JP3562974B2 - アクチュエータ操作装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の操作範囲にわたり正逆方向に人為操作自在な操作具と、この操作具の操作量を検出するポテンショメータと、このポテンショメータと接続線を介して接続され、前記ポテンショメータの検出情報に基づいてアクチュエータの作動状態を制御する制御手段とが備えられたアクチュエータ操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記アクチュエータ操作装置では、前記ポテンショメータは操作具の操作に対応して移動する可動部分を備えており、装置の使用が継続されると、例えば短絡や断線等の故障が発生するおそれがあるが、このような故障を起こしたような場合には、その検出情報に基づくアクチュエータの適正な制御が行えないものとなる。
【0003】
そこで、従来では、例えば、ポテンショメータの検出情報に基づいて制御手段が前記操作量を判断する場合に、ポテンショメータによる検出可能範囲よりも少し狭い範囲を検出利用範囲として設定し、この検出利用範囲から外れた検出値であれば短絡や断線等の故障が発生していると判断するようにしたものがあった。具体的に説明すると、ポテンショメータによる検出可能範囲が、例えば、0〜5〔ボルト〕であったとすると、前記検出利用範囲、つまり、操作具の操作に伴って変化可能な値を、0.5〜4.5〔ボルト〕として設定して、例えば、検出値が0.5ボルト以下であったり、4.5ボルト以上であれば、制御手段がポテンショメータの故障であると判断して、例えば、報知手段等により異常表示を行うことで対処していた。
【0004】
又、上記したようなポテンショメータの故障に限らず、制御手段による制御動作が異常となることも考えられ、このような動作異常が発生したような場合においてもアクチュエータの適正な制御が行えないものとなるが、このような場合においても、例えば、制御手段に自己診断機能等を備えさせて報知手段等により異常表示を行うことで対処するのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来構成においては、上記したようなポテンショメータや制御手段等の制御系に故障が発生したことを操作者が直ちに認識することはできるものの、故障が発生した後においては、アクチュエータを操作させることができず、アクチュエータの操作による作業等を中断して、メンテナンス作業を行う必要があり、アクチュエータを所定の状態で操作できれば作業を区切りの良いところまで継続することが可能な場合であっても、そのような継続動作が不可能となり、アクチュエータ操作を継続することが出来ないという不利があり、操作性の面で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、上記したような従来技術における不具合点を解消して、制御系に故障が発生した場合であっても操作性の低下を招くことが無いアクチュエータ操作装置を提供する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴構成によれば、前記操作具が車体前後方向の前記操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする昇降用の検出スイッチ及び前記操作具が左右方向の前記操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする旋回用の検出スイッチが設けられ、これら昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチと前記昇降用のアクチュエータ及び前記旋回用のアクチュエータとを電気的に連係可能な緊急用の接続手段が、接続状態と遮断状態とに切換え自在に設けられている。
【0008】
