JPH09164968A - 全方向移動車両およびその制御方法 - Google Patents

全方向移動車両およびその制御方法

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JPH09164968A
JPH09164968A JP7345984A JP34598495A JPH09164968A JP H09164968 A JPH09164968 A JP H09164968A JP 7345984 A JP7345984 A JP 7345984A JP 34598495 A JP34598495 A JP 34598495A JP H09164968 A JPH09164968 A JP H09164968A
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omnidirectional
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drive
steering
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Masayoshi Wada
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  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Control Of Position, Course, Altitude, Or Attitude Of Moving Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の全方向移動車両は機構が複雑なため小
型化が困難であり、しかも操作法が複雑なため用途が限
られていた。 【解決手段】 操舵輪を兼ねた駆動輪1の操舵軸Mをそ
の駆動輪1の接地位置から水平方向に距離sだけ離間し
た位置で軸受け8により車両本体7に支持し、駆動輪1
および操舵軸Mをモータ5,12によりそれぞれ回転駆
動して、車両本体7を前後、左右の任意の方向に移動す
る。また、車両本体7の位置、姿勢方位および操舵軸M
の操舵角度をセンサにより検出し、それら検出値と車両
の移動目標軌道とから駆動輪1と操舵軸Mの角速度比を
算出して制御駆動することにより、目標軌道上を走行す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両本体の方向を
変えることなく任意の方向へ移動することが可能である
とともにそのままの位置で旋回することができる全方向
移動車両およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、全方向移動車両としては、特開平
2−249769号公報に記載のものや、特開平2−1
58460号公報記載のものが知られている。前者は、
車輪の円周上に車輪の回転方向と直交する方向に従動回
転するフリーローラを複数個配置したものである。後者
は、同じく車輪の円周上に車輪の回転方向と45度の方
向に従動回転する樽型のフリーローラを複数個配置した
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の全方向移動車両はいずれも、機構が複雑なため容積や
重量が大きくなりすぎて、充分な接地面積が得られな
い。そのため重量負荷の大きい用途には使用できないと
いう制限があった。また、これらは機構上、空気圧式の
タイヤの使用がほとんど不可能であるため、走行ととも
に接地部に発生する振動等がそのまま車両本体に伝えら
れてしまうという不都合があった。また、従来の全方向
移動車両は、車両を支える全部の車輪が操舵可能である
ため、高速走行に対しては不安定であった。さらに、従
来の全方向移動車両を遠隔操縦装置を用いて操縦する場
合、運転者が車両に乗った状態で操縦するときは、車両
の姿勢方位の変動とともに遠隔操縦装置の姿勢方位も変
動する。これに対して、操縦者が車両に乗らない状態で
操縦するときは、遠隔操縦装置の姿勢方位が保持された
ままで車両が走行すると車両の姿勢方位が変動し両者の
姿勢方位はずれてしまうことになる。しかも、操縦中の
運転者が遠隔操縦装置を持ったまま方向を換えると、以
後の操縦はその方向転換分を考慮して操縦しなければ、
目的としない方向に車両が走行してしまうおそれがあっ
た。本発明は上記の課題を解決するためになされたもの
で、その目的とするところは、小型・軽量でありながら
も充分な耐荷重強度を有し、さらには空気圧式タイヤの
装着が可能な全方向移動車両を提供することにある。さ
らに、本発明の他の目的とするところは、全方向移動車
両を高速でも安定して走行させるとともに、遠隔操縦装
置を用いて操作する場合に、操縦者が車両に乗った状態
で、あるいは降りて任意に移動しながらの状態でも常に
同一の操作感覚で安全・確実に操縦することができる全
方向移動車両およびその制御方法を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、操舵輪をかねた駆動輪と、駆動
輪を回転駆動するアクチュエータと、駆動輪の車軸を支
持する操舵軸と、車両本体に形成されて、駆動輪の接地
位置から水平方向に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわ
りの回動を自在にして支持する軸受け部と、操舵軸を回
転駆動するアクチュエータとにより構成される駆動ユニ
ットを備えたことを特徴とする。それにより、それぞれ
のアクチュエータが同時に回転すると駆動輪、及び操舵
軸が駆動されて車両本体は様々な方向に移動する。
【0005】請求項2の発明は、請求項1の全方向移動
車両において、駆動輪の回転角速度と操舵軸の回転角速
度との比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるよ
うにして両アクチュエータを駆動する制御装置を備えた
ことを特徴とする。それにより、車両本体は駆動輪の回
転角速度と操舵軸の回転角速度との比に応じた方向に移
動する。
【0006】請求項3の発明は、請求項2の全方向移動
車両において、駆動輪、操舵軸、軸受け部、アクチュエ
ータおよび制御装置からなる駆動ユニットを2個以上備
えたことを特徴とする。それにより、複数の駆動ユニッ
トの移動を組み合わせることで、車両本体が並進移動お
よび旋回される。
【0007】請求項4の発明は、請求項3の全方向移動
車両において、車両本体の位置を検出するセンサと、車
両本体の姿勢方位を検出するセンサと、各操舵軸の操舵
角度を検出するセンサと、各センサに検出された車両位
置、車両姿勢方位および操舵軸角度と車両の移動目標軌
道とから駆動ユニットごとに、駆動輪と操舵軸の角速度
比を算出する演算手段とを備えたことを特徴とする。そ
れにより、車両本体の位置、姿勢方位および操舵軸の操
舵角度がセンサにより検出され、それら検出値と車両の
移動目標軌道とから駆動ユニットごとに、駆動輪と操舵
軸の角速度比が算出されることにより、目標軌道上の走
行が可能になる。
