JP3566391B2 - 防振制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、カメラに搭載され、該カメラに生じる低い周波数の振動を検出して、像振れ補正を行う防振制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在のカメラは露出決定やピント合せ等の撮影にとって重要な作業は全て自動化されているため、カメラ操作に未熟な人でも撮影失敗を起す可能性は非常に少なくなっている。
【0003】
また、最近では、撮影者がファインダ内の注視した場所(被写体)にピントを合せる視線入力焦点調整手段も開発され、更にカメラに加わる手振れを防ぐシステムも研究されており、撮影者の撮影ミスを誘発する要因は殆ど無くなってきている。
【0004】
ここで、手振れを防ぐシステムについて簡単に説明する。
【0005】
撮影時のカメラの手振れは、周波数として通常1Hz乃至12Hzの振動であるが、シャッタのレリーズ時点においてこのような手振れを起していても像振れのない写真を撮影可能とするための基本的な考えとして、上記手振れによるカメラの振動を検出し、その検出値に応じて補正レンズを変位させてやらなければならない。従って、カメラの振れが生じても像振れを生じない写真を撮影できることを達成するためには、第1にカメラの振動を正確に検出し、第2に手振れによる光軸変化を補正することが必要となる。
【0006】
この振動(カメラ振れ)の検出は、原理的にいえば、角加速度、角速度、角変位等を検出する振動センサと該センサの出力信号を電気的或は機械的に積分して角変位を出力するカメラ振れ検出手段をカメラに搭載することによって行うことができる。そして、この検出情報に基づき撮影光軸を偏心させる補正光学機構を駆動させて像振れ抑制が行われる。
【0007】
ここで、振動検出手段を用いた防振システムについて、図27を用いてその概要を説明する。
【0008】
図27の例は、図示矢印81方向のカメラ縦振れ81p及びカメラ横振れ81yに由来する像振れを抑制するシステムの図である。
【0009】
同図中、82はレンズ鏡筒、83p,83yは各々カメラ縦振れ角変位、カメラ横振れ振動を検出する振動検出手段で、それぞれの振動検出方向を84p,84yで示してある。85は補正手段(86p,86yは各々補正手段85に推力を与えるコイル、87p,87yは補正手段85の位置を検出する位置検出素子)であり、該補正手段85は後述する位置制御ループを設けており、角変位検出手段83p,83yの出力を目標値として駆動され、像面88での安定を確保する。
【0010】
次に、図28はかかる目的に好適に用いられる補正手段の構造を示す分解斜視図である。
【0011】
レンズ71がカシメられた支持枠72に軸受73yが圧入されている。そして、軸受73yには支持軸74yが軸方向に摺動可能に支持されている。そして、支持軸74yの凹部74yaは支持アーム75の爪75aに嵌込められる。又、支持アーム75にも軸受73pが圧入され、支持軸74pが軸方向に摺動可能に支持されている。
【0012】
なお、図28に支持アーム75の裏面図も併記すると共に、爪75aを明示する為の一部正面図も併記している。
【0013】
支持枠72の投光器取付穴72pa,72yaにはIRED等の投光素子76p,76yを接着し、接続基板を兼ねた蓋77p,77y(支持枠72に接着される)にその端子が半田付けされる。また、支持枠72にはスリット72pb,72ybが設けられており、投光素子76p,76yの投光はスリット72pb,72ybを通し、後述するPSD78p,78yに入射する。又、支持枠72にはコイル79p,79yも接着され、端子は蓋77p,77yに半田付けされる。
【0014】
鏡筒710には支持球711が嵌入(3か所)され、また支持軸74pの凹部74paが嵌込められる爪部710aを有している。
【0015】
ヨーク712p1 ,712p2 ,712p3 、マグネット713pは重ねて接着され、同様にヨーク712y1 ,712y2 ,712y3 、マグネット713yも重ねて接着される。尚、マグネットの極性は矢印713pa,713yaの配置となる。
【0016】
ヨーク712p2 ,712y2 は鏡筒710の凹部710pb,710ybにネジ止めされる。
【0017】
センサ座714p,714y(714yは不図示)にPSD等の位置検出素子78p,78yを接着し、センサマスク715p,715yを被せてフレキシブル基板716に位置検出素子78p,78yの端子が半田付けされる。センサ座714p,714yの凸部714pa,714ya(714yaは不図示)を鏡筒710の取付穴710pc,710ycに嵌入し、フレキシブル基板ステイ717にてフレキシブル基板716は鏡筒710にネジ止めされる。フレキシブル基板716の耳部716pa,716yaは各々鏡筒710の穴710pd,710ydを通り、ヨーク712p1 ,712y1 上にネジ止めされ、蓋77p,77y上のコイル端子、投光素子端子は各々フレキシブル基板716の耳部716pa,716yaのランド部716pb,716ybとポリウレタン銅線(3本縒り線)に接続される。
【0018】
メカロックシャーシ718にはプランジャ719がネジ止めされ、バネ720をチャージしたメカロックアーム721にプランジャ719が嵌込まれ、軸ビス722によりメカロックシャーシ718に回転可能にネジ止めされる。
【0019】
メカロックシャーシ718は鏡筒710にネジ止めされ、プランジシャ719の端子はフレキシブル基板716のランド部716bに半田付けされる。
【0020】
先端球状の調整ネジ723(3か所)はヨーク712p1 、メカロックシャーシ718にネジ込み貫通され、調整ネジ723と支持球711で支持枠72の摺動面(斜線部72c)を挟んでいる。調整ネジ723は摺動面に僅かなクリアランスで対向する様にネジ込み調整されている。
【0021】
カバー724は鏡筒710に接着され、上記の補正手段をカバーしている。
【0022】
図29は上記図28の補正手段の駆動制御系について説明するための図である。
【0023】
位置検出素子78p,78yの出力を増幅回路727p,727yで増幅してコイル79p,79yに入力すると、支持枠72が駆動されて位置検出素子78p,78yの出力が変化する。ここでコイル79p,79yの駆動方向(極性)を位置検出素子78p,78yの出力が小さくなる方向に設定すると(負帰還)、コイル79p,79yの駆動力により位置検出素子78p,78yの出力がほぼ零になる位置で支持枠72は安定する。尚、加算回路731p,731yは位置検出素子78p,78yからの出力と外部からの指令信号730p,730yを加算する回路であり、補償回路728p,728yは制御系をより安定させる回路であり、駆動回路729p,729yはコイル79p,79yへの印加電流を補う回路である。
【0024】
そして、図29の系に外部から指令信号730p,730yを加算回路731p,731yを介して与えると、支持枠72は指令信号730p,730yに極めて忠実に駆動される。
【0025】
図29の制御系のように位置検出出力を負帰還してコイルを制御する手法を位置制御手法と云い、指令信号730p,730yとして手振れの量を与えると支持枠72は手振れ量に比例して駆動される。
