JP3565064B2 - 車両用シートのスライド装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用シートのスライド装置に関し、特に、装着容易なスライドピースを備えた車両用シートのスライド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11には従来のスライド部材(スライドピース)6を備えた車両用シートのスライド装置を示す。図において、車両フロア側に設けられるロアレール2は上方へ開放する略U字断面をなし、一方、アッパレール3は二枚の板体を重ねて形成された直立する板体部31と水平板状の下端部311とを有し、板体部31と下端部31とで略逆T字形をなしており、板体部31の下端とこの下端部311がロアレール2内に位置している。なお、アッパレール3は長手方向の複数箇所で図略のコロベアリングにより支持されてロアレール2の長手方向へ移動できるようになっている。
【0003】
スライドピース6は樹脂製で、アッパレール3の下端部311直下を水平に延びる一定厚の基部61と、基部61の両端からそれぞれ上方へ延びる脚部62,63とを有し、脚部62,63の先端はコ字形に屈曲してアッパレール下端部311の、上方へ屈曲した両側縁に係止されている。この状態で、基部61および脚部62,63の側面に形成された凸部621,631がロアレール2の左右の側壁内面に摺接してアッパレール3を水平方向で位置決めガイドするとともに、各脚部62,63の上端面に形成された凸部622,632がロアレール2の開口縁水平壁22の下面に摺接してアッパレール2を上下方向で位置決めガイドする。
【0004】
なお、ロアレール2の外周に沿ってU字形のリテーナ41が配設され、このリテーナ41によってロアレール2に沿ってカバー体4が保持されて、そのリップ部43が、ロアレール2の開口を覆うように延びてアッパレール3の板体部31に当接している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のスライド装置においては、スライドピース6をアッパレール3に装着するに際して、その両脚部62,63を大きく押し拡げつつアッパレール3の下端部311に係止する必要があるため、装着に難渋するとともに、往々にして脚部62,63が破損することがあった。
【0006】
また、アッパレール板体部31の長手方向端部にカバー体4のリップ部43が摺接することにより、リップ部43が損傷したり、リップ部43がロアレール2の開口縁とアッパレール3の板体部31との間に巻き込まれるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、アッパレールへの装着が容易なスライド部材を有する車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、レール断面の変形によるスライド荷重の変動を最小限に抑えかつ耐久性にも優れるスライド部材を有する車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらには、カバー体の損傷を防止できる車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、カバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれるのを防止できる車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明では、車両フロア側に設けられ、長手方向に沿って上面に開口が形成されたロアレール(2)と、ロアレール(2)内を摺動する下端部(311)およびロアレール(2)の開口より突出し、シートが固定される直立した板体部(31)を有するアッパレール(3)とを具備する車両用シートのスライド装置において、アッパレール板体部(31)の長手方向端部の下端へ長手方向から差し込み装着される平面視で略U字形の装着部(11)を有するとともに、水平方向と上下方向でロアレール(2)の壁面に摺接してアッパレール(3)をガイドするガイド部(12,13,14,15)を有する樹脂一体成形のスライド部材(1)を設け、ガイド部は、ロアレール(2)の壁面に向けて凸となる略円弧状に成形されその頂部(121,131,142,152)が上記壁面に摺接して壁面との相対間隔の変動に応じて弾性的に湾曲変形可能な摺接片(12,13,14,15)により構成され、摺接片(12,13,14,15)の両端は壁面との相対間隔の変動に対して変位が実質的に規制されている。
【0012】
本第1発明においては、スライド部材はアッパレール板体部の長手方向端部へ長手方向から差し込むだけで容易に装着されるとともに、装着時に破損等を生じることもない。また、レール断面が変形しても摺接片が弾性変形してこれを吸収するから、摺接片の頂部がロアレールの壁面に当接する圧力は殆ど変化せず、スライド荷重の変動は最小限に抑えられる。また、摺接片の両端は壁面に対する変位が実質的に規制されているから、いわゆる両持ち状態となっており、片持ち状態に比して変形耐久性に優れている。
【0015】
本第2発明では、上記ロアレール(2)の両開口縁にはロアレール(2)の開口を閉塞する可撓性のカバー体(4)が設けられ、上記スライド部材(1)は、アッパレール板体部(31)の長手方向端部の上記カバー体(4)と同じ高さの部分を少なくとも覆う頭部(111)を有している。
