JP4078889B2 - 電動車椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、操縦者の意図する移動のための動作を行う移動体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、自動車等の陸上を走行する移動体の運転は、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルのような操作手段を運転者が操作することにより行われることが多い。また、特開2000−170553号公報には、いわゆるジョイスティックを操作手段として用いる例が開示されている。このジョイステックとは、一端が回動自在に支持された棒状部材を運転者が手でつまんで前後左右に動かす操作を行い、当該操作により得られる上記棒状部材の各方向への傾斜角が読みとられる入力装置である。さらに、電動モータにより駆動される電動車椅子の操作手段にもこのジョイステックが用いられることが多い。このような操作手段は、運転者の手(および足)により操作されるので、運転者はこの操作を繰り返して習熟することによりその意図する進行方向や進行状態に自動車等をコントロールすることができる。
【0003】
また、従来から、車椅子に着座した状態で運転できる自動車等の移動体についての提案がなされている。例えば、特開平11−28226号公報には、車椅子に着座した状態の運転者がその状態のまま乗り込み、内部に予め備えられたジョイスティック等の補助操作部材を当該運転者が操作することにより運転可能である車両が開示されている。この構成によれば、運転者は車椅子を降りることなく当該車両に搭乗できるために便利であり、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルのような従来の操作手段によることなく運転できるため、手足に障害がある運転者も容易に運転することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の操作手段は、人間の生来的な感覚に必ずしも適合しているわけではないため、運転者が操作を繰り返すことによりその操作を習熟することが不可欠である。さらに上記の操作手段は運転者の手足により操作されるため、手足に障害がある運転者が上記操作を習熟することは非常に困難ないし不可能である。
【0005】
また、従来の車椅子に着座した状態で運転できる車両の操作手段は、電動車椅子の操作手段とは互いに独立した異なる操作手段であるため、運転者はそれぞれの操作を習熟しなければならず、また運転すべき対象となる移動体が車両から電動車椅子またはその逆へ変更される際に運転者が操作に違和感を感じることもある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、人間の生来的な感覚に適合する操作手段を備えることにより、操縦者の意図する進行方向および進行状態を含む動作を行う移動体を提供することである。また、本発明の他の目的は、操縦者が搭乗する電動車椅子等の移動体における操作手段と、当該移動体を運搬する車両等の運搬移動体における操作手段とを一致させることができる移動体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、搭乗する操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行う電動車椅子であって、
前記動作と予め対応づけられた姿勢変化であって前記動作を行わせるよう意図する前記操縦者の姿勢変化に応じて前記操縦者により着座される座席に生じる変量または物理量を検出する姿勢検出手段と、
前記動作によって与えられる加速度により生じるべき前記操縦者の意図しない姿勢変化による前記座席の変量または物理量を算出し、算出された値を補償変化量として出力する補償変化量出力手段と、
前記操縦者の意図しない姿勢変化の影響を補償するよう、前記姿勢検出手段により検出された変量または物理量から前記補償変化量を差し引くことにより補正された前記変量または前記物理量を算出する補正手段と、
前記姿勢検出手段により検出され前記補正手段により補正された前記変量または前記物理量に基づいて、前記操縦者が意図すると推定される前記方向転換、加速、および減速の動作の区別および量を判定する意図判定手段と、
前記意図判定手段の判定結果に基づいて、方向転換、加速、および減速の動作を制御するための制御信号を出力する制御手段と、
前記制御手段からの制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する操舵駆動制動手段と
を備える。
【0008】
このような第1の発明によれば、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルのような操作手段に代えて、例えば操縦者の体が前後左右に傾けられるような姿勢変化による操作が座席の変量または物理量として検出されて制御動作が行われる構成により、特別に習熟を要しない人間の生来的な感覚に適合する操作手段を備え、移動ための動作による加速度によって生じるべき座席の変量または物理量に基づいて、当該加速度によって生じるべき操縦者の姿勢変化の影響が補償される構成により、加速度の影響による操縦者の意図しない姿勢変化が生じた場合でも、当該姿勢変化による影響が補償されるよう姿勢検出手段により検出された変量または物理量から補償変化量が差し引かれるため、操縦者が意図しない動作が引き起こされることがなく、操縦者の意図する方向転換、加速、および減速動作を行う電動車椅子を提供することができる。なお、変量とは上記座席の所定の基準位置からの変位量や傾き角などであり、物理量とは上記座席の所定位置における荷重や加速度などである。
【0009】
第2の発明は、搭乗する操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行う電動車椅子であって、
前記動作と予め対応づけられた姿勢変化であって前記動作を行わせるよう意図する前記操縦者の姿勢変化に応じて前記操縦者により着座される座席に生じる変量または物理量を検出する姿勢検出手段と、
