JP4278340B2 - ゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及び燃料ホース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及び燃料ホースに関し、更に詳しくは、十分な加工性を有し、圧縮永久歪み、機械的強度、耐油性及び耐ガソリン透過性等のバランスに優れた加硫ゴムとすることができるゴム組成物及びその製造方法並びにゴム成形品及び燃料ホースに関する。本発明のゴム組成物からなる加硫ゴムは、耐ガソリン透過性と耐油性等が要求される、燃料ホース、ガスホース等のホース類、これらホースのカバー類、並びにパッキン、ガスケット、ベルト、オイルシール等の自動車部品、及び航空機、船舶等の部品、一般工業部品、タイヤチューブ、インナーライナー等のタイヤ部材等の他、紙塗工、接着剤の成分等の多くの分野において使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等に使用されるガソリンやガソリン含有燃料が燃焼されずに大気に放出されること等による環境汚染の問題があり、ガソリン等のゴムホース類に対する透過性が問題となることがある。
一般に、極性の高い不飽和ニトリル・共役ジエンゴムは、ガソリン透過性の低い成形品を与えるゴム組成物の構成原料となる。しかし、この不飽和ニトリル・共役ジエンゴム中の不飽和ニトリル含有量を多くすることは、成形品の硬度が高くなり、圧縮永久歪みが大きくなる等という問題もある。例えば、ゴムホース等とすると金属管等と接続の際にカシメが必要となり、このカシメが長時間となると復元力が低下し、ガソリン等の漏れの原因となる。そのため、ゴムホース等には、圧縮永久歪みの小さい成形品を与える材料が選ばれている。
【0003】
また、特開2002−12703号公報に開示された不飽和ニトリル−共役ジエンゴムの架橋粒子は、不飽和ニトリル量が33.5%であり、耐ガソリン透過性が不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、不飽和ニトリル・共役ジエンゴムに極性の不飽和ニトリルを含有することによって、低ガソリン透過性が得られるものの圧縮永久歪みが悪化し硬度が上昇するといった問題がある。このように、圧縮永久歪みが小さく、機械的強度及び耐ガソリン透過性等のバランスに優れた加硫ゴムとすることができる不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物は提供されていないのが実情である。
【0005】
本発明は、上記の従来の問題を解決するものであり、圧縮永久歪み、機械的強度及び耐ガソリン透過性等のバランスに優れた加硫ゴムを与え、不飽和ニトリル単量体単位の量比が高い不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムを含有するゴム組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記ゴム組成物を用いてなるゴム成形品、燃料ホースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記に示す架橋粒子(A)1〜70質量%と、下記に示す未架橋ポリマー(B)30〜99質量%と〔但し、(A)+(B)=100質量%である。〕を含有することを特徴とするゴム組成物を提供するものである。
上記架橋粒子(A);繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)40〜70質量%、共役ジエン単量体単位(a2)20〜59.9質量%及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)0.1〜10質量%〔但し、(a1)+(a2)+(a3)=100質量%である。〕を含有し、上記少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンの1種又は2種以上である単量体から形成される単量体単位である不飽和ニトリル・共役ジエンゴム。
上記未架橋ポリマー(B);繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(b1)40〜70質量%及び共役ジエン単量体単位(b2)30〜60質量%〔但し、(b1)+(b2)=100質量%である。〕を含有する不飽和ニトリル・共役ジエンゴムである。
【0007】
上記架橋粒子(A)のメチルエチルケトン不溶分が50%以上であり、数平均粒子径が3〜1,000nmであるものとすることができる。
【0008】
上記未架橋ポリマー(B)は、重量平均分子量Mwが30,000以上の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び重量平均分子量Mwが30,000未満の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B2)からなるものとすることができる。
【0009】
本発明のゴム組成物の製造方法は、上記ゴム組成物の製造方法であって、オレフィン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体を重合して得られる架橋粒子含有ラテックス(AL)と、オレフィン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を重合して得られる未架橋ポリマー含有ラテックス(BL)とを混合する工程と、この混合ラテックスを凝固させて固形物とする工程と、この固形物を含むゴム用原料を混練する工程と、を順次、備え、上記少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンの1種又は2種以上であることを特徴とする。
【0010】
