JPH09122429A - 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置 - Google Patents

金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置

Info

Publication number
JPH09122429A
JPH09122429A JP7287568A JP28756895A JPH09122429A JP H09122429 A JPH09122429 A JP H09122429A JP 7287568 A JP7287568 A JP 7287568A JP 28756895 A JP28756895 A JP 28756895A JP H09122429 A JPH09122429 A JP H09122429A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust gas
concentration
gas
dust collecting
combustion exhaust
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP7287568A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3569363B2 (ja
Inventor
Tsutomu Okuno
勉 奥野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nisshin Steel Co Ltd filed Critical Nisshin Steel Co Ltd
Priority to JP28756895A priority Critical patent/JP3569363B2/ja
Publication of JPH09122429A publication Critical patent/JPH09122429A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3569363B2 publication Critical patent/JP3569363B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Treating Waste Gases (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)
  • Waste-Gas Treatment And Other Accessory Devices For Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気炉の集塵設備に異常を生じた場合でも、
異常を迅速に検知して、COガスの異常燃焼などの不具
合発生を未然に防止することのできる電気炉の集塵設備
の異常判定方法および装置を提供する。 【解決手段】 異常判定装置1は、電気炉10から排出
される排ガスと空気とを吸引する誘引ファン16と、排
ガスと空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段11と、
燃焼排ガスを採取するサンプルプローブ3と、採取した
燃焼排ガスの成分濃度を連続的に測定するガス分析計4
と、燃焼排ガスの成分濃度のしきい値を予め定める値に
設定する設定手段5と、燃焼排ガスの成分濃度と設定手
段5によって設定されたしきい値とを対比し、燃焼排ガ
スの成分濃度がしきい値に達したとき集塵設備が異常で
あると判断する判定手段6と、判定手段6によって集塵
設備2が異常であると判定されたとき警報を発する警報
手段7とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属溶解炉から排
出される排ガス中のダストを除去する集塵設備、特にス
クラップ予熱装置を備える金属溶解炉の集塵設備の異常
判定方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の金属材料や金属類や鉱石などの溶
解、溶融、精錬または製錬工程、特にステンレス鋼等を
含む特殊鋼や、高合金鉄などを溶製する製鉄や製鋼工程
においては、様々な金属溶解炉や金属溶解溶融炉や金属
製錬炉などが用いられる。このうちの電気炉では、主
に、スクラップやフェロアロイや鉱石など種々の金属分
を含有する主原料と、主に、精錬やスラグ塩基度調整用
としての造滓材や加炭材や還元材などを含む副原料など
から成る原料の溶解または溶融、さらに精錬などに用い
られる。現在、使用されている電気炉は、その多くが次
第に大形化され、大容量を有し、交流電源または直流電
源を用いるアーク加熱式電気炉である。このような電気
炉内には、通常、前述のように、種々の主副原料が配合
された固体原料が装入される。電気炉に備えられている
電極に通電するとアーク放電が始まり、このアーク放電
により発生した熱によって固体原料が溶解または溶融さ
れて種々の金属や合金などの溶湯、溶銑または溶鋼な
ど、すなわち広義の金属溶湯とスラグとが溶解または溶
融されて溶製される。原料の溶解および溶融時には、主
原料中や加炭材のコークス中に含まれるカーボンは、ク
ロム鉱石等の酸化物中の酸素および炉内の空気中酸素と
反応して、COガスを発生する。このため、電気炉から
排出される排ガス中には、COガスが含まれる。
【0003】近年、電気炉には、集塵設備およびスクラ
ップ予熱装置を付帯設備として設ける事例が多くなって
いる。集塵設備は、電気炉から排出される排ガス中のダ
ストを除去する環境対策用の設備であり、スクラップ予
熱装置は排ガスの顕熱を利用して省エネルギを図るため
の装置である。前記設備が設けられている場合には、電
気炉から排出される排ガスは空気とともに吸引され、排
ガス中のCOガスと空気中の酸素との酸化反応によって
高温の燃焼排ガスを生成する。この高温の燃焼排ガスは
スクラップ予熱装置に導かれ、排ガスの顕熱によってス
クラップを予熱した後、集塵設備でダストを除去されて
外部に排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、集塵設
備およびスクラップ予熱装置を備える電気炉において
は、排ガス中のダスト除去およびスクラップの予熱を行
うことができるので、良好な作業環境の下で省エネルギ
操業を行うことができる。しかしながら、電気炉操業中
に集塵設備が異常を生じたとき、たとえばダストの詰ま
り等で空気取込口が小さくなり、前記空気の吸引が不充
分となった場合、空気の吸引量不足によって電気炉から
排出される排ガス中のCOガスが完全燃焼しない場合が
ある。従来の電気炉操業においては、前記異常を検知す
ることができないので、前記COガスが未燃のままスク
ラップ予熱装置に流入して、装置内に滞留し、スクラッ
プ予熱装置内の温度上昇に伴い、前記未燃COガスが空
気中の酸素と反応し、COガスの異常燃焼を生じて設備
を破損する恐れがある。
【0005】また、集塵設備のガスクーラがダストで詰
まったり、集塵設備の配管が破損したりした場合には、
集塵設備の集塵能力が低下するので、電気炉から発生す
る排ガスおよびダストを充分に吸引することができなく
なり、電気炉の電極挿通孔などの開口部などから排ガス
およびダストが炉外へ排出することとなる。このような
場合、作業場がダストで覆われ、作業環境が悪化するば
かりでなく、電気炉をハウスで覆っている場合には、C
Oガスがハウス内に滞留し、COガス中毒の発生する恐
