JP3560403B2 - 全方向移動車両およびその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両本体の方向を変えることなく任意の方向へ移動することが可能であるとともにそのままの位置で旋回することができる全方向移動車両およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、全方向移動車両としては、特開平2−249769号公報に記載のものや、特開平2−158460号公報記載のものが知られている。前者は、車輪の円周上に車輪の回転方向と直交する方向に従動回転するフリーローラを複数個配置したものである。後者は、同じく車輪の円周上に車輪の回転方向と45度の方向に従動回転する樽型のフリーローラを複数個配置したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの全方向移動車両はいずれも、機構が複雑なため容積や重量が大きくなりすぎて、充分な接地面積が得られない。そのため重量負荷の大きい用途には使用できないという制限があった。また、これらは機構上、空気圧式のタイヤの使用がほとんど不可能であるため、走行とともに接地部に発生する振動等がそのまま車両本体に伝えられてしまうという不都合があった。
また、従来の全方向移動車両は、車両を支える全部の車輪が操舵可能であるため、高速走行に対しては不安定であった。
さらに、従来の全方向移動車両を遠隔操縦装置を用いて操縦する場合、運転者が車両に乗った状態で操縦するときは、車両の姿勢方位の変動とともに遠隔操縦装置の姿勢方位も変動する。これに対して、操縦者が車両に乗らない状態で操縦するときは、遠隔操縦装置の姿勢方位が保持されたままで車両が走行すると車両の姿勢方位が変動し両者の姿勢方位はずれてしまうことになる。しかも、操縦中の運転者が遠隔操縦装置を持ったまま方向を換えると、以後の操縦はその方向転換分を考慮して操縦しなければ、目的としない方向に車両が走行してしまうおそれがあった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、小型・軽量でありながらも充分な耐荷重強度を有し、さらには空気圧式タイヤの装着が可能な全方向移動車両を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的とするところは、全方向移動車両を高速でも安定して走行させるとともに、遠隔操縦装置を用いて操作する場合に、操縦者が車両に乗った状態で、あるいは降りて任意に移動しながらの状態でも常に同一の操作感覚で安全・確実に操縦することができる全方向移動車両およびその制御方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、全方向移動車両の発明(請求項1〜請求7に係る発明)および全方向移動車両の制御方法の発明(請求項8〜請求項10に係る発明)がされた。
また、他にも2件の全方向移動車両の発明(請求項11および請求項1に係る発明並びに請求項1に係る発明)がされた。
【0005】
請求項1の発明は、
操舵輪をかねた駆動輪と、
駆動輪を回転駆動するアクチュエータと、
駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、
車両本体に形成されて、駆動輪の接地位置から駆動輪の進行方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、
駆動輪の回転角速度と操舵軸の回転角速度との比が姿勢方位に応じた値となるようにして上記2つのアクチュエータを駆動する制御装置と、
により構成される駆動ユニットを備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、
請求項1記載の全方向移動車両において、
駆動輪、操舵軸、軸受け部、2つのアクチュエータおよび制御装置からなる駆動ユニットを2個以上備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、
請求項2記載の全方向移動車両において、
車両本体の車両位置を検出するセンサと、
車両本体の車両姿勢方位を検出するセンサと、
各操舵軸の操舵軸角度を検出するセンサと、
各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操舵軸角度と車両の移動目標軌道とから駆動ユニットごとに、駆動輪と操舵軸の回転角速度比を算出する演算手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、
請求項2または請求項3記載の全方向移動車両において、
車両本体に軸支された操舵軸により旋回自在に支持される従動輪と、
この従動輪の操舵軸をロックする操舵軸ロック手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5の発明は、
請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
操縦者により入力された前後移動、横移動、旋回の指令を車両本体へ送信する遠隔操縦装置と、
車両本体に搭載されて遠隔操縦装置からの指令を受信する受信装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6の発明は、
請求項5記載の全方向移動車両において、
遠隔操縦装置を車両本体に搭載した状態で操作する場合と車両本体とは別体の離れた状態で操作する場合とで制御装置の演算を切り換える切換スイッチを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項7の発明は、
請求項5または請求項6記載の全方向移動車両において、
遠隔操縦装置内に設置されて遠隔操縦装置の水平面上での姿勢方位を検出するセンサと、
センサが検出した姿勢方位にもとづいて入力された指令を補正する手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項8の発明は、
請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