本発明のゴム成形品は、上記ゴム組成物を用いてなることを特徴とする。また、本発明の燃料ホースは、上記ゴム組成物を用いてなることを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、十分な加工性を有し、これを用いて、圧縮永久歪み、機械的強度及び耐ガソリン透過性等のバランスに優れた加硫ゴムとすることができる。特に、上記架橋粒子(A)のメチルエチルケトン不溶分が50%以上であり、数平均粒子径が3〜1,000nmであるものを用いることによって、得られる成形品の圧縮永久歪みの小さい加硫ゴムとすることができる。更には、上記未架橋ポリマー(B)として、重量平均分子量Mwが30,000以上の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び重量平均分子量Mwが30,000未満の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B2)を併用することによって、機械的強度、耐ガソリン透過性等に優れるとともに、硬度が低く、柔軟な加硫ゴムとすることができる。
また、本発明のゴム組成物の製造方法によれば、架橋粒子及び未架橋ポリマーをそれぞれラテックスの状態で混合する工程を備えることにより、架橋粒子が均一に分散されたゴム組成物を容易に得ることができる。
本発明のゴム成形品によれば、圧縮永久歪み、機械的強度及び耐ガソリン透過性等のバランスに優れた製品とすることができる。また、本発明の燃料ホースは、機械的強度に優れ、低いガソリン透過性を有するものとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
上記架橋粒子(A)は、繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)40〜70質量%、共役ジエン単量体単位(a2)20〜59.9質量%及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)0.1〜10質量%〔但し、(a1)+(a2)+(a3)=100質量%である。〕を含有する不飽和ニトリル・共役ジエンゴムである。
【0013】
上記「オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)」を形成する単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。上記単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】
上記「共役ジエン単量体単位(a2)」を形成する単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、クロロプレン(2−クロロ−1,3−ブタジエン)等が挙げられる。これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。上記単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
上記「少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)」を形成する単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン及びトリビニルベンゼン等が挙げられる。これらのうち、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン及びトリビニルベンゼンが好ましい。上記単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
上記オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)の含有量は40〜70質量%であり、好ましくは45〜65質量%、より好ましくは50〜60質量%である。上記単量体単位(a1)の含有量が40質量%未満では、本発明のゴム組成物から得られる成形品の耐ガソリン透過性が不十分となる傾向にある。一方、その含有量が70質量%を超えると、成形品の歪みが大きくなり、更に、硬度が高く、製品としての機能を発揮しないことがある。
【0017】
上記共役ジエン単量体単位(a2)の含有量は20〜59.9質量%であり、好ましくは35〜54質量%、より好ましくは39〜49質量%である。上記単量体単位(a2)の含有量が20質量%未満では、架橋粒子化が不十分になる傾向にある。一方、その含有量が59.9質量%を超えると、耐ガソリン透過性が不十分となる傾向にある。
【0018】
上記単量体単位(a3)の含有量は0.1〜10質量%であり、好ましくは0.3〜9質量%、より好ましくは1〜5質量%である。上記単量体単位(a3)の含有量が0.1質量%未満では、架橋粒子の架橋度が十分でなく、本発明のゴム組成物から得られる成形品の圧縮永久歪みが十分でない傾向にある。一方、その含有量が10質量%を超えると、ゴム組成物の加工性、加硫性等が十分に改良されない傾向にある。
【0019】
上記架橋粒子(A)のゲル分率、即ちメチルエチルケトン不溶分は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上とすることによって、圧縮永久歪みを小さくすることができる。このメチルエチルケトン不溶分が少ないと、本発明のゴム組成物から得られる成形品の圧縮永久歪みが十分でない傾向がある。尚、上記メチルエチルケトン不溶分の測定方法は、下記実施例に示す。
【0020】
また、上記架橋粒子(A)の数平均粒子径は、好ましくは3〜1,000nm、より好ましくは10〜500nm、更に好ましくは30〜200nmである。上記数平均粒子径が小さすぎると本発明のゴム組成物の安定性が低下する傾向があり、大きすぎると本発明のゴム組成物中において架橋粒子が十分に分散せず、加硫物性、特に機械的強度が劣る傾向にある。尚、上記数平均粒子径の測定方法は、下記実施例に示す。
