JP3563957B2 - カードリーダのカード強制排出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カードリーダのカード強制排出方法に関する。さらに詳述すると、本発明はカードリーダのカード通路内に詰まったカードを強制的に排出する場合の強制排出方法に関するものである。なお、本明細書においてカードリーダとは、記録データの読み込み専用のものに限らず、記録データの読み込みとデータの書き込みを行うものを含むものを意味している。
【0002】
【従来の技術】
クレジットカードやプリペードカード等の磁気カードを処理するカードリーダでは、磁気カードをカード通路内に取り込んで当該カード通路内に配置された磁気ヘッドでカードの磁気記録の処理を行っている。処理を終えたカードは、カード通路の奥端側から排出されたり、あるいはカード挿入口に戻されて排出される。
【0003】
ところで、カードはその管理状態によって湾曲又は変形したりオイル等が付着することがあり、このようなカードがカード通路内に挿入されると、カードジャムと称するカード通路内にカードが詰まってしまう現象が発生することがある。このため、カードジャムの発生を検出した場合にカード搬送用ローラを駆動するモータの回転力をカード通路に沿って掛け回されたチェーンに伝え、チェーンに取り付けられた突片をカードに引っかけてこれを押し出すカード強制排出機構がある(特開平8−7050号)。
【0004】
かかるカード強制排出機構では、カードジャムの発生を検出した場合に電磁ソレノイドによってクラッチ歯車をその軸方向一側に移動させて排出歯車に噛み合わせることで、モータによって回転される駆動歯車の回転力を駆動歯車→クラッチ歯車→排出歯車→チェーンへと伝えている。そして、カードを強制排出した突片がカード搬送路から外れた所定位置に到達すると、クラッチ歯車がその軸方向他側に移動されて排出歯車との噛合を解除され、以後、モータの回転力はカード搬送用ローラのみに伝達される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カードを強制排出してモータを停止させた状態では、チェーン側からの反力が排出歯車に作用しており、クラッチ歯車と排出歯車とは互いに押し合うようにして噛合している。このため、クラッチ歯車と排出歯車との間には大きな摩擦力が作用しており、クラッチ歯車を排出歯車から外すことが困難になる虞がある。
【0006】
本発明は、カードを強制的に排出した後にクラッチ歯車と排出歯車との噛合を確実に解除することができるカードリーダのカード強制排出方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、駆動モータで回転駆動される駆動ローラによりカードをカード通路内で搬送するとともに、駆動モータによって駆動される駆動歯車と、駆動歯車に噛合可能に支持されたクラッチ歯車と、該クラッチ歯車によって回転駆動される排出歯車と、クラッチ歯車を移動させてクラッチ歯車を駆動歯車に噛合させ排出歯車を回転させる駆動手段と、排出歯車によってカード通路内を移動される強制排出部材とを設けてなるカードリーダのカード強制排出方法において、駆動手段によってクラッチ歯車を駆動歯車に噛合させ排出歯車を回転させて強制排出部材によりカードを強制排出するとともに、強制排出部材の停止位置において駆動モータをカード送り速度よりは低速で停止位置に至る方向とは逆方向に逆回転させた後、駆動手段によるクラッチ歯車の噛合を解除することを特徴とするものである。
【0008】
カードを強制排出して駆動モータを停止させた状態では、強制排出部材からの反力が排出歯車に作用しており、クラッチ歯車と排出歯車とは互いに押し合うようにして噛合している。したがって、クラッチ歯車と排出歯車との間には大きな摩擦力が作用している。この状態より、駆動モータを逆回転させると、クラッチ歯車がバックラッシュを利用して排出歯車から離れ又は各歯車間の押し合い力が弱まり上記摩擦力を減少させる。このため、クラッチ歯車を排出歯車からスムーズに切り離すことができる。この時、クラッチ歯車をカード送り速度よりも低速で逆回転させているので、クラッチ歯車と駆動歯車とが他の歯同士を再度噛合させる前にクラッチ歯車を排出歯車から切り離すことができる。
【0009】
