JP4487474B2 - 動力車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクターや乗用芝刈機、乗用管理機等の動力車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、トラクターや乗用芝刈機等の動力農機においても操作性や作業性の向上を図るために無段変速装置が搭載されつつある。
無段変速装置で一番手近な方法は2組の割プーリ間にベルトを巻き回してプーリの間隙を変えることによって出力プーリ側の変速を行なわせるものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ベルト伝動に変わるものとして静油圧式無段変速装置(所謂HST)を搭載したものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平12−225863号公報(図4)
【特許文献2】
特開平12−16102号公報(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のトラクター等において、ベルト伝動では熱の問題が発生することがあり、高温になるとベルトの耐久性が低下することが多く、また、静油圧式無段変速装置の場合は伝動効率の点で機械式変速装置よりも劣るという欠点があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、このような問題点に鑑み、機体の前後進操作が容易に行なえると共に、機体を所定の場所で確実に停止させることができる動力車両を得ることを目的とし、このため、次のような技術的手段を講じた。
【0007】
【0008】
即ち、請求項1の発明は、エンジン5の回転動力が伝達される入力軸34に、前後一対の入力ディスク35,35を一体的に設け、これらのディスク35,35に対向するように出力ディスク37,37を回転自在に設け、入力ディスク35,35から出力ディスク37に動力を伝達するパワーローラ38を設け、これら入力ディスク35,35、出力ディスク37,37及びパワーローラ38によりバリエータVを構成し、油圧シリンダ40により該パワーローラ38の傾斜角度を適宜変更制御し、前記入力軸34と平行に設けられたカウンタ軸45に、高速側油圧クラッチ50と低速側油圧クラッチ58と遊星ギヤ機構を設け、低速側油圧クラッチ58が接続されているときは、前記エンジン5からの回転動力と前記バリエータVを介して減速された回転動力が遊星ギヤ機構によって合成されて出力軸44に伝達するよう構成し、高速側油圧クラッチ50が接続されているときは、遊星ギヤ機構を介さないで前記エンジン5から分配された回転動力を出力軸44に伝達するよう構成し、運転席11の近傍に設けられた車速設定器7及び作業内容設定器98により、前記前記油圧シリンダ40及び低速側油圧クラッチ58及び高速側油圧クラッチ50を制御し、前記バリエータVの増減速操作と低速側油圧クラッチ58の接続によって前進から後進までの無段階の回転を得る構成とし、前進側車速が速くなると自動的に低速側油圧クラッチ58が切れて高速側油圧クラッチ50が入り高速回転を得る構成とする制御手段95を設けた動力車両において、前記車速設定器7は、変速ペダル、変速操作レバー又はダイヤル調整式つまみであって前記制御手段95に接続され該車速設定器(7)で設定された車速となるよう前記油圧シリンダ40によりパワーローラ38を制御するよう構成し、前記作業内容設定器98は、複数の作業内容毎に選択スイッチ(99a,99b)を備え複数の作業内容から選択された作業の作業速の中間速を選択し前記油圧シリンダ40によりパワーローラ38を制御するよう構成し、フロア17の上方にブレーキペダル9とクラッチペダル15を設け、前記制御手段95は、これらのペダル9,15のうち少なくとも一方が踏み込まれたときには、前記バリエータVのパワーローラ38を制御する油圧シリンダ40を該バリエータVからの出力と前記遊星ギヤ機構側の合成力が前記出力軸44を微速前進もしくは停止状態になるよう制御することを特徴とする動力車両の構成とした。
【0009】
【0010】
【0011】
【作用】
エンジン5の回転を入力軸34に伝えると入力ディスク35が回転駆動される。車速設定具7及び作業内容設定器98を操作すると出力ディスク37に対するパワーローラ38の傾斜角度が変更されて減速比が調節され、この伝動下手に設けられた遊星機構との差動により駆動車輪2,3の回転数が変更調節される。
すなわち、運転席11の近傍に設けられた車速設定器7及び作業内容設定器98により、前記前記油圧シリンダ40及び低速側油圧クラッチ58及び高速側油圧クラッチ50を制御し、前記バリエータVの増減速操作と低速側油圧クラッチ58の接続によって前進から後進までの無段階の回転が得られ、前進側車速が速くなると自動的に低速側油圧クラッチ58が切れて高速側油圧クラッチ50が入り高速回転が得られる。
【0012】
【0013】
そして、運転者が作業中あるいは移動中にクラッチペダル15又はブレーキペダル9を踏み込むと、バリエータVのパワーローラ38を制御する油圧シリンダ40を該バリエータVからの出力と前記遊星ギヤ機構側の合成力が前記出力軸44を微速前進もしくは停止状態になるよう制御するため、安全性が増す。
【0014】
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照しながら構成を説明する。図1の符号1は、この発明に係るトラクターを示しており、トラクター1は機体の下部四隅に駆動車輪としての前輪2,2と後輪3,3とを備えている。
【0016】
機体前部のボンネット4内にはエンジン5が設けられ、エンジン5の回転動力をミッションケース6内のトロイダル変速装置8に伝達している。トロイダル変速装置8については後述する。
トラクター1の運転席11の前方には計器盤10とステアリングハンドル12と機体の進行方向を切換える前後進切換レバー19が設けられ、運転席11横の操作パネル14には車速設定具としてのダイヤル調整式つまみ7を設けている。このダイヤル調整式つまみ7に代えて従来周知のHSTペダルのような変速ペダル又はパワーシフトのように前後に操作して変速を行なう変速操作レバーを設けても良く、変速ペダルの場合はフロア17の右側に設け、変速操作レバーの場合には操作パネル14に前後方向に移動操作可能に設ける。車速設定具7はポテンショメータで構成されていて、操作量を電圧に換算して後述するコントローラ95に入力する。
【0017】
また、図2から明らかなように、フロア17の右側前部には左右独立したブレーキペダル9a,9bを設け、フロア17の左側前部にはクラッチペダル15を設けている。ブレーキ装置13は機体後部に左右設けられ、右ブレーキペダル9aを踏むと右側ブレーキ装置13aが作動し、左ブレーキペダル9bを踏むと左側ブレーキ装置13が作動する。
【0018】
また、ミッションケース6の後上部には油圧シリンダケース16が設けられ、この油圧シリンダケース16の左右両側にはリフトアーム18,18が回動自由に枢着されている。リフトアーム18,18と機体後下部に枢着したロワーリンク20,20との間にはリフトロッド21,21が介装連結されていて、これらのロワーリンク20,20とリフトロッド21,21とトップリンク22とにより作業機を連結する3点リンク機構23が構成されている。
【0019】
油圧操作レバー27を前後方向に回動操作することにより、油圧シリンダケース16内の油圧シリンダ(図示省略)に作動油が供給されて、あるいは排出されてリフトアーム18,18が昇降回動する。
次に図3に示す動力伝達線図について構成を説明する。
【0020】
エンジン5の回転動力は主クラッチ30を介して動力分配ギヤ32に伝達される。動力分配ギヤ32を固着支持している入力軸34には前後一対の入力ディスク35,35が一体的に設けられ、これらのディスク35,35に対向するように出力ディスク37,37が入力軸34の上に回転自在に遊嵌されている。
【0021】
符号38は入力ディスク35から出力ディスク37に動力を伝達するパワーローラで外周部が両デイスク35,37に常時接するように設けられ、油圧シリンダ40のピストンロッド(図示省略)によりその傾斜角度が適宜変更調節される。
【0022】
なお、前記入力ディスク35と出力ディスク37とパワーローラ38をまとめてバリエータVと呼ぶものとする。
