JP3568996B2 - 自動変速機の円錐ブレーキ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車などの自動変速機に用いる遊星歯車列の摩擦ブレーキであって、特に、前進第1速および後進の際に遊星歯車メンバーをケースなどに固定する自動変速機の円錐ブレーキに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の自動変速機用のブレーキとしては、図8に示すように油圧ピストン100で押圧する多板ブレーキ102とワンウエイクラッチ(以下、OWCという)104を組み合わせて構成し、通常の「D」レンジにおける第1速の際には遊星歯車メンバー106をOWC104で一方向にのみケース108に固定することで、第1速から第2速への変速制御を容易にし、後進時および前進第1速エンジンブレーキ時には前記遊星歯車メンバー106を多板ブレーキ102でケース108に固定していた。
【0003】
これに対して、本出願人の一人は特願平6−16742号において円錐摩擦面を有する部材とヘリカルスプラインを組み合わせた「自動変速機の円錐クラッチ装置」を提案した。
すなわち、図9に示すように、この装置においては、遊星歯車メンバー130とケース110の間に円錐摩擦面112,114を有するインナーリング116およびアウターリング118を設け、アウターリング118とインナーリング116との間に中間部材120を設け、インナーリング116とアウターリング118をヘリカルスプライン122で結合して、前記円錐摩擦面112,114で生ずる摩擦トルクがヘリカルスプライン122に作用することで、ヘリカルスプライン122で軸方向のスラストを生じさせて、このスラストで円錐摩擦面112,114をさらに押圧する。
【0004】
この円錐摩擦面112,114の円錐角とヘリカルスプライン120の捩れ角とを適切に設定することにより、一方の回転方向にのみセルフロックさせ、また、別の油圧ピストンと組み合わせることで、従来のOWCと多板ブレーキとを組み合わせたブレーキと同じ機能を発揮するようにした。
すなわち、この円錐クラッチ装置においては、油圧ピストンが駆動していない時は、遊星歯車メンバー130に回転トルクが入力されると、その回転トルクは、中間部材120に入力された後、中間部材120の円錐摩擦面120aと係合する円錐摩擦面112を介してインナーリング116に伝達され、さらに、このインナーリング116とヘリカルスプライン122を介して嵌合された固定部材であるアウターリング118に伝達される。
【0005】
この時、ヘリカルスプライン122では軸方向に推力が生じて、アウターリング120とインナーリング116とに相対的に作用することになり、すなわち、この推力は、回転トルクの方向に対応してインナーリング116に対し中間部材120との係合を強めるように作用したり、あるいは逆に係合を弱めるように作用することになる。したがって、遊星歯車メンバー130に入力される回転トルクの向き(正逆)に応じ、正逆の一方ではインナーリング116、中間部材120どうしの係合が強まって遊星歯車メンバー130の回転が規制され、正逆の他方ではインナーリング116、中間部材120どうしの係合が弱まって遊星歯車メンバー130が回転可能になる。
【0006】
次に、このように遊星歯車メンバー130の回転が許される方向に回転トルクが伝達されている状態で油圧ピストンを駆動させた時には、ヘリカルスプライン122で生じる推力に抗して油圧ピストンがインナーリング116を移動させ、中間部材120と係合する。したがって、遊星歯車メンバー130はケース110に固定されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の自動変速機のブレーキにあっては、OWCを含めた部品点数が多いため製造コストが高く、また、第1速以外の前進走行において多板ブレーキおよびOWCの引きずり抵抗が大きいため、この抵抗が自動変速機の動力伝達効率を低くし、自動車の燃料消費率を悪化させるという問題があった。
【0008】
また、前記特願平6−16742号で提案した円錐クラッチ装置にあっては、一方の回転方向についてはセルフロックするが、逆の回転方向に対して油圧ピストンでアウターリングを押圧してブレーキ作用をさせる場合、ヘリカルスプラインで生ずるスラストが逆方向に作用して油圧ピストンによる押圧力を半減させる。