【0008】請求項5の発明は、請求項3または請求項
4の全方向移動車両において、車両本体に軸支された操
舵軸により旋回自在に支持される従動輪と、この従動輪
の操舵軸をロックする操舵軸ロック手段とを備えたこと
を特徴とする。それにより、従動輪の操舵軸をロックす
ると、車両の横方向への並進移動および旋回は制限され
るものの駆動輪を高速回転させても走行が安定する。
【0009】請求項6の発明は、請求項3から請求項5
いずれかの全方向移動車両において、操縦者により入力
された前後移動、横移動、旋回の指令を車両本体へ送信
する遠隔操縦装置と、車両本体に搭載されて遠隔操縦装
置からの指令を受信する受信装置とを備えたことを特徴
とする。それにより、操縦者が車両本体から離れた位置
において車両の操縦をすることが可能になる。
【0010】請求項7の発明は、請求項6の全方向移動
車両において、遠隔操縦装置を車両本体に搭載した状態
で操作する場合と車両本体とは別体の離れた状態で操作
する場合とで制御装置の演算を切り換える切換スイッチ
を備えたことを特徴とする。それにより、操縦者が乗車
あるいは降車したどちらの状態でも、車両を同一の操作
感覚で操縦することが可能になる。
【0011】請求項8の発明は、請求項6または請求項
7記載の全方向移動車両において、遠隔操縦装置内に設
置されて遠隔操縦装置の水平面上での姿勢方位を検出す
るセンサと、センサが検出した姿勢方位にもとづいて入
力された指令を補正する手段とを備えたことを特徴とす
る。それにより、操縦者の移動により遠隔操作装置がい
ずれの姿勢方位になっても、装置自体の姿勢方位を基準
にして操縦操作が可能になる。
【0012】請求項9の発明は、請求項5から請求項8
いずれかの全方向移動車両において、従動輪の進行方向
を車両進行方向と一致させた状態で従動輪の操舵軸をロ
ックした後、駆動ユニットの駆動輪の操舵軸の操舵角度
により車両の進行方向を制御し、駆動輪の回転速度によ
り車両速度を制御することを特徴とする。それにより、
車両の走行速度を増しても走行が安定する。
【0013】請求項10の発明は、請求項5から請求項
8いずれかの全方向移動車両において、請求項9の全方
向移動車両の制御方法を高速走行制御モードにおける運
転方法とするとともに、ロック手段を解除した状態での
運転を全方向走行制御モードとして、両制御モードを切
り換えながら走行制御することを特徴とする。それによ
り、車両の走行条件に応じて、どちらか適当な制御モー
ドを選択して車両を走行させることができる。
【0014】請求項11の発明は、請求項10の全方向
移動車両の制御方法において、全方向走行制御モードか
ら高速走行制御モードに切り換える際に、全方向走行制
御モードで前方へ直進をさせ駆動輪および従動輪の操舵
角が車両本体に対して一定角度範囲内に達したことを制
御モード切換条件とすることを特徴とする。それによ
り、高速走行制御モードへの切換が確実になる。
【0015】請求項12の発明は、互いの車軸が同一直
線上に配設されるとともに、台車に軸支された操舵輪を
かねた一対の駆動輪と、両駆動輪を回転駆動する一対の
アクチュエータと、両駆動輪の車軸を支持する操舵軸
と、車両本体に形成されて両駆動輪の接地位置の中点か
ら水平方向に離間した位置で、操舵軸を垂直軸まわりの
回動を自在にして支持する軸受け部とにより構成される
駆動ユニットを備えたことを特徴とする。それにより、
それぞれのアクチュエータが回転すると両駆動輪が駆動
されて車両本体は様々な方向に移動する。
【0016】請求項13の発明は、請求項12記載の全
方向移動車両において、一対の駆動輪のそれぞれの回転
角速度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となる
ように両アクチュエータを駆動する制御装置を備えたこ
とを特徴とする。それにより、車両本体は一対の駆動輪
の回転角速度の比に応じた方向に移動する。
【0017】請求項14の発明は、請求項13の全方向
移動車両において、一対の駆動輪、操舵軸、軸受け部、
一対のアクチュエータ及び制御装置からなる駆動ユニッ
トを2個以上備えたことを特徴とする。それにより、複
数の駆動ユニットの移動を組み合わせることで、車両本
体の並進移動および旋回が可能になる。
【0018】請求項15の発明は、請求項14の全方向
移動車両において、車両本体の位置を検出するセンサ
と、車両本体の姿勢方位を検出するセンサと、各駆動ユ
ニットの操舵角度を検出するセンサと、各センサに検出
された車両位置、車両姿勢方位および操舵角度と車両の
移動目標軌道とから各駆動ユニットごとに、駆動輪の角
速度比を算出する演算手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0019】請求項16の発明は、互いの車軸が同一直
線上に配設されるとともに、台車に軸支された操舵輪を
かねた一対の駆動輪と、両駆動輪を回転駆動する2つの
アクチュエータと、両駆動輪の車軸を支持する操舵軸
と、車両本体に形成されて、両駆動輪の接地位置の中点
から水平方向に離間した位置で、操舵軸を垂直軸まわり
の回動を自在にして支持する軸受け部と、操舵軸を回転
駆動するアクチュエータと、により構成される駆動ユニ
ットを備えたことを特徴とする。それにより、それぞれ
のアクチュエータが同時に回転すると両駆動輪、操舵軸
が駆動されて車両本体は様々な方向へ移動し、姿勢が変
化する。
【0020】請求項17の発明は、請求項16の全方向
移動車両において、一対の駆動輪のそれぞれの回転角速
度の比が駆動ユニットの姿勢方位に応じた値となるよう
に、一対の駆動輪用アクチュエータを駆動するととも
に、車両の姿勢方位を変化させるように操舵軸用アクチ
ュエータを駆動する制御装置を備えたことを特徴とす
る。 それにより、車両本体は、一対の駆動輪の回転角
速度の比に応じた方向に移動し、操舵軸の回転の方向に
旋回することが可能になる。
【0021】請求項18の発明は、請求項17の全方向
移動車両において、一対の駆動輪、操舵軸、軸受け部、
3つのアクチュエータ、および制御装置からなる駆動ユ
ニットを1個以上備えたことを特徴とする。それによ
り、複数の駆動ユニットの移動を組み合わせることで、
車両本体の並進移動および旋回が可能になる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図に沿って本発明の実施形
態を説明する。図1は請求項1から請求項4の発明に係
る第1の実施形態の要部を示す縦断面図であり、図2は
図1の一部を破断して示した側面図である。図におい
て、1は操舵輪をかねた駆動輪であり、駆動輪1を支持
固定する車軸2により、操舵軸である脚3に回転自在に
支持されている。なお、駆動輪1には、通常、空気圧式
タイヤが装着される。車軸2は減速機4を介して、アク
チュエータであるモータ5に接続されている。モータ5
の他端にはエンコーダ6が接続されて駆動輪1の回転角
度が検出される。
【0023】また、脚3は、その上端が、車両本体7に
軸受け8を介して垂直軸まわりの回動を自在にして支持
されている。ここで軸受け8の中心、すなわち脚3の回
