JP3561001B2 - エレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置 - Google Patents

エレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明はエレベータ制御装置および当該エレベータ制御装置の運転制御プログラムの更新を行う運転制御プログラム保守装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にエレベータは建物内の縦の交通機関として中高層ビルだけでなく、小規模ビルから個人住宅にも設置されるようになっている。そして近年では、設置台数も飛躍的に増加し、国内だけでも数10万台を超えるようになってきている。また、半導体技術の進歩によって大多数のエレベータはマイクロコンピュータを複数個使用した構成となり、マイクロコンピュータによってエレベータの操作処理、モータ制御、エレベータかご呼び処理、ホール呼び処理、エレベータかごおよびエレベータホールに設置される表示装置、エレベータの監視装置などの制御処理を受持たせるなど、多様化する機能、構成に対応させている。
【0003】
ところで、エレベータ業界では、各建物に設置されるエレベータの機器仕様はメーカ出荷前に決定され、エレベータの運用開始後はその仕様を変更することは少なかったが、マイクロコンピュータ化に伴い、ソフトウェアプログラムの変更によって仕様変更に対処することが可能となったために、運用開始後にも建物の実情に合せて仕様変更されることが多くなってきている。
【0004】
このような仕様変更に当っては、エレベータ保守会社の保守員がエレベータ機械室に入ってエレベータ制御装置にマイクロコンピュータ用の保守装置(通常、これはポータブルなコンソールである)を接続し、エレベータ制御装置と通信を実行し、制御データを変更することによって実施している。
【0005】
しかし、さらに近年では、エレベータ使用者の操作によって動作を容易に変更できるようにすることが要求されるようになっていて、例えば、高層ビルにおける複数台のエレベータの群管理運転の動作状況を変更することやエレベータホール、かご内に設置された表示装置のメッセージを変更し、あるいは新たに設定できることが要求されるようになってきている。
【0006】
このような要求に応えるため、遠隔操作でエレベータの制御データを変更し、また新たに書込むこと方式が提案されている。この遠隔操作による方式としては、エレベータの運行を制御するデータエリアに遠隔操作でデータを書込むことが一般的であり、例えば、ビル内の防災センターに設置されたコンピュータのキーボードからエレベータの動作を変更する指令を入力すると、そのデータを直列伝送によって建物の最上部のエレベータ機械室に伝送され、エレベータ制御用のマイクロコンピュータと通信を行い、エレベータ制御用のマイクロコンピュータがデータ変更指令を受けるとマイクロコンピュータ自身の記憶装置のデータを変更処理し、以後、変更後のデータに基づいてエレベータの運転制御を実行するようにするシステム構成にする。そしてこのデータの記憶装置としてはフラッシュメモリのような電気的書込みが可能な不揮発性メモリが利用される。またエレベータ制御装置の記憶装置のデータ変更方法として、遠隔の保守監視センターから電話回線を通して行う方法も可能である。
【0007】
また、エレベータの運転制御プログラム自体はすべての仕様を満足させる構成とはなっていないので、エレベータの設置建物の特殊性、また使用者の希望によってプログラム自身を交換しなければならない場合も増加してきている。このような場合には、保守員が現地に赴いてエレベータ制御プログラムの書込まれているROMを取外し、別の運転制御プログラムが書込まれているROMと交換する作業が必要となるが、この作業を簡略化するためにフラッシュメモリに運転制御プログラムを書込み、変更が必要になればそのプログラムを書換えるようにする構成も提案されている。
【0008】
図6は提案されているエレベータ制御装置と運転制御プログラム保守装置のシステム構成を示している。まずエレベータ制御装置は、エレベータの運転制御プログラムを実行するマイクロコンピュータ(CPU)1、外部から与えられる運転制御プログラムを登録する電気的書込み可能な記憶装置としてのフラッシュメモリ2、運転制御プログラムの一部、また運転制御プログラムの変更手順、その他の固定的な各種処理プログラムが登録されているROM3、エレベータかごの位置、かご呼び発生階、ホール呼び発生階などのエレベータ制御データを一時的に保存するRAM4、周辺装置とのインタフェースを行う入出力制御(I/O)部5、バスライン6、外部から運転制御プログラムの入力を行うためのメモリカードインタフェース部7、表示装置としてのモニタ部8を備えている。そして運転制御プログラム保守装置として、書換えるべき最新の運転制御プログラムをメモ容量に応じた数だけ記憶しているメモリカード9を使用し、これをメモリカードインタフェース部7に接続する構成となっている。