【0016】
本第2発明においては、スライド部材の頭部によって通常金属製のアッパレール板体部の長手方向端部が覆われているから、カバー体と、角部を有するアッパレール板体部の端部とが直接触れることがない。これにより、アッパレール移動時にカバー体が損傷を受ける等のおそれがない。
【0017】
本第3発明では、上記頭部(111)は上記カバー体(43)を上方へ押し拡げる形状に成形されている。
【0018】
本第3発明においては、カバー体が頭部によって上方へ押し拡げられているから、アッパレール板体部の移動に伴ってカバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれる不具合が防止される。
【0019】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1において、車両フロア側に設けられるロアレール2は上方へ開放する略U字断面をなし、その開口縁は内方へ水平に屈曲した後、下方へ垂直に屈曲している。一方、アッパレール3は二枚の板体が重ねられて形成された直立する板体部31と水平板状の下端部311とを有し、板体部31と下端部31とで略逆T字形をなしており、板体部の下端と下端部311がロアレール2内に位置するとともに、下端部311の両端は上方へ垂直に屈曲している。下端部311の下面にはレール長手方向(紙面垂直方向)の複数位置に、下方へU字形をなすブラケット32が固定されて、このブラケット32に水平に架設された支軸33にコロベアリング34が回転自在に取り付けられ、コロベアリング34がロアレール2の底壁上に位置してアッパレール3をロアレール2に沿って移動自在に支持している。
【0021】
スライド部材としてのスライドピース1はアッパレール板体部31の長手方向の端部に後述する構造で装着されている。ロアレール2の外周にはこれに沿ってU字形のリテーナ41が配設され、このリテーナ41によりロアレール2の開口縁に沿ってカバー体4が保持されている。カバー体4のリップ部43は通常は図1中の鎖線で示すように、ロアレール2の開口を覆うように延びてアッパレール3の板体部31側面に当接しているが、スライドピース1の頭部111が位置する個所では左右から延びるリップ部43は頭部111の頂面上に乗り上げて上方へ押し拡げられている。
【0022】
図2にはスライドピース1の平面図を、図3にはその側面図を示す。スライドピース1は樹脂材の一体成形品で、装着部として機能するその本体11は図3のIV−IV線断面図である図4より明らかなように平面視で略U字形をなし、その閉鎖端が既述の頭部111になるとともに、脚部112,113の開放端に近い対向面には係止突起、詳しくは三角形の楔状突起114が形成されている。スライドピース1はこの本体11を図7に示すようにアッパレール3の板体部31の長手方向端部へ水平方向から差し込むことにより楔状突起114が、アッパレール3の板体部3に形成した図略の係止部、詳しくは係止穴に係止して装着される。
【0023】
本体11は図3に示すように側面視で下方へ向く略U字形をなし、その下半には頭部111から後方へ当接片12,13が延びている。当接片12,13は図3のV −V 線断面である図5より明らかなように頭部111の左右位置からそれぞれ外方へ凸となる略円弧状に湾曲して延びており、各当接片12,13の中央頂部はさらに外方へ突出屈曲して、摺接部121,131となっている。
【0024】
また、図2に示すように、本体11の前後端部からはそれぞれ外方へ支持部141,151が延び、これら前後の支持部141,151間に当接片14,15が形成されている。これら当接片14,15は図2のVI−VI線断面である図6より明らかなように上方へ凸となる略円弧状に湾曲しており、各当接片14,15の中央頂部はさらに円形部分(図2)が上方へ突出して摺接部142,152となっている。
【0025】
このような構造のスライドピース1を図7に示すようにアッパレール3の板体部31に装着してロアレール2内に位置させると、図3のVIII−VIII線断面である図8より明らかなように、各当接片12,13の摺接部121,131はロアレール2開口縁の左右の垂直壁21外面に当接してアッパレール3を水平方向で位置決めする。また、各当接片14,15の摺接部142,152はロアレール2開口縁の水平壁22下面に当接してアッパレール3を上下方向で位置決めする。このようにして、アッパレール3はスライドピース1によって水平と上下をガイドされた状態でロアレール2に沿って移動する。
【0026】
この場合、車両フロアへの締め付け固定時にロアレール2の断面形状が変化しても、各当接片12,13,14,15はロアレール2開口縁の垂直壁21外面ないし水平壁22下面との相対間隔の変動に応じて弾性的に湾曲変形して間隔変動を吸収し、この結果、各摺接部121,131,142,152は常に適度な圧力で垂直壁21外面ないし水平壁22下面に当接する。これにより、スライド荷重の変動が最小限に抑えられる。
【0027】
