JP3560249B2 - 有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は有機リン系の殺虫剤を加熱して植物体に寄生した害虫を該植物体から離れさせるようにした有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、有機リン系の殺虫剤の加熱温度としては110℃以上のものが知られていた。また、ピレスロイド系の殺虫剤を40〜70℃で加熱することは知られていた。(特開昭56−122305)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の加熱蒸散方法の場合110℃以上に加熱するため、高温に耐えうる発熱装置を必要とするため熱源が限られ、更に、発火の危険性もあった。また、ピレスロイド系の殺虫剤は高価なため使用しにくかった。本発明は上記従来の欠点を除去することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、蒸気圧が3.5×10 -5 mmHg/20℃以上である有機リン系殺虫成分を60〜110℃未満の温度に加熱して該有効成分を密閉空間内に蒸散させることにより密閉空間内の植物体に寄生した害虫を該植物体から離れさせることを特徴とする有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法に係る。
【0005】
本発明において、有機リン系の殺虫剤としてはピリミホスメチル、ジクロルボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、フェンチオン、マラチオン、ナレド、クロルフェンビンフォス、テトラクロルビンフォス、プロパホス、シアノホス、ジクロロフェンチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホス、イソキサチオン、サリチオン、フェンソエイト、フォルモチオン、メカルバム、DAEP、チオメトン、イソチオエート、IPSP、ホスメット、ホサロン、メチダチオン、メサゾン、プロチオフォス、バミドチオン、ESP、アセフェート、トリクロルフォン、EPN、シアノフェンフォス、EPBP、レプトホス等が考えられるが、好ましくはピリミホスメチルが良い。
【0006】
本発明においては、上記薬剤以外のものでも、蒸気圧が3.5×10−5mmHg/20℃以上のものを用いることができる。
【0007】
上記殺虫剤には、通常用いられている効力増強剤、揮散率向上剤、消臭剤、香料、目ずまり防止剤等の各種添加剤を任意に添加することができる。効力増強剤としては、N−プロピルイゾーム、MGK−264、サイネピリン222、リーセン384、IBTA、S−421等を、揮散率向上剤としてはフェネチルイソチオシアネート、ハイミックス酸ジメチル、消臭剤としてはラウリルメタアクリレート(LMA)等を、香料としてはシトラール、シトロネラール等を、目ずまり防止剤としては、BHA、BHT等を夫々例示できる。
【0008】
本発明において加熱蒸散方法としてはマット式の蚊取器具、液体式の蚊取器具、カイロ方式が考えられるが、熱源としては加熱温度を60〜110℃未満に限定できるものであれば電気的なもの、アルコール等を用いたもの、空気及び/又は水と接触して発熱する物質等任意である。
【0009】
マット式の蚊取器具として使用の場合、本発明薬剤を保持させるための担体としては薬剤が易浸透性で易移動性のものがよく、天然繊維、動植物繊維、再生繊維、合成繊維等の有機繊維やガラス繊維、石綿等の無機繊維製の紙、不織布、CaCO3,SiO2、Al2O3等の無機質粉等を例示できる。
【0010】
上記担体の厚みは1〜4mm好ましくは1.5〜3mmがよく、厚みが4mmより超すと熱伝導性が不充分となり、薬剤の良好な蒸散が困難となり、1.0mm以下であるとおのずと単位面積あたりの薬剤保持量に制約を受け好ましくない。上記担体の大きさ、面積は得に制限はないが、通常1〜100cm2とするのが好ましい。形状も板状、筒状等を例示できる。又、形態的には蒸散面及び/又は被加熱面にアルミ等の金属薄膜を設けたものでもよい。
【0011】
液体式蚊取器具として使用の場合、上記殺虫剤は溶液形態に調製される。本発明においては、該殺虫剤溶液を調製するための溶剤としては、各種の有機溶剤、代表的には炭化水素系溶剤をいずれも使用できるが、特に沸点範囲が150〜350℃の脂肪族系炭化水素(パラフィン系炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素)は好ましく、このうちn−パラフィン、イソパラフィン等は、実用上毒性がなく、臭いがなくしかも火災の危険も極めて少ない点において好適である。上記炭化水素系以外の有機溶剤としては例えばグリセリン、プロピレングリコール、メタノール、アセトン、キシレン、シリコーンオイル、クロルセンイソプロパノール、クロロホルム等を例示できる。
【0012】