【0026】
図30は上記図29に示した補正手段の駆動制御系の詳細を示した回路図であり、ここではピッチ方向725pについてのみ説明する(ヨー方向726yも同様であるため)。
【0027】
電流−電圧変換アンプ732pa,732pbは投光素子76pにより位置検出素子78p(抵抗R1,R2より成る)に生じる光電流78i1 ,78i2 を電圧に変換し、差動アンプ733pは各電流−電圧変換アンプ732pa,732pbの差(支持枠72のピッチ方向725pの位置に比例した出力)を求めるものである。以上、電流−電圧変換アンプ732pa,732pb、差動アンプ733pc及び抵抗R3〜R10により、図29の増幅器727pを構成している。
【0028】
指令アンプ734paは外部より入力される指令信号730pを差動アンプ733pの差信号に加算するもので、抵抗R11〜R14とで図29の加算回路731pを構成している。
【0029】
抵抗738p,739p及びコンデンサ740pは公知の位相進み回路であり、これが図29の補償回路728pに相当する。
【0030】
前記加算回路731pの出力は補償回路728pを介して駆動アンプ735pへ入力し、ここでピッチコイル79pの駆動信号が生成され、補正手段が変位する。該駆動アンプ735p、抵抗737p及びトランジスタ736pa,736pbにより、図29の駆動回路729pを構成している。
【0031】
加算アンプ741pは電流−電圧変換アンプ732pa,732pbの出力の和(位置検出素子78pの受光量総和)を求め、この信号を受ける駆動アンプ742pはこれにしたがって投光素子76pを駆動する。以上、加算アンプ741p,駆動アンプ742p、抵抗R18〜R24及びコンデンサC1により投光素子76pの駆動回路を構成している(図29では不図示)。
【0032】
上記の投光素子76pは温度等に極めて不安定にその投光量が変化し、それに伴い差動アンプ733pの位置感度が変化するが、上記の様に受光量総和一定となる様に前述の駆動回路によって投光素子76pを制御すれば、位置感度変化は少なくなる。
【0033】
ここで、図28及び図29に示す支持枠72を係止する係止手段について説明する。
【0034】
図28で説明した、メカロックシャーシ718,プランジャ719,バネ720,メカロックアーム721,軸ビス722で係止手段を構成しており、該係止手段を、図28の矢印718a方向より見た図を、図31(a)に示し、又、プランジャ719の断面図を図31(b)に示す。
【0035】
図31(b)において、プランジャ719は、スライダ719aとステータ719b及び該ステータ719bに設けられたコイル719c,永久磁石719dより構成されている。そして、図31(a)に示す様に、スライダ719aは軸722により回転可能に軸支されたメカロックアーム721の孔721bに掛けられており、メカロックアーム721はバネ720により矢印720a方向に回転付勢されている。その為、スライダ719aはステータ719bより引き抜かれる力Fout を常に受けている。しかし、スライダ719aは永久磁石719dと当接している為、その吸引力は大きく、バネ720の力で動かされる事はない(Fmg>Fout :Fmgは永久磁石の吸引力)。尚、この状態の時にはメカロックアーム721の先端の突起721aは支持枠72の孔72dに嵌入しており、支持枠72は係止される。
【0036】
次に、コイル719cに所望の方向に電流を流すと、永久磁石719dとスライダ719a,ステータ719bで構成される磁気回路の磁束の流れが変化して、スライダ719aと永久磁石719dの吸引力が弱まる。すると、バネ720の力でメカロックアーム721は矢印720a方向に回転し、突起721aは支持枠72の孔72dより離れて係止が解除される(Fout >Fmg−Fi Fi は電流反発力)。この時、スライダ719aも同時にステータ719bより引き抜かれ、スライダ719aと永久磁石719d間にギャップδを生ずる。
【0037】
公知の通り、吸引力は永久磁石719dと対向物の距離の平方に反比例する為、ギャップδが生じた事で吸引力は極めて小さくなる。その為、コイル719cの通電を断ってもバネ720の付勢力で支持枠72の係止解除状態を保持できる。
【0038】
次に、コイル719cに逆方向に電流を流すと、この電流によるスライダ719aの吸収力と永久磁石719dの吸引力の合力がバネ720の力より大きくなり、スライダ719aはステータ719b内に引き込まれる(Fmg+Fi>Fout )
一旦、スライダ719aがステータ719b内に引き込まれ始めると、ギャップδが小さくなる事により永久磁石719dの吸収力が加速度的に大きくなり、スライダ719aは永久磁石719dに当接すると共に、突起721aは支持枠72の孔72dに入り、再び支持枠72を係止するようになる。
【0039】
以上の様に係止,係止解除時のみプランジャ719に電流を流す事で、各々の状態を保持する双安定構成になっており、小型で且つ省電力の係止手段を実現している。
【0040】
図32は防振システムの概要を示すブロック図である。
【0041】
図32において、91は図27の振動検出手段83p,83yであり、振動ジャイロ等の角速度を検出する振れ検出センサと該振れ検出センサ出力のDC成分をカットした後に積分して角変位を得るセンサ出力演算手段より構成される。
【0042】
振動検出手段91からの角変位信号は、目標値設定手段92に入力される。この目標値設定手段92は、可変差動増幅器92aとサンプルホールド回路92bより構成されており、サンプルホールド回路92bは常にサンプル中の為に可変差動増幅器92aに入力される両信号は常に等しく、その出力はゼロである。しかし、後述する遅延手段93からの出力で前記サンプルホールド回路92bがホールド状態になると、可変差動増幅器92aは、その時点をゼロとして連続的に出力を始める。
【0043】
可変差動増幅器92aの増幅率は、防振敏感度設定手段94の出力により可変になっている。何故ならば、目標値設定手段92の目標値信号は補正手段を追従させる目標値(指令信号)であるが、補正手段の駆動量に対する像面の補正量(防振敏感度)は、ズーム,フォーカス等の焦点変化に基づく光学特性により変化する為、その防振敏感度変化を補う為である。故に防振敏感度設定手段94は、ズーム情報出力手段95からのズーム焦点距離情報と露光準備手段96の測距情報に基づくフォーカス焦点距離情報が入力され、その情報を基に防振敏感度を演算あるいはその情報を基にあらかじめ設定した防振敏感度情報を引き出して、目標値設定手段92の可変差動増幅器92aの増幅率を変更させる。
【0044】
補正駆動手段97は、図30に示した駆動制御回路であり、目標値設定手段92からの目標値が指令信号730p,730yとして入力される。
【0045】
