JP3566158B2 - エコーキャンセラ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は近端話者と遠端話者が伝送路を経由して通話を行うシステムにおいて、近端話者側で発生するエコーを抑圧するエコーキャンセラ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10は例えば特開平10−242891号公報に示された、従来のエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。図において、1は受信信号、2は送信信号、3は第一適応フィルタ手段、4は第一減算手段、5は第二適応フィルタ手段、6は第二減算手段、7は適応フィルタ制御手段、8はフィルタ選択手段、9はタップ係数メモリ手段、10は擬似エコー生成手段、11は第三減算手段、12,13は遅延手段、14はエコーキャンセラ出力信号である。
【0003】
次に動作について説明する。
このように構成された従来のエコーキャンセラ装置は、第一タップ係数、第二タップ係数、および第三タップ係数を持っている。第一タップ係数は第一適応フィルタ手段3で第一収束係数を用いて毎サンプルごとに更新される。そして同時に、第一適応フィルタ手段3は、この第一タップ係数と受信信号1を用いて第一擬似エコー信号を生成し、それを第一減算手段4に出力する。第一減算手段4は送信信号2からこの第一擬似エコー信号を減算して第一誤差信号を生成し、適応フィルタ制御手段7に出力する。なお、第一適応フィルタ手段3のタップ係数の更新には、以下の式(1)が用いられる。
【0004】
【0005】
ここで、上記式(1)において、kはタップの番号(k=0,1,…,N)、jはj時点であり、Hk,jはkタップのj時点でのタップ係数、Hk,j+1はkタップのj+1時点でのタップ係数、つまり次のサンプル時点のタップ係数を示す。また、E1jはj時点での誤差信号であり、Xj−kはj−k時点での受信信号1である。μは収束係数と呼ばれる収束速度を決定するためのパラメータであり、この収束係数μを大きくすると収束速度が速くなり、小さくすると収束速度が遅くなる。なお、式(1)中のαは次の式(2)で与えられる。
【0006】
【数1】
【0007】
第二タップ係数は、第二適応フィルタ手段5において、第一収束係数より小さい第二収束係数で上記式(1)を用いて、第一適応フィルタ手段3の場合と同様に毎サンプルごとに更新される。そして同時に、第二適応フィルタ手段5は、この第二タップ係数と受信信号1とを用いて第二擬似エコー信号を生成し、それを第二減算手段6に出力する。第二減算手段6はこの第二擬似エコー信号を送信信号2から減算して第二誤差信号を生成し、それを適応フィルタ制御手段7に出力する。
【0008】
また、第三タップ係数は、上記第一タップ係数と第二タップ係数、およびタップ係数メモリ手段9からの第三タップ係数のいずれかから、フィルタ選択手段8によって選択されたタップ係数を持つ。この第三タップ係数はタップ係数メモリ手段9に送られて保持される。
【0009】
なお、適応フィルタ制御手段7は、第一誤差信号と第二誤差信号、および受信信号1と送信信号2を入力し、タップ係数更新周期であるMサンプルごとに、Mサンプル間の各信号の平均パワーを算出し、以下に示す式(3)から式(6)とその条件判断によって、第一タップ係数、第二タップ係数、および第三タップ係数のいずれを選択するかの情報をフィルタ選択手段8へ出力する。
【0010】
X<p1 ...... (3)
S>p2×X (ただし、p2≦0.5) ...... (4)
p3×|E1| < |E2| ...... (5)
p4×|E2| < |S| ...... (6)
【0011】
なお、上記式(3)から式(6)においては、送信信号2のレベルをS、受信信号1のレベルをX、第一誤差信号のレベルをE1、第二誤差信号のレベルをE2としている。また各式中のp1からp4は所定の定数であり、これらは使用環境に応じて決定される。
【0012】
ここで、上記式(3)から式(6)を用いたタップ係数の選択条件は以下の通りである。
条件[1]:式(3)が成立した場合、または式(3)が不成立で式(4)が成立した場合、第三タップ係数を選択する。
条件[2]:式(3),式(4)がともに不成立で、かつ式(5)が成立した場合、第一タップ係数を選択する。
条件[3]:式(3),式(4),式(5)が全て不成立で、かつ式(6)が成立した場合、第二タップ係数を選択する。
条件[4]:式(3)から式(6)の全てが不成立の場合、第三タップ係数を選択する。
【0013】
次に、擬似エコー生成手段10では、上記フィルタ選択手段8で選択されてタップ係数メモリ手段9に保持されたタップ係数と、遅延手段13で遅延させた受信信号1とを用いて第三擬似エコー信号を生成し、それを第三減算手段11に出力する。第三減算手段11では、遅延手段12で遅延させた送信信号2からこの第三擬似エコー信号を減算し、それをエコーキャンセラ出力信号14として出力する。
【0014】
なお、このようなエコーキャンセラ装置に関する記載がある文献としては、この他にも、例えば特開平9−148965号公報、特開平9−181653号公報などがある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来のエコーキャンセラ装置は以上のように構成されているので、以下に述べるような課題があった。
【0016】
式(4)に含まれる定数p2の値は、使用するエコーパスの環境に応じて予め決定しておく必要があり、従来のエコーキャンセラ装置の適応フィルタ制御手段7はこの所定の定数に応じたエコーパス環境のみにしか対応できない。
【0017】
第一適応フィルタ手段3および第二適応フィルタ手段5はタップ係数を毎サンプルごとに必ず更新しているため、受信信号1、送信信号2ともに入力がない時や、送信信号2のみ入力されている時、あるいはダブルトーク時には、第一適応フィルタ手段3および第二適応フィルタ手段5の双方のタップ係数が劣化してしまい、ダブルトーク時においては、その劣化の程度によっては第一誤差信号のレベルが第二誤差信号のレベルを下回る可能性があり、そのような場合には上記条件[2]が成立し、誤って劣化した第一タップ係数が選択されて、劣化したタップ係数を保持するタップ係数メモリ手段9と擬似エコー生成手段10から出力される擬似エコー信号は、エコーを消去するための信号とは異なるものとなり、エコーを消去するだけでなくエコーを増幅させてしまう可能性がある。
【0018】
タップ係数更新周期であるMの値を小さくすると、その区間中におけるタップ係数の更新の回数が少ないため、第一タップ係数と第二タップ係数の推定の精度にほとんど差が現れず、送信信号2と第一誤差信号と第二誤差信号のレベルに差が現れないため、上記条件[2]あるいは条件[3]を満たせなくなって、常時条件[4]が選択されて、タップ係数の推定が進まない可能性があり、それを回避するために、上記Mとしてある程度の大きな値をとると、エコーキャンセラ出力信号14の遅延時間が長くなって、その遅延により遠端側の話者が通話時に違和感を感じる可能性が生じ、また遅延時間が長くなるとその遅延信号を保持するためのメモリ量も大きくなって、遅延手段12,13の回路規模が大きくなる。
【0019】
第一適応フィルタ手段3および第二適応フィルタ手段5とタップ係数メモリ手段9の3箇所で、タップ係数を保持しておく必要があるため、長いタップ係数を必要とするエコーキャンセラ装置においては、タップ係数を保持するためのメモリ量が大きくなって回路規模が大きくなる。
【0020】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、使用環境に依存しないエコーキャンセラ装置を提供しながらも、エコー消去性能の劣化をなくし、エコーキャンセラ出力信号に遅延時間を持たせることがなく、かつ回路規模を大きくすることのないエコーキャンセラ装置を得ることを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数の更新の有無を第一適応フィルタ更新制御手段によって制御して第一擬似エコー信号を、また第二適応フィルタ手段の第二タップ係数の更新の有無を第二適応フィルタ更新制御手段によって制御して第二擬似エコー信号を生成し、その第一適応フィルタ手段からの第一擬似エコー信号を減算入力とする第一減算手段から出力される第一誤差信号をエコーキャンセラ出力信号とし、第二適応フィルタ手段からの第二擬似エコー信号を減算入力とする第二減算手段から出力される第二誤差信号、上記第一減算手段からの第一誤差信号、受信信号、送信信号、および上記第二適応フィルタ手段で推定した第二タップ係数を適応フィルタ選択手段に入力し、この適応フィルタ選択手段にて、送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、および受信信号のレベル関係に応じて、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を入力された第二タップ係数に置き換えるようにしたものである。
【0022】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、受信信号と第一誤差信号を入力とする第一適応フィルタ手段で、所定のタップ係数更新アルゴリズムによる第一タップ係数の更新を行い、その第一タップ係数を用いて第一擬似エコー信号を生成するとともに、受信信号と第二誤差信号を入力とする第二適応フィルタ手段で、第一適応フィルタ手段で用いたものとは異なるタップ係数更新アルゴリズムによる第二タップ係数の更新を行い、その第二タップ係数を用いて第二擬似エコー信号を生成するようにしたものである。
【0023】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数の更新と、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数の更新とで、互いに異なったタップ係数更新アルゴリズムとフィルタ更新制御手段を用いるようにしたものである。
【0024】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、適応フィルタ選択手段に第一タップ係数も入力し、その適応フィルタ選択手段に、送信信号と第一誤差信号と第二誤差信号と受信信号のレベル関係に応じて、入力された第二タップ係数による第一適応フィルタ手段の第一タップ係数の置き換え、もしくは入力された第一タップ係数による第二適応フィルタ手段の第二タップ係数の置き換えを行う機能を持たせたものである。
【0025】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を入力された第二タップ係数によって、もしくは第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を入力された第一タップ係数によって置き換える際に、線形的な補間方法を用いてその置き換えを行う機能を、適応フィルタ選択手段に持たせたものである。
【0026】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、誤差信号緩衝制御手段が判定結果に基づいて第一乗算係数と第二乗算係数を生成し、その第一乗算係数を第一乗算手段にて第一減算手段からの第一誤差信号に、第二乗算係数を第二乗算手段にて第二減算手段からの第二誤差信号にそれぞれ乗算し、第一乗算誤差信号と第二乗算誤差信号とを生成して加算手段に入力し、それら両信号の和をエコーキャンセラ出力信号として出力するようにしたものである。
