JP3567677B2 - 自動ミシン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縫製データに従って所望のパターンの縫目を被縫製物に形成できる自動ミシンに関する。
【0002】
【従来の技術】
こうした自動ミシンの一例を図1に示す。自動ミシン1は、針3を上下動させるミシン本体と、針3の下に位置して前後左右に移動されるテーブル5を備え、このテーブル5に固定された布等の被縫製物7に縫製を行なって行く。
【0003】
この縫製動作は、図示しない縫製データ作成装置にて作成された縫製データに従って行なわれる(なお、縫製データの作成も可能にされたミシンもある)。この縫製データを自動ミシン1に読み取らせ、縫製動作を行なせわると、その縫製データどおりの、縫いパターンが被縫製物7に形成される。また、読み取らせた(或は作成した)縫製データをそのままの大きさで縫うのではなく、拡大或は縮小をした上で縫製動作を行なわせる場合もある。この、拡大・縮小操作は操作パネル11にて行なう。操作パネル11の外観を図2に示す。
【0004】
操作パネル11は、ロータリースイッチ21と、ボタン23と、LED25と、3桁の7セグメント表示装置27と、フロッピーディスクドライブ29とを備えている。ロータリースイッチ21は、左右両方向に回転操作可能なダイヤルであり、操作パネル11の内部に設けられたロータリーエンコーダによりその回転角度が検出される。LED25は縦に5個並べられており、その内のいずれか1個が点灯される。
【0005】
この点灯箇所は各LED25の右に記載された事項がロータリースイッチ21の操作対象となっていることを示す。ボタン23を押すと、点灯されるLED25が1個ずつ下へ変更され、一番下のLED25が点灯された状態でボタン23を押すと、一番上に戻る。7セグメント表示装置27は、ロータリースイッチ21の回転操作に応じて設定される拡大率および縮小率(以下、両者を区別しない場合には拡縮率と言う)等が表示される。フロッピーディスクドライブ29は、フロッピーディスクから縫製データを読み出したり、縫製データを拡大や縮小等することにより生成された新たな縫製データをフロッピーディスクに記録するためのもので、操作パネル11の側面に設けられている。
【0006】
この操作パネル11にて、例えば、左右方向(自動ミシン1ではX軸方向)の拡縮率を設定する場合には、ボタン23を適宜押して、一番上のLED25、つまりその右に「X−SCALE」と記載されているLED25を点灯させる。その縫製データのX軸方向の拡縮率を全く操作していない場合には、7セグメント表示装置27に拡縮率が100%であることを示す数字「100」が表示される。この状態でロータリースイッチ21を右回りに回転させると、7セグメント表示装置27の数字が増大し、縫製データが示す縫いパターンを拡大することができる。逆に、左回りに回転させれば、7セグメント表示装置27の数字が小さくなり、縫製データが示す縫いパターンを縮小させることができる。例えば、「200」と表示されれば元の縫いパターンを2倍に拡大させ、「70」と表示されれば、70%の大きさに縮小することができる。なお、7セグメント表示装置27に表示させる数字の増減は1単位でできるようにされており、例えば81%という、きめ細かな拡縮率設定も可能である。また拡縮率はX軸方向、Y軸方向ともに5〜300%にされている。
【0007】
手前←→奥方向(自動ミシン1ではY軸方向)の拡縮率を設定する場合には、ボタン23をもう1回押して、右に「Y−SCALE」と記載されているLED25を点灯させ、ロータリースイッチ21を操作することにより同様に拡縮率を変更できる。なお、このようにボタン23を押すと、それまでに設定された数値は一旦確定される。つまり、7セグメント表示装置27に「70」を表示させた状態でボタン23を押すと、X軸方向の拡縮率は70%となる。また、更にボタン23を押すと、縫製速度や、下糸カウンター、スプリットNo.の設定も可能となるが、これらについては説明を省略する。
【0008】
こうしてX軸、Y軸双方向の拡縮率を設定し、縫いパターンを変更した例を図3(a)、図3(b)に示す。図3(a)は、縫製データに従ってそのまま縫製した場合の縫いパターン、図3(b)は、X軸方向、Y軸方向の拡縮率を共に200%、つまり2倍に拡大した場合に形成される縫いパターンである。このように、縫製データ化された一つの縫いパターンから、様々な大きさの縫いパターンを被縫製物7に形成することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術によれば、拡大率を大きくし過ぎたために、縫製エリアからはみ出てしまう場合がある。縫製エリアとは、縫製動作が可能な範囲であり、自動ミシン1においては、X軸方向が200mm、Y軸方向が100mmの長方形にされている。例えば、図3(a)の縫いパターンをX軸方向、Y軸方向とも300%に拡大すると、X軸方向は150mmとなって縫製エリア内に収まるものの、Y軸方向は120mmとなってしまい、縫製エリア13からはみ出てしまう(図3(c)参照)。なお、自動ミシン1では、生成されたデータが縫製エリア13からはみ出る場合には、収まっている部分だけが縫製されるのではなく、そのデータ全体がエラーとなり、一切、縫製することができなくなる。
【0010】
そして、当然のことながら、縫製データによってその縫いパターンの大きさが異なるため、何%までの拡大なら、縫製エリア13に収まるかが分からない。
また、拡縮率を規制する要素としては、縫製エリア13以外にも縫目のピッチがある。図3(a)〜図3(c)では、縫いパターンを為す三角形の辺を一直線にて表しているが、周知のようにこれらの辺は何れも、縫目が連続したものとなっている。そしてこの縫目のピッチP(図3(d)参照)には、自動ミシン1の仕様として0.1〜12.7mmという制限がある。つまり、たとえ拡大した縫いパターンが縫製エリア13に収まる大きさであっても、ピッチPが12.7mmを越えると縫製ができなくなる。そして、このピッチPに下限があることにより、縮小においても、制限が生じる。すなわち、ピッチPが0.1mmを下回ると縫製ができなくなる。なお、図3(d)のピッチPはY軸方向のピッチであるが、X軸方向のピッチPについても同様であり、何れか一方でも0.1〜12.7mmの範囲にないとエラーとなり、縫製動作が不可能となる。
【0011】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、請求項1に記載の自動ミシンは、縫いパターンの拡大をする場合に、容易に縫製エリアからはみ出ないようにすると共に、前述の拡大操作によってピッチPが上限値を超えるのを防止することを目的とする。
【0012】
また更に、請求項に記載の自動ミシンは、縫製エリアの各方向について独立に可能な限り拡大できるようにすることを目的とする。
そして請求項に記載の自動ミシンは、前述の縮小操作によってピッチPが下限値を下回るのを防止することを目的とする。
【0013】
そして請求項に記載の自動ミシンは、縫製エリアの各方向について独立に縮小できるようにすることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた本発明の請求項1に記載の自動ミシンは、少なくとも、被縫製物に縫目を形成する位置を表す位置情報、を含む縫製データ、に従って被縫製物が固定されるテーブルと針とを互いに相対移動させて縫製動作を行なう自動ミシンであって、前記縫製データの表す図形の拡大率を入力するための拡大率入力手段と、該拡大率入力手段を介して入力された拡大率と前記位置情報とに応じて、前記縫製データの表す図形を拡大した図形に対応する拡大位置情報を作成する拡大位置情報作成手段と、該拡大位置情報および前記縫製データに基づき、該縫製データの表す図形を拡大した図形に沿って縫製動作を当該自動ミシンに行なわせる第1縫製制御手段と、を備えた自動ミシンにおいて、
当該自動ミシンの、縫製が可能な範囲である縫製エリアと前記位置情報とに基づき、拡大できる上限を算出する拡大率上限算出手段と、
前記拡大率入力手段を介して入力された拡大率を、前記拡大率上限算出手段によって算出された上限を超えないように制限する拡大制限手段と、
を備え、前記拡大率上限算出手段が、当該自動ミシンにて形成できる最大の縫目間距離と前記位置情報に含まれる最大の縫目間距離とから算出した拡大率の第2上限が、前記拡大できる上限よりも小さい場合に、該拡大できる上限に代えて前記第2上限を算出値とするものであることを特徴とする。
【0015】
この自動ミシンでは、拡大率上限算出手段が、当該自動ミシンの縫製エリアと、縫製データに格納された位置情報とに基づき、拡大できる上限を算出し、この上限を超えないように拡大制限手段が、拡大率入力手段を介して入力された拡大率を制限する。
【0016】
つまり、請求項1記載の自動ミシンでは、拡大率入力手段を介して、縫製エリアからはみ出るような拡大率を設定しようとしても、拡大制限手段が、これをできないように制限する。従って、請求項1に記載の自動ミシンによれば、縫製エリア13をはみ出るような拡大率を設定できないため、自動ミシンに適切な縫製動作を行なわせることができる。
【0017】
但し、これのみだと、ピッチPの上限を越えてしまう可能性がある。
そこで、前記拡大率上限算出手段が、当該自動ミシンにて形成できる最大の縫目間距離と前記位置情報に含まれる最大の縫目間距離とから算出した拡大率の第2上限が、前記拡大できる上限よりも小さい場合に、該拡大できる上限に代えて前記第2上限を算出値とするもの、とされている。ここで縫目間距離とは、前述のピッチPに相当する。
【0018】
つまりこの自動ミシンにおいては、縫製データに含まれる最大ピッチと当該自動ミシンの仕様である最大ピッチとから、拡大率の上限のいわば第1候補を算出する。そして、前述の、自動ミシンの縫製エリアと縫製データに格納された位置情報とから算出された上限を第2候補とし、これと、第1候補とを比較して小さい方を上限とする。
【0019】
従って、請求項に記載の自動ミシンによれば、ピッチPの上限を越えるのも防止することができる。
請求項に記載の自動ミシンでは、前記拡大率入力手段、前記拡大位置情報作成手段、および前記拡大率上限算出手段が、前記相対移動の方向に沿った平面上において互いに直交する2本の座標軸の各方向について独立して、拡大率を夫々入力、作成、および算出可能に構成されたもの、とされている。
【0020】
ここで互いに直交する2本の座標軸は、前述のX軸およびY軸に相当する。
この自動ミシンによれば、夫々の軸について独立に拡大率を設定できるので、例えば、ある縫製データの縫いパターンが、Y軸方向については150%までしか拡大できないが、X軸方向については200%まで可能であるといった場合にも適用でき、縫製エリアいっぱいまで拡大された縫いパターンを形成することができる。また、縫製データの縫いパターンの縦横比が気に入らないといった場合にも、所望の方向だけを拡大することができる。
【0021】
請求項に記載の自動ミシンにおいては、請求項1または2に記載の自動ミシンにおいて、前記縫製データの表す図形の縮小率を入力するための縮小率入力手段と、該縮小率入力手段を介して入力された縮小率と、前記位置情報とに応じて、前記縫製データの表す図形を縮小した図形に対応する縮小位置情報を作成する縮小位置情報作成手段と、該縮小位置情報および前記縫製データに基づき、該縫製データの表す図形を縮小した図形に沿って当該自動ミシンに縫製動作を行なわせる第2縫製制御手段と、当該自動ミシンにて形成できる最小の縫目間距離と前記位置情報に含まれる最小の縫目間距離とから縮小率の下限を算出する縮小率下限算出手段と、前記縮小率入力手段を介して入力された縮小率を、前記縮小率下限算出手段によって算出された下限を下回らないように制限する縮小制限手段と、を備えたことを特徴とする。
【0022】
つまり、この自動ミシンでは、縮小率下限算出手段が、当該自動ミシンにて形成できる最小ピッチと、縫製データに含まれる最小ピッチとに基づき、縮小できる下限を算出し、この下限を下回らないように縮小制限手段が、縮小率入力手段を介して入力された縮小率を制限する。
【0023】
従って、請求項3に記載の自動ミシンでは、縮小率入力手段を介して、当該自動ミシンにて形成できる最小ピッチを下回る縮小率を設定しようとしても、縮小制限手段が、これをできないように制限する。従って、自動ミシンに適切な縫製動作を行なわせることができる。
【0024】
請求項に記載の自動ミシンにおいては、前記縮小率入力手段、前記縮小位置情報作成手段、および前記縮小率下限算出手段が、
前記相対移動の方向に沿った平面上において互いに直交する2本の座標軸の各方向について独立して、縮小率を夫々入力、作成、および算出可能に構成されたもの、であることを特徴とする。
【0025】
従って、請求項に記載の自動ミシンによれば、夫々の軸について独立に縮小率を設定できるので、最小ピッチを下回らない範囲で、各軸方向に沿って縮小することにより、様々な縫いパターンを形成することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
なお、外観は図1、図2に示した従来の自動ミシン1と変わりがない。このため、共通の構成については同じ符号を用い、前記しなかった内部構成および特徴的な処理について説明をする。
【0027】
まず、図4は本発明を適用した自動ミシン1の内部構成の概略を示すブロック図である。自動ミシン1は、制御プログラムを実行するCPU41と、CPU41が実行する制御プログラムが格納されたROM43と、CPU41が処理するデータを一時記憶するRAM45と、テーブル5を動かすためのX軸モータ47、およびY軸モータ49と、針3の駆動等に用いられるミシンモータ51と、外部通信部53と、ブザー55と、前述の操作パネル11を主要部として構成されている。なお、本図では、ボタン23を、その他のスイッチ類も含めたスイッチ群と表記しており、また7セグメント表示装置27は7seg表示装置、フロッピーディスクドライブ29はFDDと記している。また、実際には、CPU41とミシンモータ51は、CPU41からの指令信号に応じた電流を発生させるモータドライバを介して接続され、ロータリースイッチ21は、前述のエンコーダ出力を所定の信号に変換してCPU41に出力するコントローラを介して接続される、といったように、各装置とCPU41との間は所要のインタフェース回路が挿入されるが、本図では省略している。
【0028】
この自動ミシン1の仕様は、次のようになっているものとする。すなわち、最大拡大率300%、最小縮小率5%、拡縮率単位1%、縫目の最小ピッチ0.1mm、同最大ピッチ12.7mm、縫製エリアのX軸方向の幅200mm、同Y軸方向の幅100mm、同原点位置は縫製エリアを為す長方形の重心位置とされている。
【0029】
CPU41の行なう処理の内、X方向拡縮率設定処理について、図5を用いて説明する。本処理は、フロッピーディスクドライブ29から縫製データがRAM45に読み込まれ、5つのLED25の内の1番上が点灯されると起動する。
本処理が起動すると、まずステップ(以下、単にSと記載)10にて、RAM45内の縫製データが示す縫いパターンの横幅を算出する。縫製データの位置情報は、縫目を形成する針落ち点から次の針落ち点までテーブル5を移動させるのに必要な移動量(X座標、Y座標各1個)からなっている。縫製データは、いわば直前の針落ち点からの相対座標から構成されている。横幅を算出するには、この縫製データから各針落ち点のX軸方向の絶対座標を求め、これらの最大値から最小値を引くことにより求める。ここで算出値は80mmであったとする。また、縫いパターンの横方向の中心は、縫製エリア13の横方向の中央にあるとする。
【0030】
そしてS20にて、この縫いパターンの横ピッチ最小値MINPを、S30にて横ピッチ最大値MAXPを夫々求める。これらは夫々相対X座標の最小値、最大値でよい。ここでは、MINP、MAXPともに1mmであったとする。
そしてS40では、7セグメント表示装置27に「100」が表示されている状態からロータリースイッチ21がどちらにひねられているかを判定する。右回り、すなわち縫製データを拡大する旨の指示が出されている場合にはS50に進み、前述の第2候補に相当する上限X1を算出する。本図に示されたminは、続く括弧内に示されている2つの値の内、小さい方の値を表すものとする。すなわち上限X1は、自動ミシン1の最大拡大率300%と、縫製エリア13の横幅200mmをS10で算出した横幅80mmで除した値すなわち250%の内、小さい方、つまり250%とする。続くS60では、前述の第1候補に相当する上限EXPを算出する。ここでは、自動ミシン1のピッチ上限12.7mmをMAXP1.0mmで割った値1270%がEXPとなる。
【0031】