【0021】
上記架橋粒子(A)の製造方法は、乳化重合であっても、懸濁重合であってもよく、特に限定されない。粒子の大きさ、粒子径の均一性の観点から、通常、乳化重合が好ましく、水系媒体において上記単量体単位(a1)、(a2)及び(a3)を形成する各単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下に重合させ、製造することができる。また、連続重合、バッチ重合の何れでも製造することができる。
【0022】
ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄とを組み合わせたレドックス系触媒等を用いることもできる。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。また、異なる種類のものを併用することもできる。
また、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレン及びγ−テルピネン類等の連鎖移動剤を併用することもできる。
【0023】
乳化重合において用いられる乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性剤を使用することもできる。これらの乳化剤は各々の種類のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。
【0024】
上記架橋粒子(A)を懸濁重合によって製造する場合には、懸濁安定剤を用いることができるが、この例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの懸濁安定剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0025】
乳化重合又は懸濁重合において、各々の単量体及びラジカル重合開始剤等は、反応容器に全量を投入してから重合を開始してもよいし、反応継続時に連続的或いは間欠的に添加してもよい。重合は酸素を除去した反応器を用いて0〜80℃で行うことができ、反応途中で温度或いは攪拌等の操作条件等を適宜に変更することもできる。
【0026】
上記架橋粒子(A)の数平均粒子径を上記好ましい範囲とするためには、乳化重合による場合、乳化剤及び電解質の種類、量等により制御することができる。
本発明のゴム組成物を構成する架橋粒子(A)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
上記未架橋ポリマー(B)は、繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(b1)40〜70質量%及び共役ジエン単量体単位(b2)30〜60質量%〔但し、(b1)+(b2)=100質量%である。〕を含有する不飽和ニトリル・共役ジエンゴムである。
【0028】
上記「オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(b1)」を形成する単量体及び、上記「共役ジエン単量体単位(b2)」を形成する単量体は、上記架橋粒子(A)を構成するオレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)及び共役ジエン単量体単位(a2)を形成する単量体として例示したものを好ましく用いることができる。しかし、上記未架橋ポリマー(B)は、上記単量体以外に、二官能、三官能等の他官能ではない共重合可能な他の単量体を用いてもよい。
【0029】
上記オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(b1)の含有量は40〜70質量%であり、好ましくは45〜65質量%、より好ましくは50〜65質量%である。上記単量体単位(b1)の含有量が40質量%未満では、本発明のゴム組成物から得られる成形品の耐ガソリン透過性が不十分となる傾向にあり、特に未架橋ポリマー(B)の極性が小さい場合は、成形品の機械的強度も低下する。一方、その含有量が70質量%を超えると、成形品の歪みが大きくなり、硬度が極めて高くなる。また、ゴム製品を工業的に製造することができないことがある。
また、上記共役ジエン単量体単位(b2)の含有量は30〜60質量%であり、好ましくは35〜55質量%、より好ましくは35〜50質量%である。
本発明のゴム組成物を構成する未架橋ポリマー(B)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
上記未架橋ポリマー(B)のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは、通常、30,000以上であり、好ましくは30,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜300,000である。その重量平均分子量Mwが小さすぎると、得られる成形品の機械的強度が低下する傾向にある。一方、大きすぎると、加工性が劣る傾向にある。
【0031】
上記未架橋ポリマー(B)は、重量平均分子量Mwの異なる成分を組み合わせて用いると、よりいっそう、耐ガソリン透過性、良好な歪み、耐油性等を有するとともに、より柔軟な加硫ゴムとすることができる。その好ましい組み合わせは、重量平均分子量Mwが30,000以上である不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び重量平均分子量Mwが30,000未満である不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B2)である。上記不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び(B2)は、それぞれ1種単独であってもよいし、2種以上を組み合わせたものであってもよい。
