JP3717435B2 - 作業車の旋回制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車体走行状態を旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態に切り換える旋回状態切換手段と、直進指令位置から旋回側へ移動するほど旋回力が大となる旋回操作状態を指令する旋回操作具と、この旋回操作具の指令に基づいて前記旋回状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられた作業車の旋回制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記構成の作業車の旋回制御装置において、従来では、左右一対の走行装置を備えた作業車に適用した場合の例として、例えば、特開平7−47973号公報に示されるように、旋回操作具が直進指令位置から旋回側へ移動操作されるに伴って、その旋回操作具に機械的に連係された方向切換弁が操作されて、旋回側の走行装置に対する伝動を断って前記複数段階の旋回操作状態のうちのひとつである非駆動旋回状態とするように構成するとともに、旋回力がそれよりも大きな複数段階の旋回操作状態に切り換えるための構成として、複数の油圧式の摩擦伝動機構を備えて、旋回操作具が切り換え用の指令位置に操作されたときにおける操作圧を検出して、その操作圧の大きさに基づいて、電磁弁にて複数の油圧式の摩擦伝動機構のうちいずれかを使用するかを選択的に切り換えるようにしたり、あるいは、旋回操作具とは別に切換スイッチを備えて、複数の摩擦伝動機構のうちいずれを使用するかについて予め選択指令するようにして、電磁弁にて切り換える構成のものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来構成においては、上記したような旋回操作状態に切り換えるために、旋回操作具の手動による移動操作に連動して機械的に連係された方向切換弁を操作する構成となっていることから、旋回操作具の操作が重くなり、操作が煩わしいものとなる不利があった。
又、上記従来構成では、旋回力の大きな旋回操作状態への切り換えは、旋回操作具に対する操作力の大きさによって切り換えたり、あるいは、専用の切換スイッチにて旋回操作に先立って予め切り換えるようになっているので、例えば、旋回操作具に対する操作力の大きさによって旋回操作状態を切り換える構成では、操作者が選択したい操作モードに対応する操作力を正確に旋回操作具に対して付与することは熟練していない操作者には難しい作業となる場合がある。又、専用の切換スイッチにて旋回操作に先立って予め操作モードを切り換える構成では、旋回操作具に対する旋回操作とは別に切換えスイッチの切換え操作を行う必要があり、それだけ操作の煩わしさがあるとともに、切換スイッチの切換え操作を忘れてしまうおそれもあり、操作性の面で改善すべき余地があった。
【0004】
そこで、上記したような操作の煩わしさを解消して旋回操作具の操作を楽に行える構成として、旋回操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段を備えるとともに、旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態の夫々に順次切り換えるために、そのための切り換え操作を行うアクチュエータを複数段階の旋回操作状態の夫々に対応させて複数備えさせて、操作位置検出手段の検出情報に基づいて複数のアクチュエータの動作を順次切り換え制御する構成が考えられるが、このようにすると、操作の煩わしさを解消することは可能となるが複数のアクチュエータが必要であり構造が大幅に複雑になる不利がある。
【0005】
そこで、本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、一つの電動モータにより複数段階の旋回操作状態の夫々に切り換えることを可能として、構成を大幅に複雑化させずに旋回操作を煩わしさなく楽に行えるものでありながら、電動モータの作動位置を検出する検出手段が故障したような場合であっても、作業車の旋回操作が可能となる作業車の旋回制御装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1によれば、車体走行状態を旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態に切り換える旋回状態切換手段と、直進指令位置から旋回側へ移動するほど旋回力が大となる旋回操作状態を指令する旋回操作具と、この旋回操作具の指令に基づいて前記旋回状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられた作業車の旋回制御装置において、前記旋回状態切換手段が、電動モータの作動によって旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態の夫々に順次切り換える操作を実行可能に構成され、前記旋回操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、前記電動モータの作動位置を検出する作動位置検出手段とが設けられ、前記制御手段が、前記作動位置検出手段が正常に動作しているか否かを判別する動作判別処理を実行するように構成され、前記作動位置検出手段が正常に動作していれば、前記作動位置検出手段にて検出される作動位置が、前記旋回操作具にて指令される旋回操作状態に対応する作動位置になるように、前記電動モータの作動を制御する通常旋回処理を実行し、前記作動位置検出手段が正常に動作していなければ、前記操作位置検出手段の検出情報に基づいて、前記旋回操作具にて旋回が指令されたことが検出されると、予め設定した設定時間が経過する間だけ、旋回指令に対応する回動方向に回動操作させるように、前記電動モータの作動を制御する緊急旋回処理を実行するように構成されていることを特徴とする。
