JP3561834B2 - 保温カバー - Google Patents

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昭義 榊原
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配管、管接続部、ダクト、冷熱発生器、タンクなどを断熱的に覆う保温カバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば断面して図8に示すように、熱媒体Rを流通させる配管6を断熱保護するための手段として、配管6の外周部61に巻回し被覆するように装着して用いる保温カバー1Eが知られている。
【0003】
この保温カバー1Eは、所定厚さの繊維層2Eと繊維層2Eの外周面21eに一体的に接合された表被材3Eとを備え、作業現場において以下の第1工程、第2工程、第3工程、第4工程、第5工程の手順で配管6の外周部61に巻回した状態に装着される。すなわち、
第1工程では、保温カバー1Eを図略のロール状のものから必要とする長さ、あるいは前記長さ及び幅に切り取る。
【0004】
第2工程では、保温カバー1Eにおける繊維層2Eの内周面20eを配管6の外周部61に対向させた状態で前記外周部61に巻回し被覆する。
【0005】
第3工程では、後工程(第5工程)により配管6の外周部61に巻回された保温カバー1Eを金網4Eで堅締するまでの間、表被材3Eの外周面31eにテープ(表被材3Eと同じ材質の粘着テープ)7を用い、固定する。
【0006】
第4工程では、金網4Eを必要とする長さ及び幅に切り取る。
【0007】
第5工程では、金網4Eを保温カバー1Eの表被材3Eの外周面31eに被覆するように巻回した後、巻回方向S1、S2の両端部4e、4eを互いに重ね合わせて図略の連結工具を用いて絡ませ固定する。
【0008】
このように、保温カバー1Eは、別途、用いられた金網4Eによって、配管6の外周部61を締め付ける方向に堅締され、かつ絞られた状態に装着されるため、例えば、前記外周部61が図略のフランジなどの立体形状を含む場合であっても、繊維層2Eを立体形状に沿いフィットさせ得る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
(1)しかし、前記従来の保温カバー1Eを用いる場合には、作業現場において、保温カバー1Eと金網4Eとを、それぞれ別々に同じように切断及び巻回する工程を繰り返す必要があるため、工程数が多く、作業コストが増す。このため、改良の余地がある。
(2)そこで、保温カバー1Eの製造時に、繊維層2Eの表面21eに一体的に接合した表被材3Eに対し、その外周面31eに金網4Eを配置し、例えば、その上から溶融したポリエチレン(図示せず)を被覆し凝固させて固定層を形成することにより、金網4Eを全面的に接着した構成とすることが考えられる。
【0010】
ところが、この場合には、保温カバー1Eを金網4Eとともに所定のサイズに切り取り配管6の外周部61に被覆するように巻回した後、対向する位置にある巻回方向S1、S2の金網4Eの両端部4e、4eを図略の連結工具を用いて連結操作することによって、配管6の外周部61を巻回方向S1、S2に締め付けると、その引っ張り力が金網4Eから前記固定層で拘束される相手側の表被材3Eに影響し、かつ表被材3Eが破損する不具合を発生させる。
【0011】
さらに、金網4Eの巻回方向S1、S2の両端部4e、4eを互いに重なり合う位置にまで引き延ばすことができないため、別途用意した連結用の針金などによって両端部4e、4eを締結する作業が必要となり、工数を低減できない。
【0012】
また、保温カバー1Eは、使用現場合わせにより、配管6の外周部61に巻回する領域より余分な部分(端数)を前記巻回後に、繊維層2Eと表被材3Eとを、保温カバー1Eの大きさ合わせて金網4Eとともに切断、除去する場合、ゴミを発生することになる。
【0013】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたもので、被覆対象部材への巻き付けによる取り付け工数及び取り付けコストを低減でき、ネットを表被材の外周面に接着した場合であっても、ネットによる巻回方向への締め付け時に、表被材を破損せずにすみ、ゴミを発生することのない、保温カバーを提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の保温カバーは、所定厚さの繊維層と該繊維層の外周面に一体的に接合された表被材と該表被材の外周面を被覆するように配置されたネットとを備え、被覆対象部材の外周部に巻回されて該外周部を被覆し該被覆対象部材を保温する保温カバーであって、