入力ディスク35から出力ディスク37へ伝達される回転速度はパワーローラ38の傾斜角度によって変化する。符号39は入力ディスク35を外側から押圧してトルクを調節するトルク制御用ピストンである。油圧により作動し、このトルク制御用ピストン39を軸芯方向に押圧することにより伝達するトルクを加減できる。
【0023】
なお、パワーローラ38が相対的に高い半径位置で入力ディスク35に接すると共に、相対的に低い半径位置で出力ディスク37と接触すると出力ディスク37の回転数は増加し、反対にパワーローラ38が相対的に低い半径位置で入力ディスク35に接すると共に、相対的に高い半径位置で出力ディスク37と接触すると出力ディスク37の回転数は減少する。
【0024】
出力ディスク37にはこれと一体で出力スプロケット41が設けられ、前記入力軸34と平行に設けられた出力軸44上に遊嵌されたカウンタ軸45に固着の入力スプロケット46との間にチェン48が介装されている。
なお、これら出力スプロケット41、入力スプロケット46、チェン48を一組のプーリとベルトからなるベルト伝動機構(図示省略)によって構成しても良い。
【0025】
前記カウンタ軸45の前端にはサンギヤ49が固着され、後端には高速時に入り状態になる高速用油圧クラッチ50が設けられている。
サンギヤ49は遊星ギヤ52と噛み合い、更にこの遊星ギヤ52はインターナルギヤ54と常時噛み合う。
【0026】
インターナルギヤ54は出力軸44と一体的に固着されると共に、遊星ギヤ52を支えるキャリヤ55は低速側の油圧クラッチ58と一体化されている。
また、この低速側の油圧クラッチ58の入力側にはギヤ60が一体的に固着されており、このギヤ60は前記動力分配ギヤ32と常時噛み合っている。
【0027】
従って、低速側油圧クラッチ58が接続されているときには、動力分配ギヤ32からの回転動力がキャリヤ55に支持された遊星ギヤ52に伝達され、一方、バリエータVを介して減速された回転動力がサンギヤ49に伝達され、キャリヤ55及びサンギヤ52の噛み合いによる合成した回転動力がインターナルギヤ54を介して出力軸44に伝達されるように構成している。
【0028】
このようにバリエータVによる増減速操作によって出力軸44には前進から後進までの回転が無段階で取れるようになっている。なお、バリエータVの増減速、言い換えるとパワーローラ38,38の角度調整は、ダイヤル調整式つまみ7によって行なわれるものである(変速ペダル又は変速操作レバーであってもよい)。
【0029】
変速ペダルの場合、変速ペダルを前進側に踏み込むと出力軸44の回転は正転方向(前進側)に回転し、反対に後進側に踏み込むと出力軸44は逆転方向(後進側)に回転して機体を後退させるように構成している。
変速ペダルに代えて変速操作レバーを設けた場合も同様で、変速操作レバーを前方に倒せばその倒し角度に略比例して機体は前進速度を増大させ、逆に変速操作レバーを後方に倒せばそれに応じて後進速度が増大するように構成している。
【0030】
ダイヤル調整式つまみ7の場合には、これを一方の側に回すと前進速が得られ、反対方向に回すと後進速が得られる。前進、後進共に停止位置(中立位置)からつまみ7を大きく回す程進行速度が増大するようにしている。
そして、変速ペダル、変速操作レバー、ダイヤル式調整つまみ7いずれの場合にあっても、車速が速くなると自動的に低速側油圧クラッチ58が切れて高速側油圧クラッチ50が入り、従って、遊星ギヤ機構を全く介さないで高速の回転がギヤ62,63,64,65を順次介して出力軸44に伝達されるようにしている。これらの制御は後述するコントローラ95の指令によって行なわれる。
【0031】
なお、図3において、符号67は後輪デフ装置、68は最終減速ギヤ機構、70は前輪駆動ギヤ、74は前輪増速装置、76は前輪デフ装置である。
前輪増速装置74は従来周知の構造であるため、詳細な説明は省略するが、ステアリングハンドル12を略直進方向に維持して作業をしているときは等速クラッチ74aが接続されて前輪2と後輪3の回転周速が略等しくなり、畦際等でステアリングハンドル12を回動操作したときには増速クラッチ74bが接続されて前輪2の周速が後輪3の周速の約2倍程度に増速されて前輪2が速く回されるように構成している。
【0032】
同図において、動力分配ギヤ32の回転はPTO駆動軸75上のPTO入力ギヤ77に伝達され、更にPTOクラッチ78、PTO変速装置80を順次介して機体後部に設けられたPTO軸82に伝達される。
更にトラクター1の後部にはロータリ耕耘装置85が3点リンク機構23を介して昇降自在に連結されている。ロータリ耕耘装置85は耕耘軸86とこの耕耘軸86に取り付けられた耕耘爪87とこれらの上方を覆う耕耘カバー88と後部カバー89等からなり、本機側に設けた耕深設定器90で設定した耕耘深さとなるように油圧昇降機構が制御される。このため、ロータリ耕耘装置85側には耕深センサ92が設けられ、この耕深センサ92は耕耘カバー88の後部に取り付けられ、部カバー89の揺動角を耕深変化として捉えるようにしている。後述するが、前記耕深設定器90による設定値と耕深センサ92による検出値が常時比較され、設定耕深となうようにコントローラ95から油圧昇降装置の上昇用比例弁96と下降用比例弁97に対して制御指令が出される。
【0033】
図4は車速制御のための制御ブロック図であり、構成を説明するとマイコンからなるコントローラ95の入力側には前記耕深設定器90と耕深センサ92と車速設定器7が接続されている。ここで云う車速設定器7は前述の通り変速ペダル又は変速操作レバー又はダイヤル調整式つまみであり、これらのうちの1つがコントローラ95に接続されてバリエータの一部を構成する油圧シリンダ40を制御する。
【0034】
また、コントローラ95の入力側には作業の種類や内容を設定する作業内容設定器98が接続されている。
この作業内容設定器98は作業に不慣れな者でも簡単に適切な車速が選択できるように計器盤10に設けられたものであって、この実施例では、「モーア作業」と「ブームスプレーヤ作業」と「ロータリ耕耘作業」と「プラウ作業」の4種類の作業が選択できるようになっている。
【0035】
例えば、ロータリ耕耘作業のボタンスイッチ99aを押すと、ロータリ作業速である0.2km/h〜4km/hの中の中間速が選択され、その車速を得るためにパワーローラ38の姿勢が制御される。
同じようにプラウ選択ボタンスイッチ99bを押すと7km/h〜10km/hの中から8km/h前後の車速となるパワーローラ38の傾きが指定され、コントローラ95の指令によってパワーローラ38の姿勢が制御される。
【0036】
作業内容設定器98には更に微調整用のボタンスイッチ100が設けられ、増速用のスイッチ100uを押すと、前記中間速から1ステップ単位(例えば、0.2km/h毎)で増加する。反対に減速用のスイッチ100dを押すと前記中間速から1ステップ単位で速度が減少する。
【0037】
更にコントローラ95の入力側には前後進切換レバー19で操作される3接点方式の前後進切換スイッチ94と、ステアリングハンドル12の操舵角を検出する操舵角センサ93が接続されている。
ステアリングハンドル12を所定角度以上回動操作するとこの操舵角センサ93がその状態を検出し、上昇用比例弁96を励磁して作業機を上昇させる。
【0038】
このとき、旋回方向に応じて左ブレーキSOL101,又は右ブレーキSOL102が励磁され、旋回内側のブレーキ装置13が作動するように構成している。
図5はクラッチペダル15又はブレーキペダル9を踏み込んだときに車速を落とすか、機体を停止させる場合の制御について説明したものである。
【0039】
この実施例においては、いずれかのペダル9,15を踏むと(ステップ#2,3)バリエータVのパワーローラ38を制御する油圧シリンダ40がコントローラ95からの指令により適宜姿勢制御され、このバリエータVからの出力と遊星ギヤ機構側の合成力が出力軸44に伝えられ、このとき出力軸44が微速前進若しくは停止状態となるようにする(ステップ#4)。
【0040】
図6は旋回制御に関するフローチャートで同図を簡単に説明すると、車速設定具7で車速を決めた後に機体を発進させ例えばロータリ耕耘作業を行なう。
畦際で旋回するべくステアリングハンドル12を回動操作すると操舵角センサ93がこれを検出し(ステップS2)、上昇用比例弁96を励磁させて作業機を上昇させる(ステップS3)。
【0041】
このとき、車速は減速され(ステップS4)、略同時に旋回内側のブレーキ装置13のSOL(101又は102)が励磁されて機体は制動が掛かった状態で旋回させることになる(ステップS5)。
なお、この場合において、従来装置にあっては旋回時にエンジンの負荷が激しく変動して作業機の上昇速度も遅くなり勝ちであるが、この発明のように無段変速部にトロイダル型の変速装置8を備えたものは、エンジンの回転が一気には変化せず、車速は徐々に変化することになるので旋回動作がスムーズに行なわれ、運転者はエンジン5回転の大きな変動を体験することがないから不安な感じを抱くことがなく機体をスムーズに旋回させることができる。
【0042】
この実施例で説明したトロイダル型変速装置8は入力ディスク35の外側をトルク制御用ピストン39で押圧するように構成したが、このような構成にすることによって最大馬力が必要な時点で作業を行なっているときに出力側の負荷が抜けてくるとエンジン5のガバナの作用からエンジン5の燃料供給量が減少する。燃料供給量が落ちると減速比が小さくなるように制御され、エンジン回転は下げられる。この結果、必要な車速は確保されつつエンジン回転は下がるので低燃費化を図ることができるものである。
【0043】
なお、図8は前記トルク制御用ピストン39を油圧でなく手動押圧操作により加減調節できるようにしたものである。
廉価型の乗用芝刈機のような動力車両においては、高度なトルク制御は必要でなく、このため、操作レバー110でスプリング112を直接加圧してローラ39を押すようにしている。トルク制御が必要でない場合にはこの操作レバー110をOFF側にしてスプリング112の加圧作用がない状態にする。
【0044】
この操作レバー110をOFF側にすることにより入力ディスク35から出力ディスク37にトルクは伝えない状態になる。従って、これがクラッチとしての機能を果たすことになる。クラッチペダルを踏んだときにこの操作レバー110がOFF位置に移動するように構成すれば、従来と同じようにクラッチ入切操作を違和感なく行なうことができる。
【0045】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0046】
即ち、請求項1の発明は、エンジン5の回転動力が伝達される入力軸34に、前後一対の入力ディスク35,35を一体的に設け、これらのディスク35,35に対向するように出力ディスク37,37を回転自在に設け、入力ディスク35,35から出力ディスク37に動力を伝達するパワーローラ38を設け、これら入力ディスク35,35、出力ディスク37,37及びパワーローラ38によりバリエータVを構成し、油圧シリンダ40により該パワーローラ38の傾斜角度を適宜変更制御し、前記入力軸34と平行に設けられたカウンタ軸45に、高速側油圧クラッチ50と低速側油圧クラッチ58と遊星ギヤ機構を設け、低速側油圧クラッチ58が接続されているときは、前記エンジン5からの回転動力と前記バリエータVを介して減速された回転動力が遊星ギヤ機構によって合成されて出力軸44に伝達するよう構成し、高速側油圧クラッチ50が接続されているときは、遊星ギヤ機構を介さないで前記エンジン5から分配された回転動力を出力軸44に伝達するよう構成し、運転席11の近傍に設けられた車速設定器7及び作業内容設定器98により、前記前記油圧シリンダ40及び低速側油圧クラッチ58及び高速側油圧クラッチ50を制御し、前記バリエータVの増減速操作と低速側油圧クラッチ58の接続によって前進から後進までの無段階の回転を得る構成とし、前進側車速が速くなると自動的に低速側油圧クラッチ58が切れて高速側油圧クラッチ50が入り高速回転を得る構成とする制御手段95を設けた動力車両において、前記車速設定器7は、変速ペダル、変速操作レバー又はダイヤル調整式つまみであって前記制御手段95に接続され該車速設定器(7)で設定された車速となるよう前記油圧シリンダ40によりパワーローラ38を制御するよう構成し、前記作業内容設定器98は、複数の作業内容毎に選択スイッチ(99a,99b)を備え複数の作業内容から選択された作業の作業速の中間速を選択し前記油圧シリンダ40によりパワーローラ38を制御するよう構成し、フロア17の上方にブレーキペダル9とクラッチペダル15を設け、前記制御手段95は、これらのペダル9,15のうち少なくとも一方が踏み込まれたときには、前記バリエータVのパワーローラ38を制御する油圧シリンダ40を該バリエータVからの出力と前記遊星ギヤ機構側の合成力が前記出力軸44を微速前進もしくは停止状態になるよう制御することを特徴とする動力車両としたので、不慣れな者でも簡単に適切な車速が選択できる上、機体を確実に減速若しくは停止させることができ、安全性が向上する。
