JPH08300960A - 全方向移動車及びそのステアリング制御方法 - Google Patents

全方向移動車及びそのステアリング制御方法

Info

Publication number
JPH08300960A
JPH08300960A JP13593395A JP13593395A JPH08300960A JP H08300960 A JPH08300960 A JP H08300960A JP 13593395 A JP13593395 A JP 13593395A JP 13593395 A JP13593395 A JP 13593395A JP H08300960 A JPH08300960 A JP H08300960A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheel
vehicle body
steering shaft
wheels
steering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP13593395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3294471B2 (ja
Inventor
Eiji Nakano
野 栄 二 中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP13593395A priority Critical patent/JP3294471B2/ja
Publication of JPH08300960A publication Critical patent/JPH08300960A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3294471B2 publication Critical patent/JP3294471B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 全方向移動車における駆動輪の車輪駆動とス
テアリング動作を単一のモータに行わせることにより、
モータ数の減少と低価格化、機構の簡素化と軽量化、モ
ジュール化などの優れた特性を持たせる。 【構成】 車体1に固定するための支持板2にステアリ
ング軸3を回転可能に支持させる。このステアリング軸
上の車輪支持部材13に、車輪駆動モータ7を支持させ
ると共に、そのモータ7により駆動される車輪軸5に、
ステアリング軸3の回転の軸線から偏寄した位置におい
て接地する車輪6を取付ける。また、上記支持板2とス
テアリング軸3との間にクラッチ4を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無人搬送ロボット、コ
ンピュータ制御の車両等として利用されるところの駆動
輪に特徴のある全方向移動車、及びその全方向移動車の
ステアリング制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本発明者は、先に特開昭56−1314
62号(特公昭62−33989号)公報、特開昭61
−169329号(特公平1−34166号)公報など
によって全方向移動車用操舵制御装置を提案している。
上記既提案の操舵制御装置は、いずれも、比較的簡単な
機構により、全方向移動車に要求される3モード、即
ち、車体の向きを変えることなく全車輪を同一方向に向
けて任意の方向へ走行できるようにした全方向モード、
通常の自動車と同様に後輪を直進方向に向けて固定し、
前輪を同一方向に向けて任意に操舵できるようにした自
動車モード、及び各車輪軸を車体の中心に向けて固定
し、車体をその中心のまわりに回転させるようにした回
転モードに切り換え可能に構成したものである。
【0003】しかしながら、このような既提案の装置を
含む従来の全方向移動車においては、一般に、動輪を駆
動するモータとステアリング軸を駆動するモータを個別
的に備えるなど、多数のアクチュエータを必要とし、し
かも、複数の動輪やステアリング軸をそれぞれ単一のモ
ータで駆動する場合には、モータとそれら動輪や軸との
間に回転軸やクラッチ、これらを保持する保持板と軸
受、回転の伝達方向を変える傘歯車、さらには旋回時の
動輪の内外輪差を解消するための差動歯車などの動力伝
達装置を必要とするため、それらが車体に沿って複雑に
取付けられて、現実的には動力伝達機構が非常に複雑化
し、移動車の設計やメンテナンスが困難になるばかりで
なく、移動車が大型化し、必要以上に高価になるという
問題があった。
【0004】また、以上の問題を避けるために、全方向