また、当接片14,15は両端が支持部141,151に固定されているから水平壁22下面に対して両端部は変位せず、いわゆる両持ちの状態で当接片14,15の中央のみが変位するから変形耐久性に優れている。一方、当接片12,13は基端が本体頭部111に固定されているとともに先端はアッパレール3の板体部31側面に当接するから、結局この場合も当接片12,13の両端部は垂直壁21外面に対して変位しない。したがって、当接片12,13においても、両持ちの状態でその中央のみが変位するから変形耐久性に優れている。
【0028】
また、本実施形態においては、カバー体4のリップ部43と同じ高さの金属製アッパレール板体部31の端部が、樹脂製スライドピース1の頭部111によって覆われているから、アッパレール3の移動時にリップ部43がアッパレール板体部の角部に直接触れて損傷を受ける等のおそれがない。また、上記頭部111によって前述のようにリップ部43が下方から上方へ押し拡げられているから、アッパレール3の移動時にリップ部43が下方へ折れ曲がってアッパレール板体部31とロアレール2の開口縁との間に巻き込まれる不具合も生じない。
【0029】
(第2実施形態)
図9において、スライドピース5は樹脂材の一体成形によって全体が正面視で山の字形に成形され、中央に装着部51が、左右位置にガイド部52,53が形成されている。装着部51は平面視でU字形に成形されてアッパレール3の板体部31の長手方向端面に水平方向から差し込まれて装着されている。なお、このU字形装着部51の内面には第1実施形態におけると同様の楔状突起を形成しておくと良い。左右のガイド部52,53は上方へ立ち上がった後、内下方へ折り曲げられ、折り曲げられた頂面は長手方向の中央が高くなった摺接面521,531となっている。また、折り曲げられた内側面の中央には摺接凸部522、532(図10)が形成されている。
【0030】
このような構造のスライドピース5を装着したアッパレール3をロアレール2内に位置させると、図10に示すように、スライドピース5の各ガイド部52,53の摺接面521,531がロアレール2開口縁の水平壁22下面に当接してアッパレール3を上下方向で位置決めするとともに摺接凸部522,532がロアレール2開口縁の左右の垂直壁21内面に当接してアッパレール3を水平方向で位置決めする。このようにして、アッパレール3はスライドピース5によって水平方向と上下方向をガイドされた状態でロアレール2に沿って移動する。
【0031】
また、カバー体4のリップ部43と同じ高さのアッパレール板体部31の端面は、樹脂製スライドピース5の装着部51によって覆われているから、アッパレール3の移動時にリップ部43が損傷を受ける等のおそれはない。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本第1発明の車両用シートのスライド装置によれば、スライド部材を容易にアッパレールへ装着することができ、かつ装着時に破損等を生じることもない。また、本第2発明の車両用シートのスライド装置によれば、レール断面の変形によるスライド荷重の変動を最小限に抑えることができるとともに、耐久性にも優れている。また、本第3発明の車両用シートのスライド装置によれば、カバー体の損傷を未然に防止できる。さらに、本第4発明の車両用シートのスライド装置によれば、カバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれるのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における、スライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【図2】スライドピースの平面図である。
【図3】スライドピースの側面図である
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3のV −V 線に沿った断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】スライドピースの全体斜視図である。
【図8】図3のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における、スライドピースを設けたアッパレール端部の斜視図である。
【図10】スライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【図11】従来のスライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【符号の説明】
1…スライドピース、11…本体、111…頭部、12,13,14,15…摺接片、121,131,142,152…摺接部、2…ロアレール、3…アッパレール、31…アッパレール板体部、4…カバー体、43…リップ部。
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用シートのスライド装置に関し、特に、装着容易なスライドピースを備えた車両用シートのスライド装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11には従来のスライド部材(スライドピース)6を備えた車両用シートのスライド装置を示す。図において、車両フロア側に設けられるロアレール2は上方へ開放する略U字断面をなし、一方、アッパレール3は二枚の板体を重ねて形成された直立する板体部31と水平板状の下端部311とを有し、板体部31と下端部31とで略逆T字形をなしており、板体部31の下端とこの下端部311がロアレール2内に位置している。なお、アッパレール3は長手方向の複数箇所で図略のコロベアリングにより支持されてロアレール2の長手方向へ移動できるようになっている。