該表被材の該外周面と該ネットとは、該ネットを部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が該表被材の該外周面より剥離可能となるように、該ネットが該表被材の該外周面に仮止めされていることを特徴とする。
【0015】
本発明の保温カバーは、その使用に際し、予め、製造ラインで製造された所定の長尺状のものが搬送可能な径に巻き取られてロール状のまま使用現場に搬送される。
【0016】
このロール状の保温カバーは、必要分のサイズ(必要とする長さ分、あるいは前記長さ分と幅分)を、繊維層と表被材とネットとの3つの部材を同時に切断された後、繊維層を内側としかつ前記3つの部材で被覆対象部材の外周部に巻回し被覆状態とする。このため、従来の繊維層と金網とを別々に切断する工程及び別々に巻回する工程を行わずにすむ。
【0017】
そして保温カバーの外周側に位置するネットにおける、前記巻回方向に沿い互いに接近し対向する両端部の一方あるいは両方を表被材から引き剥がした状態とする。このとき、ネットは、前記のように表被材の外周面より剥離可能であるため、引き剥がしによって表被材を破損しない。
【0018】
ついで繊維層は、互いに対向する位置の両端面を付き合わせる(端面同士をそのまま突き合わせたり、あるいは端面同士を内周側に互いに離れる方向に折り曲げて重ね合わせ、折り曲げ部分を突き合わせる)。
【0019】
なお、繊維層の端面同士をそのまま突き合わせた場合には、その境界線上を覆うように表被材の表面に粘着テープを付ける。また、繊維層の端面同士を内周側に互いに離れる方向に表被材とともに折り曲げて重ね合わせ、折り曲げ部分を突き合わせた場合には、その境界線上を覆うように表被材の表面に粘着テープを付けてもよいし、あるいは前記粘着テープを付けなくてもよい。
【0020】
ついで、表被材から引き剥がされた部分のネットの両端を互いに接近する方向(前記被覆対象部材への巻回方向)に沿い引っ張ることにより、ネットに伸縮作用が付与され、ネットと表被材との仮止め部分が表被材を破損することなく、剥離する。
【0021】
このため、ネットに対して、前記巻回方向に沿い必要とするテンションを付与することができ、かつ表被材及び繊維層を締め付けるとともに、前記重ね合わせ部分を密着させた状態で、ネットの両端が治具により互いに絡めて連結することにより、繊維層を被覆対象部材の外周部の立体形状に沿って充分に絞り込むことができ、外周部に沿いフィットさせた状態に被覆できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の保温カバーは、繊維層と、表被材と、ネットとよりなり、その特色は、表被材とネットとを特異な状態に仮止めしたことにある。すなわち、表被材とネットとは、ネットを部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が表被材の外周面より剥離可能となるように、仮止めされている。
【0023】
繊維層は、いわゆる、断熱材として機能するものであり、被覆対象部材の外周部を包むように巻回して外周部を被覆し被覆対象部材を保温する。
【0024】
繊維層としては、例えばガラスウール、ロックウールなどの断熱繊維を用いて構成された所定の厚さの集積体を素材として形成されたものを用いることができる。
【0025】
表被材は、繊維層を保護するとともに、繊維層を形成する繊維が外部に抜け出たり、飛散したりすることを防止し得るとともに、形状を異にする種々の被覆対象部材の外周部に沿って繊維層で包むように巻回する作業操作がし易いこと、外観の見栄えを良くすることなどのために用いられる。
【0026】
表被材としては、例えばアルミクラフト、アルミガラスクロス、ポリエチレンなどや、積層された複数層からなるもの、表面にアルミを蒸着したものなどを用いることができる。表被材の厚み、巾、長手方向の長さは、目的に応じて種々設定できる。
【0027】
前記表被材は、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記繊維層の側端より突出する構成とすることができる。
【0028】