動作が正常に行われているときは、操作具の車体前後方向における操作状態及び左右方向における操作状態が昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータにより検出され、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータの検出情報が接続線を介して接続された制御手段に入力され、制御手段はこれらの検出情報に基づいて昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータの作動状態を制御することになる。そして、例えば、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータが故障したり、制御手段の制御動作が異常であるような場合には、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータの検出情報に基づく昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータの動作制御が適正に行えないものとなるが、このような異常状態においては、緊急用の接続手段が遮断状態から接続状態に切り換えられることで、操作具が車体前後方向の操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする昇降用の検出スイッチ及び操作具が左右方向の操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする旋回用の検出スイッチと、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータとが電気的に連係されることになり、操作具を車体前後方向の操作範囲における設定位置及び左右方向の操作範囲における設定位置まで操作させると、昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチがオンすることで直接、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを電気的に操作することができる。
【0009】
その結果、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータや制御手段等の制御系に異常が発生した場合において、正常時における動作のように操作具の車体前後方向における操作状態及び左右方向における操作状態に応じた制御状態で昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを操作させることは出来ないにしても、操作具を車体前後方向の操作範囲における設定位置及び左右方向の操作範囲における設定位置まで操作させることで、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを所定の状態で動作させることができるので、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータ操作に伴う作業等を継続して例えば区切りのよいところまで実行することが可能となり、単に異常状態を報知するだけの構成に比べて、操作性の向上を図ることができるものとなった。
また、1つの操作具を十字揺動操作自在に構成して、中立位置から前後左右方向並びに左右方向の夫々において、各別に、異なる昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを制御する構成として、操作具の兼用による構成の簡素化と操作性の向上とを図ることができるものとなった。
【0010】
請求項2に記載の特徴構成によれば、前記接続手段は、前記昇降用の検出スイッチ及び前記旋回用の検出スイッチと前記昇降用のアクチュエータ及び前記旋回用のアクチュエータとを接続する緊急接続用の電線にて構成されている。
【0011】
つまり、上記したような制御系に異常が発生した場合には、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータと制御手段とを接続する接続線を切り離しておいて、昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチと昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータとを緊急接続用の電線にて接続するのである。従って、異常が発生している制御系における不適切な指令情報に基づいて昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータが制御されることを確実に回避させた状態で、通常の制御伝達用経路とは異なる電線を用いて、昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチによる指令情報にて直接、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを作動させるのである。
