JP3567353B2 - 油揚げの製造法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香味の優れた油揚げの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油揚げは日本固有の食材で、煮物、味噌汁の具、稲荷寿司等、日常の生活に欠かせないものである。
従来は、油揚げ用の油脂には、日本産の菜種種子を焙煎して搾油したいわゆるナタネ赤水が使用されてきた。
これは、油揚げの独特な香ばしい風味が日本人に好まれてきたためである。
ところが、日本国内の菜種の生産量が減少するとともに、北米からの輸入品が増加してきたが、甲状腺肥大の防止を目的とする品種改良が行われた結果、現在では、エルカ酸含有量の低いキャノーラ種の菜種油に置き代わっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、脂肪酸組成が大きく変ったため、油揚げ製造にナタネ油を用いても、従来のように、食欲と郷愁を誘う香ばしい匂のする油揚げが得られなくなった。
油揚げに香味を付ける方法としては、油揚げを揚げる植物性油脂にカラシ種子油、パプリカ油、フェネル油等の香辛料を添加する方法(特公平7−32675号公報)、油揚げ用の豆腐を作るための豆乳中に粉末とうがらし等の香辛料を添加する方法(特開平2−261355号公報)が知られている。
しかし、前者の方法では油の品質保持に難があり、後者の方法では、香辛料が均一に豆乳中に分散せず、製品の形状と匂が不揃いになるという欠点があった。
本発明は、油揚げ製造における上記の問題点を克服し、食欲と郷愁を誘う香ばしい匂を有する油揚げを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この目的のために鋭意検討を重ねた結果、豆乳中に香味成分、とりわけ水系である豆乳に分散しやすい、含水アルコール抽出物やエマルジョン型の香味成分を添加すると、香ばしい匂を均一に発散する油揚げが得られることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は豆乳に香味成分として、香辛料抽出物または該抽出物の乳化物またはエマルジョン型香料を添加することを特徴とする油揚げの製造法である。
【0005】
通常、油揚げを製造するには、豆乳から比較的硬めの豆腐を作り、それを薄く切り、充分に水を切った後、最初110〜120℃程度の低温の油で揚げ(所謂“のばし”)、次いで180〜200℃程度の高温の油で揚げる(所謂“からし”)工程が採られている。
豆乳は挽き砕いた大豆に水を加えて煮沸して得られる白濁液であるため、匂付けのために粉末状の香味料や香辛料を添加しても容易に分散せず、香味料等の粉末が不均一に分散した豆腐(生地)が出来、そのため上記の“のばし”および“からし”の段階で油揚げの形状を不揃いにさせ商品価値を失う結果となる。
また、油中に各種の香料を添加しても、上記“からし”が180〜200℃程度の高温で行われるため、製造中に香料成分の過半が揮発散逸し、製品としての油揚げには匂が殆ど残らない。
【0006】
【発明の実施の形態】
しかるに本発明においては、香辛料抽出物、例えば含水アルコール抽出物や該抽出物の乳化物またはエマルジョン型香料を豆乳に添加するため、混合されると同時に豆乳中に均一に分散し、該豆乳から得られる豆腐(生地)中に均一に含まれるとともに香料成分が当該抽出物やエマルジョン中に取り込まれているため、上記“のばし”、“からし”工程を経ても容易に飛散せず、出来上がった油揚げに香りを留めることが可能となる。
【0007】
本発明において、香辛料抽出物やエマルジョン型香料の添加量には特に制限はないが、好ましくは豆乳の重量に対して0.05〜1.0%、好ましくは0.1〜0.3%である。
0.05%以下では香料の成分が少量過ぎて匂が乏しくなり、一方1.0%以上になると油揚げ製造の原料価格が増大し経済的でない。
【0008】
また、本発明は香辛料が、マスタード単独またはマスタードにタラゴン、マジョラム、コリアンダー、タイムの群から選ばれる1種または2種以上を混合したものであることを特徴とする。
そのうち、特に香辛料を焙焼したものを用いると、香ばしい風味が得られる。焙焼法は、当該香辛料を120〜170℃で15〜60分程度加熱する方法による。抽出物においては、イソチオシアネート(isothiocyanate)が必須成分であり、香ばしい風味の主体である。その他、香辛料の種子に含有される各種の精油のうち、リナロール(linalool)、ピネン(pinene)、テルピネン(terpinene )等が渾然一体となって香ばしい匂を発生するものと思われる。
これらの抽出には、抽出溶媒として水、水性アルコールが通常使用され常温または加温下で行われるが、場合によっては食用油等で抽出しても良い。
【0009】
更に、本発明はエマルジョン型香料が、香料成分化合物のエステル類、アルデヒド類、アルコール類、ラクトン類の4類の群から各々1種以上を選択した化合物を香気成分として含有することを特徴とする。
【0010】
本発明に用いられるエステル類としては、エチルリノレート(ethyl linolate)、エチルオレエート(ethyl oleate)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。アルデヒド類としては、2,4−デカジナール(2,4−decadinal )、2,4−ヘプタジエナール(2,4−heptadienal )等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
アルコール類としては、ベンジルアルコール(benzyl alcohol)、ヘプタノール(heptanol)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
【0011】
ラクトン類としては、γ−ウンデカラクトン(γ−undecalactone)、γ−オクタラクトン(γ−octalactone)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
これらの4系列の香気成分は、エマルジョン型香料製造時に、各々必要に応じて配合することができる。
なお、これらの4系列の香気成分の他に、必要に応じてケトン類、脂肪酸類、炭化水素類、フェノール類、チオール類等の香気成分を少量加えても良い。
【0012】
香辛料抽出物および香料の乳化またはエマルジョン化には、適量の水に香辛料抽出物または香料を加え、必要に応じ適量のとうもろこし油、大豆油等の食用油を加え、乳化剤を添加してホモジナイザー等で攪拌して行う。これらの食用油は、エマルジョンの安定化に寄与するとともに、香味成分を豆乳の固形分中に固定し、有効な香味成分を保持する作用を有する。乳化剤としては、レシチン、アラビアガム、CMC、ソルビトール、多糖類、糖質誘導体等食品分野で通常使用されるものを用いることができる。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の主旨はもとよりこれに限定されるものではない。
【0014】
参考例1 エマルジョン型香料の製造
水55部(重量、以下同じ)に、とうもろこし油15部、乳化剤としてレシチンを25部加えて、香気成分としてオレイン酸エチル1.5部、2,4−ヘプタジエナール0.5部、ヘプタノール0.25部、γ−ウンデカラクトン0.25部を添加して、ホモジナイザーによりエマルジョン化した。本エマルジョンは、25℃で3ケ月安定であった。
【0015】
参考例2 エマルジョン型香料の製造
とうもろこし油を使用しない他は、参考例1と同様にしてエマルジョン型香料を製造した。本エマルジョンは、25℃で1ケ月安定であった。
【0016】
参考例3 香辛料抽出物の製造
150℃で30分間焙煎したマスタードの種子(ブラックマスタードシード)2Kgをミキサーで粉砕した。これに90%含水エタノール10Kgを加え室温下で1時間攪拌・抽出後、濾過した。濾液を濃縮して、香辛料抽出物を得た。
【0017】
参考例4 香辛料抽出物の乳化物の製造
参考例3と同じ方法で得た香辛料抽出物に、30%(重量)アラビアガム水溶液320gを加えて更に濃縮して、香辛料抽出物の乳化物400gを得た。本乳化物は、25℃で3ケ月安定であった。
【0018】
実施例1 油揚げの製造
油揚げ生地用豆乳65Kgを60℃に加熱し、参考例1で製造したエマルジョン型香料200gを添加し、硫酸カルシウム100gを加えた後、10分間攪拌しながら凝固させ、5分間静置した後、上澄を分取した。
型に入れて、水切りをして豆腐を作り、これを薄切りにして、一枚当たり、重さ45g、水分75%、厚さ0.8〜0.9cmの生地(豆腐)を作成した。
この生地を菜種白絞油にて、110℃で5分および180℃で3分の2度揚げをして、油揚げを製造した。
【0019】
実施例2 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例2で製造したエマルジョン型香料を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0020】
実施例3 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例3で製造した香辛料抽出物を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0021】
実施例4 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例4で製造した香辛料抽出物の乳化物を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0022】
比較例1
香味成分を添加しない点を除いては、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
比較例2
香味成分を添加しない点および菜種白絞油にカラシ種子油を20重量%加えた油で生地を揚げた点を除いて、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
このカラシ種子油を加えた菜種油は、25℃で保存中、6日目にカラシ種子油が分離し、不均一になった。
【0023】
比較例3
本発明の香味成分の代わりに、豆乳中に粉末とうがらし3Kgを加えて生地を製造した点を除いては、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0024】
香味成分の流出試験
実施例1及び2において、各々の分取した上澄液をガスクロマトグラフィー(ヘッドスペース法)により分析し、上澄液に流出した香気成分の量を測定し、油げ原料への残存率を求めた。
その結果を表1に示す。
【0025】
官能試験
油揚げ製造後30分後に、10人のパネラーに油揚げの香ばしさと形状を5点法で評価させた。
最も良いのが5、最も悪いのが1とし、10人の平均をとった。結果を表2に示す。
【0026】
上記の結果からわかるように、香味成分を加えない生地を菜種白絞油にて揚げた比較例1のものは、当然のことながら香ばしさの点で劣っているが、形状での崩れは認められない。無添加の生地をカラシ種子油を加えた油で揚げた比較例2は形状に問題はないが、香ばしさではやはり劣っており、粉末とうがらしを加えた生地を揚げた比較例3では、香ばしさ、形状ともに劣っていた。これに対して、実施例1および2のものはいずれも良好な結果を示した。
【発明の属する技術分野】
本発明は、香味の優れた油揚げの製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
油揚げは日本固有の食材で、煮物、味噌汁の具、稲荷寿司等、日常の生活に欠かせないものである。
従来は、油揚げ用の油脂には、日本産の菜種種子を焙煎して搾油したいわゆるナタネ赤水が使用されてきた。
これは、油揚げの独特な香ばしい風味が日本人に好まれてきたためである。
ところが、日本国内の菜種の生産量が減少するとともに、北米からの輸入品が増加してきたが、甲状腺肥大の防止を目的とする品種改良が行われた結果、現在では、エルカ酸含有量の低いキャノーラ種の菜種油に置き代わっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このように、脂肪酸組成が大きく変ったため、油揚げ製造にナタネ油を用いても、従来のように、食欲と郷愁を誘う香ばしい匂のする油揚げが得られなくなった。
油揚げに香味を付ける方法としては、油揚げを揚げる植物性油脂にカラシ種子油、パプリカ油、フェネル油等の香辛料を添加する方法(特公平7−32675号公報)、油揚げ用の豆腐を作るための豆乳中に粉末とうがらし等の香辛料を添加する方法(特開平2−261355号公報)が知られている。
しかし、前者の方法では油の品質保持に難があり、後者の方法では、香辛料が均一に豆乳中に分散せず、製品の形状と匂が不揃いになるという欠点があった。
本発明は、油揚げ製造における上記の問題点を克服し、食欲と郷愁を誘う香ばしい匂を有する油揚げを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この目的のために鋭意検討を重ねた結果、豆乳中に香味成分、とりわけ水系である豆乳に分散しやすい、含水アルコール抽出物やエマルジョン型の香味成分を添加すると、香ばしい匂を均一に発散する油揚げが得られることを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は豆乳に香味成分として、香辛料抽出物または該抽出物の乳化物またはエマルジョン型香料を添加することを特徴とする油揚げの製造法である。
【0005】
通常、油揚げを製造するには、豆乳から比較的硬めの豆腐を作り、それを薄く切り、充分に水を切った後、最初110〜120℃程度の低温の油で揚げ(所謂“のばし”)、次いで180〜200℃程度の高温の油で揚げる(所謂“からし”)工程が採られている。
豆乳は挽き砕いた大豆に水を加えて煮沸して得られる白濁液であるため、匂付けのために粉末状の香味料や香辛料を添加しても容易に分散せず、香味料等の粉末が不均一に分散した豆腐(生地)が出来、そのため上記の“のばし”および“からし”の段階で油揚げの形状を不揃いにさせ商品価値を失う結果となる。
また、油中に各種の香料を添加しても、上記“からし”が180〜200℃程度の高温で行われるため、製造中に香料成分の過半が揮発散逸し、製品としての油揚げには匂が殆ど残らない。
【0006】
【発明の実施の形態】
しかるに本発明においては、香辛料抽出物、例えば含水アルコール抽出物や該抽出物の乳化物またはエマルジョン型香料を豆乳に添加するため、混合されると同時に豆乳中に均一に分散し、該豆乳から得られる豆腐(生地)中に均一に含まれるとともに香料成分が当該抽出物やエマルジョン中に取り込まれているため、上記“のばし”、“からし”工程を経ても容易に飛散せず、出来上がった油揚げに香りを留めることが可能となる。
【0007】
本発明において、香辛料抽出物やエマルジョン型香料の添加量には特に制限はないが、好ましくは豆乳の重量に対して0.05〜1.0%、好ましくは0.1〜0.3%である。
0.05%以下では香料の成分が少量過ぎて匂が乏しくなり、一方1.0%以上になると油揚げ製造の原料価格が増大し経済的でない。
【0008】
また、本発明は香辛料が、マスタード単独またはマスタードにタラゴン、マジョラム、コリアンダー、タイムの群から選ばれる1種または2種以上を混合したものであることを特徴とする。