上記殺虫剤の溶剤溶液は、用いるべき殺虫剤の種類に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常殺虫剤濃度が約0.5〜80重量%、好ましくは約3〜75重量%、より好ましくは4〜50重量%となるよう調製される。なお、殺虫剤濃度は高濃度で使用することにより、溶剤の量が少なくてすむという利点がある。
【0013】
本発明方法は、従来公知の各種吸液芯を利用した吸上式加熱蒸散型殺虫装置に適用して、いずれも前記した所期の優れた効果を奏し得る。本発明方法の適用できる上記装置は、例えば特公昭52−12106号公報、実開昭58−45670号公報等に記載されている。
【0014】
上記装置に利用される吸液芯としては、通常用いられている各種素材、例えばフェルト、木綿、パルプ、不織布、石綿、無機質成型物等のいずれでもよく、フェルト芯、素焼芯、パルプ芯及び無機質成型芯が好ましい。上記無機質成型芯の具体例としては磁気多孔質、グラスファイバー、石綿等の無機繊維を石膏やベントナイト等の結合剤で固めたものや、カオリン、活性白土、タルク、ケイソウ土、クレー、パーライト、石膏、ベントナイト、アルミナ、シリカ、アルミナシリカ、チタニウム、ガラス質火山岩焼成粉末、ガラス質火山灰焼成粉末等の鉱物質粉末を単独で又は木粉、炭粉、活性炭等と共に糊剤例えばデキストリン、デンプン、アラビアゴム、合成糊CMC等で固めたものを例示できる。
【0015】
特に好ましい吸液芯は、上記鉱物質粉末100重量部と木粉又は該木粉に等重量までの炭粉及び/又は活性炭を混合した混合物10〜300重量部とに糊剤を全吸液芯重量の5〜25重量%となるまで配合し、更にこれらに水を加えて練合後、押出成型し乾燥することにより製造される。
【0016】
該吸液芯は吸液速度が1〜40時間、好ましくは8〜21時間であるのが望ましい。この吸液速度とは、液温25℃のn−パラフィン液中に直径7mm×長さ70mmの吸液芯をその下部より15mmまで浸漬し、芯頂にn−パラフィンが達するまでの時間を測定することにより求められた値を意味する。また上記吸液芯中には、上記鉱物質粉末、木粉及び糊剤の他更に必要に応じてマラカイトグリーン等の色素、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸等のカビ止め剤等を配合することもできる。
【0017】
【作用】
本発明は上記のように比較的低温で加熱するため、簡易な熱源でよく、入手しやすい有機リン系の殺虫剤により安価に害虫を植物体から離れさせることができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例にもとづき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0019】
製剤例1〜17
下記第1表に示す殺虫剤ピリミホスメチル、有機溶剤を夫々所定の配合割合で添加混合して、本発明方法に適用する加熱蒸散剤を得る。
【0020】
【表1】
【0021】
尚、第1表中溶剤、添加剤の項における記号は以下のものを示す。
BA…沸点150〜180℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BB…沸点180〜210℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BC…沸点210〜240℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BD…沸点240〜270℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BE…沸点270〜300℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BF…沸点300〜350℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
CA…3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)
CB…3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)
CC…S−421
【0022】
製剤例12
ピリミホスメチル80mgを適量のアセトンに溶解し、4cm×4cm、厚さ0.14mmのパルプ板に含浸させた後、アセトンを風乾し、加熱蒸散剤を得る。これを30〜70℃に発熱する石油ベンジン式カイロの表面に固定することにより加熱蒸散器具を得る。
【0023】
製剤例13
ピリミホスメチル50mgおよびBHT20mgを適量のアセトンに溶解し、不織布の片面に含浸させた後、アセトンを風乾し、加熱蒸散剤を得る。これを、酸化熱の利用により50〜70℃に発熱する発熱体の最外側の袋として使用することにより加熱蒸散器具を得る。
【0024】
製剤例14
ピリミホスメチル80mg、オクタクロロジプロピルエーテル40mgおよびBHT30mgを適量のへキサンに溶解し、3cm×3cm、厚さ0.1cmのパルプ板に含浸させ、加熱蒸散剤を得る。これを30〜70℃に発熱する発熱体(例えばカイロ)の片面に貼り付けることにより、加熱蒸散器具を得る。