移動用の駆動輪をモジュール化しようとすると、一つの
駆動輪に付き必ず2個のモータを必要とし、2駆動輪で
も4個、4駆動輪では8個もモータが必要となるため、
価格や重量、寸法などの増加の問題が新たに生じてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の技術的課題
は、全方向移動車における駆動輪の車輪駆動とステアリ
ング動作を単一のモータに行わせることにより、モータ
数の減少と低価格化、機構の簡素化と軽量化、モジュー
ル化などの優れた特性を持たせることができるようにし
た全方向移動車を提供するものである。また、近年、高
性能なコンピュータが安価に入手可能になると同時に、
その利用技術が開発されたことから、複雑な機構を用い
るよりも、コンピュータ制御により機構を単純化するこ
とが有利になってきている。本発明の技術的課題は、上
記全方向移動車の駆動輪に設けた回転角度検出器の出力
等に基づく制御により、簡単で円滑なステアリング制御
を実現できるようにした全方向移動車のステアリング制
御方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の第1の全方向移動車は、車体に固定するため
の支持板にステアリング軸を回転可能に支持させ、この
ステアリング軸上の車輪支持部材に車輪駆動モータを支
持させると共に、そのモータにより駆動される車輪軸
に、ステアリング軸の回転の軸線から偏寄した位置にお
いて接地する車輪を取付け、上記支持板とステアリング
軸との間にクラッチを設け、これにより車体に対して取
り付ける駆動輪を構成したことを特徴とするものであ
る。
【0007】また、本発明の第2の全方向移動車は、車
体に固定するための支持板にステアリング軸を回転不能
に支持させ、このステアリング軸に回転自在に取付けた
車輪支持部材に車輪駆動モータを支持させると共に、そ
のモータにより駆動される車輪軸に、ステアリング軸の
回転の軸線から偏寄した位置において接地する車輪を取
付け、上記車輪支持部材とステアリング軸との間に、ス
テアリング軸のまわりに位置する歯車を介して連結され
たクラッチを設け、これにより車体に対して取付ける駆
動輪を構成したことを特徴とするものである。
【0008】さらに、上記全方向移動車を用いてステア
リング制御を行うための本発明の方法は、上記全方向移
動車に車体に対して推進力を与えるための少なくとも一
つの駆動輪を具備させ、クラッチを開の状態にして車体
を移動させつつ、車体の速度と車輪の回転による車輪移
動速度とを等しくして直進移動させ、車体の速度に対し
て車輪の回転による車輪移動速度を変えることによりス
テアリング角度を制御することを特徴とするものであ
る。
【0009】
【作用】上記全方向移動車における駆動輪は、それがモ
ジュール化されるため、適宜全方向移動車の車体に取付
けて使用できるもので、全方向移動車における駆動輪の
車輪駆動とステアリング動作を単一のモータに行わせる
が、車輪駆動モータ及びクラッチを制御することによ
り、車輪を所要の方向に向けて所要の走行を行わせるこ
とができ、モータ数の減少と低価格化、機構の著しい簡
素化と軽量化が図られる。また、上記全方向移動車にお
いてステアリング制御を行うには、クラッチを開の状態
にして車体を移動させつつ、車体の速度と車輪の回転に
よる車輪移動速度とを等しくして直進移動させ、さらに
車体の速度に対して車輪の回転による車輪移動速度を変
えることによりステアリング角度を制御することがで
き、これにより簡単で円滑なステアリング制御を実現す
ることができる。
【0010】
【実施例】図1は、本発明の第1実施例に係る全方向移
動車の駆動輪の基本構成を模式的に示すものである。こ
の駆動輪は、車体1に対してボルト等により固設される
支持板2に、その全てを装備することによりモジュール
化したものである。即ち、上記支持板2には、実質的に
鉛直に配置されたステアリング軸3を軸受12により回
転可能に支持させ、支持板2側に固定クラッチ板4aを
設けると共に、ステアリング軸3に同軸と共に回転する
が軸方向には摺動可能な可動クラッチ板4bを設け、こ
れらによって形成されるクラッチ4により、ステアリン
グ軸3を支持板2に対して回転または固定状態に保持で
きるように支持させている。このクラッチ4は、電気信
号により回転力の伝達を通断できるものである。
【0011】また、このステアリング軸3の下部に一体
的に設けた車輪支持部材13には、軸受14,15によ
り水平の車輪軸5を回転自在に支持させ、更にその車輪
支持部材13には、上記車輪軸5を介して車輪6を回転
駆動する車輪駆動モータ7を取付けている。車輪6と車
輪駆動モータ7の間には、駆動力を伝達する減速歯車な