転中心は、駆動輪1の接地位置から水平距離sだけオフ
セットされた位置とされている。脚3の上面には同軸上
に歯車9が取付けられて、本体7に支持されている歯車
11と噛合接続される。歯車11は、アクチュエータで
あるモータ12の出力軸13に支持固定されている。モ
ータ12の他端にはエンコーダ14が接続されて脚3の
回転角度すなわち操舵角度が検出される。
【0024】図3は、図1、図2における駆動輪1の動
作原理を示した説明図である。図は、駆動輪1を上方か
らみた平面図であり、説明上、脚3は両持ちのヨーク状
に表してある。図中のGは駆動輪1の接地点であり、M
は脚3の回転中心(操舵軸)であり、GM間がオフセッ
ト距離sとなる。ここで、脚3が図中の上方へ移動する
ように、モータ5を駆動して外径Dの駆動輪1を角速度
ωで回転駆動させると、操舵軸Mには次式に示す移動速
度Vhが得られる。
【0025】
【数1】Vh=D/2・ω
【0026】同様に、脚3に支持された駆動輪1が時計
方向に旋回するように、モータ12を駆動して脚3を角
速度γで回転駆動させると、脚3により横方向へ移動さ
れようとした駆動輪1は接地面の摩擦抵抗により横方向
の移動が制止され、その反動として脚3はG点を中心と
して時計方向に旋回する。このとき操舵軸Mには次式に
示す移動速度Vsが得られる。
【0027】
【数2】Vs=s・γ
【0028】すなわち、駆動輪1と脚3を同時に駆動す
ると、操舵軸Mは、たがいに直交する、2つの速度
h,Vsが発生する。これらの速度Vh,Vsは合成され
て速度Vとなり、操舵軸Mを移動させる。ここで駆動輪
1の進行方向に対する合成速度Vの角度をαとすると、
各速度Vh,Vs,Vは、次式の関係となる。
【0029】
【数3】Vh=V・cosα
【0030】
【数4】Vs=V・sinα
【0031】その結果、駆動輪1の角速度ωと脚3の角
速度γを一定の比となるように制御することで、操舵軸
Mを所定の方向に移動させることが可能になる。なお、
上記の関係式は、脚3の回転を開始した瞬間に成立する
が、次の瞬間は駆動輪1の方向が変わるため関係式が不
成立となる。しかし、エンコーダ14で、変化する脚3
の方向を常時検出して、それに応じて角速度ω、角速度
γを補正することで、操舵軸Mを所定方向へ連続して移
動させることが可能となる。
【0032】図4は、図3における操舵軸Mを所定の軌
道上を移動させる場合の制御方法を示す説明図である。
図において、Kは目標とする軌道であり、軌道K上の操
舵軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角度を
θとし、駆動輪1と座標軸Xとの角度をφとするとき、
操舵軸Mに目標速度Vを発生するための各速度成分
h,Vsは、次式により求められる。
【0033】
【数5】Vh=V・cos(φ−θ)
【0034】
【数6】Vs=V・sin(φ−θ)
【0035】すなわち、あらかじめ、移動速度Vを定め
ておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φを検出するととも
に、図示しないセンサにより角度θを検出することで、
各軸ごとの速度成分Vh,Vsが求められる。これらの速
度が得られるように、駆動輪1、脚3の角速度ω,γを
制御することで操舵軸Mが目標とする軌道K上を移動す
ることができる。
【0036】なお、軌道Kについての座標データとし
て、X軸、Y軸の速度成分が時系列的に与えられること
があり、その場合は与えられたX軸、Y軸の速度成分V
x,Vyを用いて、次式により各軸ごとの速度成分Vh,V
sを求めることができる。
【0037】
【数7】 Vh=V・cos(φ−θ) =V・cosθ・cosφ+V・sinθ・sinφ =Vx・cosφ+Vy・sinφ
【0038】
【数8】 Vs=V・sin(φ−θ) =V・cosθ・sinφ−V・sinθ・cosφ) =Vx・sinφ+Vy・cosφ
【0039】図5は、第1の実施形態の車両の全体を示
す斜視図であり、図1、図2に示された、駆動輪1、脚
3、軸受け8、モータ5,12およびこれらの制御装置
(図示せず)等から構成される駆動ユニットが左右に設
置されている。なお、図中の15は、従動輪である。
【0040】図6は、図5に示した車両における制御方
法を示す説明図である。図において、Lは目標とする軌
道であり、軌道L上を車両本体7の中心Cが走行するよ
うに制御される。中心Cは距離2Wを隔てて設置された
両ユニットの操舵軸M1とM2の中間の位置とする。ここ
で、中心Cの移動速度をVとし、X軸、Y軸の速度成分
をVxc,Vycとすると、車両本体7が回転をともなわず
並進走行する場合は、操舵軸M1のX軸、Y軸の速度成
分Vx1,Vy1および操舵軸M2のX軸、Y軸の速度成分V
x2,Vy2はそれぞれ次式のようになる。
【0041】
【数9】Vx1=Vxc
【0042】
【数10】Vy1=Vyc
【0043】
【数11】Vx2=Vxc
【0044】
【数12】Vy2=Vyc
【0045】次に、車両本体7が走行しないで角速度d
φv/dtで回転する場合、操舵軸M1のX軸、Y軸の速
度成分Vx1,Vy1および操舵軸M2のX軸、Y軸の速度成
分Vx2,Vy2はそれぞれ次式のようになる。
【0046】
【数13】Vx1=−W・dφv/dt・cosφv
【0047】
【数14】Vy1=−W・dφv/dt・sinφv
【0048】
【数15】Vx2=W・dφv/dt・cosφv
【0049】
【数16】Vy2=W・dφv/dt・sinφv
【0050】ただし、φvは車両本体7とX軸とのなす
角度である。これらのことから、車両本体7が角速度d
φv/dtで回転しながら速度Vで走行する場合、操舵
軸M1のX軸、Y軸の速度成分Vx1,Vy1および操舵軸M
2のX軸、Y軸の速度成分Vx2,Vy2は、数式9〜数式1
2と数式13〜数式16をそれぞれ加算することにより
次式のようになる。
【0051】
【数17】Vx1=Vxc−W・dφv/dt・cosφv
【0052】
【数18】Vy1=Vyc−W・dφv/dt・sinφv
【0053】
【数19】Vx2=Vxc+W・dφv/dt・cosφv
【0054】
【数20】Vy2=Vyc+W・dφv/dt・sinφv
【0055】このようにして求められた速度成分にもと
づき、左右の駆動輪1を回転駆動するとともに操舵する
ことで、車両本体7は軌道L上を走行する。特に、この
実施形態では、前後、左右方向の並進移動および旋回が
可能であるため、車両本体7の方向を変えることなく全
方向に瞬時に方向転換して移動することが可能となり、
小回りのきく小型車両用として各種産業分野において使
用することができる。
【0056】また、方向転換の場合、駆動輪1の回転と
操舵軸Mの操舵とを組み合わせて駆動するため、操舵が
なめらかにおこなわれる。さらに、この実施形態では、
駆動輪1として、空気圧式タイヤを用いたため、走行中
に接地部に発生する振動等が車両本体7に伝わることが
防止される。なお、この実施形態では、左右一対の駆動
ユニットによる走行を説明したが、3個以上の駆動ユニ
ットを取付けた場合も同様にして、走行の制御が可能で
ある。