補正起動手段98は、図29の駆動回路729p,729yとコイル79p,79yの接続を制御するスイッチであり、通常時はスイッチ98aを端子98cに接続させておく事でコイル79p,79yの各々の両端を短絡しておき、論理積手段99の信号が入力されるとスイッチ98aを端子98bに接続し、補正手段910を制御状態(未だ振れ補正は行わないが、コイル79p,79yに電力を供給し、位置検出素子78p,78yの信号がほぼゼロになる位置に補正手段910を安定させておく)にする。又、この時同時に論理積手段99の出力信号は係止手段914にも入力し、これにより係止手段は補正手段910を係止解除する。
【0046】
尚、補正手段910はその位置検出素子78p,78yの位置信号を補正駆動手段97に入力し、前述した様に位置制御を行っている。
【0047】
論理積手段99は、レリーズ手段911のレリーズ半押しSW1信号と防振切換手段912の出力信号の両信号が入力された時に、その構成要素であるアンドゲート99aが信号を出力する。
【0048】
つまり、防振切換手段912の防振スイッチを撮影者が操作し、且つレリーズ手段911でレリーズ半押しを行った時に補正手段910は係止解除され制御状態になる。
【0049】
レリーズ手段911のSW1信号は露光準備手段96に入力され、測光,測距,レンズ合焦駆動を行うと共に、前述した様に防振敏感度設定手段94にフォーカス焦点距離情報を出力する。
【0050】
遅延手段93は論理積手段99の出力信号を受けて、例えば1秒後に出力して前述した様に目標値設定手段92より目標値信号を出力させる。
【0051】
図示していないが、レリーズ手段911のSW1信号に同期して振動検出手段91も起動を始める。そして、前述した様に積分器等、大時定回路を含むセンサ出力演算は起動から出力が安定する迄に、ある程度の時間を要する。
【0052】
遅延手段93は、振動検出手段91の出力が安定する迄待機した後に、補正手段910へ目標値信号を出力する役割を演じ、振動検出手段91の出力が安定してから防振を始める構成にしている。
【0053】
露光手段913はレリーズ手段911のレリーズ押切りSW2信号入力によりミラーアップを行い、露光準備手段96の測光値を元に求められたシャッタスピードでシャッタを開閉して露光を行い、ミラーダウンして撮影を終了する。
【0054】
撮影終了後、撮影者がレリーズ手段911から手を離し、SW1信号をオフにすると、論理積手段99は出力を止め、目標値設定手段92のサンプルホールド回路92bはサンプリング状態になり、可変差動増幅器92aの出力はゼロになる。従って、補正手段910は、補正駆動を止めた制御状態に戻る。
【0055】
論理積手段99の出力がオフになった事により、係止手段914は補正手段910を係止し、その後に補正起動手段98のスイッチ98aは端子98cに接続され、補正手段910は制御されなくなる。
【0056】
振動検出手段91は、不図示のタイマにより、レリーズ手段911の操作が停止された後も一定時間(例えば5秒)は動作を継続し、その後に停止する。これは、撮影者がレリーズ操作を停止した後に引き続きレリーズ操作を行う事は繁雑にあるわけで、その様な時に毎回振動検出手段91を起動するのを防ぎ、その出力安定迄の待機時間を短くする為であり、振動検出手段91が既に起動している時には該振動検出手段91は起動既信号を遅延手段93に送り、その遅延時間を短くしている。
【0057】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した防振システムを有するカメラにおいては、以下に述べる様な問題を有していた。
【0058】
第1に、防振システムが不安定の時に撮影をしてしまうと、防振を行わない時よりも像劣化を生じてしまう場合がある。その為、従来ではこの様なときには、レリーズロック(撮影禁止)を行う構成になっていた。
【0059】
しかしながら、この様に構成するとレリーズロックにより撮影チャンスを逃すと言う問題があった。
【0060】
第2に、防振システムを撮影中に誤ってオフした場合には、十分な防振効果が得られない事になる。防振システムは通常プッシュスイッチ(例えばカメラのレリーズボタン)でオンする為、露光中にプッシュスイッチを離す動作は頻繁に生ずる可能性が有り(例えば長秒時露光時)、防振効果の無い撮影を行ってしまう頻度は高く問題になっていた。
【0061】
(発明の目的)本発明の目的は、適切な振れ補正がなされるのを待った為にシャッタチャンスを逃してしまうということを防止し、且つ、防振不安定による像劣化を防ぐと共に、振れ補正動作再開の応答性を向上させることのできる防振制御装置を提供することである。
【0097】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、撮影準備動作に応答して作動し、撮影レンズの光軸の振れを補正する補正手段と、該補正手段を電磁的に駆動して振れ補正を行わせる補正駆動手段と、前記補正手段を係止、係止解除させ、係止状態、係止解除状態を機械的に保持する係止手段とを備えた防振制御装置において、前記補正手段の作動により適切な振れ補正が可能であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段により露光中に適切な振れ補正が不能であることが判断されている場合には、前記補正手段により露光前までは振れ補正を行っていた状態でも露光時には、前記補正手段による振れ補正は行わず、且つ前記補正手段を前記係止手段にて係止されない状態で前記補正駆動手段により電磁的に所定の位置に安定させておく防振制御手段とを設けたことを特徴とするものである。
【0135】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【0136】
図1は本発明の第1の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図32と同じ部分は同一符号を付してある。
【0137】
従来例と異なるのは、判断手段11,防振一時停止手段12,防振停止表示手段13、及び、論理積手段14が新たに設けられている点にある。
【0138】
図1において、判断手段11には振動検出手段91(振れ検出センサ)の出力信号91aが入力しており、該判断手段11は、図1(b)に示す様に、その信号をローパスフィルタ11aで平滑化した後、その傾きを微分回路11bで求めている。これらローパスフィルタ11aと微分回路11bで、判断手段11のセンサ出力演算手段2を構成している。
【0139】
ここで、振れ検出センサの出力信号91aについて説明する。
【0140】
この出力信号91aは、図2(a)で示す実際の振れθ0 に対して図2(b)の様に正確に振れ角速度ω0 が出力されていれば精度良い防振が行える訳であるが、実際には振れ検出センサを始動し始めた時から、図2(c)の一点鎖線で示すDCバイアス(以下、オフセット)を生ずる。そして、このオフセットが一定値であれば公知のDCカット手段で取り除くことが出来るが、このオフセットが過渡状態にある時にはオフセットを正確に取り除くことができず、振れ検出精度が劣化する。従って、この際に撮影を行うと振れ検出精度が劣化している為に、補正手段910はその劣化している信号に応じて駆動され、却って像劣化を引き起していた。
【0141】