どが配置されるのが普通であるが、同図ではこれを省略
している。上記車輪軸5に取付けた車輪6は、ステアリ
ング軸3自体の回転の軸線から側方に偏寄した位置にお
いて接地するように配置されたものであり、その車輪軸
5には歯車8aを固定し、この歯車8aと噛合する歯車
8bを介して車輪6の回転角度または回転速度を検出す
るロータリーエンコーダ等の回転角度検出器9を、上記
車輪支持部材13に取付けている。一方、上記ステアリ
ング軸3の上端には歯車10aを設け、それを支持板2
上に設けたロータリーエンコーダ等の回転角度検出器1
1の入力軸に取付けた歯車10bと噛合させている。な
お、上記検出器9,11は、車輪6の回転角度や回転速
度、あるいはステアリング軸3の回転角度を、それぞれ
歯車を介して検出するようにしているが、歯車以外の適
宜手段によって回転を伝達するように構成してもよい。
【0012】上記構成を有するモジュール化した駆動輪
は、次のように動作する。例えば、クラッチ4を閉じた
状態にし、ステアリング軸3がその中心軸線の周りで回
転せずに、支持板2に対して固定された状態で、車輪駆
動モータ7を駆動すると、車体1は車輪6の向く方向に
駆動力を受ける。また、逆に、クラッチ4を開いた状態
にし、ステアリング軸3が回転可能であるときには、車
輪駆動モータ7の駆動によって、ステアリング軸がその
下部に設けた車輪6や車輪駆動モータ7等と共に中心軸
線の周りに回転する。このような動作を行うモジュール
化された駆動輪は、例えば、4輪の全方向移動車におけ
る対角2輪として設置し、他の対角2輪をキャスタとす
る構成のものとして使用することもできるが、車両の3
輪または4輪をすべて上記駆動輪モジュールによって構
成することによっても、様々な移動モードを形成するこ
とが可能となる。
【0013】図2に、上記全方向移動用駆動輪を4個設
置したときの車両の基本移動モードを示す。同図(a)
に示すように、車両の4輪の車輪軸の延長線がすべてあ
る一点(旋回中心点)Cを通るように各モジュールにお
けるステアリング軸3の角度を制御し、クラッチ4を閉
じると、車輪駆動モータ7の駆動により、車体1はこの
点Cを中心として旋回するように移動する。これを旋回
モードと呼ぶ。また、同図(c)のように全モジュール
におけるステアリング軸3を同一角度にしてクラッチ4
を閉じると、車体1はその方向に移動する。これを直進
モードと呼ぶ。さらに、同図(d)に示すように、全モ
ジュールにおける車輪6の軸線が車体の中央点Oを通る
角度になるようにすると、車体1は、その中央点Oを中
心とするその場回転を行う。これを回転モードと呼ぶ。
なお、同図(b)に示すように、後ろ2輪を前方への直
線移動方向に固定し、前2輪の旋回中心Cをこの後ろ2
輪の車輪軸線上にとると、一般の自動車のような移動を
する。これを自動車モードと呼ぶが、この自動車モード
は、上記旋回モードの特別な場合と考えられる。さら
に、図2(a)の旋回モードにおいて、車体中央点Oと
旋回中心点Cとの距離をρとすると、同図(d)の回転
モードはρ=0の場合と考えられ、また同図(c)の直
線モードはρ=∞の場合と考えられる。
【0014】図3は、図1に示す基本構成の駆動輪モジ
ュールの小型化を図った第2実施例の構成を示すもので
ある。同図の実施例において、ステアリング軸23は、
車体に固定するための上下の支持板22a,22bに回
転不能に支持させ、車輪駆動モータ27とクラッチ24
は、共にステアリング軸23に回転自在に取付けた車輪
支持部材33に支持させ、そのモータ27により駆動さ
れる車輪軸25に、ステアリング軸23の回転の軸線か
ら偏寄した位置において接地する車輪26を取付け、さ
らに、ステアリング軸23とクラッチ24は、ステアリ
ング軸23のまわりに位置する同軸に固定の平歯車35
及びそれと噛合するクラッチ24の平歯車36を介して
駆動力が伝達されるように連結されている。
【0015】上記支持板22は、このモジュールを構成
する構造板であっても、また設計の都合で車両本体の一
部分であっても、同様の機能を発揮させることができ
る。また、車輪26及びステアリング軸23には、それ
ぞれの回転角度や回転速度を検出するためのロータリー
エンコーダなどの回転角度検出器が配置されるが、同図
ではこれらを省略している。なお、この実施例では、ス
テアリング軸23を上下の支持板22a,22bに回転
不能に支持させ、車輪支持部材33をステアリング軸2
3に回転自在に取付けているが、ステアリング軸23を
上下の支持板22a,22bに回転自在に支持させ、車
輪支持部材33をステアリング軸23に回転不能に固定
することができる。この場合に、平歯車35はステアリ