【0032】
上記不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)の重量平均分子量Mwは、好ましくは30,000以上であり、より好ましくは30,000〜1,000,000、更に好ましくは50,000〜700,000、特に好ましくは70,000〜500,000である。一方、上記不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B2)の重量平均分子量Mwは、好ましくは30,000未満であり、20,000以下、更には10,000以下であってもよい。尚、下限は通常、1,000である。このような低分子量ゴムは、重量平均分子量Mwが1,000〜20,000、特に2,000〜10,000の液状ゴムであってもよい。
このように好ましい範囲の分子量を有するゴムを組み合わせることにより、機械的強度、耐ガソリン透過性等に優れるとともに、硬度が低く、柔軟な加硫ゴムとすることができる。
【0033】
上記不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び(B2)の好ましい含有割合(B1)/(B2)は、これらの合計を100質量%とした場合、好ましくは(50〜98質量%)/(2〜50質量%)、より好ましくは(60〜95質量%)/(5〜40質量%)、更に好ましくは(70〜90質量%)/(10〜30質量%)である。上記不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)の含有量が50質量%未満では、得られる成形品の圧縮永久歪みが大きくなる傾向にある。
【0034】
上記未架橋ポリマー(B)のゲル分率、即ちメチルエチルケトン不溶分は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。このメチルエチルケトン不溶分が20%を超えると、本発明のゴム組成物の加工性が劣る傾向がある。尚、上記メチルエチルケトン不溶分の測定方法は、下記実施例に示す。
また、上記メチルエチルケトン不溶分のポリスチレン換算の重量平均分子量は50,000〜2,000,000であることが好ましい。
【0035】
上記未架橋ポリマー(B)の製造方法は、乳化重合であっても、懸濁重合であってもよく、特に限定されない。通常、乳化重合が好ましく、水系媒体において上記単量体単位(b1)、(b2)及び必要に応じて用いられる他の単量体からなる単量体単位を形成する各単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下に重合させ、製造することができる。また、連続重合、バッチ重合の何れでも製造することができる。
【0036】
ラジカル重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、パラメンタンヒドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド及びジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を使用することができる。また、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、及びこれら過酸化物と硫酸第一鉄とを組み合わせたレドックス系触媒等を用いることもできる。これらのラジカル重合開始剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。また、異なる種類のものを併用することもできる。
また、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四塩化炭素、チオグリコール類、ジテルペン、ターピノーレン及びγ−テルピネン類等の連鎖移動剤を併用することによって、分子量を調節することもできる。
【0037】
乳化重合において用いられる乳化剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤等が挙げられる。また、ふっ素系の界面活性剤を使用することもできる。これらの乳化剤は各々の種類のうちの1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもでき、異なる種類のものを併用することもできる。
【0038】
上記架橋粒子ポリマー(B)を懸濁重合によって製造する場合には、懸濁安定剤を用いることができるが、この例としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム及びヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。これらの懸濁安定剤は1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
【0039】
乳化重合又は懸濁重合において、各々の単量体及びラジカル重合開始剤等は、反応容器に全量を投入してから重合を開始してもよいし、反応継続時に連続的或いは間欠的に添加してもよい。重合は酸素を除去した反応器を用いて0〜80℃で行うことができ、反応途中で温度或いは攪拌等の操作条件等を適宜に変更することもできる。
【0040】
本発明のゴム組成物は、上記架橋粒子(A)を1〜70質量%、及び上記未架橋ポリマー(B)を30〜99質量%含有する。但し、これらの合計を100質量%とする。両者の好ましい含有割合(A)/(B)は、(15〜70質量%)/(30〜85質量%)であり、より好ましくは(40〜70質量%)/(30〜60質量%)である。上記架橋粒子(A)の含有量が1質量%未満では、架橋粒子量が不十分であり、本発明のゴム組成物を用いて得られる成形品の圧縮永久歪みが向上しないことがある。一方、この含有量が70質量%を超える場合は、ゴム組成物の加工性、加硫物性、特に機械的強度が劣る傾向にある。