れもある。
【0006】本発明の目的は、前記問題を解決し、電気
炉など金属溶解炉の集塵設備に異常を生じた場合でも、
異常を迅速に検知して、COガスの異常燃焼などの不具
合発生を未然に防止することのできる金属溶解炉の集塵
設備の異常判定方法および装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属溶解炉か
ら排出される排ガス中のダストを除去する集塵設備が金
属溶解炉に設けられており、前記排ガスと空気とを吸引
して排ガスと空気とを反応させて燃焼し、燃焼排ガスを
採取して、燃焼排ガス中の所定成分の濃度を連続的に測
定し、燃焼排ガス中の所定成分の濃度が予め定めるしき
い値に達したとき、金属溶解炉の集塵設備が異常である
と判断することを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異
常判定方法である。本発明に従えば、金属溶解炉の集塵
設備の異常判定は、集塵設備の状況に対応して変動する
前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度によって集塵設備の
状況を連続的に把握し、集塵設備の異常発生と対応する
値に設定されている予め定めるしきい値に基づいて集塵
設備の異常を判定することによって行われるので、前記
異常判定を正確、かつ確実に行うことができる。
【0008】また本発明は、前記燃焼排ガス中の所定成
分の濃度としてCO濃度を測定し、このCO濃度が3%
以上になったとき、前記集塵設備が異常であると判断す
ることを特徴とする。本発明に従えば、燃焼排ガス中の
CO濃度のしきい値が金属溶解炉の集塵設備の異常発生
と対応する値であり、かつ燃焼排ガスの最高温度域にお
けるCOガスの爆発限界濃度とほぼ一致する値に選ばれ
ているので、金属溶解炉の集塵設備の異常判定を正確、
かつ確実に行うことができ、さらにCOガスの異常燃焼
を確実に防止することができる。
【0009】また本発明は、前記燃焼排ガス中の所定成
分の濃度としてO2 濃度を測定し、このO2 濃度が5%
以下になったとき、前記集塵設備が異常であると判断す
ることを特徴とする。本発明に従えば、燃焼排ガス中の
2 濃度のしきい値が、金属溶解炉の集塵設備の異常発
生と対応する適正な値に選ばれているので、金属溶解炉
の集塵設備の異常判定を確実に行うことができる。
【0010】また本発明は、前記燃焼排ガス中のCO濃
度が3%以上であり、かつ前記燃焼排ガス中のO2 濃度
が5%以下であるとき、前記集塵設備が異常であると判
断することを特徴とする。本発明に従えば、金属溶解炉
の集塵設備が異常であると判定するには、燃焼排ガス中
のCO濃度およびO2 濃度のしきい値をともに満たす必
要があるので、前記CO濃度およびO2 濃度の異常値に
よる誤判定が防止され、前記異常判定を適正かつ確実に
行うことができる。
【0011】また本発明は、金属溶解炉から排出される
排ガス中のダストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設
けられており、電気炉から排出される排ガスと空気とを
吸引する吸引手段と、排ガスと空気とを反応させて燃焼
させる燃焼手段と、燃焼手段の出側に設けられ、燃焼排
ガスを採取するサンプルプローブと、サンプルプローブ
で採取した燃焼排ガス中の成分濃度を連続的に測定する
ガス分析手段と、燃焼排ガス中の成分濃度のしきい値を
予め定める値に設定する設定手段と、ガス分析手段の出
力に応答し、燃焼排ガス中の成分濃度と設定手段によっ
て設定されたしきい値とを対比し、燃焼排ガス中の成分
濃度がしきい値に達したとき金属溶解炉の集塵設備が異
常であると判断する判定手段と、判定手段によって前記
集塵設備が異常であると判断されたとき警報を発する警
報手段とを含むことを特徴とする金属溶解炉の集塵設備
の異常判定装置である。本発明に従えば、金属溶解炉の
集塵設備の異常判定装置は、ガス分析手段によって連続
的に測定した燃焼排ガス中の成分濃度と、設定手段によ
って集塵設備の異常発生と対応する値に設定されている
予め定める前記成分濃度のしきい値とに基づいて、判定
手段によって金属溶解炉の集塵設備の異常判定を行うこ
とができるので、前記異常判定が正確かつ確実に行わ
れ、異常を迅速に検知することができる。このため、C
Oガスの異常燃焼による設備破損などを未然に防止する
ことができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置(以後、「異
常判定装置」と略称することがある)の構成を簡略化し
て示す系統図である。図1には、金属溶解炉、たとえば
ステンレス鋼を溶解する電気炉10ならびに電気炉10
に付帯して設けられている集塵設備2およびスクラップ
予熱装置19の系統図も併せて示している。
【0013】異常判定装置1は、電気炉10から排出さ
れる排ガスと空気とを吸引する吸引手段16と、排ガス
と空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段11と、燃焼
手段11の下流側に設けられ、燃焼排ガスを採取するサ
ンプルプローブ3と、サンプルプローブ3で採取した燃
焼排ガスの成分濃度を連続的に測定するガス分析手段で
あるガス分析計4と、燃焼排ガスの成分濃度のしきい値
を予め定める値に設定する設定手段5と、燃焼排ガスの
成分濃度としきい値とに基づいて電気炉10の集塵設備
2の異常判定を行う判定手段6と、判定手段6によって
集塵設備2が異常であると判定されたとき警報を発する
警報手段7とを含んで構成される。
【0014】前記吸引手段16は誘引ファンによって実
現され、誘引ファン16は常時、一定流量で排ガスを吸
引して、集塵設備全体に排ガスの流れを形成する。前記
燃焼手段11は燃焼塔によって実現され、燃焼塔11は
電気炉10から排出される排ガス中の未燃ガスであるC
Oガスを空気中の酸素と反応させて燃焼し、高温の燃焼
排ガスを生成させる。
【0015】前記集塵設備2は、電気炉10から排出さ
れるダストを捕集する集塵機26と、排ガスを冷却する
ガスクーラ25と、排ガスを導く第1集塵ダクト14a
〜第5集塵ダクト14e(集塵ダクト14と総称するこ
とがある)と、集塵ダクト14を通過する排ガスの流量
を調整する第1ダンパ18a〜第4ダンパ18dとを含
んで構成される。
【0016】前記スクラップ予熱装置19は、断熱材料
を内張りしたバスケット20と、バスケット20を収容
するスクラップ予熱装置本体21と、バスケット20の
上部に昇降自在に乗載されるフード22と、フード22
を昇降させる昇降手段23とを含んで構成される。スク
ラップはバスケット20に装入され、そのままスクラッ
プ予熱装置本体21内に収容された後、フード22で覆
われ、前記燃焼塔11から排出される燃焼排ガスによっ
て予熱される。
【0017】原料の溶解中、電気炉10から排出される
ダストを含む排ガスは、電気炉10の天井蓋13に設け
られている集塵エルボ12から炉外に排出され、集塵エ
ルボ12と対向して間隔をあけて設けられている第1集
塵ダクト14a内に吸引される。この吸引力は、前記誘
引ファン16によってもたらされるものであり、前記排
ガスを吸引するばかりでなく、前記集塵エルボ12と第
1集塵ダクト14aとの間隙に形成される空気取り入れ
口15から空気を第1集塵ダクト14a内に吸引する。
第1集塵ダクト14a内に吸引された前記排ガスおよび
空気は、前記燃焼塔11に導かれ、第1集塵ダクト14
a内および燃焼塔11内で酸化反応する。前記酸化反応
熱で高温となった燃焼排ガスは、大部分第1ダンパ18
