JP2012090914A - 可動式椅子 - Google Patents

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博教 小川
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Abstract

【課題】可動式椅子や搭乗者、積荷の重量、さらには路面の状態や傾斜によらず、わずかな労力で移動でき、さらには安全性の高い可動式椅子を提供する。
【解決手段】座席部または載積部を有する基体と、当該基体に設けられ、且つ前記基体を移動するための駆動力を発生する移動用アクチュエータと、当該移動用アクチュエータの駆動を制御する移動用アクチュエータ制御手段と、前記基体に取り付けられた把持部と、当該把持部への入力を検出する入力値検出手段と、を備えた可動式椅子において、前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記入力値検出手段が検出した入力に応じて前記基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、車椅子や乳母車、歩行補助車等の、人または物を載せて移動する可動式椅子に関する。
車椅子、乳母車、歩行補助車等の人または物を載せて移動する可動式椅子には、安全面において、以下のような問題点があった。
(1)椅子を押す人(以下、操作者と言う)にとって、急な上り坂においては労力が足りず歩行が困難になる場合がある。また急な下り坂においては重力によって加速するため、事故の危険性が高くなる。特に乳母車の場合は、加速した乳母車を操作する力が搭乗者である乳幼児にはないため、操作者が不注意等で手を放した場合は危険である。
(2)搭乗者の体重が重い場合や、双子用の乳母車の場合、さらには積荷の重量が大きい場合、操作者の負担が大きくなる。
(3)電車内では可動式椅子、特に乳母車の固定装置の設置が少ないため、カーブへの進入や急ブレーキの際に乳母車が車内を転がってしまう危険性がある。
(4)障害物や側溝等が利用者の死角にあった場合(例えば搭乗者の影や足元に隠れている場合等)、障害物と衝突したり、側溝へ車輪が落ちる等の危険性が高くなる。
特開平7−232647 特開平11−267162 特表平09−507785
特許文献1、2には、(1)の課題を解決するための手段が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の手段は、下り坂等で速度が過大になった場合に進行速度を制御するのみで、自動で停止するわけではない。また特許文献1、2に記載の手段は、可動式椅子の平坦な場所での使用や、急な動作に対しては機能せず、この手段では(2)、(3)の課題は解決できない。
また、特許文献3には段差等の障害物を避ける手段が記載されているが、搭乗者が障害物を発見した上で避ける対策をとるものである。このため、特許文献3に記載の手段では(4)の課題は解決できない。
本発明は、上述の事情に鑑み、(1)〜(4)の課題を同時に解決することができる、すなわち可動式椅子自体や搭乗者、積荷の重量、さらには路面の状態や傾斜によらず、わずかな労力で移動でき、さらには安全性の高い可動式椅子を提供することを目的としている。
〔発明1〕上記課題を解決するために、発明1の可動式椅子は、座席部または載積部を有する基体と、当該基体に設けられ、且つ前記基体を移動するための駆動力を発生する移動用アクチュエータと、当該移動用アクチュエータの駆動を制御する移動用アクチュエータ制御手段と、前記基体に取り付けられた把持部と、当該把持部への入力を検出する入力値検出手段と、を備えた可動式椅子であって、前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記入力値検出手段が検出した入力に応じて前記基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、操作者、搭乗者を含む利用者による把持部への入力に応じて、基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で基体が移動するように、移動用アクチュエータの駆動を制御することができる。これにより、可動式椅子の一部を把持している利用者による把持部への入力に応じて、基体を移動させて、可動式椅子を移動させることが可能となる。すなわち、可動式椅子自体や搭乗者、積荷の重量、さらには路面の状態や傾斜によらず、利用者はわずかな労力での移動が可能となる。さらに、慣性によらず入力に応じて移動するため、安全性を向上できる。
〔発明2〕さらに、発明2の可動式椅子は、発明1の可動式椅子において、前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記入力値検出手段が検出した入力が大きいほど、前記移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることを特徴とする。
このような構成であれば、利用者による把持部への入力が大きいほど、移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることにより、利用者による把持部への入力が大きいほど、可動式椅子の移動速度を増加させることが可能となる。すなわち、利用者の意図した移動速度で、可動式椅子自体や搭乗者、積荷の重量、さらには路面状態や傾斜によらず、わずかな労力で移動することが可能となる。
〔発明3〕さらに、発明3の可動式椅子は、発明1または2の可動式椅子において、前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記基体の移動速度に応じた粘性項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、基体の移動速度に応じた粘性項を用いて、目標速度を補正することにより、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。さらに、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。
〔発明4〕さらに、発明4の可動式椅子は、発明1から3のうちいずれか1つの可動式椅子において、前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて、目標速度を補正することにより、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。さらに、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。
〔発明5〕さらに、発明5の可動式椅子は、発明1から4のうちいずれか1つの可動式椅子において、前記入力値検出手段は、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び前記三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出可能な六軸力センサであることを特徴とする。
このような構成であれば、一つの六軸力センサにより、利用者による把持部への入力を、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントとして、それぞれ、検出することが可能となる。
〔発明6〕さらに、発明6の可動式椅子は、発明5の可動式椅子において、前記基体を支持する平衡用車輪と、前記基体と前記平衡用車輪との間に介装し、且つ前記平衡用車輪の回転軸と直交する方向へ伸縮する伸縮部と、当該伸縮部を伸縮可能な駆動力を発生する伸縮用アクチュエータと、当該伸縮用アクチュエータの駆動を制御する伸縮用アクチュエータ制御部と、を有するキャスタ装置を備え、前記伸縮用アクチュエータ制御部は、前記六軸力センサが検出した前記三軸の方向に付与される力及び前記三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、前記伸縮用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、六軸力センサが検出した、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、伸縮用アクチュエータの駆動を制御する。これにより、六軸力センサが検出した値に応じて伸縮部を伸縮させて、基体と平衡用車輪との距離を変化させることが可能となる。
〔発明7〕さらに、発明7の可動式椅子は、発明1から6のうちいずれか1つの可動式椅子において、前記基体を目的地まで移動させる案内移動モードと、前記基体を前記把持部への入力に応じた方向へ移動させる自由移動モードと、を切り換える移動モード切り換え操作部を備え、前記移動モード切り換え操作部を、可動式椅子を使用する利用者の手が、前記把持部を把持するとともに前記案内移動モードまたは前記自由移動モードへの切り換え操作が可能な位置へ配置したことを特徴とする。
このような構成であれば、利用者が、把持部への入力とともに、基体、すなわち、可動式椅子を移動させる移動モードの切り換え操作を行うことが可能となる。
〔発明8〕さらに、発明8の可動式椅子は、発明1から7のうちいずれか1つの可動式椅子において、前記移動用アクチュエータをモータとし、前記基体を支持し、且つ前記モータが発生する駆動力により回転する移動用車輪を備えることを特徴とする。
このような構成であれば、利用者による把持部への入力に応じて、モータが発生する駆動力により移動用車輪を回転させて移動可能な、可動式椅子を形成することが可能となる。
〔発明9〕一方、上記課題を解決するために、発明9の可動式椅子の制御方法は、座席部または載積部を有する基体と、当該基体に設けられ、且つ前記基体を移動するための駆動力を発生する移動用アクチュエータと、前記基体に取り付けられた把持部と、当該把持部への入力を検出する入力値検出手段と、を備えた可動式椅子の制御方法であって、前記入力値検出手段が検出した入力に応じて前記基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、操作者、搭乗者を含む利用者による把持部への入力に応じて、基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で基体が移動するように、移動用アクチュエータの駆動を制御することができる。これにより、可動式椅子の一部を把持している利用者による把持部への入力に応じて、基体を移動させて、可動式椅子を移動させることが可能となる。すなわち、可動式椅子自体や搭乗者、積荷の重量、さらには路面の状態や傾斜によらず、利用者はわずかな労力での移動が可能となる。さらに、慣性によらず入力に応じて移動するため、安全性を向上できる。
〔発明10〕さらに、発明10の可動式椅子の制御方法は、発明9の可動式椅子の制御方法において、前記入力値検出手段が検出した入力が大きいほど、前記移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることを特徴とする。
このような構成であれば、利用者による把持部への入力が大きいほど、移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることにより、利用者による把持部への入力が大きいほど、可動式椅子の移動速度を増加させることが可能となる。すなわち、利用者の意図した移動速度で、可動式椅子自体や搭乗者、積荷の重量、さらには路面状態や傾斜によらず、わずかな労力で移動することが可能となる。
〔発明11〕さらに、発明11の可動式椅子の制御方法は、発明9または10の可動式椅子の制御方法において、前記基体の移動速度に応じた粘性項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、基体の移動速度に応じた粘性項を用いて、目標速度を補正することにより、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。さらに、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。
〔発明12〕さらに、発明12の可動式椅子は、発明9から11のうちいずれか1つの可動式椅子の制御方法において、前記基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする。
このような構成であれば、基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて、目標速度を補正することにより、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。さらに、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。
以上説明したように、発明1の可動式椅子によれば、可動式椅子の一部を把持している利用者は、把持部への入力に応じて、わずかな労力で移動することが可能となるという効果が得られる。
また、発明2の可動式椅子によれば、可動式椅子の移動速度を、可動式椅子の一部を把持している利用者の所望する移動速度に応じた速度に制御することが可能となる。
また、発明3の可動式椅子によれば、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。また、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。このため、可動式椅子の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
また、発明4の可動式椅子によれば、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。また、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。このため、可動式椅子の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