【0057】次に、請求項5から請求項11の発明に係
る第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実
施形態の全方向移動車両の外観図であり、図8は図7の
底面図である。図において、21,22は操舵輪をかね
た駆動輪であり、操舵軸である脚23,24に軸支さ
れ、その車軸は脚23,24に取り付けられたモータ2
5,26により回転駆動される。駆動輪21,22に
は、空気圧式タイヤが装着されている。脚23,24は
車両本体27の前部に垂直軸回りの回転を自在に支持さ
れるとともに、下部の駆動輪21,22の車軸を支持す
る位置が垂直回転軸よりもオフセットされている。
【0058】脚23,24の上端は、歯車を介してモー
タ28,29に接続されて操舵される。なお、モータ2
5,26およびモータ28,29には、図示しないがエ
ンコーダが内蔵されている。車両本体27の後部には、
垂直軸回りの回転を自在に脚31,32が支持され、そ
の下端のオフセットされた位置に従動輪33,34が軸
支されてキャスタとして機能する。従動輪33,34の
操舵軸である脚31,32の上端には、操舵軸ロック手
段であるところのブレーキ35,36が取り付けられて
いる。ここで、図中の矢印の表示のように、車両の右方
を前方とすると、駆動輪21,22が前輪、従動輪3
3,34が後輪となる。
【0059】この第2の実施形態の構成は、従動輪3
3,34にブレーキ35,36を設けた点以外は、図5
に示された第1の実施形態と共通であるため、ブレーキ
35,36がフリーな状態では、第1の実施形態と同様
な制御により、前後、左右方向の並進移動および旋回が
可能である。また、この実施形態の新たな特徴として、
ブレーキ35,36を作動させて従動輪33,34をロ
ックした状態で、従来の乗用車のような駆動輪21,2
2をほぼ同一位相の操舵と回転駆動することで安定した
高速走行が可能になる。
【0060】すなわち、この実施形態では、並進移動お
よび旋回移動をする全方向移動制御モードと、従動輪の
操舵をロックしての高速走行制御モードとを備え、走行
条件に応じて両制御モードを切り換えながら走行させる
ことを可能にしたものである。なお、この実施形態で
は、従動輪を2個の構成としたが、1個の構成とした場
合も同様に機能する。
【0061】図9は、上述した車両27の制御モードの
切換制御を示す説明図である。この車両27は、最初
に、車庫であるところの壁面37に形成された凹部38
に停車している。この位置をAとして、最初は全方向移
動制御モードにより、車両27を横方向へ並進移動させ
てAからBへ移動する。次いで、そのB位置で車両27
を旋回により反転させて進行方向の右方に向かせる。そ
の結果、駆動輪21,22が右側位置に、従動輪33,
34が左側位置となる。この状態では、車両27が全方
向移動制御モードにより移動した後であるため、各車輪
は互いに異なる方向を向いている。
【0062】次に、進行方向に車両27を前進させる。
車両27が直進を開始すると、やがて各車輪が同一方向
にそろう。ここで、車両27の制御装置(図示せず)に
対して、操縦者から高速走行制御モードへの切り換えの
指令が入力されているものとすると、各車輪の操舵角が
監視され、全車輪の方向が進行方向と一致した時点(C
位置)で、ブレーキ35,36が作動されることによ
り、従動輪33,34の操舵軸である脚31,32がロ
ックされ、高速走行制御モードに切り換えられる。この
状態では、車両27が通常の道路を走行する一般車両と
同様の駆動制御が行われる。つまり、後輪の操舵軸が固
定されて前輪のみが操舵輪として機能することにより、
安定した高速走行が可能となる。
【0063】こうして高速走行制御モードに切り換えら
れた後は、さらに駆動輪21,22の回転速度を増して
高速走行をすることが可能になる。高速走行制御モード
において、車両の進路を変更する場合は、次のD位置に
示すように、進路を左方向へ変えようとすると、駆動輪
21,22の操舵軸である脚23,24をモータ28,
29により、それぞれ反時計方向に回動させる。このと
き、後輪の車軸の延長線に対する駆動輪21,22の車
軸の延長線の交点Oが常に一致するように、駆動輪2
1,22の互いの操舵角が制御される。
【0064】この車軸の交点Oがすなわち車両27の旋
回中心である。また、高速走行制御モードから低速の全
方向移動制御モードへの切換は、車両27を減速して所
定の速度以下になった時点で、ブレーキ35,36の動
作を解除して行われる。なお、車両27に対する走行制
御指令の入力は、3自由度の入力が可能なジョイスティ
ック等を備えた操縦装置により行われる。すなわち、全
方向移動制御モードでは、前後方向および左右方向の並
進移動に2自由度、旋回動作に1自由度が割り当てられ
る。高速走行制御モードでは、前後方向の移動に1自由
度が、左右操舵に1自由度が割り当てられる。
【0065】図10は、操縦者が車両に乗らない状態
で、地上からリモコンの操縦装置により車両を操縦する
場合を示す説明図である。図では高速走行制御モードに
おいて、地上に置かれた操縦装置41の操縦棒42を操
作することにより、操縦装置41に設置された発信装置
(図示せず)から、車両27に設置されている受信装置
(図示せず)に操作指令信号が送られ、その指令内容に
基づいて車両走行の制御が行われる。図示例では、車両
27がAの位置からB,Cの位置に右旋回しながら移動
する場合を示し、地上のXY座標系に対して、車両27
の走行とともに車両27の姿勢方位が時計方向に回転す
る。
【0066】つまり、車両27に対する操縦装置41の
相対角度が変化することを意味する。そのため、各位置
において操縦棒42から入力される指令の方向と、車両
27の進行方向の関係は、第1の実施形態と同様であ
り、数式17〜数式20により求められる速度成分にも
とづき、左右の駆動輪21,22が回転駆動されるとと
もに操舵されることで、車両27が操縦装置41の指令
に応じた走行が行われる。なお、図中で車両27の中心
位置に表示された操縦装置は、地上の操縦装置41と車
両27の相対角度の変化を説明するために便宜的に記入
されたものであり、実際に操縦装置が車両27上に搭載
されているわけではない。
【0067】図11は、操縦装置を車両に搭載しさらに
操縦者が乗車した状態で、車両の操縦する場合を示す説
明図である。図では、車両27がAの位置からB,Cの
位置に右旋回しながら移動する場合に、操縦装置41も
ともに旋回するため、B,Cの位置では、操縦棒42か
ら入力される指令の内容が、図10の場合と異なり、そ
のままでは、指令内容と走行方向に齟齬を起こすことに
なる。そこで、制御モードが設定された段階で、X座標
軸に対する車両27の角度φv0を読み取り、数式17〜
数式20中の変数φvを固定値φv0に置き換える。その
結果、数式17〜数式20はそれぞれ次の数式21〜数
式24のようになる。
【0068】
【数21】Vx1=Vxc−W・dφv/dt・cosφv0
【0069】
【数22】Vy1=Vyc−W・dφv/dt・sinφv0
【0070】
【数23】Vx2=Vxc+W・dφv/dt・cosφv0