従動輪の進行方向を車両進行方向と一致させた状態で従動輪の操舵軸をロックした後、駆動ユニットの駆動輪の操舵軸の操舵角度により車両の進行方向を制御し、駆動輪の回転速度により車両速度を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項9の発明は、
請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
請求項8記載の全方向移動車両の制御方法を高速走行制御モードにおける運転方法とするとともに、ロック手段が解除された状態での運転を全方向走行制御モードとして、両制御モードを切り換えながら走行制御することを特徴とする。
【0014】
請求項10の発明は、
請求項9記載の全方向移動車両の制御方法において、
全方向走行制御モードから高速走行制御モードに切り換える際に、全方向走行制御モードで前方向直進をさせ駆動輪および従動輪の操舵角が車両本体に対して一定角度範囲内に達したことを制御モード切換条件とすることを特徴とする。
【0015】
請求項11の発明は、
操舵輪をかねる一対の駆動輪と、
駆動輪の互いの車軸が同一直線上で軸支された台車と、
台車上に配設されて両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、
台車を支持する操舵軸と、
車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるように両アクチュエータを駆動する制御装置と、
からなる駆動ユニットを2個以上備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項12の発明は、
請求項11記載の全方向移動車両において、
車両本体の車両位置を検出するセンサと、
車両本体の車両姿勢方位を検出するセンサと、
各駆動ユニットの操舵角度を検出するセンサと、
各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操舵角度と車両の移動目標軌道とから各駆動ユニットごとに、駆動輪の角速度比を算出する演算手段と、 を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項13の発明は、
操舵輪をかねる一対の駆動輪と、
駆動輪の互いの車軸が同一直線上で軸支された台車と、
台車上に配設されて両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、
台車を支持する操舵軸と、
車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、
一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるように、一対の駆動輪用アクチュエータを駆動するとともに、車両の姿勢方位を変化させるように操舵軸用アクチュエータを駆動する制御装置と、
により構成される駆動ユニットを1個以上備えたことを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。図1は請求項1から請求項の発明に係る第1の実施形態の要部を示す縦断面図であり、図2は図1の一部を破断して示した側面図である。図において、1は操舵輪をかねた駆動輪であり、駆動輪1を支持固定する車軸2により、操舵軸である脚3に回転自在に支持されている。なお、駆動輪1には、通常、空気圧式タイヤが装着される。車軸2は減速機4を介して、アクチュエータであるモータ5に接続されている。モータ5の他端にはエンコーダ6が接続されて駆動輪1の回転角度が検出される。
【0023】
また、脚3は、その上端が、車両本体7に軸受け8を介して垂直軸まわりの回動を自在にして支持されている。ここで軸受け8の中心、すなわち脚3の回転中心は、駆動輪1の接地位置から水平距離sだけオフセットされた位置とされている。脚3の上面には同軸上に歯車9が取付けられて、本体7に支持されている歯車11と噛合接続される。歯車11は、アクチュエータであるモータ12の出力軸13に支持固定されている。モータ12の他端にはエンコーダ14が接続されて脚3の回転角度すなわち操舵角度が検出される。
【0024】
図3は、図1、図2における駆動輪1の動作原理を示した説明図である。図は、駆動輪1を上方からみた平面図であり、説明上、脚3は両持ちのヨーク状に表してある。図中のGは駆動輪1の接地点であり、Mは脚3の回転中心(操舵軸)であり、GM間がオフセット距離sとなる。ここで、脚3が図中の上方へ移動するように、モータ5を駆動して外径Dの駆動輪1を角速度ωで回転駆動させると、操舵軸Mには次式に示す移動速度Vが得られる。
【0025】
【数1】
=D/2・ω
【0026】
同様に、脚3に支持された駆動輪1が時計方向に旋回するように、モータ12を駆動して脚3を角速度γで回転駆動させると、脚3により横方向へ移動されようとした駆動輪1は接地面の摩擦抵抗により横方向の移動が制止され、その反動として脚3はG点を中心として時計方向に旋回する。このとき操舵軸Mには次式に示す移動速度Vが得られる。
【0027】
【数2】
=s・γ
【0028】
すなわち、駆動輪1と脚3を同時に駆動すると、操舵軸Mは、たがいに直交する、2つの速度V,Vが発生する。これらの速度V,Vは合成されて速度Vとなり、操舵軸Mを移動させる。ここで駆動輪1の進行方向に対する合成速度Vの角度をαとすると、各速度V,V,Vは、次式の関係となる。
【0029】
【数3】
=V・cosα
【0030】
【数4】
=V・sinα
【0031】
その結果、駆動輪1の角速度ωと脚3の角速度γを一定の比となるように制御することで、操舵軸Mを所定の方向に移動させることが可能になる。なお、上記の関係式は、脚3の回転を開始した瞬間に成立するが、次の瞬間は駆動輪1の方向が変わるため関係式が不成立となる。しかし、エンコーダ14で、変化する脚3の方向を常時検出して、それに応じて角速度ω、角速度γを補正することで、操舵軸Mを所定方向へ連続して移動させることが可能となる。
【0032】
図4は、図3における操舵軸Mを所定の軌道上を移動させる場合の制御方法を示す説明図である。図において、Kは目標とする軌道であり、軌道K上の操舵軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角度をθとし、駆動輪1と座標軸Xとの角度をφとするとき、操舵軸Mに目標速度Vを発生するための各速度成分V,Vは、次式により求められる。
