JP3561355B2 - 自動巻線機および自動巻線方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、角柱形のチップ型コアに電線を巻掛けると共に、該コアの両端の電極に前記電線の両端部をそれぞれ接続する面実装部品用の自動巻線機およびその巻線方法に係り、特にチップインダクタの巻線工程における好適な自動巻線機および自動巻線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は従来の巻線機の一例を示す斜視図で、図中、1は面実装部品、例えばチップインダクタのチップ型コアで、このコア1は四角柱形状に形成され、両端のつば部1a、1bと中間の胴部1cとからなり、該つば部1a、1bの1つの側面(図9の上面)にはそれぞれ電極2、3が設けられている。
【0003】
図9に示す従来の巻線機4は、コア1両端のつば部1a、1bをそれぞれ把持し、コア1の軸線を中心にして回転する一対のチャッキング部5、6を備えており、この一対のチャッキング部5、6は、ベアリング7、8によりそれぞれ回転可能に支持され、図示しないモータにより回転駆動される。
【0004】
前記チャッキング部5、6はほぼ半円筒形に形成され、図9の上側に、コア1両端の電極2、3と面一な平坦面5a、6aを有している。該チャッキング部5、6の各端部には、前記つば部1a、1bをそれぞれ受け入れる凹部5b、6bが設けられ、該つば部1a、1bを受け入れた状態で、一方のチャッキング部5に対して他方のチャッキング部6を図示しないばねにより付勢することによりコア1をチャッキング(把持)するようになっている。
【0005】
一方のチャッキング部5の平坦面5aには、電線9の始端を絡げる絡げ棒10が立設され、該平坦面5aの凹部5b近傍に、前記電線9の位置決め用ピン11が立設されている。同様に、他方のチャッキング部6の平坦面6aには、電線9の終端を絡げる絡げ棒12が立設され、該平坦面6aの凹部6b近傍に、前記電線9の位置決め用ピン13が立設されている。
【0006】
この従来の巻線機4によりチップインダクタの巻線処理を施すに際しては、まずコア1両端のつば部1a、1bをチャッキング部5、6によりそれぞれ把持した後、図示しないノズル部から送り出した電線9の始端を平坦面5aの絡げ棒10に絡げて、該電線9の始端を位置決め用ピン11に係合させることにより該電線9の始端の位置決めを行なう。次いで、前記チャッキング部5、6を一定速度で回転させると共に、前記ノズル部より電線9を送り出しながら該ノズル部をコア1の軸線方向に沿って移動させることにより、該コア1に電線9を所定の回数巻掛け、チャッキング部5、6を停止させた後、電線9の終端を平坦面6aの位置決め用ピン13に係合させることにより該電線9の終端の位置決めを行ない、該電線9の終端を絡げ棒12に絡げる。次いで、電線9の始端および終端をそれぞれコア1両端の電極2、3に接続した後、該電線9の始端を位置決め用ピン11の近傍で切断すると共に、該電線9の終端を位置決め用ピン13の近傍で切断し、完成した部品(すなわちチップインダクタ)をチャッキング部5、6から取り外す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の巻線機4では、電線9の始端や終端を手作業で絡げたり、はさみ等で切断する煩雑な手間を要するため、作業性の向上が要望されていた。また、これを自動化した場合、多軸の制御装置や電線切断機構が必要となるため、設備が大型化し、高価であった。さらに、電線9の始端および終端を絡げるために無駄な部分が多く製造コストが余計に掛ると共に、これに伴って発生する電線切れくずの廃棄にも煩雑な手間が必要であるため、この点からも作業性の向上が要望されていた。
【0008】
本発明はこのような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、チップ型コアに巻掛ける電線の端部の切断や、これに伴って発生する電線切れくずの廃棄処理を自動的に行うことができ、作業性の向上や製造コストの低減を図れる小型で安価な自動巻線機および自動巻線方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の目的は、角柱形のチップ型コアに電線を巻掛けると共に、該コアの両端に形成された一対の電極に前記電線の始端と終端をそれぞれ接続する自動巻線機において、前記コアの両端をそれぞれ把持し、該コアの軸線を中心にして回転する一対のチャッキング部と、前記コアの軸線に対し所定角度をもって前記電線を送り出し、前記コアの軸線に沿って移動するノズル部と、該ノズル部の近傍に設けられ、前記電線をクランプすると共に該電線の軸線方向に進退可能なクランパと、前記電極に前記電線の始端および終端を熱圧着するヒータチップとを具備することによって達成される。