aを備える第2集塵ダクト14bを経て、前記スクラッ
プ予熱装置19にフード22から導かれ、バスケット2
0に装入されているスクラップを予熱する。スクラップ
を予熱した排ガスは、スクラップ予熱装置19の出側の
第3ダンパ18cを備える第4集塵ダクト14dに導か
れる。
【0018】燃焼塔11から排出される排ガスの一部
は、スクラップ予熱装置19をとおらないで第2ダンバ
18bを備える第3集塵ダクト14cを経て、前記第4
集塵ダクト14dに導かれる。なお、前記サンプルプロ
ーブ3は、第3集塵ダクト14cに設置されており、設
置位置は第2ダンバ18bの上流側である。また、サン
プルプローブ3の上流側には、近接して燃焼排ガスの温
度を測定する温度センサ17が設けられている。第4集
塵ダクト14dに導かれたダストを含む排ガスはガスク
ーラ25で冷却され、集塵機26においてバグフィルタ
によって除塵され、集塵機26の下流側に設けられてい
る前記誘引ファン16によって外部に排出される。電気
炉10の天井蓋13開放時や、後記出湯口37開放時
や、スクラップ予熱装置19のフード22開放時などに
発生するダストを含む排ガスは、電気炉10を覆うハウ
ス24aおよびスクラップ予熱装置19を覆うハウス2
4bの上部に設けられているフード27a,27bを介
して、第4ダンパ18dを備える第5集塵ダクト14e
に前記誘引ファン16の吸引力によって導かれ、集塵機
26を経て外部へ排出される。
【0019】前記集塵設備2には、前記空気取り入れ
口15のダストによる目詰まり、スクラップ予熱装置
19のシール性劣化、ガスクーラ25のダストによる
目詰まり、集塵ダクト14の破損、などの異常が発生
することがある。前記の異常が発生した場合には、空
気取り入れ口15から吸引される空気量が不足するの
で、燃焼塔11において電気炉10から排出された排ガ
ス中のCOガスが完全燃焼しない。このため、COガス
が未燃のまま前記スクラップ予熱装置19内に流入し
て、滞留し、CO濃度が高い場合には、COガスの爆発
限界に達し、スクラップ予熱装置19内に流入する酸素
と反応してCOガスの異常燃焼を生じ、設備を破損する
恐れがある。前記〜の異常が発生した場合には、集
塵設備2の集塵能力が低下するので、電気炉10から発
生する排ガスおよび空気取り入れ口15からの空気を充
分に吸引することができなくなる。このため、前記と
同様の問題が発生するばかりでなく、電気炉10から発
生する排ガスが電気炉10の電極挿通孔などの開口部な
どから炉外に排出され、電気炉10を覆っているハウス
24a内にCOガスが滞留し、COガス中毒の発生する
恐れがある。さらに、作業場がダストで覆われ、作業環
境が悪化する。
【0020】図2は電気炉の構成を簡略化して示す正面
から見た断面図であり、図3は図2に示す電気炉の天井
蓋の平面図である。電気炉10は、天井蓋13と炉本体
30とを含み、天井蓋13には自在に昇降する電極40
と、同心円状に配置されている水冷管31と、電気炉の
排ガスを炉外に導く集塵エルボ12とが設けられてい
る。炉本体30は、大略的に円筒状の炉壁33と炉床3
4とを有しており、炉床34には撹拌用ガスを吹き込む
ためのガス吹込用ノズル38が設けられている。炉壁3
3の下部および炉床34の内表面には、耐火物層が設け
られており、外表面には鉄皮35が設けられている。炉
壁33の上部には、水冷管31が配設されており、酸素
吹精用ランスなどを装入する作業口36、および溶湯を
出湯する出湯口37が設けられている。炉壁33と炉床
34とで形成される内部空間39には、スクラップなど
各種原料が装入され、電極40への通電によって各種原
料が溶解、溶融して、ステンレス溶鋼41およびスラグ
43が貯留される。原料を溶解、溶融するに伴い、原料
中のカーボン源および加炭材であるコークスが、原料中
の酸化物および炉内酸素と反応して、COガスなどの排
ガスが発生する。
【0021】図4は、サンプルプローブの構成を簡略化
して示す系統図である。サンプルプローブ3は、排ガス
を採取するサンプルプローブ本体45と、排ガス中のダ
ストを捕集する焼結フィルタ47と、ガス分析計4に採
取ガスを導くガス輸送管路46と、焼結フィルタ47の
外側に洗浄ガスを吹き付ける外側洗浄ノズル48aと、
焼結フィルタ47の内側に洗浄ガスを吹き付ける内側洗
浄ノズル48bと、外側洗浄ノズル48aと内側洗浄ノ
ズル48bとに洗浄ガスを供給する洗浄ガス供給手段4
9と、タイマ53とを含んで構成される。洗浄ガス供給
手段49は、洗浄ガス供給源50と、外側洗浄用管路5
1と、内側洗浄用管路52と、外側洗浄用電磁弁51a
と、内側洗浄用電磁弁52aとを含んで構成される。焼
結フィルタ47は、金属製、たとえば耐熱性および除塵
性の優れたチタン製のフィルタであり、サンプルプロー
ブ本体45と、ガス輸送管路46との接続部に設けられ
る。
【0022】電気炉10において、原料の溶解が行われ
ているときには、サンプルプローブ3によって排ガスの
採取が行われる。排ガスは、サンプルプローブ本体45
内に吸引され、焼結フィルタ47によってダストを捕集
され、電磁弁46aを備えたガス輸送管路46を経てガ
ス分析計4に導かれる。排ガスの吸引は、ガス分析計4
の内部に設置された後記吸引ポンプ56によって行われ
る。電気炉10において、原料の装入が行われていると
きには、サンプルプローブ3の焼結フィルタ47の洗浄
が行われる。洗浄は、洗浄ガスである高圧窒素ガスを焼
結フィルタ47に次のような手順で吹き付け、付着ダス
トを吹払除去することによって行われる。なお、窒素ガ
スの吹き付け圧力は、たとえば2kg/cm2である。
【0023】高圧窒素ガスの吹き付けは、外側洗浄用管
路51の電磁弁51aを開いて高圧窒素ガスを外側洗浄
ノズル48aに供給し、焼結フィルタ47の外側に窒素
ガスを吹き付けた後、内側洗浄用管路52の電磁弁52
aと前記電磁弁51aとの開閉を逆に切換え、高圧窒素
ガスを内側洗浄ノズル48bに供給し、焼結フィルタ4
7の内側に窒素ガスを吹き付けることによって行われ
る。なお、前記操作は複数回、たとえば3回繰り返さ
れ、電磁弁51a,52aの切換えは、タイマ53によ
って行われる。
【0024】このように、サンプルプローブ3の焼結フ
ィルタ47は、電気炉10において原料の装入が行われ
る毎に、外側および内側の両方から高圧窒素ガスによる
洗浄が行われるので、サンプルプローブ3によって排ガ
スを極めて長期間にわたって連続して採取することがで
きる。なお、サンプルプローブ3の排ガスの連続採取可
能期間は、たとえば10ケ月であり、ダストの捕集を行
わない従来のサンプルプローブの排ガスの連続採取可能
期間は、たとえば1〜3チャージである。
【0025】図5は、ガス分析計の構成を簡略化して示
す系統図である。ガス分析計4は、フィルタ55と、吸
引ポンプ56と、電磁弁57と、CO/CO2 濃度計5
8と、O2 濃度計59とを含んで構成される。吸引ポン
プ56によって吸引された排ガスは、吸引ポンプ56の
上流側に設けられている2個のフィルタ55によって
0.2μm以上のダストを除去され、直列に配置されて
いるO2 濃度計59およびCO/CO2 濃度計58の両
方にこの順序で導入され、排ガスの成分濃度分析後、外
部へ排出される。各濃度計58,59への排ガスの導入
は、電磁弁57の開閉によって行われる。CO/CO2
濃度計58は、赤外線吸収式濃度計であり、排ガス中の
COガスおよびCO2 ガス濃度を同時に測定することが
できる。CO/CO2 濃度計58の仕様は、表1に示す
とおりである。O2 濃度計59は、磁気流量比式濃度計