【0047】
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】 トラクターとロータリ耕耘装置の側面図である。
【図2】 トラクターの平面図である。
【図3】 動力伝達線図である。
【図4】 計器盤部分の拡大平面図である。
【図5】 フローチャートである。
【図6】 フローチャートである。
【図7】 制御ブロック図である。
【図8】 改良装置の動力伝達線図である。
【符号の説明】
1 トラクター
2 前輪
3 後輪
4 ボンネット
5 エンジン
6 ミッションケース
7 車速設定具(ダイヤル調整式つまみ)
8 トロイダル変速装置
9 ブレーキペダル
10 計器盤
11 運転席
12 ステアリングハンドル
14 操作パネル
15 クラッチペダル
17 フロア
19 前後進切換レバー
34 入力軸
35 入力ディスク
37 出力ディスク
38 パワーローラ
40 油圧シリンダ
44 出力軸
45 カウンタ軸
50 高速側油圧クラッチ
58 低速側油圧クラッチ
95 コントローラ(制御手段)
98 作業内容設定器
99a,99b 選択スイッチ
V バリエータ
Claims (1)
- エンジン(5)の回転動力が伝達される入力軸(34)に、前後一対の入力ディスク(35,35)を一体的に設け、これらのディスク(35,35)に対向するように出力ディスク(37,37)を回転自在に設け、入力ディスク(35,35)から出力ディスク(37)に動力を伝達するパワーローラ(38)を設け、これら入力ディスク(35,35)、出力ディスク(37,37)及びパワーローラ(38)によりバリエータ(V)を構成し、油圧シリンダ(40)により該パワーローラ(38)の傾斜角度を適宜変更制御し、前記入力軸(34)と平行に設けられたカウンタ軸(45)に、高速側油圧クラッチ(50)と低速側油圧クラッチ(58)と遊星ギヤ機構を設け、低速側油圧クラッチ(58)が接続されているときは、前記エンジン(5)からの回転動力と前記バリエータ(V)を介して減速された回転動力が遊星ギヤ機構によって合成されて出力軸(44)に伝達するよう構成し、高速側油圧クラッチ(50)が接続されているときは、遊星ギヤ機構を介さないで前記エンジン(5)から分配された回転動力を出力軸(44)に伝達するよう構成し、運転席(11)の近傍に設けられた車速設定器(7)及び作業内容設定器(98)により、前記前記油圧シリンダ(40)及び低速側油圧クラッチ(58)及び高速側油圧クラッチ(50)を制御し、前記バリエータ(V)の増減速操作と低速側油圧クラッチ(58)の接続によって前進から後進までの無段階の回転を得る構成とし、前進側車速が速くなると自動的に低速側油圧クラッチ(58)が切れて高速側油圧クラッチ(50)が入り高速回転を得る構成とする制御手段(95)を設けた動力車両において、前記車速設定器(7)は、変速ペダル、変速操作レバー又はダイヤル調整式つまみであって前記制御手段(95)に接続され該車速設定器(7)で設定された車速となるよう前記油圧シリンダ(40)によりパワーローラ(38)を制御するよう構成し、前記作業内容設定器(98)は、複数の作業内容毎に選択スイッチ(99a,99b)を備え複数の作業内容から選択された作業の作業速の中間速を選択し前記油圧シリンダ(40)によりパワーローラ(38)を制御するよう構成し、フロア(17)の上方にブレーキペダル(9)とクラッチペダル(15)を設け、前記制御手段(95)は、これらのペダル(9,15)のうち少なくとも一方が踏み込まれたときには、前記バリエータ(V)のパワーローラ(38)を制御する油圧シリンダ(40)を該バリエータ(V)からの出力と前記遊星ギヤ機構側の合成力が前記出力軸(44)を微速前進もしくは停止状態になるよう制御することを特徴とする動力車両。
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