【0012】
従って、不適切な指令情報による誤作動の発生を回避して、確実に、操作具の人為操作による指令情報に基づいて昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータを所定の状態で動作させることにより、昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータ操作に伴う作業等を継続して実行することが可能となる。
【0013】
請求項3に記載の特徴構成によれば、昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチと昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータとを接続する接続手段としての電線が、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータと制御手段とを接続する接続線と併設する状態で設けられると共に、前記接続線を導通状態とする通常動作状態と、前記電線を導通状態とする緊急連係状態とに切り換え自在な導通状態切換手段と、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータが正常であるか異常であるかを判別する判別手段とが備えられ、導通状態切換手段は、判別手段が、正常であると判別していれば通常動作状態に切り換え、異常であると判別すると緊急連係状態に切り換えるように構成されている。
【0014】
従って、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータが正常であるか否かが判別手段によって判別され、判別手段が正常であると判別すれば、昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータと制御手段とを接続する接続線を導通状態とする通常動作状態に切り換えられる。そして、前記判別手段によって異常であると判別すれば、昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチと昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータとを接続する接続手段としての電線を導通状態とする緊急連係状態に切り換えられることになる。
【0015】
上記した昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータは操作具の操作に対応して移動する可動部分を備えており、装置の使用が継続されると、例えば短絡や断線等の故障が発生するおそれが大であるが、装置の使用に際してこのような昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータが正常であるか異常であるかを常に監視しながら、異常が発生すると、通常動作状態から緊急連係状態に自動的に切り換わることになり、電線や接続線の付け替え作業等の煩わしい作業を不要としながら、緊急的な昇降用のアクチュエータ操作及び旋回用のアクチュエータ操作による作業の継続が可能となるのである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業車の一例としてコンバインの旋回制御装置について図面に基づいて説明する。
作業車の一例であるコンバインは、図1に示すように、左右一対のクローラ式の走行装置1L,1Rを備えた機体フレーム2の前部に、植立穀稈を刈り取って後方に搬送する刈取部3を昇降用油圧シリンダCYにより昇降操作自在に連結し、前記機体フレーム2に、刈取部3からの刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置4と搭乗運転部5とを搭載して構成されている。
【0019】
前記機体フレーム2に搭載したエンジンEから走行装置1L,1Rへの伝動系には、図2に示すように、主変速装置である前後進切り換え自在な静油圧式の無段変速装置7と、三段切り換え式の副変速用伝動機構8と、旋回用伝動機構9とがその記載順に設けられている。尚、上記無段変速装置7を変速操作するための手動式の変速操作レバー7Lが搭乗運転部5に設けられている。
【0020】
