JP3555813B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2枚の透明基盤を貼り合わせた構造、特に情報記録面を有する基盤にダミー基盤を貼り合わせた、DVD等の光情報記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、大容量高密度の光情報記録媒体の実用化が進んでいる。再生専用媒体ではコンパクトディスク(CD)、光ビデオディスク(LD)等を中心として広く普及し、CD−ROMやビデオCDも市場に普及しつつある。さらに情報の書き換えが可能なものも、相変化型(PD)、光磁気ディスク(MO)などがコンピュータの外部記録媒体として実用化されている。また、1回だけの記録が可能で、CD,CD−ROMドライブで再生が可能な追記型光ディスク(CD−R)が、オーサリング段階の試作ディスク,マスターディスク,コンピュータの外部記録媒体として定着しつつある。しかしながら、これらの光ディスクは独立した規格に則ったものであり、一部を除いて互換性がなく、特に記録可能ディスクは一般的な普及に至らず、また、再生専用ディスクもギガバイトクラスのハードディスクの普及に伴い、大容量メディアとしての優位性が揺らぎ始めている。
【0003】
このような状況の中、CDのような音楽データ,LDのような高品質の動画像データ,CD−ROMのコンピュータデータを包括し、再生専用ディスクを統合した次世代のマルチメディア媒体としての光ディスクが提案され、1995年12月にDVD(Digital Versatile Disk)として規格統一された。DVDは、従来よりも記録密度を上げるため、情報を記録するピットの大きさは、CDと比較して半径方向,円周方向ともに半分弱となる。またディスクのチルトによる再生劣化の影響をなくすため、基盤の厚さを0.6mmとし、機械的強度を保つため、この基盤2枚を貼り合わせた構造としている。この貼り合わせる各基盤の片方または両方に情報を記録でき、片面再生,両面再生,片面2層再生とすることができる。最初に、各タイプのDVDのディスク構造を図7ないし図10を参照しながら簡単に説明する。
【0004】
図7は、DVD−5の構造を説明するための光ディスクの断面図である。図中、1は第1の透明基盤、2は反射膜、4は第2の透明基盤、5は接着層、31はピックアップである。この構造は、DVD規格のDVD−5の構造を表すもので、1層式片面光ディスクである。第1の透明基盤1は、情報を有する基盤であり、裏面にピット列が形成され、反射膜2により覆われている。ピット列は、記録すべきデータにより変調されている。ピット列が形成されていない第2の透明基盤4は、情報を有しないダミーの基盤であり、接着層5を介して第1の透明基盤1と貼り合わされている。接着層5は、通常、透明な紫外線硬化樹脂層である。ピックアップ31により片面再生され,記録容量は4.7GBでありCDの約6倍、光ビデオディスクと同等以上の動画を2時間記録することができる。このDVD−5の再生は片側からだけ行なわれ、情報の入っていないダミーの基盤は、今までのCDと同様に印刷面として使用することができる。
【0005】
図8は、DVD−10の構造を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を用いて説明を省略する。41は反射膜である。この構造は、DVD規格のDVD−10の構造を表すもので、1層式両面光ディスクである。第1の透明基盤1側と同様に、第2の透明基盤4も情報を有する基盤であり、裏面にピット列が形成され、反射膜41により覆われている。第1の透明基盤1と第2の透明基盤4とは、接着層5を介して貼り合わされている。記録容量はDVD−5の2倍となり、再生は片面ずつ光ディスクを裏返して再生するか、または、両面再生が可能なように2つのピックアップ31を搭載したプレーヤでは自動的に両面の再生を行なう。
【0006】
図9は、DVD−9の構造を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。51は半透明膜、52は接着層、53は反射膜である。この構造は、DVD規格のDVD−9の構造を表すもので、2層式片面光ディスクである。第1の透明基盤1は、情報を有する基盤であり、裏面にピット列が形成され、半透明膜51が積層され、これにより覆われている。第2の透明基盤4も情報を有する基盤であり、裏面にピット列が形成され、アルミニウム等の反射率の高い反射膜53が積層され、これにより覆われている。
【0007】
第1の透明基盤1と第2の透明基盤4とは、紫外線硬化樹脂(UV樹脂)を用いた接着層52を介して数十μm隔てて貼り合わされている。ピックアップ31により半透明膜51に覆われた第1の透明基盤1の裏面のピット列からなる第1の情報記録面が再生され、フォーカス位置を変えたピックアップ31により反射膜53に覆われた第2の透明基盤4の裏面のピット列からなる第2の情報記録面が再生される。光ディスクの両面を再生するために光ディスクを裏返したり、上下面に2つのピックアップ31を搭載したプレーヤを用いることなしに、片面から両方の基盤の情報面の再生が可能なディスクである。
【0008】