【0027】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段との間で、第一タップ係数更新用の収束係数の値と、第二タップ係数の更新用の収束係数の値に違いを持たせるようにしたものである。
【0028】
この発明に係るエコーキャンセラ装置は、第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段との間で、それらが持つ第一タップ係数の長さと第二タップ係数の長さを、互いに異なる値に設定するようにしたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。図において、101は遠端話者側の音声が伝送路(図示省略)を経由して近端話者側に送られてくる受信信号である。102は遠端話者側に近端話者側から送られる音声に、受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号が重畳された送信信号である。
【0030】
また、103はこの受信信号101と後述する第一減算手段からの第一誤差信号を入力とし、後述する第一適応フィルタ更新制御手段の判定結果によって第一タップ係数の更新の有無が制御され、かつその第一タップ係数を用いて第一擬似エコー信号を生成する第一適応フィルタ手段である。104は送信信号102を加算入力に、第一適応フィルタ手段103からの第一擬似エコー信号を減算入力にそれぞれ入力することで、送信信号102からエコー成分を消去した第一誤差信号を生成し、それをエコーキャンセラ出力信号として出力する上記第一減算手段である。105は受信信号101と後述する第二減算手段からの第二誤差信号を入力とし、後述する第二適応フィルタ更新制御手段の判定結果によって第二タップ係数の更新の有無が制御され、かつその第二タップ係数を用いて第二擬似エコー信号を生成する第二適応フィルタ手段である。106は送信信号102を加算入力、第二適応フィルタ手段105からの第二擬似エコー信号を減算入力にそれぞれ入力することで、送信信号102からエコー成分を消去した第二誤差信号を生成する上記第二減算手段である。
【0031】
107は第一減算手段104の出力する第一誤差信号と、受信信号101および送信信号102とを入力とし、第一タップ係数の更新を行うか否かの判定を行う上記第一適応フィルタ更新制御手段である。108は受信信号101を入力とし、第一適応フィルタ更新制御手段107とは異なる制御方法を用いて、第二タップ係数の更新を行うか否かの判定を行う上記第二適応フィルタ更新制御手段である。109は受信信号101と送信信号102、第一減算手段104より出力された第一誤差信号と第二減算手段106より出力された第二誤差信号、および第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を入力として、送信信号102、第一誤差信号、第二誤差信号、および受信信号101のレベル関係によって、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を、その入力された第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数に置き換える適応フィルタ選択手段である。110は第一減算手段104より出力された第一誤差信号によるエコーキャンセラ出力信号である。
【0032】
次に動作について説明する。
第一適応フィルタ手段103は第一タップ係数を持ち、受信信号101と第一減算手段104の出力結果である第一誤差信号とを入力として、自身が持っている第一タップ係数の更新を行う。ここで、この実施の形態1では、このタップ係数の更新方法については、適応フィルタを用いた適応アルゴリズムとして、例えばLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを使用するものとする。第一適応フィルタ手段103においてはこのLMSアルゴリズムによって、第一タップ係数を近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。この第一適応フィルタ手段103における第一タップ係数の更新は、第一適応フィルタ更新制御手段107の出力する第一タップ係数の更新を行うか否かの判定結果によって制御される。また第一適応フィルタ手段103では、第一タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第一擬似エコー信号を生成する。
【0033】
なお、上記説明においては、LMSアルゴリズムを用いてタップ係数の更新を行う場合について記述したが、カルマンアルゴリズムなどの他の適応アルゴリズムを用いてもよく、上記LMSアルゴリズムを用いた場合と同様の効果が期待できる。
【0034】
また、第一減算手段104は送信信号102を加算入力とし、上記第一適応フィルタ手段103からの第一擬似エコー信号を減算入力として両者の差分を演算し、第一誤差信号を求めて出力する。なお、この第一誤差信号は第一適応フィルタ手段103自身と、第一適応フィルタ更新制御手段107および適応フィルタ選択手段109に入力されるとともに、エコーキャンセラ出力信号110として伝送路(図示省略)に出力される。
【0035】
第二適応フィルタ手段105も同様に、第二タップ係数を持ち、受信信号101と第二減算手段106の出力結果である第二誤差信号を入力として、自身の第二タップ係数の更新を行う。このタップ係数の更新方法については、上記第一適応フィルタ手段103の場合と同様に、例えばLMSアルゴリズムを用いて行われる。この第二適応フィルタ手段105よる第二タップ係数の更新は、第二適応フィルタ更新制御手段108の出力する第二タップ係数の更新要否の判定結果に基づく制御信号によって制御される。なお、この第二適応フィルタ手段105においては、第二タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第二擬似エコー信号を生成する。
【0036】
第二減算手段106においても同様に、送信信号102を加算入力とし、第二適応フィルタ手段105からの第二擬似エコー信号を減算入力として、両者の差分である第二誤差信号を求めて出力する。なお、この第二誤差信号は第二適応フィルタ手段105自身、および適応フィルタ選択手段109に入力される。
【0037】
第一適応フィルタ更新制御手段107では、受信信号101および送信信号102と、第一減算手段104で求めた第一誤差信号とを入力として、第一タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、第一タップ係数の更新の要否を示す制御信号を生成して第一適応フィルタ手段103に出力する。なお、第二適応フィルタ更新制御手段108では、受信信号101のみを入力とし、第一適応フィルタ更新制御手段107とは異なる制御方法によって第二タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、第二タップ係数の更新の要否を示す制御信号を生成して第二適応フィルタ手段105に出力する。
【0038】
適応フィルタ選択手段109は、受信信号101および送信信号102と、第一減算手段104からの第一誤差信号、第二減算手段106からの第二誤差信号、および第二適応フィルタ手段105の持つ第二タップ係数を入力とし、第二タップ係数の推定精度が第一タップ係数のそれに比べてより高いと判断されると、その入力された第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103に出力する。第一適応フィルタ手段103はこの適応フィルタ選択手段109から受け取った第二タップ係数を第一タップ係数へ代入する。
【0039】
以下、第一適応フィルタ更新制御手段107および第二適応フィルタ更新制御手段108と、適応フィルタ選択手段109について詳細に説明する。
ここで、送信信号102には、受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号となって入力されるエコー成分と、近端話者側の音声として入力される近端信号成分の2つの成分が存在する。第一適応フィルタ更新制御手段107および第二適応フィルタ更新制御手段108は、送信信号102にこのエコー成分のみが存在しているか否かを検知するものである。第一適応フィルタ更新制御手段107および第二適応フィルタ更新制御手段108はその検知結果に基づいて、送信信号102においてエコー成分のみが存在する場合には、第一適応フィルタ手段103および第二適応フィルタ手段105による第一タップ係数と第二タップ係数の更新を行う。
【0040】
一方、それ以外の、送信信号102に近端信号成分のみが存在する場合や、エコー成分と近端信号成分の双方がともに存在する場合(ダブルトーク時)には、第一適応フィルタ手段103および第二適応フィルタ手段105での第一タップ係数および第二タップ係数の推定が正しく行われなくなる。そのため、第一タップ係数および第二タップ係数の劣化を招き、エコーを消去するだけでなく、エコーをかえって増幅させてしまう危険性がある。従って、そのような場合には、第一適応フィルタ手段103および第二適応フィルタ手段105における第一タップ係数および第二タップ係数の更新を停止させる。
【0041】
なお、この第一タップ係数および第二タップ係数の更新の停止は、次のように制御される。すなわち、第一適応フィルタ更新制御手段107では、以下に示す式(7)と式(8)の組み合わせを用いて、次の条件[5]あるいは条件[6]で示された選択条件が成立した場合に、第一適応フィルタ手段103における第一タップ係数の、第二タップ係数による更新を停止する。
【0042】
X<p1 ...... (7)
En1×p5>S ...... (8)
条件[5]:式(7)が成立した場合。
条件[6]:式(7)が不成立でかつ式(8)が成立した場合。
【0043】
また第二適応フィルタ更新制御手段108では、上記式(7)のみを用い、条件[5]で示された選択条件が成立した場合に、第二適応フィルタ手段105における第二タップ係数の、第一タップ係数による更新を停止する。
【0044】
ここで、上記式(7)および式(8)において、Sは送信信号102のKサンプル間の平均パワーレベル、Xは受信信号101のKサンプル間の平均パワーレベル、En1は第一誤差信号のKサンプル間の平均パワーレベルであり、p1とp5は所定の定数である。
【0045】
なお、この第一適応フィルタ更新制御手段107で用いる式(8)の定数p5の値は、「従来の技術」の欄で説明した式(6)の定数p4の値よりも大きいものに設定しておく。ここで、第一タップ係数の推定が十分でない初期推定時や、エコーパスが変動して推定すべき第一タップ係数が変化した場合などでは、送信信号102がエコー成分だけであっても誤ってダブルトークであると判断し、第一適応フィルタ手段103による第一タップ係数の更新を停止させてしまう可能性がある。しかしながら、式(8)の定数p5を式(6)の定数p4よりも大きくしておくことにより、送信信号102のレベルが第一誤差信号レベルを大きく上回るときのみ、ダブルトーク時でも第一適応フィルタ手段103による第一タップ係数の更新が行われるため、ダブルトーク時にタップ係数を大きく劣化させる要因がなくなり、第一タップ係数を発散させることはない。
【0046】
よって、安定した第一タップ係数と受信信号101の畳み込みから、第一適応フィルタ手段103によって生成される第一擬似エコー信号を、第一減算手段104にて送信信号102から減算して生成した第一誤差信号は常に安定しており、エコーを増幅させることもなく、安定したエコーキャンセラ出力信号110を得ることができる。