【0025】
製剤例15
ピリミホスメチル0.1gおよびBHT0.05gを珪藻土に含浸させ、加熱蒸散剤を得る。この珪藻土を酸化熱の利用により50〜100℃に発熱する発熱剤の中に均一に混合し、和紙製の袋に詰めることより、加熱蒸散器具を得る。
【0026】
製剤例16
ピリミホスメチル50mg、ピペロニルブトキシド10mgおよびジブチルヒドロキノン50mgを適量のアセトンに溶解し、不織布の片面に含浸させた後、アセトンを風乾して加熱蒸散剤を得る。これを、酸化熱の利用により50〜100℃に発熱する発熱剤を詰めるための中袋として使用し、その外側を木綿製で覆うことにより加熱蒸散器具を得る。
【0027】
製剤例17
ピリミホスメチル0.4gおよびピペロニルブトキシド0.2gをアセトンに溶解し、全量を10mlとする。この0.5mlを2.5cm×1.5cm、厚さ0.3cmの電気マット用基材(コットンリンターとパルプの混合物のフィブリルを板状に固めたもの)に均一に含浸させることにより加熱蒸散剤を得る。また、該マットを、ヒーター部が50〜100℃に発熱する電気マット用ヒーターに固定することにより加熱蒸散器具を得る。
【0028】
本発明の有効性を証明するため有効の成分としてピリミホスメチルを用い、そのタバココナジラミに対する効果を次の方法により試験を行った。
【0029】
試験方法
10Lのガラスポット(径22cm、高さ30cm)に、タバココナジラミ成虫を寄生させたキャベツ(ポット植え)を入れ、温度制御可能な電子蚊取り器をセットし、所定量の薬剤を処理する。市販のポリフィルムで軽くカバーした後、18〜20℃条件下で、経時的に供試虫の状態を記録する。
試験結果を第2表に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
考察
60〜106℃加熱条件で供試虫の植物体への寄生を少なくすることができた。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記のように有機リン系の殺虫剤を60〜110℃未満に加熱蒸散させることにより温室内等の植物体への微小害虫の寄生を少なくし、草花の被害を防除できる。又、低温加熱のため、発熱装置も安価なものが使用できる等種々の効果を有する。
【産業上の利用分野】
本発明は有機リン系の殺虫剤を加熱して植物体に寄生した害虫を該植物体から離れさせるようにした有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、有機リン系の殺虫剤の加熱温度としては110℃以上のものが知られていた。また、ピレスロイド系の殺虫剤を40〜70℃で加熱することは知られていた。(特開昭56−122305)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の加熱蒸散方法の場合110℃以上に加熱するため、高温に耐えうる発熱装置を必要とするため熱源が限られ、更に、発火の危険性もあった。また、ピレスロイド系の殺虫剤は高価なため使用しにくかった。本発明は上記従来の欠点を除去することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、蒸気圧が3.5×10 -5 mmHg/20℃以上である有機リン系殺虫成分を60〜110℃未満の温度に加熱して該有効成分を密閉空間内に蒸散させることにより密閉空間内の植物体に寄生した害虫を該植物体から離れさせることを特徴とする有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法に係る。
【0005】
本発明において、有機リン系の殺虫剤としてはピリミホスメチル、ジクロルボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、フェンチオン、マラチオン、ナレド、クロルフェンビンフォス、テトラクロルビンフォス、プロパホス、シアノホス、ジクロロフェンチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホス、イソキサチオン、サリチオン、フェンソエイト、フォルモチオン、メカルバム、DAEP、チオメトン、イソチオエート、IPSP、ホスメット、ホサロン、メチダチオン、メサゾン、プロチオフォス、バミドチオン、ESP、アセフェート、トリクロルフォン、EPN、シアノフェンフォス、EPBP、レプトホス等が考えられるが、好ましくはピリミホスメチルが良い。
【0006】
本発明においては、上記薬剤以外のものでも、蒸気圧が3.5×10−5mmHg/20℃以上のものを用いることができる。
【0007】
上記殺虫剤には、通常用いられている効力増強剤、揮散率向上剤、消臭剤、香料、目ずまり防止剤等の各種添加剤を任意に添加することができる。効力増強剤としては、N−プロピルイゾーム、MGK−264、サイネピリン222、リーセン384、IBTA、S−421等を、揮散率向上剤としてはフェネチルイソチオシアネート、ハイミックス酸ジメチル、消臭剤としてはラウリルメタアクリレート(LMA)等を、香料としてはシトラール、シトロネラール等を、目ずまり防止剤としては、BHA、BHT等を夫々例示できる。
