備100中の転炉炉口シール装置40として、図2に示す構成のうち、炉口1aと窒素ガス噴出口18aとの間に遮風部材21が配置されていない転炉炉口シール装置を用い、窒素ガス噴出口18aから、窒素ガスではなく空気を噴出して空気流れを形成する操業を行った(比較例1)。
比較例1の操業と同様の転炉炉口シール装置を用い、窒素ガス噴出口18aから、窒素ガスを噴出して窒素ガス流れ19を形成する操業を行った(本発明例1)。また、図2に示す転炉炉口シール装置40を用いた以外は本発明例1と同じ条件で、転炉ガスを回収する操業を行った(本発明例2)。今まで操業データから、転炉ガス中の燃焼ガス成分量と窒素ガス供給流量との関係を示す図3のグラフが作成できている。燃焼ガス成分量の目標値を61体積%と定め、窒素ガスの流量の最適値が、2000〜8000Nm/時の範囲との値と求めることができたが、窒素ガス供給流量の最適値を、燃焼ガス成分量が概ね最大となる5000[Nm/時]とし、その最適値の窒素ガス供給流量で、窒素ガスを環状管に供給して、転炉ガスを回収する操業を行った(本発明例3)。
本発明例3では、窒素ガス供給流量を特定してあるが、本発明例1及び2では、図3のグラフで得られる上限値34を超えた流量で窒素ガスを転炉炉口シール装置に供給することにした。比較例1においては、本発明例1と同様の流量で、空気を環状管に供給して、転炉ガスを回収する操業を行った。
転炉ガス中の水素H及び一酸化炭素COの成分が燃焼成分となる。比較例1及び本発明例1〜3の操業における、遮風部材のある/なし、転炉ガス中の燃焼成分量(割合)及び窒素供給流量を表2に示す。
Figure 0006191707
表2には、「燃焼成分量/窒素ガス供給流量」を示してある。この値が大きいほど、少ない流量の窒素ガスで、燃焼成分をより多く回収できたことになる。また、表2において、比較例1では窒素ガスを供給していないので、「窒素供給流量」及び「燃焼成分量/窒素ガス供給流量」の項目には「−」を記載してある。「遮風部材」の「単位」の項目にも「−」を記載してある。
表2から、本発明例1〜3では、燃焼成分量を比較例1の場合よりも多く回収できたことがわかる。また、窒素ガス供給流量の最適値を設定した本発明例3では、本発明例1及び2の場合よりも、燃焼成分量/窒素ガス供給流量の値が大きく、少ない流量の窒素ガスで燃焼成分をより多く回収できたことがわかる。また、本発明例2では、遮風部材21によって、空隙Hからフード3に外気が吸引されることを防げたので、燃焼成分量を本発明例1の場合よりも多く回収できたことがわかる。
本発明によって、窒素ガスを転炉の炉口外縁に向けて吹き出すことで、窒素ガス噴出口から転炉の炉口に向けて空気が流れ、フードに流入することを防止し、回収される転炉ガス中の酸素成分の割合の増加を確実に防ぎ、エネルギー源としての転炉ガスの価値の低下を抑えることができる。また、回収される転炉ガス中の燃焼成分の量を確実に増加させるが、供給すべき窒素ガスの流量が抑えられた、窒素ガスの流量の最適値を定めることができる。
1 転炉
1a 炉口
2 酸素吹込ランス
3 フード
4 スカート部
4a 冷却管
4b 冷却媒体循環機構
5 ブロワー
6 煙道
7 除塵機
8 除塵機
9 ガスホルダー
10a ダンパ
10b ダンパ
10c ダンパ
11 煙突
12 シリンダ
12a シリンダロッド
13 水封筒
14 シール筒
15 構材
16 ピン
17 環状管
18 窒素ガス噴出ノズル
18a 窒素ガス噴出口
19 窒素ガス流れ
21 遮風部材
31 目標値(燃焼ガス成分量の)
32 近似曲線
33 下限値(窒素ガス供給流量の)
34 上限値(窒素ガス供給流量の)
40 転炉炉口シール装置
100 転炉ガス回収設備

Claims (1)

  1. 転炉の上方に配置され、前記転炉からの排出ガスを回収するフードに取り付けられるスカート部を有し、前記転炉の炉口外縁または上部外壁に向けて窒素を噴出することが可能な窒素ガス噴出口が、前記スカート部の外側で環状に複数設けられている炉炉口シール装置を用いる転炉からの排出ガスを回収する方法であって、
    前記転炉炉口シール装置に窒素ガスを供給して、窒素ガス噴出口から窒素ガスを噴出することで窒素ガス流れを形成し、前記フードに前記転炉の外側の空気が流入することを防ぐとともに、
    予め、前記窒素ガス噴出口から前記窒素ガスを噴出するとともに前記排出ガスを回収する操業を行っておき、
    前記操業のデータから作成された横軸を窒素ガス供給流量、縦軸を前記排出ガス中の燃焼ガス成分量としたグラフで上凸形状となる関係に基づき、前記燃焼ガス成分量が予め定められた目標値を超えることになる前記窒素ガスの供給流量の範囲を特定し、
    前記転炉炉口シール装置に供給する窒素ガスの供給流量を、特定した範囲内の供給流量とすることを特徴とする転炉ガス回収方法。
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