【0047】
しかしながら、第一適応フィルタ手段103だけでは、エコー増幅を伴わない安定したエコーキャンセラ出力信号110を得られたとしても、第一適応フィルタ手段103において、第一タップ係数の更新停止が頻繁に発生してタップ係数が収束せず、送信信号102に含まれるエコー成分をいつまでも消し去ることができない可能性がある。この問題を解決するのが、第二適応フィルタ手段105と第二適応フィルタ更新制御手段108、および適応フィルタ選択手段109である。
【0048】
この第二適応フィルタ更新制御手段108では上記式(7)のみの判定によって、第二適応フィルタ手段105による第二タップ係数の更新を行うか否かの判定を行っている。このため、受信信号101が有音状態では、常に第二適応フィルタ手段105での第二タップ係数の更新を行うことになる。この場合、ダブルトーク時などにおいては第二タップ係数が劣化する可能性があるが、送信信号102においてエコー成分のみが存在する時には、常に第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を更新することが可能であるため、第一適応フィルタ手段103で推定される第一タップ係数と比べて、第二タップ係数は素早く収束させることが可能となる。
【0049】
なお、この実施の形態1では、第一適応フィルタ更新制御手段107および第二適応フィルタ更新制御手段108による適応フィルタ更新制御方法として、式(7)および式(8)を用いるものを示したが、第一適応フィルタ更新制御手段107については、ダブルトーク時などを正しく検知し、第一タップ係数の更新を行うか否かの判定精度が高い別の適応フィルタ更新制御方法を使用することも可能であり、また、第二適応フィルタ更新制御手段108については、第二タップ係数を素早く収束させることのできる別の適応フィルタ更新制御方法を使用することも可能である。
【0050】
次に、適応フィルタ選択手段109では、安定度の高い第一タップ係数を選択するか、収束が早い第二タップ係数を選択するかの決定を行う。適応フィルタ選択手段109では、以下に示す式(9)〜式(12)の4つの式を用いて、第一タップ係数あるいは第二タップ係数のいずれを選択するかの判定を行う。判定の結果、第二タップ係数が選択された場合には、第一適応フィルタ手段103は適応フィルタ選択手段109から第二タップ係数を入力し、それを自身の第一タップ係数に代入する。
【0051】
Xn(i)>p1 ..... (9)
En2(i)×p5<Sn(i) .... (10)
En1(i)×p6<Sn(i) .... (11)
En1(i)>En2(i)×p7 .... (12)
【0052】
なお、上記式(9)〜式(12)において、Sn(i)は時刻iにおける送信信号102のKサンプル間の平均パワーレベル、Xn(i)は時刻iにおける受信信号101のKサンプル間の平均パワーレベルであり、En1(i)は時刻iにおける第一誤差信号のKサンプル間の平均パワーレベル、En2(i)は時刻iにおける第二誤差信号のKサンプル間の平均パワーレベルである。p1,p5,p6およびp7は所定の定数であり、定数p5,p6,p7の値は1以上となっている。
【0053】
また、この適応フィルタ選択手段109では、内部に初期推定前モードと初期推定後モードの2つのモードを持っており、エコーキャンセラ動作を開始する場合には上記初期推定前モードから開始する。初期推定前においては、第一適応フィルタ更新制御手段107で上記式(8)における定数p5の値を大きく設定しているため、送信信号102がエコー成分だけであってもダブルトーク時と判定されて、第一適応フィルタ手段103による第一タップ係数の更新はほとんど行われない。そのため、できるだけ早く収束した第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数に代入させるために、式(9)と式(10)がともに成立した場合に、適応フィルタ選択手段109は第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数に代入することを決定する。この式(10)によって、送信信号102のレベルSn(i)が第二誤差信号レベルEn2(i)を大きく上回ったこと検知し、第二タップ係数が十分推定できていると判定することができる。
【0054】
これにより、第一タップ係数は劣化したタップ係数が選択されることはなくなる。このように、図10に示した従来のエコーキャンセラ装置とは異なり、第一タップ係数として劣化した第二タップ係数を選択して擬似エコー信号を生成することはないため、エコーを増幅させる危険性は回避される。そして、その第二タップ係数の第一タップ係数への代入完了後に、初期推定前モードから初期推定後モードへモードを遷移させる。
【0055】
初期推定後では、エコーパスの変動がなければ、第一適応フィルタ更新制御手段107において、送信信号102がダブルトークかエコー成分のみかを正しく判断することができ、第一適応フィルタ手段103での第一タップ係数の更新が停止することもなく、適切なタップ係数の更新が行われる。
【0056】
しかし、自動車電話用のハンズフリー通話などに適応したエコーキャンセラ装置では、初期推定後においても、受信信号101の出力端子であるスピーカと、送信信号102の入力端子であるマイクの間のエコーパスは、自動車に乗車している人の動きによって、あるいは車内の窓の開閉状況等に応じて刻々と変化している。従って、送信信号102から常にエコー成分を消し去るには、そのエコーパスの変動に追従して第一タップ係数および第二タップ係数を推定してゆかなければならない。
【0057】
上記のようなエコーパスの変動によって、現時刻で推定を完了している第一タップ係数および第二タップ係数と、エコーパス変動後の推定しなければならない第一タップ係数および第二タップ係数との間に隔たりが生まれる。そのため、第一適応フィルタ手段103からの第一擬似エコー信号と、送信信号102のエコー成分となるエコー信号との間に差が生じ、送信信号102からエコー成分を消去する性能が劣化してしまう。そのため、上記式(8)の条件が成立する状況になり、第一適応フィルタ更新制御手段107でタップ係数更新停止区間であると判断する可能性が生じる。その際に素早く適切な第二タップ係数を第一タップ係数に代入して追従性を高めるために、式(9)、式(11)および式(12)が全て成立した場合に、適応フィルタ選択手段109は第二タップ係数を第一タップ係数に代入することを決定する。
【0058】
すなわち、まず式(9)と式(11)が成立することにより、第一誤差信号レベルEn1(i)が送信信号102のレベルSn(i)を一定比率だけ下回るため、現在の送信信号102がエコー成分のみの状態であると検知できる。そして式(12)が成立することにより、第一誤差信号レベルEn1(i)が第二誤差信号レベルEn2(i)を一定比率だけ上回るレベルであることから、第一タップ係数は推定の進んでいないエコーパス変動前のタップ係数を持ち、第二タップ係数はエコーパス変動後に推定が進んだタップ係数であると判断できる。よって、これら全てが成立した場合には、エコーパス変動が発生したと検知でき、第一タップ係数はエコーパス変動においても常に安定した係数を保てる。このようにして、エコーパスが変動した場合でも常に送信信号102からエコー成分を消去することが可能となり、かつ第一適応フィルタ手段103による第一タップ係数の更新を停止させることはない。
【0059】
ただし、ダブルトーク時においては、第一適応フィルタ更新制御手段107の式(8)によって、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数は更新されないため、第一タップ係数は劣化することはなく、そして式(9)、式(11)および式(12)が全て成立することはないので、適応フィルタ選択手段109が第二タップ係数を第一タップ係数に代入する決定を行わない。そのため、図10に示した従来のエコーキャンセラ装置のように、第一減算手段104からの第一誤差信号のレベルが、第二減算手段106からの第二誤差信号のレベルを下回ることだけを条件とする場合とは異なり、ダブルトーク時に劣化したタップ係数を誤って選択し、そのタップ係数によって擬似エコー信号を生成するようなことはないため、エコーを増幅することはなくなる。
【0060】
さらに、無限大損失といわれる、エコーパスの一部が切断されてエコーパスの内容が瞬時に開放状態になる極めて大きいエコーパスの変動に追従してゆくために、単なるエコーパス変動時の検知とは別に、上記式(9)と式(10)が成立し、式(11)が不成立となる状態がP回連続して満たされた場合、無限大損失があったと判断して、適応フィルタ選択手段109は第二タップ係数の第一タップ係数への代入を決定する。まず式(9)と式(10)が成立することにより、第二タップ係数が十分推定できていると検知できる。しかし、式(11)は不成立であるため、第一誤差信号のレベルEn1(i)が送信信号102のレベルSn(i)を一定比率だけ下回っておらず、現在の送信信号102がエコー成分のみの状態であるとは検知できない。そのため、式(9)と式(10)が成立してもすぐには第二タップ係数が十分推定できているとは判断しないが、式(9)と式(10)が成立し、式(11)が不成立の状態がP回連続して満たされた場合には、式(9)と式(10)で検知した第二タップ係数が十分推定できていると判定して、無限大損失によって第一タップ係数の推定精度が大きく劣化していると判断する。
【0061】
このように、式(9)と式(10)が成立し、式(11)が不成立となる状態がP回連続して満たされた場合には、無限大損失が発生したことを検知できる。これによって、無限大損失が発生した場合でも常に送信信号2からエコー成分を消去することが可能であり、かつ第一適応フィルタ手段103による第一タップ係数の更新を停止させることはない。ただし、ダブルトーク時においては、第一適応フィルタ更新制御手段107の式(8)によって、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数は更新されないため第一タップ係数は劣化せず、式(9)と式(10)が成立し、式(11)が不成立の状態がP回連続して満たされることはなく、適応フィルタ選択手段109が第二タップ係数を第一タップ係数に代入する決定を行うことはない。そのため、図10に示した従来のエコーキャンセラ装置のように、第一誤差信号のレベルが第二誤差信号のレベルを下回ることだけを条件とする場合とは異なり、誤ってダブルトーク時に劣化したタップ係数を選択し、そのタップ係数で擬似エコー信号を生成することがなくなり、エコーを増幅させる危険性を回避することができる。
【0062】
図2はこの実施の形態1における第一タップ係数および第二タップ係数の選択タイミングを示す説明図であり、縦軸はエコーキャンセラ出力信号110のレベル、横軸は時間を示している。なお、図中の実線は第一誤差信号のレベルEn1(i)、二点鎖線は第二誤差信号のレベルEn2(i)、点線は送信信号102のレベルSn(i)をそれぞれ表している。ここで、この図2における、時刻0からt6までは、送信信号102がエコー成分のみの区間である。また時刻t1はエコーキャンセラ動作開始から徐々に推定を行ってゆき、初期推定前モードにおいて第二タップ係数を第一タップ係数に代入するタイミングを示している。この第二タップ係数の第一タップ係数への代入完了後に、初期推定前モードから初期推定後モードへモードが遷移する。
【0063】