また、請求項2記載のカードリーダのカード強制排出方法は、強制排出部材の停止位置を設定するための検出手段を設け、駆動モータをカード送り速度よりは低速で逆回転をさせた後、駆動モータを正回転させ検出手段の検出出力の変化によりクラッチ歯車の噛合解除を確認するようにしたことを特徴とするものである。クラッチ歯車と排出歯車の噛合が解除されている場合には、駆動モータの回転力は排出歯車には伝わらない。したがって、駆動モータを回転させても強制排出部材は停止したままであり、検出手段の出力は変化しない。一方、クラッチ歯車と排出歯車の噛合が解除されていない場合には、駆動モータの回転が排出歯車に伝わる。クラッチ歯車の噛合解除を操作した後で検出手段の検出出力を一定時間監視することで、クラッチ歯車の噛合が実際に解除されたか否かを確認することができる。
【0010】
また、請求項3記載のカードリーダのカード強制排出方法は、駆動歯車を、駆動モータによって駆動されるプーリに対して所定の回転角度の範囲で回転可能にしてプーリにより従動回転するように構成し、駆動モータを正回転させた時、プーリを所定の回転角度以上回転させ、プーリを駆動歯車に衝合させるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
したがって、駆動歯車側にカードを搬送する搬送用ローラを接続することで、この搬送用ローラを駆動モータに対して相対回転させることが可能となり、この駆動モータによって駆動される他の搬送用ローラとの間の回転差を吸収することがでる。即ち、回転差吸収用のクラッチ機構を設けた場合であっても、上述のカード強制排出方法を実施することができる。
【0012】
さらに、請求項4記載のカードリーダのカード強制排出方法は、駆動手段はクラッチ歯車を移動させるソレノイドを有するものであることを特徴とするものである。したがって、ソレノイドによってクラッチ歯車を移動させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1に、本発明に係るカード強制排出方法を使用するカードリーダ1を示す。カードリーダ1は、磁気情報の記録再生が可能なカードCをカード挿入口2からカード通路3内に取り込んで磁気情報を処理するもので、ここでは、処理を終えた磁気カードCをカード挿入口2と反対側のカード排出口31から排出する往動走行方式を採用している。
【0015】
カードCは、塩化ビニール製のカード本体の一側長手方向に図示しない磁気ストライプを設けている。この磁気ストライプには、磁気情報が記録されていて、カード通路3に臨んで配置される磁気ヘッド7により磁気情報が読み取られたり、磁気情報の記録、更新がなされる。
【0016】
カードリーダ1は、カード挿入口2から矢印aで示すカード挿入方向に向かって延出形成されるカード通路3に挿入されるカードCを搬送する搬送ローラ対4,5,6、カードCの磁気処理を行う磁気ヘッド7、及びカード通路3内に詰まったカードCを排出させるカード強制排出機構10を備えている。カード通路3は、左右を側板11(一側のみ図示)、上下を上ガイド板と下ガイド板とでそれぞれ覆われている。
【0017】
搬送ローラ対4,5,6は、カード挿入口2からカード排出口31に向かって配置されていて、駆動ローラ4a,5a,6aと従動ローラ4b,5b,6bとからそれぞれ構成されており、駆動ローラ4a,5a,6aと従動ローラ4b,5b,6bは、カード通路3を挟んで互いに対向配置されている。駆動ローラ4a,5a,6aは、カード通路3の下方に設けられていて、側板11に枢支される駆動軸15,16,17にそれぞれ固定されている。従動ローラ4b,5b,6bは、カード通路3の上方にそれぞれ設けられていて、駆動ローラ4a,5a,6aの周面とカード通路3内で接触している。
【0018】
駆動軸15,16には、ベルト19が巻き掛けられるプーリ20,21が側板11の外側でそれぞれ固定されている。プーリ21の両側には回転自在なローラ23,24が、又、プーリ20の横には回転自在なローラ27が配設されており、ローラ27を調整することでベルト19にテンションを与えている。駆動軸16には、駆動モータ25で回転駆動されるベルト26が巻き掛けられる駆動プーリ28が固定されている。また、駆動軸17には、ベルト19が巻き掛けられるプーリ22が側板11の外側で相対回転可能に取り付けられている。
【0019】
