JP3565627B2 - シール材圧入装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性材のシール材を縮径して穴に自動圧入するシール材圧入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム等の弾性材からなるシール材をシール材の外径よりも径の小さな穴に圧入する場合、これまでは以下の方式がとられていた。
▲1▼ 手作業による圧入方式
▲2▼ 専用装置と治具を用いたプレス圧入方式(図10)
プレス圧入方式では、図10に示すように、弾性シール材1をその内径からエアーチャック3等のクランプ機構により保持し、挿入穴2に対して高精度に位置決めした後、圧入プレス4によりシール材側面を均等に押し、穴2に圧入する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来方式には以下の問題がある。
▲1▼ 手作業による圧入方式
手作業による弾性シール材の圧入は、シール材外径を縮めながらの圧入作業となるため、大変な労力を必要とし、非効率な作業となる。
▲2▼ 専用装置と治具を用いたプレス圧入方式
シール材を縮径せずに小さな穴に無理に圧入するため、挿入穴に対しシール材外径を高精度に位置決めする必要があり、センタリング機構を備えた複雑な装置になる。シール材が挿入穴に対して位置ずれを起こした場合、圧入プレスの押し力はシール材に部分的にしか伝わらず、シール材を圧入できないばかりかシール材外周が損傷するおそれがある
また、シール材を内径でチャックし保持、位置決めする際、シール材が弾性体であるため、チャックストロークをシール材内径に合わせて高精度に規制しなければ、シール材が変形して圧入できない。しかし、実際にはシール材内径は製品によりばらつきがあるため、シール材内径が規定寸法より小さい場合は、チャックはシール材を無理に拡げながらクランプすることとなり、シール材外径も大きくなるから圧入が困難となり、シール材内径が規定寸法より大きい場合は、チャックストロークが足りなくなるため、保持、位置決めが不安定となり、挿入穴に対する高精度な位置決めができないから、この場合も圧入が困難となる。
さらに、シール材圧入治具およびシール材クランプ機構は各品種(サイズ)に対応した専用治具が必要であるから、品種替え時には各サイズ毎の交換段取りが必要となる。
本発明の目的は、穴へのシール材の圧入を自動化でき、シール材の内外径のばらつきに影響されずに縮径して穴に挿入でき、しかもシール材のサイズ毎の治具等の段取り交換を不要にできるシール材圧入装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の装置はつぎの通りである。
(1) シール材を支持して縮径する縮径ユニットと、
前記縮径ユニットを挿入穴方向に押す圧入シリンダーと、
からなり、
前記縮径ユニットは、
シール材を外周からシール材半径方向内側に押すと共にシール材をシール材軸方向に挿入穴方向に押すクランプアームと、
前記クランプアームを駆動するクランプアーム駆動装置と、
シール材を挿入穴に対してラフに位置決めする第1の保持レバーと、
シール材の姿勢、位置を安定化させる第2の保持レバーと、
前記第1の保持レバーの高さ位置を調整する保持レバー高さ調整用モーターと、
を有している、
シール材圧入装置。
(2) 前記クランプアームが回動アームからなり、前記クランプアーム駆動装置が前記クランプアームをテーパコーンを介して回動させるクランプシリンダーからなる(1)記載のシール材圧入装置。
(3) 前記クランプアームがチャック装置の半径方向に移動される爪からなり、前記クランプアーム駆動装置が前記爪を駆動するチャック装置駆動部からなる(1)記載のシール材圧入装置。
【0005】
上記(1)の装置では、縮径ユニットでシール材を縮径し、圧入シリンダーでシール材を穴に押し込むので、従来のシール材を縮径しながらの圧入手作業が、自動化される。また、クランプアームはシール材を外周から半径方向内側に押すので、シール材の内外径のばらつきに影響されずにシール材は縮径される。また、クランプアームのストロークをシール材の各種サイズを吸収できるように大きくとっておくことにより、シール材サイズが変化したときの治具等の交換と段取りが不要になる。
上記(2)は縮径ユニットの一例に対応し、上記(3)は縮径ユニットのもう一例に対応する。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1〜図8は本発明の第1実施例に係るシール材圧入装置を示しており、図9は本発明の第2実施例に係るシール材圧入装置を示している。両実施例にわたって共通な構成部分には、両実施例にわたって同じ符号を付してある。
まず、本発明の第1、第2実施例にわたって共通な構成部分を、たとえば図1〜図8を参照して説明する。
本発明実施例のシール材圧入装置10は、弾性材(たとえば、ゴム)のシール材1を挿入穴2に圧入する装置で、挿入穴2はたとえば無限軌道帯のブッシュ穴であり、シール材1はたとえばブッシュ穴端部に圧入される環状のシール材でブッシュ穴とそこに嵌入されるピンとの間の摺動面に異物が侵入することを防止するシール材である。
【0007】