【0009】
このようなエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置では、CPU1が実行すべき運転制御プログラムを変更する場合、保守員がメモリカード9を現地に持っていき、メモリカードインタフェース部7に接続し、モニタ部8からプログラム変更指令を入力する。これにより、CPU1がROM3に登録されている手順にしたがってメモリカードインタフェース部7に指令を出し、メモリカード9から必要とするプログラムデータを読出し、フラッシュメモリ2に書込む。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来のエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置では、次のような問題点があった。
【0011】
エレベータでは、リアルタイムで人を乗せて運行するシステムであるので運転制御プログラムの書換えには十分に注意する必要がある。すなわち、プログラムの内容はエレベータの運行状況、停止可能階、速度、乗り心地などの制御を行う機能が格納されているため、これらのプログラムが誤って入力されるとエレベータがシステムダウンしてしまい、多くの利用者に不便をかけてしまいかねない。したがって、他のシステムとは異なり、エレベータの場合にはその運転制御プログラムの変更には信頼性の高いシステムが要求される。
【0012】
ところが、エレベータの運転制御プログラムは一種類ではなく、多数種に上り、これから変更しようとしている運転制御プログラムがどの種類のもので、どこまでバージョンアップされているのか、また互換性のある他のプログラムに統合されているのかといったことを保守員が互換テーブルを自分で見て判断し、そのプログラムを選択して書換える作業が必要となるために、プログラム変更作業に時間がかかり、また間違いが発生する可能性も高い問題点があった。さらに、従来から提案されている上記のシステムでは、プログラム変更に時間がかかるためにその実施中に電源異常が発生するとフラッシュメモリ2の内容が誤った値になる可能性があり、またCPU1の回路内で発生するノイズでバスライン6に異常が発生した場合にも同じであり、運転制御プログラムの変更が完全に行われなくなり、エレベータ自身の動作が誤ったものとなり得る問題点があった。
【0013】
この発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、運転制御プログラムの書換え作業時間を短くすることができ、またプログラム変更作業の信頼性を高くすることができるエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項1の発明のエレベータ制御装置は、エレベータの運転制御プログラムを格納する電気的書換え可能なプログラム記憶装置と、前記プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムの識別コードを記憶する電気的書換え可能なプログラムコード記憶装置と、外部から与えられる互換性データに基づいて前記プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムに置換え得る最新の運転制御プログラムの識別コードを判定し、該当する識別コードの運転制御プログラムを外部から読込んで前記プログラム記憶装置に書換え登録すると共に、前記プログラムコード記憶装置に更新された運転制御プログラムの識別コードを書換え登録し、当該運転制御プログラムの変更履歴データを外部に出力し、当該プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムを実行するマイクロコンピュータと、外部とのデータの入出力制御を行うインタフェース手段とを備えたものである。
【0018】
請求項2の発明の運転制御プログラム保守装置は、請求項1記載のエレベータ制御装置のインタフェース手段に対して接続可能で、変更された複数種の運転制御プログラム間の互換性データ、複数種の最新の運転制御プログラム、前記エレベータ制御装置のインタフェース手段を通して出力されてくる運転制御プログラムの変更履歴データを記憶する携帯型の外部記憶装置を備えたものである。