【0041】
尚、本発明のゴム組成物を構成する上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計量に対する、全結合アクリロニトリル量は、好ましくは40〜65%、より好ましくは50〜65%、更に好ましくは50〜60%である。全結合アクリロニトリル量が少なすぎると耐ガソリン透過性に劣る傾向があり、一方、多すぎると得られる成形品の圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
【0042】
本発明のゴム組成物には、上記架橋粒子(A)以外に他のゴムを配合してもよい。他のゴムとしては、下記に例示するものに加えて、上記特定の不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴム以外の不飽和ニトリル・共役ジエン系ゴムであってもよい。
上記架橋粒子(A)と併用することができるその他のゴムとしては、ハロゲン化エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ハロゲン化ブチルゴム、クロロプレンゴム、ハロゲン含有アクリルゴム、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエン・イソプレンゴム、ブタジエン・スチレン・イソプレンゴム及び天然ゴム等が挙げられる。
これらのゴムは1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0043】
また、本発明のゴム組成物には、樹脂を配合してもよい。例えば、ポリ塩化ビニル、クロロスルホン化ポリエチレン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。これらのうち、ポリ塩化ビニルが好ましく、ブレンドにより耐オゾン性の改良効果が発揮される。これらは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。また、これらを用いる場合の配合量は、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計100質量部に対して、通常、40質量部以下である。
【0044】
本発明のゴム組成物には、通常、補強剤及び加硫剤等が配合される。
補強剤としては、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム等の他、カーボン・シリカデュアルフェーズフィラー等が挙げられる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。
上記補強剤の配合量は、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは150質量部以下であり、特に好ましくは10〜100質量部である。上記補強剤の配合量が少なすぎると、十分な補強効果が得られないことがある。一方、この含有量が150質量部を超えるとゴム組成物の加工性が劣る傾向にある。
【0045】
上記加硫剤としては、硫黄が代表的なものであるが、その他に、硫黄含有化合物、過酸化物等を用いることもできる。これらは2種以上を用いてもよいし、種類の異なるものを併用することもできる。この加硫剤の配合量は、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計を100質量部とした場合、通常、0.5〜10質量部、特に好ましくは1〜6質量部である。
また、アルデヒドアンモニア系、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系及びジチオカルバミン酸系等の加硫促進剤を用いることができる。これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。この配合量は、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計を100質量部とした場合、好ましくは0.5〜15質量部、特に好ましくは1〜10質量部である。
【0046】
本発明のゴム組成物には、上記成分の他、以下の各種成分を配合することもできる。
充填剤として、クレー、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等が挙げられ、これらは1種単独で、あるいは2種以上を併用することもできる。この充填剤の配合量は、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計を100質量部とした場合、通常、300質量部以下、好ましくは20〜200質量部である。更に、フタル酸系、アジピン酸系等の可塑剤を配合することができる。この可塑剤は上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の合計を100質量部とした場合、通常、100質量部以下、特に好ましくは5〜50質量部である。また、ナフテン系、パラフィン系、芳香族系のゴム用伸展油を配合することもできる。
これら充填剤、可塑剤、ゴム用伸展油、加硫促進剤等は、それぞれ1種のみを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、各々のうちで種類の異なるものを併用することもできる。
更に、亜鉛華、加硫助剤、老化防止剤及び加工助剤等を適量配合することもできる。
【0047】
