JP3563255B2 - 塗工紙およびその製造方法 - Google Patents

塗工紙およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は塗工紙およびその製造に関し、さらに詳しくはオフセット輪転印刷時に発生し易い、ブランケットへの付着、巻き付き、紙粉等のトラブルの無いオフセット印刷用原紙およびそれを得る方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙の各種強度、印刷適性、印刷物の刷り上がり等を向上させる目的で各種の表面サイジング剤が用いられてきた。これらのサイジング剤の中でもポリビニルアルコール(以下PVAと略記することがある)、澱粉類あるいはこれら両者を併用するものが代表的である。
【0003】
しかしながら、澱粉を用いてサイジングした紙は、印刷時に紙粉が発生し易く、この紙粉が印刷物の外観を低下させたり、印刷機のロール上に紙粉が堆積して断紙等のトラブルを招く欠点がある。また、澱粉を用いてサイジングした紙は強度が不十分で印刷面に紙剥け、ふくれ等の欠点を発生し易く、この傾向は印刷速度が速いほど著しい。
【0004】
一方、ポリビニルアルコールを用いてサイジングした紙は高速印刷下においても紙粉によるトラブルの発生や、印刷面の損傷による印刷物外観の低下が少なく優れた性能を有するが、水で湿潤された状態では粘着性を示すという欠点がある。この欠点は、オフセット印刷時に湿し水が紙に接触して湿潤状態になった場合に粘着性を生じ、印刷機のロールへの付着、さらには断紙等のトラブルの原因となる。
【0005】
特開平5−59689号公報には、ポリビニルアルコールにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック共重合体を配合したサイジング剤が開示されている。しかしながら、このサイジング剤は水中での分散安定性に問題があり、かつサイジングした紙の湿潤状態での粘着性を低減する効果が不十分であった。特開平8−13383号公報には、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子に、グリオキザール等のジアルデヒド物質を配合するサイジング剤が開示されている。しかしながら、このサイジング剤は、架橋剤としてジアルデヒド物質の使用が必須であり安全面に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、近年大量高速印刷されることの多い新聞用原紙などの中低質紙の軽量化、多色印刷化などに対応して中低質紙にサイジングが行われるようになり、かつ、これらのサイジングした紙に対する印刷方式としてオフセット印刷方式が採用されるようになった。そこで、湿潤状態での粘着性が低く、かつ、サイジング効果の優れた紙の被覆法が求められていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる現状に鑑み、鋭意検討した結果、平均粒子径が3〜15μmであるシリカ含有量1〜30重量%、坪量30〜45g/mのセルロース系紙の表面に、分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコールを含む被覆層を有することを特徴とする塗工紙からなるオフセット印刷用紙を見い出し、本発明を完成させるに到った。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のサイジング剤を塗工した紙が湿潤状態で低粘着性を示す発現機構ははっきりとしないが次のように推測される。粘着性の発現はオフセット印刷時の湿し水との接触により、サイジング紙より溶出した水溶性高分子が主要原因であると考えられる。ところで、本発明で使用されるサイジング剤は、分子内にシリル基を有しており、このサイジング液を塗工乾燥した紙では、シリル基はPVAの水酸基と分子間架橋を形成する、または、シリル基同士の分子間結合による架橋を形成しているものと考えられる。さらには、紙中に内添されたシリカとも架橋を形成するものと考えられる。これらの架橋形成により、湿し水との接触時に溶出するPVA量が極めて少なく、そのため粘着性が低いサイジング紙が得られるものと考えられる。
【0009】
以下に本発明について更に詳細に説明する。本発明で使用される分子内にシリル基を含有する変性PVAは分子内にケイ素を含むものであればいずれでも良いが、分子内に含有されるシリル基がアルコキシリル基あるいはアシロキシリル基あるいはこれらの加水分解であるシラノール基又はその塩等の反応性置換基を有しているものが特に好ましく用いられる。
【0010】