【0003】
スライドピース6は樹脂製で、アッパレール3の下端部311直下を水平に延びる一定厚の基部61と、基部61の両端からそれぞれ上方へ延びる脚部62,63とを有し、脚部62,63の先端はコ字形に屈曲してアッパレール下端部311の、上方へ屈曲した両側縁に係止されている。この状態で、基部61および脚部62,63の側面に形成された凸部621,631がロアレール2の左右の側壁内面に摺接してアッパレール3を水平方向で位置決めガイドするとともに、各脚部62,63の上端面に形成された凸部622,632がロアレール2の開口縁水平壁22の下面に摺接してアッパレール2を上下方向で位置決めガイドする。
【0004】
なお、ロアレール2の外周に沿ってU字形のリテーナ41が配設され、このリテーナ41によってロアレール2に沿ってカバー体4が保持されて、そのリップ部43が、ロアレール2の開口を覆うように延びてアッパレール3の板体部31に当接している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のスライド装置においては、スライドピース6をアッパレール3に装着するに際して、その両脚部62,63を大きく押し拡げつつアッパレール3の下端部311に係止する必要があるため、装着に難渋するとともに、往々にして脚部62,63が破損することがあった。
【0006】
また、アッパレール板体部31の長手方向端部にカバー体4のリップ部43が摺接することにより、リップ部43が損傷したり、リップ部43がロアレール2の開口縁とアッパレール3の板体部31との間に巻き込まれるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、アッパレールへの装着が容易なスライド部材を有する車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、レール断面の変形によるスライド荷重の変動を最小限に抑えかつ耐久性にも優れるスライド部材を有する車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらには、カバー体の損傷を防止できる車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、カバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれるのを防止できる車両用シートのスライド装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本第1発明では、車両フロア側に設けられ、長手方向に沿って上面に開口が形成されたロアレール(2)と、ロアレール(2)内を摺動する下端部(311)およびロアレール(2)の開口より突出し、シートが固定される直立した板体部(31)を有するアッパレール(3)とを具備する車両用シートのスライド装置において、アッパレール板体部(31)の長手方向端部の下端へ長手方向から差し込み装着される平面視で略U字形の装着部(11)を有するとともに、水平方向と上下方向でロアレール(2)の壁面に摺接してアッパレール(3)をガイドするガイド部(12,13,14,15)を有する樹脂一体成形のスライド部材(1)を設け、ガイド部は、ロアレール(2)の壁面に向けて凸となる略円弧状に成形されその頂部(121,131,142,152)が上記壁面に摺接して壁面との相対間隔の変動に応じて弾性的に湾曲変形可能な摺接片(12,13,14,15)により構成され、摺接片(12,13,14,15)の両端は壁面との相対間隔の変動に対して変位が実質的に規制されている。
【0012】
本第1発明においては、スライド部材はアッパレール板体部の長手方向端部へ長手方向から差し込むだけで容易に装着されるとともに、装着時に破損等を生じることもない。また、レール断面が変形しても摺接片が弾性変形してこれを吸収するから、摺接片の頂部がロアレールの壁面に当接する圧力は殆ど変化せず、スライド荷重の変動は最小限に抑えられる。また、摺接片の両端は壁面に対する変位が実質的に規制されているから、いわゆる両持ち状態となっており、片持ち状態に比して変形耐久性に優れている。
【0015】
本第2発明では、上記ロアレール(2)の両開口縁にはロアレール(2)の開口を閉塞する可撓性のカバー体(4)が設けられ、上記スライド部材(1)は、アッパレール板体部(31)の長手方向端部の上記カバー体(4)と同じ高さの部分を少なくとも覆う頭部(111)を有している。
【0016】
本第2発明においては、スライド部材の頭部によって通常金属製のアッパレール板体部の長手方向端部が覆われているから、カバー体と、角部を有するアッパレール板体部の端部とが直接触れることがない。これにより、アッパレール移動時にカバー体が損傷を受ける等のおそれがない。
【0017】
本第3発明では、上記頭部(111)は上記カバー体(43)を上方へ押し拡げる形状に成形されている。
【0018】