【0033】
【数5】
=V・cos(φ−θ)
【0034】
【数6】
=V・sin(φ−θ)
【0035】
すなわち、あらかじめ、移動速度Vを定めておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φを検出するとともに、図示しないセンサにより角度θを検出することで、各軸ごとの速度成分V,Vが求められる。これらの速度が得られるように、駆動輪1、脚3の角速度ω,γを制御することで操舵軸Mが目標とする軌道K上を移動することができる。
【0036】
なお、軌道Kについての座標データとして、X軸、Y軸の速度成分が時系列的に与えられることがあり、その場合は与えられたX軸、Y軸の速度成分V,Vを用いて、次式により各軸ごとの速度成分V,Vを求めることができる。
【0037】
【数7】
Figure 0003560403
【0038】
【数8】
Figure 0003560403
【0039】
図5は、第1の実施形態の車両の全体を示す斜視図であり、図1、図2に示された、駆動輪1、脚3、軸受け8、モータ5,12およびこれらの制御装置(図示せず)等から構成される駆動ユニットが左右に設置されている。なお、図中の15は、従動輪である。
【0040】
図6は、図5に示した車両における制御方法を示す説明図である。図において、Lは目標とする軌道であり、軌道L上を車両本体7の中心Cが走行するように制御される。中心Cは距離2Wを隔てて設置された両ユニットの操舵軸MとMの中間の位置とする。ここで、中心Cの移動速度をVとし、X軸、Y軸の速度成分をVxc,Vycとすると、車両本体7が回転をともなわず並進走行する場合は、操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx1,Vy1および操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx2,Vy2はそれぞれ次式のようになる。
【0041】
【数9】
x1=Vxc
【0042】
【数10】
y1=Vyc
【0043】
【数11】
x2=Vxc
【0044】
【数12】
y2=Vyc
【0045】
次に、車両本体7が走行しないで角速度dφ/dtで回転する場合、操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx1,Vy1および操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx2,Vy2はそれぞれ次式のようになる。
【0046】
【数13】
x1=−W・dφ/dt・cosφ
【0047】
【数14】
y1=−W・dφ/dt・sinφ
【0048】
【数15】
x2=W・dφ/dt・cosφ
【0049】
【数16】
y2=W・dφ/dt・sinφ
【0050】
ただし、φは車両本体7とX軸とのなす角度である。
これらのことから、車両本体7が角速度dφ/dtで回転しながら速度Vで走行する場合、操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx1,Vy1および操舵軸MのX軸、Y軸の速度成分Vx2,Vy2は、数式9〜数式12と数式13〜数式16をそれぞれ加算することにより次式のようになる。
【0051】
【数17】
x1=Vxc−W・dφ/dt・cosφ
【0052】
【数18】
y1=Vyc−W・dφ/dt・sinφ
【0053】
【数19】
x2=Vxc+W・dφ/dt・cosφ
【0054】
【数20】
y2=Vyc+W・dφ/dt・sinφ
【0055】
このようにして求められた速度成分にもとづき、左右の駆動輪1を回転駆動するとともに操舵することで、車両本体7は軌道L上を走行する。特に、この実施形態では、前後、左右方向の並進移動および旋回が可能であるため、車両本体7の方向を変えることなく全方向に瞬時に方向転換して移動することが可能となり、小回りのきく小型車両用として各種産業分野において使用することができる。
【0056】
また、方向転換の場合、駆動輪1の回転と操舵軸Mの操舵とを組み合わせて駆動するため、操舵がなめらかにおこなわれる。
さらに、この実施形態では、駆動輪1として、空気圧式タイヤを用いたため、走行中に接地部に発生する振動等が車両本体7に伝わることが防止される。
なお、この実施形態では、左右一対の駆動ユニットによる走行を説明したが、3個以上の駆動ユニットを取付けた場合も同様にして、走行の制御が可能である。
【0057】
次に、請求項から請求項1の発明に係る第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態の全方向移動車両の外観図であり、図8は図7の底面図である。図において、21,22は操舵輪をかねた駆動輪であり、操舵軸である脚23,24に軸支され、その車軸は脚23,24に取り付けられたモータ25,26により回転駆動される。駆動輪21,22には、空気圧式タイヤが装着されている。脚23,24は車両本体27の前部に垂直軸回りの回転を自在に支持されるとともに、下部の駆動輪21,22の車軸を支持する位置が垂直回転軸よりもオフセットされている。
【0058】
脚23,24の上端は、歯車を介してモータ28,29に接続されて操舵される。なお、モータ25,26およびモータ28,29には、図示しないがエンコーダが内蔵されている。車両本体27の後部には、垂直軸回りの回転を自在に脚31,32が支持され、その下端のオフセットされた位置に従動輪33,34が軸支されてキャスタとして機能する。従動輪33,34の操舵軸である脚31,32の上端には、操舵軸ロック手段であるところのブレーキ35,36が取り付けられている。ここで、図中の矢印の表示のように、車両の右方を前方とすると、駆動輪21,22が前輪、従動輪33,34が後輪となる。
【0059】
この第2の実施形態の構成は、従動輪33,34にブレーキ35,36を設けた点以外は、図5に示された第1の実施形態と共通であるため、ブレーキ35,36がフリーな状態では、第1の実施形態と同様な制御により、前後、左右方向の並進移動および旋回が可能である。また、この実施形態の新たな特徴として、ブレーキ35,36を作動させて従動輪33,34をロックした状態で、従来の乗用車のような駆動輪21,22をほぼ同一位相の操舵と回転駆動することで安定した高速走行が可能になる。