【0071】
【数24】Vy2=Vyc+W・dφv/dt・sinφv0
【0072】これらの数式より求められた値をそれぞれ
駆動輪21,22に対する速度指令値とすることによ
り、操縦者が乗車していても地上にいる場合と同様な感
覚で車両の操縦をすることが可能になる。なお、操縦装
置41を車両上で使用する場合と地上で使用する場合を
切り換えるための切換スイッチ(図示せず)が操縦装置
41または車両27側に設けられており、操縦者は操作
形態を変更する場合にその切換スイッチを操作すること
でその状態に応じた操縦が可能になる。また、システム
の立ち上げ時に、この切換スイッチが操作されて車両上
で操縦することが選択されると、角度φv0が0となり、
車両27の前方向と操縦棒42のY軸指令方向とが一致
する。
【0073】図12は、地上にいる操縦者が操縦装置を
携帯しながら車両を操縦する場合を示す説明図である。
ここでは、地上において操縦者が操縦装置41を携帯し
ながら車両27を操縦した場合に、操縦者の移動ととも
に操縦装置41の姿勢方位が変化した場合のその変化量
を検出する角度センサ43を、操縦装置41自体に設置
したものである。図では、車両27が位置Aから順に
B,C,D,Eと右旋回しながら障害物45の陰に移動
する場合を示す。この角度センサ43は、姿勢方位の相
対的な変化量でなく、操縦装置41の姿勢についての絶
対方位を検出させる構成とすることもできる。
【0074】なお、操縦者は、初めに位置Aの近くの位
置Fに操縦装置41を携帯していき操縦を開始するが、
車両27の移動とともに、障害物45の陰に車両27が
隠れるため、途中で、操縦者は操縦装置41を携帯しな
がら位置Gまで移動する。このとき、操縦者の向きも車
両27の方向に変わるため、操縦装置41が時計方向に
回転されてしまうが、角度センサ43がその回転角度φ
Jを測定して、それを指令とともに車両27へ送る。車
両27の制御装置では、送られた回転角度φJを用い
て、数式17〜数式20中のφvを、それぞれ次の数式
25〜数式28のように補正する。
【0075】
【数25】 Vx1=Vxc−W・dφv/dt・cos(φv−φJ
【0076】
【数26】 Vy1=Vyc−W・dφv/dt・sin(φv−φJ
【0077】
【数27】 Vx2=Vxc+W・dφv/dt・cosφ(φv−φJ
【0078】
【数28】 Vy2=Vyc+W・dφv/dt・sinφ(φv−φJ
【0079】これらの数式により求められた値をそれぞ
れ駆動輪21,22に対する速度指令値とすることによ
り、操縦者の移動により操縦装置41の姿勢方位が変化
しても、常にその位置における操縦装置41に対して操
縦棒42の操作により入力された指令通りに、車両27
の操縦が行われる。なお、角度センサ43を備えた操縦
装置41は、全方向移動車両以外にも、同様な走行機構
を備えた移動ロボットの操縦装置にも適用可能である。
【0080】次に、請求項12から請求項15の発明に
係る第3の実施形態について説明する。図13は、第3
の実施形態の全方向移動車両を構成する駆動ユニットの
平面図であり、図14は図13の一部を破断して示した
側面図である。両図において、51,52は操舵輪をか
ねた外径Dの駆動輪であり、この車軸53,54は互い
に同一直線上となる位置で台車55に軸支されている。
台車55にはアクチュエータであるモータ56,57が
配設され、歯車65,66、歯車67,68を介して車
軸53,54に接続されている。
【0081】モータ56,57の他端には、それぞれエ
ンコーダ58,59が付設されている。台車55の端部
上面に、垂直な操舵軸61が立設され、その上端が車両
本体62に軸受け63を介して軸支されている。操舵軸
61は、車軸が同軸上すなわち平行に配設された駆動輪
51,52の中間点から車軸と直角方向に距離sの位置
に設けられている。これら台車55に設置された各部品
により駆動ユニットが構成される。操舵軸61の上端に
はエンコーダ64が設置され、操舵軸61の回転角度す
なわち駆動ユニットの操舵角度が検出される。
【0082】図15は、図13,図14における駆動ユ
ニットの動作原理を示した説明図である。図は、駆動ユ
ニットを上方からみた平面図であり、図中のG1,G2
駆動輪51,52の接地点であり、Mは操舵軸61の回
転中心であり、G1,G2の中点Oと回転中心Mとの距離
がオフセット距離sとなる。ここで、モータ56,57
を駆動して、外径Dの駆動輪51,52を角速度ω1
ω2で回転駆動させると、その接地点G1,G2の中点O
には、並進速度と回転角速度が発生する。ここで発生す
る並進速度V0および回転角速度dψ0/dtは、二輪速
度差駆動方式車両において公知である次の運動式により
求められる。
【0083】
【数29】
【0084】
【数30】
【0085】このとき、操舵軸61の回転中心Mにおい
て、駆動ユニット前方向に速度Vhが、駆動ユニット横
方向に速度Vsが発生する。これらはそれぞれ次式によ
り求められる。
【0086】
【数31】
【0087】
【数32】
【0088】これら速度Vh、速度Vsは、回転中心Mに
おいて合成されて、台車55から操舵軸61を介して車
両本体62を移動させる速度Vとなり、その方向は駆動
ユニットに対して角度αの方向となる。ここで、速度V
h、速度Vsは、次式により表される。
【0089】
【数33】
【0090】
【数34】
【0091】これらのことから、駆動輪51,52の角
速度ω1,ω2の比が一定となるように、モータ56,5
7の回転を制御することで、操舵軸Mを所定の方向に移
動させることが可能になる。なお、上記の関係式は、台
車55が回転を開始した瞬間に成立するが、次の瞬間は
駆動輪51,52の方向が変わるため関係式が不成立と
なる。しかし、エンコーダ64で、変化する台車55の
方向を常時検出して、次の式により、駆動輪51,52
の角速度ω1,ω2を補正することで、操舵軸Mを所定方
向へ連続して移動させることが可能となる。
【0092】
【数35】
【0093】
【数36】
【0094】図16は、図15における操舵軸Mを所定
の軌道上を移動させる場合の制御方法を示す説明図であ
る。図において、Kは目標とする軌道であり、軌道K上
の操舵軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角
度をθとし、台車55と座標軸Xとの角度をφとすると
き、操舵軸Mに発生する各速度成分Vh,Vsは、次式に
より求められる。
【0095】
【数37】Vh=V・cos(φ−θ)
【0096】
【数38】Vs=V・sin(φ−θ)
【0097】すなわち、あらかじめ、移動速度Vを定め
ておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φを検出するととも
に、図示しないセンサにより角度θを検出することで、
各軸ごとの速度成分Vh,Vsが求められる。これらの速
度が得られるように、駆動輪51,52の角速度ω1
ω2を、数式35,36により算出して制御することで
操舵軸Mが目標とする軌道K上を移動することができ
る。なお、軌道Kについての座標データとして、X軸、