駆動モータ25は、駆動ローラ4a,5a,6aを図中反時計回りに回転駆動するように回転し、カードCをカード挿入口2からカード排出口31に向けて搬送するように図示しない制御手段の制御下におかれている。また、駆動モータ25は、カードCがカード通路3内に所定時間以上挿入状態に置かれると停止するようになっている。この所定時間の検出には、カード通路3に沿って設けられる光学式の複数のカードセンサ32が用いられており、各センサ32の間を図示しない制御手段に設定される所定時間でカードCが通過しないと、カード詰まり信号を発しカード強制排出機構10の駆動手段41を駆動するようになっている。
【0020】
磁気ヘッド7は、駆動ローラ5aの軸線上に配置されていて、カード通路3内にそのヘッド面を臨ませている。磁気ヘッド7はカード通路3に向けて図示しないばねによって付勢されており、搬送されるカードCの磁気ストライプに一定の押圧力(パッド圧)で摺動するようになっている。
【0021】
カード強制排出機構10は、駆動軸17に取り付けられた駆動歯車36、カードリーダ1の基部である側板11に支持された支持軸37に設けられたクラッチ歯車38、側板11に支持された枢軸39に固定された排出歯車40、駆動歯車36に対してクラッチ機構38を接離させる駆動手段41、及び枢軸39に設けられた第1スプロケット42と搬送ローラ対4,5の間に配設される枢軸43に設けられた第2スプロケット44とに掛け渡されたチェーン45に設けられた強制排出部材としての爪(係合突片)46とを備えている。駆動手段41は、図2に示すように、支持軸37と係合する移動板47,当該移動板47を摺動させるプランジャとしての電磁ソレノイド48とを備えている。
【0022】
駆動歯車36は、図3に示すように、駆動軸17に固定されており、当該駆動軸17には、プーリ22の凸部22aに当接可能なピン33が取り付けられている。したがって、プーリ22の回転は、凸部22a→ピン33→駆動軸17→駆動歯車36へと伝達される。即ち、ピン33と凸部22aとがいわゆるピンクラッチ機構を構成しており、凸部22aがピン33に当たっていない状態ではプーリ22は空回りして駆動歯車36には回転力は伝わらず、一方、凸部22aがピン33に当たった後には駆動歯車36はプーリ22と一体となって回転する。また、支持軸37は、側板11に形成された貫通孔11bに摺動自在に支持されている。この支持軸37の先端37a側には、ストッパリング37b,37cが間隔を置いて設けられている。
【0023】
クラッチ歯車38は、ストッパリング37b,37cの間の支持軸37上に摺動自在に設けられている。クラッチ歯車38の外端面とストッパリング37bとの間には、ねじりコイルばね49が巻装されている。ねじりコイルばね49は、クラッチ歯車38を駆動歯車36に噛合させる向きに付勢している。クラッチ歯車38は、常時、排出歯車40と噛合している。
【0024】
移動板47は、支持軸37の軸方向に延出形成されていて、その先端47aを電磁ソレノイド48の可動ロッド48aとピン50を介して連結されており、電磁ソレノイド48を支持するブラケット53上に配置されている。移動板47には、その長手方向に向かって長孔47b,47dが形成されている。この長孔47b,47dには、電磁ソレノイド48をブラケット53に締結するねじ51,52がそれぞれ貫通緩嵌されており、移動板47をブラケット53上で摺動自在としている。移動板47の中間部には、支持軸37にピン54を介して係合するアーム部47cが、支持軸37に向かって屈曲延出して形成されている。
【0025】
電磁ソレノイド48は、カードCがカード通路内に詰まったとき駆動されるもので、ここでは、カードセンサ32がカード詰まりを検知すると通電されて駆動するようになっている。電磁ソレノイド48は、ピン50と本体との間の可動ロッド48aに巻装されるコイルばね56によって、通常、図2に実線で示す初期位置に付勢されていて、通電されると可動ロッド48aを2点鎖線で示す位置まで引き込むプルタイプのものが用いられており、移動板47を、矢印bで示すクラッチ歯車38と駆動歯車36とが噛合する方向に摺動するようになっている。
【0026】
排出歯車40は、側板11に軸受55を介して回転自在に支持されて枢軸39に固定されている。排出歯車40はその歯幅が広く形成されており、クラッチ歯車38が移動しても常にこれと噛合している。
【0027】