ング軸23に対しては回転自在で、支持板22aに固定
的に設ける必要がある。
【0016】図1の第1実施例に比べてこの図3の第2
実施例の構成がもつメリットは、次の3点である。 (a)第1実施例のようにクラッチ4をステアリング軸
3に直接設置する場合よりも、第2実施例では駆動輪モ
ジュールの厚さ(高さ)が小さくなり、駆動輪モジュー
ルの小型化が図られると共に、モジュールを構成要素と
して含む車体の設計が容易となる。 (b)ステアリング軸23に設置された歯車35の直径
に対して、クラッチの軸に設置された歯車36の径を小
さくとることにより、クラッチの制動力が増幅されるこ
とになるため、小型のクラッチで済ますことが可能とな
り、モジュールの小型化が図られる。
【0017】(c)後述するが、図1または図3の駆動
輪を備えた全方向移動車では、走行中にクラッチを開い
た状態でも、ステアリング角度を制御することが可能で
あることが、実験で確かめられている。このような車両
が移動中にクラッチが開とされた状態では、車輪が小さ
い障害物を踏んだときなどに車輪は障害物から反力を受
けるため、駆動輪モジュールに振動が生じる恐れがあ
り、極力この振動を抑える必要がある。このとき、図3
に示す第2実施例の構成は、ステアリング軸23から離
れた位置にモータ27やクラッチ24を配置することに
なるため、ステアリング軸まわりの慣性モーメントの増
大が図られ、明らかに上記振動の抑止効果がある。
【0018】また、図4に示す第3実施例の駆動輪は、
図3の第2実施例と基本的に同じ構成を有しているが、
実験のために試作したものであり、その構成を水平断面
によって示している。同図の車輪駆動モータ47は、減
速歯車57a,57bと減速歯車58a,58bを介し
て車輪46を駆動するように連結され、この車輪46は
車輪軸45を支持する軸受(図示省略)により、ステア
リング軸43の回転の軸線から偏寄した位置において接
地するようにして回転可能に支持され、その軸受及び上
記車輪駆動モータ47は下方の車輪支持部材53に固定
されている。この車輪支持部材53は、車体に固定する
ための支持板に固定支持されたステアリング軸43に回
転自在に取付けられ、さらに、このステアリング軸43
にはそれと同軸に歯車55が固設され、この歯車55
は、歯車56を介して車輪支持部材53に設けられたク
ラッチ44に接続すると共に、歯車50を介してステア
リング軸の回転角度を検出するロータリーエンコーダ等
の回転角度検出器51に接続している。一方、車輪46
の回転角度は、車輪駆動モータ47に設置されたロータ
リーエンコーダ等の回転角度検出器49により計測する
ようにしている。
【0019】この実施例では、歯車55から歯車56へ
の減速比を大きくとることにより、小型のクラッチでモ
ジュールのステアリング軸まわりの回転を停止するのに
十分な力を発生させ得ると共に、ステアリング角度の停
止精度を高くすることができる。また、重量の大きい車
輪駆動モータ47をステアリング軸43から離れた位置
に配置できるので、ステアリング軸まわりの慣性モーメ
ントの増大が図られ、クラッチ44を開いた状態で走行
しても、車輪が障害物から受ける反力により振動したり
するのを抑制することができる。
【0020】図5は、上記構成を有する駆動輪モジュー
ル60の4個を用いて構成した全方向移動車の構成を示
している。この全方向移動車における駆動輪モジュール
60は、図6によって以下に説明するサスペンション機
構を介して、車体61に駆動輪モジュールの支持板を固
定している。なお、図5において、63aは車輪駆動モ
ータのための電源電池、63bは電子回路用電池、64
a,64bは電池積載板、65a,65bは重い電池を
メンテナンスするときにそれらの電池を電池積載板64
a,64bごと引き出すためのホルダー、66a,66
bはコンピュータ及び電子回路の基板である。
【0021】図6は、上記駆動輪モジュール60を有効
に作動させるのに適したサスペンション機構を示してい
る。同図において、図示を省略した駆動輪モジュール6
0は、その支持板が固定される接続部材70、その接続
部材70が取付けられるサスペンション保持板71、そ
のサスペンション保持板71を保持して上下方向に平行
移動させる一対の平行リンク機構72,72を介して、
車体61に接続される。上記サスペンション保持板71
は、それに固定されたばね台73の上にスペーサー74
を介して下ばね台座75を配設し、この下ばね台座75
と車体61に固定した上ばね台座76との間に、内ばね
77及び外ばね78を保持させている。この外ばね78
は、車体61とスペーサー74との間で常に圧縮される
状態に介装し、そのため、サスペンション保持板71は