【0009】
そのため油圧ピストンによるセルフロックとは逆の回転方向のブレーキ力が十分に得られない。
すなわち、ヘリカルスプラインで生ずる逆方向のスラストに打ち勝つだけの大きな油圧ピストンが必要になるため、所要スペースおよび製造コストが多大になるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、従来の多板ブレーキに代えて円錐摩擦面を有するブレーキとし、ヘリカルスプラインの作用でセルフロックさせることにより円錐ブレーキにOWCの機能を持たせるとともに、従来と同じ大きさの油圧ピストンで押圧した場合も回転方向にかかわらず従来と同様のブレーキ力を得るようにすることで、部品点数を削減してコストを低減するとともに引きずり抵抗を低減し、かつ、所要スペース、およびコストを削減することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、遊星歯車メンバーに円錐摩擦面を有するインナーリングを連結し、円錐摩擦面を有するアウターリングを前記インナーリングに押圧して、前記遊星歯車メンバーをケースに固定する自動変速機の円錐ブレーキにおいて、
前記ケースに摺動自在に連結されるとともに、前記アウターリングとヘリカルスプラインにより連結され、軸方向の一方の動きは前記ケースにより規制され、他方の動きは前記アウターリングにより規制されるスラストリング部材を前記ケースと前記アウターリングの間に設けたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記スラストリング部材の軸方向の他方の動きを前記アウターリングに形成した肩部により規制することを特徴とする。
また、本発明は、前記スラストリング部材と前記インナーリングの間にスラストリング部材とインナーリングの間を弱い力で離すスプリング部材を設けたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記インナーリングに形成した切欠きにその折曲部が挿入されるとともにその内側を前記アウターリングに接触させ、セルフロックが解除された状態で前記インナーリングがある程度の回転数に達すると遠心力により接触を解除する弾性体のC型リング部材を前記インナーリングの溝に設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、遊星歯車メンバーに円錐摩擦面を有するコーンリングを連結し、円錐摩擦面を有するアウターリングとインナーリングの間にコーンリングを挿入し、アウターリングを押圧して前記遊星歯車メンバーをケースに固定する自動変速機の円錐ブレーキにおいて、
前記インナーリングと前記アウターリングをスプラインで連結し、前記ケースに摺動自在に連結されるとともに、前記アウターリングとヘリカルスプラインにより連結され、軸方向の一方の動きは前記ケースにより規制され、他方の動きは前記アウターリングにより規制されるスラストリング部材を前記ケースと前記アウターリングの間に設けたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記ヘリカルスプラインの代りにスプラグを用いて前記アウターリングと前記スラストリング部材を連結したことを特徴とする。
【0016】
【作用】
このような構成を備えた請求項1の発明の自動変速機の円錐ブレーキによれば、円錐摩擦面を有するインナーリングとアウターリングを有し、アウターリングとケースの間に、ケースに摺動自在に連結されるとともに、アウターリングとヘリカルスプラインにより連結されるスラストリング部材を設け、軸方向の一方の動きはケースにより規制し、軸方向の他方の動きはアウターリングにより規制するようにしたため、部品点数を削減してコストを低減するとともに、非作動時の引きずり抵抗を低減することができ、自動車の燃料費の低減を図ることができる。
【0017】
また、ヘリカルスプラインで生じる逆方向のスラストを相殺することができるので、従来と同じ大きさの油圧ピストンで必要なブレーキ力を得ることができ、スペースおよびコストを削減することができる。
また、請求項2の発明においては、アウターリングに肩部を形成して、スラストリング部材の軸方向の他方の動きを規制するようにしたため、ヘリカルスプラインで生じる逆方向のスラストを確実に相殺することができる。
【0018】