本発明実施例のシール材圧入装置10は、図1に示すように、弾性材(たとえば、ゴム)のシール材1を支持して縮径する縮径ユニット11と、縮径ユニット11をシール材軸方向(図1の左右方向)に付勢して挿入穴2方向に突き当て物に対して押す圧入シリンダー12と、からなる。圧入シリンダー12はエアシリンダーからなる。
縮径ユニット11は、シール材1をシール材の外周側からシール材半径方向内側に押す複数(たとえば4ケ)のクランプアーム13と、クランプアーム13を駆動するクランプアーム駆動装置14と、を有している。
【0008】
縮径ユニット11は、ブラケット15を有しており、クランプアーム13、クランプアーム駆動装置14はブラケット15に支持されている。ブラケット15は圧入シリンダー12に連結されて圧入シリンダー12によって挿入穴2に対して進退され、ブラケット15が移動された時クランプアーム13もクランプアーム駆動装置14もブラケット15と共に動く。
【0009】
縮径ユニット11は、図1〜図3に示すように、さらにシール材1を挿入穴2に対してラフに位置決めするための保持レバー16と、シール材1の姿勢、位置を安定化させるための保持バー17と、保持レバー16の高さを調整する保持レバー高さ調整用モーター18と、を備えている。保持レバー高さ調整用モーター18はプレート19を吊っており、プレート19を上下させる。プレート19はリンク20を介して保持レバー16を支持しており、リンク20により保持レバー16を姿勢を維持したまま前後(図3の左右方向)に移動可能に支持している。リンク20とプレート19との間にはスプリング21が張られており、保持レバー16を前方に付勢している。保持バー17は図2で左右に延びて、シール材1の図2、図3における前後、左右方向の姿勢を維持している。保持バー17は中央で下方に延び、その下端で図2で再び左右に延び、その両端部で2本のロッド22で前後方向に移動可能な状態で自重を支持され、ロッド22部位でスプリング23により前方に付勢されている。このスプリング23の付勢によって、保持バー17自体も図2における左右方向の姿勢を維持される。
【0010】
つぎに、本発明の各実施例に特有な構成を説明する。
本発明の第1実施例では、図1〜図8に示すように、クランプアーム13は支点24まわりに回動可能にブラケット15に支持された回動アームからなり、シール材1の周方向に図2に示す如く複数箇所(たとえば、4ケ)設けられている。クランプアーム13は、その前端部でシール材1を縮径させるとともに挿入穴2に押し込み、その後端部でばね25により連結されて後端部が半径方向に互いに寄せられる方向に回動付勢されている。
【0011】
クランプアーム駆動装置14はクランプシリンダー(エアシリンダー)からなり、ブラケット15によって支持されている。クランプシリンダー14のロッドにはテーパコーン26が取り付けられており、テーパコーン26のテーパ部は前端から後方に向って拡開しており、このテーパ部は各クランプアーム13の後端部に摺動自在に接触している。クランプシリンダー14がテーパコーン26を前進させると、各クランプアーム13はその前端部(シール材1に接触する側の端部)が半径方向に互いに寄せられる方向に回動され、シール材1を縮径させる。クランプアーム13はブラケット15で支持されブラケット15は圧入シリンダー12で前方に付勢されているので、クランプアーム13も前方に付勢されており、クランプアーム13の外径が挿入穴2の内径よりも小さくなる位置迄回動されたときにクランプアーム13は挿入穴2に侵入しシール材1を挿入穴2の奥へと押し込む。
【0012】
本発明の第2実施例では、図9に示すように、クランプアーム13はチャック装置27の半径方向に移動される複数の爪からなり、クランプアーム駆動装置14は爪を半径方向に駆動するチャック装置駆動部からなる。チャック装置27はブラケット15に固定されており、ブラケット15が圧入シリンダー12によって前方に付勢されるので、爪も前方に付勢されて、シール材1を前方に挿入穴2に押し込む。
【0013】
つぎに、作動を説明する。
まず、第1、第2実施例の共通の作動を説明する。
シール材1を保持レバー16で支持する。
ついで、圧入シリンダー12を作動させて縮径ユニット11を突き当て物に押し当てかつ付勢する。
ついで、クランプアーム駆動装置14を作動させてクランプアーム13の前端部を半径方向に互いに寄せ合わせシール材1を縮径させる。この縮径と圧入シリンダー12による付勢とによって、シール材1を挿入穴2に圧入し、さらに付勢によってシール材1を挿入穴2の奥へと押し込む。
【0014】
各実施例の作動は、つぎの通りである。
まず、本発明の第1実施例の作動を説明する。
図4に示す如く、圧入シリンダー12により縮径ユニット全体を突き当て物に突き当たるまで前進させる。
ついで、図5に示す如く、クランプシリンダー14を作動させテーパコーン26を前進させ、保持レバー16および保持バー17でラフに位置決めされたシール材1をクランプアーム13でセンタリングしながらクランプする。この時、クランプアーム13の前端部は円弧状に回動するため、シール材1をクランプするにはユニット全体を一定の押し力で突き当て物に押しつけつつクランプアーム13を後退させなければならない。それには、圧入シリンダー12の押し力X´はクランプシリンダー14によって発生する軸方向分力Xより小でなければならない(そうでなければクランプアーム13が回転しない)。