であり、排ガス中のO2 ガス濃度を測定することができ
る。O2 濃度計59の仕様は、表2に示すとおりであ
る。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】電気炉10の実操業中、原料の装入時期を
除いて、燃焼排ガス中のCO、CO2およびO2濃度が、
前記ガス分析計4によって連続的に測定される。前記集
塵設備2の異常発生時には、前述のように燃焼塔11に
おける空気吸引量が不足し、電気炉から排出された排ガ
ス中のCOガスの酸化反応が抑制されるので、燃焼塔1
1の出側における燃焼排ガス中には未燃COガスが残存
する。また、前記集塵設備2の異常の程度が大きくなる
につれて、燃焼排ガス中のCO濃度が上昇し、O2濃度
が低下するので、燃焼排ガス中のCO濃度およびO2
度を連続的に測定することによって、前記集塵設備2の
異常発生状況を連続的に把握することができる。なお、
燃焼排ガス中のCO2 濃度を測定するのは、COガスの
酸化反応によって生成するCO2 濃度の測定によって、
電気炉10から発生したCOガスに対する未燃COガス
量の割合を把握することができるからである。
【0029】前記設定手段5は、パーソナルコンピュー
タなどによって実現され、燃焼排ガスの成分濃度のしき
い値を予め定める値に設定する。燃焼排ガスの成分濃度
のしきい値は、前記集塵設備2の異常発生と対応する燃
焼排ガス中のCO濃度およびO2 濃度を事前に把握する
ことによって、燃焼排ガスの成分毎に後述する予め定め
る値に設定される。
【0030】前記判定手段6は、プロセスコンピュータ
などによって実現され、ガス分析計4の出力に応答し、
排ガスの成分濃度と、設定手段5によって設定されたし
きい値とを対比し、排ガスの成分濃度がしきい値に達し
たとき集塵設備が異常であると判断する。前記警報手段
7は、ブザーなどによって実現される。
【0031】このように異常判定装置1は、電気炉10
から排出される排ガスを空気と反応させて燃焼後、燃焼
排ガスをサンプルプローブ3によって採取し、前記集塵
設備2の状況に応じて変化する排ガス中の所定成分の濃
度をガス分析計4によって連続的に測定し、排ガスの所
定成分の濃度が設定手段5によって設定される予め定め
るしきい値に達したとき、判定手段6によって前記集塵
設備2が異常であると判断し、警報手段7などによって
警報を発することができる。このため、異常判定装置1
の判定は、正確かつ確実に行われ、集塵設備2の異常を
迅速に検知することができる。また、スクラップ予熱装
置19における前記COガスの異常燃焼、およびハウス
24a内における前記COガス中毒などの発生を未然に
防止することが可能となり、電気炉10の操業安全性を
大幅に向上させることができる。
【0032】図6は、異常燃焼の発生した電気炉の実操
業における燃焼塔出側の燃焼排ガスの成分濃度変化を示
す推移図である。図6には、前記温度センサ17によっ
て測定した燃焼塔11出側の燃焼排ガスの温度変化も併
せて示している。推移線G1は、燃焼排ガス中のCO濃
度の推移を示しており、推移線G2は燃焼排ガス中のO
2 濃度の推移を示しており、推移線T1は燃焼排ガスの
温度の推移を示している。
【0033】時刻t1では、電気炉10に原料の初期装
入が行われ、通電が開始される。原料の溶解が進行する
に伴い、原料中のカーボンおよびコークスが原料中の酸
化物および酸素と反応して、COガスが発生する。CO
ガスの発生量は、溶解初期には反応が活発で多く、溶解
が進行するにつれて減少する。通常、電気炉10から排
出された排ガス中のCOガスは、燃焼塔11において吸
引された空気中の酸素と反応して完全燃焼するので、燃
焼塔11出側の燃焼排ガス中のCO濃度はほぼ0%であ
る。しかしながら、図6に示す電気炉の実操業において
は、空気取り入れ口15の目詰まりなどの集塵設備2の
異常発生によって空気の吸引量が少なくなり、COガス
を完全燃焼させることができない。このため、燃焼排ガ
ス中のCO濃度が極めて高濃度になっており、最大10
%に達している。一方、燃焼排ガス中のO2 濃度は、空
気の吸引量が少ない状態で、COの酸化反応によって酸
素が消費されるので、極めて低濃度になっており、最小
0%に達している。また、燃焼塔11出側の燃焼排ガス
の温度は、COガスの酸化反応熱によって高温になって
おり、900〜1100℃の温度範囲で推移している。
なお、前記CO濃度、O2 濃度および燃焼排ガス温度の
変動が激しいのは、集塵設備2の異常発生に伴う吸引力
低下に起因するものである。
【0034】時刻t2では、原料の追加装入が行われ、
再度通電が開始される。原料の追加装入量は、初期装入
量よりも少なく、COガスの発生量が少ないので、空気
の吸引量が少なくともCOガスは、燃焼塔11において
ほぼ完全燃焼する。このため、燃焼排ガス中のCO濃度
はほぼ0%であり、それに対応して燃焼排ガス中のO2
濃度は空気中の酸素の濃度である約20%を示す。ま
た、燃焼排ガス温度は、COガスの発生量が少ないの
で、低下して600〜800℃の温度範囲で推移する。
時刻t3では、追加装入した原料が溶解したと判断さ
れ、溶湯の温度調整およびスラグ中酸化クロムの還元精
錬などが行われ、時刻t4で出湯が行われる。時刻t3
以後の燃焼排ガス中のCO濃度およびO2 濃度ならびに
燃焼排ガス温度の推移は、時刻t2からt3における推
移と同様である。
【0035】このように、燃焼塔11の出側において燃
焼排ガス中のCO濃度およびO2 濃度を連続的に測定す
ることによって、集塵設備2の異常発生を検知すること
ができる。
【0036】図7は、COガスの爆発限界濃度の温度依
存性を示す特性図である。曲線L1はCOガスの爆発限
界濃度の下限界線を示し、曲線U1は上限界線を示す。
図7において、斜線を施した領域が爆発危険領域であ
る。図7から燃焼塔11の燃焼排ガス最高温度域である
900〜1100℃におけるCOガスの爆発限界濃度の
下限界は3〜4%であるので、前記図6の時刻t1から
時刻t2間においては、COガスの異常燃焼が発生する
ことが判る。
【0037】図8は、図6に示す実操業と同一の条件に
おける集塵設備の状況と燃焼塔出側の燃焼排ガス中のC
O濃度との関係を示す特性図である。記号W,B,G
は、集塵設備の状況を表す記号であり、その内容は表3
に示す通りである。図8中に示す○印は、電気炉の通電
開始からの経過時間が30分未満の操業初期におけるデ
ータであることを示す記号であり、×印は、電気炉の通
電開始から30分間以上経過した時刻におけるデータで
あることを示す記号である。
【0038】
【表3】
【0039】図8から集塵設備2の状況が記号Wの状況
である場合、すなわち空気取り入れ口15の隙間がダス
トの詰まりやすい30mmであり、かつガスクーラ25
のダスト詰まりなどで集塵能力が低下している状態で
は、空気の吸引量が大幅に不足し、COガスの酸化反応
が抑制されるので、燃焼排ガス中のCO濃度が非常に高
くなり、7〜22%の範囲で変動することが判る。ま
た、図8から集塵設備2の状況が記号Bの状況である場
合、すなわち空気取り入れ口15の隙間は、ダスト詰ま
りの恐れのない100mmであるけれども、ガスクーラ
25のダスト詰まりなどで集塵能力が低下している状態
では、空気の吸引量が不足し、COガスの酸化反応が抑
制されるので、燃焼排ガス中のCO濃度が高くなり、3
〜8%の範囲で変動することが判る。なお、前記集塵設
備2の状況が記号Wおよび記号Bの状況である場合に
は、図7からCOガスの異常燃焼が生じる恐れがある。
さらにまた図8から、集塵設備2の状況が記号Gの状況
である場合、すなわち空気取り入れ口15の隙間がダス