かかる変性PVAの製造方法としては、PVAあるいはカルボキシル基又は水酸基を含有する変性ポリ酢酸ビニルに、シリル化剤を用いて後変性によりシリル基を導入する方法、ビニルエステルとシリル基含有オレフイン性不飽和単量体との共重合体をケン化する方法、シリル基を有するメルカプタンの存在下でビニルエステルを重合することによって得られる末端にシリル基を有するポリビニルエステルをケン化する方法が挙げられる。PVAあるいは変性ポリ酢酸ビニルにシリル化剤を用いて後変性する方法においては例えば、シリル化剤と反応しない有機溶媒、たとえばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、エーテル又はアセトンなどにシリル化剤を溶解させ、該溶液中に粉末状PVAあるいは上記変性ポリ酢酸ビニルを撹拌下に懸濁させ、常温からシリル化剤の沸点の範囲の温度においてシリル化剤とPVAあるいは上記変性ポリ酢酸ビニルを反応させることによってあるいは更にアルカリ触媒等によって酢酸ビニル単位をケン化することによってシリル基含有変性PVAを得ることができる。後変性において用いられるシリル化剤としては、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、ビニルトリクロルシラン、ジフェニルジクロルシラン、トリエチルフルオルシラン等のオルガノハロゲンシラン、トリメチルアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシランなどのオルガノシリコンエステル、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのオルガノアルコキシシラン、トリメチルシラノール、ジエチルシランジオール等のオルガノシラノール、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノアルキルシラン、トリメチルシリコンイソシアネート等のオルガノシリコンイソシアネート等が挙げられる。シリル化剤の導入率すなわち変性度は用いられるシリル化剤の量、反応時間によって任意に調節することができる。また得られるシリル基含有変性PVAの重合度、ケン化度は用いられるPVAの重合度、ケン化度あるいは上記変性ポリ酢酸ビニルの重合度およびケン化反応によって任意に調節することができる。
【0011】
またビニルエステルとシリル基含有オレフイン性不飽和単量体との共重合体をケン化する方法においては、例えば、アルコール中においてビニルエステルとシリル基含有オレフイン性不飽和単量体とをラジカル開始剤を用いて共重合せしめ、しかる後に該共重合体のアルコール溶液にアルカリあるいは酸触媒を加えて該共重合体をケン化せしめることによってシリル基含有変性PVAを得ることができる。上記の方法において用いられるビニルエステルとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて酢酸ビニルが好ましい。また上記の方法において用いられるシリル基含有オレフイン性不飽和単量体としては下記の化1で示されるビニルシラン、化2で示される(メタ)アクリルアミド−アルキルシランが挙げられる。
【0012】
【化1】
Figure 0003563255
【0013】
【化2】
Figure 0003563255
【0014】
〔ここでnは0〜4、mは0〜2、Rは炭素数1〜5のアルキル基(メチル、エチルなど)、R は炭素数1〜40のアルコキシル基またはアシロキシル基(ここでアルコキシル基又はアシロキシル基は酸素を含有する置換基を有していてもよい。)、Rは水素原子またはメチル基、Rは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基、Rは炭素数1〜5のアルキレン基または連鎖炭素原子が酸素もしくは窒素によって相互に結合された2価の有機残基をそれぞれ示す。なおRが同一単量体中に2個存在する場合はRは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。またRが同一単量体中に2個以上存在する場合も、Rは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。〕
【0015】
化1で示されるビニルシランの具体例としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルアセトキシシラン、ビニルイソブチルジメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリヘキシロキシシラン、ビニルメトキシジヘキシロキシシラン、ビニルジメトキシオクチロキシシラン、ビニルメトキシジオクチロキシシラン、ビニルトリオクチロキシシラン、ビニルメトキシジラウリロキシシラン、ビニルジメトキシラウリロキシシラン、ビニルメトキシジオレイロキシシラン、ビニルジメトキシオレイロキシシラン、更には下記の化3で表されるポリエチレングリコール化ビニルシラン等が挙げられる。
【0016】
【化3】
Figure 0003563255
【0017】
(ここでR、mは前記と同じ、xは1〜20を示す。)
【0018】
また化2で表される(メタ)アクリルアミド−アルキルシランの具体例としては例えば、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリ(β−メトキシエトキシ)シラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルエチルトリメトキシシラン、N−(2−(メタ)アクリルアミド−エチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルトリアセトキシシラン、2−(メタ)アクリルアミド−エチルトリメトキシシラン、1−(メタ)アクリルアミド−メチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリルアミド−プロピルジメチルメトキシシラン、3−(N−メチル−(メタ)アクリルアミド)−プロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−3−ハイドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−((メタ)アクリルアミド−メトキシ)−プロピルトリメトキシシラン、ジメチル−3−(メタ)アクリルアミド−プロピル−3−(トリメトキシシリル)−プロピルアンモニウムクロライド、ジメチル−2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロピル−3−(トリメトキシシリル)プロピルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0019】