この場合には、保温カバーを被覆対象部材の外周部に装着時に、表被材の突出部で繊維層の側端を包むように繊維層の内周部側に折り曲げることができ、かつ繊維層の側端を形成する繊維が外部に抜け出たり、飛散することを防止できる。
【0029】
ネットは、その孔の形状及び大きさや、ネットを形成する線状体あるいは帯状体などの断面形状及び太さなどは、種々設定できる。またネットは、種々の金属よりなる金網、樹脂をコーティングした金網、樹脂製のものなどを用いることができる。
【0030】
前記ネットは、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記表被材の側端より突出する構成とすることができる。
【0031】
この場合には、前記突出する領域を重ね代として利用できることや、また、取り付け現場で余った切れ端状の繊維層及び表被材を継ぎ足し材として有効利用するとき、それらを覆い固定保持することができる。
【0032】
ネットを部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が表被材の外周面より剥離可能となるように、仮止めするには、表被材の外周面とネットとを、等間隔あるいは非等間隔に、長さ方向、幅方向あるいはそれらに対して斜め方向に、一条複数条、点状あるいは帯状に接合により仮止めすることや、表被材の外周面の部分領域につけた両面テープあるいはネットの一部を覆うようにして表被材の外周面につけた粘着テープなどを用いることができる。
【0033】
仮止めするには、例えば、ホットメルト接着剤、エマルジョン系接着剤、有機溶剤系接着剤、その他の接着剤、などを用いることができる。
【0034】
接着剤の塗布量は、線状(突条)の厚み、巾、長さ、形状、数あるいは点状の大きさ、形状、数、間隔など、目的に応じて種々設定できる。
【0035】
接着剤は、予め、表被材の外周面に部分的に塗布した後にネットを配置して前記のように、仮止めすることや、表被材の外周面に配置した後のネットの上から部分的に塗布して前記のように、仮止めすることができる。
【0036】
前記ネット及び前記表被材は、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記繊維層の側端より突出している構成とすることができる。
【0037】
この場合には、ネット及び表被材に繊維層の側端より突出する領域が形成されているため、例えば、保温カバーの使用現場で繊維層の長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端で、複数個の繊維層同士の端面を突合わせた状態で連接作業時に活用できる。
【0038】
すなわち、ネット及び前記表被材は、前記突出領域により、繊維層同士の端面を突合わせた継目領域を繊維層の表面側から確実に覆うことができる。
【0039】
前記繊維層は、間隙を介して長手方向に配列された複数個の単位繊維層で構成することができる。
【0040】
この各単位繊維層は、保温カバーを生産ラインで長尺状に連続的に製造しロール状に巻き取る工程で、例えば、長尺状の表被材の内周面側に長手方向に所定の間隙を隔てて配置、接着される。また、この表被材の外周面側には、予め表被材と同じサイズのネットを配置し仮止めされる。
【0041】
このため、繊維層を前記のように複数個の単位繊維層で構成された保温カバーは、その使用時に、各単位繊維層同士の間隔の中間を境として切断することによって、ネット及び表被材に単位繊維層の先端及び後端(生産ラインで長尺状に連続的に製造する場合の長手方向の先端及び後端)より突出する領域が形成されたものとして使用できる。
【0042】
この場合には、例えば、保温カバーの使用現場で単位繊維層の長手方向の先端あるいは後端を、別の単位繊維層の後端あるいは先端や、別の繊維層の端面などと突合わせた状態で連接作業時に活用できる。
【0043】
また、前記複数個の単位繊維層は、保温カバーの製造時に、外周面側にネットと同じサイズの長尺状の表被材の内周面側に長手方向に所定の間隙を隔てて配置、接着する場合において、ネット及び表被材の長手方向と交差する幅方向の両端側や、両端の一方に所定の間隙を形成する位置に配置することができる。
【0044】
なお、保温カバーは、前記被覆対象部材の巻き付け方向に、長さ方向あるいは幅方向のいずれかを平行位置に一致して巻回することができる。また、被覆対象部材としては、断熱的に覆う必要がある配管、管接続部、ダクト、冷熱発生器、タンクなどであり、それらの種々の形状のものを含む。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