また、請求項3の発明においては、スプリング部材の張力は小さい値であるため、ほぼ油圧力に応じたブレーキトルクが円錐内外面に得られる。
また、請求項4の発明においては、インナーリングに形成した切欠きに折曲部が挿入されるとともに内側をアウターリングに接触させる弾性体のC型リング部材をインナーリングの溝に設けたため、セルフロック時には、アウターリングに初期摩擦トルクを与えることができ、セルフロックが解除された状態では遠心力によりアウターリングとの接触を解除し、インナーリングを自由に回転させることができる。
【0019】
また、請求項5の発明においては、アウターリングとインナーリングの間にコーンリングを挿入した場合には、アウターリングの円錐内面とコーンリングの外面が摩擦し、コーンリングの内面とインナーリングの円錐外面が摩擦するので、大きなブレーキ容量を得ることができる。
さらに、請求項6の発明においては、ヘリカルスプラインの代りにスプラグを用いても良いので、構成が簡単になる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施例を示す断面図、図2は図1の部分拡大図、図3はアウターリング、C型リング、インナーリングの断面図である。図4は本発明を適用した遊星歯車列の一例を示すスケルトン図であり、図5は図4の遊星歯車列の作動説明図である。
【0021】
まず、最初に図4の遊星歯車列を説明する。
図4において、10は入力軸、12は出力軸である。20は遊星歯車列であり、遊星歯車列20は第1遊星歯車組22と第2遊星歯車組24により構成される。
第1遊星歯車組22は、第1リングギア22A、第1ピニオン22B、第1キャリア22Cおよび共通のサンギア23により構成され、第2遊星歯車組24は、第2リングギア24A、第2ピニオン24B、第2キャリア24Cおよび共通のサンギア23により構成される。
【0022】
入力軸10は、第1クラッチ30によりサンギア23に連結され、また、第2クラッチ32により第1リングギア22Aに連結される。また、第1ブレーキ34により、サンギア23がケース80に固定される。
第2ブレーキ40は、本発明の円錐ブレーキを示し、入力軸10と逆方向に第2キャリア24Cが回転すると、セルフロックとなり、第2キャリア24Cがケース80に固定される。
【0023】
第2ブレーキ40は、入力軸10と同方向に第2キャリア24Cが回転すると、非作動となり、第2キャリア24Cは自由に回転する。
このセルフロックが解除された状態において、シリンダー82内のピストン84を作動させると、第2ブレーキ40は締結され、第2キャリア24Cは回転方向にかかわらずケース80に固定される。
【0024】
次に、図4の遊星歯車列は図5の作動説明図に示すように、Dレンジ,Lレンジなどの変速ポジションにおいて各摩擦要素を締結させることにより、前進3段後進1段の変速を行う。
なお、図5の表中、「○」印は各摩擦要素の締結を表し、「△」印は後述するように自動車が前進で加速する際にセルフロックで締結することを表す。※印はシリンダー82の油圧がかったことを示す。
【0025】
例えば、Dレンジの前進第1速においては第2クラッチ32により入力軸10と第1遊星歯車組22の第1リングギア22Aとが連結され、第2ブレーキ40のセルフロックにより第2遊星歯車組24の第2キャリア24Cが静止部であるケース80に固定されることを表す。
このDレンジの前進第1速においては、入力軸10から第1リングギア22Aに入力したトルクは、第1キャリア22Cを経て出力軸12に伝達され、一方、第1リングギア22A、第1ピニオン22B、サンギア23、第2ピニオン24Bを経て第2リングギア24Aに入ったトルクは、出力軸12に伝達される。
【0026】
また、エンジンブレーキの際、使用するLレンジの前進第1速において、第2クラッチ32により入力軸10と第1リングギア22Aが連結され、ピストン84の作動による第2ブレーキ40により第2キャリア22Cがケース80に固定される。エンジンブレーキの場合には、第2ブレーキ40に作用するトルクの方向は、入力軸10と同じになり、セルフロックは生じないので、ピストン84を作動させる必要がある。
【0027】
また、後進のRレンジにおいては、第1クラッチ30により、入力軸10とサンギア23が連結され、ピストン84の作動による第2ブレーキ40により第2キャリア22Cがケース80に固定される。この場合にも、第2ブレーキ40に作用するトルクの方向は入力軸10と同じになり、セルフロックは生じない。