Y軸の速度成分が時系列的に与えられると、そのX軸、
Y軸の速度成分Vx,Vyを用いて、次式により各軸ごと
の速度成分Vh,Vsを求めることができる。
【0098】
【数39】 Vh=V・cos(φ−θ) =V・cosθ・cosφ+V・sinθ・sinφ =Vx・cosφ+Vy・sinφ
【0099】
【数40】 Vs=V・sin(φ−θ) =V・cosθ・sinφ−V・sinθ・cosφ) =Vx・sinφ+Vy・cosφ
【0100】図17は、第3の実施形態の車両全体を示
す斜視図であり、図13、図14に示した駆動ユニット
が左右に設置されている。図中の71,72は従動輪で
ある。図示例は2個の駆動ユニットにより構成されてい
るが、3個以上の駆動ユニットにより構成することも可
能である。なお、この第3の実施形態についても、第2
の実施形態と同様に従動輪71,72にロック手段を設
けて、全方向移動制御モードと高速走行制御モードとを
切り換えて走行させることが可能である。
【0101】次に、請求項16から請求項18の発明に
係る第4の実施形態について説明する。図18は、第4
の実施形態の全方向移動車両を構成する駆動ユニットの
平面図であり、図19は図18の一部を破断して示した
側面図である。両図において、81,82は操舵輪をか
ねた外径Dの駆動輪であり、この車軸83,84は互い
に同一直線上となる位置で台車85に軸支されている。
台車85にはアクチュエータであるモータ86,87が
配設され、歯車95,96、歯車97,98を介して車
軸83,84に接続されている。
【0102】モータ86,87の他端にはそれぞれエン
コーダ88,89が付設されている。台車85の端部上
面に、垂直な操舵軸91が立設され、その上端が車両本
体92に軸受け93を介して軸支されている。車両本体
92にはアクチュエータであるモータ94が配設され、
歯車111,112を介して操舵軸91に接続されてい
る。モータ94の他端にはエンコーダ113が接続され
て操舵軸91の回転角度が検出される。操舵軸91は、
車軸が同軸上すなわち平行に配設された駆動輪81,8
2の中間点から車軸と直角方向に距離sの位置に設けら
れている。これら台車85に設置された各部品により駆
動ユニットが構成される。
【0103】図20は、図18、図19における駆動ユ
ニットの動作原理を示した説明図である。図は、駆動ユ
ニットを上方からみた平面図であり、図中のG1,G2
駆動輪81,82の接地点であり、Mは操舵軸91の回
転中心であり、G1,G2の中点Oと回転中心Mとの距離
がオフセット距離sとなる。ここで、モータ86,87
を駆動して、外径Dの駆動輪81,82を角速度ω1
ω2で回転駆動させると、その接地点G1,G2の中点O
には、並進速度と回転角速度が発生する。ここで発生す
る並進速度V0および回転角速度ψ0は、二輪速度差駆動
方式車両において公知である次の式により求められる。
【0104】
【数41】
【0105】
【数42】
【0106】このとき、操舵軸91の回転中心Mにおい
て、駆動ユニット前方向に速度Vhが、駆動ユニット横
方向に速度Vsが発生する。これらはそれぞれ次式によ
り求められる。
【0107】
【数43】
【0108】
【数44】
【0109】これらの速度Vh,Vsは、回転中心Mにお
いて合成されて、台車85から操舵軸91を介して車両
本体92を移動させる速度Vとなり、その方向は、駆動
ユニットに対して角度αの方向となる。ここで、速度V
h、速度Vsは、次式により表される。
【0110】
【数45】
【0111】
【数46】
【0112】さらに、モータ94を駆動して、操舵軸9
1を角速度ω3で回転駆動させると、車両本体92は、
操舵軸91の中心点Mを中心として次式に示す角速度d
ψv/dtで回転する。
【0113】
【数47】dψv/dt=ω3+dψ0/dt
【0114】これらのことから、駆動輪81,82の角
速度ω1,ω2の比が一定となるように、モータ86,8
7の回転を制御することで、操舵軸Mを所定の方向に移
動させ、台車85の回転角速度dψ0/dtを補正する
ような操舵軸91の角速度ω3を発生するようにモータ
94の回転を制御することで、車両本体を回転すること
が可能となる。
【0115】なお、数式45、数式46の関係式は、台
車85が回転を開始した瞬間に成立するが、次の瞬間は
駆動輪81,82の方向が変わるため関係式が不成立と
なる。しかし、エンコーダ113で、変化する台車85
の方向を常時検出して、次の式により、駆動輪81,8
2の角速度ω1,ω2を補正することで操舵軸Mを所定の
方向へ連続して移動させることが可能となる。
【0116】
【数48】
【0117】
【数49】
【0118】図21は、図20における操舵軸Mを所定
の軌道上に移動させ、車両本体92を回転させる場合の
制御方法を示す説明図である。図において、Kは目標と
する軌道であり、また、軌道K上の各点において、車両
本体の目標姿勢φvが与えられている。軌道K上の操舵
軸Mが位置する点における接線と座標軸Xとの角度を
θ、台車85と座標軸Xとの角度をφとし、ここでの車
両本体92の目標姿勢をφvとするとき、操舵軸Mに発
生する各速度成分Vh,Vs、車両本体92の回転角度φ
vは次式により求められる。
【0119】
【数50】Vh=V・cos(φ−θ)
【0120】
【数51】Vs=V・sin(φ−θ)
【0121】
【数52】ω3=d/dt(φv−θ)
【0122】すなわち、あらかじめ、移動速度V、姿勢
方位φvを定めておき、移動中の瞬間、瞬間に角度φを
検出するとともに、図示しないセンサにより角度θを検
出することで、各軸ごとの速度成分Vh,Vs、回転角速
度ω3が求められる。Vh,V sの速度が得られるよう
に、駆動輪81,82の角速度ω1,ω2を、数式48,
49により算出して制御することで操舵軸Mが目標とす
る軌道K上を移動することができ、操舵軸の回転角速度
ω3を制御することで車両本体92が目標とする姿勢方
位を向くことができる。なお、軌道Kについての座標デ
ータとして、X軸、Y軸の速度成分が時系列的に与えら
れると、そのX軸、Y軸の速度成分Vx,Vyを用いて、
次式により各軸ごとの速度成分Vh,Vsを求めることが
できる。
【0123】
【数53】 Vh=V・cos(φ−θ) =V・cosθ・cosφ+V・sinθ・sinφ =Vx・cosφ+Vy・sinφ
【0124】
【数54】 Vs=V・sin(φ−θ) =V・cosθ・sinφ−V・sinθ・cosφ) =Vx・sinφ+Vy・cosφ
【0125】図22は、第4の実施形態の車両全体を示
す外観図であり、図23は図22の底面図である。図1
8、図19に示した駆動ユニットが車両本体92の中央
に1個設置されている。図中の121は従動輪である。
図示例は1個の駆動ユニットにより構成されているが、
2個以上の駆動ユニットにより構成することも可能であ
る。なお、この第4の実施形態についても、第2、第3
の実施形態と同様に従動輪121のいづれかの2つのロ
ック手段を設けて、全方向移動制御モードと高速走行制
御モードとを切り換えて走行させることが可能である。