【0019】
請求項3の発明の運転制御プログラム保守装置は、請求項2の外部記憶装置としてフラッシュメモリを使用するものである。
【0020】
【作用】
この発明では、エレベータ制御装置の運転制御プログラムの変更が必要になれば、保守員が運転制御プログラム保守装置としての携帯型の外部記憶装置をエレベータ制御装置のインタフェース手段に接続する。すると、エレベータ制御装置のマイクロコンピュータがプログラム変更手順にしたがって、外部記憶装置から与えられる互換性データに基づいてプログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムに置換え得る最新の運転制御プログラムの識別コードを判定し、該当する識別コードの運転制御プログラムを外部記憶装置から読込んでプログラム記憶装置に書換え登録すると共に、プログラムコード記憶装置に更新された運転制御プログラムの識別コードを書換え登録する。当該プログラム記憶装置にあらたに運転制御プログラムが登録されると、以後、マイクロコンピュータはこのプログラムにしたがってエレベータの運転制御を実行することになる。
【0021】
こうして、外部記憶装置をインタフェース手段に接続し、プログラム変更指令を与えるだけの簡単な作業で自動的に運転制御プログラムの変更ができ、短時間で、また信頼性の高いプログラム変更作業ができるようになる。
【0022】
またこの発明では、運転制御プログラム保守装置の外部記憶装置に運転制御プログラムの変更履歴データの記憶領域を設け、エレベータ制御装置から運転制御プログラムの変更履歴データを書込むことにより、当該外部記憶装置の変更履歴データをエレベータ保守会社でデータベースに登録して利用することができるようになり、これによってエレベータごとの綿密な保守管理が可能となり、トラブル発生時の対応、例えば、当該エレベータに現在搭載されているプログラムが何であるか、その変更がいつであったかなどの情報を容易に取出すことができるようになり、保守作業の効率化に利用することができるようになる。
【0023】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1はエレベータ制御装置の一実施例Aと、運転制御プログラム保守装置の共通する実施例Bを組合わせたシステム全体を示している。
【0024】
この実施例のエレベータ制御装置Aは、エレベータの運転制御プログラムを実行するマイクロコンピュータ(CPU)11、外部から与えられる運転制御プログラムを登録する電気的書込み可能な記憶装置としてのフラッシュメモリ12、運転制御プログラムの一部、また運転制御プログラムの変更手順、運転制御プログラムの互換性判定プログラム、その他の固定的な各種処理プログラムが登録されているROM13、エレベータかごの位置、かご呼び発生階、ホール呼び発生階などのエレベータ制御データを一時的に保存するRAM14、周辺装置との間でエレベータ運転制御に必要な各種データの入出力制御を行う入出力制御(I/O)部5、バスライン16、外部から運転制御プログラムの入力を行うためのメモリカードインタフェース部17、出力データの表示を行い、また必要なデータや指令の入力操作を行うためのモニタ部18を備えている。
【0025】
フラッシュメモリ12はそこに登録されている運転制御プログラムの名称、バージョンなどのラベルデータを登録するラベル登録領域19と、運転制御プログラムを登録するプログラム登録領域20を備えている。またROM11には運転制御プログラムの一部、また運転制御プログラムの変更手順、その他の固定的な各種処理プログラムが登録されており、また特にこの実施例の特徴として運転制御プログラムの互換性判定プログラムの登録領域である互換性判定部21が設けられている。さらにRAM12にはROM13の互換性判定プログラムの実行に必要となるデータ領域として互換テーブル演算部22が予約された形で設けられている。
【0026】
一方、この実施例の運転制御プログラム保守装置Bにはフラッシュメモリカード23が用いられていて、図2に詳しく示されているように、その記憶容量の範囲内で許容される各種の最新の運転制御プログラムP1〜Pnを格納するプログラム格納領域24と、バージョンアップ、統合などの各種プログラム間の互換テーブルを格納する互換テーブル格納領域25が設けられている。そしてこのフラッシュメモリカード23をエレベータ制御装置A側のメモリカードインタフェース部17に接続することによって運転制御プログラムの変更作業を行うことができる。
【0027】