【0060】
すなわち、この実施形態では、並進移動および旋回移動をする全方向移動制御モードと、従動輪の操舵をロックしての高速走行制御モードとを備え、走行条件に応じて両制御モードを切り換えながら走行させることを可能にしたものである。なお、この実施形態では、従動輪を2個の構成としたが、1個の構成とした場合も同様に機能する。
【0061】
図9は、上述した車両27の制御モードの切換制御を示す説明図である。この車両27は、最初に、車庫であるところの壁面37に形成された凹部38に停車している。この位置をAとして、最初は全方向移動制御モードにより、車両27を横方向へ並進移動させてAからBへ移動する。次いで、そのB位置で車両27を旋回により反転させて進行方向の右方に向かせる。その結果、駆動輪21,22が右側位置に、従動輪33,34が左側位置となる。この状態では、車両27が全方向移動制御モードにより移動した後であるため、各車輪は互いに異なる方向を向いている。
【0062】
次に、進行方向に車両27を前進させる。車両27が直進を開始すると、やがて各車輪が同一方向にそろう。ここで、車両27の制御装置(図示せず)に対して、操縦者から高速走行制御モードへの切り換えの指令が入力されているものとすると、各車輪の操舵角が監視され、全車輪の方向が進行方向と一致した時点(C位置)で、ブレーキ35,36が作動されることにより、従動輪33,34の操舵軸である脚31,32がロックされ、高速走行制御モードに切り換えられる。この状態では、車両27が通常の道路を走行する一般車両と同様の駆動制御が行われる。つまり、後輪の操舵軸が固定されて前輪のみが操舵輪として機能することにより、安定した高速走行が可能となる。
【0063】
こうして高速走行制御モードに切り換えられた後は、さらに駆動輪21,22の回転速度を増して高速走行をすることが可能になる。高速走行制御モードにおいて、車両の進路を変更する場合は、次のD位置に示すように、進路を左方向へ変えようとすると、駆動輪21,22の操舵軸である脚23,24をモータ28,29により、それぞれ反時計方向に回動させる。このとき、後輪の車軸の延長線に対する駆動輪21,22の車軸の延長線の交点Oが常に一致するように、駆動輪21,22の互いの操舵角が制御される。
【0064】
この車軸の交点Oがすなわち車両27の旋回中心である。また、高速走行制御モードから低速の全方向移動制御モードへの切換は、車両27を減速して所定の速度以下になった時点で、ブレーキ35,36の動作を解除して行われる。
なお、車両27に対する走行制御指令の入力は、3自由度の入力が可能なジョイスティック等を備えた操縦装置により行われる。すなわち、全方向移動制御モードでは、前後方向および左右方向の並進移動に2自由度、旋回動作に1自由度が割り当てられる。高速走行制御モードでは、前後方向の移動に1自由度が、左右操舵に1自由度が割り当てられる。
【0065】
図10は、操縦者が車両に乗らない状態で、地上からリモコンの操縦装置により車両を操縦する場合を示す説明図である。図では高速走行制御モードにおいて、地上に置かれた操縦装置41の操縦棒42を操作することにより、操縦装置41に設置された発信装置(図示せず)から、車両27に設置されている受信装置(図示せず)に操作指令信号が送られ、その指令内容に基づいて車両走行の制御が行われる。図示例では、車両27がAの位置からB,Cの位置に右旋回しながら移動する場合を示し、地上のXY座標系に対して、車両27の走行とともに車両27の姿勢方位が時計方向に回転する。
【0066】
つまり、車両27に対する操縦装置41の相対角度が変化することを意味する。そのため、各位置において操縦棒42から入力される指令の方向と、車両27の進行方向の関係は、第1の実施形態と同様であり、数式17〜数式20により求められる速度成分にもとづき、左右の駆動輪21,22が回転駆動されるとともに操舵されることで、車両27が操縦装置41の指令に応じた走行が行われる。なお、図中で車両27の中心位置に表示された操縦装置は、地上の操縦装置41と車両27の相対角度の変化を説明するために便宜的に記入されたものであり、実際に操縦装置が車両27上に搭載されているわけではない。
【0067】
図11は、操縦装置を車両に搭載しさらに操縦者が乗車した状態で、車両の操縦する場合を示す説明図である。図では、車両27がAの位置からB,Cの位置に右旋回しながら移動する場合に、操縦装置41もともに旋回するため、B,Cの位置では、操縦棒42から入力される指令の内容が、図10の場合と異なり、そのままでは、指令内容と走行方向に齟齬を起こすことになる。そこで、制御モードが設定された段階で、X座標軸に対する車両27の角度φv0を読み取り、数式17〜数式20中の変数φを固定値φv0に置き換える。その結果、数式17〜数式20はそれぞれ次の数式21〜数式24のようになる。
【0068】
【数21】
x1=Vxc−W・dφ/dt・cosφv0
【0069】
【数22】
y1=Vyc−W・dφ/dt・sinφv0
【0070】
【数23】
x2=Vxc+W・dφ/dt・cosφv0
【0071】
【数24】
y2=Vyc+W・dφ/dt・sinφv0
【0072】
これらの数式より求められた値をそれぞれ駆動輪21,22に対する速度指令値とすることにより、操縦者が乗車していても地上にいる場合と同様な感覚で車両の操縦をすることが可能になる。なお、操縦装置41を車両上で使用する場合と地上で使用する場合を切り換えるための切換スイッチ(図示せず)が操縦装置41または車両27側に設けられており、操縦者は操作形態を変更する場合にその切換スイッチを操作することでその状態に応じた操縦が可能になる。また、システムの立ち上げ時に、この切換スイッチが操作されて車両上で操縦することが選択されると、角度φv0が0となり、車両27の前方向と操縦棒42のY軸指令方向とが一致する。
【0073】
図12は、地上にいる操縦者が操縦装置を携帯しながら車両を操縦する場合を示す説明図である。ここでは、地上において操縦者が操縦装置41を携帯しながら車両27を操縦した場合に、操縦者の移動とともに操縦装置41の姿勢方位が変化した場合のその変化量を検出する角度センサ43を、操縦装置41自体に設置したものである。図では、車両27が位置Aから順にB,C,D,Eと右旋回しながら障害物45の陰に移動する場合を示す。この角度センサ43は、姿勢方位の相対的な変化量でなく、操縦装置41の姿勢についての絶対方位を検出させる構成とすることもできる。