前記無段変速装置7は、走行装置1L,1Rそれぞれの車軸10L,10Rを支承するミッションケース11に、その出力軸7Aを挿入させる状態で取り付けられている。前記副変速用伝動機構8と旋回用伝動機構9とは前記ミッションケース11に内装されている。前記ミッションケース11には、前記無段変速装置7の出力軸7Aからギヤ対12,13を介して動力が伝達される中間伝動軸14がその一端を外部に突出させる状態で支承されており、この中間伝動軸14の外端部には、前記刈取部3に動力を伝達するための刈取出力プーリ15が装着されており、中間伝動軸14と刈取出力プーリ15との間には、中間伝動軸14の前進回転のみを刈取出力プーリ15に伝達する一方向クラッチ16が介装されている。
【0021】
前記副変速用伝動機構8の入力軸8Aには、前記中間伝動軸14の動力がギヤ対17,18を介して伝達されるようになっており、入力軸8Aと出力軸8Bとの間には、低速伝動用の伝動系と、中速伝動用の伝動系と、高速伝動用の伝動系との互いに伝動比が異なる三つの伝動系が介装され、各伝動系を択一的に選択して使用することにより、三段変速を行うようになっている。
【0022】
前記低速伝動用の伝動系は、前記入力軸8Aに第1伝動ギヤG1を一体回転する状態に装着し、前記出力軸8Bにこの第1伝動ギヤG1に噛み合い連動する第1受動ギヤg1を出力軸8Bに対して回転自在な状態に装着し、この第1受動ギヤg1と出力軸8Bとの間に、第1受動ギヤg1から出力軸8Bへの伝動を断続する湿式多板式の第1の油圧クラッチC1を設けて構成されている。
【0023】
前記中速伝動用の伝動系は、前記入力軸8Aに第2伝動ギヤG2一体回転する状態に装着し、前記出力軸8Bにこの第2伝動ギヤG2に噛み合い連動する第2受動ギヤg2を出力軸8Bに対して回転自在な状態に装着し、この第2受動ギヤg2と出力軸8Bとの間に、第2受動ギヤg2から出力軸8Bへの伝動を断続する湿式多板式の第2の油圧クラッチC2を設けて構成されている。
【0024】
前記高速伝動用の伝動系は、前記入力軸8Aに第3伝動ギヤG3を一体回転する状態に装着し、前記出力軸8Bにこの第3伝動ギヤG3に噛み合い連動する第3受動ギヤg3を出力軸8Bに対して回転自在な状態に装着し、この第3受動ギヤg3と出力軸8Bとの間に、第3受動ギヤg3から出力軸8Bへの伝動を断続する湿式多板式の第3の油圧クラッチC3を設けて構成されている。
【0025】
そして、この副変速用伝動機構8は、第1の油圧クラッチC1に圧油を供給してこの第1の油圧クラッチC1をクラッチ入り状態に切り換えることで低速伝動用の伝動系のみを伝動状態に切り換える低速伝動状態(倒伏速度)となり、第2の油圧クラッチC2に圧油を供給してこの第2の油圧クラッチC2をクラッチ入り状態に切り換えることで、中速伝動用の伝動系のみを伝動状態に切り換える中速伝動状態(標準速度)となり、第3の油圧クラッチC3に圧油を供給してこの第3の油圧クラッチC3をクラッチ入り状態に切り換えることで、高速伝動用の伝動系のみを伝動状態に切り換える高速伝動状態(移動用走行速度)となり、各油圧クラッチC1,C2,C3をクラッチ切り状態に切り換えることにより、伝動系の全部を非伝動状態に切り換る中立状態となる。
【0026】
次に、図2 に基づいて、前記旋回用伝動機構9について説明する。
前記副変速用伝動機構8の出力軸8Bに、正転伝動用伝動ギヤ33が一体回転状態で装着され、前記ミッションケース11に回転自在に支持させたシフト軸31に、前記正転伝動用伝動ギヤ33に噛み合い連動する正転伝動用受動ギヤ34が一体回転状態で装着されている。さらに、上記シフト軸31には、左右一対の操向用受動ギヤ35L,35Rと、前記車軸10L,10Rのそれぞれに一体回転する状態に装着した車軸受動ギヤ36L,36Rに常時噛み合い連動する左右一対のシフトギヤ39L,39Rとが回転自在に装着されている。そして、左右の各シフトギヤ39L,39Rの軸芯方向への移動により、左右の各車軸受動ギヤ36L,36Rが、噛み合い式の直進クラッチ37L,37Rを介して前記正転伝動用受動ギヤ34に連動する第1状態と、噛み合い式の操向クラッチ38L,38Rを介して操向用受動ギヤ35L,35Rに連動する第2状態とに切り換え自在に構成されている。
【0027】