次に、上記のエレベータ制御装置Aに運転制御プログラム保守装置Bを接続して運転制御プログラムの変更作業を行う際の動作手順について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0028】
まず運転制御プログラム保守装置Bとしてのフラッシュメモリカード23には、図2に詳しく示してあるように、各種エレベータシステムに対応するためにメモリ容量が許す範囲で複数種の最新バージョンの運転制御プログラムP1〜Pnがプログラム格納領域24に格納されており、またこのプログラム格納領域24に格納されている各種の運転制御プログラムと旧バージョンの各種運転制御プログラムとの互換テーブルが互換テーブル格納領域25に格納されている。図2の場合について説明すると、格納されている最新バージョンの運転制御プログラムの名称は、ABC V1.10,DEM V1.10である。そして、これらの運転制御プログラムの互換テーブル格納領域25の内容は、プログラムABC V1.00;V1.01;V1.02それぞれがABC V1.10にバージョンアップされ、旧バージョンのプログラムDEF V1.00は最新バージョンのプログラムDEM1.10に統合され、旧バージョンのプログラムDEM V1.00はDEM V1.10にバージョンアップされ、さらにプログラムZEA V2.00 ******とあるのは、このプログラムZEA V2.00が他のメモリカードに格納されていることを示している。
【0029】
この互換テーブル格納領域25にはエレベータの運転制御プログラムの全種類の対応表、あるいはエレベータ機種として相互に関連する全種類の対応表を格納する。現実に、エレベータの全種類の対応表を格納とする場合、1つの関連を表すのに約100バイト程度必要であり、プログラム数が10程度であればテーブル格納領域25の大きさは1Kバイト程度必要である。またプログラム格納領域24は、1つのプログラムの大きさを約64Kバイトとするとプログラム数が10の場合には640Kバイトとなり、メモリカード23の容量として64+640=704Kバイト以上必要となるが、実用化されているフラッシュメモリカードは2Mバイト程度となっているために十分に利用可能である。もっとも、この互換テーブルのデータ形式は以降の説明の便宜上、分りやすくしたものであり、特にこの形式に限定されることはない。
【0030】
保守員はこのようにして最新バージョンの運転制御プログラムが登録されているフラッシュメモリカード23を携帯してプログラムの変更を必要とするエレベータの設置現場に赴き、該当するエレベータ制御装置Aのメモリカードインタフェース部17に接続して、図3のフローチャートに基づく運転制御プログラムの変更作業を行うことになる。
【0031】
CPU11はROM13の互換性判定部21のプログラムにしたがい、フラッシュメモリ12内のラベル登録領域19から現在登録されているプログラムの名称、バージョンなどのラベルデータを読出してRAM14の互換テーブル演算部22に格納する(ステップS1)。
【0032】
次に、CPU11はフラッシュメモリカード23の互換テーブル格納領域25のデータをインタフェース部17を介して読込み(ステップS2)、互換テーブル演算部22に格納されている現在の登録プログラムとの間で互換性があるプログラムがフラッシュメモリカード23のプログラム格納領域24に登録されているかどうか判定する(ステップS3)。
【0033】
この互換性の判定結果がNOであれば、互換性のある最新バージョンのプログラムがないとして、プログラム登録変更処理を終了すべく、モニタ部18によって該当プログラムなしを示す表示を行い、処理を終了する(ステップS8)。
【0034】
しかしながら、互換性の判定結果がYESであれば、モニタ部18に最新のプログラムがメモリカード23に登録されていることを示す確認表示を行わせる(ステップS4)。この表示は、発光ダイオードの点灯などによって簡単に表現することができるが、モニタ部18に液晶表示部を設ける場合には、さらに詳しい情報、例えば、「プログラム変更可」といった表示をさせることもできる。
【0035】
ROM13の互換性判定部21のプログラムに基づく互換性判定処理によって互換性のある最新バージョンの運転制御プログラムがメモリカード23に登録されていることが判明したならば、次に、CPU11はROM13に登録されているプログラム変更プログラムにしたがって運転制御プログラムの書換え処理を実行することになるが、それにはまず、運転制御プログラムを新たに外部のフラッシュメモリカード23から読込む必要があるために、エレベータの制御を一旦停止する(ステップS5)。
【0036】