【0074】
なお、操縦者は、初めに位置Aの近くの位置Fに操縦装置41を携帯していき操縦を開始するが、車両27の移動とともに、障害物45の陰に車両27が隠れるため、途中で、操縦者は操縦装置41を携帯しながら位置Gまで移動する。このとき、操縦者の向きも車両27の方向に変わるため、操縦装置41が時計方向に回転されてしまうが、角度センサ43がその回転角度φを測定して、それを指令とともに車両27へ送る。車両27の制御装置では、送られた回転角度φを用いて、数式17〜数式20中のφを、それぞれ次の数式25〜数式28のように補正する。
【0075】
【数25】
x1=Vxc−W・dφ/dt・cos(φ−φ
【0076】
【数26】
y1=Vyc−W・dφ/dt・sin(φ−φ
【0077】
【数27】
x2=Vxc+W・dφ/dt・cosφ(φ−φ
【0078】
【数28】
y2=Vyc+W・dφ/dt・sinφ(φ−φ
【0079】
これらの数式により求められた値をそれぞれ駆動輪21,22に対する速度指令値とすることにより、操縦者の移動により操縦装置41の姿勢方位が変化しても、常にその位置における操縦装置41に対して操縦棒42の操作により入力された指令通りに、車両27の操縦が行われる。
なお、角度センサ43を備えた操縦装置41は、全方向移動車両以外にも、同様な走行機構を備えた移動ロボットの操縦装置にも適用可能である。
【0080】
次に、請求項11および請求項1の発明に係る第3の実施形態について説明する。図13は、第3の実施形態の全方向移動車両を構成する駆動ユニットの平面図であり、図14は図13の一部を破断して示した側面図である。両図において、51,52は操舵輪をかねた外径Dの駆動輪であり、この車軸53,54は互いに同一直線上となる位置で台車55に軸支されている。台車55にはアクチュエータであるモータ56,57が配設され、歯車65,66、歯車67,68を介して車軸53,54に接続されている。
【0081】
モータ56,57の他端には、それぞれエンコーダ58,59が付設されている。台車55の端部上面に、垂直な操舵軸61が立設され、その上端が車両本体62に軸受け63を介して軸支されている。操舵軸61は、車軸が同軸上すなわち平行に配設された駆動輪51,52の中間点から車軸と直角方向に距離sの位置に設けられている。これら台車55に設置された各部品により駆動ユニットが構成される。操舵軸61の上端にはエンコーダ64が設置され、操舵軸61の回転角度すなわち駆動ユニットの操舵角度が検出される。
【0082】
図15は、図13,図14における駆動ユニットの動作原理を示した説明図である。図は、駆動ユニットを上方からみた平面図であり、図中のG,Gは駆動輪51,52の接地点であり、Mは操舵軸61の回転中心であり、G,Gの中点Oと回転中心Mとの距離がオフセット距離sとなる。ここで、モータ56,57を駆動して、外径Dの駆動輪51,52を角速度ω,ωで回転駆動させると、その接地点G,Gの中点Oには、並進速度と回転角速度が発生する。ここで発生する並進速度Vおよび回転角速度dψ/dtは、二輪速度差駆動方式車両において公知である次の運動式により求められる。
【0083】
【数29】
Figure 0003560403
【0084】
【数30】
Figure 0003560403
【0085】
このとき、操舵軸61の回転中心Mにおいて、駆動ユニット前方向に速度Vが、駆動ユニット横方向に速度Vが発生する。これらはそれぞれ次式により求められる。
【0086】
【数31】
Figure 0003560403
【0087】
【数32】
Figure 0003560403
【0088】
これら速度V、速度Vは、回転中心Mにおいて合成されて、台車55から操舵軸61を介して車両本体62を移動させる速度Vとなり、その方向は駆動ユニットに対して角度αの方向となる。ここで、速度V、速度Vは、次式により表される。
【0089】
【数33】
Figure 0003560403
【0090】
【数34】
Figure 0003560403
【0091】
これらのことから、駆動輪51,52の角速度ω,ωの比が一定となるように、モータ56,57の回転を制御することで、操舵軸Mを所定の方向に移動させることが可能になる。なお、上記の関係式は、台車55が回転を開始した瞬間に成立するが、次の瞬間は駆動輪51,52の方向が変わるため関係式が不成立となる。しかし、エンコーダ64で、変化する台車55の方向を常時検出して、次の式により、駆動輪51,52の角速度ω,ωを補正することで、操舵軸Mを所定方向へ連続して移動させることが可能となる。
【0092】
【数35】
Figure 0003560403
【0093】
【数36】
Figure 0003560403
【0094】
図16は、図15における操舵軸Mを所定の軌道上を移動させる場合の制御方法を示す説明図である。図において、Kは目標とする軌道であり、軌道K上の操舵軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角度をθとし、台車55と座標軸Xとの角度をφとするとき、操舵軸Mに発生する各速度成分V,Vは、次式により求められる。
【0095】
【数37】
=V・cos(φ−θ)
【0096】
【数38】
=V・sin(φ−θ)
【0097】
すなわち、あらかじめ、移動速度Vを定めておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φを検出するとともに、図示しないセンサにより角度θを検出することで、各軸ごとの速度成分V,Vが求められる。これらの速度が得られるように、駆動輪51,52の角速度ω,ωを、数式35,36により算出して制御することで操舵軸Mが目標とする軌道K上を移動することができる。なお、軌道Kについての座標データとして、X軸、Y軸の速度成分が時系列的に与えられると、そのX軸、Y軸の速度成分V,Vを用いて、次式により各軸ごとの速度成分V,Vを求めることができる。
【0098】
【数39】
Figure 0003560403
【0099】
【数40】
Figure 0003560403
【0100】