【0007】
すなわち、前記旋回状態切換手段は、電動モータの作動によって複数段階の旋回操作状態の夫々に順次切り換える操作を行うことが可能であり、電動モータの作動位置を検出する作動位置検出手段が正常に動作していれば、制御手段は通常旋回処理を実行することになる。つまり、作動位置検出手段にて検出される作動位置が旋回操作具にて指令される旋回操作状態に対応する作動位置になるように、電動モータの作動を制御するのである。このように、旋回操作具が操作されるに伴って、電動モータの作動により、複数段階の旋回操作状態のうち旋回操作具にて指令された旋回操作状態に切り換えることができるので、旋回操作具の移動操作を軽い操作力で楽に行えるとともに、旋回操作具以外の他の切換手段を切り換える操作も不要で煩わしさもない。
【0008】
そして、何らかの原因により前記作動位置検出手段が故障する等して正常に動作していない状態であれば、制御手段が動作判別処理にてそのことを判別すると、制御手段が緊急旋回処理を実行するのである。つまり、操作位置検出手段の検出情報に基づいて、旋回操作具にて旋回が指令されたことが検出されると、予め設定した設定時間が経過する間だけ旋回指令に対応する回動方向に回動操作させるように電動モータの作動を制御するのである。前記設定時間としては、複数の旋回操作状態のうちの例えば最小旋回力の旋回操作状態に切り換えるのに必要な時間に設定される。尚、操作位置検出手段の検出情報に基づいて、旋回操作具が旋回を指令する状態から直進指令位置に戻し操作されたことが検出されると、電動モータを前記設定時間と同じ時間だけ逆方向に回動させて元の状態に戻すことは勿論である。
従って、作動位置検出手段が故障している場合であっても、旋回操作具を旋回方向に移動操作すると、旋回操作を行うことができ、操縦操作を続行することが可能となる。
【0009】
従って、一つの電動モータにより複数段階の旋回操作状態の夫々に切り換えることを可能として、構成を大幅に複雑化させずに旋回操作を煩わしさなく楽に行えるものでありながら、電動モータの作動位置を検出する作動位置検出手段が故障した場合であっても、作業車の旋回操作が可能となる作業車の旋回制御装置を提供できるに至った。
【0010】
請求項2によれば、請求項1において、前記制御手段が、前記緊急旋回処理を実行するときは、前記通常旋回処理を実行するときよりも、前記電動モータの駆動速度を低い速度に設定するよう構成されていることを特徴とする。
【0011】
すなわち、緊急旋回処理を実行するときは、作動位置検出手段が正常に動作していないので、電動モータの作動状態を検出することができないので、通常の動作と同じような駆動速度で作動させるようにすると、例えば、何らかの要因で駆動負荷が一時的に軽くなるようなことがあれば、電動モータが過剰操作してしまい、機械的な限界位置にまで作動して尚も作動して電動モータ自身が故障するようなおそれがある。そこで、前記緊急旋回処理を実行するときは、前記通常旋回処理を実行するときよりも駆動速度を低い速度に設定することで、このような電動モータ自身の損傷を未然に防止することが可能となり、請求項1を実施するのに好適な手段が得られる。
【0012】
請求項3によれば、請求項1又は2において、前記旋回状態切換手段は、車体に備えられた左右の走行装置夫々に対する伝動を各別に断続する油圧操作式のサイドクラッチと、前記左右のサイドクラッチを択一的に圧油供給状態に切り換える方向切換弁とを備えて、前記電動モータの作動に伴って、前記複数の旋回操作状態のうち、旋回力が最小である旋回操作状態として、旋回側に位置する前記走行装置に対するサイドクラッチを伝動切りにする非駆動旋回状態に切り換え自在に構成され、前記制御手段が、前記緊急旋回処理を実行するときは、前記設定時間として、直進走行状態から前記非駆動旋回状態に切り換わるのに必要となる所要時間よりも長い時間を設定して、前記電動モータを作動させるよう構成されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、前記緊急旋回処理を実行するときは、電動モータを作動させる設定時間として、直進走行状態から前記非駆動旋回状態に切り換わるのに必要となる所要時間よりも長い時間を設定しているので、作動位置検出手段が故障した場合であっても、旋回側に位置する走行装置に対するサイドクラッチを伝動切りにする非駆動旋回状態に確実に切り換えることが可能となる。
【0014】
請求項4によれば、請求項3において、前記旋回状態切換手段は、一方の走行装置を反対側の走行装置よりも低速で駆動する緩旋回状態に操作する緩旋回用の油圧式クラッチ、前記左右の走行装置のうちの旋回側の走行装置に対して制動作用する信地旋回状態に油圧力にて操作される信地旋回用の油圧式ブレーキ、前記緩旋回用の油圧式クラッチと前記信地旋回用の油圧式ブレーキとを択一的に油圧供給源に接続させる旋回モード切換弁、前記旋回操作具が移動操作されるに伴って前記緩旋回用の油圧式クラッチ又は前記信地旋回用の油圧式ブレーキに対する圧油供給路の圧力を変更調整する油圧調整手段とを備えて構成され、前記電動モータの作動に伴って、前記複数段階の旋回操作状態として、前記非駆動旋回状態、前記緩旋回状態、前記信地旋回状態に順次切り換わるように、前記方向切換弁及び前記旋回モード切換弁を連動操作する連係機構が設けられていることを特徴とする。