ト詰まりの恐れのない100mmであり、かつ集塵能力
が充分に確保されている状態では、燃焼排ガス中のCO
濃度が極めて低く、ほぼ0%であることが判る。このた
め、空気取り入れ口15の隙間は、100mmに設定す
ることが好ましい。
【0040】このように、集塵設備2の状況によって燃
焼排ガス中のCO濃度が変動するので、逆に燃焼排ガス
中のCO濃度から集塵設備2の異常発生を検知すること
ができる。たとえば、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以
上のときには、ガスクーラ25のダスト詰まりや、集塵
ダクト14の穴開きなど集塵能力の低下をもたらす集塵
設備2の異常が発生していることが検知され、燃焼排ガ
ス中のCO濃度が8%以上のときには、前記異常に加え
てさらに空気取り入れ口15のダスト詰まりが発生して
いることが検知される。このため、前記設定手段5によ
って設定される燃焼排ガス中のCO濃度の前記予め定め
るしきい値は、3%に選ばれることが好ましい。これに
よって、前記異常判定装置1は、ガス分析計4によって
測定された燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上のとき、
集塵設備2が異常であると、正確かつ確実に判断するこ
とができる。
【0041】なお、集塵設備2が異常であると判断する
他の判断基準として、燃焼排ガス中のO2濃度を用いて
もよい。前記O2濃度の予め定めるしきい値は、5%に
選ばれることが好ましい。これは、前記図6に示すよう
に燃焼排ガス中のO2 濃度が5%以下のとき、前記CO
濃度が3%以上であることによるものである。これによ
って、前記異常判定装置1は、前記CO濃度を判定基準
とする場合と同様に、燃焼排ガス中のO2 濃度が5%以
下のとき、集塵設備2が異常であると正確かつ確実に判
断することができる。
【0042】さらにまた、燃焼排ガス中のCO濃度が3
%以上であり、かつ燃焼排ガス中のO2 濃度が5%以下
であるとき、集塵設備2が異常であると判断してもよ
い。この判断基準によって、集塵設備2が異常であると
判定するには、燃焼排ガス中のCOおよびO2 のしきい
値をともに満たす必要があるので、前記CO濃度および
2 濃度の異常値による誤判定が防止され、前記異常判
定を適正かつ確実に行うことができる。
【0043】図9は、燃焼排ガス中のCO濃度による集
塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャート
である。ステップa1では、電気炉10に原料が装入さ
れ、通電が開始される。装入原料としては、フェロニッ
ケルと、フェロクロムおよびステンレス鋼屑などが主と
して用いられる。通電開始後、原料の加熱および溶解に
伴ってCOガスが発生する。電気炉10から発生したC
Oガスを含む排ガスは、前記誘引ファン16の吸引力に
よって燃焼塔11に導かれ、前記空気取り入れ口15か
ら吸引された空気と反応して燃焼する。前述のように、
空気取り入れ口15の隙間および集塵設備2の集塵能力
が充分に確保されている場合には、空気が充分吸引され
るので、前記排ガス中のCOガスは燃焼塔11において
完全燃焼し、燃焼塔11出側の燃焼排ガス中のCO濃度
がほぼ0%になる。しかしながら、ガスクーラ25のダ
スト詰まりなど集塵設備2に異常が発生している場合に
は、空気の吸引量が不足するので、前記COガスの酸化
反応が抑制され、前記燃焼排ガス中には、未燃COガス
が残存する。ステップa2では、燃焼塔11の出側にお
いて燃焼排ガス中のCO濃度が測定される。この測定
は、前記サンプルプローブ3によって採取された燃焼排
ガスを用いて、前記CO/CO2 濃度計58によって行
われ、通電中連続して測定される。
【0044】ステップa3では、燃焼排ガス中のCO濃
度が予め定めるしきい値以上であるか否かが判断され
る。このしきい値は、前述のように集塵設備2が異常で
あると判断される燃焼排ガス中のCO濃度のしきい値で
あり、設定手段5によって3%に設定されている。ステ
ップa3における判断が否定の場合には、集塵設備2が
異常なしと判断され、ステップa6に進む。ステップa
3における判断が肯定の場合には、集塵設備2が異常で
あると判断され、警報手段7により警報が出された後、
ステップa4に進む。ステップa4では、集塵設備2の
異常対策が行われる。異常対策は、集塵設備2を正常状
態へ復帰させるために集塵能力の向上を図る方向で行わ
れる。すなわち、前記誘引ファン16、第2ダンパ18
bおよび第3ダンパ18cを、次のような順序で操作す
ることによって集塵能力を段階的に向上させる。なお、
第2ダンパ18bは、燃焼塔11から排出される燃焼排
ガスのうち、スクラップ予熱装置19を通過しない燃焼
排ガスの流量を調整するダンパであり、第3ダンパ18
cは、第2ダンパ18bとスクラップ予熱装置19とを
通過した燃焼排ガスの流量を調整するダンパである。
【0045】(1)誘引ファン16の出力を100%に
アップする。なお、第2ダンパ18bおよび第3ダンパ
18cのダンパ開度は、ともに正常時のダンパ開度であ
る15%のままである。 (2)第2ダンパ18bのダンパ開度を25%、50
%、100%の順序で段階的に増大させる。なお、誘引
ファン16の出力および第3ダンパ18cのダンパ開度
は、それぞれ100%、15%のままである。 (3)第3ダンパ18cのダンパ開度を25%、50
%、100%の順序で段階的に増大させる。なお、誘引
ファン16の出力および第2ダンパ18bのダンパ開度
は、ともに100%のままである。
【0046】ステップa5では、再度、燃焼排ガス中の
CO濃度が3%以上であるか否かが判断される。この判
断が肯定であれば、前記異常対策によって集塵設備2が
正常状態に復帰していないと判断され、警報が出された
後、再度ステップa4に戻り、前記異常対策よりもさら
に集塵能力を向上させた次段階の異常対策が行われる。
この処理ループは、ステップa5における判断が否定に
なるまで繰り返される。ステップa5における判断が否
定であれば、ステップa6に進む。ステップa6では、
電気炉10の通電が終了しているか否かが判断される。
この判断が否定であれば、再度ステップa3に戻り、前
記処理が繰り返される。ステップa6における判断が肯
定であれば、本通電期間中における集塵設備2の異常判
定を終了する。なお、前記異常対策は、あくまでも緊急
避難的な措置であり、長期にわたる継続は、熱ロスが増
大するので好ましくない。このため、直近の定期修理時
期に集塵設備2の異常個所の点検、補修を行うことが必
要である。
【0047】このように本実施の形態によれば、集塵設
備2の異常判定は、電気炉10の通電中、集塵設備2の
状況に対応して変動する燃焼排ガス中のCO濃度によっ
て集塵設備2の状況を連続的に把握し、集塵能力の低下
などの集塵設備2の異常発生と対応する値に設定されて
いる予め定めるしきい値に基づいて、集塵設備2の異常
を判定する方法によって行われるので、集塵設備2の異
常判定を正確かつ確実に行うことができる。これによっ
て、異常判定時には、集塵能力を向上させるための異常
対策を迅速に実施することができるので、空気の吸引量
不足に基づくスクラップ予熱装置19における前記CO
ガスの異常燃焼の発生、および集塵能力低下に基づくハ
ウス24a内における前記COガス中毒の発生などを未
然に防止することが可能となり、電気炉10の操業安全
性を大幅に向上することができる。
【0048】図10は、燃焼排ガス中のO2 濃度による
集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャー
トである。本フローチャートの構成は、図9に示すフロ
ーチャートの構成と基本的には同一であり、両者の相違
点は測定ガスがCOガスでなくO2 ガスである点と、異
常判定のしきい値が異なる点とである。このため、図1
0の説明は、重複を避けるために省略する。これによっ
て、O2 濃度による集塵設備の異常判定を正確かつ確実
に行うことができるので、CO濃度による場合と同様の
効果を得ることができる。
【0049】図11は、燃焼排ガス中のCO濃度および
2 濃度による集塵設備の異常判定方法を説明するため
のフローチャートである。ステップc1では、電気炉1
0に原料が装入され、通電が開始される。通電開始後の
電気炉10における排ガス発生状況および燃焼塔11に
おける燃焼排ガス発生状況は、前記図9に示すフローチ
ャートのステップa1において述べたとおりである。ス
テップc2では、燃焼塔11の出側において、燃焼排ガ
ス中のCO濃度およびO2 濃度が測定される。これらの
測定は、前記サンプルプローブ3によって採取された燃
焼排ガスを用いて前記CO/CO2 濃度計58によって
行われ、通電中連続して測定される。ステップc3で
は、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上であるか否かが
判断される。この判断が否定の場合には、集塵設備2が
異常なしと判断され、ステップc8に進む。ステップc
3における判断が肯定の場合には、ステップc4に進
む。ステップc4では、燃焼排ガス中のO2 濃度が5%
以下であるか否かが判断される。この判断が否定の場合
には、集塵設備2が異常なしと判断され、ステップc8
に進む。ステップc4における判断が肯定の場合には、
集塵設備2が異常であると判断され、警報が出された
後、ステップc5に進む。
【0050】ステップc5では、集塵設備2の異常対策
が実施される。異常対策の内容は、前記図9に示すフロ
ーチャートのステップa4と全く同一である。ステップ
c6では、再度、燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上で
あるか否かが判断される。この判断が否定であれば、前
記異常対策によって集塵設備2が正常状態に復帰してい
ると判断され、ステップc8に進む。ステップc6にお
ける判断が肯定であれば、ステップc7に進む。ステッ
プc7では、再度燃焼排ガス中のO2 濃度が5%以下で
あるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、前
記異常対策によって集塵設備2が正常状態に復帰してい
ないと判断され、警報が出された後、再度ステップc5
に戻り、前記異常対策よりもさらに集塵能力を向上させ
た次段階の異常対策が行われる。この処理ループは、ス
テップc6またはステップc7のいずれかにおける判断
が否定になるまで繰り返される。ステップc7における
判断が否定であれば、ステップc8に進む。ステップc
8では、電気炉10の通電が終了しているか否かが判断
される。この判断が否定であれば、再度ステップc3に
戻り、前記処理が繰り返される。ステップc8における
判断が肯定であれば、本通電期間中における集塵設備2
の異常判定を終了する。
【0051】このように本実施の形態では、集塵設備2
が異常であると判断するには、燃焼排ガス中のCO濃度
が3%以上であり、かつO2 濃度が5%以下でなければ
ならないので、前記CO濃度およびO2 濃度の異常値に
よる誤判定が防止され、集塵設備2の異常判定を適正か
つ確実に行うことができる。
【0052】
【実施例】図2および図3に示す90トン電気炉を用い
て、ステンレス鋼を溶製した。SUS304系のステン
レス鋼を溶製する場合の主原料配合を、表4に示す。長
期間にわたる溶製によって得られた結果を、表5に示
す。本発明の実施例については、集塵設備2の異常判定
は、燃焼排ガス中のCO濃度に基づいて行い、図1に示
す異常判定装置1を用いて図9に示すフローチャートの
手順に従って行った。従来法の比較例については、集塵
設備2の異常判定は行わなかった。
【0053】表5から、本発明の実施例は、比較例に比
べて、COの異常燃焼の発生が皆無になったこと、ガス
クーラ25の清掃時期を、燃焼排ガス中のCO濃度の推
移により管理することができるので、清掃頻度を低減す
ることができること、COの異常燃焼の発生を防止する
ことができるので、スクラップ予熱装置19の稼働率を
増加することができること、スクラップ予熱装置19の
稼働率増加によって電力原単位が低下し、省エネルギを
図ることができることなどが判る。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、次に示す
ような効果が得られる。 (a)空気取り入れ口15のダスト詰まり、ガスクーラ
25のダスト詰まりおよび集塵ダクト14の破損など集
塵設備2の異常発生を正確かつ確実に検知することがで
きるので、集塵能力を向上させるための異常対策を迅速
に行うことが可能となり、空気の吸引量不足に基づくC
Oの異常燃焼の発生を未然に防止することができる。こ
のため、スクラップ予熱装置などの設備破損が防止さ
れ、電気炉10の操業安全性が大幅に向上する。 (b)前記異常対策の実施により、集塵設備2の集塵能
力低下に基づく電気炉10の開口部からの排ガスの排出
を防止することができるので、電気炉10を覆っている
ハウス24a内にCOガスが滞留し、COガス中毒の発
生する危険性を未然に回避することができる。また、作
業場がダストで覆われる作業環境の悪化も防止すること
ができる。 (c)スクラップ予熱装置におけるCOの異常燃焼が防
止されるので、スクラップ予熱装置の稼働率を増加させ
ることができる。このため、電力原単位が低下し、省エ
ネルギを図ることができる。 (d)ガスクーラの清掃時期を合理的に決定することが
できるので、過剰な清掃作業を排除することが可能とな
り、清掃頻度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である電気炉の集塵設備
の異常判定装置の構成を簡略化して示す系統図である。
【図2】電気炉の構成を簡略化して示す正面から見た断
面図である。
【図3】図2に示す電気炉の天井蓋の平面図である。
【図4】サンプルプローブの構成を簡略化して示す系統
図である。
【図5】ガス分析計の構成を簡略化して示す系統図であ
る。
【図6】異常燃焼の発生した電気炉の実操業における燃
焼塔出側の燃焼排ガスの成分濃度変化を示す推移図であ
る。
【図7】COガスの爆発限界濃度の温度依存性を示す特
性図である。
【図8】図6に示す実操業と同一の条件における集塵設
備の状況と燃焼塔出側の燃焼排ガス中のCO濃度との関
係を示す特性図である。
【図9】燃焼排ガス中のCO濃度による集塵設備の異常
判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図10】燃焼排ガス中のO2 濃度による集塵設備の異
常判定方法を説明するためのフローチャートである。
【図11】燃焼排ガス中のCO濃度およびO2 濃度によ
る集塵設備の異常判定方法を説明するためのフローチャ
ートである。
【符号の説明】
1 電気炉の集塵設備の異常判定装置 2 集塵設備 3 サンプルプローブ 4 ガス分析計 5 設定手段 6 判定手段 7 警報手段 10 電気炉 11 燃焼塔 15 空気取り入れ口 16 誘引ファン 19 スクラップ予熱装置 24a ハウス 25 ガスクーラ 26 集塵機

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属溶解炉から排出される排ガス中のダ
    ストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられてお
    り、 前記排ガスと空気とを吸引して排ガスと空気とを反応さ
    せて燃焼し、 燃焼排ガスを採取して、燃焼排ガス中の所定成分の濃度
    を連続的に測定し、 燃焼排ガス中の所定成分の濃度が予め定めるしきい値に
    達したとき、金属溶解炉の集塵設備が異常であると判断
    することを特徴とする金属溶解炉の集塵設備の異常判定
    方法。
  2. 【請求項2】 前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度とし
    てCO濃度を測定し、このCO濃度が3%以上になった
    とき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴
    とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常判定
    方法。
  3. 【請求項3】 前記燃焼排ガス中の所定成分の濃度とし
    てO2 濃度を測定し、このO2 濃度が5%以下になった
    とき、前記集塵設備が異常であると判断することを特徴
    とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常判定
    方法。
  4. 【請求項4】 前記燃焼排ガス中のCO濃度が3%以上
    であり、かつ前記燃焼排ガス中のO2 濃度が5%以下で
    あるとき、前記集塵設備が異常であると判断することを
    特徴とする請求項1記載の金属溶解炉の集塵設備の異常
    判定方法。
  5. 【請求項5】 金属溶解炉から排出される排ガス中のダ
    ストを除去する集塵設備が金属溶解炉に設けられてお
    り、 電気炉から排出される排ガスと空気とを吸引する吸引手
    段と、 排ガスと空気とを反応させて燃焼させる燃焼手段と、 燃焼手段の出側に設けられ、燃焼排ガスを採取するサン
    プルプローブと、 サンプルプローブで採取した燃焼排ガス中の成分濃度を
    連続的に測定するガス分析手段と、 燃焼排ガス中の成分濃度のしきい値を予め定める値に設
    定する設定手段と、 ガス分析手段の出力に応答し、燃焼排ガス中の成分濃度
    と設定手段によって設定されたしきい値とを対比し、燃
    焼排ガス中の成分濃度がしきい値に達したとき金属溶解
    炉の集塵設備が異常であると判断する判定手段と、 判定手段によって前記集塵設備が異常であると判断され
    たとき警報を発する警報手段とを含むことを特徴とする
    金属溶解炉の集塵設備の異常判定装置。
JP28756895A 1995-11-06 1995-11-06 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置 Expired - Fee Related JP3569363B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28756895A JP3569363B2 (ja) 1995-11-06 1995-11-06 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28756895A JP3569363B2 (ja) 1995-11-06 1995-11-06 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09122429A true JPH09122429A (ja) 1997-05-13
JP3569363B2 JP3569363B2 (ja) 2004-09-22