本第3発明においては、カバー体が頭部によって上方へ押し拡げられているから、アッパレール板体部の移動に伴ってカバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれる不具合が防止される。
【0019】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1において、車両フロア側に設けられるロアレール2は上方へ開放する略U字断面をなし、その開口縁は内方へ水平に屈曲した後、下方へ垂直に屈曲している。一方、アッパレール3は二枚の板体が重ねられて形成された直立する板体部31と水平板状の下端部311とを有し、板体部31と下端部31とで略逆T字形をなしており、板体部の下端と下端部311がロアレール2内に位置するとともに、下端部311の両端は上方へ垂直に屈曲している。下端部311の下面にはレール長手方向(紙面垂直方向)の複数位置に、下方へU字形をなすブラケット32が固定されて、このブラケット32に水平に架設された支軸33にコロベアリング34が回転自在に取り付けられ、コロベアリング34がロアレール2の底壁上に位置してアッパレール3をロアレール2に沿って移動自在に支持している。
【0021】
スライド部材としてのスライドピース1はアッパレール板体部31の長手方向の端部に後述する構造で装着されている。ロアレール2の外周にはこれに沿ってU字形のリテーナ41が配設され、このリテーナ41によりロアレール2の開口縁に沿ってカバー体4が保持されている。カバー体4のリップ部43は通常は図1中の鎖線で示すように、ロアレール2の開口を覆うように延びてアッパレール3の板体部31側面に当接しているが、スライドピース1の頭部111が位置する個所では左右から延びるリップ部43は頭部111の頂面上に乗り上げて上方へ押し拡げられている。
【0022】
図2にはスライドピース1の平面図を、図3にはその側面図を示す。スライドピース1は樹脂材の一体成形品で、装着部として機能するその本体11は図3のIV−IV線断面図である図4より明らかなように平面視で略U字形をなし、その閉鎖端が既述の頭部111になるとともに、脚部112,113の開放端に近い対向面には係止突起、詳しくは三角形の楔状突起114が形成されている。スライドピース1はこの本体11を図7に示すようにアッパレール3の板体部31の長手方向端部へ水平方向から差し込むことにより楔状突起114が、アッパレール3の板体部3に形成した図略の係止部、詳しくは係止穴に係止して装着される。
【0023】
本体11は図3に示すように側面視で下方へ向く略U字形をなし、その下半には頭部111から後方へ当接片12,13が延びている。当接片12,13は図3のV −V 線断面である図5より明らかなように頭部111の左右位置からそれぞれ外方へ凸となる略円弧状に湾曲して延びており、各当接片12,13の中央頂部はさらに外方へ突出屈曲して、摺接部121,131となっている。
【0024】
また、図2に示すように、本体11の前後端部からはそれぞれ外方へ支持部141,151が延び、これら前後の支持部141,151間に当接片14,15が形成されている。これら当接片14,15は図2のVI−VI線断面である図6より明らかなように上方へ凸となる略円弧状に湾曲しており、各当接片14,15の中央頂部はさらに円形部分(図2)が上方へ突出して摺接部142,152となっている。
【0025】
このような構造のスライドピース1を図7に示すようにアッパレール3の板体部31に装着してロアレール2内に位置させると、図3のVIII−VIII線断面である図8より明らかなように、各当接片12,13の摺接部121,131はロアレール2開口縁の左右の垂直壁21外面に当接してアッパレール3を水平方向で位置決めする。また、各当接片14,15の摺接部142,152はロアレール2開口縁の水平壁22下面に当接してアッパレール3を上下方向で位置決めする。このようにして、アッパレール3はスライドピース1によって水平と上下をガイドされた状態でロアレール2に沿って移動する。
【0026】
この場合、車両フロアへの締め付け固定時にロアレール2の断面形状が変化しても、各当接片12,13,14,15はロアレール2開口縁の垂直壁21外面ないし水平壁22下面との相対間隔の変動に応じて弾性的に湾曲変形して間隔変動を吸収し、この結果、各摺接部121,131,142,152は常に適度な圧力で垂直壁21外面ないし水平壁22下面に当接する。これにより、スライド荷重の変動が最小限に抑えられる。
【0027】
また、当接片14,15は両端が支持部141,151に固定されているから水平壁22下面に対して両端部は変位せず、いわゆる両持ちの状態で当接片14,15の中央のみが変位するから変形耐久性に優れている。一方、当接片12,13は基端が本体頭部111に固定されているとともに先端はアッパレール3の板体部31側面に当接するから、結局この場合も当接片12,13の両端部は垂直壁21外面に対して変位しない。したがって、当接片12,13においても、両持ちの状態でその中央のみが変位するから変形耐久性に優れている。
【0028】
また、本実施形態においては、カバー体4のリップ部43と同じ高さの金属製アッパレール板体部31の端部が、樹脂製スライドピース1の頭部111によって覆われているから、アッパレール3の移動時にリップ部43がアッパレール板体部の角部に直接触れて損傷を受ける等のおそれがない。また、上記頭部111によって前述のようにリップ部43が下方から上方へ押し拡げられているから、アッパレール3の移動時にリップ部43が下方へ折れ曲がってアッパレール板体部31とロアレール2の開口縁との間に巻き込まれる不具合も生じない。