エレベータの運転制御が一時停止されたことを確認すると、保守員はモニタ部18から変更の実行指令を入力する(ステップS6)。これを受けて、CPU11は次に、外部のフラッシュメモリカード23の互換テーブル格納領域25の互換テーブルによって指示された最新バージョンの運転制御プログラムをプログラム格納領域24から読出してきて、RAM14のいったん格納し、その読込みが正常に完了すれば、CPU11はさらにフラッシュメモリ12の旧バージョンの運転制御プログラムとそのラベルデータを消去し、RAM14に登録されている最新バージョンの運転制御プログラムとそのラベルデータをそれぞれプログラム登録領域20とラベル登録領域19に書込み(ステップS7)、この書込みが完了したときにモニタ部18によってプログラムの正常な書込みが完了したことを示す表示を行わせてプログラム変更処理を終了し、以後、変更された運転制御プログラムにしたがってエレベータの運転制御が開始されることになる(ステップS8)。
【0037】
こうして、この実施例のエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置では、エレベータ制御装置Aの運転制御プログラムの変更が必要になったときには、携帯性の運転制御プログラム保守装置Bを現地に持っていき、エレベータ制御装置Aに接続してプログラム変更処理を行うだけで容易に運転制御プログラムの変更ができ、しかも、運転制御プログラムを運転制御プログラム保守装置Bから読出してエレベータ制御装置A側のプログラムを更新する際には、まずRAMにいったん格納し、その後、フラッシュメモリに登録するようにしているので、現実にエレベータ制御を実行するプログラムをフラッシュメモリにおいて更新する時間はマイクロコンピュータの性能によって左右されることはあるが、ほとんど数秒のオーダーであるために、電源の遮断やバスラインの異常によってプログラムの書込みが中断される危険性はほとんどなく、プログラムの変更が確実に行えることになる。
【0038】
また外部記憶装置にフラッシュメモリカードを利用することによって、その携帯性、操作性を高くすることができる。
【0039】
なお、外部記憶装置としては、フラッシュメモリカードに限定されず、インタフェース部を変更することによってフロッピーディスク装置、ハードディスク装置、コンパクトディスク装置、その他の汎用されている携帯性のある記憶装置を使用することができる。
【0040】
次に、請求項1の発明のエレベータ制御装置の実施例Aと請求項2および請求項3の発明の運転制御プログラム保守装置の共通する実施例について、図に基づいて説明する。
【0041】
この実施例のエレベータ制御装置Aは図1に示す第1実施例と同じ構成であるが、第1実施例に対して、さらにROM13に登録されている固定的なプログラムとして、運転制御プログラムの変更処理が完了したときにその変更履歴データをメモリカードインタフェース部17を通して運転制御プログラム保守装置Bに出力するプログラムが追加されている。
【0042】
また運転制御プログラム保守装置Bは図4に示すように、フラッシュメモリカード23で構成されるが、第1実施例に示した最新バージョンの運転制御プログラムを格納するプログラム格納領域24、図2に示したような互換テーブルを格納する互換テーブル格納領域25に加えて、エレベータごとの変更履歴データを格納する履歴データ格納領域26を有している。
【0043】
次に、上記のエレベータ制御装置Aに運転制御プログラム保守装置Bを接続して運転制御プログラムの変更作業を行う際の動作手順について説明する。
【0044】
保守員は最新バージョンの運転制御プログラムが登録されているフラッシュメモリカード23を携帯してプログラムの変更を必要とするエレベータの設置現場に赴き、該当するエレベータ制御装置Aのメモリカードインタフェース部17に接続して、図5のフローチャートに基づく運転制御プログラムの変更作業を行うことになる。
【0045】
CPU11はROM13の互換性判定部21のプログラムにしたがい、フラッシュメモリ12内のラベル登録領域19から現在登録されているプログラムの名称、バージョンなどのラベルデータを読出してRAM14の互換テーブル演算部22に格納する(ステップS11)。
【0046】
次に、CPU11はフラッシュメモリカード23の互換テーブル格納領域25のデータをインタフェース部17を介して読込み(ステップS12)、互換テーブル演算部22に格納されている現在の登録プログラムとの間で互換性があるプログラムがフラッシュメモリカード23のプログラム格納領域24に登録されているかどうか判定する(ステップS13)。
【0047】