図17は、第3の実施形態の車両全体を示す斜視図であり、図13、図14に示した駆動ユニットが左右に設置されている。図中の71,72は従動輪である。図示例は2個の駆動ユニットにより構成されているが、3個以上の駆動ユニットにより構成することも可能である。
なお、この第3の実施形態についても、第2の実施形態と同様に従動輪71,72にロック手段を設けて、全方向移動制御モードと高速走行制御モードとを切り換えて走行させることが可能である。
【0101】
次に、請求項1の発明に係る第4の実施形態について説明する。図18は、第4の実施形態の全方向移動車両を構成する駆動ユニットの平面図であり、図19は図18の一部を破断して示した側面図である。両図において、81,82は操舵輪をかねた外径Dの駆動輪であり、この車軸83,84は互いに同一直線上となる位置で台車85に軸支されている。台車85にはアクチュエータであるモータ86,87が配設され、歯車95,96、歯車97,98を介して車軸83,84に接続されている。
【0102】
モータ86,87の他端にはそれぞれエンコーダ88,89が付設されている。台車85の端部上面に、垂直な操舵軸91が立設され、その上端が車両本体92に軸受け93を介して軸支されている。車両本体92にはアクチュエータであるモータ94が配設され、歯車111,112を介して操舵軸91に接続されている。モータ94の他端にはエンコーダ113が接続されて操舵軸91の回転角度が検出される。操舵軸91は、車軸が同軸上すなわち平行に配設された駆動輪81,82の中間点から車軸と直角方向に距離sの位置に設けられている。これら台車85に設置された各部品により駆動ユニットが構成される。
【0103】
図20は、図18、図19における駆動ユニットの動作原理を示した説明図である。図は、駆動ユニットを上方からみた平面図であり、図中のG,Gは駆動輪81,82の接地点であり、Mは操舵軸91の回転中心であり、G,Gの中点Oと回転中心Mとの距離がオフセット距離sとなる。ここで、モータ86,87を駆動して、外径Dの駆動輪81,82を角速度ω,ωで回転駆動させると、その接地点G,Gの中点Oには、並進速度と回転角速度が発生する。ここで発生する並進速度Vおよび回転角速度ψは、二輪速度差駆動方式車両において公知である次の式により求められる。
【0104】
【数41】
Figure 0003560403
【0105】
【数42】
Figure 0003560403
【0106】
このとき、操舵軸91の回転中心Mにおいて、駆動ユニット前方向に速度Vが、駆動ユニット横方向に速度Vが発生する。これらはそれぞれ次式により求められる。
【0107】
【数43】
Figure 0003560403
【0108】
【数44】
Figure 0003560403
【0109】
これらの速度V,Vは、回転中心Mにおいて合成されて、台車85から操舵軸91を介して車両本体92を移動させる速度Vとなり、その方向は、駆動ユニットに対して角度αの方向となる。ここで、速度V、速度Vは、次式により表される。
【0110】
【数45】
Figure 0003560403
【0111】
【数46】
Figure 0003560403
【0112】
さらに、モータ94を駆動して、操舵軸91を角速度ωで回転駆動させると、車両本体92は、操舵軸91の中心点Mを中心として次式に示す角速度dψ/dtで回転する。
【0113】
【数47】
dψ/dt=ω+dψ/dt
【0114】
これらのことから、駆動輪81,82の角速度ω,ωの比が一定となるように、モータ86,87の回転を制御することで、操舵軸Mを所定の方向に移動させ、台車85の回転角速度dψ/dtを補正するような操舵軸91の角速度ωを発生するようにモータ94の回転を制御することで、車両本体を回転することが可能となる。
【0115】
なお、数式45、数式46の関係式は、台車85が回転を開始した瞬間に成立するが、次の瞬間は駆動輪81,82の方向が変わるため関係式が不成立となる。しかし、エンコーダ113で、変化する台車85の方向を常時検出して、次の式により、駆動輪81,82の角速度ω,ωを補正することで操舵軸Mを所定の方向へ連続して移動させることが可能となる。
【0116】
【数48】
Figure 0003560403
【0117】
【数49】
Figure 0003560403
【0118】
図21は、図20における操舵軸Mを所定の軌道上に移動させ、車両本体92を回転させる場合の制御方法を示す説明図である。図において、Kは目標とする軌道であり、また、軌道K上の各点において、車両本体の目標姿勢φが与えられている。軌道K上の操舵軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角度をθ、台車85と座標軸Xとの角度をφとし、ここでの車両本体92の目標姿勢をφ とするとき、操舵軸Mに発生する各速度成分V,V、車両本体92の回転角度φは次式により求められる。
【0119】
【数50】
=V・cos(φ −θ)
【0120】
【数51】
=V・sin(φ −θ)
【0121】
【数52】
ω=d/dt(φ−θ)
【0122】
すなわち、あらかじめ、移動速度V、姿勢方位φを定めておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φ を検出するとともに、図示しないセンサにより角度θを検出することで、各軸ごとの速度成分V,V、回転角速度ωが求められる。V,Vの速度が得られるように、駆動輪81,82の角速度ω,ωを、数式48,49により算出して制御することで操舵軸Mが目標とする軌道K上を移動することができ、操舵軸の回転角速度ωを制御することで車両本体92が目標とする姿勢方位を向くことができる。なお、軌道Kについての座標データとして、X軸、Y軸の速度成分が時系列的に与えられると、そのX軸、Y軸の速度成分V,Vを用いて、次式により各軸ごとの速度成分V,Vを求めることができる。
【0123】
【数53】
Figure 0003560403
【0124】
【数54】
Figure 0003560403
【0125】
図22は、第4の実施形態の車両全体を示す外観図であり、図23は図22の底面図である。図18、図19に示した駆動ユニットが車両本体92の中央に1個設置されている。図中の121は従動輪である。図示例は1個の駆動ユニットにより構成されているが、2個以上の駆動ユニットにより構成することも可能である。