又、減速逆転制動軸40がミッションケース11に回転自在に支持され、この減速逆転制動軸40の回転を前記操向用受動ギヤ35L,35Rのそれぞれに等しく減速伝達する操向用伝動ギヤ41L,41Rが減速逆転制動軸40に一体回転する状態に装着されるとともに、前記正転伝動用受動ギヤ34に一体に形成した伝動ギヤ部42に噛み合い連動して正転伝動用受動ギヤ34の回転が減速伝達される正転受動ギヤ43が、前記減速逆転制動軸40に回転自在に装着されている。そして、この正転受動ギヤ43と減速逆転制動軸40との間に、圧油供給停止に伴い正転受動ギヤ43から減速逆転制動軸40への伝動を断つクラッチ切り状態にバネを介して作動付勢され且つ圧油供給に伴いその付勢力に抗して伝動を行うクラッチ入り状態に切り換わる減速用の湿式多板式の油圧クラッチ45が設けられている。
つまり、油圧クラッチ45をクラッチ入り作動させることにより、正転伝動用受動ギヤ34の回転を伝動ギヤ部42・正転受動ギヤ43・減速クラッチ45・減速逆転制動軸40・操向用伝動ギヤ41L,41R・操向用受動ギヤ35L,35Rと伝達させて、車軸受動ギヤ36L,36Rを同期減速駆動するように構成されている。
【0028】
又、前記副変速用伝動機構8の出力軸8Bに一体回転状態に装着された逆転伝動用伝動ギヤ46に噛み合い連動する逆転伝動用受動ギヤ47が、前記減速逆転制動軸40に回転自在に装着され、この逆転伝動用受動ギヤ47と減速逆転制動軸40との間に、圧油供給停止に伴い逆転伝動用受動ギヤ47から減速逆転制動軸40への伝動を断つクラッチ切り状態にバネを介して作動付勢され且つ圧油供給に伴いその付勢力に抗して伝動を行うクラッチ入り状態に切り換わる逆転用の湿式多板式の油圧クラッチ49が設けられている。
つまり、油圧クラッチ49をクラッチ入り作動させることにより、逆転伝動用伝動ギヤ46の回転を逆転伝動用受動ギヤ47・逆転クラッチ49・減速逆転制動軸40・操向用伝動ギヤ41L,41R・操向用受動ギヤ35L,35Rと伝達させて、車軸受動ギヤ36L,36Rを同期逆転駆動するように構成されている。
【0029】
又、圧油供給停止に伴い減速逆転制動軸40を制動するクラッチ切り状態にバネを介して作動付勢され且つ圧油供給に伴いその付勢力に抗して減速逆転制動軸40を可逆的に制動する湿式多板式の制動用の油圧ブレーキ50が設けられている。つまり、油圧ブレーキ50を制動作動させることにより、減速逆転制動軸40・操向用伝動ギヤ41L,41R・操向用受動ギヤ35L,35Rと伝達させて、車軸受動ギヤ36L,36Rを制動するように構成されている。
【0030】
つまり、旋回用伝動機構9は、
〈1〉直進クラッチ37L,37Rをともにクラッチ入り作動させることにより、正転伝動用受動ギヤ34の回転を両シフトギヤ39L,39Rを介して両車軸受動ギヤ36L,36Rに伝達することで、左右の走行装置1L,1Rを等速駆動させる直進走行状態、
〈2〉操向クラッチ38L,38Rのうち旋回側のものをクラッチ入り作動させることにより、左右の走行装置1L,1Rのうち旋回側のものに対する駆動を断って自由空転状態になる非駆動旋回状態、
〈3〉操向クラッチ38L,38Rのうち旋回側のものをクラッチ入り作動させるとともに、減速用の油圧クラッチ45をクラッチ入り作動させることにより、操向用受動ギヤ35L,35Rのうち旋回側の走行装置1L又は1Rを駆動させることで、左右の走行装置1L,1Rのうち旋回側のものの駆動速度を旋回外側のものの駆動速度よりも小さくして緩旋回を行う緩旋回状態、
〈4〉操向クラッチ38L,38Rのうち旋回側のものをクラッチ入り作動させるとともに、制動用の油圧ブレーキ50を制動作動させることにより、旋回内側の走行装置1L又は1Rを操向用受動ギヤ35L又は35Rを介して制動停止させて信地旋回を行う信地旋回状態、
〈5〉操向クラッチ38L,38Rのうち旋回側のものをクラッチ入り作動させるとともに、逆転用の油圧クラッチ49をクラッチ入り作動させることにより、操向用受動ギヤ35L,35Rのうち旋回内側のもので旋回内側の走行装置1L又は1Rを駆動させることで、左右の走行装置1L,1Rのうち旋回内側のものを逆転駆動させて超信地旋回を行う超信地旋回状態、
の夫々に切換え操作できるように構成されている。
【0031】
旋回用伝動機構9の操作手段として、図4に示すように、シフトギヤ39L,39Rのそれぞれを直進クラッチ37L,37Rの入り位置にアーム51L,51Rを介して移動付勢する左右一対のバネ52L,52Rと、圧油供給に伴い伸長作動することでバネ52L,52Rの付勢力に抗してシフトギヤ39L,39Rのそれぞれを操向クラッチ38L,38Rの入り位置に前記アーム51L,51Rを介して移動させる左右一対の操向シリンダ53L,53Rとを設けるとともに、左右の各操向シリンダ53L,53Rに圧油を供給する状態と排油させる状態とに切り換え自在な左右一対の電磁操作式の方向切換弁56L,56Rを設けている。