第1スプロケット42は、枢軸39の側板11より内方の部位に固定されていて、カード通路3の下方に配置されており、図1に示す第2スプロケット44と平行に設けられている。第1,第2スプロケット42,44には、カード通路3に対して平行となるようにチェーン45が巻き掛けられており、爪46をカード通路3内に進入可能としている。爪46は、図4に示すように、カードCの厚さよりもカード通路3の上下方向に向かって幅広に形成されており、チェーン45を構成する1つのリンク45aに固定されている。なお、ここでは爪46を1つのリンク45aだけに設けたが、隣り合うリンクにもそれぞれ設けて複数としても良い。
【0028】
第1スプロケット42の下方、即ち第1スプロケット42を挟んだカード通路3とは反対側の位置には、爪46を検出する光学式のホームポジションセンサ34が設けられている。このホームポジションセンサ34は、爪46の停止位置を設定するための検出手段であり、爪46が当該停止位置に停止している場合には暗信号を出力し、爪46が停止位置から外れている場合には明信号を出力する。停止位置はカード通路3から外れた位置であり、ホームポジションセンサ34が暗信号を出力している場合には、爪46はカード通路3から完全に外れている。
【0029】
なお、各センサ32,34からの出力信号は図示しない制御手段に供給されている。この制御手段は、例えばマイクロコンピュータであり、所定のプログラムに従って駆動モータ25及び電磁ソレノイド48を操作する。
【0030】
このように構成したカードリーダ1とカード強制排出機構10の動作を説明する。カードCをカード挿入口2に差し込み、このカードCを一番カード挿入口2に近いカードセンサ32が検知すると、駆動モータ25が始動してベルト26を反時計方向に回転駆動させ、この回転がプーリ21及びベルト19を介して各駆動軸15,16,17に伝達されて搬送ローラ対4,5,6を駆動し、カードCを取り込んで搬送する。
【0031】
カード通路3内に取り込まれたカードCは、磁気ヘッド7によって磁気ストライプに磁気情報の読み込み、記録更新、確認(ベリファイ)等の一連の磁気情報処理を行われる。そして、この処理が終了するとカードCはカード挿入口2に向かって搬送され、このカード挿入口2から排出される。この時、カードCの先端がカード挿入口2から突出し、各搬送ローラ対のうち搬送ローラ対4のみがカードCを狭持する状態になると、駆動モータ25が停止する。しかしながら、搬送ローラ対4を駆動する駆動軸15はプーリ20との間に凸部とピン33とで構成される駆動軸17のピンクラッチ機構と同構造のピンクラッチ機構を設けているので、駆動モータ25の停止によりプーリ20が回転不能となっても駆動軸15を空回りさせてカードCを引き抜くことができる。また、このピンクラッチ機構は、カードCの搬送時において、搬送ローラ対5と他の搬送ローラ対との回転差を吸収する。
【0032】
一方、カードCの搬送途中において、カード通路3内に取り込まれたカードCが、所定時間以上カード通路3内に位置したり、あるいは、カード通路3内での移動速度が著しく遅くなると、カード通路3に配置されるカードセンサ32がカード詰まりと検知して、一旦駆動モータ25を停止し、電磁ソレノイド48を駆動して可動ロッド48aを図2に示す実線位置から矢印b方向に向かって移動する。すると、移動板47が矢印b方向に摺動されるので、ピン54を介して連結している支持軸37が、ストッパリンク37bでコイルばね49を押し縮めながら貫通孔11b内を摺動し、二点鎖線で示す位置まで移動する。支持軸37のこの摺動により、クラッチ歯車38は、図3に実線で示すように変位されて駆動歯車36の歯と歯の間に滑り込んで噛合する。
【0033】
このとき、クラッチ歯車38と駆動歯車36の歯の位置関係によりこれらが噛合しないこともある。このため、電磁ソレノイド48を作動させた後、駆動モータ25を先ず低速で回転させる。これにより、たとえクラッチ歯車38と駆動歯車36とが噛合していない場合であっても駆動歯車36の歯の位置をクラッチ歯車38の歯の位置からずらしてクラッチ歯車38と駆動歯車36とを噛合させることができる。クラッチ歯車38は回転している駆動歯車36に噛合することになるが、駆動歯車36は低速で回転しているので、クラッチ歯車38及び駆動歯車36の歯の破損を防止することができる。
【0034】
駆動歯車36の回転はクラッチ歯車38を介して排出歯車40に伝達され、第1スプロケット42を回転させる。すると、チェーン45が回転するので、爪46がカード通路3内に進入して図4に示すように、詰まったカードCと当接し、当該カードCをひっかけてカード通路3内を搬送する。これにより、カード挿入口2又はカード排出口31からカードCが強制的に排出される。