【0008】
本発明において加熱蒸散方法としてはマット式の蚊取器具、液体式の蚊取器具、カイロ方式が考えられるが、熱源としては加熱温度を60〜110℃未満に限定できるものであれば電気的なもの、アルコール等を用いたもの、空気及び/又は水と接触して発熱する物質等任意である。
【0009】
マット式の蚊取器具として使用の場合、本発明薬剤を保持させるための担体としては薬剤が易浸透性で易移動性のものがよく、天然繊維、動植物繊維、再生繊維、合成繊維等の有機繊維やガラス繊維、石綿等の無機繊維製の紙、不織布、CaCO3,SiO2、Al2O3等の無機質粉等を例示できる。
【0010】
上記担体の厚みは1〜4mm好ましくは1.5〜3mmがよく、厚みが4mmより超すと熱伝導性が不充分となり、薬剤の良好な蒸散が困難となり、1.0mm以下であるとおのずと単位面積あたりの薬剤保持量に制約を受け好ましくない。上記担体の大きさ、面積は得に制限はないが、通常1〜100cm2とするのが好ましい。形状も板状、筒状等を例示できる。又、形態的には蒸散面及び/又は被加熱面にアルミ等の金属薄膜を設けたものでもよい。
【0011】
液体式蚊取器具として使用の場合、上記殺虫剤は溶液形態に調製される。本発明においては、該殺虫剤溶液を調製するための溶剤としては、各種の有機溶剤、代表的には炭化水素系溶剤をいずれも使用できるが、特に沸点範囲が150〜350℃の脂肪族系炭化水素(パラフィン系炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素)は好ましく、このうちn−パラフィン、イソパラフィン等は、実用上毒性がなく、臭いがなくしかも火災の危険も極めて少ない点において好適である。上記炭化水素系以外の有機溶剤としては例えばグリセリン、プロピレングリコール、メタノール、アセトン、キシレン、シリコーンオイル、クロルセンイソプロパノール、クロロホルム等を例示できる。
【0012】
上記殺虫剤の溶剤溶液は、用いるべき殺虫剤の種類に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常殺虫剤濃度が約0.5〜80重量%、好ましくは約3〜75重量%、より好ましくは4〜50重量%となるよう調製される。なお、殺虫剤濃度は高濃度で使用することにより、溶剤の量が少なくてすむという利点がある。
【0013】
本発明方法は、従来公知の各種吸液芯を利用した吸上式加熱蒸散型殺虫装置に適用して、いずれも前記した所期の優れた効果を奏し得る。本発明方法の適用できる上記装置は、例えば特公昭52−12106号公報、実開昭58−45670号公報等に記載されている。
【0014】
上記装置に利用される吸液芯としては、通常用いられている各種素材、例えばフェルト、木綿、パルプ、不織布、石綿、無機質成型物等のいずれでもよく、フェルト芯、素焼芯、パルプ芯及び無機質成型芯が好ましい。上記無機質成型芯の具体例としては磁気多孔質、グラスファイバー、石綿等の無機繊維を石膏やベントナイト等の結合剤で固めたものや、カオリン、活性白土、タルク、ケイソウ土、クレー、パーライト、石膏、ベントナイト、アルミナ、シリカ、アルミナシリカ、チタニウム、ガラス質火山岩焼成粉末、ガラス質火山灰焼成粉末等の鉱物質粉末を単独で又は木粉、炭粉、活性炭等と共に糊剤例えばデキストリン、デンプン、アラビアゴム、合成糊CMC等で固めたものを例示できる。
【0015】
特に好ましい吸液芯は、上記鉱物質粉末100重量部と木粉又は該木粉に等重量までの炭粉及び/又は活性炭を混合した混合物10〜300重量部とに糊剤を全吸液芯重量の5〜25重量%となるまで配合し、更にこれらに水を加えて練合後、押出成型し乾燥することにより製造される。
【0016】
該吸液芯は吸液速度が1〜40時間、好ましくは8〜21時間であるのが望ましい。この吸液速度とは、液温25℃のn−パラフィン液中に直径7mm×長さ70mmの吸液芯をその下部より15mmまで浸漬し、芯頂にn−パラフィンが達するまでの時間を測定することにより求められた値を意味する。また上記吸液芯中には、上記鉱物質粉末、木粉及び糊剤の他更に必要に応じてマラカイトグリーン等の色素、ソルビン酸及びその塩類、デヒドロ酢酸等のカビ止め剤等を配合することもできる。
【0017】
【作用】
本発明は上記のように比較的低温で加熱するため、簡易な熱源でよく、入手しやすい有機リン系の殺虫剤により安価に害虫を植物体から離れさせることができる。
【0018】
【実施例】
以下に本発明を実施例にもとづき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0019】
製剤例1〜17
下記第1表に示す殺虫剤ピリミホスメチル、有機溶剤を夫々所定の配合割合で添加混合して、本発明方法に適用する加熱蒸散剤を得る。
【0020】
【表1】
【0021】
尚、第1表中溶剤、添加剤の項における記号は以下のものを示す。