次に、図1,図2に基づいて、本発明の第1実施例の第2ブレーキ40について説明する。
【0028】
図1,図2において、インナーリング42は第2キャリア24Cと連結するとともに、軸方向にはスラストワッシャー92および第1スナップリング90を介して変速機のケース80の左側への移動が阻止されている。インナーリング42は円錐外面44を有しており、円錐内面52を有するアウターリング50がインナーリング42の円錐外面44に接触可能に配置されている。
【0029】
インナーリング42と、インナーリング42に装着されたリテーナプレート48との間に溝46が形成され、弾性体で形成されたC型リング(C型リング部材)70が嵌合している。図3のように、インナーリング42の円周上の1カ所に切欠き42aが設けられ、C型リング70の折曲部74が挿入されている。C型リング70の内周面72は弾性力によりアウターリング50の外周面58に接しているが、インナーリング42が一定以上の回転数で回転すると、C型リング70は遠心力により拡大し、前記内周面72とアウターリング50の外周面58とは離れる。
【0030】
すなわち、セルフロックが解除された状態においては、図3中インナーリング42が反時計方向に回転するため、インナーリング42の切欠き42aがC型リング70の折曲部74に当たり、高回転時には遠心力でC型リング70がアウターリング50から離れるように作用し、セルフロックの状態になるインナーリング42が時計方向に回転するときは、インナーリング42の切欠き42aが折曲部74を押圧し、C型リング70がアウターリング50に密着し、インナーリング42、C型リング70とアウターリング50との間には大きな摩擦力が作用する。
【0031】
アウターリング50の外側にはスラストリング(スラストリング部材)60が設けられ、スラストリング60は外周スプライン62でケース80に係合されるとともに、軸方向には第2スナップリング94により右側方向への移動が規制されている。さらに、スラストリング60とインナーリング42との間にはスプリング(スプリング部材)78が設けられ、スラストリング60とインナーリング42との間を弱い力で離す作用をしている。
【0032】
また、スラストリング60とアウターリング50とはヘリカルスプライン54で連結されている。すなわち、ヘリカルスプライン54はアウターリング50が入力軸10の回転と反対の方向に回転すると、スラストリング60に対しアウターリング50が左側へ移動する方向に捩れたスプラインになっている。逆に、アウターリング50が入力軸10と同じ方向に回転するとアウターリング50とスラストリング60はアウターリング50に一体形成した肩部56に突き当たるまで互いに近づく。つまり、スラストリング60は軸方向に関して、一方向はケース80に規制され、他の一方向はアウターリング50に規制されている。
【0033】
すなわち、ヘリカルスプライン54で生じる逆方向のスラストは、肩部56により相殺されるようになっている。
ケース80に形成されたシリンダー82にピストン84が装着されている。ピストン84は、常時はリターンスプリング86により右側へ押し付けられているが、図示しない制御回路からシリンダー82に作用する油圧でピストン84は左側へ動き、皿バネ66を介してアウターリング50を押圧することができる。
【0034】
次に、作用を説明する。
図4において、第1クラッチ30を締結すると入力軸10により第1リングギア22Aが駆動され、さらに遊星歯車メンバーである第2キャリア24Cをケース80に固定すると前進第1速になる。ここでは、図1〜図3に詳細を示した第2ブレーキ40の作動を説明する。
【0035】
前述のように第1リングギア22Aが入力軸10により駆動されると、第2キャリア24Cは入力軸10とは逆の方向に回転する。また、第2キャリア24Cと結合されたインナーリング42、およびインナーリング42の溝46に嵌合したC型リング70も同様に回転する。インナーリング42の内周面72はアウターリング50の外周面58に接しているので、その摩擦により引きずられてアウターリング50も回転する。ところが、スラストリング60はケース80と外周スプライン62で噛み合っているので回転できず、ケース80に嵌合した第2スナップリング94で右側への移動を阻止されている。アウターリング50はスラストリング60とヘリカルスプライン54で噛み合っているので、アウターリング50はヘリカルスプライン54の作用で回転しながらスラストリング60に対して左側へ動き、その円錐内面52がインナーリング42の円錐外面44に当接する。
【0036】
すると、円錐内面52と円錐外面44との間でも摩擦が起き、その摩擦によってアウターリング50に作用するトルクもヘリカルスプライン54に伝えられ、ヘリカルスプライン54でさらに大きなスラストが生じて、アウターリング50はより大きなスラストでインナーリング42に押し付けられることになる。
ここで、インナーリング42の円錐外面44およびアウターリング50の円錐内面52の円錐角と、ヘリカルスプライン54の捩れ角を適切に設定すると、円錐外面44、円錐内面52での摩擦トルクに対して、その摩擦トルクを発生させるのに必要な押圧力より大きなスラストがヘリカルスプライン54で生じる。つまり、円錐内外面44,52での摩擦がある限りヘリカルスプライン54で生ずるスラストが増大し続け、やがてインナーリング42はアウターリング50により回転を止められてしまう。すなわち、ヘリカルスプライン54の作用でインナーリング42は静止部のケース80にセルフロックすることになる。
【0037】
したがって、インナーリング42と連結された第2キャリア24Cはケース80に固定され、前述のように前進第1速になる。
前記セルフロック作用は、アウターリング50が入力軸10の回転と逆の方向に回転した場合にのみ生ずるので、セルフロックによる前進第1速は自動車を加速する方向にだけ動力を伝達する。したがって、セルフロックによる前進第1速の状態で第1ブレーキ34を締結すると、遊星歯車列20は前進第2速になろうとし、第2キャリア24Cおよびインナーリング42は入力軸10と同じ方向に回転しようとする。
【0038】
この場合は前述の加速する場合と逆になって、ヘリカルスプライン54には入力軸10と同じ回転方向にトルクが作用し、アウターリング50を右側へ、スラストリング60を左側へ動かす方向にスラストが発生する。しかし、スラストリング60はスプリング78によって右側へ押圧されているので、結果としてヘリカルスプライン54の作用でアウターリング50は右側へ引き寄せられる。
【0039】
そのため、アウターリング50とインナーリング42とは離反し、セルフロックも解除されて第2キャリア24Cは入力軸10と同じ方向に自由に回転できるようになり、前進第2速に切り替わる。このようにインナーリング42が自由に回転する状態(ブレーキとしては非作動)ではインナーリング42とアウターリング50とが離反することと、摩擦面の数が少ないため、第2ブレーキ40としての引きずり抵抗は従来の多板ブレーキに較べ小さくなる。
【0040】
また、セルフロックが解除された状態で、インナーリング42がある程度の回転数に達すると、前述のようにC型リング70は遠心力によって拡がり、アウターリング50との接触がなくなるので、インナーリング42とアウターリング50との間の引きずり抵抗は一層小さいものとなる。
以上の説明で明らかなように、インナーリング42、アウターリング50およびスラストリング60は一方向にのみセルフロックするワンウエイクラッチの役割を果たしていることが分かる。
【0041】
次に、エンジンブレーキの際に使用するLレンジの前進第1速においては、ケース80のシリンダー82に油圧をかけることにより、ピストン84がリターンスプリング86の張力に逆らって右へ動き、やがて皿バネ66を介してアウターリング50を押す、すると、アウターリング50の円錐内面52はインナーリング42の円錐外面44に当接し摩擦を生ずる。
【0042】
エンジンブレーキの際は第2ブレーキ40に作用するトルクの方向が入力軸10の回転方向と同じになるため、セルフロックは起きず、逆にヘリカルスプライン54ではアウターリング50をインナーリング42から引き離す方向のスラストが発生する。しかし、スラストリング60がスプリング78の張力に打ち勝って左側へ若干動き、またアウターリング50は右側へ若干動くと、スラストリング60はアウターリング50の肩部56に接する。このためヘリカルスプライン54で発生する逆方向のスラストは肩部56を押圧して相殺され、以後はヘリカルスプライン54で発生するスラストはこの肩部56に作用するだけとなる。
【0043】
したがって、ピストン84に作用する油圧は、アウターリング50を押すが、スプリング78の張力は極めて小さな値であるで、ほぼ油圧力に応じたブレーキトルクが円錐内外面44,52で得られる。
また、後退のRレンジにおいても、シリンダー82に油圧をかけることにより第2キャリア24Cをケース80に固定するが、この際も固定するためのブレーキトルクは、前進第1速のエンジンブレーキ時と同じ方向になり、前記と同様にシリンダー82に作用する油圧力で必要なブレーキ力が得られる。
【0044】
本実施例においては、図8の従来例のものに比較して、部品点数を削減することができ、コストを安くすることができる。また、摩擦面の数が減るため、ブレーキの非作動の状態における引きずり抵抗を低減することができる。
また、図9の従来例のものに比較して、油圧ピストンを小型化することができる。その結果、スペースおよびコストを低減することができる。
【0045】
次に、図6は本発明の第2実施例を示す断面図である。
図6において、第2キャリア24Cにコーンリング36を連結し、連結したコーンリング36をインナーリング42とアウターリング50とで挟み、インナーリング42とアウターリング50とはそれぞれの角スプライン38によって回転方向にのみ連結されている。図示は省略したが、第1実施例と同じ機能を有するスプリング78はインナーリング42とアウターリング50との間に設けられ、また、C型リング70はコーンリング36とインナーリング42との間に設けられている。
【0046】
前進第1速の加速時においては、入力軸10と同方向に回転する第2キャリア24Cによってコーンリング36が回転し、これに伴って、インナーリング42およびアウターリング50も回転する。アウターリング50とインナーリング42は角スプライン38で連結され、また、コーンリング36とインナーリング50の間にC型リング70が設けられているため、インナーリング42の回転に伴ってアウターリング50も確実に回転する。アウターリング50はヘリカルスプライン54によりスラストリング60に連結されているため、ヘリカルスプライン54によりアウターリング50が右側へ押圧されると、アウターリング50の円錐内面52とコーンリング36の外面36Aとが摩擦し、コーンリング36の内面36Bとインナーリング42の円錐外面44とが摩擦する。このため、第1実施例に較べて大きいブレーキ容量が得られる。
【0047】
また、セルフロックとは逆の回転方向のブレーキ作用を行う場合は、ヘリカルスプライン54で生ずる逆方向のスラストはスラストリング60の端面60aとアウターリング50の端面50aとで押圧し合い、スラストを相殺する。
第1実施例においては肩部56によって逆方向のスラストを相殺したが、第2実施例のようにスラストリング60とアウターリング50とがそれぞれの端面50a,60aで接することで相殺してもよいことは自明の理である。
【0048】
本実施例においても前記実施例と同様な効果を得ることができ、さらに、大きなブレーキ容量を得ることができる。
なお、第1,第2実施例ではアウターリング50とスラストリング60とをヘリカルスプライン54で連結する構造で説明したが、両者の間に何らかの斜面を設けて摩擦トルクが作用した場合にスラストが発生するようにしてもよい。また、両者の間の斜面間にボールなどを介在させても同様の効果が得られる。
【0049】
次に、図7(A),(B)は本発明の第3実施例を示し、図7(A)は円錐ブレーキの断面図、図7(B)は図7(A)のB−B断面図である。
図7(A),(B)において、96はスプラグと呼ばれる蚕の繭のような形状の駒であり、この駒96はアウターリング50とスラストリング60の間に介在される。
【0050】
第2キャリア24Cの回転方向が入力軸10の回転方向と逆方向のときは、駒96の作用により、アウターリング50はインナーリング42に押し付けられ、インナーリング42はケース80に固定される。
また、第2キャリア24Cの回転方向が入力軸10の回転方向と同方向のときは、駒96は作用せず、セルフロックは解除され、インナーリング42は、入力軸10と同じ方向に自由に回転する。
【0051】
本実施例においても前記実施例と同様な効果を得ることができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、従来の多板ブレーキとOWCとの組み合わせに代えて、円錐摩擦面を有するブレーキとヘリカルスプラインとを組み合わせ、さらにセルフロックと逆の回転方向の場合にヘリカルスプラインで生ずる逆方向のスラストを相殺するように構成したため、部品点数を削減し、コストを安くするだけでなく、摩擦面の数が減るためブレーキが非作動の状態における引きずり抵抗が低減することができ、さらに従来と同じ大きさの油圧ピストンで必要なブレーキ力が得られるので、スペースとコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図
【図2】図1の部分拡大図
【図3】アウターリング、C型リング、インナーリングの断面図
【図4】本発明を適用した遊星歯車列の一例を示すスケルトン図
【図5】図4の遊星歯車列の作動説明図
【図6】本発明の第2実施例を示す断面図
【図7】本発明の第3実施例を示す図
【図8】従来のブレーキを示す図
【図9】他の従来の円錐クラッチ装置を示す図
【符号の説明】
10:入力軸
12:出力軸
20:遊星歯車列
22:第1遊星歯車組
22A:第1リングギア
22B:第1ピニオン
22C:第1キャリア
23:サンギア
24:第2遊星歯車組
24A:第2リングギア
24B:第2ピニオン
24C第2キャリア(遊星歯車メンバー)
30:第1クラッチ
32:第2クラッチ
34:第1ブレーキ
36:コーンリング
36A:外面
36B:内面
38:角スプライン
40:第2ブレーキ
42:インナーリング
42a:切欠き
44:円錐外面
46:溝
48:リテーナプレート
50:アウターリング
50a:端面
52:円錐内面
54:ヘリカルスプライン
56:肩部
58:外周面
60:スラストリング(スラストリング部材)
60a:端面
62:外周スプライン
66:皿ばね
70:C型リング(C型リング部材)
72:内周面
74:折曲部
78:スプリング(スプリング部材)
80:ケース
82:シリンダー
84:ピストン
86:リターンスプリング
90:第1スナップリング
92:スラストワッシャー
94:第2スナップリング
96:駒(スプラグ)

Claims (6)

  1. 遊星歯車メンバーに円錐摩擦面を有するインナーリングを連結し、円錐摩擦面を有するアウターリングを前記インナーリングに押圧して、前記遊星歯車メンバーをケースに固定する自動変速機の円錐ブレーキにおいて、
    前記ケースに軸方向に摺動自在に連結されるとともに、前記アウターリングとヘリカルスプラインにより連結され、軸方向の一方の動きは前記ケースにより規制され、他方の動きは前記アウターリングにより規制されるスラストリング部材を前記ケースと前記アウターリングの間に設けたことを特徴とする自動変速機の円錐ブレーキ。
  2. 前記スラストリング部材の軸方向の他方の動きを前記アウターリングに形成した肩部により規制することを特徴とする請求項1記載の自動変速機の円錐ブレーキ。
  3. 前記スラストリング部材と前記インナーリングの間にスラストリング部材とインナーリングの間を離反するスプリング部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の円錐ブレーキ。
  4. 前記インナーリングに形成した切欠きにその折曲部が挿入されるとともにその内側を前記アウターリングに接触させ、セルフロックが解除された状態で前記インナーリングがある程度の回転数に達すると遠心力により接触を解除する弾性体のC型リング部材を前記インナーリングの溝に設けたことを特徴とする請求項1記載の自動変速機の円錐ブレーキ。
  5. 遊星歯車メンバーに円錐摩擦面を有するコーンリングを連結し、円錐摩擦面を有するアウターリングとインナーリングの間にコーンリングを挿入し、アウターリングを押圧して前記遊星歯車メンバーをケースに固定する自動変速機の円錐ブレーキにおいて、
    前記インナーリングと前記アウターリングをスプラインで連結し、前記ケースに摺動自在に連結されるとともに、前記アウターリングとヘリカルスプラインにより連結され、軸方向の一方の動きは前記ケースにより規制され、他方の動きは前記アウターリングにより規制されるスラストリング部材を前記ケースと前記アウターリングの間に設けたことを特徴とする自動変速機の円錐ブレーキ。
  6. 前記ヘリカルスプラインの代りにスプラグを用いて前記アウターリングと前記スラストリング部材を連結したことを特徴とする請求項1,5記載の自動変速機の円錐ブレーキ。
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