この互換性の判定結果がNOであれば、互換性のある最新バージョンのプログラムがないとして、プログラム登録変更処理を終了すべく、モニタ部18によって該当プログラムなしを示す表示を行い、処理を終了する(ステップS20)。
【0048】
しかしながら、互換性の判定結果がYESであれば、モニタ部18に最新のプログラムがメモリカード23に登録されていることを示す確認表示を行わせる(ステップS14)。
【0049】
ROM13の互換性判定部21のプログラムに基づく互換性判定処理によって互換性のある最新バージョンの運転制御プログラムがメモリカード23に登録されていることが判明したならば、次に、CPU11はROM13に登録されているプログラム変更プログラムにしたがって運転制御プログラムの書換え処理を実行することになるが、それにはまず、運転制御プログラムを新たに外部のフラッシュメモリカード23から読込む必要があるために、エレベータの制御を一旦停止する(ステップS15)。
【0050】
エレベータの運転制御が一時停止されたことを確認すると、保守員はモニタ部18から変更の実行指令を入力する(ステップS16)。これを受けて、CPU11は次に、外部のフラッシュメモリカード23の互換テーブル格納領域25の互換テーブルによって指示された最新バージョンの運転制御プログラムをプログラム格納領域24から読出してきて、RAM14にいったん格納し、その読込みが正常に完了すれば、CPU11はさらにフラッシュメモリ12の旧バージョンの運転制御プログラムとそのラベルデータを消去し、RAM14に登録されている最新バージョンの運転制御プログラムとそのラベルデータをそれぞれプログラム登録領域20とラベル登録領域19に書込む(ステップS17)。
【0051】
また、この書込みが完了したときにCPU11は通常、マイクロコンピュータの周辺回路として組込まれているカレンダ回路からプログラム変更のカレンダ情報を取込み、あらかじめエレベータごとに設定されているエレベータ識別コードデータ、変更プログラムのバージョンアップデータと共に変更履歴データとしてメモリカードインタフェース部17を通して外部のフラッシュメモリカード23に出力し、その変更履歴データ格納領域26に書込む(ステップS18,S19)。
【0052】
この変更履歴データの出力が完了すると、情報モニタ部18によってプログラムの正常な書込みが完了したことを示す表示を行わせてプログラム変更処理を終了し、以後、変更された運転制御プログラムにしたがってエレベータの運転制御が開始されることになる(ステップS20)。
【0053】
こうして、この実施例のエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置では、第1実施例の特徴に加えて、さらに、保守員が携帯する外部記憶装置としてフラッシュメモリカード23にエレベータごとのプログラム変更履歴データを書込むことができるので、保守員はそのメモリカード23をエレベータ保守会社に持帰ってデータベースに登録することにより、エレベータごとの綿密な保守管理が可能となり、トラブル発生時の対応、例えば、トラブルが発生したエレベータに現在搭載されているプログラムが何であるか、その変更がいつであったかなどの情報を容易に取出すことができるようになり、保守作業の効率化に利用することができるようになる。
【0054】
なお、請求項2の発明の場合、外部記憶装置としてフラッシュメモリカードに限定されず、インタフェース部を変更することによってフロッピーディスク装置、ハードディスク装置、コンパクトディスク装置、その他の汎用されている携帯性のある記憶装置を使用することができる。
【0055】
さらに、上記の両実施例において、外部記憶装置は保守会社の遠隔監視装置に設置し、各サイトのエレベータ制御装置にプログラムの変更が必要になれば、通信回線を介してエレベータ制御装置を遠隔監視装置に接続し、その通信回線を介して双方向通信によってプログラムの変更を行う構成にしてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、エレベータ制御装置の運転制御プログラムの変更が必要になれば、保守員が運転制御プログラム保守装置としての携帯型の外部記憶装置をエレベータ制御装置のインタフェース手段に接続することにより、エレベータ制御装置のマイクロコンピュータがプログラム変更手順にしたがって、外部記憶装置から与えられる互換性データに基づいてプログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムに置換え得る最新の運転制御プログラムの識別コードを判定し、該当する識別コードの運転制御プログラムを外部記憶装置から読込んでプログラム記憶装置に書換え登録すると共に、プログラムコード記憶装置に更新された運転制御プログラムの識別コードを書換え登録し、以後、マイクロコンピュータが変更された最新のプログラムにしたがってエレベータの運転制御を実行するようにしているので、外部記憶装置をインタフェース手段に接続し、プログラム変更指令を与えるだけの簡単な作業で自動的に運転制御プログラムの変更ができ、短時間で、また信頼性の高いプログラム変更作業が短時間のうちに自動的に行え、電源の遮断やバスラインの異常によってプログラムの書込みが中断される危険性がほとんどなく、プログラムの変更が確実に行えることになる。