本発明の保温カバーの実施例1を図1〜図7に基づいて説明する。
【0046】
実施例1の保温カバー1は、予め、生産ラインで長尺状に連続的に製造されロール状に巻き取られたものを、その長手方向に必要とする長さP分、切断し熱媒体Rを流通させる配管6の外周部61を巻回し、被覆する場合で説明する。
【0047】
保温カバー1は、斜視して示す図1及び断面して示す図2のように、繊維層2と、繊維層2の外周面21に一体的に接合された表被材3と、表被材3の外周面31を被覆するように配置された金網4と、金網4を部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が剥離可能となるように、表被材3の外周面31に仮止めする接着剤5(図2及び図6参照)と、よりなる。
【0048】
繊維層2は、グラスウール、ロックウールなどを所定の密度に集積した断熱用繊維製で肉厚tが約20〜50mm、前記製造時の長手方向で切断された長さP及び幅Wとで必要とする面積に設定される。なお、繊維層2の繊維密度、肉厚t、長さP、幅Wなどは、限定されるものではなく、目的に応じて種々設定できる。
【0049】
表被材3は、アルミクラフトが用いられ、配管6の外周部61に当接する繊維層2の内周面(一面)20と反対側の外周面(他面)21に予め図略の接着剤で一面30が一体的に接合される。
【0050】
金網4は、針金40で形成され多数の六角形の孔41を備え、前記長手方向に繊維層2とともに同時に切断され同じ長さP及び繊維層2の両端面22a、22aよりの突出幅長さw10が約10cmの突出端部4a、4aが形成されている。
【0051】
この金網4は、表被材3の外周面31(図6参照)に接着剤5を幅の狭い帯状に塗布した後、金網4を載置することにより、針金40の一部が前記接着剤5により仮止めされる。
【0052】
前記仮止めとは、接着剤5による金網4の接着強さとして前記巻回方向S1、S2の突出端部4a、4aを互いに接近する方向(対向する位置)に全体を引っ張ることにより伸縮した部分が、表被材3の外周面31を破損せずに剥離できる状態を称す。
【0053】
前記のように、構成された実施例1の保温カバー1は、その使用に際し、予め、製造ラインで製造された所定の長尺状のものが搬送可能な径に巻き取られてロール状のまま使用現場に搬送される。
【0054】
このロール状のものは、必要とする長さP分を、繊維層2と表被材3と金網4との3つの部材を同時に切断する。このため、従来の繊維層と金網とを別々に切断する工程及び別々に巻回する工程を行わずにすむ。
【0055】
ついで、保温カバー1は、配管6の外周部61に巻回されて外周部61を被覆する作業を行う場合に、配管6の外周部61の形状に沿い、繊維層2の内周面20で覆うように巻回し、互いに対向する位置の金網4の突出端部4a、4aを表被材3の外周面31から金網4を引き離した状態とする(図3参照)。なお、金網4が突出端部4a、4aに近い領域が接着剤5で仮止めされている場合には、表被材3を破損することなく、剥離し、接着剤5による表被材3の外周面31への拘束を解除した状態とする。
【0056】
この状態で互いに対向する位置の繊維層2の両端面22a、22a及び表被材3の両端32a、32aをそのまま突き合わせ、その境界部O1にテープ8を貼着したり(図4参照)、あるいは両端面22a、22aを内周側に互いに離れる方向に折り曲げて重ね合わせ、両端部2a、2a及びその外側の折り曲げ部分3a、3aを突き合わせる(図5参照)。
【0057】
ついで、金網4の突出端部4a、4aを互いに接近する方向(前記配管6の外周部61への巻回方向S1、S2)に引っ張ることにより、表被材3及び繊維層2を締め付けると同時に、金網4に伸縮作用が付与され、接着剤5による金網4と表被材3との仮止め部分が表被材2を破損することなく、剥離する。
【0058】
なお、表被材3の全領域における仮止め部分は、少なくとも一部あるいは全てが、金網4の巻回方向S1、S2の引っ張り強さに応じて表被材2を破損することなく、剥離する。
【0059】
このとき、金網4は、巻回方向S1、S2に相当する幅W1方向に伸び、図6に示される状態から、図7に示される状態に孔41形状が変化するとともに、突出端部4a、4aも突出幅長さw10からw11に伸び、重ね代が増える。
【0060】
そして配管6の外周部61への巻回方向S1、S2に表被材3及び繊維層2を締め付けた状態の金網4の突出端部4a、4aは、図略の治具により互いに絡められて連結される。
【0061】
このため、配管6の外周部61に図略のフランジが形成された立体形状を備える場合であっても、表被材3及び繊維層2を前記立体形状に沿って充分に絞り込むことができ、かつそれらに沿いフィットさせた状態に被覆できる。
【0062】
従って、実施例1の保温カバー1によれば、配管6の外周部61への巻き付けによる取り付け工数及び取り付けコストを低減でき、金網4を表被材3の外周面31に接着した場合であっても、金網4による巻回方向S1、S2への締め付け時に、表被材3を破損せずにすむ。
【0063】
また、金網4を前記巻回方向S1、S2への締め付け時に表被材2から接着剤5による表被材3への拘束を強制的に解除し、巻回方向S1、S2へ伸長できるため、仮に、繊維層2が巻回方向S1、S2へ超過した長さとなった場合であっても、図5に示すように巻回方向S1、S2の両端部2a、2aを内周側に折り曲げて調整し、その上面に前記金網4の突出端部4a、4aで覆った状態で連結することにより、前記繊維層2の超過した長さ分をカットせずにすみ、かつカットすることによる廃材(ゴミ)の発生を阻止でき、材料の無駄がない。
【0064】
また、前記場合とは、逆に、カットした廃材を、巻回方向S1、S2への繊維層2に継ぎ足し、この継ぎ足し領域を含めて、前記金網4の突出端部4a、4aで覆った状態で連結することにより、無駄なく有効利用できる。
【0065】
さらに、配管6の外周部61への巻き付けに際して、繊維層2と表被材3と金網4とを同時に切り取り必要とするサイズを得るため、従来、繊維層2と金網4とを別々にそれぞれ行なわれ(2回行なわれ)ていた切り取り工程及び巻き付け工程が1回ですみ、工数の低減及びコストを低減できる。
【0066】
なお、前記実施例1では、保温カバー1における金網4として、繊維層2の両端面22a、22aよりの突出幅長さw10が約10cmの突出端部4a、4aが形成されている場合で説明したが、これに限定されるものではなく、繊維層2の幅Wと同じものを使用できる。
【0067】
この場合には、繊維層2の両端部2a、2a領域の外周面21に対向する金網4部分を表被材3の外周面31から、表被材3を破損することなく剥離し、巻回方向S1、S2に引っ張って伸ばし、配管6の外周部61に巻き付けられた繊維層2及び表被材3を覆った状態で、前記突出端部4a、4aと同じように重ね合わせ、図略の治具により互いに絡めて連結することによって、前記実施例1の場合と同じ効果を得ることができる。
【0068】
(実施例2)
図9〜図11に示す実施例2の保温カバー1Aは、実施例1の保温カバー1と同様、予め、生産ラインで長尺状に連続的に製造されロール状に巻き取られたものを、その長手方向に必要とする長さP分、切断し熱媒体Rを流通させる配管6の外周部61を巻回し、被覆する場合に適用される。
【0069】
この保温カバー1Aは、必要とする長さPに直交する幅W方向の繊維層2の両端面22a、22aより突出幅長さw10分、突出する金網4の突出端部4a、4aとともに、表被材3Aの突出端部3a、3aが形成されていること以外は実施例1の保温カバー1と同じ構成である。従って、保温カバー1と同じ構成部分には、同じ符号を付し(図9〜図11参照)その説明を省略する。
【0070】
実施例2の保温カバー1Aは、巻回方向S1、S2(図9、図10参照)への締め付け時に表被材2から接着剤5による表被材3Aへの金網4の拘束を強制的に解除することによって、金網4が巻回方向S1、S2へ伸長できるため、仮に、繊維層2が巻回方向S1、S2へ超過した長さとなった場合であっても、実施例1の場合と同様(図5参照)、巻回方向S1、S2の両端部2a、2aを内周側に折り曲げて調整し、その上面に表被材3Aの突出端部3a、3a及び金網4の突出端部4a、4aで覆った状態で連結することにより、前記繊維層2の超過した長さ分をカットせずにすみ、かつカットすることによる廃材(ゴミ)の発生を阻止でき、材料の無駄がない。
【0071】
また、前記場合とは、逆に、カットした廃材を、巻回方向S1、S2への繊維層2に継ぎ足し、この継ぎ足し領域を含めて、表被材3Aの突出端部3a、3a及び金網4の突出端部4a、4aで覆った状態で連結することにより、無駄なく有効利用できることや、その他、実施例1の場合と同じ効果を得ることができる。
【0072】
(実施例3)
図12、図13に示す実施例3の保温カバー1Bは、実施例1の保温カバー1と同様、予め、生産ラインで長尺状に連続的に製造されロール状に巻き取られたものを、その長手方向に必要とする長さP分、切断し熱媒体Rを流通させる配管6の外周部61を巻回し、被覆する場合に適用される。
【0073】
この保温カバー1Bは、必要とする長さPに直交する幅W方向の繊維層2の両端面22a、22aの一方より突出幅長さw10分、突出する金網4Bの突出端部4aとともに、表被材3Bの突出端部3aが形成されていること以外は実施例1の保温カバー1と同じ構成である。従って、保温カバー1と同じ構成部分には、同じ符号を付し(図12、図13参照)その説明を省略する。
【0074】
実施例2の保温カバー1Aは、巻回方向S1、S2(図12参照)への締め付け時に表被材2から接着剤5による表被材3Bへの金網4Bの拘束を強制的に解除することによって、金網4Bが巻回方向S1、S2へ伸長できるため、仮に、繊維層2が巻回方向S1、S2へ超過した長さとなった場合であっても、実施例1の場合と同様(図5参照)、巻回方向S1、S2の両端部2a、2aを内周側に折り曲げて調整し、その上面に表被材3Bの突出端部3a及び金網4Bの突出端部4aで覆った状態で連結することにより、前記繊維層2の超過した長さ分をカットせずにすみ、かつカットすることによる廃材(ゴミ)の発生を阻止でき、材料の無駄がない。
【0075】
また、前記場合とは、逆に、カットした廃材を、巻回方向S1、S2への繊維層2に継ぎ足し、この継ぎ足し領域を含めて、表被材3Bの突出端部3a及び金網4Bの突出端部4aで覆った状態で連結することにより、無駄なく有効利用できることや、その他、実施例1の場合と同じ効果を得ることができる。
【0076】
(実施例4)
図14、図15に示す実施例4の保温カバー1Cは、実施例1の保温カバー1と同様、予め、生産ラインで長尺状に連続的に製造されロール状に巻き取られたものを、その長手方向に必要とする長さP分、切断し熱媒体Rを流通させる長尺状の配管6Aの外周部61aを巻回し、被覆する場合に適用される。
【0077】
保温カバー1Cは、図15に示す長尺状のサイズ(製造時に長手方向に連続して伸びる長さL、長手方向に直交する幅W2)が同じ表被材3Cと金網4Cとを用い、実施例1と同じように金網4Cが接着剤5で表被材3Cの外周面31cに仮止めされており、さらに、複数個の単位繊維層2Cが表被材3Cの内周面30c側に配列され、かつ各単位繊維層2C同士が長手方向に間隙e1介して配列されるとともに、表被材3Cの側端3e、3e及び金網4Cの側端4e、4eから間隙e2分、内側に配列された構成としたこと以外は実施例1の保温カバー1と同じ構成である。従って、保温カバー1と同じ構成部分には、同じ符号を付し(図14、図15参照)その説明を省略する。
【0078】
この保温カバー1Cは、図15に示すようにして製造された後、必要に応じて前記長手方向の間隙e1のほぼ中間で切断され、図15に示すサイズの単位繊維層2C、表被材3C、金網4Cからなり、単位繊維層2Cの幅W方向の両端面22a、22aより突出幅長さw10分、突出する表被材3Aの突出端部3a、3a及び金網4の突出端部4a、4aと、単位繊維層2Cの長さP方向の両端面22c、22cより突出幅長さP10分、突出する表被材3Aの突出端部3c、3c及び金網4の突出端部4c、4cと、が形成されている。
【0079】
実施例4の保温カバー1Cは、巻回方向S1、S2(図14参照)への締め付け時に表被材2から接着剤5による表被材3Cへの金網4Cの拘束を強制的に解除することによって、金網4Cが巻回方向S1、S2へ伸長できるため、仮に、単位繊維層2Cが巻回方向S1、S2へ超過した長さとなった場合であっても、実施例1の場合と同様(図5参照)、巻回方向S1、S2の両端部2a、2aを内周側に折り曲げて調整し、その上面に表被材3Cの突出端部3a、3a及び金網4Cの突出端部4a、4aで覆った状態で連結することにより、単位繊維層2Cがの超過した長さ分をカットせずにすみ、かつカットすることによる廃材(ゴミ)の発生を阻止でき、材料の無駄がない。
【0080】
さらに、単位繊維層2Cの長さP方向の両端面22c、22cより突出幅長さP10分、突出する表被材3Aの突出端部3c、3c及び金網4の突出端部4c、4cと、が形成されているため、長尺状の配管6Aの外周部61aに他の繊維層2あるいは単位繊維層2Cを被覆する場合には、表被材3Aの突出端部3c、3c及び金網4の突出端部4c、4cとで覆うようにして巻回することができ、かつ作業性に優れる。その他、実施例1の場合と同じ効果を得ることができる。
【0081】
【発明の効果】
本発明の保温カバーによると、その製造時に、繊維層の外周面に一体的に接合された表被材の外周面に配置されたネットは、部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が剥離可能となるように、表被材の外周面に予め仮止めされている。
【0082】
このため、保温カバーは、断熱を必要とする被覆対象部材の外周部を包むように巻回して被覆し装着する場合、使用現場において、必要分のサイズ(必要とする長さ分、あるいは前記長さ分と幅分)に、繊維層と表被材とネットとの3つの部材を同時に切断された後、繊維層を内側としかつ前記3つの部材で被覆対象部材の外周部に巻回し被覆状態とする。
【0083】
そしてネットを前記巻回方向に引っ張るのみで、ネットと表被材との仮止め部分が表被材を破損することなく剥離し、繊維層及び表被材を被覆対象部材の外周部の種々の立体形状に沿わせて絞り込み変形し、前記外周部にフィトした状態に被覆することができる。
【0084】
また、前記従来、必要であった、使用現場において繊維層とは別に金網を所定のサイズに切り取る作業工程と、切り取り後の金網を配管の外周部に巻回し被覆する作業工程との2工程を施さずにすむ。
【0085】
従って、本発明の保温カバーによれば、被覆対象部材への巻き付けによる取り付け工数及び取り付けコストを低減でき、ネットを表被材の外周面に接着した場合であっても、ネットによる巻回方向への締め付け時に、表被材を破損せずにすみ、ゴミを発生することがない、などの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の保温カバーの使用状態を示す斜視図。
【図2】実施例1の保温カバー及び被覆対象部材としての配管を示す断面図。
【図3】実施例1の保温カバーによる配管への巻き付け途中状態を示す断面図。
【図4】実施例1の保温カバーによる配管への巻き付け例の一つを示す断面図。
【図5】実施例1の保温カバーによる配管への巻き付け例の他の一つを示す断面図。
【図6】実施例1の保温カバーを金網側から視認した平面図。
【図7】図6における保温カバーを巻回方向に引っ張った状態を展開して示す平面図。
【図8】従来の保温カバーの使用状態を示す断面図。
【図9】実施例2の保温カバーの使用状態を示す斜視図。
【図10】実施例2の保温カバー及び被覆対象部材としての配管を示す断面図。
【図11】実施例2の保温カバーを金網側から視認した平面図。
【図12】実施例3の保温カバーの使用状態を示す斜視図。
【図13】実施例3の保温カバーを金網側から視認した平面図。
【図14】実施例4の保温カバーの使用状態を示す斜視図。
【図15】実施例4の保温カバーを金網側から視認した平面図。
【符号の説明】
1、1A、1B、1C…保温カバー
2…繊維層 2C…単位繊維層
3…表被材 4…金網 5…接着剤

Claims (6)

  1. 所定厚さの繊維層と該繊維層の外周面に一体的に接合された表被材と該表被材の外周面を被覆するように配置されたネットとを備え、被覆対象部材の外周部に巻回されて該外周部を被覆し該被覆対象部材を保温する保温カバーであって、
    該表被材の該外周面と該ネットとは、該ネットを部分的に引っ張り伸縮させることにより伸縮した部分が該表被材の該外周面より剥離可能となるように、該ネットが該表被材の該外周面に仮止めされていることを特徴とする保温カバー。
  2. 前記表被材の外周面と前記ネットとは、等間隔あるいは非等間隔に、長さ方向、幅方向あるいはそれらに対して斜め方向に、一条、複数条、点状あるいは帯状に接合により仮止めされている請求項1記載の保温カバー。
  3. 前記ネットは、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記表被材の側端より突出している請求項1記載の保温カバー。
  4. 前記表被材は、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記繊維層の側端より突出している請求項1記載の保温カバー。
  5. 前記ネット及び前記表被材は、長手方向及び幅方向の少なくとも一方の側端が前記繊維層の側端より突出している請求項1記載の保温カバー。
  6. 前記繊維層は、間隙を介して長手方向に配列された複数個の単位繊維層で構成されている請求項1記載の保温カバー。
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