また、時刻t2はエコーパスが変動したタイミングを示しており、時刻t3はそのエコーパス変動を検知して、初期推定後モードにおいて第二タップ係数を第一タップ係数に代入するタイミングを示している。時刻t4は無限大損失が発生したタイミングを示しており、時刻t5はその無限大損失を検知して、初期推定後モードにおいて第二タップ係数を第一タップ係数に代入するタイミングを示している。時刻t6から時刻t7まではダブルトーク区間である。この間、第二タップ係数は第二適応フィルタ更新制御手段108にて、式(7)のみによって制御されるため、推定精度が大きく劣化し、第二誤差信号レベルも送信信号102のレベルを上回ることになる。しかし、第一タップ係数は第一適応フィルタ更新制御手段107の式(7)および式(8)で制御され、かつ定数p5の値も大きなものであるため、ほとんどタップ係数の推定精度を劣化されることはない。そして、このダブルトーク区間では第二タップ係数を第一タップ係数へ代入する判定も行われない。よって、この時刻t6から時刻t7までのダブルトーク区間にエコーが増幅され、エコーキャンセラ出力信号110である第一誤差信号レベルが送信信号102のレベルより大きく上回るようなことはない。
【0064】
時刻t7以降は、再度送信信号102がエコー成分のみとなる区間である。第一タップ係数はダブルトーク区間においてもタップ係数の推定劣化がほとんどないため、時刻t6直前からタップ係数の推定精度にほとんど差がない。よって、エコーキャンセラ出力信号110のレベルは時刻t6直前の第一誤差信号レベルとほとんど差がない出力が可能となる。
【0065】
図3は従来のエコーキャンセラ装置とこの実施の形態1によるエコーキャンセラ装置の性能比較を示した説明図であり、縦軸はエコーキャンセラ出力信号110(14)のレベル、横軸は時間を示している。なお、図中の実線はこの実施の形態1のエコーキャンセラ装置におけるエコーキャンセラ出力信号110のレベル、2点鎖線は従来のエコーキャンセラ装置におけるエコーキャンセラ出力信号14のレベルをそれぞれ表している。従来のエコーキャンセラ装置では、Mサンプルのタップ係数更新周期を持っているため、Mサンプルの間隔ごとにタップ係数の更新が行われ、エコーキャンセラ出力信号14のレベルは階段状に減少してゆく。また、Mサンプルの遅延手段12を持って処理されるため、Mサンプル分の遅延が生じる。
【0066】
一方、この実施の形態1によるエコーキャンセラ装置では、適応フィルタ選択手段109で毎サンプルごとの判定を行っているため、従来のエコーキャンセラ装置のようなMサンプルのタップ係数更新周期を必要としない。また、遅延手段12も持っておらず、その遅れがないため、従来のエコーキャンセラ装置と比べてエコーキャンセラ出力信号110のレベルをより早く低下させることができる。そして、この実施の形態1によるエコーキャンセラ装置は従来のエコーキャンセラ装置とは異なり、ダブルトーク時に2つのタップ係数を更新して、双方のタップ係数を劣化させることがないため、ダブルトーク時においても、タップ係数劣化の可能性を抑えることができ、ダブルトーク後に送信信号がエコー成分となったときにおいても、エコーキャンセラ出力信号110のレベルの増加を抑えることができる。
【0067】
また、この実施の形態1によるエコーキャンセラ装置では、従来のエコーキャンセラ装置における適応フィルタ更新制御方法で用いた式(4)を必要としないため、所定の定数に応じたエコーパス環境のみにしか対応できない従来のエコーキャンセラ装置とは異なり、使用するエコーパス環境に依存しないエコーキャンセラ装置を実現することができ、また、第一タップ係数と第二タップ係数のみを用いており、遅延手段12,13も保有していない。
【0068】
以上のように、この実施の形態1によれば、送信信号102、受信信号101、第一疑似エコー信号に基づいて第一減算手段104が生成した第一誤差信号、および第二疑似エコー信号に基づいて第二減算手段106が生成した第二誤差信号のレベル関係に応じて、第一適応フィルタ手段103が第一擬似エコー信号の生成に用いる第一タップ係数を、第二適応フィルタ手段105が第二擬似エコー信号の生成に用いる第二タップ係数に置き換えているので、常に安定したタップ係数で送信信号102からエコー成分を消去できるエコーキャンセラ出力信号110を得ながらも、タップ係数の更新が停止することなく、かつエコーパス変動や無限大損失に対しても追従性の高いタップ係数の更新が行え、また、従来のエコーキャンセラ装置と比べて、使用エコーパス環境に依存せずエコーを増幅させる危険性をなくしつつも、回路規模を小さくし、かつエコーキャンセラ出力信号110に遅延を伴わないエコーキャンセラ装置を実現することが可能になるなどの効果が得られる。
【0069】
実施の形態2.
なお、上記実施の形態1においては、第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段が同一のタップ係数更新アルゴリズムを持っているエコーキャンセラ装置について説明したが、第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段とに互いに異なるタップ係数更新アルゴリズムを持たせるようにしてもよい。図4はそのようなこの発明の実施の形態2によるエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。図において、101は受信信号、102は送信信号、104は第一減算手段、106は第二減算手段、109は適応フィルタ選択手段、110はエコーキャンセラ出力信号(第一誤差信号)であり、これらは図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれらと同等の部分である。なお、実施の形態1の場合と同様に、受信信号101は遠端話者側の音声が伝送路を経由して入力されたもので、送信信号102は近端話者側の音声と受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号とが入力されたものである。
【0070】
図1では、第一適応フィルタ手段103のタップ係数更新アルゴリズムと第二適応フィルタ手段105のタップ係数更新アルゴリズムは両者で同じ方式を用いていたが、111と112では異なるタップ係数更新アルゴリズムを用いている点で実施の形態1のそれらと異なっている。
【0071】
113は図1に符号107を付して示した、上記第一適応フィルタ手段111の第一タップ係数の更新を行うか否かを判定する第一適応フィルタ更新制御手段に相当する第一適応フィルタ更新制御手段、114は同じく符号108を付して示した、第二適応フィルタ手段112の第二タップ係数の更新を行うか否かを判定する第二適応フィルタ更新制御手段に相当する第二適応フィルタ更新制御手段であるが、その判定に両者で同じ方法を用いている点で実施の形態1のそれらとは異なっている。
【0072】
次に動作について説明する。
ここで、第一適応フィルタ手段111において第一タップ係数の更新に用いられるタップ係数更新アルゴリズムと、第二適応フィルタ手段112において第二タップ係数の更新に用いられるタップ係数更新アルゴリズムとしては、LMSアルゴリズム、高域強調型LMSアルゴリズム、アフィンアルゴリズム、カルマンアルゴリズム等の様々な種類があり、それぞれにおいてタップ係数の収束速度の違いを持っている。また、第一適応フィルタ更新制御手段113と第二適応フィルタ更新制御手段114とは、互いに同一の制御方法によって第一適応フィルタ手段111あるいは第二適応フィルタ手段112における、第一タップ係数もしくは第二タップ係数の更新を行うか否かを判定している。
【0073】
この実施の形態2によるエコーキャンセラ装置では、第一適応フィルタ手段111で用いられる第一タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムとして、第二適応フィルタ手段112で用いられる第二タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムよりも収束速度の遅いタップ係数更新アルゴリズムを用いる。これによって、その収束速度の差から、ダブルトーク時などに誤って適応フィルタのタップ係数更新を行ってしまったとしても、タップ係数の劣化の程度を小さく抑えることが可能となる。これにより、図1に示した実施の形態1によるエコーキャンセラ装置の第一適応フィルタ更新制御手段107において、ダブルトーク時に第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を大きく劣化させる要因をなくしたように、この実施の形態2のエコーキャンセラ装置でも、第一適応フィルタ手段111の第一タップ係数を大きく劣化させる要因をなくすことができる。
【0074】
このように、第一適応フィルタ手段111より出力される第一擬似エコー信号は、この第一適応フィルタ手段111における安定した第一タップ係数と受信信号101の畳み込みから生成されるので、第一減算手段104からの第一誤差信号は常に安定し、エコーを増幅させることもなく、安定したエコーキャンセラ出力信号110を得ることができる。
【0075】
また、第二適応フィルタ手段112で用いられる第二タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムとしては、第一適応フィルタ手段111で用いられる第一タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムよりも収束速度の速いタップ係数更新アルゴリズムが用いられている。従って、ダブルトーク時などにおいてはタップ係数が劣化する可能性があるが、第一適応フィルタ手段111で推定される第一タップ係数と比べて第二タップ係数は素早く収束することが可能である。そのため、図1に示した実施の形態1によるエコーキャンセラ装置の第二適応フィルタ更新制御手段108において、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を素早く収束させたように、この実施の形態2のエコーキャンセラ装置においても、第二適応フィルタ手段112の第二タップ係数を素早く収束させることが可能であるため、エコーパス変動や無限大損失に対して追従性の高いタップ係数の推定が可能となる。
【0076】
なお、上記説明においては、第一適応フィルタ更新制御手段113と第二適応フィルタ更新制御手段114とで、第一タップ係数もしくは第二タップ係数を更新するか否かの判定に同一の制御方法を用いたものを示したが、実施の形態1の場合と同様に、両者で異なった制御方法を用い、第一適応フィルタ手段111と第二適応フィルタ手段112とで異なるタップ更新アルゴリズムによる第一タップ係数もしくは第二タップ係数の更新を行わせるようにしてもよい。
【0077】
以上のように、この実施の形態2によれば、第一適応フィルタ手段103における第一タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムとして収束速度の遅いものを用い、第二適応フィルタ手段105における第二タップ係数のタップ係数更新アルゴリズムとして収束速度の早いものを用いているので、より安定したエコーキャンセラ出力信号110を得ることができ、かつエコーパス変動や無限大損失に対して、さらに追従性の高いタップ推定を行うことが可能となり、さらに、従来のエコーキャンセラ装置と比べて、使用エコーパス環境に依存せず、エコーを増幅させる危険性をなくしつつ、回路規模を小さくし、かつエコーキャンセラ出力信号110に遅延を伴わないエコーキャンセラ装置を実現することが可能になるなどの効果が得られる。
【0078】
実施の形態3.