【0015】
すなわち、旋回状態切換手段は、旋回操作具が直進指令位置から旋回側へ移動するに伴って、電動モータの作動により方向切換弁及び旋回モード切換弁が連動操作されて、旋回側に位置する走行装置に対するサイドクラッチを伝動切りにする非駆動旋回状態、一方の走行装置を反対側の走行装置よりも低速で駆動する緩旋回用の伝動状態、旋回側の走行装置に対して制動作用する信地旋回状態の夫々に順次、切り換わっていくことになる。そして、前記緩旋回用の伝動状態においては旋回操作具が旋回側に移動するほど緩旋回用の油圧式クラッチに対する圧油供給路の圧力が変更調整されることになる。又、信地旋回状態においては旋回操作具が旋回側に移動するほど信地旋回用の油圧式ブレーキに対する圧油供給路の圧力が変更調整されることになる。
このように、旋回操作具の操作位置の変更により旋回力を徐々に変更させる状態で旋回状態を切り換えることが可能であり、作業状況に応じた適切な状態で旋回操作を行うことが可能となり、請求項3を実施するのに好適な手段が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る作業車の旋回制御装置をコンバインに適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1に、本発明を適用した作業機の一例であるコンバインの右側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ型の走行装置1L,1Rを備えた走行機体2の前部に、刈取前処理部3を昇降自在に連結するとともに、機体上に、脱穀装置4、穀粒タンク5、エンジン6、操縦部7などを搭載した構造となっている。
【0017】
以下、前記走行装置1L,1Rの伝動構造を図2に基づいて説明する。
前記エンジン6の動力は、前後進の切換えが可能な主変速装置としての静油圧式無段変速装置(HST)8に伝達され、その変速出力がミッションケース9に伝達される。ミッションケース9に入力された動力は、ギヤG1,G2を介して第1軸10に伝達された後、ギヤG3,G4を介して副変速機構11に伝達される。また、第1軸10からケース外に取り出された動力のうち、正転動力のみがワンウエイクラッチOCを介して前記刈取前処理部3にベルト伝達される。
【0018】
前記副変速機構11は、コンスタントメッシュ式に3段のギヤ変速を行うものであり、第2軸12に遊嵌装着した小径ギヤG5,中径ギヤG6,大径ギヤG7を、第3軸13に固着したギヤG8,G9,G10にそれぞれ常時咬合させ、前記第2軸12上に配備した2つのシフトスリーブS1,S2をシフトすることで、3組の常噛みギヤ対のいずれか一組を用いて、第2軸12から第3軸13への変速伝動を行うよう構成されている。
上記のようにして前記第3軸13に伝達された動力は、中央のギヤG9を介して第4軸19のセンターギヤG11に伝達された後、油圧操作式の左右のサイドクラッチ20L,20R、車軸ギヤ21L,21R、および、車軸22L,22Rを介して左右の走行装置1L,1Rに伝達される。
【0019】
尚、左のサイドクラッチ20Lは、サイドクラッチギヤ23Lの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23aとし、この油圧アクチュエータ23aによって入り切り操作される。右のサイドクラッチ20Rは、サイドクラッチギヤ23Rの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23bとし、この油圧アクチュエータ23bによって入り切り操作される。また、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rは、センターギヤG11との咬合が外れたクラッチ切り位置に到達した後、第4軸19の両端部位に遊嵌装着された旋回用サイドギヤ25L,25Rに、多板摩擦式の旋回用クラッチ30L,30Rを介して連結可能となっている。
【0020】
また、前記操向用サイドギヤ25L,25Rは、第5軸26の両端部位に固着されたギヤ27L,27Rに咬合されるとともに、第5軸26に遊嵌したギヤG13が、前記センターギヤG11の側部に連設された小径のギヤG12に咬合されて減速連動されている。前記ギヤG13と第5軸26との間には、緩旋回を司る多板摩擦式の緩旋回用の油圧式クラッチCが装備されている。この緩旋回用の油圧式クラッチCは、常時は内装したバネの付勢力によってクラッチ切り状態に維持され、第5軸26の内部に穿設形成された油路を介して圧油が供給されることでクラッチ入り状態に切換えられるようになっている。
【0021】
又、ミッションケース9の右側面に取り付けられたサイドカバー33に、第5軸26の一端が軸受け支承されるとともに、このサイドカバー33に、緩旋回用の油圧クラッチCを入りにして旋回するときよりも大きな旋回力にて小半径の旋回半径で旋回させる信地旋回を司る信地旋回用の油圧式ブレーキとしての油圧操作式の多板型の油圧ブレーキBが装備されている。この油圧ブレーキBは、摩擦制動作用が入り状態になることにより、サイドクラッチ20L,20Rが切られた側の走行装置1L又は1Rを制動し、切り作動すると走行装置1L又は1Rに対する制動を解除するようになっている。
【0022】