また、発明5の可動式椅子によれば、二つの三軸センサを用いることなく、一つの六軸力センサにより、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出することが可能となる。なお、三軸センサとは、互いに直交する三軸の方向に付与される力をそれぞれ検出する力覚センサである。
また、発明6の可動式椅子によれば、六軸力センサが検出した値に応じて、可動式椅子の傾斜を抑制することが可能となるため、可動式椅子の安定性を向上させることが可能となる。
また、発明7の可動式椅子によれば、利用者が移動モード切り換え操作部を把持することなく、移動モードの切り換え操作を行うことが可能となる。
また、発明8の可動式椅子によれば、モータが発生する駆動力により回転する移動用車輪により地上を移動する可動式椅子を、容易に形成することが可能となる。
一方、発明9の可動式椅子の制御方法によれば、可動式椅子の一部を把持している利用者は、把持部への入力に応じて、わずかな労力で移動することが可能となるという効果が得られる。
また、発明10の可動式椅子の制御方法によれば、可動式椅子の移動速度を、可動式椅子の一部を把持している利用者の所望する移動速度に応じた速度に制御することが可能となる。
また、発明11の可動式椅子の制御方法によれば、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。また、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。このため、可動式椅子の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
また、発明12の可動式椅子の制御方法によれば、可動式椅子の移動速度が急激に変化することを抑制可能となる。また、利用者による把持部への入力が無い状態では、可動式椅子の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となる。このため、可動式椅子の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
第一実施形態に係る車椅子の構成を示す図である。 図1中に円IIで囲んだ範囲及びその周辺の拡大図である。 キャスタ装置の正面図である。 車椅子の制御システムを示すブロック図である。 モータ指令信号の生成において、移動用アクチュエータ制御手段が行う処理を示すフローチャートである。 直動指令信号の生成において、伸縮用アクチュエータ制御手段が行う処理を示すフローチャートである。 案内移動モードにおける車椅子の動作を示すフローチャートである。 自由移動モードにおける車椅子の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明中、可動式椅子を押す人を操作者と呼び、可動式椅子に座る人を搭乗者と呼ぶ。また、操作者と搭乗者の総称を利用者として説明する。
(第一実施形態)
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図4を用いて、本実施形態の可動式椅子である車椅子1の構成を説明する。図1は、本実施形態の車椅子1の側面図であり、車椅子1の構成を模式的に示した図である。
図1中に示すように、本実施形態の車椅子1は、基体2と、移動用車輪4と、二つの障害物検出手段6と、把持部8と、入力値検出手段10と、移動モード切り換え操作部12と、スピーカ14と、二つのキャスタ装置16を備えており、操作者が車椅子1を操作する構成となっている。
基体2は、上面視で四角形をなす中空体により形成されており、その上面には搭乗者が座る座席3を備えている。
移動用車輪4は、後述する移動用アクチュエータ62が発生する駆動力により回転する車輪である。具体的には、移動用車輪4は、基体2の下面へ回転可能に配置された、一対の車輪(左側移動用車輪及び右側移動用車輪)より形成されている。そして、移動用車輪4は、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を伝達可能なプーリ等を介して、移動用アクチュエータ62に接続されている。また、一対の車輪は、それぞれ、基体2の下面において、基体2の中心を基準とした両側面側へ回転可能に配置されている。なお、図1中では、移動用車輪4を形成する一対の車輪のうち、左側移動用車輪のみを示している。
各障害物検出手段6は、例えば、レーザ光線を用いて対象物との距離を検出可能な、レーザレンジセンサを用いて形成されており、基体2の内部に配置されている。なお、障害物検出手段6は、レーザレンジセンサに限定されるものではなく、例えば、赤外線センサや超音波センサ等を用いて形成してもよい。
具体的に、各障害物検出手段6は、基体2の内部において、基体2の前面側(図1中では基体2の左側)と、基体2の後面側(図1中では基体2の右側)に、それぞれ、配置されている。なお、図1中では、基体2の前面側に配置した障害物検出手段6を、障害物検出手段6Fと示し、基体2の後面側に配置した障害物検出手段6を、障害物検出手段6Bと示している。
また、障害物検出手段6は、対象物との距離を検出すると、この距離を含む情報信号を、後述するセンサ信号入力I/F(「I/F」は「インターフェース」であり、以下の「I/F」も同様)へ出力する。ここで、対象物とは、車椅子1の移動時に障害となる物体であり、例えば、建物等の固定物や歩行者等の移動体である。
ここで、図1を参照しつつ、図2を用いて、把持部8、入力値検出手段10、移動モード切り換え操作部12、スピーカ14の構成を説明する。図2は、図1中に円IIで囲んだ範囲及びその周辺の拡大図である。図2中に示すように、把持部8は、フレーム部18と、グリップ部20を備えている。
フレーム部18は、上面視で略A字形に形成されており、略三角形をなす板状部と、この板状部のうち、二箇所の角部から延在する二本の脚部を有している。また、フレーム部18、具体的には、フレーム部18が有する板状部は、入力値検出手段10を介して、基体2の上面に取り付けられている。
グリップ部20は、後述する操作者が片手で把持可能な略円柱状に形成されており、その両端は、それぞれ、フレーム部18が有する二本の脚部に固定されている。また、グリップ部20の軸方向は、基体2の幅方向(左右方向)に延在している。
入力値検出手段10は、互いに直交する三軸の方向に付与される力と、これら三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出可能な六軸力センサであり、フレーム部18と基体2の上面との間に介装されている。なお、六軸力センサとしては、例えば、「67M25A3−I40−AH 200N12」(ニッタ社製)を採用することが可能である。これにより、入力値検出手段10は、グリップ部20を把持する操作者により、グリップ部20を介した把持部8への入力を、互いに直交する三軸の方向に付与される力と、これら三軸の軸回りのモーメントとして、それぞれ検出可能に形成されている。
なお、本実施形態では、互いに直交する三軸を、一対の車輪を配列した方向に延在するx軸と、上面視でx軸と直交するy軸と、側面視でy軸と直交するz軸とした場合について説明する。すなわち、x軸は、車椅子1の左右方向に延在する軸であり、y軸は、車椅子1の前後方向に延在する軸であり、z軸は、車椅子1の高さ方向に延在する軸である。また、入力値検出手段10は、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを検出すると、この検出した力及びモーメントを含む情報信号を、センサ信号入力I/Fへ出力する。
移動モード切り換え操作部12は、操作者による操作面への接触に基づき、車椅子1の移動モードを、基体2を目的地まで移動させる案内移動モード、または、基体2を把持部8への入力に応じた方向へ移動させる自由移動モードに切り換える。そして、この切り換えた移動モードを含む情報信号を、センサ信号入力I/Fへ出力する。
この移動モード切り換え操作部12は、操作者が接触する操作面(ディスプレイ)を、グリップ部20側(図1中では基体2の右側)へ向けたタッチパネルで形成されており、基体2の上面に取り付けたブラケット22を介して、把持部8の近傍に配置されている。なお、移動モード切り換え操作部12の構成は、タッチパネルに限定するものではなく、例えば、後述する各種移動モードや目的地を割り当てた複数のボタンにより、移動モード切り換え操作部12を形成してもよい。
また、移動モード切り換え操作部12の操作面は、画像や文字等の情報を表示可能な表示部を形成している。操作面に表示する情報の具体例としては、後述する案内移動モードにおいて目的地となる位置の名称や、目的地に関連する画像等が挙げられる。
ここで、移動モード切り換え操作部12は、操作者の手が、把持部8を把持するとともに、案内移動モードまたは後述する自由移動モードへの切り換え操作が可能な位置へ配置する。
具体的には、移動モード切り換え操作部12を配置する位置は、操作者が把持部8を把持している指が、タッチパネルの操作面に接触可能な位置とする。本実施形態では、一例として、移動モード切り換え操作部12を配置する位置を、入力値検出手段10の上方とした場合について説明する。
なお、例えば、本実施形態に係る車椅子のような可動式椅子が家庭用または個人用である場合等、可動式椅子を使用する操作者が特定されている場合は、移動モード切り換え操作部12を配置する位置を、操作者の身体的特徴(指の長さ等)に応じて、適切な位置に調節することが好適である。
なお、操作者による操作面への接触を検出する際には、具体例として、操作面に対し、操作者の指による押圧力と同等な強さ以上の入力が加わると、操作者による操作面への接触が行われたと認識する。
そして、操作面のうち、操作者が接触した位置が、案内移動モードへの切り換えに関する情報(アイコン等)を表示している位置である場合、車椅子1の移動モードが案内移動モードへ切り換えられたと認識する。そして、移動モードを案内移動モードへ切り換えた内容を含む情報信号を、センサ信号入力I/Fへ出力する。
一方、操作面のうち、利用者が接触した位置が、自由移動モードへの切り換えに関する情報を表示している位置である場合、車椅子1の移動モードが自由移動モードへ切り換えられたと認識する。そして、移動モードを自由移動モードへ切り換えた内容を含む情報信号を、センサ信号入力I/Fへ出力する。また、移動モード切り換え操作部12は、後述する映像出力I/Fが出力する情報信号に応じて、操作面に画像を表示する。
なお、例えば、本実施形態に係る車椅子のような可動式椅子が、美術館等、特定の施設で用いられる場合等、可動式椅子を使用する地域が特定されている場合は、移動モード切り換え操作部12の操作面に、案内移動モードにおいて目的地となる位置を示す点字を設けてもよい。この場合、可動式椅子を使用する利用者が視覚障害者であっても、利用者が移動モード切り換え操作部12の操作面に接触することにより、移動モード切り換え操作部12を操作することが可能となる。
また、例えば、移動モード切り換え操作部12に、案内移動モードにおいて、現在位置から目的地までの案内における可動式椅子の移動方向や旋回方向を、スピーカ14から出力する音声によって示すことが可能な音声案内機能を備えてもよい。この場合、可動式椅子を使用する利用者が視覚障害者であっても、可動式椅子の移動方向や旋回方向を、予め、音声で出力することが可能となる。これにより、可動式椅子の移動方向や旋回方向を、予め、聴覚的に認識することが可能となるため、利用者を目的地へ案内する際の安全性を向上させることが可能となる。
スピーカ14は、ブラケット22を介して基体2の上面に取り付けられており、後述する音声出力I/Fが出力する情報信号に応じて、音声を出力する。なお、スピーカ14は、音声を出力する方向を、基体2の後方(図1中では基体2の右側)へ向けた状態で、基体2の上面に取り付ける
なお、本実施形態では、把持部8、入力値検出手段10、移動モード切り換え操作部12、スピーカ14は基体2の後面側に設けられており、操作者が操作する仕様となっているが、これを座席部3側に設けて搭乗者が操作するようにしてもよい。さらに、操作者と搭乗者で使い分けが可能となるように付け替え可能としても良い。
以下、図1を用いた説明に復帰する。
各キャスタ装置16は、それぞれ、基体2の下面において、側面視で移動用車輪4よりも前方及び後方へ配置されている。なお、図1中では、側面視で移動用車輪4よりも前方へ配置されているキャスタ装置16を、キャスタ装置16Fと示し、側面視で移動用車輪4よりも後方へ配置されているキャスタ装置16を、キャスタ装置16Bと示している。
ここで、図1を参照しつつ、図3を用いて、キャスタ装置16の詳細な構成を説明する。図3は、キャスタ装置16の正面図である。なお、以下の説明は、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bのうち、キャスタ装置16Fに関する説明であるが、キャスタ装置16Bの構成も、キャスタ装置16Fの構成と同様である。
図3中に示すように、キャスタ装置16は、キャスタ24と、伸縮用アクチュエータ26と、路面反力検出部28を備えている。
キャスタ24は、平衡用車輪30と、平衡用車輪支持部32と、キャスタ支持軸34を有している。
平衡用車輪支持部32は、平衡用車輪30を回転可能に支持した状態で、平衡用車輪30を収容している。
キャスタ支持軸34は、平衡用車輪支持部32の上部において、平衡用車輪30の回転軸と直交する方向を軸方向として、平衡用車輪支持部32へ回転可能に取り付けられている。また、キャスタ支持軸34の上端は、路面反力検出部28の下部に連結されている。
伸縮用アクチュエータ26は、キャスタ24を上下動させてキャスタ装置16を伸縮させるアクチュエータである。また、伸縮用アクチュエータ26は、直線運動する直動軸36を有しており、キャスタフレーム38により支持されている。したがって、キャスタ24は、基体2と平衡用車輪30との間に介装し、且つ平衡用車輪30の回転軸と直交する方向へ伸縮する伸縮部を形成している。
キャスタフレーム38は、金属板を断面逆U字状に形成してなり、U字の開口端部の両側から水平方向にそれぞれ伸長するフランジ40を有している。フランジ40は、基体2の内底面に取り付けられている。また、キャスタフレーム38の上面には、貫通穴(図示せず)が形成されている。