【0010】
また、上記した本発明の目的は、角柱形のチップ型コアの両端を一対のチャッキング部に把持した後、ノズル部から送り出した電線の始端を前記コアの一端に形成された電極に熱圧着し、しかる後、電線の該始端の熱圧着部より外側に突出する部分をクランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に進出させることにより該電線の始端を切断し、次いで、前記チャッキング部を前記コアの軸線を中心にして回転すると共に、前記ノズル部より前記電線を送り出しながら該ノズル部を前記コアの軸線に沿って移動することにより該コアに前記電線を巻掛け、前記コアの他端に形成された電極に前記電線の終端を熱圧着した後、電線の該終端の熱圧着部より外側に突出する部分を前記クランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に後退させることにより該電線の終端を切断することによって達成される。
【0011】
このように構成された本発明によれば、電線の始端の熱圧着部より外側に突出する部分をクランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に進出させることにより該クランパの引張力で電線の始端を切断した後、先端側の電線切れくずをクランプ解除して、前記クランパより集塵装置等で吸着廃棄する。その後、電線の終端の熱圧着部より外側に突出する部分を前記クランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に後退させることにより、該クランパの引張力で電線の終端を切断する。これによって、電線の端部の切断や、これに伴って発生する電線切れくずの廃棄処理を自動的に行うことができるため、作業性の向上を図れる。また、従来のように電線の端部を絡げる必要がないため、無駄な部分が少なくて済み製造コストを低減することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例に係る自動巻線機を示す平面図、図2は該自動巻線機からノズル部およびクランパなどを取り除いた状態の正面図、図3は該自動巻線機に備えられるノズル部およびクランパの部分を示す斜視図、図4は該ノズル部およびクランパの動作を説明する図、図5は該自動巻線機により巻線処理を施したチップインダクタの斜視図、図6は該自動巻線機に備えられるチャッキング部の先端部を示す斜視図、図7は該自動巻線機を用いてチップインダクタの巻線作業を行なう際の処理手順を示すフローチャート、図8は該自動巻線機に備えられる回転制御手段の制御動作を説明するタイミングチャートである。なお、図3〜図5において前述した図9に示すものと同等のものには同一符号を付してある。
【0013】
図1に示す本実施例の自動巻線機14は、チップ型コア1両端のつば部1a、1bをそれぞれ把持し、該コア1の軸線を中心にして回転する一対のチャッキング部15、16と、該チャッキング部15、16を回転駆動するパルスモータ17と、このパルスモータ17の動作を制御する回転制御手段18と、パルスモータ17の回転駆動力をチャッキング部15、16の両方に伝達する駆動力伝達機構19と、ノズル部およびクランパ全体をコア1の軸線に沿って移動させる機構26と、コア1の軸線に沿って移動しながら電線9を送り出すノズル部20と、このノズル部20の外側に設けられ、ノズル部20の前方で電線9を把持可能なクランパ21と、該ノズル部20およびクランパ21のそれぞれを水平方向へスライド可能に保持するスライド・保持機構22と、このスライド・保持機構22を上下動させる上下動機構23と、コア1両端の電極2、3に電線9の始端および終端を順次400〜500°Cで0.1〜1秒間、加熱することにより熱圧着するヒータチップ24とを備えている。
【0014】