BA…沸点150〜180℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BB…沸点180〜210℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BC…沸点210〜240℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BD…沸点240〜270℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BE…沸点270〜300℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
BF…沸点300〜350℃/760mmHgの脂肪族炭化水素
CA…3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)
CB…3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール(BHA)
CC…S−421
【0022】
製剤例12
ピリミホスメチル80mgを適量のアセトンに溶解し、4cm×4cm、厚さ0.14mmのパルプ板に含浸させた後、アセトンを風乾し、加熱蒸散剤を得る。これを30〜70℃に発熱する石油ベンジン式カイロの表面に固定することにより加熱蒸散器具を得る。
【0023】
製剤例13
ピリミホスメチル50mgおよびBHT20mgを適量のアセトンに溶解し、不織布の片面に含浸させた後、アセトンを風乾し、加熱蒸散剤を得る。これを、酸化熱の利用により50〜70℃に発熱する発熱体の最外側の袋として使用することにより加熱蒸散器具を得る。
【0024】
製剤例14
ピリミホスメチル80mg、オクタクロロジプロピルエーテル40mgおよびBHT30mgを適量のへキサンに溶解し、3cm×3cm、厚さ0.1cmのパルプ板に含浸させ、加熱蒸散剤を得る。これを30〜70℃に発熱する発熱体(例えばカイロ)の片面に貼り付けることにより、加熱蒸散器具を得る。
【0025】
製剤例15
ピリミホスメチル0.1gおよびBHT0.05gを珪藻土に含浸させ、加熱蒸散剤を得る。この珪藻土を酸化熱の利用により50〜100℃に発熱する発熱剤の中に均一に混合し、和紙製の袋に詰めることより、加熱蒸散器具を得る。
【0026】
製剤例16
ピリミホスメチル50mg、ピペロニルブトキシド10mgおよびジブチルヒドロキノン50mgを適量のアセトンに溶解し、不織布の片面に含浸させた後、アセトンを風乾して加熱蒸散剤を得る。これを、酸化熱の利用により50〜100℃に発熱する発熱剤を詰めるための中袋として使用し、その外側を木綿製で覆うことにより加熱蒸散器具を得る。
【0027】
製剤例17
ピリミホスメチル0.4gおよびピペロニルブトキシド0.2gをアセトンに溶解し、全量を10mlとする。この0.5mlを2.5cm×1.5cm、厚さ0.3cmの電気マット用基材(コットンリンターとパルプの混合物のフィブリルを板状に固めたもの)に均一に含浸させることにより加熱蒸散剤を得る。また、該マットを、ヒーター部が50〜100℃に発熱する電気マット用ヒーターに固定することにより加熱蒸散器具を得る。
【0028】
本発明の有効性を証明するため有効の成分としてピリミホスメチルを用い、そのタバココナジラミに対する効果を次の方法により試験を行った。
【0029】
試験方法
10Lのガラスポット(径22cm、高さ30cm)に、タバココナジラミ成虫を寄生させたキャベツ(ポット植え)を入れ、温度制御可能な電子蚊取り器をセットし、所定量の薬剤を処理する。市販のポリフィルムで軽くカバーした後、18〜20℃条件下で、経時的に供試虫の状態を記録する。
試験結果を第2表に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
考察
60〜106℃加熱条件で供試虫の植物体への寄生を少なくすることができた。
【0032】
【発明の効果】
本発明は上記のように有機リン系の殺虫剤を60〜110℃未満に加熱蒸散させることにより温室内等の植物体への微小害虫の寄生を少なくし、草花の被害を防除できる。又、低温加熱のため、発熱装置も安価なものが使用できる等種々の効果を有する。
Claims (1)
- 蒸気圧が3.5×10 -5 mmHg/20℃以上である有機リン系殺虫成分を60〜110℃未満の温度に加熱して該有効成分を密閉空間内に蒸散させることにより密閉空間内の植物体に寄生した害虫を該植物体から離れさせることを特徴とする有機リン系殺虫成分の加熱蒸散方法。
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JPH04305503A JPH04305503A (ja) | 1992-10-28 |
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1991
- 1991-04-01 JP JP14430291A patent/JP3560249B2/ja not_active Expired - Fee Related
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