【0035】
ここで、本発明に係るカード強制排出方法では、カードCを強制的に排出し終えた後、図5及び図6に示す手順で爪46をホームポジション35に戻す。即ち、先ず、駆動モータ25を各搬送ローラ対4,5,6でカードCを搬送する場合と同じ標準速度(例えば、19cm/s)で回転させて爪46を排出方向に標準速度で移動させる(ステップS61)。そして、ホームポジションセンサ34が爪46を検出するまで、即ちホームポジションセンサ34の信号が明信号から暗信号に変わるまで爪46を移動し続けた(ステップS62,S63)後、このホームポジション35を一旦通過させて停止させる(ステップS64)。次に、ステップS65では、駆動モータ25を高速(例えば、38cm/s)で例えば650パルス分だけ逆転させる。これにより、プーリ22の凸部22aとピン33とで構成されるピンクラッチ機構においてプーリ22が駆動軸17に対して空転し、ピン33の一側に当接していた凸部22aが回転してピン33の他側に当接する。即ち、ピンクラッチ機構の空転分だけ駆動モータ25を高速で逆転させて、ピンクラッチ機構を逆転方向に接続する。
【0036】
次に、ステップS66において、駆動モータ25を超低速(例えば、25mm/s)で逆転させる。これにより、駆動歯車36もゆっくりと逆転し、ホームポジション35を通過した位置に停止している爪46をゆっくりとホームポジション35に戻す。そして、爪46がホームポジション35に到達しホームポジションセンサが暗信号を出力すると(ステップS67)、コントローラは駆動モータ25を例えば32パルス分駆動させて爪46をさらに後退させる(ステップS68)。これにより、爪46がホームポジションセンサ34の中央位置に正確に位置決めすることができる。したがって、制御手段は爪46の位置を常に把握しておくことができ、爪46を確実にカード通路3から退避させることができると共に、爪46の正確な制御が容易になる。
【0037】
爪46がホームポジションセンサ34の中央位置、即ちホームポジション35に停止すると、駆動モータ25が停止すると共に、電磁ソレノイド48への通電が断たれる(ステップS69)。電磁ソレノイド48への通電が断たれると、回動ロッド48aに巻装したコイルばね56のばね力により移動板47が、図2に示す矢印d方向に移動して、ピン54を介して一体の支持軸が摺動してクラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合が解除される。
【0038】
ここで、クラッチ歯車38には爪46及びチェーン45側からの反力が作用しており、クラッチ歯車38の歯が駆動歯車36の歯に押し付けられるようにして噛合していることがある。この場合には、電磁ソレノイド48への通電が断たれても互いの歯の間に作用する摩擦力によって噛合が解除されないことがある。しかしながら、本発明に係るカード強制排出方法では、クラッチ歯車38と駆動歯車36との間のバックラッシュを利用して前記摩擦力を消滅又は減少させてクラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合を解除する。
【0039】
つまり、ステップS70において、駆動モータ25を高速でステップS65の場合とは逆方向に例えば650パルス分だけ回転させる。これにより、ピンクラッチ機構においてプーリ22が駆動軸17に対して空転し、ピン33の他側に当接していた凸部22aが回転してピン33の一側に当接する。即ち、プーリ22を回転させてこのプーリ22を駆動歯車36に衝合させる。これにより、ステップS65の場合とは反対の正転方向にピンクラッチ機構が接続される。次に、ステップS71において駆動モータ25が超低速で駆動され、クラッチ歯車38に対して駆動歯車36を回転させる。上記摩擦力によって電磁ソレノイド48への通電が断たれた後もクラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合が解除されない場合であっても、クラッチ歯車38に対して駆動歯車36が僅かに回転すると上記摩擦力が消滅又は減少し、コイルばね56のばね力によってクラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合が確実に解除される。このとき、駆動歯車36は超低速で回転しているので、クラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合が解除される前にこれらクラッチ歯車38と駆動歯車36の別の歯同士が再度噛合してしまうことがなく、クラッチ歯車38の噛合解除をより確実なものとすることができる。したがって、以降駆動モータ25が回転し続けても爪46は移動しない。
