JP3559873B2 - 振動減衰材用クロロプレンゴム組成物及び振動減衰材用クロロプレンゴム成型加硫物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明はクロロプレンゴム組成物に関するものであり。さらに詳しくは、優れた振動減衰特性と力学特性とを合わせ持つ、加工性良好な振動減衰材用クロロプレンゴム組成物及び成型加硫物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、建築構造物の耐震構造化、精密加工分野や情報機器分野における低振動化、低騒音化、並びに交通輸送機関における静粛化等に伴い振動減衰材が注目されており、高い振動減衰特性と優れた力学特性の両立が要求されている。一般的に、加硫物の振動減衰特性は損失係数(tanδ)により評価され、これを大きくすることで振動減衰性が向上するとされている。また、力学特性は代表的に静的せん断弾性率と破断伸び等で表され、静的せん断弾性率は5〜20kgf/cm2が一般的に要求されている。破断伸びは400%以上が必要な目安である。
【0003】
このような振動減衰材に使用されるゴム加硫物の損失係数を大きくする方法としてゴム組成物に粒子径の小さいカーボンブラックを多量に配合する方法、ガラス転移温度が高いポリマーを使用する方法、軟化剤やシクロペンタジエン若しくはフェノール系等の特定の樹脂を多量に配合する方法などが提案されてきた。
【0004】
しかしながら、上記の方法においても振動減衰材用材料に対する要求特性である組成物の加工性及び加硫物の静的せん断弾性率、破断伸び等の力学特性を同時に満足しつつ高い損失係数を持たせることは非常に困難であった。
【0005】
また、振動減衰材用ゴム組成物の素材には天然ゴムをはじめとする各種ゴム状物質が使用されてきたが、安価で広く使用されている天然ゴムは耐老化性、圧縮永久ひずみに劣り、また、振動減衰特性の優れるブチルゴム、シリコンゴムはそれぞれ組成物の加工性及び加硫物の力学特性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた振動減衰特性と力学特性とを合わせ持つ、加工性良好なクロロプレンゴム組成物及びその成型加硫物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、クロロプレンゴム100重量部に対し下記A,B,Cを必須成分として配合してなることを特徴とする振動減衰材用クロロプレンゴム組成物及びその成型加硫物である。
A;窒素吸着量が70m2/g以上150m2/g以下のカーボンブラック30〜70重量部
B;鱗片状充填剤3〜30重量部
C;アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物3〜20重量部
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0008】
本発明のクロロプレンゴム組成物では、クロロプレンゴム、カーボンブラック、鱗片状充填剤及びアルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物が必須成分である。
【0009】
本発明のクロロプレンゴム組成物におけるゴム成分はクロロプレンゴムであり、これはクロロプレンゴム単独のものとクロロプレンゴムを主成分とするものである。従って、クロロプレンゴムの他に必要に応じてクロロプレンゴムの特性を損なわない範囲で天然ゴム、NBR、ブチルゴム等を含有することができる。このクロロプレンゴムの特性を損なわない範囲とは、例えば、クロロプレンゴム以外の天然ゴム、NBR、ブチルゴム等が40%未満であることがあげられる。
【0010】
クロロプレンゴムは一般のクロロプレンゴムであれば全て使用できるが、より高い振動減衰性と優れた力学特性を得るために、ムーニー粘度が30以上のクロロプレンゴムA;100〜60重量%と、数平均分子量が500〜20000であるクロロプレンゴムB;0〜40重量%からなるクロロプレンゴムが好ましい。また、組成物の優れた加工性を得るために、数平均分子量が500〜20000であるクロロプレンゴムB;0〜40重量%と、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液において、孔径0.50μmフィルターの透過重合体重量が孔径1.0μmフィルターの透過重合体重量の0.90倍未満であるクロロプレンゴムC;100〜60重量%からなるクロロプレンゴムが好ましい。
【0011】
上記のクロロプレンゴムA,B,C中に含有されているコモノマーはクロロプレンと共重合可能な単量体であれば特に限定するものではなく、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン等のモノビニル化合物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、ブタジエン−1,3、1−クロロブタジエン−1,3、2,3−ジクロロブタジエン−1,3等の共役ジエン化合物、硫黄等があげられ、これらは単独又は二種以上を組み合わせて用いることができる。クロロプレンゴム中のコモノマー含有量は、クロロプレンゴムの性質を維持するため0〜50%が好ましい。
【0012】
本発明のクロロプレンゴムA,B,Cは、乳化重合、溶液重合、塊状重合等の公知の方法によって製造される。例えば、乳化重合を例にあげると、以下の方法により製造される。
【0013】