【0032】
さらに、左右の操向シリンダ53L,53Rのいずれかが伸長作動状態にあるときに、その操向シリンダ53L,53Rから油路54を介して供給される圧油を、減速用の油圧クラッチ45に供給する減速状態と逆転用の油圧クラッチ49に供給する逆転状態と制動用の油圧ブレーキ50に供給する制動状態とに切り換え自在なモード切り換え用の油路切換手段としての電磁操作式の操向制御弁55を設けている。尚、前記油路54の途中箇所には、後述の操作レバー58の操作状態に基づいて、前記各油圧クラッチ45,49、油圧ブレーキ50に供給する作動油の油圧力(つまり旋回力)を調整するための圧力調整弁57を設けている。この圧力調整弁57は、電磁比例圧力制御弁にて構成され、バネにより排油側に復帰付勢されるスプールを電磁ソレノイドへの通電により圧油供給側に切り換えるようになっており、しかも、ソレノイドへの供給電流を変更調節することで、スプールの位置が変化して作動油の油圧力を変更調整することができるように構成されている。
【0033】
前記方向切換弁56L,56R、操向制御弁55、圧力調整弁57の夫々は、前記搭乗運転部5に設けられた操作具としての操作レバー58の操作に基づいて、前記制御装置60により切換え制御されるように構成されている。詳述すると、図に示すように、前記操作レバー58は車体前後方向並びに車体横幅方向(左右方向)の夫々に所定範囲にわたり十字揺動操作自在に設けられ、中央側の位置(中立位置)に復帰付勢されるとともに、その付勢力に抗して前後左右に人為的に操作自在に構成されている。又、その揺動支点部に、左右方向における操作状態を検出する旋回用ポテンショメータ61が設けられ、その検出情報に基づいて制御装置60が操作レバー58の左右方向での操作位置を判別して、上記各弁を切換え操作するようになっている。
尚、操作レバー58の揺動支点部には、操作レバー58の車体前後方向における操作状態を検出する昇降用ポテンショメータ62が設けられている。
図5に示すように、操作レバー58が直進指令位置TSから左右いずれかの方向に揺動させるに伴って、非駆動旋回位置(R1,L1)、緩旋回位置(R2,L2)、信地旋回位置(R3,L3)、超信地旋回位置(R4,L4)の各位置に順次切り換え操作自在に構成されており、操作レバー58が直進指令位置TSから左右いずれかの方向に揺動させるに伴って制御装置60は次のように制御を実行する。
▲1▼ 操向レバー58が、直進指令位置TSに位置すると、前記両方向切換弁56L,56Rを排油状態に切り換えるとともに圧力調整弁57を非作動状態に切り換える(直進走行状態)。
▲2▼ 操作レバー58が非駆動旋回位置(L1又はR1)に操作されると、左右いずれか選択された側の方向切換弁(56L又は56R)を圧油供給状態に切り換えるとともに圧力調整弁57を非作動状態に切り換える(非駆動旋回状態)。
▲3▼ 操作レバー58が緩旋回位置(L2又はR2)に操作されると、左右いずれか選択された側の方向切換弁(56L又は56R)を圧油供給状態に切り換えるとともに圧力調整弁57を作動状態に切り換え、操向制御弁55を減速状態に切り換える(緩旋回状態)。
▲4▼ 操作レバー58が信地旋回位置(L3又はR3)に操作されると、左右いずれか選択された側の方向切換弁(56L又は56R)を圧油供給状態に切り換えるとともに圧力調整弁57を作動状態に切り換え、操向制御弁55を制動状態に切り換える(信地旋回状態)。
▲5▼ 操作レバー58が超信地旋回位置(L4又はR4)に操作されると、左右いずれか選択された側の方向切換弁(56L又は56R)を圧油供給状態に切り換えるとともに圧力調整弁57を作動状態に切り換え、操向制御弁55を逆転状態に切り換える(超信地旋回状態)。
【0034】
前記制御装置60は、操作レバー58の前後揺動操作に基づいて、刈取部3を昇降操作させるべく昇降用油圧シリンダCYに対する油圧制御を実行するように構成されている。
つまり、図3に示すように、前記油圧シリンダCYに対する圧油供給状態と供給停止状態とに切り換わる電磁操作式の上昇制御弁V1と、油圧シリンダCYから作動油の排出量を変更調節自在な電磁操作式の下降制御弁V2とが設けられ、制御装置60がこれらの各制御弁V1,V2を切り換え制御して刈取部3の昇降状態を制御するように構成されている。