本発明のゴム組成物は、以下のようにして製造することができる。即ち、例えば、オレフィン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体を乳化重合して得られた架橋粒子含有ラテックス(AL)と、オレフィン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を重合して得られる未架橋ポリマー含有ラテックス(BL)とを混合する工程と、この混合ラテックスを凝固させて固形物とする工程と、この固形物や上記他の成分を含むゴム用原料を混練する工程と、を順次行うものである。
【0048】
上記架橋粒子含有ラテックス(AL)及び上記未架橋ポリマー含有ラテックス(BL)を混合する方法、並びに得られる混合ラテックスを凝固する方法は、いずれも特に限定されず、公知の方法を適用することができる。そして、上記ゴム用原料の混練は、通常、以下の要領でなされる。
先ず、凝固した架橋粒子(A)及び未架橋ポリマー(B)の混合物、シリカ、カーボンブラック、カーボン・シリカデュアルフェーズフィラー等の補強剤、その他、必要に応じてゴム用可塑剤等の配合剤等をバンバリーミキサ等の混練機を使用して10〜200℃の温度で混練する。その後、必要に応じて混練物を冷却し、これに更に硫黄や過酸化物等の加硫剤や加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤等を、バンバリーミキサあるいはミキシングロール等を用いて配合し、混練する。
【0049】
本発明のゴム組成物を用いて得られるゴム成形品は、引張強度が15MPa以上であり、引張破断伸びが400%以上であり、圧縮永久歪みが45%以下であり、耐ガソリン透過性が30mg・mm/cm2以下であるという各物性のバランスに優れる。特に、上記架橋粒子(A)及び上記未架橋ポリマー(B)の含有割合(A)/(B)を、(20〜70質量%)/(30〜80質量%)とすることによって、上記物性バランスが著しく優れたゴム成形品を与えることができる。
【0050】
本発明のゴム成形品あるいは燃料ホースを得るためには、上記工程に続いて、得られた混練物を押出機等により、所定の形状に成形し、その後、加硫缶等により、130〜180℃の温度で10〜80分間加硫することによって得ることができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。尚、下記説明において、部及び%は特に断らない限り質量基準である。
[1]各種物性等の測定方法
各種成分及びゴム組成物の物性並びに加硫ゴムの物性の測定方法を以下に示す。
(a)結合アクリロニトリル量(%);ポリマー1gをテトラヒドロフラン100mlに溶解し、メタノールで再沈殿させる操作を2回行って精製し、真空乾燥した後、元素分析し、窒素含有量から求めた。
(b)重量平均分子量(Mw);GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。
(c)メチルエチルケトン不溶分(%);ポリマー1gにメチルエチルケトン100mlを加え室温で24時間浸漬した後、遠心分離機(「himac CP65β」 日立製作所株式会社製)を用いて、ポリマー溶液を2,300rpmで1時間遠心分離した。遠心管の底部に残った不溶分を40℃で24時間真空乾燥し、メチルエチルケトン不溶分としてその質量を測定した。
【0052】
(d)圧縮永久歪み(CS); JIS K 6262に準じ、測定温度100℃、70時間 25%圧縮し、その後の歪みを求めた。
(e)引張強度(MPa)及び伸び(%);JIS K 6301に準じ、3号型試験片を使用し、測定温度25℃、引張速度500mm/分の条件で引張強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定した。
(f)硬度;JIS K 6253に準じた。加硫ゴムシートを試片とし、タイプDデュロメータを使用し、温度25℃で測定した。
(g)耐ガソリン透過性;ガソリン透過測定用アルミカップを用いて、燃料油「Fuel−C」(イソオクタン/トルエン=50/50)を封入後、40℃のオーブン中に7日間放置し、加硫ゴムシートからの燃料油の透過量を測定した。単位は、mg・mm/cm2である。
【0053】
[2]架橋粒子(A)及び未架橋ポリマー(B)の製造
製造例1 架橋粒子ラテックス(A−I)の製造
重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5部、ブタジエンを8部とアクリロニトリルを68部及びジビニルベンゼンを2部仕込んだ。その後、重合用容器の温度を15℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイドを0.2部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを0.04部、硫酸第1鉄7水和物を0.02部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.07部及びドデシルメルカプタンを9部添加して重合を開始した。重合転化率が20%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部添加し、重合を継続した。その後、重合転化率が40%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部更に添加し、重合を継続し、重合転化率が60%に達した時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ、架橋粒子を含むエマルジョンを得た。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、数平均粒子径80nmの架橋粒子を含有するラテックス(A−I)を得た。結合アクリロニトリル量測定のため、これを硫酸と塩により凝固させてクラムとし、その後、熱風乾燥機により乾燥させた。結合アクリロニトリル量は55%、メチルエチルケトン不溶分は80%であった。