なお、この第4の実施形態についても、第2、第3の実施形態と同様に従動輪121のいづれかの2つのロック手段を設けて、全方向移動制御モードと高速走行制御モードとを切り換えて走行させることが可能である。
【0126】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1から請求項の発明によれば、操舵輪をかねた駆動輪の操舵軸をその駆動輪の接地位置から駆動輪の進行方向に離間した位置で軸受け部により車両本体に支持し、駆動輪および操舵軸を各アクチュエータによりそれぞれ回転駆動して車両を前後、左右方向の並進移動および旋回する構成としたことにより、制御駆動部が2個ですみ駆動機構が簡単で小型・軽量になる。また、車輪として空気圧式タイヤの装着が可能となるため充分な耐荷重強度が得られ、同時に、走行中車輪に発生する振動が車両に伝わることが防止される。
【0127】
請求項から請求項10の発明によれば、従動輪の操舵軸をロックして走行させることにより高速走行が安定するとともに、遠隔操縦装置を用いることにより、操縦者が乗車または降車したどちらの状態でも、同一の操作感覚で車両を操縦することができるる。
【0128】
請求項11および請求項1の発明によれば、互いの車軸が同一直線上に配設されるとともに、台車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動輪と、両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、両駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形成されて両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で、操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部とから構成された駆動ユニットを車両本体に2個以上設置して、請求項1から請求項3の発明と同様に、比較的簡単な構成で車両の前後、左右方向の並進移動および旋回を可能にする
【0129】
請求項1の発明によれば、互いの車軸が同一直線上に配設されるとともに、台車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動輪と、両駆動輪を回転駆動する2つのアクチュエータと、両駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で、操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、により構成される駆動ユニットを車両本体に1個以上設置して、請求項1から請求項3の発明と同様に、車両の前後、左右方向の並進移動および旋回を可能にしたことにより、アクチュエータが3個ですみ、駆動機構がより簡単で小型、軽量になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜4の発明に係る第1の実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を破断して示した側面図である。
【図3】第1の実施形態における駆動輪の動作原理を示す説明図である。
【図4】第1の実施形態における操舵軸の制御方法を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態の車両全体を示す斜視図である。
【図6】第1の実施形態における車両の制御方法を示す説明図である。
【図7】請求項5〜11の発明に係る第2の実施形態の外観図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】第2の実施形態の操縦例を示す説明図である。
【図10】第2の実施形態の操縦例を示す説明図である。
【図11】第2の実施形態の操縦例を示す説明図である。
【図12】第2の実施形態の操縦例を示す説明図である。
【図13】請求項12〜15の発明に係る第3の実施形態の要部の平面図である。
【図14】図13の一部を破断して示した側面図である。
【図15】第3の実施形態における動作原理を示す説明図である。
【図16】第3の実施形態における動作原理を示す説明図である。
【図17】第3の実施形態の車両全体を示す斜視図である。
【図18】請求項16〜18の発明に係る第4の実施形態の要部の平面図である。
【図19】図18の一部を破断して示した側面図である。
【図20】第4の実施形態における動作原理を示す説明図である。
【図21】図20における操舵軸Mの制御方法を示す説明図である。
【図22】第4の実施形態の車両の全体を示す外観図である。
【図23】図22の底面図である。
【符号の説明】
1 駆動輪
2 車軸
3 脚
4 減速機
5 モータ
6 エンコーダ
7 車両本体
8 軸受け
9,11 歯車
12 モータ
13 出力軸
14 エンコーダ
15 従動輪
21,22 駆動輪
23,24 脚
25,26 モータ
27 車両本体
28,29 モータ
31,32 脚
33,34 従動輪
35,36 ブレーキ
37 壁面
38 凹部
41 操縦装置
42 操縦棒
43 角度センサ
45 障害物
51,52 駆動輪
53,54 車軸
55 台車
56,57 モータ
58,59 エンコーダ
61 操舵軸
62 車両本体
63 軸受け
64 エンコーダ
65〜68 歯車
71,72 従動輪

Claims (13)

  1. 操舵輪をかねた駆動輪と、
    駆動輪を回転駆動するアクチュエータと、
    駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、
    車両本体に形成されて、駆動輪の接地位置から駆動輪の進行方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
    操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、
    駆動輪の回転角速度と操舵軸の回転角速度との比が姿勢方位に応じた値となるようにして上記2つのアクチュエータを駆動する制御装置と、