そこで、図1(b)の構成のローパスフィルタ11aで、図2(c)のオフセット分を求め、次にその傾きを微分回路11bで図2(d)の様に求める。そして,この出力をしきい値と比較(判断手段11には比較手段も設けられる)して、一定以上、つまり像劣化を起す可能性がある時は、判断手段11は出力11cを行う。尚、判断の為には振れ検出センサの出力信号91aではなく、振動検出手段91のセンサ出力演算手段の出力を用いても良い。前記振れ検出センサの精度劣化は微妙な為、ファインダ上で撮影者が被写体を観察している時(つまり、撮影者がファインダを通して防振効果を得ている時)には分らないが、撮影を行って出来上った写真には像劣化が現れるレベルのものである。よって、撮影者が被写体を観察している時には防振を止める必要はない。
【0142】
論理積手段14のアンドゲード14aにはレリーズ手段911のSW2信号911aと判断手段11の出力11cが入力しており、振れ検出センサの出力精度が劣化しており、且つ、SW2信号(撮影信号)が発生した時には、該論理積手段14は出力14bを行う。この出力14bは防振一時停止手段12に入力しており、防振一時停止手段12はこの出力14bに応答して、スイッチ12aと端子12bの接続を断つ。すると、遅延手段93の出力が目標値設定手段92のサンプルホールド回路92bに入力されなくなる為、サンプルホールド回路92bはサンプル状態に戻り、目標値の出力はゼロになる。つまり、防振は行われなくなる。この際、補正手段910は係止手段914により係止されない。何故ならば、露光中に係止手段914の振動により補正手段910が飛び跳ねて像劣化を生ずる可能性が有る為である。よって、この間(SW2信号出力中)の防振停止中は補正手段910は図29等で説明した様に、位置検出センサの出力ゼロ近傍で電磁的に安定させておく。(補正起動手段98のスイッチ98aは端子98bに接続させたままで、目標値(指令信号)のみゼロにする)
次に、SW2信号911aが無くなる(撮影者がレリーズボタンを半押し状態に戻す)と出力14bは無くなり、防振一時停止手段12のスイッチ12aは端子12bに接続され、サンプルホールド回路92bはこの時遅延手段93が出力しているならば再びホールド状態となり、目標値は再出力して防振を始める。つまり、図2(e)に示す様に、露光期間(SW2信号が発生している間)には目標値がゼロとなり、防振を行わない。防振停止表示手段13は出力11cを入力して露光中には防振が停止される事を撮影者に表示する。この表示により撮影者は、この表示が消える迄(振れ検出センサ出力が安定する迄)待つか、或は、撮影を行って(シャッタチャンスを優先して)表示が消えてから再撮影を行うことが出来る。
【0143】
以上図2(a)〜(e)で説明した様に,本発明の第1の実施例においては、防振精度が悪く像劣化を生じそうな時には、露光期間中には防振を止める(被写体を狙ってカメラを構えている間は防振している)ことで、防振精度が悪い事で却って像劣化を生じる事を防ぐ。
【0144】
また、この時補正手段は係止されず、電磁的に安定させる事で係止に伴う振動で像劣化が生じる事を防ぐ構成にしている。
【0145】
更に、防振精度が悪く、露光中には防振が停止される事(或は露光中に防振が停止された事)を表示する事で、撮影者はそれに従って撮影を待つか、或は、再度撮影を行う事が出来、操作性を向上させると共に撮影時に安心感を与えることが出来る。
【0146】
(第2の実施例)
図3は本発明の第2の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図1と同じ部分は同一符号を付してある。
【0147】
上記の第1の実施例と異なるのは、防振による像劣化の判断(判断手段11)にセンサ出力演算手段2の信号ばかりでなく、露光準備手段96の測光情報からのシャッタスピードと防振敏感度設定手段94の焦点距離情報も加味して、より正確な“振れによる像劣化”判断を行っている事と、撮影中の防振停止(像劣化が予想される時)はSW2信号からでは無く、露光開始から露光終了の期間のみ行い、且つ、防振停止前後の像が連続的に連がる構成にして撮影者に不快感を与えない様にしている事である。
【0148】
図3において、判断手段11には、露光準備手段96からの測光(シャッタスピード)情報96aと防振敏感度設定手段94からの焦点距離情報94aが、振動検出手段91の振れ検出センサ信号91aと共に入力されている。そして、図2(d)で説明したしきい値がシャッタスピードと焦点距離に応じて変化する構成にしてある。これは防振精度が悪くてもシャッタスピードが速い、或は焦点距離が短いと像面での劣化は許容内に収る為であり、しきい値はシャッタスピードが速い、或は焦点距離が短い時には高くなり、判断基準を甘くしてなるべく防振の機会を増やしている。
【0149】
判断手段11の出力11cは、入力されるレリーズ手段911のSW2信号911aに応答して像面劣化が予想される時に出力される。この出力11cは目標値切換手段21に入力し、スイッチ21aを端子21cに接続する(端子21cに接続された後は防振が終了する迄スイッチ21aは端子21cに接続された状態を保つ)と共にサンプルタイミング手段1,2(22,23)にも入力し、サンプル信号をサンプルホールド手段1,2(24,25)に与え、入力される目標値設定手段92の目標値出力92cをサンプリングする。
【0150】
このサンプル信号はサンプルタイミング手段1ではSW2(つまり出力11c入力時)から露光開始(露光手段913より入力されるシャッタ開閉の信号出力913aよりタイミングをとる)迄出力され、サンプルタイミング手段2ではSW2出力911aの信号から露光終了(出力913aの信号)迄このサンプリング信号を出力する。そのため、SW2から露光開始迄はサンプルホールド手段1,2(24,25)とも入力される信号92cをそのまま出力(24a,25a)し、出力24aは目標値連続手段26の端子26b,スイッチ26aを介し信号26dとして端子21cに入力され、スイッチ21aを介して信号21dとして補正駆動手段97に入力し、防振を行わせる。
【0151】
尚、目標値連続手段26は、サンプルタイミング手段2(23)が露光終了信号23bを出力した後防振を終了する迄、スイッチ26aを端子26cに接続し、通常はスイッチ26aを端子26bに接続している。
【0152】
次に露光が開始されると、出力22aはホールド信号を出力し、サンプルホールド手段1(24)は信号92cをホールドし、この出力24aは端子26b,スイッチ26a,信号26d,端子21c,スイッチ21aを介し信号21dとして補正手段910を露光開始の位置にホールドする〔図4(b)のA〕。ここで、図2(e)ではSW2開始で制御目標値がゼロになる為、この時点で補正手段910がゼロ点に移動し、フレーミング変更を生じてしまうが、図4(b)では制御目標値が露光開始位置に固定されるため、フレーミング変更は生じない。又、ホールドされた信号24aは信号25a〔サンプルホールド手段2(25)は未だサンプリング中の為信号92cと同じ〕との差を差動手段27で求めており、露光終了時に信号25aがホールドされると差動手段27の信号27aは図4(b)の差出力δを求める事になる。
【0153】