又、本発明において使用される変性PVAを製造するにあたってビニルエステルとケイ素含有オレフィン性不飽和単量体との共重合を行うにあたっては上記2成分以外にかかる単量体と共重合可能な他の不飽和単量体、例えばスチレン、アルキルビニルエーテル、バーサチック酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン等のオレフイン、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和酸、及びそのアルキルエステル、アルカリ塩、2−アクリルアミド−2−メチルブロパンスルホン酸等のスルホン酸含有単量体及びそのアルカリ塩、トリメチル−2−(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルエチル)アンモニウムクロリド、トリメチル−3−(1−(メタ)アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロリド、1−ビニル−2−メチルイミダゾールおよびその4級化物等のカチオン性単量体等を少割合で存在させることも可能である。
【0020】
またシリル基を有するメルカプタンの存在下でビニルエステルを重合することによって得られる末端にシリル基を有するポリビニルエステルをケン化する方法においては、例えばビニルエステルをラジカル開始剤を用いて重合せしめる際、シリル基を有するメルカプタンを重合系に一括または分割あるいは連続して添加し、重合系中にシリル基を有するメルカプタンを存在せしめ、メルカプタンへの連鎖移動によって末端にシリル基を有するポリビニルエステルを生成せしめた後、該ポリビニルエステルのアルコール溶液にアルカリあるいは酸触媒を加えて該ポリビニルエステルをケン化せしめることによってシリル基を有する変性PVAを得ることができる。
【0021】
本方法で用いられるシリル基を有するメルカプタンとしては3−(トリメトキシシリル)−プロピルメルカプタン等が使用しうる。本方法で変性PVAを製造するにあたっては、ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体を少割合で存在させることも可能である。
【0022】
本発明において使用される分子内にシリル基を含有する変性PVAの上述した3つの製造方法においては、ビニルエステルとシリル基を含有するオレフイン性不飽和単量体との共重合体をケン化する方法およびシリル基を有するメルカプタンの存在下でビニルエステルを重合して得られる末端にシリル基を有するポリビニルエステルをケン化する方法が工業的製造の容易性および、得られる変性PVAの均質性の点で好ましく用いられる。
【0023】
本発明において使用されるシリル基を含有する変性PVA中のシリル基の含有量、ケン化度あるいは重合度は目的に応じて適宜選択され特に制限はない。シリル基は比較的少量の含有率でも効果が発揮され、通常シリル基を含む単量体単位として0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2.5モル%の範囲から選ばれる。ケン化度は通常70〜100モル%の範囲が好ましい。また重合度は通常10〜3000の範囲から選ばれる。
【0024】
本発明において使用される上記変性PVAを水に溶解するにあたっては、通常変性PVAを水に分散後、場合によっては水酸化ナトリウム等のアルカリを添加し、撹拌しながら加温することによって均一な水溶液を得ることができる。
【0025】
そして、本発明ではセルロース系紙へのシリカ内添量が1〜30重量%であることが必要であり、1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。セルロース系紙のシリカ内添量が1重量%未満であると不透明度、白色度に優れた塗工原紙が得られにくくなり、一方 30量%を超えると紙の強度低下が著しくなる。とりわけ湿潤状態での紙の強度が低下する。
【0026】
さらに、本発明ではセルロース系紙の坪量が30〜45g/mであることが必要であり、好ましくは35〜43g/m、より好ましくは37〜40g/mである。用いる紙の坪量が30g/m未満であると紙の強度、不透明度が低くなり、とりわけ湿潤状態での紙の強度が低下する。一方、坪量が45g/mを超えると、流通時に一度に運搬できる紙の量が減りコスト的に不利となる。
【0027】
また本発明で使用するシリカのレーザー回折式粒度測定機(島津製SALD−1000)で測定した平均粒子径3〜15μmである。粒径が3μm以下となると印刷時の紙剥けが激しくなる。とりわけ、湿潤状態での紙の強度が低下する。また、粒子径が15μmより大きくなるとシリカ内添紙の特徴である不透明度、白色度、吸油度の向上効果が低下する。