Family

ID=17719028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28756895A Expired - Fee Related JP3569363B2 (ja) 1995-11-06 1995-11-06 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3569363B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100353132C (zh) * 2003-04-08 2007-12-05 张贤清 炉内外联合捕集混合净化短流程除尘方法与其设备
JP2020204437A (ja) * 2019-06-18 2020-12-24 東京瓦斯株式会社 燃焼システム、端末装置およびプログラム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100353132C (zh) * 2003-04-08 2007-12-05 张贤清 炉内外联合捕集混合净化短流程除尘方法与其设备
JP2020204437A (ja) * 2019-06-18 2020-12-24 東京瓦斯株式会社 燃焼システム、端末装置およびプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP3569363B2 (ja) 2004-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3873073A (en) Apparatus for processing molten metal
AU668821B2 (en) Electric arc fusion furnace
RU2507461C2 (ru) Способ эксплуатации печи, а также устройство для осуществления этого способа
JP3569363B2 (ja) 金属溶解炉の集塵設備の異常判定方法および装置
CN107604123A (zh) 一种有效提高转炉煤气回收质量和数量的方法
CN111593153A (zh) 高炉中小套冷却水流量检漏设备
CN107630120A (zh) 一种转炉二文喉口的调节方法
JP3804526B2 (ja) 転炉排ガス回収設備及び回収方法
JPS628484B2 (ja)
JP2001181727A (ja) 電気炉の炉内状況監視方法
JPH11114361A (ja) 製鋼用電気炉の排ガス処理方法
US4158562A (en) Blast furnace testing and control methods
GB2082086A (en) Treatment of waste gases
JPH09133469A (ja) 電気炉の原料の溶解判定方法および装置
JPS5842708A (ja) 溶鉱炉の運転方法
JPS6043886B2 (ja) 転炉廃ガス処理装置における廃ガス回収方法
JP3440267B2 (ja) アーク溶解炉のスラグへのアーク埋没評価方法
JP2002267127A (ja) 廃棄物溶融炉における可燃性ダスト吹き込み方法及びその装置
CN215810272U (zh) 燃烧效率高且节能的智能加热装置
CN115537494B (zh) 一种监控转炉烟道漏水的方法及系统
JPH09194926A (ja) 電気炉における原料の溶解判定方法および装置
JP2004212005A (ja) アーク溶解設備における熱量監視装置
CN111351356B (zh) 一种烟化炉炉体
JP3272372B2 (ja) 真空脱ガス処理槽の槽加熱方法および装置
JPH0257123B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040607

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040615

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040618

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080625

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090625

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100625

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110625

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120625

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130625

Year of fee payment: 9

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees