JP6376941B2 - 作業車両 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンからの動力を無段変速装置により変速して走行を行う作業車両に関し、特に、ブレーキペダルまたはクラッチペダルを用いて容易に速度を微調整できるようにする技術に関する。
従来、トラクタや田植機やホイルローダ等の作業車両において、主変速装置に油圧式無段変速装置(HST)を採用し、ブレーキ作動制御時には、ブレーキ操作手段により制動操作すると、HST変速比制御曲線に沿って変速を行うようにした技術が開示されている(特許文献1参照)。
ところで、油圧式無段変速装置により変速可能としたトラクタでは、摩擦式の主クラッチを設けずダンパーを用いてエンジンから変速装置に動力を伝達するようにしている。このような構成では、クラッチペダルの操作で半クラッチの操作ができず、走行速度の微調整ができなかった。また、自動車のミッション車に慣れたオペレータはブレーキペダルで速度を微調整するよりもクラッチペダルを操作して半クラッチで速度を微調整するほうがやりやすい場合がある。
特許第4439183号公報
本発明は、ブレーキペダルによってもクラッチペダルによっても、半クラッチの如く速度調節ができるとともに、ブレーキペダル及びクラッチペダルの操作速度に応じて制動と変速装置と主クラッチを制御してエンジンにできるだけ負荷がかからない作業車両を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1に係る発明は、エンジンと、前記エンジンの回転動力を変速して走行部に伝達する無段変速装置と、走行部に設けた制動装置を作動操作するブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの踏込量を検知する踏込量検出手段と、前記エンジンと走行部との間の動力伝達経路途中で動力の断接を行う主クラッチの操作を行うクラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏込量を検知する踏込量検出手段と、前記ブレーキペダルの踏込量またはクラッチペダルの踏込量に応じて前記無段変速装置を減速させる制御装置とを備えるとともに、前記制御装置は、前記ブレーキペダルの踏込量検出手段の検出値またはクラッチペダルの踏込量検出手段の検出値が第一設定値を越えると、踏込量に応じた車速に無段変速装置を変速させ、第二設定値から最大踏込位置未満ではクリープ速度で走行させるものである。
請求項2に係る発明は、前記制御装置は、前記ブレーキペダルとクラッチペダルの両方が操作されると、前記ブレーキペダルの操作が優先されるものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、半クラッチのように速度制御したい場合、自動車のオートマチック車に慣れたオペレータではブレーキペダルを用いて、ミッション車に慣れたオペレータであればクラッチペダルを用いて、それぞれ半クラッチのような速度制御が可能となり、簡単な操作で容易に速度の微調整が可能となる。
トラクタを示す図。 図1の矢印Xから見た図。 図1の矢印Yから見た図。 図1の矢印Zから見た図。 トラクタの動力伝達系統を示す図。 無段変速装置を示す図。 トラクタの運転座席とその周囲を示す図。 オペレータの視界を示す図。 トラクタの情報ネットワークを示す図。 制御ブロック図。 制御フローチャート。 ブレーキペダルの踏込量と減速度との関係を示す図。 制御フローチャート。 クラッチペダルの踏込量と車速との関係を示す図。
本発明の技術的思想は、あらゆる作業車両に適用することが可能である。本願では、代表的な作業車両であるトラクタを用いて説明する。
まず、トラクタ1について簡単に説明する。図1は、トラクタ1を示している。図2は、図1の矢印Xから見た図であり、図3は、図1の矢印Yから見た図である。また、図4は、図1の矢印Zから見た図である。なお、図中には、トラクタ1の前後方向、左右方向及び上下方向を表す。
トラクタ1は、主に、フレーム11と、エンジン12と、トランスミッション13と、走行部を構成するフロントアクスル14とリヤアクスル15と、で構成されている。また、トラクタ1は、キャビン16を備えている。キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162や主変速レバー163などが配置されている(図7参照)。
フレーム11は、トラクタ1の前部における骨格をなす。フレーム11は、トランスミッション13やリヤアクスル15とともにトラクタ1のシャシを構成する。以下に説明するエンジン12は、フレーム11によって支持される。
エンジン12は、燃料を燃焼させて得た熱エネルギーを運動エネルギーに変換する。つまり、エンジン12は、燃料を燃やすことによって回転動力を生み出す。なお、エンジン12には、エンジンコントローラ160によって制御され、制御装置3と接続されている。エンジン12の出力回転数はエンジン回転数センサ70により検出され、エンジンコントローラ160に入力される。エンジンコントローラ160は、オペレータがアクセルペダル162やアクセルレバー173(図7参照)の操作に応じて回転数を変更したり、負荷がかかると回転数を下げたり、その回転数を維持するように燃料噴射量を増加したり、モードに応じて省燃費で作動させたりする。また、エンジン12には、排気浄化装置12Eが備えられている。排気浄化装置12Eは、排気に含まれる微粒子や一酸化炭素、炭化水素などを酸化させる。
トランスミッション13は、エンジン12の回転動力を走行部のフロントアクスル14やリヤアクスル15やPTO軸18に伝達する。トランスミッション13には、ダンパー等の連結機構を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、トランスミッション13には、無段変速装置33が備えられている(図5参照)。無段変速装置33は、オペレータが主変速レバー163(図7参照)を操作すると、その操作に応じて変速アクチュエータ330が作動され、可動斜板337の角度を変更して変速できるようにしている。また、アクセルペダル162を操作することによっても可動斜板337の角度を変更可能としている。
なお、主変速レバー163の回動基部には角度センサからなる主変速レバーセンサ61が設けられ、主変速レバー163の回動角度(変速位置)は主変速レバーセンサ61により検出され、主変速レバーセンサ61及び変速アクチュエータ330は制御装置3と接続されている。また、アクセルペダル162の回動基部には角度センサからなるアクセルペダルセンサ64が設けられ、制御装置3と接続されている。
フロントアクスル14は、エンジン12の回転動力をフロントタイヤ141に伝達する。フロントアクスル14には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。なお、フロントアクスル14には、操舵装置が並設されている(図示せず)。操舵装置は、オペレータがハンドル164(図7参照)を操作すると、その操作に応じてフロントタイヤ141の舵角を変更する。
リヤアクスル15は、エンジン12の回転動力をリヤタイヤ151に伝達する。リヤアクスル15には、トランスミッション13を介してエンジン12の回転動力が入力される。左右のリヤアクスル15・15の車軸上にはそれぞれ制動装置17・17が配置され、該制動装置17・17は左右のブレーキペダル166・166にリンク等を介して連結され、ブレーキペダル166・166の踏み込み操作により制動可能としている。なお、左右のリヤアクスル15・15は、トランスミッション13を収納するミッションケースの左右両側に設けられ、ミッションケースの後面からはPTO軸18が後方に突出されている。PTO軸18は、オペレータがPTOスイッチ165(図7参照)の操作により「入」「切」でき、本機後部に作業機装着装置19を介して装着した作業機械に動力を伝達可能としている。
次に、トラクタ1の動力伝達系統について説明する。図5は、トラクタ1の動力伝達系統を示している。図6は、無段変速装置33を示している。トラクタ1の動力伝達系統は、主に、エンジン12と、トランスミッション13と、フロントアクスル14と、リヤアクスル15と、で構成されている。ここでは、トランスミッション13の構造に着目して説明する。
トランスミッション13は、主変速装置となる無段変速装置33と、前後進切換装置34と、副変速装置35と、を備えている。
無段変速装置33は、入力シャフト331と出力シャフト332の回転速度の比を連続的に変更できる。入力シャフト331は、回転自在に支持されたプランジャブロック333に連結されている。プランジャブロック333は、高圧の作動油を送り出し、油圧ポンプ33Pとしての機能を果たす。出力シャフト332は、回転自在に支持されたモータケース334に連結されている。モータケース334は、高圧の作動油を受けることによって回転し、油圧モータ33Mとして機能を果たす。なお、出力シャフト332には、前進駆動ギヤ335と後進駆動ギヤ336が取り付けられている。
前後進切換装置34は、主クラッチを構成する前進用クラッチ341と後進用クラッチ342を互いに独立して作動できる。前進用クラッチ341は、前進駆動ギヤ335に噛み合う前進従動ギヤ343を有している。前進用クラッチ341は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。後進用クラッチ342は、リバースギヤを介して後進駆動ギヤ336に噛み合う後進従動ギヤ344を有している。後進用クラッチ342は、作動することにより、出力シャフト332の回転動力をセンターシャフト345に伝達する。なお、センターシャフト345には、超低速駆動ギヤ346と一速駆動ギヤ347と二速駆動ギヤ348が取り付けられている。
また、前後進切換装置34の前進用クラッチ341と後進用クラッチ342は油圧クラッチにより構成され、前後進切換電磁バルブ340の切換アクチュエータは制御装置3と接続されている。該前後進切換電磁バルブ340を中立とした状態では主クラッチがオフとなった状態であり、無段変速装置33からの動力はフロントタイヤ141及びリヤタイヤ151には伝達されない。
副変速装置35は、超低速クラッチ351と一速(低速)クラッチ352と二速(高速)クラッチ353を互いに独立して作動できる。超低速クラッチ351は、超低速駆動ギヤ346に噛み合う超低速従動ギヤ354を有している。超低速クラッチ351は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。一速クラッチ352は、一速駆動ギヤ347に噛み合う一速従動ギヤ355を有している。一速クラッチ352は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。二速クラッチ353は、二速駆動ギヤ348に噛み合う二速従動ギヤ356を有している。二速クラッチ353は、作動することにより、センターシャフト345の回転動力をカウンタシャフト357に伝達する。なお、カウンタシャフト357には、フロントドライブギヤ358とリヤドライブギヤ359が取り付けられている。
前記超低速クラッチ351と一速クラッチ352と二速クラッチ353は、摺動係合体を摺動させて超低速従動ギヤ354の係合部と一速従動ギヤ355の係合部と二速従動ギヤ356の係合部に選択して係合可能であり、摺動体は副変速レバー172(図7)の操作により摺動され、いずれかの係合部と係合可能としている。該副変速レバー172の回動基部には角度センサからなる副変速レバーセンサ62が設けられて、副変速レバー172の変速位置を検知できるようにしている。副変速レバーセンサ62は制御装置3と接続されている。
このような構造により、カウンタシャフト357の回転動力は、フロントアクスル14を介してフロントタイヤ141に伝達される。また、カウンタシャフト357の回転動力は、リヤアクスル15を介してリヤタイヤ151に伝達される。なお、トラクタ1の走行速度を検出する速度検知手段63が、カウンタシャフト357からリヤタイヤ151までの動力伝達経路に配設され、本実施形態ではカウンタシャフト357の回転数から走行速度を検出する構成としている。該速度検知手段63は制御装置3と接続されている。
ところで、無段変速装置33は、変速アクチュエータ330を作動させることにより、出力シャフト332の回転速度を変更できる。詳細に説明すると、無段変速装置33の油圧ポンプ33Pは、可変容量型に構成され、可動斜板337を傾倒させることにより作動油の送油量及び送油方向が変更可能とされ、該可動斜板337は変速アクチュエータ330と連結されて、変速アクチュエータ330の作動により傾倒可能とされ、出力シャフト332の回転速度を変更できる。従って、トラクタ1は、無段変速装置33が出力シャフト332の回転を止めると、走行状態から停止することとなる。同様に、トラクタ1は、無段変速装置33が出力シャフト332を回転させると、停止状態から走行することとなる(トラクタ1が発進することとなる)。
また、前記入力シャフト331上にはPTO出力ギヤ321が固設され、該PTO出力ギヤ321はPTOクラッチ320に設けたPTO入力ギヤ322と歯合されている。PTOクラッチ320はPTO入力軸323上に設けられ、該PTO入力軸323からはPTO変速装置324や減速ギヤ等を介してPTO軸18に動力を伝達可能に構成している。前記PTOクラッチ320は油圧クラッチにより構成され、PTO切替電磁バルブ325を切り換えることにより「入」「切」可能とし、PTO切換電磁バルブ325は制御装置3と接続され、PTO変速レバーまたはPTOスイッチ165の操作によりPTOクラッチ320を「入」「切」可能としている。
次に、トラクタ1の操縦室について説明する。図7は、運転座席161とその周囲を示している。また、図8は、オペレータの視界を示している。
更に、本トラクタ1においては、運転座席161の近傍にディスプレイ2を具備している。ディスプレイ2は、オペレータが右手で操作できるよう、運転座席161の右前側に配置されている。以下に、トラクタ1の情報ネットワークについて簡単に説明する。
図9は、トラクタ1の情報ネットワークを示す図、図10は、制御システムを示している。本トラクタ1は、最大限の性能を発揮できるよう、各所に情報ネットワークが張り巡らされ統合制御できるようにしている。具体的には、制御装置3とエンジン12を制御するエンジンコントローラ160のほか、トランスミッション13の制御装置、インストルメントパネル170の制御装置、コントロールパネル171の制御装置、ディスプレイ2の制御装置が互いに情報を共有できるように通信線により互いに接続され、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)を構成している。
本トラクタ1において、ディスプレイ2は、サイドコンソールの上に配置されている(図7、図8参照)。液晶パネル21は、ディスプレイ2の前面中央に設けられている。液晶パネル21は、制御装置3からの指示に基づいて所定の画面を表示できる。液晶パネル21は、いわゆるタッチパネルであっても良い。
上述したように、キャビン16は、その内側が操縦室になっており、運転座席161のほか、アクセルペダル162や主変速レバー163などが配置されている。また、運転座席161の周囲には、ブレーキペダル166やクラッチペダル167、リバーサレバー168、スピードダイヤル169、インストルメントパネル170、コントロールパネル171、アクセルレバー173等が配置されている。オペレータは、運転座席161に座った状態でアクセルペダル162やシフトレバー163などを操作し、トラクタ1を操縦することができる。
前記アクセルペダル162の回動基部には、アクセルペダル162の踏込量(回動角)を検知する角度センサからなるアクセルペダルセンサ64が設けられ、アクセルレバー173の回動基部には、アクセルレバー173の回動角を検知する角度センサからなるアクセルレバーセンサ73が設けられ、ブレーキペダル166及びクラッチペダル167にも同様に、回動基部に踏込量を検知する角度センサからなるブレーキペダルセンサ65、クラッチペダルセンサ66が設けられ、リバーサレバー168及びスピードダイヤル169にもそれぞれ回動量を検知するリバーサセンサ67、スピードダイヤルセンサ68が設けられる。
そして、アクセルペダルセンサ64、ブレーキペダルセンサ65、クラッチペダルセンサ66、リバーサセンサ67、スピードダイヤルセンサ68、アクセルレバーセンサ73はそれぞれ制御装置3と接続される。なお、前記左右のリヤアクスル15・15にはそれぞれ制動装置が設けられ左右のブレーキペダル166L・166Rによりそれぞれ制動可能としており、路上走行時等では左右のブレーキペダル166L・166Rを連結して同時に制動できるようにしている。この左右の連結は連結スイッチ69により検出可能として、制御装置3と接続されている。従って、ブレーキペダルセンサ65は左右のブレーキペダル166L・166Rが連結しているとき(または同時に踏み込んだとき)の回動を検知するようにしている。但し、ブレーキペダルセンサ65は、左右に設ける構成であってもよい。
前記アクセルペダル162は変速アクチュエータ330と連動するように構成されている。つまり、アクセルペダル162の踏込量に応じてエンジン12の回転数を増加させるとともに、変速アクチュエータ330を作動させて増速するように制御している。こうして、主変速レバー163やアクセルレバー173を操作することなく容易に変速して走行することができる。
次に、前記ブレーキペダル166とクラッチペダル167の踏込量、踏込速さに基づいて、走行速度の制御について説明する。前記制御装置3は、ブレーキペダルセンサ65及びクラッチペダルセンサ66の検出値の変化率を演算し、踏込速さを検知している。但し、制御装置3により演算する代わりにブレーキペダル166及びアクセルペダルセンサ64に角速度センサを配置して踏込速さを検知する構成であってもよい。
ブレーキペダル166の踏込制御について、図11は制御フローチャート、図12はブレーキペダルの踏込量と車速との関係を示す図である。制御装置3の記憶装置には、ブレーキペダル166の踏込量と車速との関係がマップとして記憶されている。ブレーキペダル166の踏込量に対する目標車速は、アクセルレバー173(アクセルペダル162)、主変速レバー163、副変速レバー172、リバーサレバー168の回動位置に応じて補正される。つまり、アクセルレバー173(アクセルペダル162)、主変速レバー163、副変速レバー172を大きく回動するほど速度が速くなるので、ブレーキペダル166の踏み込みによる減速度が大きくなるように補正する。但し、図12に示すa1のように、ブレーキペダル166の踏込量に対する減速は比例の関係としたり、a2のように、踏込始めの減速率は小さく、大きく踏み込むほど減速率を大きくしたり、a3のように、踏込始めの減速率は大きく、大きく踏み込むほど減速率を小さくしたりできるように、任意に変更できる調整手段を設けることも可能である。後述するクラッチペダル167も同様に調節できるようにすることができる。また、アクセルレバー173(アクセルペダル162)、主変速レバー163、副変速レバー172が一定のとき、前進よりも後進のほうが車速は遅くなるように設定しているため、減速度もそれに合わせている。
具体的に、図11の制御フローチャートに沿って説明する。路上走行や作業走行時において、制御装置3は、ブレーキペダルセンサ65から踏込量と踏込速さを取得する(S1)。踏込速さが設定値U1以上であると(S2)、急ブレーキがかけられたと判断して、主クラッチ(本実施形態では前進用クラッチ341と後進用クラッチ342)をオフとすると同時にPTOクラッチ320をオフとする(S3)。こうして、遅滞なく主クラッチとPTOクラッチ320をオフとして、急停止して、エンジン12やトランスミッション13や作業機等に負担をかけることなく停止できるようにしている。
踏込速さが設定値U1以下の場合、踏込量が制動第一設定値V1以上であるか判断し(S4)、制動第一設定値V1より小さい場合はステップS1に戻り、制動第一設定値V1を越えると、踏込量に基づいて車速を演算し(S5)、演算した車速で無段変速装置33の変速アクチュエータ330を目標車速となるように作動させ(S6)、この目標車速と速度検知手段63により検知した実車速を比較し(S7)、目標車速と実車速が一致するように制御する。こうして、主変速レバー163を操作することなく半クラッチの操作の如く微妙な速度制御が可能となる。なお、設定値V1はブレーキペダル166の遊びの範囲である。
更にブレーキペダル166が踏み込まれて、踏み込み量が制動第二設定値V2を越えたか判断し(S8)、越えていないとステップS1に戻り、制動第二設定値V2を越えるとクリープ速度に無段変速装置33の変速アクチュエータ330を作動させる(S9)。更に、ブレーキペダル166が踏み込まれて制動第三設定値V3を超えたか判断し(S10)、越えていないとステップS1に戻り、制動第三設定値V3を越えると、主クラッチとPTOクラッチ320をオフとする(S11)。こうして、最大踏込位置手前の踏込位置においてはクリープ速度で走行できるため、大きなトルクで作業機を牽引して作業を停止することなく続行することができる。また、最大踏み込んで走行を停止させると、自動的に主クラッチとPTOクラッチ320をオフとして、エンジン12やトランスミッション13や作業機等に負担をかけないようにしている。
次に、前記クラッチペダル167の踏込量に基づいて、走行速度の制御について説明する。図13は制御フローチャート、図14はクラッチペダル167の踏込量と車速との関係を示す図である。制御装置3の記憶装置には、ブレーキペダル166の踏込量と車速との関係と同様に、クラッチペダル167の踏込量と車速との関係がマップとして記憶されている。クラッチペダル167の踏込量に対する目標車速は、前記同様にアクセルレバー173(アクセルペダル162)、主変速レバー163、副変速レバー172、リバーサレバー168の回動位置に応じて補正される。
具体的に、図13の制御フローチャートに沿って説明する。路上走行や作業走行時において、制御装置3は、クラッチペダルセンサ66から踏込量と踏込速さを取得する(S21)。踏込速さが設定値Y1以上であると(S22)、エンジン12を始動させる場合や副変速を切り換える場合等であり、主クラッチ(本実施形態では前進用クラッチ341と後進用クラッチ342)をオフとすると同時にPTOクラッチ320をオフとする(S23)。こうして、スムースなエンジン12の始動や副変速操作ができるようにしている。
踏込速さが設定値Y1以下の場合、踏込量が断接第一設定値Z1以上であるか判断し(S24)、断接第一設定値Z1より小さい場合はステップS21に戻り、断接第一設定値Z1を越えると、踏込量に基づいて車速演算し(S25)、演算した車速で無段変速装置33の変速アクチュエータ330を目標車速となるように作動させ(S26)、この目標車速と速度検知手段63により検知した実車速を比較し(S27)、目標車速と実車速が一致するように制御する。こうして、主変速レバー163を操作することなく半クラッチの操作の如く微妙な速度制御が可能となる。なお、断接第一設定値Z1はクラッチペダル167の遊びの範囲である。