また、伸縮用アクチュエータ26は、出力軸面42を下向きにし、キャスタフレーム38の貫通穴に直動軸36を挿通させて、キャスタフレーム38の上方に設置されている。出力軸面42は、ボルト44により、キャスタフレーム38の上面に固定されている。
路面反力検出部28は、基体2の下方に設置され、高剛性ニードルガイド46を介して、伸縮用アクチュエータ26に連結されている。また、路面反力検出部28は、キャスタ24が受けた路面反力を検出し、この検出した路面反力を含む情報信号を、センサ信号入力I/Fへ出力する。
高剛性ニードルガイド46は、シャフト48を有している。そして、高剛性ニードルガイド46が有するシャフト48を、基体2の底面のうち、キャスタフレーム38の開口部の真下に形成されている貫通穴50に挿通させることにより、高剛性ニードルガイド46を、キャスタフレーム38に固定している。
また、シャフト48の上端は、直動軸36に連結されており、シャフト48の下端は、路面反力検出部28の上部に連結されている。
ここで、一般的に、伸縮用アクチュエータ26は、推力は強いが、軸方向に直交する曲げモーメントに弱いという性質がある。これに対し、本実施形態では、高剛性ニードルガイド46で曲げモーメントを受ける構成を採用することにより、曲げモーメントに対する強度を向上させることが可能となっている。
以上、図1から図3に図示した例では、本実施形態に係る車椅子1の特徴を利用する者(利用者)を操作者として説明したが、搭乗者が利用する場合にも同様の構成を適用できる。また、本実施形態の車椅子1は、搭乗者が座席部3に座り操作者が車椅子1を押す、搭乗者が座席部3に座り自ら車椅子1を操作する、座席部3に搭乗者が乗らず操作者が車椅子1を押す、という三場面で利用可能である。
次に、図1から図3を参照しつつ、図4を用いて、車椅子1の制御システムを説明する。以下のシステムは、利用者が操作者の場合も搭乗者の場合にも適用できる。
図4は、車椅子1の制御システムを示すブロック図である。図4中に示すように、車椅子1の制御システムは、移動制御機構52と、平衡制御機構54と、マップ記憶部56と、自己位置特定部58と、CPU60を備えている。移動制御機構52は、移動用アクチュエータ62と、移動用エンコーダ64と、移動用ドライバ66を備えている。
移動用アクチュエータ62は、移動用車輪4を回転駆動可能なモータで形成されており、左側移動用車輪4Lと右側移動用車輪4Rに、それぞれ連結されている。なお、図4中では、左側移動用車輪4Lに連結されている移動用アクチュエータ62を、移動用アクチュエータ62Lと示し、右側移動用車輪4Rに連結されている移動用アクチュエータ62を、移動用アクチュエータ62Rと示す。
移動用エンコーダ64は、移動用アクチュエータ62に設けられており、移動用アクチュエータ62の回転角度位置を検出し、この検出した回転角度位置を含む情報信号を、移動用ドライバ66及び後述する回転角度位置入力I/F68へ出力する。なお、図4中では、移動用アクチュエータ62Lに設けられている移動用エンコーダ64を、移動用エンコーダ64Lと示し、移動用アクチュエータ62Rに設けられている移動用エンコーダ64を、移動用エンコーダ64Rと示す。
移動用ドライバ66は、移動用アクチュエータ62に設けられており、後述する移動指令信号出力I/F70を介してCPU60から出力されるモータ指令信号と、移動用エンコーダ64が出力する情報信号に基づいて、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。なお、図4中では、移動用アクチュエータ62Lに設けられている移動用ドライバ66を、移動用ドライバ66Lと示し、移動用アクチュエータ62Rに設けられている移動用ドライバ66を、移動用ドライバ66Rと示す。また、モータ指令信号に関する説明は、後述する。
平衡制御機構54は、伸縮用アクチュエータ26と、伸縮用エンコーダ72と、伸縮用ドライバ74を備えている。
伸縮用エンコーダ72は、伸縮用アクチュエータ26に設けられており、伸縮用アクチュエータ26の直動位置を検出し、この検出した直動位置を含む情報信号を、伸縮用ドライバ74及び後述する直動位置入力I/F76へ出力する。なお、図4中では、伸縮用アクチュエータ26Fに設けられている伸縮用エンコーダ72を、伸縮用エンコーダ72Fと示し、伸縮用アクチュエータ26Rに設けられている伸縮用エンコーダ72を、伸縮用エンコーダ72Rと示す。
伸縮用ドライバ74は、伸縮用アクチュエータ26に設けられており、後述する伸縮指令信号出力I/F78を介してCPU60から出力される直動指令信号と、伸縮用エンコーダ72が出力する情報信号に基づいて、伸縮用アクチュエータ26の駆動を制御する。
なお、図4中では、伸縮用アクチュエータ26Fに設けられている伸縮用ドライバ74を、伸縮用ドライバ74Fと示し、伸縮用アクチュエータ26Rに設けられている伸縮用ドライバ74を、伸縮用ドライバ74Rと示す。また、直動指令信号に関する説明は、後述する。
マップ記憶部56は、予め地図データを記憶している。なお、地図データとは、車椅子1の利用範囲における地図に関するデータである。例えば、車椅子1を日常の移動で用いる場合は、街路図等が好ましく、また車椅子1を特定の施設(例えば美術館、自然公園、病院等)内で利用する場合は、その施設内の案内図等が好ましい。
自己位置特定部58は、例えば、GPS(Global Positioning System)を用いて形成されている。また、自己位置特定部58は、車椅子1の現在位置を特定し、この特定した位置を含む情報信号を、後述する経路生成データ入力I/F80を介してCPU60へ出力する。
CPU60は、回転角度位置入力I/F68と、移動指令信号出力I/F70と、直動位置入力I/F76と、伸縮指令信号出力I/F78と、センサ信号入力I/F82と、映像出力I/F84と、音声出力I/F86と、経路生成データ入力I/F80を備えている。これに加え、CPU60は、検出入力値許容手段88と、移動経路生成手段90と、移動用アクチュエータ制御手段92と、伸縮用アクチュエータ制御手段94を備えている。
回転角度位置入力I/F68は、移動用エンコーダ64が出力した情報信号の入力を受けると、この情報信号が含む移動用アクチュエータ62の回転角度位置を、移動用アクチュエータ制御手段92へ出力する。
移動指令信号出力I/F70は、移動用アクチュエータ制御手段92が生成したモータ指令信号を、移動用ドライバ66へ出力する。なお、移動用アクチュエータ制御手段92が行うモータ指令信号の生成に関する説明は、後述する。
直動位置入力I/F76は、伸縮用エンコーダ72が出力した情報信号の入力を受けると、この情報信号が含む伸縮用アクチュエータ26の直動位置を、伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力する。
伸縮指令信号出力I/F78は、伸縮用アクチュエータ制御手段94が生成した直動指令信号を、伸縮用ドライバ74へ出力する。なお、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う直動指令信号の生成に関する説明は、後述する。
センサ信号入力I/F82は、路面反力検出部28が出力した情報信号が含む路面反力を、伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力する。また、センサ信号入力I/F82は、障害物検出手段6が出力した情報信号が含む対象物との距離を、移動用アクチュエータ制御手段92へ出力する。また、センサ信号入力I/F82は、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを、検出入力値許容手段88へ出力する。
また、センサ信号入力I/F82は、移動モード切り換え操作部12が出力した情報信号が含む、利用者の操作により切り換えられた移動モードを示す情報信号を、移動経路生成手段90へ出力する。
映像出力I/F84は、例えば、移動経路生成手段90が出力した情報信号に基づき、移動モード切り換え操作部12の操作面に表示する画像を含む情報信号を、移動モード切り換え操作部12へ出力する。ここで、移動モード切り換え操作部12の操作面に表示する画像は、例えば、車椅子1の移動モードが案内移動モードであるか自由移動モードであるかを示す画像である。
音声出力I/F86は、例えば、障害物検出手段6が出力した情報信号に基づき、スピーカ14から出力する音声を含む情報信号を、スピーカ14へ出力する。ここで、スピーカ14から出力する音声は、例えば、車椅子1の移動経路上に対象物を検出し、この検出した対象物を回避する移動を車椅子1が行う内容を示す、警報メッセージである。
ところで、車椅子1の使用時には、車椅子1を使用する利用者が、把持部8を把持しているか否かの判定を行うことが好適である。すなわち、後述するように、検出入力値許容手段88により、FzがTa以下である場合、利用者が把持部8を把持していないと判定し、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを、移動用アクチュエータ制御手段92及び伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力しないことにより、把持部8への入力を無効とすることが好適である。
検出入力値許容手段88は、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力のうち、z軸の方向に付与される力Fzを、予め設定した二つの閾値Ta及びTb(Ta<Tb)と比較する。そして、FzがTa以下(Fz≦Ta)である場合、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを、移動用アクチュエータ制御手段92及び伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力しない。
これにより、FzがTa以下である場合に、z軸以外の方向に付与される力等が把持部8へ入力されても、この入力に応じて車椅子1が移動することを防止することが可能となる。したがって、本実施形態では、検出入力値許容手段88が、車椅子1のデッドマンスイッチとして機能する。なお、z軸以外の方向に付与される力とは、例えば、利用者が把持部8を把持していない状態において、車椅子1の周辺で使用されているボール等が、把持部8へ衝突した場合に把持部8へ入力される力である。
一方、FzがTb以上(Tb≦Fz)である場合、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを、情報信号として、移動用アクチュエータ制御手段92及び伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力する。
また、FzがTaを超えるとともにTb未満(Ta<Fz<Tb)である場合、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを減少補正する。そして、この減少補正した三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを含む情報信号を、移動用アクチュエータ制御手段92及び伸縮用アクチュエータ制御手段94へ出力する。ここで、上記の減少補正は、Fzが大きいほど、減少度合いを少なくする補正であり、Fzの連続的な変化に応じて、減少度合いも連続的に変化させる。
移動経路生成手段90は、センサ信号入力I/F82が出力する移動モードを示す情報信号と、マップ記憶部56が記憶している地図データと、自己位置特定部58が出力する情報信号を用いて、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成する。そして、この生成した移動経路を含む情報信号を、移動用アクチュエータ制御手段92へ出力する。
具体的には、センサ信号入力I/F82が出力する移動モードが案内移動モードである場合に、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成する。移動用アクチュエータ制御手段92は、検出入力値許容手段88が出力した情報信号と、回転角度位置入力I/F68を介して入力される移動用アクチュエータ62の回転角度位置に基づき、移動用アクチュエータ62の駆動を制御するためのモータ指令信号を生成する。
これに加え、移動用アクチュエータ制御手段92は、センサ信号入力I/F82を介して入力される対象物との距離、及び利用者の操作により切り換えられた移動モードを示す情報信号と、移動経路生成手段90が出力した情報信号に基づき、移動用アクチュエータ62の駆動を制御するためのモータ指令信号を生成する。そして、この生成したモータ指令信号を、移動指令信号出力I/F70を介して移動用ドライバ66へ出力する。
以下、図1から図4を参照しつつ、図5を用いて、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理の一例について説明する。
図5は、モータ指令信号の生成において、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理を示すフローチャートである。図5中に示すフローチャートは、車椅子1の使用者である利用者が、把持部8のグリップ部20を把持した状態でスタート(「START」)する。このとき、z軸の方向に付与される力Fzが、予め設定した閾値Taを超えているか(Ta<Fz?)否かの判断を行うことが好適である。
次に、ステップS10において、検出入力値許容手段88が出力した情報信号に基づき、入力値検出手段10が検出した、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントの入力(ステップS10に示す「六軸力センサからセンサ信号を入力」)を受ける。ステップS10において三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントの入力を受けた後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理は、ステップS12へ移行する。