【0028】
本発明で使用されるサイジング剤の塗工量としては、乾燥後の塗工紙の方面における塗工量が全固形分量で0.05〜1.0g/mになるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.8g/m、一層好ましくは0.1〜0.5g/mになるようにするのがよい。塗工量が0.05g/m未満であると塗工紙の表面強度等の強度物性が低下する。とりわけ、湿潤状態での紙の強度が低下する。一方1.0g/mより大きくなると塗工紙の不透明度が低下する。さらには、コスト的に好ましくない。
【0029】
本発明で使用されるサイジング剤には、本発明に支障のない範囲で所望に応じて他成分を含有させ、或いは併用することができる、他の成分としては、例えばコーンスターチ、酸化澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等のセルロース化合物、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、スチレン−ブタジエン−メタクリル酸エステル共重合体ラテックスなどの合成ゴム系ラテックス類、PVAの耐水化剤、酸化チタン、クレー、焼成クレー、炭酸カルシウム、シリカ、水酸化アルミニウムなどの無機系顔料、微粉末状熱硬化性樹脂(尿素系樹脂、メラミン系樹脂など)、微粉末状熱可塑性樹脂(塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂など)等の合成樹脂系顔料及び消泡剤などが挙げられる。
【0030】
本発明のサイジングした紙は、本発明で使用されるサイジング剤を公知の装置、例えばゲートロールサイズプレス、2ロールサイズプレス、メタリングロッドサイズプレスなどを用いて紙の片面または両面に塗工し、または含浸させ、次いでこの紙を乾燥させることにより得られる。これらの塗工機での塗工速度は800〜2000m/min.が選ばれ、より好ましくは1000〜2000m/min.、さらに好ましくは1200〜1800m/min.が選ばれる。本発明において、塗工速度800m/min.以上の高速にしても、本発明の目的とする塗工紙が得られることは、生産性の向上の点からも、その工業的意義は大きい。
【0031】
紙の乾燥温度としては80℃以上とする。乾燥温度は90℃以上であるのが好ましく100℃以上にするのがより好ましい。オンマシン塗工におけるサイジング液塗工後の乾燥工程は、抄紙系における最も抄紙速度に影響する部分であるが、80℃以上の乾燥温度を採用している本発明の場合には、乾燥工程における乾燥終了までの時間が短く、高速で生産効率が高い状態でサイジング紙を製造することができる。乾燥温度が80℃未満の場合には、乾燥工程における乾燥が不十分となり、マシン汚れの原因となる。乾燥温度の上限は、特に制限は無いたが、200℃以下が好ましく、150℃以下がさらに好ましい。
【0032】
本発明のサイジングした紙は、オフセット印刷用紙に供される。オフセット印刷とは、主に平板オフセット印刷を意味し、枚葉タイプと輪転タイプがあり、これらいずれの方式にも適用できる。とりわけ、高速印刷の面からウェブ平板オフセット輪転印刷方式が好まれる。
【0033】
また、本発明のサイジングした紙は、近年の印刷物の多色化に伴う高速カラーオフセット印刷に供される。多色印刷の場合には、湿し水またはインクとの接触回数が多くなり、印刷に供されるサイジング紙の粘着性に起因するトラブルの発生が多くなる。本発明のサイジングした紙は、多色印刷において耐粘着性に優れたカラーオフセット印刷用紙として特に有用である。
【0034】
また、本発明のサイジングした紙は、オフセット輪転印刷時に発生しやすい、紙のブランケットへの付着、巻き付き、紙粉等のトラブルの無い新聞紙原紙としても有用である。
【0035】
【実施例】
以下、合成例や実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例により何等制限されるものではない。なお、合成例や実施例中の「部」や「%」は、特に断わりのない限りそれぞれ「重量部」および「重量%」を表わす。また、以下の例において、PVAの重合度、塗工時の塗工液の粘度、得られた塗工紙における固形分塗布量、並びに原紙および得られた塗工紙の表面強度は下記のようにして測定または評価した。さらに、塗工操作はゲートロールコーター(GRC)を使用して下記のようにして行った。
【0036】
PVAの重合度:PVAの水溶液を用いて、「酢酸ビニル樹脂」第77頁(昭和36年5月15日;日刊工業新聞社発行)に記載されている方法に従って粘度平均重合度を求めてそれをPVAの重合度とした。
【0037】
塗工液の粘度:東京計器社製のB型粘度計を用いて塗工温度にて回転数60rpmで測定したときの値である。
【0038】
塗工紙における固形分塗布量(片面):乾燥後の塗工紙の重量を測定し、その重量から同じ塗工紙の塗工前の重量を減じ、その結果得られた重量を塗工紙の面積(片面)で除して、1mあたりの固形分量(g)として求めた。
【0039】
塗工操作:アウターロール(直径200mmのゴムロール)、インナーロール(直径200mmの金属ロール)、アプリケーターロール(直径360mmのゴムロール)およびバックアップロール(直径349mmのゴムロール)を備えたゲートロールコーター(試験機)を用いて、各ロールの周速比を8300m/分に統一して塗工処理を行った。さらに、乾燥はシリンダー乾燥機を用いて105℃、1分間行った。
【0040】
原紙および塗工紙の表面強度:試験用試料紙について(株)明製作所製RI印刷適性試験機を用いて、インクとして東洋インク(株)のTV−10を使用して印刷を行い下記の基準でドライピック(塗布紙を乾燥した状態での印刷)とウエットピック(塗布紙を湿し水にて湿潤した状態での印刷)を下記の4段階で目視判定した。
判定基準
0−変化無し
1−かすかに膨れ発生
2−かすかにピック発生
3−紙破れ発生
【0041】
塗工紙中のPVAまたは澱粉の水への溶出試験:試験用試料紙について(株)明製作所製RI印刷適性試験機を用いて、塗布紙を湿し水ロールにて湿潤した状態にした後、その後の印刷ロールに張り付けた紙に溶出した樹脂を転写する。この転写された樹脂をヨード液で呈色する。この溶出量を下記の4段階で目視判定した。
0−溶出なし
1−わずかに溶出あり
2−かなり溶出あり
3−溶出激しい
【0042】
実施例1
PVA(重合度1700、ケン化度98.5モル%、VMS変性度0.2モル%)の濃度2%水溶液を塗工液として用いて、坪量43g/mの新聞原紙(シリカ平均粒子径4μm、シリカ含有量1.5%/パルプ)に上記したゲートロールコーターにより、乾燥後の固形分塗布量が下記の表1に示す量になるような割合で50℃で塗工速度800m/分で塗工した後、直ちにロータリードライヤーを用いて105℃で1分間乾燥して塗工紙を製造した。この塗工紙を20℃、65%RHで24時間調湿して試験用試料とした。得られた塗工紙の固形分量、湿し水への溶出量および表面強度を上記した方法により評価および測定したところ、表2に示すとおりの結果であった。
【0043】
実施例2〜5
実施例1で使用したPVAを表1に示すように変えてサイジング液を得た。このサイジング液を用いて表2に示す条件で試験を行った。その塗工条件および結果を表2に示した。
【0044】
実施例6〜11
実施例1で使用したPVAを表1に示すように変えてサイジング液を得た。このサイジング液を用いて表2に示す条件で試験を行った。その塗工条件および結果を表2に示した。
【0045】
比較例1
PVA(重合度1700、ケン化度98.5モル%)の濃度2%水溶液を調製した。このサイジング液を用いて実施例1と同様に試験を行い、その結果を表2に示した。
【0046】
比較例2
PVA(重合度1700、ケン化度98.5モル%)に、添加剤としてシリカを6(PVA):4(シリカ)の比率でブレンドし、濃度4%水溶液を調製した。このサイジング液を用いて表2に示す条件で試験を行った。その塗工条件および結果を表2に示した。
【0047】
【表1】
Figure 0003563255
【0048】
【表2】
Figure 0003563255
【0049】
【発明の効果】
本発明の塗工紙からなるオフセット印刷用紙は、湿潤状態での粘着性が低く、かつサイジング効果が優れており、特に高速印刷されることの多い新聞原紙等の中低質紙として、またカラーオフセット印刷用紙として有用である。

Claims (7)

  1. 平均粒子径が3〜15μmであるシリカ含有量1〜30重量%、坪量30〜45g/mのセルロース系紙の表面に、分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコールを含む被覆層を有することを特徴とする塗工紙からなるオフセット印刷用紙。
  2. 分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコールを含む被覆層が0.05〜1.0g/mである、請求項1記載のオフセット印刷用紙
  3. 分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコールが酢酸ビニルとビニルアルコキシシランの共重合体けん化物である、請求項1または2に記載のオフセット印刷用紙
  4. オフセット印刷用紙がオフセットカラー印刷用紙である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオフセット印刷用紙
  5. 印刷用紙が新聞紙原紙である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のオフセット印刷用紙。
  6. 分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を含む紙用表面サイジング液を、塗工速度800〜2000m/minで塗工することを特徴とする、平均粒子径が3〜15μmであるシリカ含有量1〜30重量%、坪量30〜45g/m のセルロース系紙の表面に、分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコールを含む被覆層を有する塗工紙からなるオフセット印刷用紙の製造方法。
  7. 分子内にシリル基を有する変性ポリビニルアルコール樹脂を含む紙用表面サイジング液を塗工した紙を、温度80℃以上で乾燥することを特徴とする請求項6記載のオフセット印刷用紙の製造方法。
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