【0029】
(第2実施形態)
図9において、スライドピース5は樹脂材の一体成形によって全体が正面視で山の字形に成形され、中央に装着部51が、左右位置にガイド部52,53が形成されている。装着部51は平面視でU字形に成形されてアッパレール3の板体部31の長手方向端面に水平方向から差し込まれて装着されている。なお、このU字形装着部51の内面には第1実施形態におけると同様の楔状突起を形成しておくと良い。左右のガイド部52,53は上方へ立ち上がった後、内下方へ折り曲げられ、折り曲げられた頂面は長手方向の中央が高くなった摺接面521,531となっている。また、折り曲げられた内側面の中央には摺接凸部522、532(図10)が形成されている。
【0030】
このような構造のスライドピース5を装着したアッパレール3をロアレール2内に位置させると、図10に示すように、スライドピース5の各ガイド部52,53の摺接面521,531がロアレール2開口縁の水平壁22下面に当接してアッパレール3を上下方向で位置決めするとともに摺接凸部522,532がロアレール2開口縁の左右の垂直壁21内面に当接してアッパレール3を水平方向で位置決めする。このようにして、アッパレール3はスライドピース5によって水平方向と上下方向をガイドされた状態でロアレール2に沿って移動する。
【0031】
また、カバー体4のリップ部43と同じ高さのアッパレール板体部31の端面は、樹脂製スライドピース5の装着部51によって覆われているから、アッパレール3の移動時にリップ部43が損傷を受ける等のおそれはない。
【0032】
【発明の効果】
以上のように、本第1発明の車両用シートのスライド装置によれば、スライド部材を容易にアッパレールへ装着することができ、かつ装着時に破損等を生じることもない。また、本第2発明の車両用シートのスライド装置によれば、レール断面の変形によるスライド荷重の変動を最小限に抑えることができるとともに、耐久性にも優れている。また、本第3発明の車両用シートのスライド装置によれば、カバー体の損傷を未然に防止できる。さらに、本第4発明の車両用シートのスライド装置によれば、カバー体がロアレールの開口縁とアッパレールの板体部との間に巻き込まれるのを効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における、スライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【図2】スライドピースの平面図である。
【図3】スライドピースの側面図である
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】図3のV −V 線に沿った断面図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】スライドピースの全体斜視図である。
【図8】図3のVIII−VIII線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態における、スライドピースを設けたアッパレール端部の斜視図である。
【図10】スライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【図11】従来のスライドピースを設けたスライド装置の断面図である。
【符号の説明】
1…スライドピース、11…本体、111…頭部、12,13,14,15…摺接片、121,131,142,152…摺接部、2…ロアレール、3…アッパレール、31…アッパレール板体部、4…カバー体、43…リップ部。
Claims (3)
- 車両フロア側に設けられ、長手方向に沿って上面に開口が形成されたロアレールと、前記ロアレール内を摺動する下端部および前記ロアレールの開口より突出し、シートが固定される直立した板体部を有するアッパレールと、を具備する車両用シートのスライド装置において、前記アッパレール板体部の長手方向端部の下端へ長手方向から差し込み装着される平面視で略U字形の装着部を有するとともに、水平方向と上下方向で前記ロアレールの壁面に摺接して前記アッパレールをガイドするガイド部を有する樹脂一体成形のスライド部材を設け、前記ガイド部は、前記ロアレールの壁面に向けて凸となる略円弧状に成形されその頂部が前記壁面に摺接して壁面との相対間隔の変動に応じて弾性的に湾曲変形可能な摺接片により構成され、前記摺接片の両端は前記壁面との相対間隔の変動に対して変位が実質的に規制されていることを特徴とする車両用シートのスライド装置。
- 前記ロアレールの両開口縁にはロアレールの開口を閉塞する可撓性のカバー体が設けられ、前記スライド部材は、前記アッパレール板体部の長手方向端部の前記カバー体と同じ高さの部分を少なくとも覆う頭部を有している請求項1に記載の車両用シートのスライド装置。
- 前記頭部は前記カバー体を上方へ押し拡げる形状に成形されている請求項2に記載の車両用シートのスライド装置。
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