そしてS70にて、上限X1、上限EXPの内、小さい方を真の上限Lcとする。つまりここではLc=250%となる。続くS80では、ロータリースイッチ21の回転角に対応する拡大率L0 を求める。回転角と拡大率との関係は予め定められており、例えば、回転角1degに対して1%等とされている。そしてS90にて、Lc、L0 の内、小さい方の値を7セグメント表示装置27に表示すると共に設定し、本処理を終了する。
【0032】
S90の処理により、7セグメント表示装置27に例えば「100」と表示されている状態から、ロータリースイッチ21を右へ90deg回転させると、100に90を加えた値すなわち「190」が表示されるが、同じ状態から150deg以上回転させても、「250」と表示されたままで、これ以上大きな値は表示されない。これは、縫製エリア13の横幅が200mmである自動ミシン1において、横幅が80mmの縫いパターンを250%を越えて拡大させると、確実に縫製エリア13からはみ出てしまうからである。また、仮にMAXPが6mmであったとすると、EXP=12.7/6=212%となり、S70の処理によりLcも212%となる。つまりこの場合、ロータリースイッチ21を112deg以上回転させても「212」を越える値は表示されない。これはたとえ、縫製エリア13内に縫いパターンが収まっても、拡大率が212%を越えるとピッチが12.7mmを越えてエラーになってしまうからである。
【0033】
なお、実際には、S80およびS90の処理は、7セグメント表示装置27に表示されている数値が100を越えている間は、ロータリースイッチ21が回転される都度繰り返し実行される。
一方、S40にて、ロータリースイッチ21が左回りに回転されていた場合には、S100に進み、縮小率の下限Scを算出する。本図に示されたmaxは、続く括弧内に示されている2つの値の内、大きい方の値を表すものとする。すなわち下限Scは、自動ミシン1の最小縮小率5%と、自動ミシン1のピッチ下限0.1mmをMINP1.0mmで割った値10%との内の大きい方、すなわち10%が下限Scとなる。
【0034】
続くS110では、ロータリースイッチ21の回転角に対応する縮小率S0 を求め、S120にて、Sc、S0 の内、大きい方の値を7セグメント表示装置27に表示すると共に設定し、本処理を終了する。S120の処理により、例えば、「100」と表示されている状態から、ロータリースイッチ21を左へ40deg回転させると、100から40を減じた値すなわち「60」が表示されるが、同じ状態から90deg以上回転させても、「10」の表示は変わらず、10より小さな値は表示されない。ピッチが1mmである縫製パターンを仮に10%以下に縮小すると、ピッチが0.1mm未満になってしまう。これを、S100〜S120の処理にて防止している。なお、拡大のときと同様、S110およびS120の処理は、7セグメント表示装置27に表示されている数値が100未満の間は、ロータリースイッチ21が回転される都度繰り返し実行される。
【0035】
本処理はX軸方向に関する処理であったが、Y軸方向についても、方向と対応する数値を変更した上で、同様の処理が為される。
この処理によれば、拡大のときには、縫製エリア13をはみ出ること、およびピッチが12.7mmを越えることを双方を防止できる。また、縮小のときには、ピッチが0.1mmを下回るのを防止できる。
【0036】
なお、以上の説明から分かるように、ロータリースイッチ21が本発明の拡大率入力手段と縮小率入力手段とを兼ねたものとなっている。また、X方向拡縮率設定処理の全体が、本発明の拡大位置情報作成手段と縮小位置情報作成手段を兼ねた処理、S50〜S70の処理が本発明の拡大率上限算出手段としての処理、S90の処理が本発明の拡大制限手段としての処理、S100の処理が本発明の縮小率下限算出手段としての処理、S120の処理が本発明の縮小制限手段としての処理に相当する。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態として、自動ミシンについて説明してきたが、本発明はこの実施の形態に何等限定されるものではなく様々な態様で実施しうる。 例えば、縫いパターンのX軸方向の中心が縫製エリア13の中心にある場合であったが、これ以外の縫いパターンについても拡大できるようにしてもよい。但し、このような縫製データについては、縫いパターンを構成する縫目の内、縫製エリア13の境界のごく近くに1つでも存在すれば、わずかに拡大しただけでも縫製エリア13から出てしまう。これを解決するには、拡大の都度、生成されたデータの縫いパターンがはみ出ているか否かを判定し、はみ出ている場合には、その逆方向に移動させるとよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である自動ミシン1の概観を示す説明図である。
【図2】自動ミシン1の備える操作パネル11の外観図である。
【図3】縫いパターンを例示する説明図である。
【図4】自動ミシン1のブロック図である。
【図5】自動ミシン1のCPU41にて実行されるX方向拡縮率設定処理のフローチャートである。
【符号の説明】
1…自動ミシン 3…針 5…テーブル
7…被縫製物 11…操作パネル 13…縫製エリア
21…ロータリースイッチ 23…ボタン
27…7セグメント表示装置(7seg表示装置)
29…フロッピーディスクドライブ(FDD)
47…X軸モータ 49…Y軸モータ 51…ミシンモータ
Lc、EXP、X1…上限 MINP…横ピッチ最小値
MAXP…横ピッチ最大値 P…ピッチ Sc…下限

Claims (4)

  1. 少なくとも、被縫製物に縫目を形成する位置を表す位置情報、を含む縫製データ、に従って被縫製物が固定されるテーブルと針とを互いに相対移動させて縫製動作を行なう自動ミシンであって、前記縫製データの表す図形の拡大率を入力するための拡大率入力手段と、該拡大率入力手段を介して入力された拡大率と、前記位置情報とに応じて、前記縫製データの表す図形を拡大した図形に対応する拡大位置情報を作成する拡大位置情報作成手段と、該拡大位置情報および前記縫製データに基づき、該縫製データの表す図形を拡大した図形に沿って縫製動作を当該自動ミシンに行なわせる第1縫製制御手段と、を備えた自動ミシンにおいて、
    当該自動ミシンの、縫製が可能な範囲である縫製エリアと前記位置情報とに基づき、拡大できる上限を算出する拡大率上限算出手段と、
    前記拡大率入力手段を介して入力された拡大率を、前記拡大率上限算出手段によって算出された上限を超えないように制限する拡大制限手段と、
    を備え
    前記拡大率上限算出手段が、
    当該自動ミシンにて形成できる最大の縫目間距離と前記位置情報に含まれる最大の縫目間距離とから算出した拡大率の第2上限が、前記拡大できる上限よりも小さい場合に、該拡大できる上限に代えて前記第2上限を算出値とするもの、
    であることを特徴とする自動ミシン。
  2. 前記拡大率入力手段、前記拡大位置情報作成手段、および前記拡大率上限算出手段が、
    前記相対移動の方向に沿った平面上において互いに直交する2本の座標軸の各方向について独立して、拡大率を夫々入力、作成、および算出可能に構成されたもの、
    であることを特徴とする請求項1記載の自動ミシン。
  3. 記縫製データの表す図形の縮小率を入力するための縮小率入力手段と、該縮小率入力手段を介して入力された縮小率と、前記位置情報とに応じて、前記縫製データの表す図形を縮小した図形に対応する縮小位置情報を作成する縮小位置情報作成手段と、該縮小位置情報および前記縫製データに基づき、該縫製データの表す図形を縮小した図形に沿って当該自動ミシンに縫製動作を行なわせる第2縫製制御手段と
    当該自動ミシンにて形成できる最小の縫目間距離と前記位置情報に含まれる最小の縫目間距離とから縮小率の下限を算出する縮小率下限算出手段と、
    前記縮小率入力手段を介して入力された縮小率を、前記縮小率下限算出手段によって算出された下限を下回らないように制限する縮小制限手段と、
    を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動ミシン。
  4. 前記縮小率入力手段、前記縮小位置情報作成手段、および前記縮小率下限算出手段が、
    前記相対移動の方向に沿った平面上において互いに直交する2本の座標軸の各方向について独立して、縮小率を夫々入力、作成、および算出可能に構成されたもの、
    であることを特徴とする請求項3に記載の自動ミシン。
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