JP3567646B2 - 田植機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、旋回制御装置を設けた田植機に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、農作業機において、旋回操作時にエンジンの回転を低速にして旋回をゆっくり行う技術が公開されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術のものは、旋回が遅くなりすぎて高能率な作業ができない欠点があり、また、旋回時にブレ−キを人為的に制動して旋回することは操作が面倒であった。更に、旋回時に速度を低下させないで旋回するとハンドル操作が忙しく、老人や婦人が作業する場合に適正な旋回軌跡で旋回できないと謂う問題点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は、前述の課題を解消するために次の技術的な手段を講じた。
即ち、左右の操舵用駆動前輪4及び左右の駆動後輪5と、昇降する田植装置18とを設けた田植機において、操縦ハンドル11の切れ角の変化に起因して、旋回操作初期に操縦ハンドル11の切れ角全開となるまでに、まず田植装置18の植付クラッチUCが「切」になると共に田植装置18が上昇開始し、その後サイドクラッチが「切」になり、操縦ハンドル11の切れ角全開からの戻し操作で、まずサイドクラッチが「入」になると共に操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が低下して機体推進速度が減速され、その後田植装置18が下降し、更にその後操縦ハンドル11の切れ角が直進推進姿勢状態まで戻ると操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が高速状態になって元の機体の推進速度に復帰するように制御する旋回制御装置を設けた田植機とした。
【0005】
【実施例】
この発明の一例を乗用型の田植機を示した図面に基づき詳細に説明する。
1は走行機体である。
この走行機体1は、前側にフロントミッションケ−ス2が後側にリヤ−ミッションケ−ス3が左右に別れて配設され、このフロントミッションケ−ス2に左右に突出するフロントアクスルケ−スを設けてこれに左右一対の操舵用駆動前輪4を取付け、リヤ−ミッションケ−ス3のそれぞれ外側に駆動後輪5を取付けている。6はエンジンで、前記機体1の前後中間部に搭載されている。7は乗車フロア−で、機体1の上面に張設され、エンジンカバ−8及び後輪5のフエンダ−9を兼用する形状になっている。10は操縦枠で、前記機体1の前側左右中間部にあってフロア−7上面から上方へ突出し、その上側に操縦ハンドル11及び計器類が設けられている。
【0006】
12は操縦座席で、前記エンジンカバ−8の上側に配置されている。
13は機体1の後部左右中間部に立設された支柱である。
14は昇降リンク機構で、上リンク14a,下リンク14bの基部側を前記支柱13に枢着し、その両後端部を連結リンク14cで枢結させて平行リンク機構となし、この上リンク14aに一体のレバ−15を機体側に一端を枢結した油圧装置の油圧シリンダ−機構16に連結して、この油圧シリンダ−機構16のピストンロッド16bの出入りによりリンク機構14が作動されるように構成されている。16aは油圧シリンダ−を示す。
【0007】
17はロ−リングヒッチ体で、前記連結リンク14cに取り付けられ、このロ−リング軸に作業機が装着されるように構成ている。
18は田植装置で、前記ヒッチ体17に当該田植装置の左右中央部がロ−リング自在に装着されている。
この田植装置18について説明すると、フレ−ムを兼ねた伝動ケ−ス19の前側部分の上部に苗載置台20を左右往復作動するよう取付け、伝動ケ−ス19の後部側で左右に分岐して突出の植付部伝動ケ−スに前記苗載置台20上に載置された苗を分離して下部圃場面に植付ける植付装置21を装着している。
【0008】
この植付装置21は、前後中心部を支軸として回転される回転ケ−ス22の前後先端外側に回転方向及び回転数が前記回転ケ−ス22の回転数と同一であって、角速度が一部分変化する回転軸を突出させて、この各回転軸に苗植付具23を装着し、この苗植付具23に取り付けた植付爪が苗分割移植軌跡を描くよう構成している。
【0009】
24は中央部フロ−ト、25は前記中央部フロ−トの左右両側に配設した側部フロ−トであって、これらのフロ−ト24,25,25は前記植付伝動ケ−ス19の下側に配置され、後部を支点に前部が上下動自由となるよう当該伝動ケ−ス19側に装着されている。
前記フロ−トの取付け構成について詳述すると前記伝動ケ−ス19に回動自在に取り付けられた横軸26に固着の下向きア−ム27で各フロ−ト24,25,25を前部が上下スイング可能に枢着し、この横軸26に基部が固着されて上向きに突出する植付深さ調節レバ−28を取付け、この調節レバ−28がフレ−ム部材である伝動ケ−ス19側に取り付けた調節ガイド枠29で回動位置設定できフロ−トの回動支点高さが調節できて植付深さ調節できる構造になっている。
【0010】
前記油圧シリンダ−機構16の作動制御回路で説明すると、油圧ポンプ30から油圧シリンダ−16a内への油路中に電動モ−タM1によって切り換えられる切換弁31が設けられ、この切換弁31により昇降リンク機構14が作動されて田植装置18を昇降制御するよう構成されている。図中32は油圧タンク、33はリリ−フ弁を示す。
【0011】
また、前記エンジン6から主ミッション機構を内装しているフロントミッションケ−ス2側を伝動する機構として無段変速機構34が介在されている。実施例の無段変速機構34は割りプ−リによるベルトコントロ−ル機構であり、エンジン6側の原動軸35側にピッチサ−クルが変動可能な割プ−リ36とフロントミッションケ−ス2側の入力軸37側に取り付けたVプ−リ38との間にVベルト39を巻掛け、このVベルト39をテンションプ−リ40で押圧させて動力伝達を行うよう構成し、このテンションプ−リ40のテンション力を伝動モ−タM2で変更可能にし、このテンション力を変更することで前記割プ−リ36のピッチサ−クルを変え変速可能にしている。即ち、ベルト39を強く押圧すると割プ−リ36が開いたピッチサ−クルが小になり入力軸37が減速され、押圧力を弱くすると増速されるよう構成している。
【0012】
41は前記操縦ハンドル11の切れ角を検出するポテンショメ−タ型の検出器で、該ハンドル11の切れ角が検出できるようハンドル軸と操縦枠10との間に介在されている。
CPUはマイコン制御部で、前記ハンドル11の切れ角検出器41からの検出信号が入力され、この信号に基づいて、前記電動モ−タM1,M2制御される構成になっている。前記中央フロ−ト24の上部側の上下動の高さがポテンショメ−タ42で検出可能になっており、このポテンショメ−タ42からの検出信号が制御部CPUに通信されて、前記電動モ−タM2が制御されるようにもなっている。尚、これらの切れ角検出器41からの信号による電動モ−タM2の制御とポテンショメ−タ42からの検出信号に基づく電動モ−タM2の制御との優先は、前者の切れ角検出器41側の信号の方が優先されるよう構成されている。
【0013】
上例の作用について詳述する。
圃場内でエンジン6からフロントミッションケ−ス2内の伝動機構を無段変速機構34を介して駆動する。この駆動にあたり、変速設定は、マイコン制御部CPUに速度設定操作レバ−43からこのレバ−43の操作調節によりその設定電流を信号として送りこみ、この設定電流値に基づく出力が電動モ−タM2に送られてモ−タM2が一定量正転或は逆転されて、テンションプ−リ40がVベルト39を押圧して所定の変速によりフロントミッションケ−ス2の入力軸37が回転される。そして、このフロントミッションケ−ス2から前輪4と後輪5とが駆動されて機体1が推進される。一方、田植装置18側がフロントミッションケ−ス2の後部に突出するPTO軸44からユニバ−サルジョイント軸等を介して伝動ケ−ス19内の伝動機構が伝動され、苗を載置した苗載置台20が左右に往復横移動されると共に植付装置21が作動されて植付具23が苗載置台20側から苗を分割して圃場面に植付ける。
【0014】
そして、水田圃場の深さにより各フロ−ト24,25,25の接地圧が変動するためにフロ−トの前側部分が上下にスイングすることになる。このとき、中央部フロ−ト24の上下動によりポテンショメ−タ42からの信号が制御部CPUに送られ、これにより電動モ−タM2に出力信号が送られて切換弁31が切り換えられる。したがって、油圧装置16のシリンダ−機構が作動して昇降リンク機構14を介し田植装置18が昇降制御される。即ち、水田深さが深く田植装置18が上昇し、浅くなると下降して常にフロ−ト24の接地圧が略一定範囲内に保持され、苗植付け深さの変動が少ない状態で機体1が推進される。
【0015】
このようにして田植作業が行われるが、植付作業中の直線推進時においてはハンドル11の操作は殆ど必要でなく多少のハンドル回動操作でよい。この場合にはハンドル切れ角を検出する検出器41からの信号はモ−タM1への制御信号が発せられず、また、田植装置18を上昇させるモ−タM2への制御信号も発せられない。したがって、機体1はそのままに状態を保持して推進され田植作業が続行される。
【0016】
次ぎに、旋回時の制御について詳述する。ハンドル11を約90度左、右に切る場合については前述の通り機体1がその切り角に応じた方向へ向きを変更するが、この時は植付クラッチUC,サイドブレ−キSB及び田植装置上昇等の制御は一切作動せずにそれまでと同じ状態で機体1は推進される。これは直進時の多少の方向修正時であり、方向制御の他は制御されない。
【0017】
次ぎに、90度を過ぎて切り角が変わるハンドル11の操作により、略この90度付近で植付クラッチUCが「切」、田植装置18が上昇開始されるよう検出器41による入力信号でモ−タM1への出力が発信されて切換弁31が切換えられる。その後、180度の切り角付近になって旋回操作の必須行為であるサイドクラッチ「切」と同時にサイドブレ−キSBが効きはじめる。この状態が継続されてハンドル11の切り角全開時の540度範囲から逆に切換えられる、即ち、ハンドル11の戻し操作によって切り角が略400度程度になると、サイドクラッチが「入」でサイドブレ−キSBが開放される。これと略前後した略400度切り角前後のおいて、この切り角の検出器41からの信号により制御部CPUからモ−タM2へ出力信号が送られ、テンションロ−ラ40でVベルト39が押圧されて割プ−リ36のピッチサ−クルが小になって入力軸37への伝動が減速される。即ち、ハンドル戻しによる切り角が400度近辺から自動的に機体推進速度が減速されるから、機体1を旋回して該機体が旋回後半に至るときの植付条合わせ操作時には機体1がゆっくりと旋回して折り返し直線推進状態に戻ることになる。そして、ハンドル11折り返し後の切れ角が180度近辺になると検出器41による信号によりマイコン制御部CPUからモ−タM1へ信号が送られて田植装置18が下降するよう切換弁31が切り換えられる。その後に、機体1が完全に折り返し旋回された状態になると、初めて操縦者が植付クラッチレバ−URを操作してクラッチ「入」となし折り返し植付作業が開始される。このように、マイコン制御部CPUは、ハンドル11の切り角操作に対して、ハンドル11の初期からの切り角と戻し時の切り角とを選択できるようになっていて、ハンドル戻し前の切り角を検出して出力信号を出す状態と、ハンドル戻し後による検出器41の信号で出力を出す状態とに選択されるよう構成され、この切り角検出器41からの信号は、所定のパルス数が継続して検出状態に在る場合、または、所定時間内の間継続検出されている状態のときに出力信号が各アクチュエ−タ(モ−タ)に送られるようになっている。したがって、所定のハンドル切れ角が一瞬生じても制御が働かないようになっている。
【0018】
そして、機体1が旋回後の直進推進姿勢状態、即ち、ハンドル11の切れ角が0度付近になると、制御部がリセットされて、元の推進速度にもどる。尚、ハンドル11を戻して約90度付近でリセット状態にしてもよい。また、前記切れ角検出器41は、ハンドル11の切り角度を検出する実施例の如き構成は勿論、実質的に前輪4の切れ角を検出してもよく、この前輪の切れ角検出の場合は、先の実施例の切れ角の数字角とは異なり小さな角度になる。
【0019】
また、検出器41の検出角度は機体機種や作業機の種類により大きく変更するから、検出器41による検出角度の調節を調節ダイヤルTDで適宜調節可能に構成する。
【0020】
【発明の作用効果】
この発明によれば、操縦ハンドル11の切れ角の変化に起因して、旋回操作初期に操縦ハンドル11の切れ角全開となるまでに、まず田植装置18の植付クラッチUCが「切」になると共に田植装置18が上昇開始し、その後サイドクラッチが「切」になり、操縦ハンドル11の切れ角全開からの戻し操作で、まずサイドクラッチが「入」になると共に操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が低下して機体推進速度が減速され、その後田植装置18が下降し、更にその後操縦ハンドル11の切れ角が直進推進姿勢状態まで戻ると操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が高速状態になって元の機体の推進速度に復帰するので、機体の旋回操作時にハンドル操作により旋回終了近くになって旋回半径により機体の折り返し直進操作位置をきめる操作段階になると機体が減速推進されるために、折り返し後の田植装置18の幅合わせが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】側面図
【図2】要部の伝動機構図
【図3】油圧回路図
【図4】制御回路図
【図5】制御説明図
【符号の説明】
1 機体
4 走行車輪(前輪)
5 走行車輪(後輪)
11 操縦ハンドル
18 田植装置
UC 植付クラッチ

Claims (1)

  1. 左右の操舵用駆動前輪4及び左右の駆動後輪5と、昇降する田植装置18とを設けた田植機において、操縦ハンドル11の切れ角の変化に起因して、旋回操作初期に操縦ハンドル11の切れ角全開となるまでに、まず田植装置18の植付クラッチUCが「切」になると共に田植装置18が上昇開始し、その後サイドクラッチが「切」になり、操縦ハンドル11の切れ角全開からの戻し操作で、まずサイドクラッチが「入」になると共に操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が低下して機体推進速度が減速され、その後田植装置18が下降し、更にその後操縦ハンドル11の切れ角が直進推進姿勢状態まで戻ると操舵用駆動前輪4及び駆動後輪5の回転速度が高速状態になって元の機体の推進速度に復帰するように制御する旋回制御装置を設けた田植機
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