また、上記実施の形態1および実施の形態2においては、適応フィルタ選択手段が、受信信号、送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号および第二タップ係数を入力して、第一タップ係数の第二タップ係数への置き換えを行うものについて説明したが、受信信号、送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、第二タップ係数とともに第一タップ係数も入力して、第一タップ係数の第二タップ係数による置き換え、および第二タップ係数の第一タップ係数による置き換えを行うようにしてもよい。
【0079】
図5はそのようなこの発明の実施の形態3によるエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。図において、101は受信信号、102は送信信号、103は第一適応フィルタ手段、104は第一減算手段、105は第二適応フィルタ手段、106は第二減算手段、107は第一適応フィルタ更新制御手段、108は第二適応フィルタ更新制御手段、110はエコーキャンセラ出力信号であり、これらは図1に同一符号を付して示した実施の形態1のそれらと同等の部分である。なお、実施の形態1の場合と同様に、受信信号101は遠端話者側の音声が伝送路を経由して入力されたもので、送信信号102は近端話者側の音声と受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号とが入力されたものである。
【0080】
また、115は図1に符号109を付して示した、実施の形態1の適応フィルタ選択手段に相当する適応フィルタ選択手段であるが、受信信号101、送信信号102、第一減算手段104からの第一誤差信号、第二減算手段106からの第二誤差信号、および第二適応フィルタ手段105の持つ第二タップ係数とともに、第一適応フィルタ手段103の持つ第一タップ係数も入力し、送信信号と第一誤差信号と第二誤差信号と受信信号のレベル関係に応じて、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数による、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数の置き換えを行うとともに、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数による、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数の置き換えも行っている点で、実施の形態1の適応フィルタ選択手段109とは異なっている。
【0081】
次に動作について説明する。
第一適応フィルタ手段103は第一タップ係数を持ち、受信信号101と第一減算手段104の出力結果である第一誤差信号とを入力として、その第一タップ係数の更新を行う。ここで、このタップ係数の更新方法については、実施の形態1の場合と同様に、LMSアルゴリズムなどが用いられる。第一適応フィルタ手段103では第一タップ係数を近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。この第一適応フィルタ手段103における第一タップ係数の更新は、第一適応フィルタ更新制御手段107の出力する第一タップ係数の更新要否の判定結果によって制御される。また、第一適応フィルタ手段103では、第一タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第一擬似エコー信号を生成する。
【0082】
また、第一減算手段104は送信信号102を加算入力とし、上記第一適応フィルタ手段103より出力される第一擬似エコー信号を減算入力として両者の差分を演算し、それを第一誤差信号として出力する。なお、この第一誤差信号は第一適応フィルタ手段103自身と、第一適応フィルタ更新制御手段107および適応フィルタ選択手段115に入力されるとともに、エコーキャンセラ出力信号110として伝送路(図示省略)にも出力される。
【0083】
同様に、第二適応フィルタ手段105も第二タップ係数を持ち、受信信号101と第二減算手段106の出力結果である第二誤差信号を入力として、その第二タップ係数の更新を行う。なお、タップ係数の更新方法については、上記第一適応フィルタ手段103の場合と同様である。この第二適応フィルタ手段105による第二タップ係数の更新は、第二適応フィルタ更新制御手段108の出力する第二タップ係数の更新要否の判定結果に基づく制御信号によって制御される。なお、この第二適応フィルタ手段105においては、第二タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第二擬似エコー信号を生成する。
【0084】
第二減算手段106においても同様に、送信信号102を加算入力とし、第二適応フィルタ手段105より出力される第二擬似エコー信号を減算入力として両者の差分を求め、それを第二誤差信号として出力する。なお、この第二誤差信号は第二適応フィルタ手段105自身、および適応フィルタ選択手段115に入力される。
【0085】
第一適応フィルタ更新制御手段107では、受信信号101および送信信号102と、第一減算手段104からの第一誤差信号とを入力として、第一タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、第一タップ係数の更新の要否を示す制御信号を生成して第一適応フィルタ手段103に出力する。第二適応フィルタ更新制御手段108では、受信信号101を入力として、上記第一適応フィルタ更新制御手段107とは異なる制御方法によって第二タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、第二タップ係数の更新の要否を示す制御信号を生成して第二適応フィルタ手段105に出力する。
【0086】
適応フィルタ選択手段115は、受信信号101および送信信号102と、第一減算手段104からの第一誤差信号および第二減算手段106からの第二誤差信号と、第一適応フィルタ103の第一タップ係数および第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を入力とし、上記第一タップ係数と第二タップ係数との推定精度の比較を行う。比較の結果、第二タップ係数の推定精度の方が第一タップ係数のそれより高いと判断されると、その第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103に出力する。第一適応フィルタ手段103はこの適応フィルタ選択手段115から受け取った第二タップ係数を、自身の持つ第一タップ係数へ代入する。一方、第一タップ係数の推定精度の方が第二タップ係数のそれより高いと判断されると、その第一タップ係数を第二適応フィルタ手段105に出力する。第二適応フィルタ手段105はこの適応フィルタ選択手段115から受け取った第一タップ係数を、自身の持つ第二タップ係数へ代入する。
【0087】
以下、第一適応フィルタ更新制御手段107および第二適応フィルタ更新制御手段108と、適応フィルタ選択手段115について詳細に説明する。
ここで、上記実施の形態1ないし実施の形態2における第二適応フィルタ更新制御手段108においては、実施の形態1で説明した式(7)のみの制御によって第二タップ係数の更新を行うか否かの判定が行われる。そのため、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数は、送信信号102がエコー成分のみの時だけではなく、ダブルトーク時においても第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を更新することがある。これによって、ダブルトーク時の第二タップ係数は自ずと劣化し、次に送信信号102がエコー成分だけの時となって正しく推定が行える区間になっても、第二適応フィルタ手段105における第二タップ係数の収束に若干の遅れが生じることになる。
【0088】
そこで、ダブルトーク時などで第二タップ係数が第一タップ係数と比べて劣化が進んでいると判断された場合には、第一タップ係数を第二タップ係数へ代入するようにすれば、ダブルトーク時の第二タップ係数の劣化を防止することが可能となる。このように第一タップ係数を第二タップ係数へ代入することにより、送信信号102がエコー成分のみとなったときのタップ係数の収束速度が向上するため、収束までの遅れを減らすことが可能となる。そのため、適応フィルタ選択手段115は、式(9)、式(10)および式(11)を用いて、式(9)が成立し、式(10)が不成立で、式(11)が成立した時に、第二適応フィルタ手段105に第一タップ係数を出力し、第二適応フィルタ手段105はその第一タップ係数を自身の第二タップ係数に代入する。
【0089】
以上のように、この実施の形態3によれば、適応フィルタ選択手段115に第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数も入力し、それを第二適応フィルタ手段105に出力して、第二適応フィルタ手段105がその第一タップ係数を自身の持つ第二タップ係数に代入しているので、実施の形態1ないし実施の形態2によるエコーキャンセラ装置と同様の効果を得ながらも、ダブルトーク後のタップ係数の収束速度をさらに高めることが可能なエコーキャンセラ装置が実現できる効果がある。
【0090】
実施の形態4.