図3に、前記サイドクラッチ20L,20R、旋回用クラッチ30L,30R、緩旋回用の油圧クラッチC、および、油圧ブレーキBを操作する油圧回路図および制御系統図が示されている。図において、V1は、左サイドクラッチ20Lの油圧アクチュエータ23aと、右サイドクラッチ20Rの油圧アクチュエータ23bとを択一的にシフト操作するための方向切換弁であって、ミッションケース9の外側に配備した電動モータMによって中立、および、正逆の3位置が選択される。V2は、前記緩旋回用の油圧クラッチCと油圧ブレーキBとを油圧供給源としての油路eに択一的に接続して旋回モードを切換える旋回モード切換弁である。このは旋回モード切換弁V2は、通常は緩旋回用の油圧クラッチCに圧油供給する第1位置に付勢され、後述するような連係機構によって油圧ブレーキBに圧油供給する第2位置に切換えられるようになっている。
【0023】
また、図3中のV3は、前記第4軸19の内部に形成された油路に接続されたシーケンス弁であり、その作動圧は、サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rをクラッチ切り位置までシフトして内装のバネとバランスさせる圧に設定されている。そして、このシーケンス弁V3の下手側に油圧調整手段としての可変リリーフ弁V4が接続されて、作動油タンクを兼用するミッションケース9に連通されるとともに、シーケンス弁V3と可変リリーフ弁V4との間から分岐した前記油路eが前記旋回モード切換弁V2の一次側に接続されており、可変リリーフ弁V4は、圧力調節されることにより、旋回モード切換弁V2に給油したり、この給油を停止したりする。つまり、旋回モード切換弁V2への供給油圧を調整する。
【0024】
前記電動モータMは、図9に示すように、減速機構付きのものであって、電動モータMの出力軸PSの回動方向及び回動量を検出するポテンショメータ利用のフィードバック用の作動位置センサAS(回動位置検出手段の一例)が取り付けられている。つまり、電動モータMと作動位置センサASは一つの電動ユニットUとして構成され、ミッションケース9の側面に突設の複数の取付脚9aにボルトBTを介して着脱自在に取り付けられている。
そして、電動モータMの出力軸PSには、図6に示すように、作動部材の一例であるところの軸芯方向視において左右対称形状の回転カム114が一体回転状態に取り付けられている。
【0025】
そして、前記回転カム114が、中立位置(図6に示す位置)から一方向又は逆方向に回転するに伴い、方向切換弁V1をサイドクラッチ切り操作状態に切り換えるように構成され、回転カム114が更に設定量回動すると、旋回モード切換弁V2を緩旋回用の油圧クラッチCへの圧油供給状態から油圧ブレーキBへの圧油供給状態に切り換えるように構成されている。
【0026】
つまり、回転カム114の回転軸、つまり、出力軸PSと平行な軸芯p1周りに揺動自在に支軸62を介して取り付けられた揺動リンク64が設けられ、この揺動リンク64の遊端部に、回転カム114に接触作用するローラ利用の操作部64bが設けられて、回転カム114の回転に伴ってこの操作部64bが接触作用して、揺動リンク64が連動して揺動するように構成されている。又、図10に示すように、前記支軸62の他端側には、回動に伴って方向切換弁V1を切り換え操作するための操作アーム63が設けられており、方向切換弁V1は、油圧ブロック37の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール61を操作アーム63に係合して摺動操作するよう構成されている。
【0027】
詳述すると、揺動リンク64は、図6に示される中立位置において前記回転カム114の対称軸上に位置するように配置されているとともに、基部に備えたバネ受けピン64aに両端側が接当するように設置した復帰バネ112によって中立位置に揺動付勢されている。また、この中立位置では、操作部64bは、回転カム114の周面に凹入形成された凹入部115aに入り込む状態となっており、回転カム114の一方向への回転に伴い、この凹入部115aが操作部64bに接当して揺動リンク64を一方向に揺動させる構成となっている。又、回転カム114の前記周面における凹入部115aの両側部に位置する箇所には、回転軸芯からの距離が等しい円弧面を形成する案内部分115bが形成されている。図中、fpは、前記油圧ブロック37に連設したブラケット37aに付設されて前記復帰バネ112に接当することでこの復帰バネ112を回り止めする固定ピンである。
【0028】
従って、回転カム114が中立位置にあると、図6に示すように、この回転カム114の凹入部115aが、揺動リンク64の操作部64bに対応して揺動リンク64を中立位置に操作する。すると、揺動リンク64は、方向切換弁V1を中立状態に操作する。そして、この中立位置から電動モータMで回転カム114が一方向又は逆方向に回転駆動されると、回転カム114の凹入部115aの内面が揺動リンク64の操作部64bに接当して、揺動リンク64を中立位置から切換位置(図7、図8参照)に揺動操作すると、方向切換弁V1が左旋回や右旋回の操向側に切り換え操作される。方向切換弁V1が左旋回や右旋回の操向側に切り換わっ後にさらに回転カム114が回転操作されても、前記案内部分115bが回転カム114の回転軸芯を中心とする円弧形状であることから、図7、図8に示すように、揺動リンク64は切換位置に維持されて方向切換弁V1を左旋回や右旋回の操向側に維持する。
【0029】
又、前記回転軸PSにその軸芯周りに揺動自在に外嵌支持された揺動リンク117が設けられ、回転カム114がサイドクラッチ切り位置を越えて更に回動すると、回転カムの外周部に形成された押圧操作段部120により、揺動リンク117に設けられた受動ピン117aを押圧して揺動リンク117を揺動させる構成となっている。
そして、この揺動リンク117の一方向への揺動及び逆方向への揺動のいずれによっても旋回モード切換弁V2を緩旋回用の油圧クラッチCへの圧油供給状態から油圧ブレーキBへの圧油供給状態に切り換わるように揺動リンク117と旋回モード切換弁V2の操作レバー70とを連動杆116を介して連動連結して構成されている。