【0054】
製造例2 架橋粒子ラテックス(A−II)の製造
重合用容器に水200部、ロジン酸石鹸4.5部、及びブタジエンを30部とアクリロニトリルを70部及びジビニルベンゼンを2部仕込んだ。その後、重合用容器の温度を5℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイド0.1部、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.07部、硫酸第一鉄7水和物0.05部、及びソジウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15部を添加して12時間重合させ、架橋粒子を含むエマルジョンを得た。重合転化率は60%であった。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、数平均粒子径100nmの架橋粒子を含有するラテックス(A−II)を得た。結合アクリロニトリル量測定のため、これを硫酸と塩により凝固させてクラムとし、その後、熱風乾燥機により乾燥させた。結合アクリロニトリル量は48%、メチルエチルケトン不溶分は80%であった。
【0055】
製造例3 未架橋ポリマーラテックス(B−I)の製造
重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5部、ブタジエンを8部及びアクリロニトリルを68部仕込んだ。その後、重合用容器の温度を15℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイドを0.2部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを0.04部、硫酸第1鉄7水和物を0.02部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.07部及びドデシルメルカプタンを9部添加して重合を開始した。重合転化率が20%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部添加し、重合を継続した。その後、重合転化率が40%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部更に添加し、重合を継続し、重合転化率が60%に達した時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ、未架橋粒子ポリマーを含むエマルジョンを得た。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、未架橋ポリマー含有ラテックス(B−I)を得た。結合アクリロニトリル量測定のため、これを硫酸と塩により凝固させてクラムとし、その後、熱風乾燥機により乾燥させた。結合アクリロニトリル量は55%、メチルエチルケトン不溶分は0%であった。また、重量平均分子量Mwは100,000であった。
【0056】
製造例4 低分子量未架橋ポリマーラテックス(B−II)の製造
重合用容器に、水を200部、ロジン酸石鹸を4.5部、ブタジエンを8部及びアクリロニトリルを68部仕込んだ。その後、重合用容器の温度を15℃に設定し、ラジカル重合開始剤としてp−メンタンハイドロパーオキサイドを0.2部、エチレンジアミン4酢酸ナトリウムを0.04部、硫酸第1鉄7水和物を0.02部、ソジウムホルムアルデヒドスルホキシレートを0.07部及びドデシルメルカプタンを9部添加して重合を開始した。重合転化率が20%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部添加し、重合を継続した。その後、重合転化率が40%に達した時点で、ブタジエンを7部及びアクリロニトリルを5部更に添加し、重合を継続し、重合転化率が60%に達した時点で、ジエチルヒドロキシルアミンを添加して重合を停止させ、未架橋粒子ポリマーを含むエマルジョンを得た。次いで、スチームストリッピングにより未反応単量体を除去し、低分子量未架橋ポリマー含有ラテックス(B−II)を得た。その後、結合アクリロニトリル量測定のため、このラテックスを塩析により凝固させて液状とし、このポリマーを熱風乾燥機により乾燥させ、低分子量アクリロニトリル・ブタジエンゴムを得た。結合アクリロニトリル量は55%、メチルエチルケトン不溶分は0%であった。また、重量平均分子量Mwは9,000であった。
【0057】
[3]ゴム組成物の製造及び評価(実施例1〜6及び比較例1〜6)
上記で得られた成分(A)及び成分(B)等を、固形分基準で、表1及び表2に示す割合で十分に攪拌、混合し、得られた混合物を塩析により凝固させてこのクラムを熱風乾燥機により乾燥した。尚、実施例3,4,5,6及び比較例3は、成分(A)及び成分(B)をラテックスの状態で十分混合してから後の工程を行った。
その後、表1及び表2に示す配合処方で、上記ゴム成分と、カーボンブラック、可塑剤、ステアリン酸及び亜鉛華をラボプラストミル(東洋精機株式会社製)に投入して混練し、更に4インチロールで加硫剤を添加し、実施例1〜6及び比較例1〜6のゴム組成物を得た。次いで、加硫プレスにより160℃で20分加硫し、各加硫ゴムを得た。そして、前記の方法で各種物性を測定した。結果を表1及び表2に併記した。
【0058】
表1及び表2において示した配合剤は以下のとおりである。
▲1▼亜鉛華;白水化学工業株式会社製、商品名「亜鉛華1号」
▲2▼ステアリン酸;花王株式会社、商品名「ルナックS−30」
▲3▼SRFカーボンブラック;三菱化学株式会社製、商品名「ダイアブラックR」
▲4▼可塑剤;旭電化工業株式会社製、商品名「RS107」
▲5▼加硫促進剤 CBS;大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーCZ」