なお、上記実施の形態1ないし実施の形態3では、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数への第二タップ係数による置き換えを、適応フィルタ選択手段の条件判定の直後に全てのタップ係数において一度に行うようにしたものについて説明したが、第一適応フィルタ手段にてその第一タップ係数を第二タップ係数で置き換える際に、時間的推移によるタップ係数の線形補間によって置き換えを行うようにしてもよい。図6はそのようなこの発明の実施の形態4によるエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。
【0091】
図において、対応部分には図1および図5と同一の符号を付してそれらの説明を省略する。また、116は図1において符号109を付して示した実施の形態1の適応フィルタ選択手段や、図5において符号115を付して示した実施の形態3の適応フィルタ選択手段に相当する適応フィルタ選択手段であるが、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二タップ係数で置き換える際に、時間的推移によるタップ係数の線形補間によって当該置き換えを行っている点で、実施の形態1あるいは実施の形態3におけるそれらとは異なった適応フィルタ選択手段である。なお、実施の形態1から実施の形態3の場合と同様に、受信信号101は遠端話者側の音声が伝送路を経由して入力されたもので、送信信号102は近端話者側の音声と受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号とが入力されたものである。
【0092】
次に動作について説明する。
実施の形態1ないし実施の形態3では、第一適応フィルタ手段103における第二タップ係数による第一タップ係数の置き換えは、適応フィルタ選択手段109あるいは適応フィルタ選択手段115の条件判定の直後に全てのタップ係数において一度に行うようにしている。そのため、第一適応フィルタ手段103によって、置き換え前の第一タップ係数と受信信号101との畳み込みによって生成される第一擬似エコー信号と、置き換え後の第一タップ係数と受信信号101との畳み込みによって生成される第一擬似エコー信号とでは、置き換え前後の2つのタップ係数の間に相関がなく、不連続点が発生することがある。この不連続点によって、第一減算手段104の演算結果による第一誤差信号にも不連続点が発生し、自ずとエコーキャンセラ出力信号110においても不連続点が存在することになる。
【0093】
そこで、上記不連続点をできる限り解消するため、この実施の形態4では、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数で置き換える際、もしくは第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数で置き換える際に、当該書き換えを線形的な補間方法によって行う機能を適応フィルタ選択手段116に持たせておき、第一適応フィルタ手段103でその第一タップ係数を第二タップ係数で置き換える際に、時間的推移によるタップ係数の線形補間によって置き換えを行う。そのとき、この時間的推移によるタップ係数の線形補間方法は、以下に示す式(13)を用いて行う。
【0094】
A1t(i)=A2t(i)+t/MM・TA(i) ... (13)
【0095】
なお、上記式(13)において、t,MM,N,A1t(i),A2t(i)およびTA(i)はそれぞれ以下の通りである。
t:0,N,2N,3N,...,MM
MM:時間的推移のサンプル数
N:タップ係数置き換え間隔サンプル数
A1t(i):タップ係数置き換え検知からtサンプル後のi番目の第一タップ係数
A2t(i):タップ係数置き換え検知からtサンプル後のi番目の第二タップ係数
TA(i):A10(i)−A20(i)
【0096】
タップ係数置き換え開始から、MMサンプルの時間的推移の間で、タップ係数置き換え開始時における第一タップ係数と第二タップ係数の各係数差を用いて、Nサンプルごとに第一タップ係数を徐々に第二タップ係数に近づけてゆくものである。これによって、第二タップ係数で第一タップ係数を置き換えた時に発生するエコーキャンセラ出力信号110の不連続点が軽減される。
【0097】
以上のように、この実施の形態4によれば、実施の形態1ないし実施の形態3によるエコーキャンセラ装置の第一適応フィルタ手段103において、自身の持つ第一タップ係数を第二タップ係数で置き換える際、その置き換えを線形補間によって行うようにしたので、実施の形態1ないし実施の形態3によるエコーキャンセラ装置と同様の効果を得ながらも、タップ係数の置き換え時に発生するエコーキャンセラ出力信号110の不連続点を軽減することが可能なエコーキャンセラ装置を実現することができるという効果が得られる。
【0098】
実施の形態5.
なお、上記各実施の形態においては、第一減算手段の出力する第一誤差信号をそのままエコーキャンセラ出力信号として出力するものについて説明したが、誤差信号緩衝制御手段からの第一乗算係数を第一誤差信号に、第二乗算係数を第二誤差信号にそれぞれ乗算し、得られた第一乗算誤差信号と第二乗算誤差信号の和をエコーキャンセラ出力信号として出力するようにしてもよい。図7はそのようなこの発明の実施の形態5によるエコーキャンセラ装置の構成を示すブロック図である。なお、図中の実施の形態1から実施の形態4の各部に対応する部分には図1、図5、図6と同一の符号を付してそれらの説明を省略する。ここで、受信信号101は遠端話者側の音声が伝送路を経由して入力されたものであり、送信信号102は近端話者側の音声と受信信号101の出力端子から近端話者側のエコーパスを通って発生したエコー信号とが入力されたものであることも、実施の形態1から実施の形態4の場合と同様である。
【0099】
図において、117は適応フィルタ選択手段109による、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数に置き換えるか否かの判定結果、もしくは第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数に置き換えるか否かの判定結果が入力され、その判定結果に基づいて第一乗算係数と第二乗算係数を生成する誤差信号緩衝制御手段である。118はこの誤差信号緩衝制御手段117で生成された第一乗算係数が入力され、第一減算手段104にて送信信号102からエコー成分が除去された第一誤差信号に、その第一乗算係数を乗じて第一乗算誤差信号を生成する第一乗算手段である。119は同じく、誤差信号緩衝制御手段117で生成された第二乗算係数が入力され、第二減算手段106にて送信信号102からエコー成分が除去された第二誤差信号に、その第二乗算係数を乗じて第二乗算誤差信号を生成する第二乗算手段である。120はこれら第一乗算手段118からの第一乗算誤差信号と第二乗算手段119からの第二乗算誤差信号とを入力とし、それら2つの信号の和を求める加算手段であり、121はこの加算手段120より出力されるエコーキャンセラ出力信号である。
【0100】
次に動作について説明する。
第一適応フィルタ手段103は第一タップ係数を持ち、受信信号101と、第一減算手段104の出力結果である第一誤差信号とを入力として第一タップ係数の更新を行う。なお、このタップ係数の更新方法については、実施の形態1で説明した場合と同様である。第一適応フィルタ手段103では第一タップ係数を近端話者側のエコーパスのインパルス応答に近似させる処理を行う。この第一適応フィルタ手段103での第一タップ係数の更新は、第一適応フィルタ更新制御手段107の出力結果によって制御される。また、第一適応フィルタ手段103では、第一タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第一擬似エコー信号を生成し、それを第一減算手段104に出力する。第一減算手段104は送信信号102を加算入力とし、この第一適応フィルタ手段103からの第一擬似エコー信号を減算入力として第一誤差信号を求め、それを第一乗算手段118に入力する。
【0101】
同様に、第二適応フィルタ手段105は第二タップ係数を持ち、受信信号101と第二減算手段106の出力結果である第二誤差信号とを入力として第二タップ係数の更新を行う。このタップ係数の更新方法は上記第一適応フィルタ手段103の場合と同様である。第二適応フィルタ手段105での第二タップ係数の更新は、第二適応フィルタ更新制御手段108の出力結果によって制御される。また、第二適応フィルタ手段105では、第二タップ係数と受信信号101との畳み込み演算によって第二擬似エコー信号を生成し、それを第二減算手段106に出力する。第二減算手段106は送信信号102を加算入力とし、この第二適応フィルタ手段105からの第二擬似エコー信号を減算入力として第二誤差信号を求め、それを第二乗算手段119に出力する。
【0102】
また、第一適応フィルタ更新制御手段107は受信信号101および送信信号102と、上記第一減算手段104からの第一誤差信号を入力として、第一タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、制御信号を第一適応フィルタ手段103に出力する。同様に、第二適応フィルタ更新制御手段108は受信信号101を入力とし、第一適応フィルタ更新制御手段107とは異なる制御方法によって、第二タップ係数の更新を行うか否かの判定を行い、制御信号を第二適応フィルタ手段105に出力する。
【0103】
適応フィルタ選択手段109は、受信信号101と送信信号102、第一減算手段104からの第一誤差信号と第二減算手段106からの第二誤差信号、および第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数と第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を入力し、第一タップ係数と第二タップ係数の推定精度を比較する。その結果、第二タップ係数の推定精度が第一タップ係数のそれより高いと判断すると、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103に出力し、このことを適応フィルタ選択結果信号として、誤差信号緩衝制御手段117に出力する。第二タップ係数を受けた第一適応フィルタ手段103はその第二タップ係数を自身の第一タップ係数へ代入する。一方、適応フィルタ選択手段109は、第一タップ係数の推定精度が第二タップ係数のそれより高いと判断すると、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段105に出力し、第二適応フィルタ手段105はこの第一タップ係数を自身の第二タップ係数へ代入する。
【0104】
誤差信号緩衝制御手段117はこの適応フィルタ選択手段109からの適応フィルタ選択結果信号が入力されると、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数へ代入する事象を検知して、第一乗算手段118に第一乗算係数を、第二乗算手段119に第二乗算係数をそれぞれ出力する。第一乗算手段118は第一減算手段104からの第一誤差信号を入力し、それにこの誤差信号緩衝制御手段117からの第一乗算係数で乗じて第一乗算誤差信号を生成し、それを加算手段120に出力する。第二乗算手段119も同様に、第二減算手段106からの第二誤差信号を入力し、それにこの誤差信号緩衝制御手段117からの第二乗算係数で乗じて第二乗算誤差信号を生成し、それを加算手段120に出力する。加算手段120はこれら第一乗算手段118からの第一乗算誤差信号と、第二乗算手段119からの第二乗算誤差信号を入力し、それら2つの信号を加えたエコーキャンセラ出力信号121を生成して出力する。
【0105】
以下、誤差信号緩衝制御手段117と、第一乗算手段118、第二乗算手段119および加算手段120について詳細に説明する。
上記実施の形態4では、第一適応フィルタ手段103において、その第一タップ係数を第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数で置き換える際、時間的推移による線形補間によっての置き換えが必要なため、タップ係数の長さが長いほど、その線形補間を行うサンプル間の演算規模が大きくなる。そこで、この実施の形態5では、その演算規模を削減するために、適応フィルタ選択手段109が第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二タップ係数に置き換える必要があると判定すると、その結果を通知するための適応フィルタ選択結果を誤差信号緩衝制御手段117に出力する。
【0106】
ここで、図8は上記第一乗算係数と第二乗算係数の時間的変化を示した説明図で、縦軸は第一乗算係数と第二乗算係数の値、横軸は時間であり、第一乗算係数を実線で、第二乗算係数を二点鎖線でそれぞれ表している。
【0107】
第一適応フィルタ手段103での第一タップ係数の第二タップ係数への置き換えは、MMサンプル後に行うようにする。実施の形態4では、MMサンプルの全区間で全タップ係数の線形補間を行っていたが、実施の形態5ではそのMMサンプルの区間は、第一乗算手段118と第二乗算手段119による2つの積と加算手段120による1つの和を行う演算規模で、実施の形態4と同等に第二タップ係数を第一タップ係数へ置き換える際に発生するエコーキャンセラ出力信号121の不連続点が軽減される結果を得ることができる。
【0108】
誤差信号緩衝手段117は適応フィルタ選択手段109からの適応フィルタ選択結果が、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二タップ係数へ置き換えることを示すものであった場合、第一減算手段104からの第一誤差信号に乗ずるための第一乗算係数を、1から開始し、MMサンプルの時間的推移によって徐々に変化して0となる値として求め、これを第一乗算手段118に出力する。また、誤差信号緩衝手段117は、第二減算手段106からの第二誤差信号に乗ずるための第二乗算係数は、0から開始し、MMサンプルの時間的推移によって徐々に変化して1となる値として求め、これを第二乗算手段119に第二乗算係数として出力する。第一乗算手段118はその第一乗数係数を第一誤差信号に乗じて第一乗算誤差信号を求め、第二乗算手段119は第二誤差信号に第二乗算係数を乗じて第二乗算誤差信号を求める。加算手段120はこの第一乗算手段118からの第一乗算誤差信号と、第二乗算手段119からの第二乗算誤差信号とを足しあわせ、それをエコーキャンセラ出力信号121として出力する。
【0109】
なお、タップ係数置き換え検知ポイント以前、あるいはタップ係数置き換え実行ポイント以後の、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二タップ係数へ置き換えることを必要としない、MMサンプル区間以外の区間においては、第一減算手段104からの第一誤差信号には、第一乗算手段118によって1が乗じられ、第二減算手段106からの第二誤差信号には、第二乗算手段119によって0が乗じられるため、加算手段120からは第一誤差信号がそのままエコーキャンセラ出力信号121として出力される。
【0110】
なお、上記説明では、図1に示した実施の形態1によるエコーキャンセラ装置に適用した場合について述べたが、図4から図6に示した実施の形態2から実施の形態4によるエコーキャンセラ装置に適用することも可能であり、何れの場合においても、実施の形態1に適用した上記エコーキャンセラ装置の場合と同様の効果を奏する。
【0111】
以上のように、この実施の形態5によれば、適応フィルタ選択手段109より第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を第二タップ係数に置き換えることを通知する適応フィルタ選択結果を出力し、誤差信号緩衝手段117でその適応フィルタ選択結果をもとに第一誤差信号に乗ずるための第一乗算係数と、第二誤差信号に乗ずるための第二乗算係数とを生成し、第一誤差信号にその第一乗算係数を乗じた第一乗算誤差信号と、第二誤差信号にその第二乗算係数を乗じた第二乗算誤差信号を足しあわせ、それをエコーキャンセラ出力信号121として出力するようにしたので、実施の形態1ないし実施の形態4によるエコーキャンセラ装置と同様の効果を得ながらも、タップ係数の置き換え時における演算規模を削減することが可能なエコーキャンセラ装置を実現することができるという効果が得られる。
【0112】
実施の形態6.