そして、制御装置60は下降制御弁V2のソレノイドを駆動するパルス信号のディーティ比を変更調節して開度(作動油の排出量)を無段階に変更調節することによって、油圧シリンダCYの昇降作動速度を変更することができるように構成されている。
前記制御装置60は、昇降用ポテンショメータ62の検出情報に基づいて、操作レバー58が中立位置から前後いずれかの方向に所定量以上操作されたことを検出すると、前記各制御弁V1,V2を操作して油圧シリンダCYを伸縮作動させるようになっており、操作レバー58による中立位置から離れる方向への操作量が大になるほど、油圧シリンダCYによる作動速度(刈取部の昇降速度)が大になるように前記各制御弁V1,V2を制御するように構成されている。
【0035】
このコンバインでは、上記したように操作レバー58による操作量をポテンショメータ61,62にて検出して、その検出結果に基づいてアクチュエータ(電磁操作式の上記各弁のソレノイド)を制御する電気制御系が構成されているが、このような制御系に異常が発生した場合、例えば、ポテンショメータが断線や短絡等の故障を起こしたり、制御装置60が動作異常になったような場合であっても、前記操作レバー58の操作に基づいて、機体の旋回操作や刈取部3の昇降操作等を実行することができる緊急用設備が設けられている。
【0036】
詳述すると、図5,図6に示すように、前記操作レバー58における前後方向並びに左右方向の夫々の操作方向において、操作レバー58が所定の操作範囲内における最大操作位置(設定位置)まで操作されるに伴ってオンする4個のリミットスイッチS1,S2,S3,S4(検出スイッチ)が設けられ、操作レバー58の左側最大操作位置に対応する旋回用のリミットスイッチS1と左旋回用の方向切換弁56Lのソレノイドとを接続し、操作レバー58の右側最大操作位置に対応する旋回用のリミットスイッチS2と右旋回用の方向切換弁56Rのソレノイドとを接続し、操作レバー58の前方側最大操作位置に対応する昇降用のリミットスイッチS3と下降制御弁V2のソレノイドとを接続し、操作レバー58の後方側最大操作位置に対応する昇降用のリミットスイッチS4と上昇制御弁V1のソレノイドとを接続する緊急接続用の電線DE(緊急用の接続手段の一例)が設けられている。
【0037】
尚、この電線DEは、制御系が正常に動作しているときには不要であるから、配線の途中に断続自在なコネクタCNが設けられ、正常動作状態では、このコネクタCNを分離させて遮断状態に切換えておく。そして、上記したような異常が発生した場合には、ポテンショメータ61,62と制御装置60とを接続する接続線LNを切り離した状態で、前記コネクタCNを接続状態に切り換えることで、前記非駆動状態での旋回走行や最大操作速度による刈取部3の昇降操作を実行することが可能となる。
【0038】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、緊急用の接続手段が、ポテンショメータと制御装置とを接続する接続線が切り離された状態で、リミットスイッチとアクチュエータ( 油圧制御用弁のソレノイド)とを接続する緊急接続用の電線にて構成される場合を例示したが、このような構成に代えて、次のように構成するものでもよい。
【0039】
図7に示すように、前記各リミットスイッチS1〜S4と前記アクチュエータ( 油圧制御用弁のソレノイド)とを接続する接続手段としての電線DEが、ポテンショメータ(61,62)と制御装置60とを接続する接続線LNと併設する状態で設けられるとともに、前記接続線LN及び前記電線DEには夫々それらを導通状態とするか又は遮断状態とするかに切り換え自在な第1〜第6リレーRY1〜RY6が夫々設けられている。
そして、前記各ポテンショメータ61,62が正常であるか異常であるかを判別する判別手段100、及び、この判別手段100の判別情報に基づいて、前記各リレーRY1〜RY6の入り切り作動状態を制御するリレー制御手段101とが、前記制御装置60に制御プログラム形式で夫々備えられる。
【0040】
そして、前記制御装置60は、ポテンショメータ61,62が正常であると判断すると、前記接続線LNが導通状態となるように第1及び第2リレーRY1,RY2を導通状態として、前記電線DEが遮断状態となるように第3〜第6リレーRY3〜RY6を遮断状態とする(この状態が通常動作状態に対応する)。又、ポテンショメータ61,62が異常であると判断すると、前記電線DEが導通状態となるように第3〜第6リレーRY3〜RY6を導通状態として、前記接続線LNが遮断状態となるように第1及び第2リレーRY1,RY2を遮断状態とする(この状態が緊急連係状態に対応する)。