【0126】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1から請求項
4の発明によれば、操舵輪をかねた駆動輪の操舵軸をそ
の駆動輪の接地位置から水平方向に離間した位置で軸受
け部により車両本体に支持し、駆動輪および操舵軸を各
アクチュエータによりそれぞれ回転駆動して車両を前
後、左右方向の並進移動および旋回する構成としたこと
により、制御駆動部が2個ですみ駆動機構が簡単で小型
・軽量になる。また、車輪として空気圧式タイヤの装着
が可能となるため充分な耐荷重強度が得られ、同時に、
走行中車輪に発生する振動が車両に伝わることが防止さ
れる。
【0127】請求項5から請求項11の発明によれば、
従動輪の操舵軸をロックして走行させることにより高速
走行が安定するとともに、遠隔操縦装置を用いることに
より、操縦者が乗車または降車したどちらの状態でも、
同一の操作感覚で車両を操縦することができる。
【0128】請求項12から請求項15の発明によれ
ば、互いの車軸が同一直線上に配設されるとともに、台
車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動輪と、両駆動
輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、両駆動輪の
車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形成されて両駆動
輪の接地位置の中点から水平方向に離間した位置で、操
舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受け
部とから構成された駆動ユニットを車両本体に2個以上
設置して、請求項1から請求項4の発明と同様に、比較
的簡単な構成で車両の前後、左右方向の並進移動および
旋回を可能にする。
【0129】請求項16から請求項18の発明によれ
ば、互いの車軸が同一直線上に配設されるとともに、台
車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動輪と、両駆動
輪を回転駆動する2つのアクチュエータと、両駆動輪の
車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形成されて、両駆
動輪の接地位置の中点から水平方向に離間した位置で、
操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持する軸受
け部と、操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、によ
り構成される駆動ユニットを車両本体に1個以上設置し
て、請求項1から請求項4の発明と同様に、車両の前
後、左右方向の並進移動および旋回を可能にしたことに
より、アクチュエータが3個ですみ、駆動機構がより簡
単で小型、軽量になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜4の発明に係る第1の実施形態の要
部を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を破断して示した側面図である。
【図3】第1の実施形態における駆動輪の動作原理を示
す説明図である。
【図4】第1の実施形態における操舵軸の制御方法を示
す説明図である。
【図5】第1の実施形態の車両全体を示す斜視図であ
る。
【図6】第1の実施形態における車両の制御方法を示す
説明図である。
【図7】請求項5〜11の発明に係る第2の実施形態の
外観図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】第2の実施形態の操縦例を示す説明図である。
【図10】第2の実施形態の操縦例を示す説明図であ
る。
【図11】第2の実施形態の操縦例を示す説明図であ
る。
【図12】第2の実施形態の操縦例を示す説明図であ
る。
【図13】請求項12〜15の発明に係る第3の実施形
態の要部の平面図である。
【図14】図13の一部を破断して示した側面図であ
る。
【図15】第3の実施形態における動作原理を示す説明
図である。
【図16】第3の実施形態における動作原理を示す説明
図である。
【図17】第3の実施形態の車両全体を示す斜視図であ
る。
【図18】請求項16〜18の発明に係る第4の実施形
態の要部の平面図である。
【図19】図18の一部を破断して示した側面図であ
る。
【図20】第4の実施形態における動作原理を示す説明
図である。
【図21】図20における操舵軸Mの制御方法を示す説
明図である。
【図22】第4の実施形態の車両の全体を示す外観図で
ある。
【図23】図22の底面図である。
【符号の説明】
1 駆動輪 2 車軸 3 脚 4 減速機 5 モータ 6 エンコーダ 7 車両本体 8 軸受け 9,11 歯車 12 モータ 13 出力軸 14 エンコーダ 15 従動輪 21,22 駆動輪 23,24 脚 25,26 モータ 27 車両本体 28,29 モータ 31,32 脚 33,34 従動輪 35,36 ブレーキ 37 壁面 38 凹部 41 操縦装置 42 操縦棒 43 角度センサ 45 障害物 51,52 駆動輪 53,54 車軸 55 台車 56,57 モータ 58,59 エンコーダ 61 操舵軸 62 車両本体 63 軸受け 64 エンコーダ 65〜68 歯車 71,72 従動輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B62D 137:00

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操舵輪をかねた駆動輪と、 駆動輪を回転駆動するアクチュエータと、 駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、 車両本体に形成されて、駆動輪の接地位置から水平方向
    に離間した位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在に
    して支持する軸受け部と、 操舵軸を回転駆動するアクチュエータと、 により構成される駆動ユニットを備えたことを特徴とす
    る全方向移動車両。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の全方向移動車両におい
    て、 駆動輪の回転角速度と操舵軸の回転角速度との比が駆動
    ユニットの姿勢方位に応じた値となるようにして両アク
    チュエータを駆動する制御装置を備えたことを特徴とす
    る全方向移動車両。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の全方向移動車両におい
    て、 駆動輪、操舵軸、軸受け部、2つのアクチュエータおよ
    び制御装置からなる駆動ユニットを2個以上備えたこと
    を特徴とする全方向移動車両。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の全方向移動車両におい