また、上記各実施の形態においては、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を更新する際の収束係数と、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を更新する際の収束係数とが、同一の値を持っている場合について説明したが、両者の収束係数の値に違いを持たせるようにしてもよい。この実施の形態6は、そのような第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段の収束係数の値が異なるエコーキャンセラ装置に関するものであり、その装置構成は図1に示すものと同様であるため、ここではその図示と説明を割愛する。
【0113】
上記実施の形態1ないし実施の形態5によるエコーキャンセラ装置では、第一適応フィルタ手段103が持っている第一タップ係数を更新するための収束係数と、第二適応フィルタ手段105が持っている第二タップ係数を更新するための収束係数とは同じ値が設定されている。この収束係数はステップゲインとも呼ばれ、第一適応フィルタ手段103、第二適応フィルタ手段105のタップ係数更新アルゴリズムに用いられるものである。この収束係数を小さくした場合、それらタップ係数の収束速度は低下するが、ダブルトーク時などの送信信号102がエコー成分だけでない状態でのタップ係数更新においても劣化の程度を少なくすることができるという特性を持っている。また逆に、この収束係数を大きくした場合には、ダブルトーク時などの状態でのそれらタップ係数の更新では、タップ係数の劣化の程度は大きくなるが、タップ係数の収束速度を向上させることができるという特性を持っている。
【0114】
そこで、この実施の形態6においては、第一適応フィルタ手段103に用いられる収束係数を小さな値に設定し、第二適応フィルタ手段105に用いられる収束係数を大きな値に設定する。第一適応フィルタ手段103の収束係数を小さくすることで、第一適応フィルタ更新制御手段107の誤った検知で、ダブルトーク時などに適応フィルタのタップ係数更新を行ってしまったとしても、第一タップ係数の劣化の程度をさらに小さくすることが可能となる。また、第二適応フィルタ手段105の収束係数を大きくすることで、第二タップ係数の収束速度をさらに向上させることができ、エコーパス変動や無限大損失に対してもさらに追従性の高いタップ係数推定が可能となる。
【0115】
ここで、図9は実施の形態1のエコーキャンセラ装置とこの実施の形態6によるエコーキャンセラ装置の性能比較を示した説明図であり、縦軸はエコーキャンセラ出力信号110のレベル、横軸は時間を示している。なお、図中の実線はこの実施の形態6のエコーキャンセラ装置におけるエコーキャンセラ出力信号110のレベル、点線は実施の形態1のエコーキャンセラ装置におけるエコーキャンセラ出力信号110のレベルをそれぞれ表している。図9からも分かる通り、この実施の形態6によるエコーキャンセラ装置は、実施の形態1のエコーキャンセラ装置と比べて、エコーキャンセラ出力信号110のレベルを素早く収束状態へ近づけることができ、かつダブルトーク時における第一タップ係数の劣化の程度をさらに小さくすることが可能となる。そして、ダブルトーク後で、送信信号102がエコー成分のみとなった場合でも、エコーキャンセラ出力信号110のレベルの増加をさらに抑えることができる。
【0116】
以上のように、この実施の形態6によれば、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数を更新する際に用いられる収束係数の値と、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数を更新する際に用いられるの収束係数の値との間に違いを持たせているので、第一タップ係数更新用の収束係数を小さくし、第二タップ係数更新用の収束係数を大きくすることにより、実施の形態1ないし実施の形態5のエコーキャンセラ装置と比べて、さらに安定したエコーキャンセラ出力信号110を生成することが可能であり、かつエコーパス変動や無限大損失に対しても、さらに追従性の高いタップ係数の推定を行うことができるなどの効果が得られる。
【0117】
実施の形態7.
また、上記各実施の形態においては、第一適応フィルタ手段が持っている第一タップ係数と、第二適応フィルタ手段が持っている第二タップ係数とが、同一の長さである場合について説明したが、それら第一タップ係数の長さと第二タップ係数の長さとの間に違いを持たせるようにしてもよい。この実施の形態7は、そのような第一適応フィルタ手段の第一タップ係数と第二適応フィルタ手段の第二タップ係数とでその長さが異なるエコーキャンセラ装置に関するものであり、その装置構成は図1に示すものと同様であるため、ここではその図示と説明を割愛する。
【0118】
上記実施の形態1ないし実施の形態6によるエコーキャンセラ装置では、第一適応フィルタ手段103が持っている第一タップ係数と、第二適応フィルタ手段105が持っている第二タップ係数とが同一の長さに設定されている。第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数、あるいは第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数の更新において、それら第一タップ係数と第二タップ係数の収束係数が同一の値を持っていた場合、第一タップ係数および第二タップ係数の長さが短いほど、それらタップ係数の収束速度を向上させることができるという特性を持っている。そのため、この実施の形態7のエコーキャンセラ装置では、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数の長さを第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数の長さよりも短く設定している。このことで、第二タップ係数の推定の速度を向上させることができ、エコーパス変動や無限大損失に対してさらに追従性の高いタップ係数推定が可能となる。
【0119】
以上のように、この実施の形態7によれば、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数と、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数との間で、その長さに違いを持たせているので、第二適応フィルタ手段105の第二タップ係数の長さを、第一適応フィルタ手段103の第一タップ係数のタップ係数の長さより短くすることにより、実施の形態1ないし実施の形態6のエコーキャンセラ装置と比べて、エコーパス変動や無限大損失に対して、さらに追従性の高いタップ係数の推定を行うことができるという効果が得られる。
【0120】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、第一適応フィルタ更新制御手段で制御される第一適応フィルタ手段から出力された第一擬似エコー信号を減算入力とする第一減算手段が出力した第一誤差信号をエコーキャンセラ出力信号として出力するとともに、第二適応フィルタ更新制御手段で制御される第二適応フィルタ手段から出力された第二擬似エコー信号を減算入力とする第二減算手段が出力した第二誤差信号と、上記第一誤差信号、および受信信号と、送信信号と、第二適応フィルタ手段で推定した第二タップ係数を入力した適応フィルタ選択手段によって、第二タップ係数を第一適応フィルタ手段で推定された第一タップ係数に置き換えるように構成したので、常に安定したタップ係数で送信信号からエコー成分を消去することができるエコーキャンセラ出力信号を得ながらも、タップ係数の更新が停止することなく、かつエコーパス変動や無限大損失に対しても追従性の高いタップ係数の更新が実現でき、さらに、従来のエコーキャンセラ装置と比べて、使用エコーパス環境に依存せずエコーを増幅させる危険性をなくしつつ、回路規模を小さくし、かつエコーキャンセラ出力信号に遅延を伴うことのないエコーキャンセラ装置が得られる効果がある。
【0121】
この発明によれば、第一適応フィルタ手段および第二適応フィルタ手段で、互いに異なるタップ係数更新アルゴリズムを用いて、第一タップ係数と第二タップ係数の更新を行い、それら第一タップ係数あるいは第二タップ係数を用いて、第一擬似エコー信号または第二擬似エコー信号をそれぞれ生成するように構成したので、より安定したエコーキャンセラ出力信号を得ることができ、かつエコーパス変動や無限大損失に対して、さらに追従性の高いタップ推定を行うことが可能となり、さらに、使用エコーパス環境に依存せず、エコーを増幅させる危険性をなくしつつ、回路規模も小さくでき、エコーキャンセラ出力信号に遅延を伴うことのないエコーキャンセラ装置が得られるという効果がある。
【0122】
この発明によれば、互いに異なったタップ係数更新アルゴリズムを用いて、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数の更新と、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数の更新を行うように構成したので、エコーキャンセラ出力信号の安定化、タップ推定におけるエコーパス変動や無限大損失に対する追従性の向上、使用エコーパス環境に依存することなくエコー増幅の危険性排除、回路規模の小型化、遅延を伴わないエコーキャンセラ出力信号の出力などが可能となるという効果がある。
【0123】
この発明によれば、適応フィルタ選択手段に受信信号、送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号および第二タップ係数とともに、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数も入力し、適応フィルタ選択手段がその送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号および受信信号のレベル関係に応じて、第二タップ係数の第一適応フィルタ手段への代入、もしくは第一タップ係数の第二タップ係数への代入を行うように構成したので、ダブルトーク後のタップ係数の収束速度をより高めることも可能になるという効果がある。
【0124】
この発明によれば、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段の第二タップ係数にて置き換える際、もしくは第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段の第一タップ係数にて置き換える際に、その置き換えを適応フィルタ選択手段が、線形的な補間方法を用いて行うように構成したので、タップ係数の置き換え時に発生するエコーキャンセラ出力信号の不連続点の軽減も可能になるという効果がある。
【0125】