ステップS12では、三軸の方向に付与される力のうち、車椅子1の前後方向への力を反映するy軸方向に付与される力Fyを算出(ステップS12に示す「力Fyを算出」)する。ステップS12において力Fyを算出した後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理は、ステップS14へ移行する。
ステップS14では、三軸の軸回りのモーメントのうち、利用者の所望する車椅子1の旋回方向を反映するz軸回りのモーメントMzを算出(ステップS14に示す「モーメントMzを算出」)する。ステップS14においてモーメントMzを算出した後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理は、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、ステップS12で算出した力Fyと、後述する式(1)及び(2)に基づき、車椅子1の移動速度を決定(ステップS16に示す「車椅子の移動速度Vを決定」)する。ここで、車椅子1の移動速度は、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど増加するように算出する。
また、車椅子1の移動速度は、前進方向を正とした場合、車椅子1の移動速度をV[m/s]とし、左側移動用車輪の車輪周速度をVl[m/s]、右側移動用車輪の車輪周速度をVr[m/s]とすると、以下の式(1)により算出する。
V=(Vr+Vl)/2 … (1)
そして、車椅子1の仮想質量をMと設定し、さらに、力Fyを用いて、車椅子1の移動速度Vを、以下の式(2)により算出した目標速度(目標移動速度)に決定する。これにより、車椅子1の挙動に、利用者による把持部8への入力を反映させる。
Figure 2012090914
… (2)
ステップS16において車椅子1の移動速度Vを決定した後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理は、ステップS18へ移行する。
ステップS18では、ステップS14で算出したモーメントMzと、後述する式(3)及び(4)に基づき、車椅子1の旋回速度を決定(ステップS18に示す「車椅子の旋回速度Rを決定」)する。具体的には、モーメントMzが「0」よりも大きい場合、車椅子1を右旋回させる際の、車椅子1の旋回速度を算出する。なお、モーメントMzが「0」よりも大きいとは、モーメントMzが車椅子1の右旋回方向へのモーメントである場合とする。一方、モーメントMzが「0」未満である場合、車椅子1を左旋回させる際の、車椅子1の旋回速度を算出する。なお、モーメントMzが「0」未満であるとは、モーメントMzが車椅子1の左旋回方向へのモーメントである場合とする。
ここで、車椅子1の旋回速度は、入力値検出手段10が検出した入力(モーメントMz)が大きいほど増加するように生成する。また、車椅子1の旋回速度は、右旋回を正とした場合、車椅子1の旋回速度をR[rad/s]とし、左側移動用車輪の車輪周速度をVl[m/s]、右側移動用車輪の車輪周速度をVr[m/s]、左側移動用車輪と右側移動用車輪との車輪間距離をLw[m]とすると、以下の式(3)により算出する。
R=(Vl−Vr)/Lw … (3)
そして、車椅子1の仮想質量をM、z軸回りの仮想モーメントをIrzと設定し、さらに、モーメントMzを用いて、車椅子1の旋回速度Rを、以下の式(4)により算出した目標速度(目標旋回速度)を決定する。これにより、車椅子1の挙動に、利用者による把持部8への入力を反映させる。
Figure 2012090914
… (4)
ステップS18において車椅子1の旋回速度Rを決定した後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理は、ステップS20へ移行する。
ステップS20では、まず、ステップS16において決定した移動速度Vと、ステップS18において決定した旋回速度Rに基づき、左側移動用車輪の車輪周速度Vlと右側移動用車輪の車輪周速度Vrを決定する。なお、車輪周速度Vlは、以下の式(5)により算出し、車輪周速度Vrは、以下の式(6)により算出して決定する。ここで、車椅子1の移動速度をV[m/s]とし、左側移動用車輪と右側移動用車輪との車輪間距離をLw[m]、車椅子1の旋回速度をR[rad/s]とする。また、車椅子1の移動速度Vは、前進方向を正とし、車椅子1の旋回速度Rは、右旋回を正とする。
Vl=V+LwR/2 … (5)
Vr=V−LwR/2 … (6)
次に、上記の式(5)及び(6)により算出して決定した車輪周速度Vl及び車輪周速度Vrに基づき、右側移動用車輪及び左側移動用車輪を駆動するモータ指令信号を生成する。さらに、この生成したモータ指令信号を、移動指令信号出力I/F70を介して、移動用ドライバ66へ出力する。これにより、車輪周速度Vl及び車輪周速度Vrを実現するモータ指令信号を、右側移動用車輪及び左側移動用車輪の駆動モータを形成する移動用アクチュエータ62へ出力(ステップS20に示す「V及びRより、Vl及びVrを決定し、駆動モータへ出力」)する。
ステップS20においてモータ指令信号を出力した後、移動用アクチュエータ制御手段92が行う処理のうち、モータ指令信号を生成する処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。なお、上記の処理では、回転角度位置入力I/F68を介して入力される移動用アクチュエータ62の回転角度位置を参照して、モータ指令信号を補正する。ここで、「移動用アクチュエータ62の回転角度位置を参照」とは、例えば、移動用アクチュエータ62の回転角度位置に基づくフィードバック制御である。
また、上記の処理では、センサ信号入力I/F82を介して入力される対象物との距離に応じて、モータ指令信号を補正する。具体的には、車椅子1と対象物との距離と、車椅子1の移動速度に応じて、車椅子1と対象物との接触を回避するような移動用アクチュエータ62の駆動を算出し、この算出した駆動を反映するモータ指令信号を生成する。
さらに、上記の処理では、利用者の操作により切り換えられた移動モードを示す情報信号、及び移動経路生成手段90が出力した情報信号に基づき、モータ指令信号を生成する。移動モードを示す情報信号及び移動経路生成手段90が出力した情報信号に基づく、モータ指令信号の生成に関する説明は、後述する。
したがって、本実施形態の車椅子1の制御方法は、入力値検出手段10が検出した入力に応じて基体2の目標速度を算出し、この算出した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する制御方法である。また、本実施形態の車椅子1の制御方法は、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させる制御方法である。
伸縮用アクチュエータ制御手段94は、センサ信号入力I/F82を介して入力される路面反力と、直動位置入力I/F76を介して入力される伸縮用アクチュエータ26の直動位置に基づき、伸縮用アクチュエータ26の駆動を制御するための直動指令信号を生成する。これに加え、伸縮用アクチュエータ制御手段94は、検出入力値許容手段88が出力した情報信号に基づき、伸縮用アクチュエータ26の駆動を制御するための直動指令信号を生成する。そして、この生成した直動指令信号を、伸縮指令信号出力I/F78を介して伸縮用ドライバ74へ出力する。
以下、図1から図4を参照しつつ、図6を用いて、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う、直動指令信号を生成する処理の一例について説明する。
図6は、直動指令信号の生成において、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理を示すフローチャートである。図6中に示すフローチャートは、車椅子1の使用者である利用者が、把持部8のグリップ部20を把持した状態でスタート(「START」)する。このとき、z軸の方向に付与される力Fzが、予め設定した閾値Taを超えているか(Ta<Fz?)否かの判断を行うことが好適である。
次に、ステップS100において、センサ信号入力I/F82を介して入力される情報信号に基づき、キャスタ装置16Fが備える路面反力検出部28が検出した、キャスタ装置16Fが備えるキャスタ24が受けた路面反力の入力(ステップS100に示す「前部の路面反力検出部からセンサ信号を入力」)を受ける。ステップS100においてキャスタ装置16Fが備えるキャスタ24が受けた路面反力の入力を受けた後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS102へ移行する。
ステップS102では、ステップS100で受けた入力を用いて、キャスタ装置16Fが備えるキャスタ24が受けた路面反力FFを算出(ステップS102に示す「前部の路面反力FFを算出」)する。ステップS102において路面反力FFを算出した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS104へ移行する。
ステップS104では、センサ信号入力I/F82を介して入力される情報信号に基づき、キャスタ装置16Bが備える路面反力検出部28が検出した、キャスタ装置16Bが備えるキャスタ24が受けた路面反力の入力(ステップS104に示す「後部の路面反力検出部からセンサ信号を入力」)を受ける。ステップS104においてキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24が受けた路面反力の入力を受けた後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS106へ移行する。
ステップS106では、ステップS104で受けた入力を用いて、キャスタ装置16Bが備えるキャスタ24が受けた路面反力FBを算出(ステップS106に示す「後部の路面反力FBを算出」)する。ステップS106において路面反力FBを算出した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS108へ移行する。
ステップS108では、ステップS102で算出した路面反力FFと、ステップS106で算出した路面反力FBを、予め設定した標準路面反力FNよりも大きいか否かを判定(ステップS108に示す「FF,FB>FN?」)する。なお、「標準路面反力FN」とは、キャスタ24が受ける標準的な路面反力であり、例えば、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bを標準の長さに設定し、車椅子1を平面に設置させたときに、キャスタ24が受ける路面反力とする。また、標準路面反力FNは、予め、伸縮用アクチュエータ制御手段94に記憶させておく。ステップS108において、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FNよりも大きいと判定(Yes)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS110へ移行する。
一方、ステップS108において、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FN以下であると判定(No)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS112へ移行する。
ステップS110では、路面反力FF及び路面反力FBと標準路面反力FNとの差が小さくなるように、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を短縮させる直動指令信号を生成する。そして、この生成した直動指令信号を、伸縮指令信号出力I/F78を介して、伸縮用ドライバ74へ出力(ステップS110に示す「両キャスタ装置を短縮」)する。これは、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FNよりも大きいとの判定が、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24に荷重がかかりすぎているとの判定に該当するためである。
ステップS110において直動指令信号を出力した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理のうち、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を短縮させる処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。
ステップS112では、ステップS102で算出した路面反力FFと、ステップS106で算出した路面反力FBを、標準路面反力FN未満であるか否かを判定(ステップS112に示す「FF,FB<FN?」)する。
ステップS112において、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FN未満であると判定(Yes)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS114へ移行する。
一方、ステップS112において、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FN以上であると判定(No)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS116へ移行する。
ステップS114では、路面反力FF及び路面反力FBと標準路面反力FNとの差が小さくなるように、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を伸長させる直動指令信号を生成する。そして、この生成した直動指令信号を、伸縮指令信号出力I/F78を介して、伸縮用ドライバ74へ出力(ステップS114に示す「両キャスタ装置を伸長」)する。これは、路面反力FF及び路面反力FBが標準路面反力FN未満であるとの判定が、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24が浮いているとの判定に該当するためである。