常にストッパー79の耳板部に係合させた状態となって
いる。一方、内ばね77は、外ばね78が一定以上圧縮
されたときにばね台座75,76間で圧縮されるように
して介装している。
【0022】これら内ばね77、外ばね78及び平行リ
ンク機構72等からなるサスペンション機構は、車体6
1に対する車輪の柔軟な上下揺動のために機能するもの
であり、以下にその働きについて説明する。通常、外ば
ね78は車体61とスペーサー74の間に圧縮された状
態で保持されているため、サスペンション保持板71の
上縁は常にストッパー79の耳板部に押し当てられた状
態となっている。これが車体とサスペンション保持板7
1との間の最大のすき間である。但し、走行時には通常
外ばね78がもう少し圧縮された状態にある。
【0023】車体が重くなると外ばね78が圧縮され、
遂には上ばね台座76が内ばね77の上端に接触する状
態となる。これ以上の圧縮は、外ばね78と内ばね77
とのばね係数の和をばね係数とする複合ばね機構で車輪
が支持される。さらに、もっと重い重量や強い衝撃力を
受けたときには、二つのばね77,78がより圧縮さ
れ、遂には下ばね台座75の縁と上ばね台座76の縁と
が接触する。これがこのサスペンション機構の圧縮の限
界となる。通常は、外ばね78のばね係数k1 より内ば
ね77のばね係数k2 の方を大きくしておくことによ
り、車体が軽い普通の状態の時は軟らかいサスペンショ
ンとして働き、そのため、走行面の少しの凸凹や車体の
振動によく追髄する。しかし、外ばねのみでは、車体に
重い積載物を搭載すると、たちまちばねが圧縮されてば
ね台座75,76が直接接触し、サスペンション機能が
働かなくなるが、上記両ばね77,78の使用により、
外ばね78の圧縮時にもっとばね剛性の高い内ばね77
に接触するため、重い荷重の状態でもサスペンション機
能を働かせることができる。
【0024】すなわち、このサスペンション機構は、小
さなスペースで軽荷重から重荷重まで対応させることが
でき、途中でばね係数が非線形に変化するサスペンショ
ン機構を形成することを可能とする機構である。なお、
スペーサー74は内ばねが働くまでのすき間を簡単に調
整することを可能としている。
【0025】以上のような機構を持つ全方向移動車の駆
動制御は、主に次の二つの方法で行うことができる。 (a)移動中はクラッチを閉じた状態で移動する方法。 この方法の場合、ステアリング角度は固定となる。ま
た、移動モードも同一状態である。駆動制御の観点から
見ると、全方向移動車の移動モードには、図2に示した
ように、旋回モード(自動車モードも含む)、直進(斜
行、横行も含む)モード、回転モードの3種類の移動モ
ードがある。これらの移動モードを途中で変換したいと
きは、一旦車体の移動を停止し、クラッチを開の状態と
して車輪をステアリング軸のまわりで転回させ、モード
を変換した後、再びクラッチを閉じて、変換後の移動モ
ードで移動する。この方法は最も普通に行われ、多くの
動作要求に対して、この移動方法で対応可能である。
【0026】(b)移動中にクラッチを開いた状態で移
動する方法。 この方法は、高度な駆動輪の制御を必要とするが、自動
車モードにおいては、十分実用に耐える精度と即応性が
得られることが実験により確認されている。この方法を
以下に詳述する。
【0027】図7は、クラッチを開の状態にしたときの
制御方法の原理を説明するためのものである。同図に示
すように、車体1の速度をVO 、車輪6の回転による移
動速度をVW とする。図中、3はステアリング軸、5は
車輪軸、6は車輪である。いま、速度VW がVO より大
きいと、車輪6は車体1より速く移動しようとするた
め、車輪はステアリング軸3のまわりで回転して車体1
の前方へ移動する。逆に、速度VW がVO より小さい
と、車輪6は車体1より遅れ、ステアリング軸3のまわ
りを車体の後方へ移動する。したがって、速度VW とV
O が等しいと、車輪6は丁度車体1の側方に突き出した
形で車体に追従して移動する。1輪のみの特性を調べる
実験装置を用いて実験を行ったところ、制御方法を適切
にすることにより、クラッチを開いたままでも、ほとん
どステアリング軸が振れることなく、直進移動させるこ
とに成功している。また、前述のように、たとえ小さな
障害物を踏んでも、駆動輪自体にモータその他の機械要
素があり、慣性モーメントが働くため、ほとんど影響さ
れないことも、実験において確かめられている。
【0028】この原理を利用すると、図3や図4などに
示す単一のモータをもつ単純化された機構でも、あると
きはクラッチを閉じて駆動輪とし、またあるときはクラ
ッチを開いてステアリングを切る操舵輪とするような、
その場に応じての切り替えが可能となり、これまでの全