この発明によれば、誤差信号緩衝制御手段からの第一乗算係数を第一誤差信号に、第二乗算係数を第二誤差信号にそれぞれ乗算し、得られた第一乗算誤差信号と第二乗算誤差信号とを加えあわせてエコーキャンセラ出力信号を生成、出力するように構成したので、タップ係数の置き換え時における演算規模の削減も可能になるという効果がある。
【0126】
この発明によれば、第一適応フィルタ手段と第二適応フィルタ手段とで、異なった値の収束係数を設定するように構成したので、より安定したエコーキャンセラ出力信号を得ることができ、エコーパス変動や無限大損失に対してもさらに追従性の高いタップ推定を行うことが可能になるなどの効果がある。
【0127】
この発明によれば、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数と、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数とで、互いの長さに違いを持たせるように構成したので、エコーパス変動や無限大損失に対してもさらに追従性の高いタップ推定を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1によるエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1における第一タップ係数および第二タップ係数の選択タイミングを示す説明図である。
【図3】従来のエコーキャンセラ装置と実施の形態1におけるエコーキャンセラ装置の性能比較を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2によるエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態3によるエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態4によるエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態5によるエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【図8】実施の形態5における第一乗算係数と第二乗算係数の時間的変化を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1によるエコーキャンセラ装置と実施の形態6によるエコーキャンセラ装置の性能比較を示す説明図である。
【図10】従来のエコーキャンセラ装置を示すブロック図である。
【符号の説明】
101 受信信号、102 送信信号、103 第一適応フィルタ手段、104 第一減算手段、105 第二適応フィルタ手段、106 第二減算手段、107 第一適応フィルタ更新制御手段、108 第二適応フィルタ更新制御手段、109 適応フィルタ選択手段、110 エコーキャンセラ出力信号(第一誤差信号)、111 第一適応フィルタ手段、112 第二適応フィルタ手段、113 第一適応フィルタ更新制御手段、114 第二適応フィルタ更新制御手段、115,116 適応フィルタ選択手段、117 誤差信号緩衝制御手段、118 第一乗算手段、119 第二乗算手段、120 加算手段、121 エコーキャンセラ出力信号。
Claims (8)
- 受信信号と送信信号とを入力とし、それらに基づいて生成した第一誤差信号および第二誤差信号と、前記受信信号および送信信号とからエコーキャンセラ出力信号を生成して出力するエコーキャンセラ装置において、
少なくとも前記第一誤差信号と受信信号と送信信号とを入力とし、第一タップ係数を更新するか否かの判定を行う第一適応フィルタ更新制御手段と、
前記受信信号と第一誤差信号とを入力として、前記第一適応フィルタ更新制御手段による判定の結果に従って、自身の持つ前記第一タップ係数の更新の有無が制御され、かつその第一タップ係数を用いて第一擬似エコー信号を生成する第一適応フィルタ手段と、
前記送信信号を加算入力、前記第一適応フィルタ手段より出力される第一擬似エコー信号を減算入力することで、前記送信信号からエコー成分を消去したエコーキャンセラ出力としての前記第一誤差信号を生成する第一減算手段と、
少なくとも前記受信信号を入力とし、前記第一適応フィルタ更新制御手段とは異なる方法を用いて、第二タップ係数を更新するか否かの判定を行う第二適応フィルタ更新制御手段と、
前記受信信号と第二誤差信号とを入力として、前記第二適応フィルタ更新制御手段による判定の結果に従って、自身の持つ前記第二タップ係数の更新の有無が制御され、かつその第二タップ係数を用いて第二擬似エコー信号を生成する第二適応フィルタ手段と、
前記送信信号を加算入力、前記第二適応フィルタ手段より出力される第二擬似エコー信号を減算入力することで、前記送信信号からエコー成分を消去した前記第二誤差信号を生成する第二減算手段と、
前記受信信号と送信信号、前記第一誤差信号と第二誤差信号、および前記第二タップ係数を入力とし、前記送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、および受信信号のレベル関係によって、前記第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を前記第二タップ係数に置き換える適応フィルタ選択手段とを備えたことを特徴とするエコーキャンセラ装置。 - 受信信号と送信信号とを入力とし、それらに基づいて生成した第一誤差信号および第二誤差信号と、前記受信信号および送信信号とからエコーキャンセラ出力信号を生成して出力するエコーキャンセラ装置において、
少なくとも前記第一誤差信号と受信信号と送信信号とを入力とし、第一タップ係数を更新するか否かの判定を行う第一適応フィルタ更新制御手段と、
前記受信信号と第一誤差信号とを入力として、所定のタップ係数更新アルゴリズムを用いて自身の持つ第一タップ係数の更新を行い、かつその第一タップ係数を用いて第一擬似エコー信号を生成する第一適応フィルタ手段と、
前記送信信号を加算入力、前記第一適応フィルタ手段より出力される第一擬似エコー信号を減算入力することで、前記送信信号からエコー成分を消去したエコーキャンセラ出力としての前記第一誤差信号を生成する第一減算手段と、
少なくとも前記受信信号を入力とし、第二タップ係数の更新を行うか否かを判定する第二適応フィルタ更新制御手段と、
前記受信信号と第二誤差信号とを入力として、前記第一適応フィルタ手段で用いられるタップ係数更新アルゴリズムとは異なったタップ係数更新アルゴリズムを用いて自信の持つ第二タップ係数の更新を行い、かつその第二タップ係数を用いて第二擬似エコー信号を生成する第二適応フィルタ手段と、
前記送信信号を加算入力、前記第二適応フィルタ手段より出力される第二擬似エコー信号を減算入力することで、前記送信信号からエコー成分を消去した前記第二誤差信号を生成する第二減算手段と、
前記受信信号と送信信号、前記第一誤差信号と第二誤差信号、および前記第二タップ係数を入力とし、前記送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、および受信信号のレベル関係によって、前記第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を前記第二タップ係数に置き換える適応フィルタ選択手段とを備えたことを特徴とするエコーキャンセラ装置。 - 第一適応フィルタ手段の第一タップ係数の更新に用いられるタップ係数更新アルゴリズムと、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数の更新に用いられるタップ係数更新アルゴリズムとに違いを持たせたことを特徴とする請求項1記載のエコーキャンセラ装置。
- 適応フィルタ選択手段が、受信信号、送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、および第二タップ係数とともに、第一タップ係数も入力し、前記送信信号、第一誤差信号、第二誤差信号、および受信信号のレベル関係によって、第一適応フィルタ手段の前記第一タップ係数を第二適応フィルタ手段の前記第二タップ係数に置き換え、もしくは前記第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を前記第一適応フィルタ手段の第一タップ係数に置き換えるものであることを特徴とする、請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載のエコーキャンセラ装置。
- 適応フィルタ選択手段が、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段の第二タップ係数に置き換える際、もしくは第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段の第一タップ係数に置き換える際に、線形的な補間方法によって当該置き換えを行うものであることを特徴とする、請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のエコーキャンセラ装置。
- 適応フィルタ選択手段による、第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を第二適応フィルタ手段の第二タップ係数に置き換えるか否かの判定結果、もしくは第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を第一適応フィルタ手段の第一タップ係数に置き換えるか否かの判定結果を入力し、それに基づいて第一乗算係数および第二乗算係数を生成する誤差信号緩衝制御手段と、
第一減算手段からの第一誤差信号を入力として、それに前記誤差信号緩衝制御手段より出力された第一乗算係数を乗じた第一乗算誤差信号を生成する第一乗算手段と、
第二減算手段からの第二誤差信号を入力として、それに前記誤差信号緩衝制御手段より出力された第二乗算係数を乗じた第二乗算誤差信号を生成する第二乗算手段と、
前記第一乗算手段からの第一乗算誤差信号および前記第二乗算手段からの第二乗算誤差信号を入力として、それら第一乗算誤差信号と第二乗算誤差信号の和を求め、それをエコーキャンセラ出力信号として出力する加算手段とを設けたことを特徴とする、請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のエコーキャンセラ装置。 - 第一適応フィルタ手段の第一タップ係数を更新する際に用いられる収束係数の値と、第二適応フィルタ手段の第二タップ係数を更新する際に用いられる収束係数の値を、互いに異なる値に設定したことを特徴とする、請求項1から請求項6のうちのいずれか1項記載のエコーキャンセラ装置。
- 第一適応フィルタ手段の持つ第一タップ係数の長さと、第二適応フィルタ手段の持つ第二タップ係数の長を、互いに異なる値に設定したことを特徴とする、請求項1から請求項7のうちのいずれか1項記載のエコーキャンセラ装置。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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