    により構成される駆動ユニットを備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  2. 請求項1記載の全方向移動車両において、
    駆動輪、操舵軸、軸受け部、2つのアクチュエータおよび制御装置からなる駆動ユニットを2個以上備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  3. 請求項2記載の全方向移動車両において、
    車両本体の車両位置を検出するセンサと、
    車両本体の車両姿勢方位を検出するセンサと、
    各操舵軸の操舵軸角度を検出するセンサと、
    各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操舵軸角度と車両の移動目標軌道とから駆動ユニットごとに、駆動輪と操舵軸の回転角速度比を算出する演算手段と、
    を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  4. 請求項2または請求項3記載の全方向移動車両において、
    車両本体に軸支された操舵軸により旋回自在に支持される従動輪と、
    この従動輪の操舵軸をロックする操舵軸ロック手段と、
    を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  5. 請求項2〜請求項4の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
    操縦者により入力された前後移動、横移動、旋回の指令を車両本体へ送信する遠隔操縦装置と、
    車両本体に搭載されて遠隔操縦装置からの指令を受信する受信装置と、
    を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  6. 請求項5記載の全方向移動車両において、
    遠隔操縦装置を車両本体に搭載した状態で操作する場合と車両本体とは別体の離れた状態で操作する場合とで制御装置の演算を切り換える切換スイッチを備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  7. 請求項5または請求項6記載の全方向移動車両において、
    遠隔操縦装置内に設置されて遠隔操縦装置の水平面上での姿勢方位を検出するセンサと、
    センサが検出した姿勢方位にもとづいて入力された指令を補正する手段と、
    を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  8. 請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
    従動輪の進行方向を車両進行方向と一致させた状態で従動輪の操舵軸をロックした後、駆動ユニットの駆動輪の操舵軸の操舵角度により車両の進行方向を制御し、駆動輪の回転速度により車両速度を制御することを特徴とする全方向移動車両の制御方法。
  9. 請求項4〜請求項7の何れか1項に記載の全方向移動車両において、
    請求項8記載の全方向移動車両の制御方法を高速走行制御モードにおける運転方法とするとともに、ロック手段が解除された状態での運転を全方向走行制御モードとして、両制御モードを切り換えながら走行制御することを特徴とする全方向移動車両の制御方法。
  10. 請求項9記載の全方向移動車両の制御方法において、
    全方向走行制御モードから高速走行制御モードに切り換える際に、全方向走行制御モードで前方向直進をさせ駆動輪および従動輪の操舵角が車両本体に対して一定角度範囲内に達したことを制御モード切換条件とすることを特徴とする全方向移動車両の制御方法。
  11. 操舵輪をかねる一対の駆動輪と、
    駆動輪の互いの車軸が同一直線上で軸支された台車と、
    台車上に配設されて両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、
    台車を支持する操舵軸と、
    車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
    一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるように両アクチュエータを駆動する制御装置と、
    からなる駆動ユニットを2個以上備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  12. 請求項11記載の全方向移動車両において、
    車両本体の車両位置を検出するセンサと、
    車両本体の車両姿勢方位を検出するセンサと、
    各駆動ユニットの操舵角度を検出するセンサと、
    各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操舵角度と車両の移動目標軌道とから各駆動ユニットごとに、駆動輪の角速度比を算出する演算手段と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  13. 操舵輪をかねる一対の駆動輪と、
    駆動輪の互いの車軸が同一直線上で軸支された台車と、
    台車上に配設されて両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、
    台車を支持する操舵軸と、
    車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点から駆動輪の進行方向と略平行な方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け部と、
    操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、
    一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるように、一対の駆動輪用アクチュエータを駆動するとともに、車両の姿勢方位を変化させるように操舵軸用アクチュエータを駆動する制御装置と、
    により構成される駆動ユニットを1個以上備えたことを特徴とする全方向移動車両。
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