前記動作によって与えられる加速度により生じるべき前記操縦者の意図しない姿勢変化による前記座席の変量または物理量を算出し、算出された値を補償変化量として出力する補償変化量出力手段と、
前記操縦者の意図しない姿勢変化の影響を補償するよう、前記補償変化量に応じて前記座席を変位させる座席駆動手段と、
前記姿勢検出手段により検出される前記変量または前記物理量に基づいて、前記操縦者が意図すると推定される前記方向転換、加速、および減速の動作の区別および量を判定する意図判定手段と、
前記意図判定手段の判定結果に基づいて、方向転換、加速、および減速の動作を制御するための制御信号を出力する制御手段と、
前記制御手段からの制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する操舵駆動制動手段と
を備える。
【0010】
このような第2の発明によれば、特別に習熟を要しない人間の生来的な感覚に適合する操作手段を備え、加速度によって生じるべき変量または物理量に基づいて座席を能動的に変位させる構成により、移動のための動作により加速度が生じる方向を調節して、上記動作により操縦者の意図しない姿勢変化が生じることを防止することができ、操縦者の意図する方向転換、加速、および減速動作を行う電動車椅子を提供することができる。
【0017】
第3の発明は、第1または第2の発明に記載の電動車椅子を搭載することができる電動車椅子運搬用車両であって、
前記操縦者の搭乗する電動車椅子が搭載される場合には、前記制御手段から出力される制御信号を無線または有線による伝送によって受け取る制御信号受信手段と、
前記操縦者の搭乗する電動車椅子が搭載される場合には、前記制御信号受信手段によって受け取られる制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する車両操舵駆動制動手段と
を備える。
【0018】
このような第の発明によれば、内部に搭載される電動車椅子から出力される制御信号に基づいて、電動車椅子運搬用車両の方向転換、加速、および減速動作などが行われる構成により、操縦者が搭乗する電動車椅子における操作手段と、当該電動車椅子を運搬する電動車椅子運搬用車両における操作手段とを一致させることができる。したがって、運転すべき対象が例えば車両から電動車椅子またはその逆へ変更される際にも操縦者が違和感を感じることがない。
【0019】
第4の発明は、第1または第2の発明に記載の電動車椅子であって、
離れた位置にある被操縦車両に前記操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行わせるため、当該被操縦車両に対して前記制御手段から出力される制御信号を無線送信する送信手段と、
前記送信手段により前記制御信号が無線送信される場合には、前記操舵駆動制動手段に対する制御信号の出力を停止させる制御切り替え手段と
を備える。
【0020】
このような第の発明によれば、電動車椅子からの無線信号により例えば当該電動車椅子を運搬するための被操縦車両の方向転換、加速、および減速動作等が行われるので、操縦者は当該被操縦車両を遠隔操作することができる。したがって、例えば操縦者は自らが被操縦車両へ移動することなく容易に搭乗することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成>
本発明の第1の実施形態に係る移動体としての電動車椅子は、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルのような操作手段が運転者により操作されることがなく、運転者の体が前後左右に傾けられるような姿勢変化による操作に基づいて方向転換、加速、および減速動作が行われる。以下、この電動車椅子の構成について説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る移動体としての電動車椅子10の構成を示す左側面概略図である。なお以下では、電動車椅子10の左側(左方向)とは、進行方向に向いて左側(左方向)を意味し、右側(右方向)とはその反対側(反対方向)を意味するものとする。この電動車椅子10は、座席11に着座する運転者Dを移動させるために2つの前輪12および2つの後輪13により地上を走行する移動体であって、座席11の下部に設けられて運転者Dの姿勢変化を検出する姿勢センサ100と、前輪12の向きを検出する方向センサ110と、移動速度を検出する車速センサ120と、前輪12の向きを変更する操舵部130と、後輪13を駆動する駆動部140と、後輪13を制動する制動部150と、各部を制御する制御部160とを備える。
【0023】
姿勢センサ100は、運転者Dが姿勢変化を伴う動作、例えば体を前後左右方向のいずれかへ傾ける動作を行うことによる座席11の変量または物理量を検出して、その変量または物理量を姿勢信号Spとして出力する。ここで、変量とは上記座席の所定の基準位置からの変位量や傾き角などであり、物理量とは上記座席の所定位置における荷重や加速度などである。この姿勢センサ100の詳しい構成については後述する。方向センサ110は、前輪12の向きを検出してその角度を方向角信号Saとして出力する。車速センサ120は、電動車椅子10の移動速度を検出して、車速信号Svとして出力する。
【0024】
制御部160は上記方向角信号Sa、車速信号Sv、および姿勢信号Spを受け取り、姿勢信号Spが示す運転者Dの姿勢変化の状態から運転者Dが意図する電動車椅子10の動作、すなわち加速、減速、左旋回、または右旋回の動作を推定する。さらに、推定された当該動作が行われるように操舵部130に対して操舵信号Ssを出力し、駆動部140に対して駆動信号Sdを出力し、または制動部150に対して制動信号Sbを出力する。この制御部160の詳しい動作については後述する。
【0025】
操舵部130は、電動モータ、減速ギヤ、ラックピニオン機構、および前輪12との連結部材等で構成される。この電動モータは与えられた操舵信号Ssに基づき駆動され、発生したトルクが減速ギヤを介してラックピニオン機構に与えられる。これによりピニオン軸が回転すると、その回転がラック軸の往復運動に変換される。ラック軸の両端はタイロッドおよびナックルアームから成る連結部材を介して前輪12に連結されており、ラック軸の上記往復運動に応じて前輪12の向きが変わる。駆動部140は、電動モータ、減速ギヤ、および後輪13との連結部材等で構成されており、与えられた駆動信号Sdに基づき当該電動モータが駆動され、連結部材を介して後輪13に回転力が伝達される。制動部150は、電動モータを駆動源とするアクチュエータ、ブレーキパッド、および後輪13の車軸に連結されたブレーキディスク等で構成される。アクチュエータは与えられた制動信号Sbに基づきブレーキパッドをブレーキディスクに押しつけ、その摩擦力によりブレーキディスクが制動を受けて後輪13の回転速度が低減される。なお、操舵部130、駆動部140、および制動部150のいずれかまたは全ては、油圧式のアクチュエータを含んで構成されてもよい。
【0026】
<1.2 姿勢センサの構成および動作>
図2は、上記電動車椅子10における姿勢センサ100の構成例を座席11とともに示す斜視概略図である。この姿勢センサ100は、平面Pを形成する正方形の板状部材と、その各角部下方の所定の位置にそれぞれ設けられる前方荷重センサ101、後方荷重センサ102、左方荷重センサ103、および右方荷重センサ104とにより構成される。上記板状部材の中央部は、運転者Dが平常の姿勢で着座する場合における座席11の重心位置から鉛直方向に設けられた座席11の支持部材の下端に対して水平方向に固着される。また、前方荷重センサ101および後方荷重センサ102は電動車椅子10の前後方向に沿った直線(図中では点線X)上に配置されており、前方荷重センサ101は、平面Pの前端角部における荷重値Ffを検出し、後方荷重センサ102は平面Pの後端角部における荷重値Fbを検出する。同様に、左方荷重センサ103および右方荷重センサ104は電動車椅子10の左右方向に沿った直線(図中では点線Y)上に配置されており、左方荷重センサ103は平面Pの左端角部における荷重値Flを検出し、右方荷重センサ104は平面Pの右端角部における荷重値Frを検出する。これらの荷重値は姿勢信号Spとして制御部160に与えられる。
【0027】
この構成によれば、運転者Dが平常の姿勢で着座する場合に平面Pは水平となるため、各荷重センサ101〜104には同じ荷重かかかることになる。そして、運転者Dの姿勢変化により座席11の重心が前後左右方向へ移動した場合には、制御部160は各荷重センサ101〜104により検出される荷重の変化に基づいて上記重心の移動方向を判定する。例えば、運転者Dが体を前に傾けるような姿勢変化を行うと、座席11の重心が前方に移動して前方荷重センサ101により検出される荷重値Ffが増加し、後方荷重センサ102により検出される荷重値Fbが減少する。制御部160はこの荷重の変化に基づいて重心が前方に移動したと判定する。なお、このように構成しない場合であっても、運転者Dが平常の姿勢で着座する場合の各荷重センサ101〜104により検出される各荷重値を初期値として記憶する構成によれば、制御部160はこの初期値からの荷重の変化に基づいて同様に上記重心の移動方向を判定することが可能となる。
【0028】
図3は、上記電動車椅子10における姿勢センサ100の上記構成例の別例を示す斜視外観図である。この姿勢センサ100は、運転者Dが平常の姿勢で着座する場合における座席11の重心位置から鉛直方向に設けられた座席11の支持部の下端部を前後左右に揺動自在に支持し、かつバネ部材により中立方向である鉛直方向へ復帰するように支持して、その揺動角を検出する。すなわち、電動車椅子10の前後方向(図中では点線X方向)を回転軸とする回転角であるロール角度θrolおよび左右方向(図中では点線Y方向)を回転軸とする回転角であるピッチ角度θpitを検出し、姿勢信号Spとして出力する。さらに、上記座席11の支持部の下端部が略鉛直方向を中心軸として回動自在に支持され、その回転角すなわち電動車椅子10の上下方向(図中では点線Z方向)を回転軸とする回転角であるヨー角度θyawが検出されてもよい。
【0029】
この構成によれば、運転者Dの姿勢変化により座席11の重心が前後左右方向へ移動した場合には、制御部160は姿勢センサ100により検出されるロール角度θrolおよびピッチ角度θpitにより上記重心の移動方向を判定することができる。例えば、運転者Dが体を前に傾けるような姿勢変化を行うと、座席11の重心が前方に移動してピッチ角度θpitが減少(すなわち左方向から見て反時計回りに回転)するため、制御部160は重心が前方に移動したと判定する。なお、このように構成しない場合であっても、運転者Dが平常の姿勢で着座する場合のロール角度θrolおよびピッチ角度θpitを初期値として記憶する構成によれば、前述と同様に制御部160はこの初期値からの角度変化に基づいて同様に重心の移動方向を判定することが可能である。また、運転者Dが体を左右に傾ける姿勢変化に加えてまたは代えて、体を左右方向にひねる姿勢変化を行う場合には、座席11の支持部の略鉛直方向を回転中心軸とする回転角であるヨー角度θyawを検出する構成により、制御部160は運転者Dにより体を左右方向にひねる姿勢変化が行われたことを判定することが可能である。
【0030】
<1.3 制御部の構成および動作>
制御部160は、操舵部130、駆動部140、および制動部150に含まれる各電動モータ(またはその他のアクチュエータ)を制御するために、CPU、内部メモリ(ROMおよびRAM)、およびI/O等を含むマイクロコンピュータで構成されている。制御部160は、その内部のメモリ(または外部記憶媒体)に格納された所定のプログラムを実行することにより、各センサからの情報に基づいて各電動モータに加えるべき目標電流を設定し、実際に電動モータに流れる電流との偏差に基づく比例積分演算を行うことによりそれぞれについてフィードバック制御を行う。以下、制御部160の処理手順について図4を参照しつつ説明する。
【0031】
図4は、制御部160の処理手順を示すフローチャートである。運転者Dが座席11に着座して、電動車椅子10を始動させるための図示されない始動スイッチを入れると、制御部160により図4に示す処理が開始される。なお、図2に示す各荷重センサ101〜104により運転者Dが着座したことが検出されてから、所定の時間が経過した場合または所定の時間内に運転者Dの姿勢変化が検出されない場合、制御部160により図4に示す処理が開始されるように構成されてもよい。
【0032】
まず、制御部160は、各荷重センサ101〜104により検出された荷重値Ff,Fb,Fl,Frを含む姿勢信号Spを受け取る荷重検出処理を行う(ステップS10)。次に、荷重値Ffから荷重値Fbを差し引いた値が予め定められた閾値R1(>0)より大きいか否かが判断される(ステップS12)。
【0033】
このステップS12において閾値R1より大きいと判断される場合(Yesの場合)には、運転者Dの体が或る程度前に傾いていると推定されるため、車速を上げる加速処理がなされる(ステップS14)。なお、運転者Dが体を或る程度前に傾ける姿勢変化を行う場合、運転者Dが車速を上げる意図であることは予め定められているものとする。この加速処理は、所定の加速度または荷重値Ffから荷重値Fbを差し引いた値に対応する加速度だけ電動車椅子10が加速されるように、対応する駆動信号Sdを駆動部140へ与える。次に処理はステップS20へ進む。
【0034】
また、ステップS12において閾値R1以下であると判断される場合(Noの場合)には、さらに荷重値Ffから荷重値Fbを差し引いた値が予め定められた閾値R2(<0)より小さいか否かが判断される(ステップS16)。
【0035】
このステップS16において閾値R2より小さいと判断される場合(Yesの場合)には、運転者Dの体が或る程度後ろに傾いていると推定されるため、車速を下げる減速処理がなされる(ステップS18)。なお、運転者Dが体を或る程度後ろに傾ける姿勢変化を行う場合、運転者Dが車速を下げる意図であることは予め定められているものとする。この減速処理は、所定の速度または荷重値Fbから荷重値Ffを差し引いた値に対応する速度だけ電動車椅子10が減速されるように、対応する制動信号Sbを制動部150へ与える。次に処理はステップS20へ進む。また、ステップS16において閾値R2以上であると判断される場合(Noの場合)には、運転者Dの体が前後方向にはあまり傾いていないと推定されるため、減速処理および加速処理が行われることなく、処理はステップS20へ進む。
【0036】
ステップS20において、制御部160は、荷重値Frから荷重値Flを差し引いた値が予め定められた閾値R3(>0)より大きいか否かを判断する。このステップS20において閾値R3より大きいと判断される場合(Yesの場合)には、運転者Dの体が或る程度右に傾いていると推定されるため、方向を右へ操舵する右旋回処理がなされる(ステップS22)。なお、運転者Dが体を或る程度右に傾ける姿勢変化を行う場合、運転者Dが右へ操舵する意図であることは予め定められているものとする。この右旋回処理は、所定の角度または荷重値Frから荷重値Flを差し引いた値に対応する角度だけ電動車椅子10が右方向へ操舵されるように、対応する操舵信号Ssを操舵部130へ与える。次に処理はステップS28へ進む。
【0037】
また、ステップS20において閾値R3以下であると判断される場合(Noの場合)には、さらに荷重値Frから荷重値Flを差し引いた値が予め定められた閾値R4(<0)より小さいか否かが判断される(ステップS24)。
【0038】
このステップS24において閾値R4より小さいと判断される場合(Yesの場合)には、運転者Dの体が或る程度左に傾いていると推定されるため、方向を左へ操舵する左旋回処理がなされる(ステップS26)。なお、運転者Dが体を或る程度左に傾ける姿勢変化を行う場合、運転者Dが左へ操舵する意図であることは予め定められているものとする。この左旋回処理は上述の右旋回処理と旋回方向の他はほぼ同様の処理であるため説明を省略する。次に処理はステップS28へ進む。また、ステップS24において閾値R4以上であると判断される場合(Noの場合)には、運転者Dの体が左右方向にはあまり傾いていないと推定されるため、右旋回処理および左旋回処理が行われることなく処理はステップS28へ進む。
【0039】
ステップS28において、制御部160は、運転者Dにより上記始動スイッチが切られて運転が終了されたか否かを判断する。運転が終了されない場合にはステップS10の処理へ戻って上記処理が繰り返される。なお、運転の終了は、図2に示す各荷重センサ101〜104により運転者Dが席を立ったことが検出されてから所定の時間が経過した場合になされてもよい。
【0040】
以上の制御部160の処理手順は、姿勢センサ100が図3に示す別構成例である場合もほぼ同様に考えられる。すなわち、ピッチ角度θpitが所定の閾値R’1より小さい場合(左方向から見て反時計回りに回転した場合)には加速処理(S14)が行われ、所定の閾値R’2より大きい場合(左方向から見て時計回りに回転した場合)には減速処理(S18)が行われる。また、ロール角度θrolが所定の閾値R’3より大きい場合(前方から見て反時計回りに回転した場合)には右旋回処理(S22)が行われ、所定の閾値R’4より小さい場合(前方から見て時計回りに回転した場合)には左旋回処理(S26)が行われる。なお、ロール角度θrolに代えて、ヨー角度θyawが用いられてもよい。
【0041】
<1.4 効果>
上記第1の実施形態によれば、ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダルのような操作手段に代えて、運転者Dの体が前後左右に傾けられるような姿勢変化による操作を姿勢センサ100により検出し、制御部160により方向転換、加速、および減速動作が行われる構成により、特別に習熟を要しない人間の生来的な感覚に適合する操作手段を備え、操縦者の意図する動作を行う移動体を提供することができる。
【0042】
<2.第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る移動体としての電動車椅子は、上記第1の実施形態に係る電動車椅子10の構成に加えて、その方向転換、加速、または減速動作による加速度の影響を受けて運転者Dの意図しない姿勢変化が生じ、その結果として意図しない動作が引き起こされないように構成される。従って、第1の実施形態に係る電動車椅子10と同様の構成および動作については説明を省略し、以下、第1の実施形態に係る電動車椅子10と異なる構成および動作を中心に3つの構成例を挙げて説明する。
【0043】
第1の構成例として、本実施形態に係る電動車椅子に含まれる制御部160は、方向転換、加速、または減速の動作によって与えられる加速度により生じるべき座席の変量または物理量、ここでは変位により変化が生じるべき荷重値Ff,Fb,Fl,Frの変化量を、車速センサ120により検出される車速および方向センサ110により検出される方向角に基づいて計算し、補償変化量として算出する補償変化量出力処理を行う。この補償変化量出力処理は、例えば図4が示す荷重検出処理(S10)の後に行われ、さらに上記加速度により生じる影響を補償するために、算出された補償変化量が差し引かれた補正荷重値F’f,F’b,F’l,F’rを算出する。そして、図4におけるその後の処理では、上記荷重値に代えて上記補正荷重値が用いられる。
【0044】
この第1の構成例によれば、方向転換、加速、または減速動作による加速度の影響を受けて運転者Dの意図しない姿勢変化が生じた場合でも、当該姿勢変化による各荷重値の変化は上述のように補償されるため、運転者Dが意図しない電動車椅子の動作が引き起こされることがない。
【0045】
第2の構成例として、本実施形態に係る電動車椅子は、前後方向および左右方向の加速度を検出する加速度センサ(図示せず)を新たに備えており、第1の構成例における補償変化量出力処理において、この加速度センサにより検出される加速度を用いて上記補償変化量を算出する。また、この加速度センサは、吊された重りの鉛直方向から前後方向および左右方向への傾き角を検出する構成であってもよい。
【0046】
この第2の構成例によれば、実際に運転者Dが受ける加速度を検出する構成により、より正確な補償変化量を算出することができる。また、上記傾き角を検出する加速度センサの構成によれば、図3に示す別構成例の姿勢センサ100から出力されるロール角度θrolおよびピッチ角度θpitから上記傾き角を差し引くことにより、容易に上記補正荷重値に対応する補正ロール角度θrol’および補正ピッチ角度θpit’を算出することができる。
【0047】
第3の構成例として、本実施形態に係る電動車椅子は、第1または第2の構成例において出力される補償変化量に基づいて、上記加速度により生じるべき座席11の変位を能動的に打ち消すように座席11を変位させる座席駆動部105を新たに備える。図5は、この座席駆動部105の概略的な構成を示す斜視図である。座席駆動部105は、平面Pを形成するプラットホーム板と、当該プラットホーム板を前後、左右、上下、ロール、ピッチ、およびヨーの各方向に運動させるためのピストンおよびシリンダからなる第1から第6までのアクチュエータ1〜6により構成される6軸モーション台である。座席11および姿勢センサ100は、上記プラットホーム板の平面P上に固定されており、上記加速度により生じるべき座席11の変位を示す補償変化量に基づいて座席11(および姿勢センサ100)を変位させる。例えば、電動車椅子10が左旋回することにより右方向へ加速度が生じるべき場合には、座席11を左へ所定の角度だけ傾けることにより、加速度が生じる方向を平面Pに対して垂直方向とする。この場合には、各荷重センサ101〜104には均等な荷重がかかるため、前後または左右の荷重差による姿勢変化は検出されない。
【0048】
この第3の構成例によれば、電動車椅子の方向転換、加速、または減速動作により加速度が生じる方向は常にプラットホーム板に対して垂直方向に調整されるため、上記動作により運転者Dの意図しない姿勢変化が生じることを防止することができる。
【0049】
<3.第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る移動体としての電動車椅子は、上記第1の実施形態に係る電動車椅子10が備える姿勢センサ100に代えて、座席11に着座する運転者Dの姿勢を撮像することによりその姿勢変化を検出する光学式のモーションキャプチャ手段を備える構成である。従って、第1の実施形態に係る電動車椅子10と同様の構成および動作については説明を省略し、以下、第1の実施形態に係る電動車椅子10と異なる構成および動作を中心に説明する。
【0050】
図6は、本実施形態に係る電動車椅子30の上側を前方から見た概略図である。運転者Dの所定の関節付近には第1から第6までのマーカ301〜306が貼られており、第1のカメラ310および第2のカメラ320によりこれらのマーカ301〜306が撮像される。なお、オクルージョン(隠れ)を防止するためにカメラが2台設けられる場合には、オクルージョンが問題にならない限りいずれか1台が省略されてもよいが、ステレオ視による3次元位置計測が行われる場合には、カメラは複数台が必要である。これらのカメラ310,320により撮像された画像は制御部160に与えられる。
【0051】
制御部160は、撮像画像における第1から第6までのマーカ301〜306の位置から所定平面上の2次元位置または所定空間内の3次元位置を計算し、予め記憶されたいくつかの運転者の姿勢に対応する各マーカ301〜306の2次元位置または3次元位置と比較照合して、運転者Dがどのような姿勢をとっているか(またはどのような姿勢変化を行ったか)を判断する。例えば、左手を体の外側左方へ動かし、右手を体の正面付近へ動かす姿勢変化が行われた場合(すなわち図6の姿勢がとられた場合)には、運転者Dが左へ操舵する意図であることが予め定められているとき、制御部160は、各マーカ301〜306の2次元位置または3次元位置から上記姿勢変化が行われたと判断すると、左旋回処理(図4のステップS26)を行う。なお別例として、第1から第6までのマーカ301〜306が省略され、制御部160は予め記憶された運転者の姿勢変化パターンのなかから撮像された運転者Dの姿勢に適合するものをパターンマッチングの手法により選択することにより、運転者Dがどのような姿勢をとっているか(またはどのような姿勢変化を行ったか)を判断してもよい。その他、一般に光学式のモーションキャプチャにおいて用いられる手法であれば、どのような手法が用いられてもよい。
【0052】
さらに、上記姿勢変化には様々なパターンが考えられるため、運転操作毎に各姿勢変化パターンを対応させて制御部160に予め記憶させておき、制御部160により所定の運転操作に対応する姿勢変化が判断され、上記運転操作が実現されるように対応する機器が制御される構成であってもよい。なお、上記運転操作とは、電動車椅子や自動車の各種運転操作、例えばパーキングブレーキの操作、パワーウィンドウの開閉操作、方向指示器の操作、ヘッドライトの操作、ワイパの起動、ラジオの起動や選局操作、ナビゲーションシステムの操作などが考えられる。
【0053】
図7は、運転者Dの指さし動作により操作されるナビゲーションシステムの一例を説明するための図である。本ナビゲーションシステムは、地図データを記憶するCD−ROM等の読取装置、経路の算出や各種制御を行うコンピュータ、および経路案内を表示する液晶ディスプレイ等を備える。この液晶ディスプレイの画面400には、上記経路案内として電動車椅子30の前方に存在する交差点が示されている。ここで、運転者Dは始点401から終点403までの経路を指定するために、始点401を指さす動作(運転者D’の動作)を行った後、軌跡402に沿って指を動かし、終点403を指さす動作(運転者Dの動作)を行う。なお、運転者Dの指にマーカ等が取り付けられていてもよい。このような指さし動作は、カメラ410により撮像され、制御部160により上記モーションキャプチャ手法が用いられて経路指示動作であることが判別されるとともに始点位置と終点位置とが判定され、当該位置がナビゲーションシステムへ与えられる。ナビゲーションシステムは、与えられた位置を始点および終点とする経路を算出して、さらに新たな経路案内として表示する。さらに制御部160は、上記経路指定動作に基づいて、操舵部130、駆動部140、および制動部150を適宜に制御することにより上記経路に沿った自動運転を行ってもよい。また、画面400には車線変更案内が表示されており、制御部160は、運転者Dの所定の車線変更動作に基づいて自動運転により車線変更を行ってもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る移動体は、第1のカメラ310および第2のカメラ320により座席11に着座する運転者Dの姿勢を撮像してその姿勢変化を検出する光学式のモーションキャプチャ手段を備える構成により、座席の変量または物理量を検出する特別な構成のセンサを省略することができるとともに、座席の変量または物理量とは関連しないような姿勢変化を含む様々な運転者の姿勢を検出して、対応する様々な運転操作を実現することができる。
【0055】
<4.第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る移動体としての自動車は、移動体としての電動車椅子を内部に搭載できるように構成されている。以下、この自動車の構成について説明する。
【0056】
図8は、本発明の第4の実施形態に係る移動体としての自動車50の構成を示す左側面概略図である。この自動車50は、運転者Dが着座したままの状態で電動車椅子40を搭載して固定器具24によりその位置を固定し、2つの前輪22および2つの後輪23により地上を走行する車両であって、前輪22の向きを検出する車両方向センサ210と、移動速度を検出する車両車速センサ220と、前輪22の向きを変更する車両操舵部230と、後輪23を駆動する車両駆動部240と、後輪23を制動する車両制動部250と、各部を制御する車両制御部260と、電動車椅子40からの無線信号を受信する受信部280とを備える。なお、この自動車50は、電動車椅子40を車外から車内へ搭載するための搬入装置、例えば昇降リフト装置などをさらに備えるのが好ましい。
【0057】
この自動車50に搭載される電動車椅子40は、第1の実施形態に係る電動車椅子10に対して送信部170をさらに備えるほかは同様の構成である。よってこの電動車椅子40に備えられる方向センサ110、車速センサ120、操舵部130、駆動部140、および制動部150は図示せずに説明を省略し、以下、異なる点を中心に説明する。
【0058】
上記電動車椅子40の姿勢センサ100は、第1の実施形態に係る電動車椅子10の姿勢センサ100と同様に、運転者Dの姿勢変化に応じて生じる座席11の変量または物理量を検出して、その変量または物理量を姿勢信号Spとして出力する。制御部160は、電動車椅子40が自動車50に搭載されていることが検出された場合にのみ、電動車椅子40を制御する動作を停止するとともに、受け取られた姿勢信号Spから操舵方向、操舵量、加速量、および制動量を算出し、これらのいずれかまたは全てを含む姿勢信号S’pを送信部170へ与える。なお、自動車50の車両制御部260により操舵方向、操舵量、加速量、および制動量が算出される場合には、姿勢信号S’pは姿勢信号Spと同一の信号でよい。
【0059】
制御部160が自動車50に搭載されていることを検出する方法としては、搭載されたことを示す図示されないスイッチが運転者Dにより入れられたことを検出する方法や、固定器具24により電動車椅子40が固定されたことを検出する方法などが考えられる。具体的には、固定器具24は自動車50の車内床面上に固着されたラッチ部材であって、当該ラッチ部材に係止されるべきピンが電動車椅子40の所定位置に突設されており、当該ピンがラッチ部材に係止されると所定の信号が制御部160へ与えられる構成例が考えられる。
【0060】
送信部170は、姿勢信号S’pを無線信号に変換して受信部280へ送信する。当該無線信号は電波信号、赤外線信号、超音波信号などいずれであってもよい。また、当該信号の伝送が有線で行われる構成であってもよい。その場合には、送信部170および受信部280は省略される。受信部280は、送信部170近傍に設けられており、受信した姿勢信号S’pを車両制御部260へ与える。
【0061】