▲6▼加硫促進剤 TETD;大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーTETD」
▲7▼硫黄;鶴見化学工業株式会社製、商品名「金華印微粉末硫黄」
【0059】
また、未架橋ポリマーとして、固形ゴムである(B−III)及び(C)を用いた。尚、上記(C)は、本発明の範囲外の不飽和ニトリル・共役ジエンゴムである。
▲1▼(B−III);JSR株式会社製アクリロニトリル・ブタジエンゴム、商品名「JSR N215SL」、結合アクリロニトリル量 48%、メチルエチルケトン不溶分 0%、ムーニー粘度ML1+4(100℃)=45。
▲2▼(C);JSR株式会社製アクリロニトリル・ブタジエンゴム、商品名「JSR N237」、結合アクリロニトリル量 35%、メチルエチルケトン不溶分0%、ムーニー粘度ML1+4(100℃)=45。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
[4]実施例の効果
表1及び表2によれば、全結合アクリロニトリル量が35%と本発明の範囲外の未架橋ポリマー(C)のみを使用した比較例1では、耐ガソリン透過性が劣る。また、全結合アクリロニトリル量が48%である未架橋ポリマー(B−III)のみを使用した比較例2は、実施例1及び実施例2に比べ、耐ガソリン透過性及び圧縮永久歪みのバランスが劣る。一方、結合アクリロニトリル量がこれと同じである実施例1及び実施例2では、架橋粒子(A)及び未架橋ポリマー(B)を併用することにより、圧縮永久歪みが改善され、耐ガソリン透過性も優れていた。
【0063】
また、比較例3は、架橋粒子(A)及び未架橋ポリマー(B)を併用し、全結合アクリロニトリル量が例えば実施例1と同じであっても、架橋粒子(A)の配合量が多いため、混練りに用いたラボプラストミルからの排出性が悪く、ロールでの加工が出来なかった。
【0064】
比較例4は、全結合アクリロニトリル量が実施例1及び実施例2のそれと同じでありながら、耐ガソリン透過性が劣る。これは、結合アクリロニトリル量の少ない未架橋ポリマー(C)を使用したためである。比較例5は、架橋粒子(A)を含有しないため、耐ガソリン透過性が劣る。また、比較例6は、架橋粒子(A)を含有しないため、圧縮永久歪みに劣る。
【0065】
一方、実施例3〜6は、全結合アクリロニトリル量は55%であり、実施例1及び実施例2に比べ、硬度が高く、圧縮永久歪みが大きいが、全結合アクリロニトリル量が同等の比較例6に比べ、耐ガソリン透過性が同等であり、優れた歪み特性を有していることが分かる。特に、実施例4及び実施例5は、いずれも、引張強度が高く、引張破断伸びに優れ、硬度が高く、圧縮永久歪み及び耐ガソリン透過性も優れる等、各種物性のバランスがとれている。
【0066】
また、実施例6は、低分子量未架橋ポリマーを含有していることで、実施例5と比較し、同等の強度及び伸びを有し、且つ硬度が低く、優れた歪み及び耐ガソリン透過性とを併せ有していることが分かる。
Claims (5)
- 下記に示す架橋粒子(A)1〜70質量%と、下記に示す未架橋ポリマー(B)30〜99質量%と〔但し、(A)+(B)=100質量%である。〕を含有することを特徴とするゴム組成物。
上記架橋粒子(A);繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(a1)40〜70質量%、共役ジエン単量体単位(a2)20〜59.9質量%及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)0.1〜10質量%〔但し、(a1)+(a2)+(a3)=100質量%である。〕を含有し、上記少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体単位(a3)は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンの1種又は2種以上である単量体から形成される単量体単位である不飽和ニトリル・共役ジエンゴム。
上記未架橋ポリマー(B);繰り返し単位として、オレフィン性不飽和ニトリル単量体単位(b1)40〜70質量%及び共役ジエン単量体単位(b2)30〜60質量%〔但し、(b1)+(b2)=100質量%である。〕を含有する不飽和ニトリル・共役ジエンゴム。 - 上記未架橋ポリマー(B)は、重量平均分子量Mwが30,000以上の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B1)及び重量平均分子量Mwが30,000未満の不飽和ニトリル・共役ジエンゴム(B2)からなる請求項1記載のゴム組成物。
- 請求項1又は2記載のゴム組成物の製造方法であって、
オレフィン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及び少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体を重合して得られる架橋粒子含有ラテックス(AL)と、オレフィン性不飽和ニトリル単量体及び共役ジエン単量体を重合して得られる未架橋ポリマー含有ラテックス(BL)とを混合する工程と、
この混合ラテックスを凝固させて固形物とする工程と、
該固形物を含むゴム用原料を混練する工程と、を順次、備え、
上記少なくとも2個の重合性不飽和基を有する単量体は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、及びトリビニルベンゼンの1種又は2種以上であることを特徴とするゴム組成物の製造方法。 - 請求項1又は2記載のゴム組成物を用いてなることを特徴とするゴム成形品。
- 請求項1又は2記載のゴム組成物を用いてなることを特徴とする燃料ホース。
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