つまり、揺動リンク117が一方向に揺動したときには連動杆116を介して操作レバー70を一方向(図6の上方向)に引っ張り揺動させ、揺動リンク117が逆方向に揺動したときにも連動杆116を介して操作レバー70を一方向に引っ張り揺動させるようになっている。又、図11に示すように、前記旋回モード切換弁V2は、サイドカバー33の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール66を、操作レバー70によって支軸67を介して外部から揺動される操作アーム68で接当押圧して、バネ69に抗して摺動操作するよう構成されている。従って、前記揺動リンク117は前記バネ69の付勢力によって図6に示す待機姿勢に復帰付勢されることになる。
【0030】
回転カム114が中立位置にあって揺動リンク117が前記待機姿勢にあると、旋回モード切換弁V2は前記バネ69による自己復元力によって緩旋回用の油圧クラッチCへの圧油供給位置になる。回転カム114が前記中立位置から一方向や逆方向に回転操作されると、方向切換弁V1が左旋回や右旋回側の操向側に切り換わった後に前記押圧操作段部120の対応するものが揺動リンク117の受動ピン117aに接当し、揺動リンク117を旋回モード切換弁V2の自己復元力に抗して待機位置から離れる側に揺動操作する。すると、揺動リンク117は連動杆116を介して操作レバー70を揺動操作し、操作レバー70が旋回モード切換弁V2を油圧ブレーキBへの圧油供給位置側に切り換え操作する。
【0031】
前記旋回操作レバー42は、図4、図5に示すように、ハンドル塔41の上部右側(運転者から見て)に取り付けたブラケット44に支軸45が前後向き支点x周りに回動自在に貫通装着されるとともに、この支軸45の後端に連設した支点金具46に、前記旋回操作レバー42が横向き支点y周りに揺動可能に装着されて、旋回操作レバー42が十字揺動可能に構成されている。そして、前記支点金具46からは棒材をL形に屈曲してなる第1操作アーム47が突設されるとともに、前記支軸45の前端部近くからは板材の第2操作アーム48が突設されている。
【0032】
第1操作アーム47は、ハンドル塔41に取付けられた操作位置検出手段としてのポテンショメータ利用の操作位置センサ49に以下のように連係され、この操作位置センサ49によって、旋回操作レバー42の操作位置、即ち、旋回操作レバー42の中立位置からの操作方向と操作ストロークが電気的に検出されるようになっている。
つまり、前記操作位置センサ49の操作アーム49aは、前記第1操作アーム47に側方から常に接当するよう、内装したバネによって図4中時計方向に回動付勢されており、第1操作アーム47が中立位置から左右いずれの方向に操作されても、接当状態を維持しながら操作アーム49aが第1操作アーム47に追従して回動することで、旋回操作レバー42の操作位置が操作位置センサ49の出力変化として連続的に検出され、その検出信号が制御手段としての制御装置43に入力されるようになっている。
【0033】
なお、十字操作可能な前記旋回操作レバー42の前後揺動によって、前記刈取り前処理部3の昇降が行われるようになっている。すなわち、前記横向き支点yの延長線上の左右には、旋回操作レバー42の前後揺動を検出するポテンショメータ81と、旋回操作レバー42を前後揺動方向の中立位置nに付勢するねじりバネ82が配備されており、ポテンショメータ81の検出情報に基づいて、制御装置43が刈取り前処理部3を昇降させるべく刈取り前処理部3の図示しない駆動昇降機構を制御する構成となっている。
【0034】
そして、旋回操作レバー42と可変リリーフ弁V4とを連動連係させる連動機構が設けられている。説明を加えると、この連動機構は、図4、図5に示すように、前記第2操作アーム48と、前記支軸45に遊嵌装備された一対の作動アーム51,52と、この一対の作動アーム51,52に一端側が連結しているレリーズワイヤ50と、このレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bの他端側をバネ50cを介して遊端側に連結した状態で前記油圧ブロック37の外部に揺動自在に設けたレバー77とによって構成してある。前記レバー77は、可変リリーフ弁V4の操作部となっており、図11に示すように、前記支軸67と二重軸構造になっている支軸75の軸芯周りで揺動操作されることにより、操作アーム76を介して可変リリーフ弁V4を操作する。
【0035】
前記両作動アーム51,52はねじりバネ53によって互いに接近する方向に揺動付勢されて、ブラケット44に設けた固定ピン54を挟むように接当支持されている。そして、一方の作動アーム51の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるアウタワイヤ50aの端部が連結支持されるとともに、他方の作動アーム52の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるインナワイヤ50bの端部が連結支持されている。また、旋回操作レバー42によって前後向き支点xの周りに揺動される第2操作アーム48の遊端部に設けた操作ピン48aが、両作動アーム51,52の間に設置されている。
【0036】