車両制御部260は、電動車椅子40が自動車50に搭載されていることが検出された場合(例えば姿勢信号S’pが受信部280により受信された場合)、車両方向センサ210からの方向角信号S’aと、車両車速センサ220からの車速信号S’vとを受け取り、上記第1の実施形態に係る制御部160と同様に、車両操舵部230への操舵信号S’sと、車両駆動部240への駆動信号S’dと、車両制動部250への制動信号S’bとを出力する。なお、車両方向センサ210は図1の方向センサ110と、車両車速センサ220は図1の車速センサ120と、車両操舵部230は図1の操舵部130と、車両駆動部240は図1の駆動部140と、車両制動部250は図1の制動部150とそれぞれ同様の構成および動作を行うため説明を省略する。車両制御部260は、このように電動車椅子40の姿勢センサ100から出力される姿勢信号に基づいて自動車50の方向転換、加速、および減速動作を行う。なお、車両制御部260は、電動車椅子40が自動車50に搭載されていることが検出されない場合には、図示されない通常の操作手段(ステアリングホイール、アクセルペダル、およびブレーキペダル等)からの操作信号に基づいて制御動作を行い、電動車椅子40が搭載されていることが検出された場合には、上記通常の操作手段からの操作信号に基づくことなく、姿勢信号S’pに基づいて制御動作を行う構成であってもよい。
【0062】
さらに上記のように送信部170から受信部280へ姿勢信号S’pを無線信号により送信する構成によれば、電動車椅子40が自動車50に搭載されておらず車外にある場合であっても、当該自動車50を遠隔制御することが可能となる。すなわち、受信部280は、車外からの無線信号を受信しやすい所定の位置に設けられており、送信部170からの姿勢信号S’pを車両制御部260へ与える。また、車両制御部260は、姿勢信号S’pが受信された場合には、通常の操作手段に基づく動作から切り替えて、受信された姿勢信号に基づいて自動車50の方向転換、加速、および減速動作を行う。なお、このような通常の操作手段からの切り替え動作は、図示されない入力部への運転者Dからの指示入力に基づいて行われてもよい。また、自動車50の運転室内に図示されないカメラが設けられており、当該カメラが撮像した映像が無線送信されて電動車椅子40の図示されない液晶ディスプレイ上に表示される構成であってもよい。
【0063】
以上のように、電動車椅子40の姿勢センサ100から出力される姿勢信号Spに基づいて、自動車50の車両制御部260により方向転換、加速、および減速動作が行われる構成により、運転者が搭乗する車椅子等の移動体における操作手段と、当該移動体を運搬する車両等の運搬移動体における操作手段とを一致させることができる。したがって、運転すべき対象となる移動体が自動車から電動車椅子またはその逆へ変更される際にも運転者が違和感を感じることがない。また、電動車椅子40からの無線信号により自動車50の方向転換、加速、および減速動作が行われる構成により、運転者Dは自動車50を遠隔操作することができる。したがって、運転者Dは自らが自動車50へ移動することなく容易に自動車50へ搭乗することができる。
【0064】
<5.変形例>
上記各実施形態では、制動部は後輪のみを制動し、駆動部は後輪のみを駆動するように構成したが、前輪・後輪を制動・駆動してもよい。また、操舵部は前輪の向きを変えて転舵するように構成したが、2つの後輪のうちの一方を停止させ、または2つの後輪を互いに反対方向へ回転させて転舵する構成でもよい。また、上記では移動体の例として電動車椅子を用いて説明したが、当該移動体は内燃機関からなるエンジンを駆動部とする自動車その他の陸上走行車両であってもよく、さらには水上、水中、地中または空中を進行する移動体であってもよい。さらに、第4の実施形態に係る自動車50も同様に自動車以外の陸上走行車両であっても、さらには水上、水中、地中または空中を進行する移動体であってもよい。
【0065】
上記第1の実施形態に係る姿勢センサ100は、前後方向および左右方向の荷重変化を検出する構成であるが、上記2方向以外の荷重変化を検出する構成であってもよい。また、荷重変化以外の変化量を検出するセンサを備える構成であってもよい。例えば、所定方向の変位量を検出する変位センサ、所定方向の加速度を検出する加速度センサ、所定軸回りの回転角を検出する角度センサ、またはヨー軸、ロール軸、およびピッチ軸の角加速度を検出するヨーレートセンサ、ロールレートセンサ、およびピッチレートセンサを備える構成であってもよい。
【0066】
上記第2の実施形態における第3の構成例では6軸モーション台を例示したが、駆動軸の数は6軸に限定されない。例えば、座席11を前後左右に傾ける構成であってもよいし、図3に示す姿勢センサ100の別例が用いられる場合、ロール、ピッチ、およびヨーの3軸を駆動する構成であってもよい。この場合には、電動車椅子10の前後方向(図中では点線X方向)を回転軸とするロール駆動用モータと、左右方向(図中では点線Y方向)を回転軸とするピッチ駆動用モータと、上下方向(図中では点線Z方向)を回転軸とするヨー駆動用モータが設けられる。さらに、ヨー軸を除いた2軸を駆動する構成も可能である。さらにまた、運転者Dの姿勢変化に対して最も影響が大きいロール軸のみを駆動する(または座席11を左右方向にのみ傾ける)構成も可能である。
【0067】
上記第3の実施形態では、光学的なモーションキャプチャ技術が用いられる構成であるが、磁気センサを用いた一般的な磁気的モーションキャプチャ技術が用いられてもよい。また、各マーカ301〜306に代えて、加速度センサや速度センサ、位置センサなどが用いられ、当該センサからの加速度情報、速度情報、位置情報に基づいて運転者Dの姿勢変化が検出される構成であってもよい。
【0068】
上記第4の実施形態では、電動車椅子40が自動車50に搭載される構成であるが、自動車50に姿勢センサ100(および送信部170)が搭載される構成であれば必ずしも電動車椅子40が搭載される必要はない。また、第3の実施形態に係る電動車椅子30が搭載される場合には、自動車50にカメラ310,320(および送信部170)が搭載されれば足りる。
【0069】
なお、上記各実施形態では、マイコンが所定のプログラムを実行することにより各構成要素の機能をソフトウェア的に実現するように構成したが、これらの構成要素の一部または全部の機能は、専用の電子回路等によりハードウェア的に実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る移動体としての電動車椅子の構成を示す左側面概略図である。
【図2】上記実施形態に係る姿勢センサの構成例を座席とともに示す斜視概略図である。
【図3】上記実施形態に係る姿勢センサの構成例の別例を示す斜視図である。
【図4】上記実施形態に係る制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る座席駆動部の概略的な構成を示す斜視図である。
【図6】第3の実施形態に係る本実施形態に係る電動車椅子の上側を前方から見た概略図である。
【図7】上記実施形態に係る電動車椅子に用いられる、運転者の指さし動作により操作されるナビゲーションシステムの一例を説明するための図である。
【図8】第4の実施形態に係る移動体としての自動車の構成を示す左側面概略図である。
【符号の説明】
1〜6 …アクチュエータ
10,30,40 …電動車椅子
11 …座席
12,22 …前輪
13,23 …後輪
24 …固定器具
50 …自動車
100 …姿勢センサ
101〜104 …荷重センサ
105 …座席駆動部
110 …方向センサ
120 …車速センサ
130 …操舵部
140 …駆動部
150 …制動部
160 …制御部
170 …送信部
210 …車両方向センサ
220 …車両車速センサ
230 …車両操舵部
240 …車両駆動部
250 …車両制動部
260 …車両制御部
280 …受信部
301〜306 …マーカ
310,320,410 …カメラ
D …運転者
Fb,Ff,Fl,Fr …荷重値
θpit …ピッチ角度
θrol …ロール角度
θyaw …ヨー角度
Sa …方向角信号
Sb …制動信号
Sd …駆動信号
Sp …姿勢信号
Ss …操舵信号
Sv …車速信号

Claims (4)

  1. 搭乗する操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行う電動車椅子であって、
    前記動作と予め対応づけられた姿勢変化であって前記動作を行わせるよう意図する前記操縦者の姿勢変化に応じて前記操縦者により着座される座席に生じる変量または物理量を検出する姿勢検出手段と、
    前記動作によって与えられる加速度により生じるべき前記操縦者の意図しない姿勢変化による前記座席の変量または物理量を算出し、算出された値を補償変化量として出力する補償変化量出力手段と、
    前記操縦者の意図しない姿勢変化の影響を補償するよう、前記姿勢検出手段により検出された変量または物理量から前記補償変化量を差し引くことにより補正された前記変量または前記物理量を算出する補正手段と、
    前記姿勢検出手段により検出され前記補正手段により補正された前記変量または前記物理量に基づいて、前記操縦者が意図すると推定される前記方向転換、加速、および減速の動作の区別および量を判定する意図判定手段と、
    前記意図判定手段の判定結果に基づいて、方向転換、加速、および減速の動作を制御するための制御信号を出力する制御手段と、
    前記制御手段からの制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する操舵駆動制動手段と
    を備える電動車椅子
  2. 搭乗する操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行う電動車椅子であって、
    前記動作と予め対応づけられた姿勢変化であって前記動作を行わせるよう意図する前記操縦者の姿勢変化に応じて前記操縦者により着座される座席に生じる変量または物理量を検出する姿勢検出手段と、
    前記動作によって与えられる加速度により生じるべき前記操縦者の意図しない姿勢変化による前記座席の変量または物理量を算出し、算出された値を補償変化量として出力する補償変化量出力手段と、
    前記操縦者の意図しない姿勢変化の影響を補償するよう、前記補償変化量に応じて前記座席を変位させる座席駆動手段と、
    前記姿勢検出手段により検出される前記変量または前記物理量に基づいて、前記操縦者が意図すると推定される前記方向転換、加速、および減速の動作の区別および量を判定する意図判定手段と、
    前記意図判定手段の判定結果に基づいて、方向転換、加速、および減速の動作を制御するための制御信号を出力する制御手段と、
    前記制御手段からの制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する操舵駆動制動手段と
    を備える電動車椅子。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電動車椅子を搭載することができる電動車椅子運搬用車両であって、
    前記操縦者の搭乗する電動車椅子が搭載される場合には、前記制御手段から出力される制御信号を無線または有線による伝送によって受け取る制御信号受信手段と、
    前記操縦者の搭乗する電動車椅子が搭載される場合には、前記制御信号受信手段によって受け取られる制御信号に基づいて、方向転換、加速、および減速のうち少なくとも1つの動作を実現する車両操舵駆動制動手段と
    を備える電動車椅子運搬用車両。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電動車椅子であって、
    離れた位置にある被操縦車両に前記操縦者が意図する方向転換、加速、および減速の動作を行わせるため、当該被操縦車両に対して前記制御手段から出力される制御信号を無線送信する送信手段と、
    前記送信手段により前記制御信号が無線送信される場合には、前記操舵駆動制動手段に対する制御信号の出力を停止させる制御切り替え手段と
    を備える電動車椅子。
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