【0040】
その後、駆動モータ25は、クラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合が解除されていないと仮定した場合に爪46が移動してホームポジションセンサ34から外れるまでに要する時間よりも若干長い時間、例えば1.5秒間だけ回転する。この間にホームポジションセンサ34が明信号を出力しなければ、クラッチ歯車38と駆動歯車36の噛合が解除されて爪46は停止していると考えられるので、ステップS72,S73からステップS74に進んで駆動モータ25は停止する。一方、駆動モータ25が1.5秒間回転する間にホームポジションセンサ34が明信号を出力した場合には、クラッチ歯車38は駆動歯車36に噛合したままの状態であり爪46が移動していると考えられるので、ステップS72からステップS65に戻り、再度、クラッチ歯車38と駆動歯車36との噛合を解除するための操作が繰り返えし行われる。
【0041】
このように、駆動モータ25をカード送り速度よりは低速で停止位置に至る方向とは逆方向に逆回転させた後、駆動モータ25を正回転させホームポジションセンサ34の検出出力の変化によりクラッチ歯車38の噛合解除を確認するので、噛合解除が不完全な場合には噛合解除を再度行うことができクラッチ歯車38の作動の信頼性が向上する。
【0042】
また、詰まったカードCと当接する爪46を駆動する排出歯車40をクラッチ歯車38を介して駆動モータ25によって駆動される駆動歯車36と連結することで、駆動モータ25で排出歯車40を駆動できるので、1つのモータで詰まったカードCの強制排出を行うことができる。また、排出歯車40は、クラッチ歯車38を介して駆動歯車36と連結していることから駆動歯車36と同一方向に回転駆動されるので、爪46の移動力と共に搬送ローラ対4,5,6による搬送駆動力も補助的に詰まったカードに作用することになり、詰まったカードCを確実に排出方向に搬送することができる。
【0043】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、駆動手段41にプランジャとして電磁ソレノイド48を用いたが、この他に電磁クラッチやロータリソレノイド等を用いることでも無論かまわない。
【0044】
また、カードCとして磁気カードを使用するカードリーダについて説明したが、磁気カード以外のカード、例えばICカードを使用するカードリーダについて適用しても良いことは勿論である。
【0045】
また、上述の説明では、クラッチ歯車38は排出歯車40に対して常時噛合すると共に駆動歯車36に対して切り離し可能となっていたが、クラッチ歯車38を駆動歯車36に対して常時噛合すると共に排出歯車40に対して切り離し可能としても良い。
【0046】
さらに、ピンクラッチ機構は必ずしも必要ではなく、これを省略してプーリ22を駆動軸17に固定しても良い。この場合には、カードCを強制的に排出した後に爪46をホームポジション35に戻す方法としては、ステップS65とS70の手順を省略すれば良い。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のカードリーダのカード強制排出方法では、駆動手段によってクラッチ歯車を駆動歯車に噛合させ排出歯車を回転させて強制排出部材によりカードを強制排出するとともに、強制排出部材の停止位置において駆動モータをカード送り速度よりは低速で停止位置に至る方向とは逆方向に逆回転させた後、駆動手段によるクラッチ歯車の噛合を解除することを特徴とするので、クラッチ歯車と駆動歯車との間のバックラッシュを利用してこれらの間の摩擦力を消滅又は減少させてクラッチ歯車の噛合を解除することができる。このため、クラッチ歯車の動作を確実にすることができる。
【0048】
また、請求項2記載のカードリーダのカード強制排出方法では、強制排出部材の停止位置を設定するための検出手段を設け、駆動モータをカード送り速度よりは低速で逆回転をさせた後、駆動モータを正回転させ検出手段の検出出力の変化によりクラッチ歯車の噛合解除を確認するようにしたので、クラッチ歯車の噛合解除が行われていない場合には再度噛合解除操作を繰り返すことが可能となり、クラッチ歯車の動作の信頼性を向上させることができる。