方向移動機構よりずっと簡単な機構でほぼ同等の機能を
与えられることとなる。ただし、クラッチ開の状態で
は、車体に対して推進力を与えられないため、このよう
なステアリング制御をするときは、図2(b)に示すよ
うな自動車モードにおいて、後ろ2輪を駆動輪とし、前
2輪をクラッチ開の状態で使用するのが普通であるが、
必ずしもこのときのみ使用可であるとは限らない。
【0029】このようなクラッチ開の状態での移動が可
能となると、たとえば自動車モードでS字カーブを描く
ような軌跡の移動も可能となる。図8は、実際に、実験
車により前2輪をクラッチ解放にした自動車モードでS
字を描かせた様子を示すもので、実線で示す目標軌道に
対して、点線で示すような実測軌道を描かせることがで
きた。この実験結果より、このクラッチ開状態での移動
は実用上の大きな問題がないものと考えられる。
【0030】なお、前述のように、ある車輪をクラッチ
開の状態で移動させるためには、他の車輪の中に、車体
に対して駆動力を与えるためのクラッチ閉の駆動輪が少
なくとも1輪は必要である。もし4輪を備えた移動車な
ら、実用的には2輪でクラッチ閉の走行を行うことが望
ましい。図9に示すように、4輪の内2輪をクラッチ閉
の駆動輪とする際の組合わせは、数種類考えられる。す
なわち、(1)同図(a)に示すように、通常の自動車
のように後ろ2輪の角度を固定して駆動輪6bとし、前
2輪を操舵輪6aとする方法、(2)フォークリフトに
見られるような、前2輪を角度固定して後ろ2輪でステ
アリングする方法、(3)同図(b)に示すように、対
角2輪を角度固定の駆動輪6bとし、他の2輪を操舵輪
6aとする方法、などである。さらに、状況に応じて走
行中にこれら固定2輪の選択を変えることも可能であ
る。もちろん、自動車モードは、前方と後方及び左右横
方向の4方向について可能であり、さらにそれぞれにつ
いて後輪固定または前輪固定のいずれをも選択すること
ができる。
【0031】上述した全方向移動車の駆動制御を行うた
めには、車輪の回転角度や回転速度あるいはステアリン
グ軸の回転角度等を、ロータリーエンコーダ等の回転角
度検出器を用いて検出し、車体が今どんな姿勢で、どん
な位置にあるか、ということをリアルタイムで知る必要
があり、特に、4輪を独立に操舵できる全方向移動車な
どでは、複雑な走行形態と走行軌跡をとり得るため、コ
ンピュータにおいて車体の姿勢や位置をリアルタイムで
知る必要がある。このための車体の運動学的動作の概要
は以下の通りである。
【0032】図10に、旋回モードのときの車体の運動
を表す座標系と記号を示す。同図において、O0 −X0
0 は絶対座標系、O−XYは車両に固定した座標系で
あり、また、 C : 旋回中心の座標、 O : 車両本体の中心の座標、 θ : 車両本体の姿勢角、 φ : 車両本体の総蛇角、 v : 旋回中心まわりの速度、 ρ : 旋回半径、 O0 : 絶対座標、 である。これらのパラメータの間には、以下の関係があ
り、これが旋回モードのときの車体の運動を表す式とな
る。
【0033】
【数1】
【0034】なお、他の直進モードに関しては、更に簡
単な式になるので、ここでは省略する。
【0035】
【発明の効果】以上に詳述した本発明によれば、全方向
移動車における駆動輪の車輪駆動とステアリング動作を
単一のモータに行わせることにより、モータ数の減少と
低価格化、機構の簡素化と軽量化、モジュール化などの
優れた特性を持たせることができ、また、その全方向移
動車の駆動輪の制御により、簡単で円滑なステアリング
制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る全方向移動車の駆動
輪の基本構成を模式的に示す側断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、上記全方向移動用駆動輪を
4個設置したときの車両の基本移動モードを示す説明図
である。
【図3】本発明の第2実施例の全方向移動車の駆動輪の
基本構成を模式的に示す側断面図である。
【図4】本発明の第3実施例の駆動輪の構成を示す水平
断面図である。
【図5】駆動輪モジュールの4個を用いた全方向移動車
の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】上記駆動輪モジュールに好適なサスペンション
機構の側断面図である。
【図7】クラッチを開の状態にしたときのステアリング
制御の原理を説明するための説明図である。
【図8】実験車により前2輪をクラッチ解放にした自動
車モードでS字を描かせた場合の走行軌道を示す線図で
ある。
【図9】(a)(b)は、4輪の内2輪をクラッチ閉の