    て、 車両本体の位置を検出するセンサと、 車両本体の姿勢方位を検出するセンサと、 各操舵軸の操舵角度を検出するセンサと、 各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操
    舵軸角度と車両の移動目標軌道とから駆動ユニットごと
    に、駆動輪と操舵軸の角速度比を算出する演算手段と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  5. 【請求項5】 請求項3または請求項4記載の全方向移
    動車両において、 車両本体に軸支された操舵軸により旋回自在に支持され
    る従動輪と、 この従動輪の操舵軸をロックする操舵軸ロック手段と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  6. 【請求項6】 請求項3から請求項5記載のいずれか1
    項に記載の全方向移動車両において、 操縦者により入力された前後移動、横移動、旋回の指令
    を車両本体へ送信する遠隔操縦装置と、 車両本体に搭載されて遠隔操縦装置からの指令を受信す
    る受信装置と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の全方向移動車両におい
    て、 遠隔操縦装置を車両本体に搭載した状態で操作する場合
    と車両本体とは別体の離れた状態で操作する場合とで制
    御装置の演算を切り換える切換スイッチを備えたことを
    特徴とする全方向移動車両。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7記載の全方向移
    動車両において、 遠隔操縦装置内に設置されて遠隔操縦装置の水平面上で
    の姿勢方位を検出するセンサと、 センサが検出した姿勢方位にもとづいて入力された指令
    を補正する手段と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  9. 【請求項9】 請求項5から請求項8いずれか1項に記
    載の全方向移動車両において、 従動輪の進行方向を車両進行方向と一致させた状態で従
    動輪の操舵軸をロックした後、駆動ユニットの駆動輪の
    操舵軸の操舵角度により車両の進行方向を制御し、駆動
    輪の回転速度により車両速度を制御することを特徴とす
    る全方向移動車両の制御方法。
  10. 【請求項10】 請求項5から請求項8いずれか1項に
    記載の全方向移動車両において、 請求項9記載の全方向移動車両の制御方法を高速走行制
    御モードにおける運転方法とするとともに、ロック手段
    が解除された状態での運転を全方向走行制御モードとし
    て、両制御モードを切り換えながら走行制御することを
    特徴とする全方向移動車両の制御方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の全方向移動車両の制
    御方法において、 全方向走行制御モードから高速走行制御モードに切り換
    える際に、全方向走行制御モードで前方向直進をさせ駆
    動輪および従動輪の操舵角が車両本体に対して一定角度
    範囲内に達したことを制御モード切換条件とすることを
    特徴とする全方向移動車両の制御方法。
  12. 【請求項12】 互いの車軸が同一直線上に配設される
    とともに台車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動輪
    と、両駆動輪を回転駆動する一対のアクチュエータと、
    両駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形成さ
    れて、両駆動輪の接地位置の中点から水平方向に離間し
    た位置で操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にして支持
    する軸受け部と、 により構成される駆動ユニットを備えたことを特徴とす
    る全方向移動車両。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の全方向移動車両にお
    いて、 一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニッ
    トの姿勢方位に応じた値となるように両アクチュエータ
    を駆動する制御装置を備えたことを特徴とする全方向移
    動車両。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の全方向移動車両にお
    いて、 一対の駆動輪、操舵軸、軸受け部、一対のアクチュエー
    タ及び制御装置からなる駆動ユニットを2個以上備えた
    ことを特徴とする全方向移動車両。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の全方向移動車両にお
    いて、 車両本体の位置を検出するセンサと、 車両本体の姿勢方位を検出するセンサと、 各駆動ユニットの操舵角度を検出するセンサと、 各センサに検出された車両位置、車両姿勢方位および操
    舵角度と車両の移動目標軌道とから各駆動ユニットごと
    に、駆動輪の角速度比を算出する演算手段と、 を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  16. 【請求項16】 互いの車軸が同一直線上に配設される
    とともに、台車に軸支された操舵輪をかねた一対の駆動
    輪と、両駆動輪を回転駆動する2つのアクチュエータ
    と、両駆動輪の車軸を支持する操舵軸と、車両本体に形
    成されて、両駆動輪の接地位置の中点から水平方向に離
    間した位置で、操舵軸を垂直軸まわりの回動を自在にし
    て支持する軸受け部と、操舵軸を回転駆動するアクチュ
    エータと、 により構成される駆動ユニットを備えたことを特徴とす
    る全方向移動車両。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の全方向移動車両にお
    いて、 一対の駆動輪のそれぞれの回転角速度の比が駆動ユニッ
    トの姿勢方位に応じた値となるように、一対の駆動輪用
    アクチュエータを駆動するとともに、車両の姿勢方位を
    変化させるように操舵軸用アクチュエータを駆動する制
    御装置を備えたことを特徴とする全方向移動車両。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の全方向移動車両にお
    いて、 一対の駆動輪、操舵軸、軸受け部、3つのアクチュエー
    タ、および制御装置からなる駆動ユニットを1個以上備
    えたことを特徴とする全方向移動車両。
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