ステップS114において直動指令信号を出力した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理のうち、キャスタ装置16F及びキャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を伸長させる処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。
ステップS116では、ステップS102で算出した路面反力FFが、ステップS106で算出した路面反力FBを超えているか否かを判定(ステップS116に示す「FF>FB?」)する。ステップS116において、路面反力FFが路面反力FBを超えていると判定(Yes)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS118へ移行する。
一方、ステップS116において、路面反力FFが路面反力FB以下であると判定(No)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS120へ移行する。
ステップS118では、路面反力FF及び路面反力FBと標準路面反力FNとの差が小さくなるように、キャスタ装置16Fが備えるキャスタ24を伸長させる直動指令信号を生成する。そして、この生成した直動指令信号を、伸縮指令信号出力I/F78を介して、伸縮用ドライバ74へ出力(ステップS118に示す「前部キャスタ装置を伸長」)する。これは、路面反力FFが路面反力FBを超えているとの判定が、車椅子1が前傾姿勢または下り坂を走行中であるとの判定に該当するためである。
ステップS118において直動指令信号を出力した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理のうち、キャスタ装置16Fが備えるキャスタ24を伸長させる処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。
ステップS120では、ステップS102で算出した路面反力FFが、ステップS106で算出した路面反力FB未満であるか否かを判定(ステップS120に示す「FF<FB?」)する。ステップS120において、路面反力FFが路面反力FB未満であると判定(Yes)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理は、ステップS122へ移行する。一方、ステップS120において、路面反力FFが路面反力FB以上であると判定(No)すると、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。
ステップS122では、路面反力FF及び路面反力FBと標準路面反力FNとの差が小さくなるように、キャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を伸長させる直動指令信号を生成する。そして、この生成した直動指令信号を、伸縮指令信号出力I/F78を介して、伸縮用ドライバ74へ出力(ステップS122に示す「後部キャスタ装置を伸長」)する。これは、路面反力FFが路面反力FB未満であるとの判定が、車椅子1が後傾姿勢または上り坂を走行中であるとの判定に該当するためである。 ステップS122において直動指令信号を出力した後、伸縮用アクチュエータ制御手段94が行う処理のうち、キャスタ装置16Bが備えるキャスタ24を伸長させる処理を終了し、元の処理へ復帰(「RETURN」)する。
なお、上記の処理では、直動位置入力I/F76を介して入力される伸縮用アクチュエータ26の直動位置を参照して、直動指令信号を補正する。ここで、「伸縮用アクチュエータ26の直動位置を参照」とは、例えば、伸縮用アクチュエータ26の直動位置に基づくフィードバック制御である。また、上記の処理では、検出入力値許容手段88が出力した情報信号に基づき、入力値検出手段10が出力した情報信号が含む、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを参照して、直動指令信号を補正する。具体例としては、y軸の軸回りのモーメントMyを参照して、直動指令信号を補正する。これにより、伸縮用アクチュエータ制御手段94は、六軸力センサが検出した三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、伸縮用アクチュエータ26の駆動を制御する。
(動作)
次に、図1から図6を参照しつつ、図7及び図8を用いて、本実施形態の動作について説明する。
・案内移動モード
まず、本実施形態の車椅子1を配置した施設内において、基体2、すなわち、車椅子1を、決定した目的地へ移動させる案内移動モードにおける、車椅子1の動作について説明する。なお、以下の説明では、一例として、車椅子1を配置した施設を、美術館とした場合について記載する。
図7は、案内移動モードにおける車椅子1の動作を示すフローチャートである。図7中に示すフローチャートは、利用者が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、案内移動モードへの切り換えに関する情報を表示している位置に接触すると開始(図7中に示す「案内移動モード開始」)する。この場合、前提条件として、上述したように、利用者が把持部8のグリップ部20を把持した状態で、z軸の方向に付与される力Fzが、予め設定した閾値Taを超えているか(Ta<Fz?)否かの判断を行うことが好適である。
ここで、案内移動モードへの切り換えは、移動経路生成手段90が、センサ信号入力I/F82を介して、移動モード切り換え操作部12が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。
次に、ステップS200において、利用者等が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、目的地を示す情報を表示している部分に接触すると、案内移動モードにおける目的地の入力(ステップS200に示す「目的地入力」)を受ける。なお、利用者以外に、例えば、美術館の係員等が存在している場合には、この係員が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、目的地を示す情報を表示している部分に接触してもよい。ここで、案内移動モードにおける目的地の入力は、移動経路生成手段90が、センサ信号入力I/F82を介して、移動モード切り換え操作部12が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。ステップS200において案内移動モードにおける目的地の入力を受けた後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS202へ移行する。
ステップS202では、ステップS200において入力を受けた目的地と、車椅子1の現在位置に基づき、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成(ステップS202に示す「経路生成」)する。ここで、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路の生成は、移動経路生成手段90が、マップ記憶部56が記憶している地図データから、目的地の位置(座標等)を取得し、さらに、自己位置特定部58が出力する情報信号から、車椅子1の現在位置を取得して行う。また、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成すると、移動経路の生成を完了した内容を示す情報信号を、音声出力I/F86を介してスピーカ14へ出力する。これにより、スピーカ14から、移動経路の生成を完了した内容を示す音声を出力する。
同様に、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成すると、移動経路の生成を完了した内容を示す情報信号を、映像出力I/F84を介して移動モード切り換え操作部12へ出力する。これにより、移動モード切り換え操作部12の操作面に、移動経路の生成を完了した内容を示す画像を表示する。なお、移動モード切り換え操作部12の操作面に、移動経路の生成を完了した内容を示す画像に加え、車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を表示してもよい。
ステップS202において車椅子1の現在位置から目的地までの移動経路を生成した後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS204へ移行する。
ステップS204では、車椅子1が、ステップS200で入力した目的地に到着しているか否かを判定(ステップS204に示す「目的地に到着したか?」)する。ここで、車椅子1が目的地に到着しているか否かの判定は、移動経路生成手段90が取得した目的地の位置及び車椅子1の現在位置に基づいて行う。ステップS204において、車椅子1が目的地に到着していると判定(Yes)すると、案内移動モードにおける車椅子1の動作を終了(図7中に示す「案内移動モード終了」)する。
一方、ステップS204において、車椅子1が目的地に到着していないと判定(No)すると、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS206へ移行する。
ステップS206では、利用者による把持部8への入力のうち、車椅子1の前進方向(図1中では車椅子1の左方向)への入力(ステップS206に示す「力入力」)を受ける。ここで、利用者による把持部8への入力は、移動用アクチュエータ制御手段92が、センサ信号入力I/F82及び検出入力値許容手段88を介して、入力値検出手段10が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。ステップS206において利用者による把持部8への入力を受けた後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS208へ移行する。
ステップS208では、入力値検出手段10が検出した入力に基づき、車椅子1の前進速度を算出(ステップS208に示す「前進速度算出」)する。ここで、車椅子1の前進速度を算出する際には、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させて、車椅子1の前進速度が増加するように算出する。ステップS208において車椅子1の前進速度を算出した後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS210へ移行する。
ステップS210では、ステップS202で生成した移動経路に基づき、現在位置から目的地へ移動する車椅子1の旋回速度を算出(ステップS210に示す「経路に倣い旋回速度算出」)する。ここで、車椅子1の旋回速度を算出する際には、車椅子1の移動速度に応じて、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を制御し、車椅子1の旋回速度が適切な速度となるように算出する。これは、例えば、車椅子1の移動速度が早い場合は、車椅子1の旋回速度が低速となるように算出する。ステップS210において車椅子1の旋回速度を算出した後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS212へ移行する。
ステップS212では、ステップS208で算出した車椅子1の前進速度と、ステップS210で算出した車椅子1の旋回速度に基づき、移動用アクチュエータ62の駆動を決定する。すなわち、ステップS212では、移動用アクチュエータ62を形成するモータの回転速度を決定(ステップS212に示す「前進速度及び旋回速度から、モータ速度決定」)する。ステップS212において移動用アクチュエータ62の駆動を決定した後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS214へ移行する。
ステップS214では、ステップS212で決定した移動用アクチュエータ62の駆動に基づき、移動用アクチュエータ62を駆動させる。すなわち、ステップS214では、移動用アクチュエータ62を形成するモータを駆動(ステップS214に示す「モータ駆動」)させる。これにより、車椅子1を、現在位置から目的地へ向けて移動させる。ここで、車椅子1の移動時において、移動経路上の曲がり角を通過する場合等、車椅子1を旋回させて進行方向を大きく変化させる位置では、車椅子1の進行方向が大きく変化する内容を示す情報信号を、音声出力I/F86を介してスピーカ14へ出力する。これは、例えば、車椅子1の進行方向が大きく変化する位置よりも数[m]手前で行うことが好適である。
また、車椅子1の移動時において、障害物検出手段6が出力した情報信号に基づき、車椅子1の移動経路上に対象物(障害物)を検出した場合は、この検出した対象物を回避するように、車椅子1の移動経路を変更する。このとき、車椅子1の移動経路上に対象物(障害物)を検出し、車椅子1の移動経路を変更する内容を示す情報信号を、音声出力I/F86を介してスピーカ14へ出力する。これは、例えば、車椅子1の移動経路を変更する位置よりも数[m]手前で行うことが好適である。
ステップS214において移動用アクチュエータ62を駆動させた後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS204へ復帰する。そして、ステップS206からステップS214の処理は、ステップS204において、車椅子1が目的地に到着していると判定されるまで、継続してループする。なお、車椅子1が目的地へ到着すると、車椅子1が目的地へ到着した内容を示す情報信号を、音声出力I/F86を介してスピーカ14へ出力する。これにより、スピーカ14から、可動式椅子1が目的地へ到着した内容を示す音声を出力して、利用者へ伝達する。