前記ノズル部20は、コア1の軸線に対し所定角度θをもって配置され、該所定角度θの方向に電線9を送り出すようになっている。前記クランパ21は、図3に示すように、開閉可能な一対の腕部21a、21bからなり、該腕部21a、21bはノズル部20に対して相対的移動可能に保持され、電線9の軸線方向に進退可能である。なお、これらノズル部20およびクランパ21は、スライド・保持機構22および移動機構26の作動により図4のX軸方向(コア1の軸線と平行な方向)およびZ軸方向(電線の軸線方向)に移動可能であり、Z軸方向にノズル部20から電線9が送り出される。
【0015】
前記チャッキング部15、16は、図6に示すように、平板状に形成され、該チャッキング部15、16の先端に、コア1のつば部1a、1bをそれぞれ受け入れる凹部15a、16aが設けられ、該つば部1a、1bを受け入れた状態でチャッキング部15、16のいずれか一方を他方に対して付勢することによりコア1をチャッキング(把持)するようになっている。
【0016】
上記の如く構成された自動巻線機14にあっては、図7に示す処理手順にしたがって巻線作業を行ない、面実装部品、例えば図5に示すチップインダクタ25を得るようになっている。すなわち、まず手順S1としてコア1両端のつば部1a、1bをチャッキング部15、16によりそれぞれ把持した後、手順S2としてノズル部20およびクランパ21の両方を、スライド・保持機構22および移動機構26の作動によりコア1一端の電極2の付近(図4の右側の始端位置)まで移動させると共に、上下動機構23の作動によりコア1一端の直上まで降下させる。この時、ノズル部20から送り出した電線9は、クランパ21先端を閉じた状態で保持されている。手順S3としてノズル部20から送り出した電線9の始端をヒータチップ24により電極2のうち、点P1、P2、P3、P4で囲まれた領域Asに熱圧着させる。次いで、手順S4としてノズル部20が停止した状態で該クランパ21を電線9の軸線方向(図4のZ軸方向)に進出させることにより、クランパ21の引張力により電線9を領域Asの端部の点P1で切断して、該切断箇所および先端間の電線切れくずを、クランパ21の先端を開いて図4の右斜め上方向へ集塵装置等で吸着し廃棄する。
【0017】
次いで、手順S5としてスライド・保持機構22の作動によりノズル部20およびクランパ21の両方を図4の−Z軸方向に後退させ、クランパ21の先端がコア1に接触しない位置に配置した後、回転制御手段18の制御によりパルスモータ17を起動させて、駆動力伝達機構19を介してチャッキング部15、16を回転させると共に、ノズル部20より電線9を図4のZ軸方向に送り出しながら該ノズル部20を図4の−X軸に沿って移動させることにより該コア1に電線9を巻掛ける。このとき、図8に示すように、まずパルスモータ17の起動時間t0から時間t1までにおいて、チャッキング部15、16を比較的遅い回転数ω1で回転させてコア1の一端に電線9を1回転程度巻掛け、その後の時間t1から時間t2までにおいてチャッキング部15、16を比較的速い回転数ω2で回転させてコア1の中間部に電線9を巻掛け、時間t2からチャッキング部15、16を再び比較的遅い回転数ω1で回転させてコア1の他端に電線9を1回転程度巻掛けた後、時間t3でパルスモータ17を停止させ、コア電極2,3が上向きの状態でチャッキング部15、16を停止させる。
【0018】
次いで、手順S6としてヒータチップ24により電線9の終端を電極3のうち、点P5、P6、P7、P8で囲まれた領域Afに熱圧着させた後、手順S7としてクランパ21の先端を閉じて、スライド・保持機構22の作動によりノズル部20およびクランパ21の両方を図4の−Z軸方向にさらに後退させることにより、クランパ21の引張力により電線9を領域Afの端部の点P7で切断し、手順S8として完成したチップインダクタ25をチャッキング部15、16から取り外すようになっている。
【0019】
さらに、次の巻線作業を連続して行なう場合、手順S1に戻って次のコア1をチャッキング部15、16により把持した後、手順S2としてノズル部20およびクランパ21を図4の左側の終端位置から右側の始端位置まで移動させる。このとき、前記手順S7でクランパ21の引張力により電線9を領域Afの端部の点P7で切断したため、電線9の始端はクランパ21の先端より多少突出している。次いで、前記手順S3〜手順S8を繰り返して行なうようになっている。
【0020】