【0049】
また、請求項3記載のカードリーダのカード強制排出方法では、駆動歯車を、駆動モータによって駆動されるプーリに対して所定の回転角度の範囲で回転可能にしてプーリにより従動回転するように構成し、駆動モータを正回転させた時、プーリを所定の回転角度以上回転させ、プーリを駆動歯車に衝合させるようにしたので、カードを搬送する搬送用ローラの回転差吸収用クラッチ機構を設けた場合であっても、上述のカード強制排出方法を実施することができる。
【0050】
さらに、請求項4記載のカードリーダのカード強制排出方法では、駆動手段はクラッチ歯車を移動させるソレノイドを有するものであるので、ソレノイドによってクラッチ歯車を移動させる場合であっても、上述のカード強制排出方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のカード強制排出方法を実施するカードリーダの概略構成図である。
【図2】図1のカードリーダのカード強制排出機構の構成及び動作を示す一部破断正面図である。
【図3】図1のカードリーダのカード強制排出機構の動作状態を示す一部破断平面図である。
【図4】強制排出部材によるカードの強制排出状態を示す側面図である。
【図5】本発明のカード強制排出方法の実施形態の一例を示し、その最初の部分の流れ図である。
【図6】本発明のカード強制排出方法の実施形態の一例を示し、図5に続く部分の流れ図である。
【符号の説明】
1 カードリーダ
3 カード通路
4a,5a,6a 駆動ローラ
22 プーリ
25 駆動モータ
34 ホームポジションセンサ(検出手段)
36 駆動歯車
38 クラッチ歯車
40 排出歯車
41 駆動手段
46 爪(強制排出部材)
48 電磁ソレノイド
35 ホームポジション(強制排出部材の停止位置)
C カード
Claims (4)
- 駆動モータで回転駆動される駆動ローラによりカードをカード通路内で搬送するとともに、上記駆動モータによって駆動される駆動歯車と、上記駆動歯車に噛合可能に支持されたクラッチ歯車と、該クラッチ歯車によって回転駆動される排出歯車と、上記クラッチ歯車を移動させて上記クラッチ歯車を上記駆動歯車に噛合させ上記排出歯車を回転させる駆動手段と、上記排出歯車によって上記カード通路内を移動される強制排出部材とを設けてなるカードリーダのカード強制排出方法において、上記駆動手段によって上記クラッチ歯車を上記駆動歯車に噛合させ上記排出歯車を回転させて上記強制排出部材によりカードを強制排出するとともに、上記強制排出部材の停止位置において上記駆動モータをカード送り速度よりは低速で上記停止位置に至る方向とは逆方向に逆回転させた後、上記駆動手段による上記クラッチ歯車の噛合を解除することを特徴とするカードリーダのカード強制排出方法。
- 上記強制排出部材の停止位置を設定するための検出手段を設け、上記駆動モータをカード送り速度よりは低速で上記逆回転をさせた後、上記駆動モータを正回転させ上記検出手段の検出出力の変化により上記クラッチ歯車の噛合解除を確認するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカードリーダのカード強制排出方法。
- 上記駆動歯車を、上記駆動モータによって駆動されるプーリに対して所定の回転角度の範囲で回転可能にして上記プーリにより従動回転するように構成し、上記駆動モータを上記正回転させた時、上記プーリを上記所定の回転角度以上回転させ、上記プーリを上記駆動歯車に衝合させるようにしたことを特徴とする請求項2記載のカードリーダのカード強制排出方法。
- 上記駆動手段は上記クラッチ歯車を移動させるソレノイドを有するものであることを特徴とする請求項1から3のいずれか記載のカードリーダのカード強制排出方法。
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-
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- 1998-04-13 JP JP10123798A patent/JP3563957B2/ja not_active Expired - Lifetime
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