従って、ポテンショメータの異常を判断すると、自動的に通常動作状態から緊急連係状態に切り換わり、操作レバー58の操作により、前記非駆動状態での旋回走行や最大操作速度による刈取部3の昇降操作を実行することが可能となる。前記各リレーRY1〜RY6と前記リレー制御手段101とにより導通状態切換手段DKが構成される。尚、このような異常状態が発生すると、表示ランプLAを点灯させて運転者に報知するようにしている。
【0041】
(2)上記実施形態では、操作レバーが十字揺動操作自在に設けられ、車体前後方向及び車体横幅方向夫々において、即ち、車体旋回操作と刈取部昇降操作の夫々のアクチュエータ操作装置において上記したような緊急用接続手段が設けられる構成としたが、いずれか1つの方向に対してのみ設けられる構成としてもよい。
【0042】
(3)上記実施形態では、アクチュエータとして車体旋回操作を行うためのアクチュエータや刈取部を昇降操作するためのアクチュエータ等である場合を例示したが、このような構成に限らず、要するに操作具にて操作されるポテンショメータの検出情報に基づいて操作されるアクチュエータであればよく、駆動対象は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図
【図2】走行伝動構造を示す図
【図3】油圧回路図
【図4】操作レバーの操作状態を示す斜視図
【図5】制御ブロック図
【図6】緊急用接続手段の構成を示す回路図
【図7】別実施形態の緊急用接続手段の構成を示す図
【符号の説明】
58 操作具
61,62 ポテンショメータ
S1,S2,S3,S4 検出スイッチ
DE 電線
DK 導通状態切換手段
LN 接続線
100 判別手段
Claims (3)
- 中立位置から車体前後方向並びに左右方向に所定の操作範囲にわたり正逆方向に十字揺動操作自在な操作具と、この操作具の車体前後方向における操作状態を検出する昇降用ポテンショメータ及び左右方向における操作状態を検出する旋回用ポテンショメータと、これら昇降用ポテンショメータ及び旋回用ポテンショメータと接続線を介して接続され、前記昇降用ポテンショメータ及び前記旋回用ポテンショメータの検出情報に基づいて昇降用のアクチュエータ及び旋回用のアクチュエータの作動状態を制御する制御手段とが備えられたコンバインのアクチュエータ操作装置であって、
前記操作具が車体前後方向の前記操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする昇降用の検出スイッチ及び前記操作具が左右方向の前記操作範囲における設定位置まで操作されるに伴ってオンする旋回用の検出スイッチが設けられ、これら昇降用の検出スイッチ及び旋回用の検出スイッチと前記昇降用のアクチュエータ及び前記旋回用のアクチュエータとを電気的に連係可能な緊急用の接続手段が、接続状態と遮断状態とに切換え自在に設けられているコンバインのアクチュエータ操作装置。 - 前記接続手段は、
前記昇降用の検出スイッチ及び前記旋回用の検出スイッチと前記昇降用のアクチュエータ及び前記旋回用のアクチュエータとを接続する緊急接続用の電線にて構成されている請求項1記載のコンバインのアクチュエータ操作装置。 - 前記昇降用の検出スイッチ及び前記旋回用の検出スイッチと前記昇降用のアクチュエータ及び前記旋回用のアクチュエータとを接続する前記接続手段として電線が、前記昇降用ポテンショメータ及び前記旋回用ポテンショメータと前記制御手段とを接続する前記接続線と併設する状態で設けられるとともに、
前記接続線を導通状態とする通常動作状態と、前記電線を導通状態とする緊急連係状態とに切り換え自在な導通状態切換手段と、前記昇降用ポテンショメータ及び前記旋回用ポテンショメータが正常であるか異常であるかを判別する判別手段とが備えられ、
前記導通状態切換手段は、
前記判別手段が、正常であると判別していれば前記通常動作状態に切り換え、異常であると判別すると前記緊急連係状態に切り換えるように構成されている請求項1記載のコンバインのアクチュエータ操作装置。
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