そして、この差出力δを目標値92cと加算手段28で加算すると、その出力28aは図4(b)の28aの様に今迄ホールドされていた点から連続的に目標値を出力する。この信号28aは端子26cスイッチ26a(この時点で目標値連続手段のスイッチは切換られる)信号26d,端子21c,スイッチ21aを介し信号21dとして補正駆動手段97に入力して防振を再開する。この為、補正手段910は今迄ホールドされていた位置から連続的に防振を再開する為、この時のフレーミング変更も生じない。
【0154】
以上の様に第2の実施例においては、判断の為にシャッタスピード焦点距離も加味される為、より正確な判断が行え、又、実際の露光時のみ、フレーミング変更無しに防振停止,防振再開を行える為、撮影者に不快感を与えない。
【0155】
(第3の実施例)
図5は本発明の第3の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図1等と同じ部分は同一符号を付してある。
【0156】
上記第1,第2の実施例と異なるのは、判断手段11の判断の方法と防振停止後のフレーミング制御(補正手段の位置の制御)方法である。
【0157】
図5において、判断手段11には振動検出手段91の振れ検出センサの出力では無く、レリーズ手段911のSW1信号911bが入力されている。そして、判断手段11はSW1信号入力から一定時間(入力されるシャッタスピード96a,焦点距離情報94aにより可変)は信号11cを出力する。図6(a)に示される〔図2(c)と同様に〕様に振れ検出センサは始動(SW1信号、或は防振切換手段912オンで始動)してからその信号のオフセットの過渡状態を示す。そして過渡状態によるエラー(立上がりエラー)は始動からt0 時間生じており、この時間は大体一定している。そして、時間経過とともにこのエラーは収っていく。そのため、第1,第2の実施例の様に振れ検出センサの出力を見なくとも始動からの時間だけでエラー量を推定する事が出来る。
【0158】
又、このエラー量は上述した様に時間とともに収ってゆく為、シャッタスピードが速い時、又は、焦点距離が短い時、或はそれらの積が一定以下の時には振動検出センサの始動からの時間が短くても像劣化は少ない。よって、判断手段11は振動検出手段91の始動から一定時間(シャッタスピード焦点距離、或はそれらの組合わせで可変)内で、且つ、SW2信号911aが入力した時に像劣化信号11cを出力する。この出力11cにより、図4(b)と同様な方法で露光中には防振を停止する訳であるが、図3と異なるのは、目標値切換手段21の信号21dは直接補正駆動手段97に入力されず、目標位置制御手段31,目標位置変更手段32、及び、目標位置切換手段33に入力される。目標位置制御手段31には焦点距離情報94aも入力しており、信号21dが一定値(焦点距離情報により可変で、例えば焦点距離が短い時は一定値は小さくなる)以上の時信号31aを出力する。これは信号21dが一定値以上(つまり、補正手段910の位置が中心から大きく外れてゆく時)で、例えば焦点距離が短い時は光学性能が満足されない場合があり、それを回避する為である。
【0159】
図4(b)で示した様に、露光終了と共に再防振を防振が停止していた点より連続的に始める訳であるが、防振停止の位置が中心からズレていたとき、再防振時の目標値はゼロから大きくずれる(つまり、補正手段910は中心から大きくズレた位置で駆動される)。この時、焦点距離との関連で光学性能が劣化する可能性が生じて来る。
【0160】
その様な時、信号31aが出力し目標値切換手段33に入力される。目標値切換手段33には信号23bも入力しており、像劣化が生じると判断され、露光が終了し、且つ補正手段910が中心からズレて駆動される時にはスイッチ33aを端子33bに接続し、通常は端子33cと接続している。その為、通常時は信号21dはスイッチ33aを介して補正駆動手段97に入力しているが、信号23b,31aが出力(つまり、振動検出手段が不安定、且つ焦点距離が短く、又露光終了後も補正手段が中心から大きくズレて駆動される場合)すると、信号21dは目標位置変更手段32,スイッチ33aを介して補正駆動手段97に入力される。目標位置変更手段32は信号21dとそのサンプルホールド回路32bの差信号32cを出力しており、サンプルホールド回路32bはサンプル中の時の信号32cはゼロである。しかし、サンプルタイミング手段2(23)が露光終了になり、ホールド信号23aがサンプルホールド回路32bに入力されると信号21dはホールドされ、その時点より信号32cはゼロから連続的に目標値信号32cを出力する〔図6(d)参照〕。
【0161】
よって、例えば同じ様な振れ状態であっても焦点距離によって補正手段910は異なる制御が行われ、例えば焦点距離が長い時は図4(b)と同様に制御されるが、焦点距離が短くなると、図6(d)の様に露光終了時に目標値をゼロから再スタートさせ、補正手段は中心から再防振を行い光学性能の劣化を防ぐ。
【0162】
以上の第3の実施例においては、判断手段11は振動検出手段91の出力を必要としない分回路を簡素化出来、又、焦点距離や補正手段の位置に伴う光学性能の劣化も防止する事が出来る。
【0163】
(第4の実施例)
図7は本発明の第4の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図1等と同じ部分は同一符号を付してある。
【0164】
上記第1〜第3の実施例は、防振不安定の時、露光中は防振しない例であったが、この第4の実施例は、防振を一時停止していても露光中は防振を行う例である。
【0165】
防振を一時的に停止してパン,フレーミングの操作性を向上させる考え方は以前より有る。しかしながら、この様な一時停止操作を行う場合必ず生じる問題として“その解除忘れ”が有る。即ち、防振一時停止操作を行った後、撮影を行う時、その解除を忘れ、防振の効いていない写真になってしまう問題があった。
【0166】
図7においては、防振一時停止の為に撮影者が操作するはね返りスイッチ(以下、第2のスイッチ手段)42(図9参照)の防振一時停止信号42aは論理積手段2(46)のアンドゲード46aに入力しており、又、レリーズ手段911のSW2信号911aも露光時防振中止手段45のスイッチ45a〔通常時は閉じており、図9に示すスライドスイッチ(第4のスイッチ手段44)がオンの時のみ開放される〕を介し論理積手段2(46)のインバータ46bからアンドゲード46aに入力される。その為、論理積手段2(46)は第2のスイッチ手段42のオン、且つ信号911aの無い時(SW2操作を行っていない時)は信号46cを出力し、SW2操作を行っているとその出力を止める。
【0167】
但し、第4のスイッチ手段44が操作されている場合に限り、SW2信号に関係なく信号42aにより信号46cは出力する。
【0168】
尚、露光時防振中止手段45には第1の実施例で説明した判断手段11の信号11cも入力されており、振動検出手段91が不安定の時は信号11cが出力され、露光時防振中止手段45のスイッチは開放される。つまり、第4のスイッチ手段44が操作されていなくても第2のスイッチ手段42が操作されると、信号46cは出力を続ける。
【0169】
信号46cは防振一時停止手段41のスイッチ41aを開放し、遅延手段93の信号93aの目標値設定手段92のサンプルホールド回路92bへの入力を断つ。
【0170】
以上の様な構成において、その動作を場合に分けて説明する。