更にクラッチペダル167が踏み込まれて、踏み込み量が断接第二設定値Z2を越えたか判断し(S28)、越えていないとステップS21に戻り、断接第二設定値Z2を越えるとクリープ速度に無段変速装置33の変速アクチュエータ330を作動させる(S29)。更に、クラッチペダル167が踏み込まれて断接第三設定値Z3を超えたか判断し(S30)、越えていないとステップS21に戻り、断接第三設定値Z3を越えると、主クラッチとPTOクラッチ320をオフとする(S31)。こうして、最大踏込位置手前の踏込位置においてはクリープ速度で走行できるため、大きなトルクで作業機を牽引して作業を停止することなく続行することができる。また、最大踏み込んで走行を停止させると、自動的に主クラッチとPTOクラッチ320をオフとして、エンジン12やトランスミッション13や作業機等に負担をかけないようにしている。また、ブレーキペダル166とクラッチペダル167の両方が同時に操作された場合には、ブレーキペダル166の操作が優先され、急停止できるようにしている。
以上のように、エンジン12と、前記エンジン12の回転動力を変速して走行部に伝達する無段変速装置33と、走行部に設けた制動装置を作動操作するブレーキペダル166と、該ブレーキペダル166の踏込量を検知する踏込量検出手段となるブレーキペダルセンサ65と、前記エンジン12と走行部との間の動力伝達経路途中で動力の断接を行う主クラッチの操作を行うクラッチペダル167と、該クラッチペダル167の踏込量を検知する踏込量検出手段となるクラッチペダルセンサ66と、前記ブレーキペダル166またはクラッチペダル167の踏込量に応じて前記無段変速装置33を減速させる制御装置3とを備えるので、半クラッチのように速度制御したい場合、自動車のオートマチック車に慣れたオペレータではブレーキペダル166を用いて、ミッション車に慣れたオペレータであればクラッチペダル167を用いて、それぞれ半クラッチのような速度制御が可能となり、簡単な操作で容易に速度の微調整が可能となる。
また、前記制御装置3は、前記ブレーキペダル166またはクラッチペダル167の踏込量検出手段の検出値が第一設定値V1・Z1を越えると、踏込量に応じた車速に無段変速装置33を変速させ、第二設定値V2・Z2から最大踏込位置未満ではクリープ速度で走行させるので、ペダルの踏み込み量に応じて車速を所望の速度に調節でき、停止する直前の操作位置では、副変速レバー172によりクリープ変速に操作する必要がなく、速度調整が簡単に行えるようになる。
また、前記制御装置3は前記ブレーキペダル166とクラッチペダル167の両方が操作されると、ブレーキペダル166の操作が優先されるので、咄嗟に急ブレーキをかけたときに、制動されて急停止することができ、安全性を確保することができる。
1 トラクタ(作業車両)
3 制御装置
12 エンジン
33 無段変速装置
65 ブレーキペダルセンサ
66 クラッチペダルセンサ
166 ブレーキペダル
167 クラッチペダル

Claims (2)

  1. エンジンと、前記エンジンの回転動力を変速して走行部に伝達する無段変速装置と、走行部に設けた制動装置を作動操作するブレーキペダルと、前記ブレーキペダルの踏込量を検知する踏込量検出手段と、前記エンジンと走行部との間の動力伝達経路途中で動力の断接を行う主クラッチの操作を行うクラッチペダルと、前記クラッチペダルの踏込量を検知する踏込量検出手段と、前記ブレーキペダルの踏込量またはクラッチペダルの踏込量に応じて前記無段変速装置を減速させる制御装置とを備えるとともに、
    前記制御装置は、
    前記ブレーキペダルの踏込量検出手段の検出値またはクラッチペダルの踏込量検出手段の検出値が第一設定値を越えると、踏込量に応じた車速に無段変速装置を変速させ、
    第二設定値から最大踏込位置未満ではクリープ速度で走行させる
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 前記制御装置は、
    前記ブレーキペダルとクラッチペダルの両方が操作されると、前記ブレーキペダルの操作が優先される
    ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
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