単量体成分及び任意量の分子量調節剤の混合物を乳化剤水溶液と混合し乳化する。この乳化液に重合開始剤を添加して重合を行い、任意の転化率で停止剤を添加し重合を停止させる。分子量調節剤としては特に限定するものではなく、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類、キサントゲンスルフィド類、ヨウ化ベンジル、ヨードホルム等が使用される。乳化剤としては特に限定するものではなく、例えば、アビエチン酸アルカリ金属塩、不均化アビエチン酸アルカリ金属塩、アルキル硫酸アルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アルカリ金属塩、高級脂肪酸アルカリ金属塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、高級脂肪酸スルホン化物のアルカリ金属塩等のアニオン系の界面活性剤、またはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系の界面活性剤等が使用可能である。重合開始剤としては特に限定するものではなく、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の無機又は有機の過酸化物、または上記過酸化物と硫酸第一鉄、ハイドロサルファイトナトリウム若しくはナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)等の還元剤を併用したレドックス系等が使用される。停止剤としては特に限定するものではなく、例えば、フェノチアジン、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等のラジカル禁止剤等が使用される。
【0014】
重合の温度は特に限定するものではないが0〜60℃の温度が好ましく、さらに5〜50℃の温度が好ましい。重合時の発熱が大きく温度の制御が困難な場合は、乳化剤水溶液に単量体混合物を少量ずつ分割又は連続で添加しながら重合することもできる。
【0015】
重合停止後、ラテックス中の未反応単量体を減圧スチームストリッピング等の方法により除去した後、凍結凝固又は塩析等によりポリマーを単離し、水洗、乾燥を経て重合体を得る。
【0016】
上記重合方法においてクロロプレンゴムBを製造するには、例えば、多量の分子量調節剤を用いる又は多量の重合開始剤を使用する等の手段がある。また、クロロプレンゴムCを製造するには、例えば共重合可能な単量体として多官能性単量体を使用する又は重合停止転化率を85%以上にする等の手段がある。
【0017】
本発明のクロロプレンゴムA,B,Cはラテックス状態又は単離したポリマー状態のいずれかでブレンドすることができる。
【0018】
本発明のゴム組成物中に配合するカーボンブラックは窒素吸着量70m2/g以上150m2/g以下のカーボンブラックを用いる。窒素吸着量が70m2/gより小さいと損失係数が小さく、一方、窒素吸着量が150m2/gより大きいと混練り時の加工性が悪くなるばかりでなく、その後の加工性(押し出し、カレンダー等)が悪くなる欠点を有する。カーボンブラックの添加量はクロロプレンゴム100重量部に対してカーボンブラック30〜70重量部である。カーボンブラックが30重量部より少ないと加硫物の損失係数が小さく、一方、カーボンブラックが70重量部より多いと組成物の混練り時の加工性が悪くなる。
【0019】
鱗片状充填剤とは層状又は板状構造を有している全ての充填剤をいい、例えば、タルク、クレー、マイカ、グラファイト等を指称する。鱗片状充填剤の添加量はクロロプレンゴム100重量部に対して3〜30重量部である。鱗片状充填剤が3部より少ないと加硫物の伸びが小さく、一方、鱗片状充填剤30部より多いと組成物の加工性が悪くなるばかりでなく、金属への接着性が悪くなる。
【0020】
アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物はモノ及びポリアルキルナフタレンとホルマリンの縮合重合物であり、例えば、メチルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、エチルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、n−プロピルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、ブチルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、ジメチルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、ジエチルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物、ジイソプロピルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物等であり、ナフタレン環の置換位置について特に限定するものではない。縮合度についても特に限定するものではない。その添加量はクロロプレンゴム100重量部に対して3〜20重量部である。アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物が3重量部より少ないと加硫物の伸びが小さく、一方、アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物が20重量部より多いと加硫物の静的せん断弾性率が小さい。
【0021】
本発明のゴム組成物中には種々の添加剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、化工助剤、滑剤、難燃剤等を必要に応じて添加することができる。
【0022】
本発明のクロロプレンゴム組成物は良好な加工性を有するため、通常知られているクロロプレンゴムと同様の方法でロール又はバンバリー等の混練機によって混合し、目的に応じた形状に成型加工し成型加硫物を得ることができる。場合によっては組成物と金属板とを交互に積層した後に加硫接着を行うことにより構造体を得る等の複合化を行うことができる。
【0023】
得られたクロロプレンゴム成型加硫物は優れた振動減衰特性と力学物性とを合わせ持つので、耐震構造建築物の支承体、工業製品、製造設備や自動車エンジン等の振動発生物の支持体、車体懸架装置等に幅広く使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下に本発明を実施例によってさらに具体的に示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0025】
なお、クロロプレン重合体の数平均分子量はGPCにより求めた。重合体の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液におけるフィルター透過重量比は、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液を孔径0.50μmフィルター及び孔径1.0μmフィルターでそれぞれ濾過し、それら濾液のGPC測定より得たピーク面積を比較し、(0.50μmフィルター濾液のピーク面積)/(1.0μmフィルター濾液のピーク面積)の比で表した。さらに、ムーニー粘度はJIS K6300に従って求めた。
【0026】
また、以下に示す実施例、比較例の評価は次の通りに行った。
【0027】
<クロロプレンゴム組成物のロール加工性>
配合物を8インチロールで混練する際のロール離型性の優劣で評価した。
【0028】
<加硫ゴムの力学物性>
JIS K6301に従って評価した。圧縮永久ひずみ測定は100℃、22時間後に測定した。
【0029】
<加硫ゴムの静的せん断弾性率>
JIS K6301に従って25%伸長時の応力を1.639倍して求めた。
【0030】
<老化後の伸び保持率と引っ張り強度の保持率>
JIS K6301に準拠してギヤオーブン中で老化試験を行った。加熱温度100℃、70時間で行った。
【0031】
<加硫ゴムの振動減衰特性>
損失係数(tanδ)を粘弾性測定装置(スペクトロメーター、岩本製作所製)により23℃、初期歪み5%、変位±1%、振動周波数1Hzの条件で求めることから評価した。
【0032】
<ゴム/金属接着性>
JIS K6301に従って90度剥離試験を行った。金属材質は鉄をブラスト処理した後、接着剤として下塗り:ケムロック205、上塗り:ケムロック220を塗布し、各ゴム組成物と加硫接着して作製した。
【0033】
重合例1(重合体A、B)
表1に示す全モノマー100重量部に対して不均化アビエチン酸カリウム塩4重量部、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、蒸留水100重量部及び表1に示す組成のモノマーと分子量調節剤であるn−ドデシルメルカプタンの混合物を2リットルの撹拌機付きオートクレーブに仕込み、十分に窒素置換した。その後40℃に保持し、過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下し重合を行った。70%の転化率で2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を0.05重量部添加し重合を停止させ、残存する未反応モノマーを減圧スチームストリッピング法により除去しラテックスを得た。
【0034】
それらラテックスの一部をそれぞれメタノールに添加し、析出したポリマーを回収、乾燥させることによりクロロプレンゴムを得た。それら重合体のムーニー粘度と0.1重量%テトラヒドロフラン溶液における、孔径1.0μmフィルターの透過重合体重量に対する孔径0.50μmフィルターの透過重合体重量比をそれぞれ表1に示す。得られた重合体をA、Bとする。
【0035】
重合例2(重合体C)
表1に示す全モノマー100重量部に対して不均化アビエチン酸カリウム塩4重量部、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、蒸留水100重量部及び表1に示す組成のモノマーと分子量調節剤であるn−ドデシルメルカプタンの混合物を2リットルの撹拌機付きオートクレーブに仕込み、十分に窒素置換した。その後40℃に保持し、過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下し重合を行った。90%の転化率で2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を0.05重量部添加し重合を停止させ、残存する未反応モノマーを減圧スチームストリッピング法により除去しラテックスを得た。
【0036】
そのラテックスの一部をメタノールに添加し、析出したポリマーを回収、乾燥させることによりクロロプレンゴムを得た。該重合体の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液における、孔径1.0μmフィルターの透過重合体重量に対する孔径0.50μmフィルターの透過重合体重量比を表1に示す。得られた重合体をCとする。
【0037】
【表1】
【0038】
重合例3(重合体D、E)
表2に示す全モノマー100重量部に対して不均化アビエチン酸カリウム塩4重量部、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩0.5重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、蒸留水100重量部及び表2に示す組成のモノマーと分子量調節剤であるn−ドデシルメルカプタンの混合物を2リットルの撹拌機付きオートクレーブに仕込み、十分に窒素置換した。その後40℃に保持し、過硫酸カリウム水溶液を連続的に滴下し重合を行った。70%の転化率で2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)を0.05重量部添加し重合を停止させ、残存する未反応モノマーを減圧スチームストリッピング法により除去しラテックスを得た。
【0039】