このように上記実施例にあっては、電線9の始端の切断および先端の電線切れくずの廃棄処理や、電線9の終端の切断をクランパ21の作動により自動的に行なうため、従来のように電線9を手作業で絡げたり、はさみ等で切断する煩雑な手間を要せずに済むため作業性を向上できると共に、電線9を絡げる必要がなく無駄な部分が少ないため設備の小型化が可能となり、製造コストを低減できる。
【0021】
また、コア1の両端に電線9を巻掛ける際、回転制御手段18の制御によりチャッキング部15、16を比較的遅い回転数ω1で回転させるため、一端のつば部1aと胴部1cとの間の段差部分、および他端のつば部1bと胴部1cとの間の段差部分において電線9にテンションを掛けながら、該電線9を正確に、かつ強固に巻掛けることができる。したがって、コア1に巻掛けた電線9が次第にゆるくなってずれることを防止できる。さらに、コア1の胴部1cに電線9を巻掛ける際には、チャッキング部15、16を比較的速い回転数ω2で回転させるため、良好な作業性を得ることもできる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、チップ型コアに巻掛ける電線の端部の切断やこれに伴って発生する電線切れくずの廃棄処理を、クランパの作動により自動的に行うことで、面実装部品の巻線工程における作業性の向上および製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る自動巻線機を示す平面図である。
【図2】該自動巻線機からノズル部およびクランパなどを取り除いた状態の正面図である。
【図3】該自動巻線機に備えられるノズル部およびクランパの部分を示す斜視図である。
【図4】該ノズル部およびクランパの動作を説明する図である。
【図5】該自動巻線機により巻線処理を施したチップインダクタの斜視図である。
【図6】該自動巻線機に備えられるチャッキング部の先端部を示す斜視図である。
【図7】該自動巻線機を用いてチップインダクタの巻線作業を行なう際の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】該自動巻線機に備えられる回転制御手段の制御動作を説明するタイミングチャートである。
【図9】従来の巻線機の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 コア
1a、1b つば部
1c 胴部
2、3 電極
9 電線
14 自動巻線機
15、16 チャッキング部
17 パルスモータ
18 回転制御手段
19 駆動力伝達機構
20 ノズル部
21 クランパ
22 スライド・保持機構
23 上下動機構
24 ヒータチップ
25 チップインダクタ(面実装部品)
26 移動機構
Claims (2)
- 角柱形のチップ型コアに電線を巻掛けると共に、該コアの両端に形成された一対の電極に前記電線の始端と終端をそれぞれ接続する自動巻線機において、
前記コアの両端をそれぞれ把持し、該コアの軸線を中心にして回転する一対のチャッキング部と、前記コアの軸線に対し所定角度をもって前記電線を送り出し、前記コアの軸線に沿って移動する機構を有するノズル部と、該ノズル部の近傍に設けられ、前記電線をクランプすると共に該電線の軸線方向に進退可能なクランパと、前記電極に前記電線の始端および終端を熱圧着するヒータチップとを具備したことを特徴とする自動巻線機。 - 角柱形のチップ型コアの両端を一対のチャッキング部に把持した後、ノズル部から送り出した電線の始端を前記コアの一端に形成された電極に熱圧着し、しかる後、電線の該始端の熱圧着部より外側に突出する部分をクランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に進出させることにより該電線の始端を切断し、次いで、前記チャッキング部を前記コアの軸線を中心にして回転させると共に、前記ノズル部より前記電線を送り出しながら該ノズル部を前記コアの軸線に沿って移動することにより該コアに前記電線を巻掛け、前記コアの他端に形成された電極に前記電線の終端を熱圧着した後、電線の該終端の熱圧着部より外側に突出する部分を前記クランパでクランプして、該クランパを前記電線の軸線方向に後退させることにより該電線の終端を切断することを特徴とする自動巻線方法。
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