・自由移動モード
次に、基体2、すなわち、車椅子1を、把持部8への入力に応じた方向へ移動させる自由移動モードにおける、車椅子1の動作について説明する。
図8は、自由移動モードにおける車椅子1の動作を示すフローチャートである。 図8中に示すフローチャートは、利用者が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、自由移動モードへの切り換えに関する情報を表示している位置に接触すると開始(図8中に示す「自由移動モード開始」)する。この場合、前提条件として、上述した案内移動モードと同様、利用者が把持部8のグリップ部20を把持した状態で、z軸の方向に付与される力Fzが、予め設定した閾値Taを超えているか(Ta<Fz?)否かの判断を行うことが好適である。
ここで、自由移動モードへの切り換えは、移動経路生成手段90が、センサ信号入力I/F82を介して、移動モード切り換え操作部12が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。
次に、ステップS300において、利用者による把持部8への入力(ステップS300に示す「力入力」)を受ける。ここで、利用者による把持部8への入力は、移動用アクチュエータ制御手段92が、センサ信号入力I/F82及び検出入力値許容手段88を介して、入力値検出手段10が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。ステップS300において利用者による把持部8への入力を受けた後、自由移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS302へ移行する。
ステップS302では、入力値検出手段10が検出した入力に基づき、車椅子1の前進速度と旋回速度を算出(ステップS302に示す「前進速度及び旋回速度算出」)する。ここで、車椅子1の前進速度を算出する際には、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させて、車椅子1の前進速度が増加するように算出する。本実施形態では、車椅子1の前進速度を算出する際に、三軸の方向に付与される力のうち、y軸方向に付与される力Fyを参照する。
また、車椅子1の旋回速度を算出する際には、車椅子1の移動速度に応じて、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を制御し、車椅子1の旋回速度が適切な速度となるように算出する。本実施形態では、車椅子1の旋回速度を算出する際に、三軸の軸回りのモーメントのうち、z軸回りのモーメントMzを参照する。ステップS302において可動式椅子1の前進速度及び旋回速度を算出した後、自由移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS304へ移行する。
ステップS304では、ステップS302で算出した車椅子1の前進速度及び旋回速度に基づき、移動用アクチュエータ62の駆動を決定する。すなわち、ステップS304では、移動用アクチュエータ62を形成するモータの回転速度を決定(ステップS304に示す「前進速度及び旋回速度から、モータ速度決定」)する。ステップS304において移動用アクチュエータ62の駆動を決定した後、案内移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS306へ移行する。
ステップS306では、ステップS304で決定した移動用アクチュエータ62の駆動に基づき、移動用アクチュエータ62を駆動させる。すなわち、ステップS306では、移動用アクチュエータ62を形成するモータを駆動(ステップS306に示す「モータ駆動」)させる。これにより、車椅子1を、利用者による把持部8への入力に応じた方向へ移動させる。
ここで、車椅子1の移動時において、障害物検出手段6が出力した情報信号に基づき、車椅子1の移動経路上に対象物(障害物)を検出した場合は、車椅子1の移動速度を減少させる。これに加え、車椅子1の移動経路上に対象物(障害物)を検出した内容を示す情報信号を、音声出力I/F86を介してスピーカ14へ出力する。これは、例えば、車椅子1の移動速度を減少させる位置よりも数[m]手前で行うことが好適である。ステップS306において移動用アクチュエータ62を駆動させた後、自由移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS308へ移行する。
ステップS308では、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力であるか否かを判定(ステップS308に示す「移動希望入力があるか?」)する。ここで、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力であるか否かの判定は、移動用アクチュエータ制御手段92が、センサ信号入力I/F82及び検出入力値許容手段88を介して、入力値検出手段10が出力した情報信号の入力を受けることにより行う。
また、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力であるか否かの判定は、例えば、自由移動モードを開始した際に閾値Taを超えていた力Fzが、閾値Ta以下に減少している場合に、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力ではないと判定する。また、力Fzが閾値Taを超えている状態であっても、例えば、車椅子1の前進速度を算出する際に参照する力Fyや、車椅子1の旋回速度を算出する際に参照する力Fxが、「0」または略「0」である場合は、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力ではないと判定する。ステップS308において、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力であると判定(Yes)すると、自由移動モードにおける車椅子1の動作は、ステップS300へ復帰する。
一方、ステップS308において、利用者による把持部8への入力が、車椅子1の移動を希望する強さの入力ではないと判定(No)すると、自由移動モードにおける車椅子1の動作を終了(図8中に示す「自由移動モード終了」)する。
・案内移動モードと自由移動モードとの切り換え
次に、図1から図8を参照して、本実施形態の可動式椅子1を配置した施設内において、車椅子1の移動モードを、上述した案内移動モードまたは自由移動モードに切り換える場合の、車椅子1の動作について説明する。
まず、車椅子1の移動モードを、案内移動モードから自由移動モードへ切り換える場合の、車椅子1の動作について説明する。これは、例えば、車椅子1の移動モードを案内移動モードへ切り換えた位置から目的地へ移動する間に、利用者が、目的地以外の場所に立ち寄る場合である。
車椅子1の移動モードを案内移動モードに切り換えている状態では、上述したように、図7中に示すフローチャートに倣い、車椅子1が現在位置から目的地へ移動する(図1から図7参照)。
そして、目的地へ移動中の車椅子1に対し、把持部8を把持している利用者が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、自由移動モードへの切り換えに関する情報を表示している位置に接触すると、車椅子1の移動モードが、案内移動モードから自由移動モードに切り換わる。
このとき、車椅子1の動作は、図7中に示すフローチャート中のどのステップ(S200〜S214)を行っている状態であっても、強制的に図8中に示すフローチャートへ切り換わり、ステップS300から、自由移動モードの動作を開始する。
車椅子1の移動モードを自由移動モードに切り換えている状態では、上述したように、図8中に示すフローチャートに倣い、車椅子1は、利用者の入力に応じた方向へ移動する(図1から図6及び図8参照)。
そして、利用者の入力に応じた方向へ移動する車椅子1に対し、把持部8を把持している利用者が、移動モード切り換え操作部12の操作面のうち、案内移動モードへの切り換えに関する情報を表示している位置に接触すると、車椅子1の移動モードが、自由移動モードから案内移動モードに切り換わる。
このとき、車椅子1の動作は、図8中に示すフローチャート中のどのステップ(S300〜S308)を行っている状態であっても、強制的に図7中に示すフローチャートへ切り換わり、ステップS200から、案内移動モードの動作を開始する。
(第一実施形態の効果)
以下、本実施形態の効果を列挙する。
(1)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が、入力値検出手段10が検出した利用者による把持部8への入力に応じて、基体2の目標速度を算出し、この算出した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。
このため、車椅子1の一部を把持している利用者による、把持部8への入力に応じて、基体2を移動させて、車椅子1を移動させることが可能となる。その結果、利用者と車椅子1が離れることを防止することが可能となり、車椅子の一部を把持している利用者を、把持部8への入力に応じて、利用者を確実に案内し、移動させることが可能となる。
すなわち、車椅子1自体や搭乗者の重量、さらには路面の状態や傾斜によらず、利用者はわずかな労力での移動が可能となる。さらに、慣性によらず入力に応じて移動するため、安全性を向上できる
また、利用者が把持部8を把持している状態で、車椅子1を移動させるため、利用者が視覚障害者や聴覚障害者であっても、利用者を確実に案内し、移動させることが可能となる。
(2)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させる。
このため、利用者による把持部8への入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させて、車椅子1の移動速度を増加させることが可能となる。その結果、把持部8、すなわち、車椅子1の一部を把持している利用者からの入力の強さに応じて、車椅子1の移動速度を制御することが可能となる。このため、車椅子1の移動速度を、利用者の所望する移動速度に応じた速度に制御することが可能となり、利用者を効率的に案内し、移動させることが可能となる。さらに、慣性によらず入力に応じて移動するため、安全性を向上できる。
(3)本実施形態の車椅子1では、入力値検出手段10が、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出可能な六軸力センサとする。このため、一つの六軸力センサにより、利用者による把持部8への入力を、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントとして、それぞれ検出することが可能となる。
その結果、従来では、二つの三軸センサにより検出していた、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントを、それぞれ、一つの六軸力センサにより検出することが可能となる。
また、六軸力センサにより、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントを検出することが可能となるため、三軸センサと比較して、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する際に用いる入力等、検出する入力の自由度が多い。このため、上述したように、一つの六軸力センサを用いて、検出入力値許容手段88を、可動式椅子1のデッドマンスイッチとして機能させることが可能となる。
(4)本実施形態の車椅子1では、伸縮用アクチュエータ制御手段94が、六軸力センサが検出した三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、伸縮用アクチュエータ26の駆動を制御する。
このため、六軸力センサが検出した、三軸の方向に付与される力及び三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、キャスタ24が形成する伸縮部を伸縮させて、基体2と平衡用車輪30との距離を変化させることが可能となる。これは、六軸力センサが、三軸センサと比較して、検出可能な入力(軸の方向に付与される力及び軸の軸回りのモーメント)の自由度に余裕があるためである。
その結果、六軸力センサが検出した値に応じて、車椅子1の傾斜を抑制することが可能となるため、車椅子1の安定性を向上させて、車椅子1の安全性を向上させることが可能となる。
(5)本実施形態の車椅子1では、案内移動モードと自由移動モードとを切り換える移動モード切り換え操作部12を、利用者の手が、把持部8を把持するとともに案内移動モードまたは自由移動モードへの切り換え操作が可能な位置へ配置する。
このため、利用者が、把持部8への入力とともに、車椅子1を移動させる移動モードの切り換え操作を行うことが可能となる。その結果、利用者が移動モード切り換え操作部12を把持することなく、移動モードの切り換え操作を行うことが可能となるため、利用者は、把持部8を介した入力と、移動モード切り換え操作部12の操作面に表示された情報の確認を、同時に行うことが可能となる。これにより、移動モード切り換え操作部12の操作面が、利用者の手等で隠されることがないため、移動モード切り換え操作部12の操作面に表示された情報を記憶する必要がなくなる。
また、利用者が把持部8を把持した状態で、車椅子1を移動させる移動モードの切り換え操作を行うことが可能となるため、目的地への案内中において、利用者が把持部8を把持した状態で、一時的な目的地の変更や、目的地を定めない自由な移動を行うことが可能となる。
(6)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ62をモータとし、車椅子1の構成を、基体2を支持し、且つモータが発生する駆動力により回転する移動用車輪4を備える構成とする。