【0057】
またこの発明によれば、運転制御プログラム保守装置の外部記憶装置に運転制御プログラムの変更履歴データの記憶領域を設け、エレベータ制御装置から運転制御プログラムの変更履歴データを書込むようにしているので、当該外部記憶装置の変更履歴データをエレベータ保守会社でデータベースに登録して利用することができるようになり、これによってエレベータごとの綿密な保守管理が可能となり、トラブル発生時の対応、例えば、当該エレベータに現在搭載されているプログラムが何であるか、その変更がいつであったかなどの情報を容易に取出し、保守作業の効率化に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】エレベータ制御装置の一実施例、運転制御プログラム保守装置の共通する実施例を組合わせたシステム構成を示す機能ブロック図。
【図2】上記運転制御プログラム保守装置の実施例の内部データ構造を示す説明図。
【図3】上記実施例のエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置による運転制御プログラムの変更処理手順を示すフローチャート。
【図4】請求項2および請求項3の発明の運転制御プログラム保守装置の共通する他の実施例の内部データ構造を示す説明図。
【図5】上記実施例のエレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置による運転制御プログラムの変更処理手順を示すフローチャート。
【図6】従来例の機能ブロック図。
【符号の説明】
A エレベータ制御装置
B 運転制御プログラム保守装置
11 マイクロコンピュータ(CPU)
12 フラッシュメモリ
13 ROM
14 RAM
15 入出力制御(I/O)部
16 バスライン
17 メモリカードインタフェース部
18 モニタ部
19 ラベル登録領域
20 プログラム登録領域
21 互換性判定部
22 互換テーブル演算部
23 フラッシュメモリカード
24 プログラム格納領域
25 互換テーブル格納領域
26 変更履歴データ格納領域

Claims (3)

  1. エレベータの運転制御プログラムを格納する電気的書換え可能なプログラム記憶装置と、
    前記プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムの識別コードを記憶する電気的書換え可能なプログラムコード記憶装置と、
    外部から与えられる互換性データに基づいて前記プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムに置換え得る最新の運転制御プログラムの識別コードを判定し、該当する識別コードの運転制御プログラムを外部から読込んで前記プログラム記憶装置に書換え登録すると共に、前記プログラムコード記憶装置に更新された運転制御プログラムの識別コードを書換え登録し、当該運転制御プログラムの変更履歴データを外部に出力し、当該プログラム記憶装置に登録されている運転制御プログラムを実行するマイクロコンピュータと、
    外部とのデータの入出力制御を行うインタフェース手段とを備えて成るエレベータ制御装置。
  2. 請求項記載のエレベータ制御装置のインタフェース手段に対して接続可能で、変更された複数種の運転制御プログラム間の互換性データ、複数種の最新の運転制御プログラム、前記エレベータ制御装置のインタフェース手段を通して出力されてくる運転制御プログラムの変更履歴データを記憶する携帯型の外部記憶装置を備えて成る運転制御プログラム保守装置。
  3. 前記外部記憶装置としてフラッシュメモリを使用することを特徴とする請求項記載の運転制御プログラム保守装置。
JP03876794A 1994-03-09 1994-03-09 エレベータ制御装置および運転制御プログラム保守装置 Expired - Lifetime JP3561001B2 (ja)

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