そのうち、特に香辛料を焙焼したものを用いると、香ばしい風味が得られる。焙焼法は、当該香辛料を120〜170℃で15〜60分程度加熱する方法による。抽出物においては、イソチオシアネート(isothiocyanate)が必須成分であり、香ばしい風味の主体である。その他、香辛料の種子に含有される各種の精油のうち、リナロール(linalool)、ピネン(pinene)、テルピネン(terpinene )等が渾然一体となって香ばしい匂を発生するものと思われる。
これらの抽出には、抽出溶媒として水、水性アルコールが通常使用され常温または加温下で行われるが、場合によっては食用油等で抽出しても良い。
【0009】
更に、本発明はエマルジョン型香料が、香料成分化合物のエステル類、アルデヒド類、アルコール類、ラクトン類の4類の群から各々1種以上を選択した化合物を香気成分として含有することを特徴とする。
【0010】
本発明に用いられるエステル類としては、エチルリノレート(ethyl linolate)、エチルオレエート(ethyl oleate)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。アルデヒド類としては、2,4−デカジナール(2,4−decadinal )、2,4−ヘプタジエナール(2,4−heptadienal )等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
アルコール類としては、ベンジルアルコール(benzyl alcohol)、ヘプタノール(heptanol)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
【0011】
ラクトン類としては、γ−ウンデカラクトン(γ−undecalactone)、γ−オクタラクトン(γ−octalactone)等があり、これらは1種または2種以上混合して使用できる。
これらの4系列の香気成分は、エマルジョン型香料製造時に、各々必要に応じて配合することができる。
なお、これらの4系列の香気成分の他に、必要に応じてケトン類、脂肪酸類、炭化水素類、フェノール類、チオール類等の香気成分を少量加えても良い。
【0012】
香辛料抽出物および香料の乳化またはエマルジョン化には、適量の水に香辛料抽出物または香料を加え、必要に応じ適量のとうもろこし油、大豆油等の食用油を加え、乳化剤を添加してホモジナイザー等で攪拌して行う。これらの食用油は、エマルジョンの安定化に寄与するとともに、香味成分を豆乳の固形分中に固定し、有効な香味成分を保持する作用を有する。乳化剤としては、レシチン、アラビアガム、CMC、ソルビトール、多糖類、糖質誘導体等食品分野で通常使用されるものを用いることができる。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明の主旨はもとよりこれに限定されるものではない。
【0014】
参考例1 エマルジョン型香料の製造
水55部(重量、以下同じ)に、とうもろこし油15部、乳化剤としてレシチンを25部加えて、香気成分としてオレイン酸エチル1.5部、2,4−ヘプタジエナール0.5部、ヘプタノール0.25部、γ−ウンデカラクトン0.25部を添加して、ホモジナイザーによりエマルジョン化した。本エマルジョンは、25℃で3ケ月安定であった。
【0015】
参考例2 エマルジョン型香料の製造
とうもろこし油を使用しない他は、参考例1と同様にしてエマルジョン型香料を製造した。本エマルジョンは、25℃で1ケ月安定であった。
【0016】
参考例3 香辛料抽出物の製造
150℃で30分間焙煎したマスタードの種子(ブラックマスタードシード)2Kgをミキサーで粉砕した。これに90%含水エタノール10Kgを加え室温下で1時間攪拌・抽出後、濾過した。濾液を濃縮して、香辛料抽出物を得た。
【0017】
参考例4 香辛料抽出物の乳化物の製造
参考例3と同じ方法で得た香辛料抽出物に、30%(重量)アラビアガム水溶液320gを加えて更に濃縮して、香辛料抽出物の乳化物400gを得た。本乳化物は、25℃で3ケ月安定であった。
【0018】
実施例1 油揚げの製造
油揚げ生地用豆乳65Kgを60℃に加熱し、参考例1で製造したエマルジョン型香料200gを添加し、硫酸カルシウム100gを加えた後、10分間攪拌しながら凝固させ、5分間静置した後、上澄を分取した。
型に入れて、水切りをして豆腐を作り、これを薄切りにして、一枚当たり、重さ45g、水分75%、厚さ0.8〜0.9cmの生地(豆腐)を作成した。
この生地を菜種白絞油にて、110℃で5分および180℃で3分の2度揚げをして、油揚げを製造した。
【0019】
実施例2 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例2で製造したエマルジョン型香料を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0020】
実施例3 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例3で製造した香辛料抽出物を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0021】
実施例4 油揚げの製造