上記構成によると、例えば図4において、旋回操作レバー42を中立位置nから図の左方向に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中反時計方向に揺動され、操作ピン48aが一方の作動アーム51を反時計方向に押圧して揺動させる。この時、他方の作動アーム52は固定ピン54との当たりによって反時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが相対的にアウタワイヤ50aから引き出される。また、逆に、旋回操作レバー42を中立位置nから図の右方向に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中時計方向に揺動され、操作ピン48aが他方の作動アーム52を時計方向に押圧して揺動させる。この時、一方の作動アーム51は固定ピン54との接当によって時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bがアウタワイヤ50aから引き出される。つまり、旋回操作レバー42を中立位置nから左旋回方向あるいは右旋回方向のいずれに揺動操作しても、その操作量に応じてレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが引き出し操作され、そのワイヤ引き出し量が大きくなるほど前記可変リリーフ弁V4の作動圧が高くなるように連係されている。
【0037】
そして、図11に示すように、可変リリーフ弁V4は、サイドカバー33の上部に前後方向に移動可能に組み込まれたポペット71と、このポペット71を弁座72に付勢押圧して、前記油路eのドレン流路Dへの連通を遮断するバネ73と、このバネ73の後端を支持するバネ受け部材74とから成り、このバネ受け部材74を、前記支軸67に外嵌装着した筒状の支軸75を介して前記レバー77によって外部から揺動される操作アーム76で接当押圧して摺動変位させることで、リリーフ圧を調節することが可能に構成されている。そして、旋回操作レバー42の揺動量が大きくなってワイヤ引き量が大きくなるに連れて、可変リリーフ弁V4のリリーフ圧が次第に高くなるようになっている。
【0038】
前記制御装置43は、マイクロコンピュータを備えて構成され、旋回操作レバー42が操作されると、操作位置センサ49及び前記作動位置センサASからの情報を基に電動モータMを自動的に操作して方向切換弁V1及び旋回モード切換弁V2を切り換え操作することにより、左右のサイドクラッチ20L,20R、緩旋回用の油圧クラッチC、油圧ブレーキBのそれぞれを旋回操作レバー42の操作位置及び操作ストロークに対応した状態に切り換えるように制御する構成となっている。又、連動機構の作用によって可変リリーフ弁V4を操作し、旋回操作レバー42の操作位置に対応させて、機体が直進走行するように機体操向させる直進状態を現出させたり、機体が旋回操作レバー42の操作方向に等しい方向に旋回操作レバー42の操作ストロークに対応した旋回力になるように複数段階の旋回操作状態に順次切り換えることができる。
従って、図3に示すような前記各クラッチやブレーキ及び各油圧制御弁からなる油圧回路構成により旋回状態切換手段が構成される。
【0039】
以下、旋回状態の切り換え動作を具体的に説明する。
旋回操作レバー42が中立位置nにある時には、サイドクラッチ20L,20Rは共にクラッチ入り状態にあり、左右のクローラ走行装置1L,1Rは同速で駆動され、機体は直進走行する直進走行状態となる。
旋回操作レバー42が中立位置nから左右方向の一方、例えば右方の第1操作域Rcに揺動操作されると、これが操作位置センサ49で検出されて電動モータMが駆動され、回転カム114が回転操作されて方向切換弁V1が右旋回位置に切換えられ、サイドクラッチギヤ23Rが油圧アクチュエータ23bによってクラッチ切り位置までシフトされ、右側のサイドクラッチ20Rが切られる。このため、右側のクローラ走行装置1Rだけが遊転状態となり、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される非駆動旋回状態が現出されて機体は右方向に緩やかに旋回してゆく。
【0040】
旋回操作レバー42が第2操作域Rsにまで操作されると、連動機構12によって可変リリーフ弁V4が操作されてこの可変リリーフ弁V4のリリーフ圧がシーケンス弁V3の作動圧を超えた大きさとなり、高い圧油が緩旋回用の油圧クラッチCの油圧ピストン32に供給され、緩旋回用の油圧クラッチCが入り操作されて操向用サイドギヤ25Rが所定の低速で駆動される。従って、この操向用サイドギヤ25Rの低速動力がクラッチ切り位置にあるサイドクラッチ20Rに旋回用クラッチ30Rを介して伝達され、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動される緩旋回状態が現出され、左右クローラ走行1R,1Lの駆動速度差に基づいて機体は右方向に緩やかにかつ確実に旋回してゆく。
【0041】
旋回操作レバー42が第2操作域Rsを超えて第3操作域Rbにまで操作されると、これが操作位置センサ49で検出されて電動モータMがさらに駆動され、回転カム114がさらに回転操作されて旋回モード切換弁V2が切換えられ、圧油が油圧ブレーキBの油圧ピストン34に供給されるとともに、油路cがドレン流路Dに連通されて緩旋回用の油圧クラッチCが切られる。
この場合、旋回操作レバー42が大きく操作されていることで、前記リリーフ圧が既に高くなっているので、油圧ブレーキBによって第5軸26は制動され、第5軸26に連動連結されている右側のクローラ走行装置1Rは制動停止された状態で、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される信地旋回状態が現出され、機体は右方向に急旋回(信地旋回)する。
【0042】