駆動輪とする組合わせについて例示する説明図である。
【図10】旋回モードのときの車体の運動を表す座標系
と記号を示す説明図である。
【符号の説明】
1 車体 2 支持板 3,23,43 ステアリング軸 4,24,44 クラッチ 5,25,45 車輪軸 6,26,46 車輪 7,27,47 車輪駆動モータ 13,33,53 車輪支持部材 22a,22b 支持板 35,36,55,56 歯車

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車体に固定するための支持板にステアリン
    グ軸を回転可能に支持させ、このステアリング軸上の車
    輪支持部材に車輪駆動モータを支持させると共に、その
    モータにより駆動される車輪軸に、ステアリング軸の回
    転の軸線から偏寄した位置において接地する車輪を取付
    け、上記支持板とステアリング軸との間にクラッチを設
    け、 これにより車体に対して取り付ける駆動輪を構成した、
    ことを特徴とする全方向移動車。
  2. 【請求項2】車体に固定するための支持板にステアリン
    グ軸を回転不能に支持させ、このステアリング軸に回転
    自在に取付けた車輪支持部材に車輪駆動モータを支持さ
    せると共に、そのモータにより駆動される車輪軸に、ス
    テアリング軸の回転の軸線から偏寄した位置において接
    地する車輪を取付け、上記車輪支持部材とステアリング
    軸との間に、ステアリング軸のまわりに位置する歯車を
    介して連結されたクラッチを設け、 これにより車体に対して取付ける駆動輪を構成した、こ
    とを特徴とする全方向移動車。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の全方向移動車の
    ステアリング制御を行う方法であって、 上記全方向移動車には車体に対して推進力を与えるため
    の少なくとも一つの駆動輪を具備させ、 クラッチを開の状態にして車体を移動させつつ、車体の
    速度と車輪の回転による車輪移動速度とを等しくして直
    進移動させ、車体の速度に対して車輪の回転による車輪
    移動速度を変えることによりステアリング角度を制御す
    る、ことを特徴とする全方向移動車のステアリング制御
    方法。
JP13593395A 1995-05-09 1995-05-09 全方向移動車及びそのステアリング制御方法 Expired - Fee Related JP3294471B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13593395A JP3294471B2 (ja) 1995-05-09 1995-05-09 全方向移動車及びそのステアリング制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13593395A JP3294471B2 (ja) 1995-05-09 1995-05-09 全方向移動車及びそのステアリング制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08300960A true JPH08300960A (ja) 1996-11-19
JP3294471B2 JP3294471B2 (ja) 2002-06-24

Family

ID=15163247

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13593395A Expired - Fee Related JP3294471B2 (ja) 1995-05-09 1995-05-09 全方向移動車及びそのステアリング制御方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3294471B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010147100A1 (ja) * 2009-06-19 2010-12-23 国立大学法人豊橋技術科学大学 操舵可能な駆動機構および全方向移動車
CN103895502A (zh) * 2012-12-26 2014-07-02 徐维 汽车机械滑行减震减阻节能装置
CN106995000A (zh) * 2017-03-17 2017-08-01 安徽亿派通科技有限公司 四轮转向的四驱小车
CN108657265A (zh) * 2018-06-01 2018-10-16 杭叉集团股份有限公司 一种电动托盘车助力转向机构