参考例1で製造したエマルジョン型香料に代えて、参考例4で製造した香辛料抽出物の乳化物を用いた他は実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0022】
比較例1
香味成分を添加しない点を除いては、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
比較例2
香味成分を添加しない点および菜種白絞油にカラシ種子油を20重量%加えた油で生地を揚げた点を除いて、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
このカラシ種子油を加えた菜種油は、25℃で保存中、6日目にカラシ種子油が分離し、不均一になった。
【0023】
比較例3
本発明の香味成分の代わりに、豆乳中に粉末とうがらし3Kgを加えて生地を製造した点を除いては、実施例1と同様に実施して油揚げを製造した。
【0024】
香味成分の流出試験
実施例1及び2において、各々の分取した上澄液をガスクロマトグラフィー(ヘッドスペース法)により分析し、上澄液に流出した香気成分の量を測定し、油げ原料への残存率を求めた。
その結果を表1に示す。
【0025】
官能試験
油揚げ製造後30分後に、10人のパネラーに油揚げの香ばしさと形状を5点法で評価させた。
最も良いのが5、最も悪いのが1とし、10人の平均をとった。結果を表2に示す。
【0026】
上記の結果からわかるように、香味成分を加えない生地を菜種白絞油にて揚げた比較例1のものは、当然のことながら香ばしさの点で劣っているが、形状での崩れは認められない。無添加の生地をカラシ種子油を加えた油で揚げた比較例2は形状に問題はないが、香ばしさではやはり劣っており、粉末とうがらしを加えた生地を揚げた比較例3では、香ばしさ、形状ともに劣っていた。これに対して、実施例1および2のものはいずれも良好な結果を示した。
Claims (5)
- 油揚げ豆腐用の豆乳に香味成分として、含水アルコール等の溶媒によって抽出された香辛料抽出物および/または該抽出物の乳化物および/またはエマルジョン型香料を添加して豆腐生地を製造し、得られた豆腐生地を菜種油を主体とする油で揚げることを特徴とする油揚げの製造法。
- 香辛料抽出物用の香辛料が、マスタード単独またはマスタードにタラゴン、マジョラム、コリアンダー、タイムの群から選ばれる1種または2種以上を混合したものである請求項1に記載の油揚げの製造法。
- 香辛料抽出物が、イソチオシアネートおよび/またはその誘導体を必須成分とする請求項1または2に記載の油揚げの製造法。
- 香辛料抽出物用の香辛料として焙焼した香辛料を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の油揚げの製造法。
- エマルジョン型香料が、エステル類、アルデヒド類、アルコール類、ラクトン類の4類の群から各々1種以上を選択した化合物を香気成分として含有することを特徴とする請求項1に記載の油揚げの製造法。
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JP29340396A JP3567353B2 (ja) | 1996-10-15 | 1996-10-15 | 油揚げの製造法 |
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JP29340396A JP3567353B2 (ja) | 1996-10-15 | 1996-10-15 | 油揚げの製造法 |
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JPH10117718A JPH10117718A (ja) | 1998-05-12 |
JP3567353B2 true JP3567353B2 (ja) | 2004-09-22 |
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ID=17794324
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JP29340396A Expired - Fee Related JP3567353B2 (ja) | 1996-10-15 | 1996-10-15 | 油揚げの製造法 |
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JP2013074853A (ja) * | 2011-09-30 | 2013-04-25 | Tajimaya Shokuhin Kk | 唐辛子を含有する大豆加工食品 |
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1996
- 1996-10-15 JP JP29340396A patent/JP3567353B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH10117718A (ja) | 1998-05-12 |
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