【0171】
1)第4のスイッチ手段がオフ,振動検出手段が安定(信号11c出力していない)時
防振中に第2のスイッチ手段42を操作すると、信号46cが出力しサンプルホールド回路92bはサンプル状態になり、目標値92cはゼロになる〔図8(b)のA〕。次にこの状態でレリーズ手段911のSW2操作を行うと、信号46cはこの操作中出力を止め、サンプルホールド回路92bは再びホールド状態になり、目標値92cはゼロから連続的に出力して再防振を行う〔図8(b)のB〜C)。この後、SW2操作を止めると再び防振は止まり、第2のスイッチ手段42の操作を止めると、再び防振する。
【0172】
よって、防振一時停止の解除を忘れても、撮影中は防振は行われる。
【0173】
2)第4のスイッチ手段がオン,振動検出手段が安定時
第4のスイッチ手段は撮影中にも防振を止めたい時のロックスイッチの役割を果たしており、このスイッチの操作のみでは防振は停止されない。ここで第2スイッチ手段42を防振中に操作すると、図8(b)のAと同様に防振は停止されるが、SW2期間も信号46cは出力を継続(スイッチ45a開放の為)するので、図8(b)のB〜Cの区間も防振を行わない。
【0174】
3)第4のスイッチ手段がオフ,振動検出手段が不安定時
この場合も図8(b)のB〜Cの区間で信号46cは出力を継続し防振は行わない。これは防振が精度良く行われない状態である為に防振を行わない状態にする。
【0175】
以上の様に第4の実施例においては、防振一時停止の操作ミスにより撮影中にも防振が行われない問題を防ぐと共に、撮影者が撮影中に防振を止めたいモード(第4のスイッチ手段のオフ)及び防振が精度良く行われない場合には第2のスイッチ手段42の操作時には防振を止める事で操作性を向上させている。
【0176】
又、図7からわかる様に、防振一時停止を行う時には、第1の実施例と同様に補正手段910は係止手段914には係止されず電磁的に固定されている。その為、露光中にすぐに防振を再開出来るメリットが生れる。
【0177】
(第5の実施例)
図10は本発明の第5の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図1等と同じ部分は同一符号を付してある。
【0178】
上記第4の実施例と異なるのは、第2のスイッチ手段42と第4のスイッチ手段44が図11に示すように一体(スイッチ手段51)となっており、半押しで第2のスイッチ手段が信号51aを出力し、更に押込むと第4のスイッチ手段も信号51bを出力する構成になっている事である。又、判断手段11には第2の実施例と同様に焦点距離信号94aとシャッタスピード信号96aも入力しており、防振による像精度を更に性格に判断している。
【0179】
この様に第2,第4のスイッチ手段が一体になっている事で、操作性がより向上し、又、防振一時停止手段(第2のスイッチ手段)を操作し、露光中に防振が止るのは第4のスイッチ手段も操作しているか、信号11cが出力している時であるが、信号11cは第4の実施例によりより正確に防振不安定時の像劣化量を検出している為、防振による像劣化量が少ない時にも防振を止めてしまう事は無くなる。
【0180】
この第2,第4のスイッチ手段と判断手段は他にも様々な構成が考えられ、図12,図13の様に、第2,第4のスイッチ手段52は同一のスライドスイッチで構成され、第1の方向52dに操作すると第2のスイッチ手段の信号52aが出力し、第2の方向52cに操作すると第4のスイッチ手段の信号52bも出力する構成にしても良く、この場合、単に防振を一時的に停止したい時には第1の方向52dにスライドスイッチを操作し、露光中も防振を止めたい時は第2の方向52cに操作すれば良い。スライドははね返り形式でもクリック形式でも良い。
【0181】
判断手段11は、図12に示す様に、レリーズ手段911のSW1信号911bが入力されてから一定時間の間は信号11cを出力し〔図5で述べた様に、この間は振動検出手段91の出力が不安定な為〕、この間は防振一時停止を行うと露光中も防振を止める構成にしても良い。
【0182】
また、図14の様に、判断手段11はレリーズ手段911のSW1信号911b出力から一定時間信号11cを出力させるが、この時間を図5と同様に焦点距離信号94aとシャッタスピード信号96aで可変にして、像精度の判定をより正確にしても良い。
【0183】
第2,第4のスイッチ手段は、図15に示す様に、はね返り式のレバー53で構成し、第1の方向53dに操作すると信号53aのみ出力し、第2の方向53eに操作すると信号53bも出力する構成にしても良い。
【0184】
尚、図7〜図13までの実施例においては、第4のスイッチ手段が操作されず、又、防振精度が高い時はSW2信号911a出力中は防振を行う構成にしているが、露光終了後もSW2信号を押し続けている時に第2のスイッチ手段を操作しているのにもかかわらず防振が行われているのは不自然である。
【0185】
よって、図14に示す実施例では、SW2信号911aが出力しても露光終了後は防振を止める(第3のスイッチ手段を操作している時)構成にしている。
【0186】
図14において、露光時防振中止手段45には露光手段913のシャッタ閉後の露光終了信号913aもリセット手段54を介して入力しており、この入力によりスイッチ45aは開放され、よって防振は再び中止される〔図16(b)参照〕。
【0187】
ここで、リセット手段54には給送モード切換手段55からの信号55aが入力しており、連写モード時にはスイッチ54aが開放される。つまり、露光終了後も防振を継続する。これは連写モードの時にはSW2信号911aが発生している間は連続して露光が行われる為、2度目以降の露光では露光中の防振が行われない事を防ぐためである。
【0188】
以上説明した様に、図7〜図15においては、誤って露光中も防振一時停止操作を継続していた場合でも、露光中は防振する為像劣化は生じない。又、露光中も防振を止めたい時の専用のスイッチ手段を設けた為、撮影者の意志を優先させる事も出来る。
【0189】
更に、防振精度が悪い時には防振一時停止を行っていると露光中も防振を止める。つまり、防振一時停止操作を行うと、防振精度により露光中に自動的に防振をオン,オフするモードになる事になり、撮影者は安心して撮影を行う事が出来る。
【0190】
(第6の実施例)
図17は本発明の第6の実施例に係る防振制御装置の構成を示すブロック図であり、図1等と同じ部分は同一符号を付してある。
【0191】
この実施例では、防振中で且つ露光中に誤って防振システムをオフにしても、露光中は防振を継続して振れによる像劣化を防ぐことを目的としている。
【0192】
図17において、露光手段913のシャッタ開閉信号(つまり露光信号)913aは露光中出力し、禁止解除手段61のスイッチ61aを介して信号61cとして論理積手段99に入力しており、論理積手段99はこの入力61cの間、その信号99aをホールドする。即ち、露光中は論理積手段99の信号99aは変化しない。よって、露光中に防振切換手段912を切る或はレリーズ手段911のSW1信号911bをオフしても防振は継続され、像劣化は生じない。
【0193】