このため、利用者による把持部8への入力に応じて、モータが発生する駆動力により移動用車輪4を回転させて基体2を移動可能な、車椅子1を形成することが可能となる。その結果、利用者による把持部8への入力に応じて、施設内において地上を移動する車椅子1を、一般的な構成要件であるモータと車輪を用いて、容易に形成することが可能となる。
(7)本実施形態の車椅子1の制御方法では、基体2を移動可能な駆動力を発生する移動用アクチュエータ62の駆動を、基体2へ取り付けられた把持部8への入力を検出する入力値検出手段10が検出した入力に応じて基体2の目標速度を算出し、この算出した目標速度で基体2が移動するように制御する。
このため、車椅子1の一部を把持している利用者による、把持部8への入力に応じて、基体2を移動させて、可動式椅子1を移動させることが可能となる。その結果、利用者(この場合は操作者)と車椅子1が離れることを防止することが可能となり、車椅子の一部を把持している利用者(操作者)を、把持部8への入力に応じて、目的地へ確実に案内し、移動させることが可能となる。また、利用者が把持部8を把持している状態で、車椅子1を移動させるため、利用者が視覚障害者や聴覚障害者であっても、利用者を、目的地へ確実に案内し、移動させることが可能となる。
(8)本実施形態の車椅子1の制御方法では、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させる。
このため、利用者による把持部8への入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させて、車椅子1の移動速度を増加させることが可能となる。その結果、把持部8、すなわち、車椅子1の一部を把持している利用者からの入力の強さに応じて、車椅子1の移動速度を制御することが可能となる。このため、車椅子1の移動速度を、利用者の所望の移動速度に制御することが可能となり、利用者を、目的地へ効率的に案内することが可能となる。
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させたが、これに限定するものではない。すなわち、移動用アクチュエータ制御手段92が、入力値検出手段10が検出した入力の大きさに因らず、入力の有無及び方向のみを参照して、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を制御してもよい。
(2)本実施形態の車椅子1では、入力値検出手段10を六軸力センサとしたが、これに限定するものではなく、入力値検出手段10を三軸センサとしてもよい。
(3)本実施形態の車椅子1では、キャスタ装置16を備える構成としたが、これに限定するものではなく、キャスタ装置16を備えていない構成としてもよい。この場合、伸縮用アクチュエータ26及び伸縮用アクチュエータ制御手段94を備えない構成とする。
(4)本実施形態の車椅子1では、案内移動モードと自由移動モードとを切り換える移動モード切り換え操作部12を備える構成としたが、これに限定するものではなく、移動モード切り換え操作部12を備えていない構成としてもよい。この場合、可動式椅子1の移動モードを、案内移動モードまたは自由移動モードに固定する。
(5)本実施形態の車椅子1では、案内移動モードと自由移動モードとを、移動モード切り換え操作部12を操作することにより切り換える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、利用者の音声を取得可能なマイクロフォンを基体2に備え、音声認識が可能な演算部をCPU60に備えた構成とすることにより、利用者が発生する音声に応じて、案内移動モードと自由移動モードとの切り換えや、目的地の設定を行う構成としてもよい。
(6)本実施形態の車椅子1では、自由移動モードにおいて車椅子1の前進速度を算出する際に、y軸方向に付与される力Fyを参照したが、これに限定するものではない。すなわち、y軸方向に付与される力Fy以外に、三軸の軸回りのモーメントのうち、x軸回りのモーメントMxを参照して、車椅子1の前進速度を算出してもよい。
この場合、例えば、利用者が腕に障害を持ち、把持部8を押す動作は困難であるが、把持部8を捻る動作は容易である場合に、車椅子1の前進速度を、把持部8を捻る力に応じた速度に制御することが可能となる。
(7)本実施形態の車椅子1では、自由移動モードにおいて車椅子1の旋回速度を算出する際に、z軸回りのモーメントMzを参照したが、これに限定するものではない。すなわち、z軸回りのモーメントMz以外に、三軸の方向に付与される力のうち、x軸方向に付与される力Fxや、三軸の軸回りのモーメントのうち、y軸回りのモーメントMyを参照して、車椅子1の旋回速度を算出してもよい。
この場合、例えば、利用者が腕に障害を持ち、把持部8を押す動作は困難であるが、把持部8を捻る動作は容易である場合に、車椅子1の旋回速度を、把持部8を捻る力に応じた速度に制御することが可能となる。
(8)本実施形態の車椅子1では、基体2の下面において、それぞれ、側面視で移動用車輪4よりも前方及び後方へ配置した、二つのキャスタ装置16を備える構成としたが、これに限定するものではない。すなわち、基体2の下面において、それぞれ、側面視で移動用車輪4よりも前方及び後方へ配置した、二つのキャスタ装置16に加え、移動用車輪4を形成する左側移動用車輪及び右側移動用車輪に、それぞれ、キャスタ装置16を備えた構成としてもよい。
(9)本実施形態の車椅子1の制御方法では、入力値検出手段10が検出した入力が大きいほど、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を増加させたが、これに限定するものではない。すなわち、入力値検出手段10が検出した入力の大きさに因らず、入力の有無及び方向のみを参照して、移動用アクチュエータ62が発生する駆動力を制御してもよい。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図5を参照して、本実施形態の可動式椅子の構成を説明する。本実施形態の車椅子1は、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を除き、上述した第一実施形態と同様の構成となっている。このため、以下の説明は、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を中心に記載する。
本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号の生成において、車椅子1の目標速度(目標移動速度、目標旋回速度)を、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて補正する。これにより、移動用アクチュエータ制御手段92は、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。
すなわち、本実施形態の車椅子1では、前進方向を正とした場合に、車椅子1の速度をV[m/s]とし、車椅子1の仮想質量をMと設定し、車椅子1の前進方向の粘性係数をSy[N/(m/s)]と設定する。これに加え、y軸方向に付与される力Fy(図5のステップS12参照)を用いて、車椅子1の速度Vを、以下の式(7)により補正する。これにより、車椅子1の挙動に、車椅子1の移動速度に応じた粘性項と、利用者による把持部8への入力を反映させる。
Figure 2012090914
…(7)
また、本実施形態の車椅子1では、右旋回を正とした場合に、車椅子1の旋回速度をR[rad/s]とし、車椅子1の仮想質量をM、z軸回りの仮想モーメントをIrzと設定し、車椅子1の旋回方向の粘性係数をSrz[Nm/(rad/s)]と設定する。これに加え、z軸回りのモーメントMz(図5のステップS14参照)を用いて、車椅子1の旋回速度Rを、以下の式(8)により補正する。これにより、車椅子1の挙動に、車椅子1の移動速度に応じた粘性項と、利用者による把持部8への入力を反映させる。
Figure 2012090914
…(8)
したがって、本実施形態の車椅子1の制御方法は、基体2、すなわち、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する制御方法である。その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
(動作)
次に、図1から図5及び図7と図8を参照して、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態における車椅子1の動作は、車椅子1の案内移動モードに関わらず、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する点のみが、上述した第一実施形態の動作と異なる。
すなわち、本実施形態における車椅子1は、利用者が把持部8から手を滑らせた場合等、利用者が把持部8を把持している状態から、利用者が把持部8を把持していない状態へと移行した際に、上述した式(7)及び(8)により、車椅子1の移動速度及び旋回速度が補正される。
したがって、本実施形態では、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度及び旋回速度が、粘性項に応じて緩やかに減少し、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。
(第二実施形態の効果)
以下、本実施形態の車椅子1の効果を列挙する。
(1)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が、基体2の移動速度に応じた粘性項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。このため、基体2、すなわち、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。
また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となるため、利用者による把持部8への入力が無い状態において、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。その結果、車椅子1の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
(2)本実施形態の車椅子1の制御方法では、基体2の移動速度に応じた粘性項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。このため、基体2、すなわち、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。
また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度を、粘性項に応じて緩やかに減少させることが可能となるため、利用者による把持部8への入力が無い状態において、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。その結果、車椅子1の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を記載する。
(1)本実施形態の車椅子1では、モータ指令信号の生成において、車椅子1の移動速度及び旋回速度を、基体2の移動速度に応じた粘性項を用いて補正したが、これに限定するものではない。すなわち、モータ指令信号の生成において、車椅子1の移動速度及び旋回速度のうち一方のみを、基体2の移動速度に応じた粘性項を用いて補正してもよい。
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図5を参照して、本実施形態の車椅子の構成を説明する。
本実施形態の車椅子1は、特に図示しないが、上述した第一及び第二実施形態と異なり、車椅子1の前後方向への移動及び旋回に加え、車椅子1の左右方向への移動が可能な構成となっている。これは、例えば、四辺形の頂点にそれぞれ配置した四つの駆動用車輪が、独立して旋回可能な構成の全方向移動台車を用いて形成する。なお、以下の説明は、車椅子1を、上記の全方向移動台車を用いて形成した場合について説明する。
すなわち、本実施形態の車椅子1は、上述した第一及び第二実施形態のような、前進速度及び旋回速度の二自由度の移動ではなく、前進速度及び旋回速度と、左右速度の三自由度の移動を行う。これに伴い、本実施形態の車椅子1は、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理が、上述した第一及び第二実施形態と異なっている。
以下、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を説明する。
本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理において、把持部8への入力Fと、車椅子1の仮想慣性Iを用いて、車椅子1の移動速度V[m/s]を算出する。そして、この算出した移動速度Vを実現するように、モータ指令信号を生成する処理を行う。
ここで、把持部8への入力Fは、以下の式(9)で定義する。
F=[Fx Fy Fz Mx My Mz]T … (9)
また、車椅子1の仮想慣性Iは、以下の式(10)で定義する。
I=[Ix Iy Iz Irx Iry Irz]T … (10)
そして、車椅子1の移動速度Vは、以下の式(11)で定義する。
V=[Vx Vy Vz Rx Ry Rz]T … (11)
以上のように、把持部8への入力F、車椅子1の仮想慣性I、車椅子1の移動速度Vを定義すると、車椅子1の移動速度Vは、以下の式(12)により算出される。
Figure 2012090914
… (12)
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
(動作)
次に、図1から図5及び図7と図8を参照して、本実施形態の動作について説明する。本実施形態における車椅子1の動作は、車椅子1の案内移動モードに関わらず、車椅子1の前進速度及び旋回速度と、左右速度を算出して、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する点のみが、上述した第一及び第二実施形態の動作と異なる。