旋回操作レバー42が左旋回方向に操作される場合も上記と同様に、第1操作域Lcでは、左側のサイドクラッチ20Lのみを切った緩旋回状態が現出されて緩やかな左旋回が行われ、第2操作域Lsでは、緩旋回用の油圧クラッチCを入り操作して左側のクローラ走行装置1Lを減速駆動する緩旋回状態が現出されて左旋回が行われ、また、第3操作域Lbでは、左側のクローラ走行装置1Lを制動した信地旋回状態が現出されて左方への急旋回が行われる。
【0043】
そして、前記制御装置43は、前記作動位置センサASが正常に動作しているか否かを判別する動作判別処理を実行するように構成され、作動位置センサASが正常に動作していれば、作動位置センサASにて検出される作動位置が、旋回操作レバー42にて指令される旋回操作状態に対応する作動位置になるように、上記したような旋回状態の切り換え動作を実行すべく、電動モータMの作動を制御する通常旋回処理を実行する。
そして、作動位置センサASが正常に動作していなければ、ポテンショメータの検出情報に基づいて、旋回操作レバー42にて旋回が指令されたことが検出されると、予め設定した設定時間が経過する間だけ、旋回指令に対応する回動方向に回動操作させるように、電動モータMの作動を制御する緊急旋回処理を実行するように構成されている。
又、前記緊急旋回処理を実行するときは、前記通常旋回処理を実行するときよりも、前記電動モータMの駆動速度を低い速度に設定するよう構成されている。
【0044】
以下、制御装置43の制御動作について説明する。
つまり、図12に示すように、作動位置センサASの検出情報に基づいてそれが正常に動作しているか否かを判別する(ステップ1)。具体的に説明すると、この作動位置センサASは、ポテンショメータにて構成されるが、例えば、断線故障しているか又は短絡故障していれば、その出力情報から電気的に判別することができる。
そして、作動位置センサASの動作が正常であれば、上記したような通常の旋回状態の切り換え操作を実行するための通常旋回処理を実行する。すなわち、操作位置センサ49にて指令される旋回指令位置及び作動位置センサASにて検出される電動モータMの作動位置とを夫々読み込み(ステップ2)、上述したような旋回状態の切り換え作動に対応すべく、電動モータMの作動位置が旋回指令位置に対応する位置になるように、電動モータMの作動を制御する(ステップ3)。このとき、電動モータMの駆動速度は、予め設定されている通常作業用の速度に設定される。
【0045】
そして、ステップ1にて動作作動位置センサASの動作が正常でないことが判別されると緊急旋回処理を実行する。すなわち、操作位置センサ49の検出情報に基づいて、旋回操作レバー42が揺動操作されて旋回操作の指令があったことが検出されると、その操作位置センサ49の検出情報に基づいて、旋回が指令された方向に対応する操作方向に向けて電動モータMを作動させる(ステップ4、5)。尚、このとき、電動モータMの駆動速度は、前記通常作業用の速度よりも低速の緊急用の速度に設定される。そして、作動を開始してから予め設定されている設定時間が経過すると、電動モータMの作動を停止させる(ステップ6、7)。この設定時間としては、前記回転カム114が、中立位置から方向切換弁V1を左旋回や右旋回の操向側に切り換え操作させるのに必要な所要時間より長い時間が設定され、確実に、サイドクラッチ切りによる非駆動旋回状態を現出させることができるようになっている。
【0046】
その後、操作位置センサ49の検出情報に基づいて、旋回操作レバー42が中立位置に復帰したことが検出されると、前記設定時間と同じ時間が経過するまで電動モータMを逆方向に回動操作させた後に停止させる(ステップ8、9、10、11)。このようにして、電動モータMを中立位置に戻すようにしている。
尚、ステップ8にて、旋回操作レバー42が中立位置に復帰せずに、更に旋回側に揺動操作されると、旋回操作レバー42の揺動操作に伴って、可変リリーフ弁V4のリリーフ圧が大きくなり、緩旋回用の油圧クラッチCの操作圧が高められ、緩旋回状態に切り換えることができる。
尚、このような緊急旋回制御はあくまで緊急避難的な措置であるから、例えば、動作作動位置センサASの動作異常が検出されると、警報作動することで操縦者にそのことを報知させるようにするとよい。
【0047】
〔別実施形態〕
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0048】
(1)上記実施形態では、緊急旋回制御において電動モータを作動させる設定時間として、中立位置から方向切換弁を左旋回や右旋回の操向側に切り換え操作させるのに必要な所要時間より長い時間を設定したが、これに限らず、上記したような設定時間よりも長い範囲で適宜変更調整可能な構成としてもよい。例えば、旋回モード切換弁が切り換え操作される位置にまで回動するような時間に設定可能な構成としてもよい。
又、緊急旋回制御において電動モータを作動させる速度を通常旋回処理のときより低速にさせるようにしたが、この構成に限らず、通常旋回処理のときと同じ速度で駆動してもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、左右揺動自在な操作レバーを旋回操作具としているが、回転操作するステアリングハンドルを旋回操作具として利用することもできる。したがって、これらを総称して操向操作具と呼称する。
【0050】
(3)上記実施形態では、複数段階の旋回操作状態として、常に、非駆動旋回状態、緩旋回状態、信地旋回状態の夫々に切り換わる構成を例示したが、このような構成に限らず、例えば、電動モータMによる作動範囲を前記方向切換弁V1の切り換えのみを行う範囲に規制することで、旋回操作具を最大操作位置まで操作しても、非駆動旋回状態と緩旋回状態のみに切り換わり、信地旋回状態にはならない動作モードに切り換えるモード切換スイッチを設ける構成としてもよい。
又、複数段階の旋回操作状態として、非駆動旋回状態、緩旋回状態、信地旋回状態以外に、旋回側の走行装置を反対側の走行装置とは逆方向に回転駆動する超信地旋回モードに切り換え自在に構成してもよい。例えば、前記油圧ブレーキBに替えて、一方の走行装置に他方の走行装置とは逆回転方向の駆動力を伝達するための逆転伝動機構を設ける構成である。
【0051】
(4)上記実施形態では、前記作動位置検出及び操作位置検出手段が夫々、ポテンショメータにて構成されるものを例示したが、これに限らず、複数の操作位置に対応させて各々オンオフ信号を出力する複数のスイッチを備える多段切り換え式のスイッチで構成するものや、光学式あるいは磁気式のロータリエンコーダ等の各種の構成を適用できる。
【0052】
(5)上記実施形態では、作業車としてコンバインを例示したが、本発明はコンバインに限らず、トラクターや苗移植機等の他の農作業用車両でもよく、又、農作業用車両に限らず建設用作業車等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図
【図2】走行用ミッションケースの伝動構造を示す概略図
【図3】旋回用の油圧回路と電気制御系の構成図
【図4】操作レバーの支持部の正面図
【図5】操作レバーの支持部の側面図
【図6】切り換え用連係構成を示す側面図
【図7】切り換え用連係構成を示す側面図
【図8】切り換え用連係構成を示す側面図
【図9】切り換え用連係構成を示す縦断正面図
【図10】方向切換弁の周辺の縦断側面図
【図11】旋回モード切換弁および可変リリーフ弁の周辺の縦断側面図
【図12】制御動作のフローチャート
【符号の説明】
1L,1R 走行装置
20L,20R サイドクラッチ
42 操向操作具
49 操作位置検出手段
AS 作動位置センサ
B 信地旋回用の油圧式ブレーキ
C 緩旋回用の油圧式クラッチ
M 電動モータ
V1 方向切換弁
V2 旋回モード切換弁
Claims (4)
- 車体走行状態を旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態に切り換える旋回状態切換手段と、直進指令位置から旋回側へ移動するほど旋回力が大となる旋回操作状態を指令する旋回操作具と、この旋回操作具の指令に基づいて前記旋回状態切換手段の作動を制御する制御手段とが設けられた作業車の旋回制御装置であって、
前記旋回状態切換手段が、電動モータの作動によって旋回力が異なる複数段階の旋回操作状態の夫々に順次切り換える操作を実行可能に構成され、
前記旋回操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、
前記電動モータの作動位置を検出する作動位置検出手段とが設けられ、
前記制御手段が、
前記作動位置検出手段が正常に動作しているか否かを判別する動作判別処理を実行するように構成され、
前記作動位置検出手段が正常に動作していれば、
前記作動位置検出手段にて検出される作動位置が、前記旋回操作具にて指令される旋回操作状態に対応する作動位置になるように、前記電動モータの作動を制御する通常旋回処理を実行し、
前記作動位置検出手段が正常に動作していなければ、
前記操作位置検出手段の検出情報に基づいて、前記旋回操作具にて旋回が指令されたことが検出されると、予め設定した設定時間が経過する間だけ、旋回指令に対応する回動方向に回動操作させるように、前記電動モータの作動を制御する緊急旋回処理を実行するように構成されている作業車の旋回制御装置。 - 前記制御手段が、
前記緊急旋回処理を実行するときは、前記通常旋回処理を実行するときよりも、前記電動モータの駆動速度を低い速度に設定するよう構成されている請求項1記載の作業車の旋回制御装置。 - 前記旋回状態切換手段は、
車体に備えられた左右の走行装置夫々に対する伝動を各別に断続する油圧操作式のサイドクラッチと、前記左右のサイドクラッチを択一的に圧油供給状態に切り換える方向切換弁とを備えて、
前記電動モータの作動に伴って、前記複数の旋回操作状態のうち、旋回力が最小である旋回操作状態として、旋回側に位置する前記走行装置に対するサイドクラッチを伝動切りにする非駆動旋回状態に切り換え自在に構成され、
前記制御手段が、
前記緊急旋回処理を実行するときは、前記設定時間として、直進走行状態から前記非駆動旋回状態に切り換わるのに必要となる所要時間よりも長い時間を設定して、前記電動モータを作動させるよう構成されている請求項1又は2記載の作業車の旋回制御装置。 - 前記旋回状態切換手段は、
一方の走行装置を反対側の走行装置よりも低速で駆動する緩旋回状態に操作する緩旋回用の油圧式クラッチ、前記左右の走行装置のうちの旋回側の走行装置に対して制動作用する信地旋回状態に油圧力にて操作される信地旋回用の油圧式ブレーキ、前記緩旋回用の油圧式クラッチと前記信地旋回用の油圧式ブレーキとを択一的に油圧供給源に接続させる旋回モード切換弁、前記旋回操作具が移動操作されるに伴って前記緩旋回用の油圧式クラッチ又は前記信地旋回用の油圧式ブレーキに対する圧油供給路の圧力を変更調整する油圧調整手段とを備えて構成され、
前記電動モータの作動に伴って、前記複数段階の旋回操作状態として、前記非駆動旋回状態、前記緩旋回状態、前記信地旋回状態に順次切り換わるように、前記方向切換弁及び前記旋回モード切換弁を連動操作する連係機構が設けられている請求項3記載の作業車の旋回制御装置。
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