又、判断手段11は第1の実施例と同様に防振が不安定のときは信号11cを禁止解除手段61に出力し、スイッチ61aを開放する。そのため、防振不安定時には信号61cは出力せず露光中に防振オフを行うことが出来る。これは防振不安定時には防振を撮影者が止めたいと考えることがあり、その様な時には撮影者の意志を優先させる構成になっている。
【0194】
尚、この様に露光中に防振を止める際にはその時点で補正手段910が駆動を止めるが、ここで補正手段910が光軸中心に位置させて駆動を止めると、像飛びが生じ、像劣化となってしまう。
【0195】
図18(d)に示す様に、補正手段の動作が露光期間中に止り、中心に戻ると、δだけのズレが生じ、このズレ分像振れになってしまう。そこで、図18(b)に示す様に、露光期間に防振を止める時〔図18(b)では露光と同時に防振オフ操作を行ったと想定〕には、その直前の位置に露光終了迄補正手段910を固定し、露光終了後に中心に戻す構成にするが、この時、図18(b),(c)に示す様に露光終了後、ミラー駆動終了迄の間に補正手段910を中心に戻す動作を行わせる。何故ならば、ミラー駆動終了後に補正手段910を中心に戻すと、撮影者がファインダを通してその動作を知る事になり、不快であるためである。
【0196】
以上の様に防振オフ時にその位置に補正手段910を固定し、露光終了後中心に戻す回路構成にしたのが、図19である。
【0197】
図19において、判断手段11には焦点距離信号94aとシャッタスピード信号96aも入力しており、より正確な像劣化の判断を行っている。論理積手段2(62)のアンドゲート62aには信号11cと信号911a及び防振切換手段912の信号912aのインバート信号(反転信号)が入力している。よって、論理積手段2(62)は防振不安定時で、且つ、露光(SW2操作)時に防振オフ操作をした時に信号62bを出力し、この信号62bはサンプルホールド手段63に入力し、目標値設定手段の目標値信号92cをホールドする。
【0198】
目標値切換手段64は信号62b入力時にはスイッチ64aを端子64cに接続し、通常は端子64bに接続している。又、端子64cに接続されたスイッチ64aは露光手段913のシャッタ開閉間の信号913aも入力しており、上記端子64cとスイッチ64aの接続はこの間にのみ行われる。そのため、通常は信号92cはスイッチ64aを介して補正駆動手段92に入力され、防振を行っているが、防振不安定、且つ露光時防振オフ操作を行った時には、その時点の目標値信号をホールドし(サンプルホールド手段63により)、スイッチ64aを介して補正駆動手段92に入力し、その位置で補正手段を止める。
【0199】
この時、論理積手段1(99)は信号913aによりホールドされている為、補正起動手段98のスイッチは開放されることはなく、補正手段910は上述した位置に電磁的に安定制御され、又、係止手段914も補正手段910を係止しない。そして、露光が終ると信号913aが出力しなくなる為、論理積手段1(99)は出力を止め(防振切換手段912がオフ操作されている為)、係止手段914は補正手段910を中心位置で係止する。この動作は露光終了から直に行われ、ファインダ像消滅中(ミラーアップ状態)で終了する為、撮影者はフレーミングの変化を煩わしく思う事は無い。
【0200】
又、図20に示す様に、防振切換手段912のスライドスイッチ912bを操作し、且つはね返り式の防振スイッチ65bを押した時のみ防振が作動し、レリーズ手段911のレリーズスイッチ911cと無関係に防振が行われるシステムの場合においても、露光中に誤ってスイッチ65bを離してしまう事がある。
【0201】
その様な時も図19と同様な構成にすれば良く、図21と図19との違いは、防振スイッチ65のオン信号65aがインバートされ、アンドゲート62aに入力されている点であり、防振スイッチ65をオフして、露光時に防振不安定時のみ補正手段910を止めて、通常は露光手段913の信号913aが露光中は論理積手段1(99)をホールドするため、露光時に防振がオフになることは無い。
【0202】
防振切換手段912も無く、図22に示す様に防振スイッチ手段65bを操作するだけで防振を行うシステムの場合にも、図21と同様な構成で行える。この時の回路構成を図23に示す。
【0203】
図23において、防振スイッチ手段65の信号65aはサンプルホールド手段2(66)に入力しており、サンプルホールド手段2は通常サンプリングを行っている為に防振スイッチ手段操作とともに起動指令を出力し防振を行い、露光手段913のシャッタ開閉の信号913aがサンプルホールド手段2に入力した時のみサンプルホールド手段2はホールド状態になり、防振スイッチ手段の操作を受付けない構成にしている。
【0204】
次に、防振システム起動の特別なスイッチ手段が無く、レリーズ手段半押しSW1で常に防振システムが起動する構成の場合でも、露光中にレリーズ手段を離してしまうと防振が止ってしまう。この様な場合にも露光中に防振オフを行わせない構成にする事が重要であり、この場合の回路構成を図24に示す。
【0205】
図24において、アンドゲート62aにはSW1信号のインバート信号(防振オフ)が入力しており、このとき防振不安定ならば補正手段をその位置で固定し、防振安定のときには信号913aがサンプルホールド手段2(66)をホールドする為防振オフにはならない。
【0206】
次に、図25,図26の様に、図24のシステムに防振一時停止手段スイッチ67bが付いていて、露光中に防振を止める操作を行った時(防振一時停止手段67の操作時)防振が不安定ならば論理積手段2(62)が出力(防振不安定、且つ、防振一時停止手段67,SW2操作時)して防振を一時止める(撮影者の意志を優先)構成にして、撮影者が防振が安定していないと判断した時に防振一時停止手段67を操作し、判断手段により像劣化量を判断させて防振オン,オフを自動的に制御させてもよい。
【0207】
尚、図26の構成と図7の構成との大きな違いは、図7では露光前に第2のスイッチ手段42を操作しても防振安定の場合は露光中は防振を再開するのに対し、図26では露光前に防振一時停止手段67を操作したら防振安定でも防振は行わず、露光中に操作した時のみ、防振安定を判断して防振を継続するか否か決定する点である。
【0208】
その為、とっさの時の操作が極めて簡単で、操作性が向上する。
【0209】
以上の第6の実施例においては、防振中に誤って防振オフ操作(防振メインスイッチオフ,防振はね返りスイッチを離してしまう,SW1を離してしまう)を行ってしまっても、防振は継続される為に、それによる像劣化が生ずることはない。
【0210】
又、防振システム不安定のときには上記操作で防振を連続的に止める(防振最期の位置に補正手段を電磁的に固定)為、防振オフによる像劣化(像飛び)は生じず、且つ、ファインダ消滅中に補正手段は中心位置に戻り係止される為、撮影者に不快感を与えることは無い。
【0211】
以上の各実施例によれば、防振開始後、防振不安定時に露光が行われる時は防振を止める事で、防振不安定による像劣化を防ぐことが出来る。
【0212】
また、防振一時停止手段を操作したまま露光を行ってしまった場合でも、露光中には防振を行い、振れによる像劣化を防ぐことが出来る。
【0213】
更に、露光中誤って防振オフ操作を行ってしまっても、露光中には防振を継続させ、誤操作による像劣化を未然に防ぐことが出来る。
【0214】
(変形例)
本発明は、振動検出手段としては、角加速度計、加速度計、角速度計、速度計、角変位計、変位計、更には画像振れ自体を検出する方法等、振れが検出できるものであればどのようなものであっても良い。
【0215】
本発明は、クレームまたは実施例の各構成または一部の構成が別個の装置に設けられていてもよい。例えば、振動検出手段がカメラ本体に、補正手段等が前記カメラに装着されるレンズ鏡筒に、それらを制御する防振制御手段が中間アダプタに設けられていてもよい。
【0216】
本発明は、補正手段として、光軸に垂直な面内で光学部材を動かすシフト光学系や可変頂角プリズム等の光束変更手段や、光軸に垂直な面内で撮影面を動かすもの、更には画像処理により振れを補正するもの等、振れが防止できるものであればどのようなものであってもよい。
【0217】
また、本発明は、一眼レフカメラ,レンズシャッタカメラ,ビデオカメラ等の何れのカメラにも適用可能である。
【0218】
更に、本発明は、以上の各実施例、又はそれらの技術を適当に組み合わせた構成にしてもよい。
【0219】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、適切な振れ補正がなされるのを待った為にシャッタチャンスを逃してしまうということを防止し、且つ、防振不安定による像劣化を防ぐと共に、振れ補正動作再開の応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における防振制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1の振れ検出センサの出力について説明する為の波形図である。
【図3】本発明の第2の実施例における防振制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】図3の補正手段の露光時の制御位置について説明する為の波形図である。
【図5】本発明の第3の実施例における防振制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図6】図5の補正手段の露光時の制御位置について説明する為の波形図である。
【図7】本発明の第4の実施例における防振制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施例における防振制御装置において防振一時停止時について説明する為の波形図である。
【図9】本発明の第4の実施例における防振制御装置を具備したカメラの斜視図である。
【図10】本発明の第5の実施例における防振制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第5の実施例における防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図12】本発明の第5の実施例における防振制御装置の他の第1の例の構成を示すブロック図である。
【図13】図12の防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図14】本発明の第5の実施例における防振制御装置の他の第2の例の構成を示すブロック図である。
【図15】図14の防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図16】図14の防振制御装置において防振一時停止時について説明する為の波形図である。
【図17】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の例の構成を示すブロック図である。
【図18】図17の防振制御装置において露光期間及びミラー駆動期間について説明する為の波形図である。
【図19】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の第1の例の構成を示すブロック図である。
【図20】図19の防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図21】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の第2の例の構成を示すブロック図である。
【図22】図20の防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図23】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の第3の例の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の第4の例の構成を示すブロック図である。
【図25】図26の防振制御装置を具備したカメラの一例を示す斜視図である。
【図26】本発明の第7の実施例における防振制御装置の他の第5の例の構成を示すブロック図である。
【図27】従来の防振装置の概略構成を示す機構図である。
【図28】図27の補正手段の具体的な構成例を示す分解斜視図である。
【図29】図28の補正光学手段の駆動制御系を示す図である。
【図30】図29の各回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図31】図28に示す係止手段の構成を示す図である。
【図32】従来の防振装置を具備したカメラの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 判断手段
12 防振一時停止手段
14 論理積手段2
22,23 サンプルタイミング手段1,2
24,25 サンプルホールド手段1,2
26 目標値連続手段
27 差動手段
28 加算手段
31 目標位置制御手段
32 目標位置変更手段
33 目標位置切換手段
41 防振一時中止手段
45 露光時防振中止手段
42 第2のスイッチ手段
44 第4のスイッチ手段
55 給送モード切換手段
61 禁止解除手段
64 目標値切換手段
65 防振スイッチ手段
Claims (2)
- 撮影準備動作に応答して作動し、撮影レンズの光軸の振れを補正する補正手段と、該補正手段を電磁的に駆動して振れ補正を行わせる補正駆動手段と、前記補正手段を係止、係止解除させ、係止状態、係止解除状態を機械的に保持する係止手段とを備えた防振制御装置において、前記補正手段の作動により適切な振れ補正が可能であるか否かを判断する判断手段と、該判断手段により露光中に適切な振れ補正が不能であることが判断されている場合には、前記補正手段により露光前までは振れ補正を行っていた状態でも露光時には、前記補正手段による振れ補正は行わず、且つ前記補正手段を前記係止手段にて係止されない状態で前記補正駆動手段により電磁的に所定の位置に安定させておく防振制御手段とを設けたことを特徴とする防振制御装置。
- 前記補正手段を安定させておく所定の位置は、露光開始時の位置であることを特徴とする請求項1記載の防振制御装置。
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