(第三実施形態の効果)
以下、本実施形態の車椅子1の効果を記載する。
(1)本実施形態の車椅子1では、前後方向への移動及び旋回に加え、左右方向への移動が可能な構成の車椅子1に対し、車椅子1の前進速度及び旋回速度と、左右速度を算出して、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。
これは、六軸力センサを用いて、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び三軸の軸回りのモーメントを検出することにより、利用者による把持部8への入力を、車椅子1の三次元動作に用いるためである。
その結果、上述した第一及び第二実施形態の車椅子1と比較して、動作の自由度が向上しており、円滑な移動が可能となるため、前後方向及び旋回方向の二自由度の移動に限定されず、車椅子1の使用条件を拡大することが可能となる。
(応用例)
以下、本実施形態の応用例を列挙する。
(1)本実施形態の車椅子1では、車椅子1を、四辺形の頂点にそれぞれ配置した四つの駆動用車輪が、独立して旋回可能な構成の全方向移動台車を用いて形成したが、車椅子1の構成は、これに限定するものではない。
すなわち、車椅子1を、例えば、互いに直交する三軸の方向に推力を発生可能なスクリューやハイドロジェット装置等を備える構成とし、水中において六自由度の移動が可能な構成としてもよい。
また、車椅子1を、例えば、互いに直交する三軸の方向に推力を発生可能なホバー噴射装等を備える構成とし、空中において六自由度の移動が可能な構成としてもよい。
(2)本実施形態の車椅子1では、把持部8への入力F、車椅子1の仮想慣性Iを用い、上述した式(12)により車椅子1の移動速度Vを算出したが、これに限定するものではない。すなわち、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて、車椅子1の移動速度Vを補正してもよい。
この場合、粘性係数Sを、以下の式(13)で定義する。
S=[Sx Sy Sz Srx Sry Srz] … (13)
そして、車椅子1の移動速度Vを、以下の式(14)により算出する。
Figure 2012090914
…(14)
このように、車椅子1の移動速度に応じた粘性項を用いて、車椅子1の移動速度Vを補正することにより、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。また、利用者による把持部8への入力が無い状態において、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。このため、車椅子1の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態(以下、「本実施形態」と記載する)について、図面を参照しつつ説明する。
(構成)
まず、図1から図5を参照して、本実施形態の可動式椅子の構成を説明する。
本実施形態の車椅子1は、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を除き、上述した第三実施形態と同様の構成となっている。このため、以下の説明は、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を中心に記載する。
本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号の生成において、車椅子1の目標速度(目標移動速度、目標旋回速度)を、車椅子1の移動速度に応じた摩擦項を用いて補正する。これにより、移動用アクチュエータ制御手段92は、車椅子1の移動速度に応じた摩擦項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。
以下、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理を説明する。
本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が行う、モータ指令信号を生成する処理において、把持部8への入力Fと、車椅子1の仮想慣性Iと、車椅子1の前進方向の粘性係数Sと、車椅子1の仮想質量Mと、車椅子1の摩擦係数μを用いて、車椅子1の移動速度Vを算出する。そして、この算出した移動速度Vを実現するように、モータ指令信号を生成する処理を行う。
ここで、車椅子1の摩擦係数μは、以下の式(15)で定義する。
μ=[μx(Vx) μy(Vy) μz(Vz) μrx(Rx) μry(Ry)
μrz(Rz)]T …(15)
なお、車椅子1の摩擦係数μは、車椅子1の速度に応じて、車椅子1の停止時に発生する静止摩擦と、車椅子1の移動時に発生する動摩擦に切り換える。
以上のように、車椅子1の摩擦係数μを定義すると、車椅子1の移動速度Vは、以下の式(16)により算出される。
Figure 2012090914
…(16)
したがって、本実施形態の車椅子1の制御方法は、基体2、すなわち、車椅子1の移動速度に応じた摩擦項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する制御方法である。
その他の構成は、上述した第一実施形態と同様である。
(動作)
次に、図1から図5及び図7と図8を参照して、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態における車椅子1の動作は、車椅子1の案内移動モードに関わらず、車椅子1に移動速度に応じた摩擦項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する点のみが、上述した第一実施形態の動作と異なる。
すなわち、本実施形態における車椅子1は、利用者が把持部8から手を滑らせた場合等、利用者が把持部8を把持している状態から、利用者が把持部8を把持していない状態へと移行した際に、上述した式(15)及び(16)により、車椅子1の移動速度が補正される。
したがって、本実施形態では、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度が、摩擦項に応じて緩やかに減少し、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。
(第四実施形態の効果)
以下、本実施形態の車椅子1の効果を列挙する。
(1)本実施形態の車椅子1では、移動用アクチュエータ制御手段92が、基体2の移動速度に応じた摩擦項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。このため、基体2、すなわち、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。
また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となるため、利用者による把持部8への入力が無い状態において、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。その結果、車椅子1の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
(2)本実施形態の車椅子1の制御方法では、基体2の移動速度に応じた摩擦項を用いて目標速度を補正し、この補正した目標速度で基体2が移動するように、移動用アクチュエータ62の駆動を制御する。このため、基体2、すなわち、車椅子1の移動時に、車椅子1の移動速度が急激に変化することを抑制することが可能となる。
また、利用者による把持部8への入力が無い状態では、車椅子1の移動速度を、摩擦項に応じて緩やかに減少させることが可能となるため、利用者による把持部8への入力が無い状態において、車椅子1の動作が停止しない状態の発生を防止することが可能となる。その結果、車椅子1の使用時における安全性を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態では、可動式椅子を車椅子として説明したが、本実施形態および以下の応用例の一部または全部を乳母車に適用することも可能である。また、座席部を荷物を載せる載積部とし、歩行補助車等に適用してもよい。
1 車椅子
2 基体
3 座席部
4 移動用車輪
6 障害物検出手段
8 把持部
10 入力値検出手段
12 移動モード切り換え操作部
14 スピーカ
16 キャスタ装置
18 フレーム部
20 グリップ部
24 キャスタ
26 伸縮用アクチュエータ
28 路面反力検出部
30 平衡用車輪
34 キャスタ支持軸
52 移動制御機構
54 平衡制御機構
56 マップ記憶部
58 自己位置特定部
60 CPU
62 移動用アクチュエータ
64 移動用エンコーダ
66 移動用ドライバ
68 回転角度位置入力I/F
70 移動指令信号出力I/F
72 伸縮用エンコーダ
74 伸縮用ドライバ
76 直動位置入力I/F
78 伸縮指令信号出力I/F
80 経路生成データ入力I/F
82 センサ信号入力I/F
84 映像出力I/F
86 音声出力I/F
88 検出入力値許容手段
90 移動経路生成手段
92 移動用アクチュエータ制御手段
94 伸縮用アクチュエータ制御手段

Claims (12)

  1. 座席部または載積部を有する基体と、当該基体に設けられ、且つ前記基体を移動するための駆動力を発生する移動用アクチュエータと、当該移動用アクチュエータの駆動を制御する移動用アクチュエータ制御手段と、前記基体に取り付けられた把持部と、当該把持部への入力を検出する入力値検出手段と、を備えた可動式椅子であって、
    前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記入力値検出手段が検出した入力に応じて前記基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする可動式椅子。
  2. 前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記入力値検出手段が検出した入力が大きいほど、前記移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることを特徴とする請求項1に記載した可動式椅子。
  3. 前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記基体の移動速度に応じた粘性項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項1または2に記載した可動式椅子。
  4. 前記移動用アクチュエータ制御手段は、前記基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載した可動式椅子。
  5. 前記入力値検出手段は、互いに直交する三軸の方向に付与される力、及び前記三軸の軸回りのモーメントをそれぞれ検出可能な六軸力センサであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載した可動式椅子。
  6. 前記基体を支持する平衡用車輪と、前記基体と前記平衡用車輪との間に介装し、且つ前記平衡用車輪の回転軸と直交する方向へ伸縮する伸縮部と、当該伸縮部を伸縮可能な駆動力を発生する伸縮用アクチュエータと、当該伸縮用アクチュエータの駆動を制御する伸縮用アクチュエータ制御部と、を有するキャスタ装置を備え、
    前記伸縮用アクチュエータ制御部は、前記六軸力センサが検出した前記三軸の方向に付与される力及び前記三軸の軸回りのモーメントのうち少なくとも一つに応じて、前記伸縮用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項5に記載した可動式椅子。
  7. 前記基体を目的地まで移動させる案内移動モードと、前記基体を前記把持部への入力に応じた方向へ移動させる自由移動モードと、を切り換える移動モード切り換え操作部を備え、
    前記移動モード切り換え操作部を、可動式椅子を使用する利用者の手が、前記把持部を把持するとともに前記案内移動モードまたは前記自由移動モードへの切り換え操作が可能な位置へ配置したことを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載した可動式椅子。
  8. 前記移動用アクチュエータをモータとし、
    前記基体を支持し、且つ前記モータが発生する駆動力により回転する移動用車輪を備えることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項に記載した可動式椅子。
  9. 座席または載積部を有する基体と、当該基体に設けられ、且つ前記基体を移動するための駆動力を発生する移動用アクチュエータと、前記基体に取り付けられた把持部と、当該把持部への入力を検出する入力値検出手段と、を備えた可動式椅子の制御方法であって、
    前記入力値検出手段が検出した入力に応じて前記基体の目標速度を算出し、この算出した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする可動式椅子の制御方法。
  10. 前記入力値検出手段が検出した入力が大きいほど、前記移動用アクチュエータが発生する駆動力を増加させることを特徴とする請求項9に記載した可動式椅子の制御方法。
  11. 前記基体の移動速度に応じた粘性項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項9または10に記載した可動式椅子の制御方法。
  12. 前記基体の移動速度に応じた摩擦項を用いて前記目標速度を補正し、この補正した目標速度で前記基体が移動するように、前記移動用アクチュエータの駆動を制御することを特徴とする請求項9から11のうちいずれか1項に記載した可動式椅子の制御方法。
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