JP3567951B2 - 毛髪処理剤及び毛髪処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、毛髪の損傷を改善するだけではなく、毛髪に対してより積極的に種々の機能を付与することが可能な毛髪処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、毛髪に対するおしゃれ意識の向上から、染毛やパーマネント等の機会が増える傾向にある。しかし、こうした処理の繰り返しは、本来の目的とは別に毛髪に対して損傷を引き起こす可能性が高く、事実これらの処理によって毛髪の潤いや艶が失われ、毛髪がパサついたり、ハリやコシが少なくなったといった不満がしばしば聞かれる。
【0003】
そこで、このような消費者の不満の解決を目的に種々の毛髪用組成物が提案されている。例えばポリマー等を用いるもの(特開昭52ー7449号公報)、ペプチドの誘導体を用いるもの(特開昭63−105000号、特開平4−308515号公報)、蛋白質の加水分解物を用いるもの(特開平5−921号公報)、特定のペプチドと多価アルコールを用いるもの(特公昭62−29404号公報)等が挙げられる。
【0004】
しかしながら、上記方法は何れも目的とする成分を吸着等の作用によって毛髪に付与することでその効果の発揮を狙ったものであるが、その効果の程度や持続性の面で必ずしも満足できるレベルには至っていなかった。
【0005】
また、損傷を受けた毛髪をトランスグルタミナーゼで処理する組成物も特開平2−204407号公報に提案されている。しかしながら、この技術は、毛髪をただ単にトランスグルタミナーゼによって処理するだけで、酵素(トランスグルタミナーゼ)の作用は毛髪の表面に存在するグルタミン残基とリジン残基の結合を触媒することに限定されており、このためある程度の毛髪損傷改善効果は有するものの、毛髪を本質的に改質して毛髪に新たな機能を付与するという面で十分な効果を得ることができなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、毛髪の損傷を改善し得る上、毛髪に対してより積極的に種々の機能を付与することが可能な毛髪処理剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の態様】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上のアミノ基含有化合物と、トランスグルタミナーゼとを含有する毛髪処理剤であって、アミノ基含有化合物とトランスグルタミナーゼとを別々の製剤に配合してなる毛髪処理剤で毛髪を処理することにより、下記アミノ基含有化合物を毛髪に導入することによって毛髪に種々の特性や機能性、例えば毛髪の強度、弾力性、滑らかさなどを向上させることが可能であり、毛髪の損傷を本質的に改善するだけではなく、毛髪に対してより積極的に種々の機能を付与することができること、よって毛髪を満足に改質できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
(A)下記一般式(1)又は(2)で示される1級アミン構造を有する化合物及びその塩類。
H2N−(CH2)n−CHR1R2 …(1)
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、−COOR基(Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜5のアルケニル基)、−NR2基(Rは上記と同様の意味を示すが、2個のRは互いに同一でも異なっていてもよい)、−OR基(Rは上記と同様の意味を示す)、−COR基(Rは上記と同様の意味を示す)、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、インドリル基、−SiR’R’’R’’’基(R’,R’’,R’’’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す)又はスルホ基を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。nは1〜10の整数である。〕
H2N−(CH2)m−NHR3 …(2)
〔式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、−(CH2)p−NR2基(pは1〜5の整数、Rは上記と同様の意味を示す)又は−(CH2)p−COOR基(p,Rは上記と同様の意味を示す)を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。mは2〜11の整数である。〕
(B)分子量が203以上であり、かつ1分子中に少なくとも1つ以上のリジン及び/又はグルタミン残基を含むペプチド又は蛋白質。
【0009】
従って、本発明は、上記(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上のアミノ基含有化合物と、トランスグルタミナーゼとを含有する毛髪処理剤であって、アミノ基含有化合物とトランスグルタミナーゼとを別々の製剤に配合してなる毛髪処理剤、この毛髪処理剤で毛髪処理する方法であって、アミノ基含有化合物を含む製剤とトランスグルタミナーゼを含む製剤とを毛髪処理する直前に混合してこの混合物で毛髪処理する方法、又はアミノ基含有化合物を含む製剤で毛髪処理した後引き続きトランスグルタミナーゼを含む製剤で毛髪処理する方法を提供する。
【0010】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の毛髪処理剤は、下記(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上のアミノ基含有化合物と、トランスグルタミナーゼとを含有する毛髪処理剤であって、アミノ基含有化合物とトランスグルタミナーゼとを別々の製剤に配合してなるものである。
(A)下記一般式(1)及び(2)で示される1級アミン構造を有する化合物及びその塩類。
H2N−(CH2)n−CHR1R2 …(1)
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、−COOR基(Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜5のアルケニル基)、−NR2基(Rは上記と同様の意味を示すが、2個のRは互いに同一でも異なっていてもよい)、−OR基(Rは上記と同様の意味を示す)、−COR基(Rは上記と同様の意味を示す)、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、インドリル基、−SiR’R’’R’’’基(R’,R’’,R’’’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す)又はスルホ基を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。nは1〜10の整数である。〕
H2N−(CH2)m−NHR3 …(2)
〔式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、−(CH2)p−NR2基(pは1〜5の整数、Rは上記と同様の意味を示す)又は−(CH2)p−COOR基(p,Rは上記と同様の意味を示す)を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。mは2〜11の整数である。〕
(B)分子量が203以上であり、かつ1分子中に少なくとも1つ以上のリジン及び/又はグルタミン残基を含むペプチド又は蛋白質。
【0011】
ここで、上記式(1),(2)において、アルキル基は直鎖でも分岐鎖を有していてもよい。このようなアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、べンジル基、ヘキシル基などが挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基が好ましい。アルケニル基としてはビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基などが挙げられ、アリール基としてはフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、−SiR’R’’R’’’基としては、−Si(CH3)3,−Si(OCH3)3,−Si(OC2H5)3,−Si(CH3)2(OCH3)などが挙げられる。更に本発明では、これらの1級アミン化合物と塩酸、硫酸、硝酸などとの間に形成する塩類も使用することができる。
【0012】
このような1級アミン構造を有する化合物の具体例を表1,2に示す。なお、これらの化合物は何れも試薬又は工業原料として入手可能である。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
次に、本発明で用いられるペプチド又は蛋白質は、分子量が203以上、好ましくは276以上であり、1分子中に少なくとも1つ以上のリジン及び/又はグルタミン残基を含むものである。
【0016】
ペプチドとして具体的には、1分子中に2残基以上のリジン及び/又はグルタミンを含むペプチドや、1残基以上のリジン及びグルタミンをリジン残基とグルタミン残基とが隣接しない形で含むペプチド、例えば下記式(3)
X−リジン−Y−グルタミン−Zq …(3)
(但し、式中X,Y,Zはそれぞれリジン及びグルタミン以外のアミノ酸残基であり、qは1〜3の整数でアミノ酸残基数を示す。なお、qが2又は3の場合、Zは同一のアミノ酸残基でも、また異なったアミノ酸残基であってもよい。)
で示されるオリゴペプチドやそれらの重合したポリペプチド等を用いることができる。なお、上記したペプチドは何れも化学合成法により得ることができる。
【0017】
更に、本発明では、分子中にリジン残基及び/又はグルタミン残基を含んでいれば必ずしも単一の構造を有するペプチドを用いる必要はなく、例えば大豆蛋白質、小麦蛋白質、カゼイン、更には毛髪から還元剤、尿素、界面活性剤等の存在下で抽出される分子量約15,000〜60,000の種々のケラチン蛋白質などや、これら蛋白質を酸または蛋白質分解酵素等で加水分解して得られるペプチドの混合物等を用いることもできる。なお、この場合、ペプチド混合物をイオン交換樹脂等により処理して酸性ペプチドを除去し、塩基性アミノ酸に富んだペプチド混合物を用いると、毛髪の吸着性向上の面においてより高い効果を得ることができる。
【0018】
上記アミノ基含有化合物の配合量は、製剤の形態、使用頻度、処理時間等の条件によって異なるが、通常は0.01〜10%(重量%、以下同様)、特に0.1〜5%の範囲で配合するのが好ましく、配合量が0.01%に満たないと満足な効果が得られない場合があり、10%を超えると添加量の増加に見合うだけの効果が得られず実用的ではない。また成分によっては毛髪への導入に比べ、成分同士の重合が優先して起こる場合があり好ましくない。
【0019】
次に、本発明で用いるトランスグルタミナーゼ(EC2.3.2.13)は、蛋白質やペプチドへの1級アミン類の結合や、蛋白質中のグルタミン残基とリジン残基間の架橋形成を介した蛋白質同士の結合を触媒する酵素として知られている。このトランスグルタミナーゼは、哺乳類の組織、臓器、血液、更には魚介類や微生物などにも存在することが知られており、本発明に使用するトランスグルタミナーゼは、その起源に関係なくいずれのものも使用可能であり、精製酵素であっても酵素活性を有する組織由来の抽出物であってもよい。
【0020】
トランスグルタミナーゼは試薬として、また食品工業分野において食品加工用の製剤として市販されており、容易に入手することができる。
【0021】
製剤へのトランスグルタミナーゼの配合量は、製剤の形態、使用頻度、処理時間、用いる酵素剤の力価にもよるが、通常は0.0001〜5%、特に0.001〜1%配合するのが好ましい。配合量が0.0001%に満たないと酵素の効果が発揮されない場合があり、5%を超えると酵素量の増加に見合うだけの効果の発揮が期待できない。
【0022】
なお、一般にトランスグルタミナーゼの反応にはカルシウムイオンが必要とされているが、種類によってはカルシウム非依存性の酵素も存在している。従って、本発明においては、カルシウムイオンは必ずしも必須ではなく、必要に応じてカルシウムイオンを添加することが望ましい。なお、カルシウムイオンを添加する場合は、種々のカルシウム塩、例えば炭酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、パルミチンカルシウム等を配合することが好ましく、その添加量は、通常カルシウム濃度として5〜50mM程度となるように添加するのが好ましい。
【0023】
本発明の毛髪処理剤は、上記アミノ基含有化合物の存在下でトランスグルタミナーゼを用いて毛髪を処理することにより、毛髪にアミノ基含有化合物が導入されて毛髪を改質し得るもので、導入されるアミノ基含有化合物の種類によって毛髪へ種々の機能性を付与することが可能となる。
【0024】
このような本発明製剤は、毛髪へ適用可能な任意の形態の製剤、例えば液状、クリーム状、ゲル状などに調製することができる。具体的には化粧水又はヘアトニックタイプのアルコール製剤、ヘアクリーム、ヘアローション、乳液、軟膏、ヘアトリートメント、ヘアコンディショナー等の外用できる剤型として幅広く使用できる。また、液状形態のものは通常の噴射剤、例えば炭酸ガス、酸素ガス、LPGなどと併用し、耐圧容器に充填することもできる。
【0025】
この場合、本発明では、トランスグルタミナーゼとアミノ基含有化合物を2種あるいはそれ以上の製剤に別々に配合して、毛髪を処理するときに混合、あるいはアミノ基含有化合物を含む製剤で処理した後に引き続いてトランスグルタミナーゼを含む製剤で処理する方法を採用することができる。特に、アミノ基含有化合物が分子中にリジン及びグルタミンを同時に含むペプチド又は蛋白質である場合、あるいはリジンを含むペプチド又は蛋白質とグルタミンを含むペプチド又は蛋白質とが種々混合されている場合には、トランスグルタミナーゼとアミノ基含有化合物とを別々の製剤として配合した方が好ましい。
【0026】
更に、本発明製剤には、上述の必須成分に加え、一般的に配合可能な毛髪を健やかに保ったり、発毛を促進したりするための他の薬効成分、例えばビタミンA、ビタミンB6、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、メチオニン、システィン、チロシン等のアミノ酸類、サリチル酸、ヒノキチオール、レゾルシン等の殺菌剤、その他のホルモン類などを必要に応じて配合できる。なお、これら薬効成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0027】
更に、上記薬効成分以外にも例えば油分、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤、使用感付与剤、pH調整剤、防腐剤、香料、色素等、通常これらの製剤に用いられる成分が配合可能である。
【0028】
本発明の毛髪処理剤を用いて毛髪を処理する際は、製剤の通常の使用方法に従って行うことができる。即ち、製剤のタイプによって若干の使い方は異なるが、一般的には毛髪に対して十分な量の製剤を毛髪全体にまんべんなく行き渡るよう与えることが必要である。本発明の毛髪処理剤の場合には、トランスグルタミナーゼとアミノ基含有化合物が2剤の形で提供される場合には、まずアミノ基含有化合物を含む製剤で毛髪を処理した後、トランスグルタミナーゼを含む製剤を用いるか、毛髪へ適用する直前に2剤を混合して用いることが好ましい。また、使用時間、使用回数などは特に限定されるものではないが、好ましくは1日2回(朝・晩)程度の使用が望ましい。
【0029】
なお、ヘアトリートメントなど、使用後洗い流す必要のある製剤として用いる場合には、毛髪を処理した状態で20分以上、特に30分以上経過した後に洗髪することが望ましく、20分未満の処理時間ではトランスグルタミナーゼによる毛髪へのアミノ基含有化合物の導入が十分ではなく、従って満足すべき毛髪の改質効果を得ることが難しくなる場合がある。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0031】
〔実施例1、比較例1,2〕
表3に示す組成物A,B,Cを用いて毛髪の処理を行った。即ち、ヒトの毛髪0.5gをシャンプーにより洗浄後、ケラチン混合物及びトランスグルタミナーゼの両方を含む組成物A、トランスグルタミナーゼを含む組成物B、ケラチン混合物を含む組成物Cの各々に30℃、30分間、浴比20の条件で浸漬した。
【0032】
浸漬終了後、毛髪を水洗し、更に20℃、湿度65%の条件下で24時間調湿後、毛髪の引っ張り強度の測定を行った。測定の結果を表4に示す。
【0033】
なお、組成物Aは、組成物B及び組成物Cに含まれるトランスグルタミナーゼ及びケラチン混合物を各々2倍量配合したものを1:1に混合し、毛髪を浸漬する直前に調製した。
【0034】
また、組成物A及びCに含まれるケラチン混合物は、下記のように調製した。
ケラチン混合物の調製:
市販の毛髪をクロロホルム/メタノール(2/1)で脱脂後、還元剤、尿素、界面活性剤存在下で50℃で一晩処理した。得られた抽出物を透析後、凍結乾燥し、分子量約15,000〜60,000の種々のケラチン分子の混合物を得た。これらのケラチン分子は、トランスグルタミナーゼで処理すると電気泳動的に分子量が高分子化すること、また、反応に伴いアンモニアが発生することから、分子内にリジン及び/又はグルタミンが含まれているものと認められた。
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
表4の結果より、ケラチン混合物の存在下で毛髪をトランスグルタミナーゼで処理する処理剤の方法に従うと、ケラチン混合物又はトランスグルタミナーゼ単独で処理する場合に比べ、毛髪の強度が顕著に向上することがわかった。
【0038】
〔参考例1、比較例3,4〕
表5に示すD,E,Fの組成物を用いて、リジンメチルエステル・二塩酸塩とトランスグルタミナーゼによる毛髪処理の効果を検討した。
【0039】
市販の毛束をシャンプーで洗浄後風乾し、この毛髪10gに対して2gの割合で各々の組成物を与え、毛髪全体に十分なじませた。この処理を1日2回、2週間継続した。なお、4回の処理ごとに1回の割合でシャンプーによる洗浄を行った。
【0040】
次に、処理後の毛髪をシャンプーにより洗浄した後、風乾した。これらの毛髪を試料として、専門のパネラー15名により毛髪の「ハリ・コシ」及び「なめらかさ」について、無処理毛と比較して官能評価した。以上の結果を表5に示す。
【0041】
【表5】
【0042】
表5の結果より、リジンメチルエステル・二塩酸塩の存在下においてトランスグルタミナーゼを作用させる本発明の処理剤は、トランスグルタミナーゼ又はリジンメチルエステル・二塩酸塩単独での処理に比べ、毛髪の「ハリ・コシ」や「なめらかさ」を顕著に増加させることがわかった。
【0043】
〔実施例2、比較例5,6〕市販の羊毛ケラチン加水分解物(平均分子量約1,000)とトランスグルタミナーゼを用いて毛髪を処理したときの効果を検討した。即ち、30名の女性パネラーを2群に分け、1群には表6に示す「組成物G及びH」(実施例2)と「組成物G」(比較例5)を、他の1群には「組成物G及びH」(実施例2)と「組成物H」(比較例6)をそれぞれハーフ・ヘッド法で1日2回(朝・晩)、連続2ヶ月間別々に使用させ、試験後の毛髪の「ハリ・コシ」及び「なめらかさ」の状態を左右で比較して、本発明に基づく処理剤の効果を調べた。なお、組成物G及び組成物Hを塗布する場合には、組成物Hを塗布した後に組成物Gを塗布させた。試験後の評価結果を表7,8に示す。
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】
【0046】
【表8】
【0047】
表7,8の結果より、本発明の処理剤で処理することにより、毛髪の「ハリやコシ」、「なめらかさ」が顕著に改善されることがわかった。
【0048】
〔参考例2〜11〕
参考例1で用いたリジンメチルエステル・二塩酸塩の代わりにβ−アラニンエチルステル塩酸塩(表1中のNo.9の化合物の塩酸塩)、トリプタミン塩酸塩(表1中のNo.31の化合物の塩酸塩)、2−n−ブチルアミノエチルアミン(表1中のNo.18の化合物)、4−アミノ酪酸エチルエステル(表1中のNo.10の化合物)、N−(3−アミノプロピル)シクロヘキシルアミン(表1中のNo.21の化合物)、N−(3−アミノプロピル)グリシン・二塩酸塩(表1中のNo.20の化合物の二塩酸塩)、L−オルニチン・二塩酸塩(表1中のNo.12の化合物)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(表2中のNo.33の化合物)、タウリン(表2中のNo.34の化合物)、6−アミノ−1−ヘキサノール(表1中のNo.5の化合物)を用いて、参考例1と同様の評価を行ったところ、参考例1とほぼ同様の傾向を示す結果を得ることができた。
【0049】
〔実施例3〜11〕
実施例2で用いた羊毛ケラチン加水分解物のかわりに、以下の構造を有するペプチドを配合して実施例2と同様の処理を行ったところ、実施例2と同等の優れた毛髪の改質効果が得られた。
ペプチドの構造(N末端アミノ酸→C末端アミノ酸で示す)
・グリシン−リジン−グルタミン酸−グルタミン−バリン
・グリシン−リジン−グルタミン酸−グルタミン−バリン−グリシン
・グリシン−リジン−グルタミン酸−グルタミン−バリン−グリシン−バリン
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−アスパラギン酸
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−アスパラギン酸−プロリン
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−アスパラギン酸−スレオニン
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−アスパラギン酸−プロリン−バリン
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−グルタミン酸−プロリン
・バリン−リジン−グリシン−グルタミン−バリン−セリン
Claims (3)
- 下記(A)及び(B)から選ばれる1種又は2種以上のアミノ基含有化合物と、トランスグルタミナーゼとを含有する毛髪処理剤であって、アミノ基含有化合物とトランスグルタミナーゼとを別々の製剤に配合してなることを特徴とする毛髪処理剤。
(A)下記一般式(1)及び(2)で示される1級アミン構造を有する化合物及びその塩類。
H2N−(CH2)n−CHR1R2 …(1)
〔式中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基、−COOR基(Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数2〜5のアルケニル基)、−NR2基(Rは上記と同様の意味を示すが、2個のRは互いに同一でも異なっていてもよい)、−OR基(Rは上記と同様の意味を示す)、−COR基(Rは上記と同様の意味を示す)、イミダゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、インドリル基、−SiR’R’’R’’’基(R’,R’’,R’’’はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜5のアルケニル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を示す)又はスルホ基を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。nは1〜10の整数である。〕
H2N−(CH2)m−NHR3 …(2)
〔式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、−(CH2)p−NR2基(pは1〜5の整数、Rは上記と同様の意味を示す)又は−(CH2)p−COOR基(p,Rは上記と同様の意味を示す)を示し、上記基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部は水酸基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。mは2〜11の整数である。〕
(B)分子中に1つ以上のリジン及び/又はグルタミン残基を含む分子量203以上のペプチド及び蛋白質。 - 請求項1記載の毛髪処理剤で毛髪処理する方法であって、アミノ基含有化合物を含む製剤とトランスグルタミナーゼを含む製剤とを毛髪処理する直前に混合してこの混合物で毛髪処理する方法。
- 請求項1記載の毛髪処理剤で毛髪処理する方法であって、アミノ基含有化合物を含む製剤で毛髪処理した後引き続きトランスグルタミナーゼを含む製剤で毛髪処理する方法。
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