ついで、図6に示す如く、更にテーパコーン26を前進させ、クランプアーム13を回動し続けると、クランプアーム13とシール材1の接触角は小さくなっていき、クランプシリンダー14によって発生する半径方向分力Yの増大によりシール材1は縮径される。この段階では、半径方向分力Yが軸方向分力Xより大きくなるようにクランプアーム13の前端部のRまたはテーパの形状を設定しておくことが望ましい。
ついで、図7に示す如く、さらにテーパコーン26を前進させ、クランプし続けると、クランプアーム13が回動してシール材1の外径が挿入穴2の内径より小さくなり、圧入シリンダー12の押力によって、シール材1は挿入穴2に円滑に挿入される。
ついで、図8に示す如く、さらにテーパコーン26を前進させ、クランプし続けると、クランプアーム13の外径は挿入穴径よりも小さくなる位置まで縮径する。ここでも圧入シリンダー12の押し力X´は維持されているため、クランプアーム13前端部でシール材1の側面を押し、所定の位置までシール材を押し込むことができる。
【0015】
本発明の第2実施例の作動はつぎの通りである。
まず、圧入シリンダー12を作動させて縮径ユニット全体を突き当て物に押し当て、付勢を続ける。
ついで、チャック装置27を作動させて爪を互いに寄り合う方向に動かし、シール材1を縮径させる。シール材1が挿入穴径より小さくなると、シール材1は挿入穴2に円滑に圧入される。
爪がさらに駆動されて、爪外径が挿入穴径より小さくなると爪の先端部が挿入穴2に侵入し、シール材1を挿入穴2の奥に押し込む。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の装置によれば、縮径ユニットと圧入シリンダーを設けたので、シール材の縮径とシール材の挿入穴への押し込みを自動化できる。また、シール材を縮径して押し込むのでシール材を縮径しないで押し込む場合に比べてシール材の損傷が軽減される。さらに、クランプアームでシール材の外周から押して縮径するので、シール材の挿入穴に対する位置決めに高精度が必要でなくなり、シール材の内外径のばらつきにも影響されなくなる。
請求項2の装置によれば、請求項1の効果に加え、クランプアームを回動アームとし、テーパコーンを介して回動させるようにしたので、シール材縮径力を任意の値に設定できる。この場合、シール材押し込み力は圧入シリンダーによる押し力である。
請求項3の装置によれば、請求項1の効果に加え、クランプアームをチャック装置の爪から構成するとともに、クランプアーム駆動装置をチャック装置駆動部から構成したので、シール材縮径力をシール材押し込み力に制限されることなく任意の値に設定できる。この場合、シール材押し込み力は圧入シリンダーによる押し力である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のシール材圧入装置の側面図である。
【図2】図1の装置の一部の拡大正面図である。
【図3】図2の装置部分の側面図である。
【図4】図1の装置において、圧入シリンダーで縮径ユニットを突き当て物に突き当てた状態の部分側面図である。
【図5】図4の装置で、クランプシリンダーによりテーパコーンを前進させてクランプアームを回動させシール材を縮径していく途中の状態の側面図である。
【図6】図5よりさらにシール材を縮径した状態の装置の側面図である。
【図7】図6よりさらにシール材を縮径して挿入穴に圧入した状態の装置の側面図である。
【図8】図7よりさらにシール材を挿入穴に押し込んだ状態の装置の側面図である。
【図9】本発明の第2実施例のシール材圧入装置の側面図である。
【図10】従来のシール材プレス圧入方式を実施する装置の部分側面図である。
【符号の説明】
10 シール材圧入装置
11 縮径ユニット
12 圧入シリンダー
13 クランプアーム
14 クランプアーム駆動装置
15 ブラケット
16 保持レバー
17 保持バー
18 保持レバー高さ調整用モーター
26 テーパコーン
27 チャック装置
Claims (3)
- シール材を支持して縮径する縮径ユニットと、
前記縮径ユニットを挿入穴方向に押す圧入シリンダーと、
からなり、
前記縮径ユニットは、
シール材を外周からシール材半径方向内側に押すと共にシール材をシール材軸方向に挿入穴方向に押すクランプアームと、
前記クランプアームを駆動するクランプアーム駆動装置と、
シール材を挿入穴に対してラフに位置決めする第1の保持レバーと、
シール材の姿勢、位置を安定化させる第2の保持レバーと、
前記第1の保持レバーの高さ位置を調整する保持レバー高さ調整用モーターと、
を有している、
シール材圧入装置。 - 前記クランプアームが回動アームからなり、前記クランプアーム駆動装置が前記クランプアームをテーパコーンを介して回動させるクランプシリンダーからなる請求項1記載のシール材圧入装置。
- 前記クランプアームがチャック装置の半径方向に移動される爪からなり、前記クランプアーム駆動装置が前記爪を駆動するチャック装置駆動部からなる請求項1記載のシール材圧入装置。
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1995
- 1995-09-01 JP JP22507395A patent/JP3565627B2/ja not_active Expired - Lifetime
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