それらラテックスの一部をそれぞれメタノールに添加し、析出したポリマーを回収、乾燥させることによりクロロプレンゴムを得た。それら重合体の数平均分子量をそれぞれ表2に示す。得られた重合体をD、Eとする。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例1〜13
上記重合例より得た未反応モノマー除去後のラテックスを表3に示す重合体組成になるように混合した後、凍結凝固、水洗、熱風乾燥し、目的とするクロロプレンゴム組成物を得た。
【0042】
そのクロロプレンゴム組成物を表3に示す配合に従い8インチロールで混練を行った。その際のロール加工性を表3に示す。さらにその配合物を160℃で30分プレス加硫を行うことにより加硫ゴムシートを作成した。加硫物の力学物性及び損失係数(tanδ)を表3に示す。また、ゴム/金属接着性を表3に示す。その結果、ロール加工性が良く、高い静的せん断弾性率、高い破断伸び及び高い損失係数(tanδ)を示すことから、優れた振動減衰特性と力学特性を合わせ持つ、加工性良好なクロロプレンゴム組成物が得られることが明らかである。
【0043】
なお、実施例、比較例で使用した配合薬品の内容は以下の通りである。
カーボンブラックISAF:シーストG6(東海カーボン(株))窒素吸着量;110m2/g
カーボンブラックSRF:旭#35(旭カーボン(株))窒素吸着量;30m2/g
マイカA:Y−6000M((株)キララ)
マイカB:スズオライトマイカ325S((株)クラレ)
クレー:デキシークレー(バンダービルト社)
アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物A:レノシン300(バイエル社)
アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物B:ストラクトール40MS−F(エスアンドエスジャパン社)
アミン老防:ナウガード445(ユニロイヤル社)
ワックス:サンタイトS(精工化学(株))
【0044】
【表3】
【0045】
比較例1〜10
実施例1〜13と同様にして表4に示す組成のクロロプレンゴム組成物を得た。さらにこれらのクロロプレンゴム組成物を実施例1〜13と同様の方法で加硫し、評価した。ロール加工性、力学物性、損失係数(tanδ)及びゴム/金属接着性をそれぞれ表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
表4に示すようにその結果は次の通りであった。すなわち、比較例1は鱗片状充填剤及びアルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物を配合していない場合であるが、破断伸びが小さかった。比較例2〜4及び10はアルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物の配合量が本願の請求の範囲外にある場合であるが、アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物の配合量が少ないと破断伸びが小さく、アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物の配合量が多いと静的せん断弾性率が小さかった。比較例5〜7は鱗片状充填剤の配合量が本願の請求の範囲外にある場合であるが、鱗片状充填剤の配合量が少ないと損失係数が小さく、鱗片状充填剤の配合量が多いとゴム/金属接着性が悪かった。比較例8はカーボンブラックの配合量が本願の請求の範囲外にある場合であるが、損失係数が小さかった。比較例9は窒素吸着量が本願の請求の範囲外であるSRFカーボンブラックを使用した場合であるが、静的せん断弾性率が小さく、かつ損失係数が小さかった。
【0048】
比較例11
実施例1〜13と同様に表5に示す組成の天然ゴム組成物を得た。さらにそれら天然ゴム組成物を実施例1〜13と同様の方法で加硫し、評価した。ロール加工性、力学物性、老化後物性変化率、損失係数(tanδ)及びゴム/金属接着性をそれぞれ表5に示す。なお、実施例7について同様にして行った評価結果を表5にあわせて示す。その結果、ゴム素材として天然ゴムのみを用いた場合、圧縮永久ひずみと老化特性が劣った。
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】
以上の結果から、本発明により得られるクロロプレンゴム組成物は、優れた振動減衰特性と力学特性とを合わせ持ち、かつ加工性が良好であることが明らかである。
Claims (4)
- クロロプレンゴム100重量部に対し下記A,B,Cを必須成分として配合してなることを特徴とする振動減衰材用クロロプレンゴム組成物。
A;窒素吸着量が70m2/g以上150m2/g以下のカーボンブラック30〜70重量部
B;鱗片状充填剤3〜30重量部
C;アルキルナフタレンとホルムアルデヒドの縮合物3〜20重量部 - クロロプレンゴムが、ムーニー粘度が30以上のクロロプレンゴムA;100〜60重量%と、数平均分子量が500〜20000であるクロロプレンゴムB;0〜40重量%からなることを特徴とする請求項1記載の振動減衰材用クロロプレンゴム組成物。
- クロロプレンゴムが、数平均分子量が500〜20000であるクロロプレンゴムB;0〜40重量%と、0.1重量%テトラヒドロフラン溶液において、孔径0.50μmフィルターの透過重合体重量が孔径1.0μmフィルターの透過重合体重量の0.90倍未満であるクロロプレンゴムC;100〜60重量%からなることを特徴とする請求項1記載の振動減衰材用クロロプレンゴム組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の振動減衰材用クロロプレンゴム組成物を成型加硫してなることを特徴とする振動減衰材用クロロプレンゴム成型加硫物。
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