KR102242194B1 (ko) * 2020-06-02 2021-04-20 한국생산기술연구원 전기-유압 구동 시스템이 적용된 제자리 회전용 텔레스코픽 실린더 타입의 조향 시스템과, 이를 포함하는 4륜 조향 액슬 및, 제자리 회전 구동방법

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010147100A1 (ja) * 2009-06-19 2010-12-23 国立大学法人豊橋技術科学大学 操舵可能な駆動機構および全方向移動車
US8590664B2 (en) 2009-06-19 2013-11-26 National University Corporation Toyohashi University Of Technology Steerable drive mechanism and omnidirectional moving vehicle
JP5376347B2 (ja) * 2009-06-19 2013-12-25 国立大学法人豊橋技術科学大学 操舵可能な駆動機構および全方向移動車
CN103895502A (zh) * 2012-12-26 2014-07-02 徐维 汽车机械滑行减震减阻节能装置
CN106995000A (zh) * 2017-03-17 2017-08-01 安徽亿派通科技有限公司 四轮转向的四驱小车
CN106995000B (zh) * 2017-03-17 2023-10-20 北京华酿科技有限公司 四轮转向的四驱小车
CN108657265A (zh) * 2018-06-01 2018-10-16 杭叉集团股份有限公司 一种电动托盘车助力转向机构
KR102242194B1 (ko) * 2020-06-02 2021-04-20 한국생산기술연구원 전기-유압 구동 시스템이 적용된 제자리 회전용 텔레스코픽 실린더 타입의 조향 시스템과, 이를 포함하는 4륜 조향 액슬 및, 제자리 회전 구동방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3294471B2 (ja) 2002-06-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5924512A (en) Omnidirectional vehicle and method of controlling the same
CN109466312B (zh) 一种全方位移动机器人及其车轮装置
CN110481673B (zh) 主被动差动混联支腿及六自由度调姿平台
KR20100032244A (ko) 모터를 이용한 4륜 구동 및 4륜 조향 방식의 전방향성 주행로봇 시스템
JP2007534510A (ja) 移動ロボット用のリンク型ダブルトラック機構
US6802381B1 (en) Propulsion mechanism having spherical ball
JP6837910B2 (ja) 全方向移動車両
JP3560403B2 (ja) 全方向移動車両およびその制御方法
JP2007145071A (ja) 車両用駆動輪構造
JP3294471B2 (ja) 全方向移動車及びそのステアリング制御方法
US20030178243A1 (en) Steering-shaft train
JP3093580B2 (ja) 全方向移動車の駆動伝達機構
EP1795433B1 (en) A steering system for a vehicle
US8967303B2 (en) Movable system
CN112606897A (zh) 一种全向移动自动引导agv小车
JP7078475B2 (ja) 飛行作業体
JP2001354155A (ja) 全方向移動装置の制御装置
JPS6237287A (ja) 車輪走行装置
JP6748013B2 (ja) 倒立振子型移動装置
JP2000127776A (ja) 全方向移動車両、及びその駆動機構制御方法
KR102597420B1 (ko) 모듈형 듀얼 스위블 휠 및 이를 포함하는 플랫폼
KR100317911B1 (ko) 이동로봇의 구동장치 및 이를 이용한 이동로봇의 제어방법
JPH0764204B2 (ja) 全方向移動車のステアリング機構
JP3046770B2 (ja) 操縦桿用ジンバル装置
Wada A synchro-caster drive system for holonomic and omnidirectional mobile robots

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees