JP3568544B2 - 微粒子水酸化カルシウムと水ガラスを主材とした浸透性薬液 - Google Patents

微粒子水酸化カルシウムと水ガラスを主材とした浸透性薬液 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、主に砂質土等の透水地盤に注入する浸透性薬液、特に水に難溶性の平均粒径約8ミクロン以下の微粒子水酸化カルシウムと水ガラスを主材とする浸透性薬液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、薬液注入工法においては対象となる地盤の性質によって、使用する薬液が選定されている。
【0003】
即ち、一般に砂質土等の透水性の良い地盤には、土粒子の間隙に薬液を浸透させる浸透性薬液として、固形粒子を含まない無機系または有機系の溶液型薬液が用いられている。
【0004】
一方、透水性の悪いシルト、粘土等の土粒子の細かい粘性土地盤には、この土粒子の間隙に工学的に薬液を浸透させることは溶液型薬液でも困難であるため、このような粘性土地盤には薬液を浸透させるのではなく、地盤内にホモゲル(薬液成分のみ)強度の大きい懸濁型薬液(ほとんどセメント成分を含有し、その量は薬液1m当たり150〜200Kgと多量)を割裂注入し、地盤全体を改良する方法がとられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の無機系と有機系の溶液型薬液には次のような問題点がある。
【0006】
(イ) 無機系
【0007】
この無機系薬液は、非常に安価であり、また施工管理(建設省による暫定指針により、無機系はPHのみでよいが、有機系ではさらにCODの検査が義務付けられている)も簡単である。
【0008】
このため、ゲルタイムが30秒程度以下の瞬結タイプ(硬化剤量が多い)では、薬液として要求される、1)止水性(地下水に希釈されてもゲル化することができる団結能力)、2)団結強度(ホモゲルおよびサンドゲル)、3)施工性(ゲルタイムの調整)等を十分満足できるため、最も多く使用されている。
【0009】
しかし、ゲルタイムが2〜3分以上の緩結タイプ(硬化剤が少ない)では、無機系の中でも最も多く使用されている重炭酸ソーダ(ゲルタイムの調整が最も容易であるといわれている硬化剤)でも、少量の地下水に希釈されてもゲルタイムは大きく変化し、ついにはゲル化不能となる。
【0010】
また、緩結タイプではゲルタイムの調整が非常に難しく、特にゲルタイムが10分以上になると、現場での調整は全く不可能となり、さらに団結強度も非常に弱くなり、実用上の薬液とはなり得ない致命的な欠点も有している。
【0011】
(ロ) 有機系
【0012】
無機系に比べて、緩結タイプでも止水性、施工性および固結強度は優れているが、非常に高価であり、さらに施工管理においてCODの検査が義務付けられている等の問題点も包含している。
【0013】
以上のように、従来の無機系および有機系の溶液型薬液で緩結タイプの場合、多くの問題点を包含しており、このような問題点を解決するには上記の止水性、団結強度、施工性、施工管理および経済性を改善した浸透性薬液の開発が望まれる。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は、水に難溶性の平均粒径8ミクロン以下の微粒子水酸化カルシウムを薬液1mたり 2.5〜25Kgを含有した懸濁液に、水ガラスを加えることにより、水酸化カルシウムの大部分を溶解させるようにした浸透性薬液を提案するものである。
【0015】
【作用】
水酸化カルシウムは水に対する溶解度が20℃で0.165g/水100gで、水に極く僅かしか溶けない難溶性アルカリであるが、水ガラス成分の存在のもとでは実用に充分な量が溶解し、その添加量に応じたゲルタイムで水ガラスをゲル化させる。この水酸化カルシウムは、多少添加量にバラツキがあってもゲルタイムの変化が少なく、ゲルタイムの調整が容易で施工性に非常に優れ、しかも薬液が水に希釈されても、ゲルタイムの遅延の度合いは少なく、また多量の水に希釈されても固結能力を有する。
【0016】
【実施例】
本発明は、従来懸濁型(非浸透性)薬液として、セメント成分のみでは瞬結タイプにすることができないという課題に対し、ゲル化促進剤として補助的(単独で使用することはない)に使われている水酸化カルシウム(粉末)が、水ガラスとの間で特異な反応を起こすことをつきとめ、浸透性薬液としての性能を充分に満足する薬液を完成するに到ったものである。
【0017】
即ち、水酸化カルシウムは水に対する溶解度が20℃で0.165g/水100gで、水に極く僅かしか溶けない難溶性アルカリであることは周知の通りであるが、水ガラス成分の存在のもとでは実用に充分な量が溶解することが判った。
【0018】
一方、同じカルシウムを含む難溶性アルカリ剤であるセメントは、水ガラスの存在下においても溶解量は少なく、また、粒子分を除いた溶液のゲルタイムが非常に長くなることから、浸透性薬液としては好ましくないため本発明の薬液として採用できない。
【0019】
また、硫酸カルシウムは、水ガラスの存在の下にある程度溶解させることはできるが、溶解量に対してゲル化能力が弱く(ゲルタイムが非常に長い)、実用的な浸透性薬液としては不充分であるため、本発明の薬液として採用できない。
【0020】
さらに、水酸化カルシウムと同様の難溶性アルカリ剤である水酸化マグネシウムや炭酸カルシウムは水ガラスの存在下でもほとんど溶解せず、またゲル化能力を持たないため本発明の薬液として採用できない。
【0021】
上記の結果から、難溶性アルカリ剤として知られた各種物質の内、水ガラスの存在のもとで実用に充分な溶解度とゲル化能力を示し、本発明で使用できる物質としては、水酸化カルシウムのみであることを求明した。
【0022】
本発明の水酸化カルシウム粉末が、水ガラスの存在のもとで溶ける量は、粉末度、水ガラスの種類、水ガラスとの接触時間および混合方法等に影響されるが、なかでも特に粉末度の影響が大である。
【0023】
実験例からみれば水酸化カルシウムの大部分(50%以上)が溶解する量は、薬液1mたり 25Kg程度である。
【0024】
また、本発明の水酸化カルシウムの粉末度は、できるだけ微粒化したものが好ましいが、現状での技術的制約を考慮して平均粒径約8ミクロンより細かい微粒子を基準とした。
【0025】
本発明はこのような微粒子を用いるため、薬液中に極く少量の不溶性粒子が存在しても、砂質土に浸透可能である。
【0026】
すなわち、砂の粒子が非常にこまかい微細砂であって、たとえ水酸化カルシウム粒子が浸透できなくても薬液中に含まれる量が非常に少ないため、溶液部分の浸透も阻害することはほとんどなく、従来の溶液型と同程度あるいはそれに近い浸透性を示す。
【0027】
本発明では、より高強度を求める場合は、微粒子(平均粒径8ミクロン以下)の水さいスラグを併用することができる。
【0028】
本発明に用いる水さいスラグは、高炉で鉄を造るときに排出される融解スラグとして一般的に知られており、その主成分はおよそ SiO2 33 35% Al2O3 14 18% CaO 38 45% MgO 4 8% であり、この組成は、β −2CaO SiO2 Ca2MgSiO7−Ca2Al(SiAlO7) 系固溶体が主な化合物であるといわれている。この融解スラグを高温の内に水で急冷するとほとんどがガラス質となるが、これが水さいスラグである。この水さいスラグは、潜在水硬性を持つようになり、アルカリ(水酸化カルシウム等)などの刺激剤と作用して水硬性が現れ、早期に硬化を発現する。それ故、 Si Al Ca 及び Mg が含まれる化合物であっても、ガラス質で潜在水硬性を持たないものは、本発明の水さいスラグより除外される。
【0029】
従って、スラグ粒子との併用を考慮すれば若干の粒子としての水酸化カルシウムは、砂質土での浸透過程でスラグ粒子と同一挙動を起こすため、スラグの早期強度の発現からみれば、かえって若干の水酸化カルシウム粒子は必要である。
【0030】
従って、本発明で使用する水酸化カルシウムの量は、薬液1mたり 2.5〜25Kgの範囲としている。
【0031】
即ち、水酸化カルシウム量が1mたり 2.5Kg以下であってもゲル化能力を有しているが、固結強度が小さいため敢えて本発明より除外した。
【0032】
一方、逆に水酸化カルシウム量が1mたり 25Kg以上になると、溶解分に比べて不溶解分が多くなる傾向にあり一定の目安とした。
【0033】
しかし、対象となる砂質土の種類によっては、本発明の浸透性薬液としての技術的範囲を充分に発揮することができる場合には、水酸化カルシウム量が上記上限値より多少越えても本発明の範囲とみなすことができる。
【0034】
次に本発明の薬液(緩結タイプ)の性質について述べる。
【0035】
1)止水性
【0036】
本発明の水酸化カルシウムを用いた薬液は、多量の水に希釈されてもゲル化能力(固結力)を失わなわず、固結力が高いため止水性に優れている。
【0037】
この原因は、水ガラスの硬化剤としての水酸化カルシウムは、水に微量に溶解(0.165g/水100g)しただけでもゲル化能力を有しており、他の硬化剤ではこのようなゲル化能力を有している物質はない。
【0038】
なお、本発明は無機系でありながら、前述の有機硬化剤、例えばエチレンカーボネートよりも固結能力は優れている。
【0039】
2) 固結強度(サンドゲル)
【0040】
本発明の水酸化カルシウムは、無機系でありながら従来の無機系(たとえば重炭酸ソーダ)に比べて、高い固結強度が得られる。
【0041】
このことは、水酸化カルシウムは水ガラスとの間で珪酸カルシウムを生成するため、他の無機硬化剤よりも水ガラスとのゲル化力が強固であることが起因している。
【0042】
3)施工性
【0043】
施工上の性質として、所定のゲルタイム(特に緩結タイプ)を現場で容易に調整できるか、どうかが重要である。
【0044】
本発明の薬液は従来の無機系に比べてゲルタイムの調整が極めて容易であり、特にゲルタイムが約10分以上になると、従来最もゲルタイムの調整が容易と言われている有機系よりもさらに容易である。
【0045】
また、A液(水ガラス)、B液(硬化剤)を別々の注入ポンプで圧送する 1.5または2ショット方式で注入する場合、注入ポンプの吐出量(混合比)の誤差は通常5%程度であるが、このバラツキによるゲルタイムの変動が、従来の溶液型(無機、有機)よりもバラツキが小さいことも施工上の優れた性質といえる。
【0046】
4)施工管理および安全性
【0047】
本発明の水酸化カルシウムは、安全性の高い無機化合物であり、また、現場での水質検査はPHのみでよい。
【0048】
5)経済性
【0049】
水酸化カルシウムの粉末度にもよるが、材料費としては従来の無機系硬化剤と同等、あるいはそれ以下の安価な硬化剤といえる。
【0050】
以上のように、本発明の薬液は従来の無機系に比べて、極めて優れた性能を有している。
【0051】
本発明の薬液の注入方法は特に限定されるものではないが、ある程度水酸化カルシウム(粉末)と水ガラスの接触時間を持たせて、水ガラス中に水酸化カルシウムをできる限り溶解させた後に、地盤中に注入する方法が好ましい。
【0052】
具体的には、1ショット方法では調合容器内で水ガラスと水酸化カルシウムを接触混合させた後、1台の注入ポンプで地盤内に注入する方法がとられる。
【0053】
一方、 1.5ショット方法は、A液(水ガラス)とB液(水酸化カルシウム懸濁液)を別個に調合し、2台の注入ポンプを用いて圧送し、注入管までの間でA、B両液を合流して一定時間接触させた後に地盤中に注入する方法がとられる。
【0054】
しかし、A、B両液を二重管等の注入管の先端で合流させても、水酸化カルシウムの溶解速度は極めて早いために短時分の接触時間で溶解し、また、充分に溶解できなくても、本発明で使用する水酸化カルシウムが微粉末であるため、砂質土に浸透する過程で溶解するため、実用上特に問題とはならない。
【0055】
本発明に用いる薬液には、より固結強度を期待する場合には、微粒子の水滓スラグを併用することができ、その他従来の溶液型で用いる硬化剤のうち、水酸化カルシウムと共存させても安定な硬化剤は併用することができる。
【0056】
本発明の薬液は、主に砂質土等(砂レキ含む)を対象とし、土粒子の間隙に浸透させることを目的としたものであるが、その他、従来の溶液型薬液が適用されている地盤に本発明薬液を用いることができる。
【0057】
以下、さらに本発明の薬液について実施例を挙げて詳しく説明する。
【0058】
実験に用いた水酸化カルシウムは、第1図に示す粒子径(粒径分布)の異なる試料1(平均粒径10.9μ=ブレーン値 10,315cm /g)、試料2(平均粒径5.3μ=ブレーン値 18,150cm /g)、試料3(平均粒径2.8μ=ブレーン値 24,760cm /g)の3種類、微粒子セメント(平均粒径3.8μ)、および従来の溶液型薬液の代表的な硬化剤である重炭酸ソーダ(工業用)、水ガラスはJIS3号品を用いた。なお、これら3種類の水酸化カルシウムから算出した平均粒径8ミクロンのブレーン値は約 14,000cm /g である。
【0059】
実験−1
【0060】
水に懸濁させた水酸化カルシウムおよびセメント等の微粒子が水ガラスの存在のもとに溶解する量を確認するため、一定時間両者を攪拌混合した後、濾紙(東洋濾紙製、No.2)で吸引濾過により固液分離して溶解量を測定した。
【0061】
さらに、濾過した溶液(薬液)のゲルタイムを測定し、併せて上記微粒子と水ガラスを常時攪拌混合した場合のゲルタイムを測定した。
【0062】
その結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
Figure 0003568544
【0064】
表1の水ガラスに溶解した量の欄において、*印はA,B両液を3秒攪拌した結果を、**印は同60秒攪拌した結果を、さらに註)以下の無印は同30秒攪拌した結果を示す。
【0065】
上記の表1より、水に難溶性(0.165g/水100g)の水酸化カルシウムが水ガラスの存在のもとでは、極めて多量に溶解することがわかり、しかもその溶解量は水酸化カルシウムの粉末度および攪拌時間に影響され、なかでも前者の影響が大きいことが判明した。
【0066】
また、ゲル化するまで水ガラスと水酸化カルシウム微粒子を常時混合したゲルタイムに対して、粒子部分を除いた溶液部分のゲルタイムは遅延されるが、その度合いは粒子の粉末度に大きく影響され、特に粉末度が平均粒径が10ミクロン(試料1)では差が大きいことがわかる。
【0067】
上記の溶解量およびゲルタイムからみて、本発明で用いる水酸化カルシウムの粉末度は平均粒径8ミクロン以下の微粒子が好ましく、本発明の範囲とした。
【0068】
一方、セメントは水酸化カルシウムに比べて溶解量が小さく、さらにゲルタイムも非常に長く、また濾液部分と常時混合の差違が非常に大きく、本発明の薬液としての性能を満たしていないため本発明より除外した。
【0069】
さらに、水酸化マグネシウムや炭酸カルシウムはゲル化能力がなく、また硫酸カルシウムは、水ガラスの存在のもとにある程度溶解するが、添加量に対してゲルタイムが非常に長いため、浸透性薬液としては不適と判断して本発明より除外した。
【0070】
実験−2
【0071】
止水性を確認するため、薬液が水に希釈された場合のゲルタイム(固結力)の変化を測定した。
【0072】
実験に用いた本発明の薬液の硬化剤は、表1の試料2を、また比較例として重炭酸ソーダを用い、その実験結果を第2図に示す。
【0073】
なお、配合はA液として水ガラス50ml、水50mlの水ガラス水溶液(100ml)を用い、B液として100ml当たり試料2を 3g、および重炭酸ソーダを6.6gをそれぞれ水に混合した懸濁液を用いた。
【0074】
第2図より、重炭酸ソーダを用いた薬液は極く少量の水に希釈されるとゲルタイムは極端に遅延され、ついにはゲル化は不能(固結力を失う)となることがわかる。
【0075】
この結果、薬液(水ガラス成分)は浸透されるが固結せず、止水性を損なうことになる。
【0076】
これに対して、本発明の薬液は水に希釈されても、ゲルタイムの遅延の度合いは少なく、また多量の水に希釈されても固結能力を有していること、即ち、止水性に極めて優れていることがわかる。
【0077】
なお、実験例には示さないが、有機系硬化剤(たとえばエチレンカーボネート)よりも固結能力が優れていることも判明した。
【0078】
実験−3
【0079】
現場でのゲルタイムの調整の難易度をみるため、硬化剤量(実験−2と同じ硬化剤)とゲルタイムの関係を第3図に示した。
【0080】
第3図より、重炭酸ソーダを用いた薬液は、極く少量の硬化剤の増減により、ゲルタイムは大きく変化し、ついにはゲル化しなくなるという極めてゲルタイムの調整が難しいことがわかる。
【0081】
これに対して、本発明の薬液は、硬化剤量を多少増減しても、ゲルタイムはそれ程大きく変化することはなくゲルタイムの調整が容易であることがわかる。
【0082】
また、硬化材が極端(薬液1m 当たり約1Kg)に少なくなっても固結能力を有しており、このことは従来の薬液(有機系を含む)では考えられなかった優れた性質を示す。
【0083】
実験−4
【0084】
薬液を 1.5あるいは2ショット方式で注入する場合、A、B両液を別個に調合し、2台のポンプで圧送した場合のバラツキによるゲルタイムの変化の度合いを第4図に示す。
【0085】
これより、重炭酸ソーダを用いた従来の薬液(比較例)は、極くわずかのバラツキによりゲルタイムは大きく変化し、A液 100mlに対しB液が80ml以下になるとゲル化しなくなり、逆にB液に対してA液が少なくなるとゲルタイムが非常に早くなり、吐出量の違いがゲルタイムを大きく変化することがわかる。
【0086】
これに対して、本発明の水酸化カルシウムを用いた薬液(実施例)は、多少吐出量がバラツいても、ゲルタイムの変化が少なく、一定の範囲内にあり、施工性に非常に優れていることがわかる。
【0087】
実験−5
【0088】
薬液の固結強度(サンドゲル)をみるため、実験−2の実施例および比較例の配合を、密に詰めた標準砂(n=40%)に加圧注入(0.7Kgf/cm)し、3日後の一軸圧縮強度を測定したところ、実施例は2.7Kgf/cm、 比較例は1.8Kgf/cm であった。
【0089】
これより、両者共ほぼ同じゲルタイムでありながら、実施例は比較例に比べて大幅に高い固結強度を示しており、これは本発明の硬化剤として水酸化カルシウムを用いるため、水ガラスとの間で強固なるゲル(珪酸カルシウム)を生成するためと思われる。
【0090】
【発明の効果】
以上の通りこの発明によれば、硬化剤として微粒子の水酸化カルシウムを、水ガラスの存在のもとに大部分を薬液中に溶解させるため、従来の無機系溶液型薬液に比べて、止水性、施工性および固結強度等非常に優れた性質を有する浸透性薬液が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実験に用いた水酸化カルシウムとセメントの各試料の粒径分布図。
【図2】薬液を水に希釈した場合の希釈水とゲルタイムの関係を示す線図。
【図3】薬液の硬化剤量とゲルタイムの関係を示す線図。
【図4】薬液のA液とB液の配合のバラツキとゲルタイムの関係を示す線図。

Claims (1)

  1. 砂質土等の透水地盤を対象とした薬液注入工法に用いる浸透性薬液において、水に難溶性の平均粒径8ミクロン以下の微粒子水酸化カルシウムを薬液1mたり 2.5〜25Kgを含有した懸濁液に、水ガラスを加えることにより、前記水酸化カルシウムの大部分を溶解させてなることを特徴とする微粒子水酸化カルシウムと水ガラスを主材とした浸透性薬液。
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