半透明層の屈折率と膜厚を最適化することで、第1の情報記録面、第2の情報記録面それぞれの反射率を、ともに20〜30%に調整することができる。紫外線硬化樹脂の膜厚は、それぞれの層にフォーカスサーボが可能であること、層間クロストークがないこと、盤厚が0.6mmからずれることによる収差の影響を少なくすることなどにより決定される。
【0009】
図10は、DVD−18の構造を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。11,62は半透明膜、12,63は透明樹脂層、13,64は反射膜、61は接着層である。この構造は、DVD規格のDVD−18の構造を表すもので、2層式両面光ディスクである。
【0010】
第1の透明基盤1の裏面にピット列が形成され、半透明膜11により覆われている。この半透明膜11上に、2P(フォトポリメリゼーション,photo polymerization)法によりピット列が刻まれた、紫外線硬化樹脂の透明樹脂層12が形成され、反射膜13により覆われている。第2の透明基盤4についても同様で、第2の透明基盤4の裏面にピット列が形成され、半透明膜62により覆われ、この半透明膜62上に形成された紫外線硬化樹脂の透明樹脂層63上にも2P法によりピット列が刻まれ、反射膜64により覆われている。第1の透明基盤1と第2の透明基盤4とは、読み出し面を外側にして、接着層61を介して貼り合わされている。
【0011】
ピックアップ31により半透明膜11に覆われた第1の透明基盤1の裏面のピット列からなる第1の情報記録面が再生され、ピックアップ31により反射膜13により覆われた透明樹脂層12の表面のピット列からなる第2の情報記録面が再生される。第2の透明基盤4についても同様に、ピックアップ31により半透明膜62に覆われた第2の透明基盤4の裏面のピット列からなる第1の情報記録面が再生され、ピックアップ31により反射膜64により覆われた透明樹脂層63の表面のピット列からなる第2の情報記録面が再生される。このように、両面4層再生されるか、または、光ディスクを裏返すことによって片面2層再生される。
【0012】
上述したCD,CD−ROM等の単板の光ディスクでは、記録信号を再生する面と反対側の面に、タイトル,発売元等、記録情報に関係した内容の情報を印刷によって表示していた。また、図7を参照して説明したDVD−5では、記録情報を有する厚さ0.6mmの第1の透明基盤1と記録情報を有さないダミー基盤である厚さ0.6mmの第2の透明基盤4とを貼り合わせた構造となっており、記録情報に関係した内容の情報は、第2の透明基盤4の表面または貼り合わせ面のいずれか一方の面に印刷によって表示する。
【0013】
しかし、従来の光ディスクやDVD−5の印刷表示は、1の面にのみ印刷を施すので、奥行き感または立体感のある可視表示を行なうことができなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、情報基盤にダミー基盤を貼り合わせた構造の、例えば、DVD−5のような光情報記録媒体において、立体的な演出効果、奥行き感のある可視表示を可能とする光情報記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、反射膜で覆われた情報記録面を有する第1の透明基盤と情報記録面を有しない第2の透明基盤が接着層を介して貼り合わされた光情報記録媒体において、前記第2の透明基盤の表裏両面,および前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことを特徴とするものである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、反射膜で覆われた情報記録面を有する第1の透明基盤と情報記録面を有しない第2の透明基盤が接着層を介して貼り合わされた光情報記録媒体において、前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面は透明保護膜で覆われたものであり、前記第2の透明基盤の表裏両面,前記透明保護膜の前記反射膜を覆った状態の表面,および前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことを特徴とするものである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の光情報記録媒体において、前記画像を近景の図柄と背景の図柄に分散させたことを特徴とするものであり、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の光情報記録媒体において、前記複数の面の各面に印刷された印刷層が、各面ごとに異なる1色づつに印刷された印刷層であることを特徴とするものであり、請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体において、前記印刷層が半透明のインクで形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。3は透明保護膜、6〜9は印刷層である。わかりやすくするために、図7と同様に情報記録面のピット列を凹凸で表現しているが、実際には、ピット列の凹凸が無視できる長さおよび面積の印刷がなされる。また、反射膜2の裏面を平滑面として図示しているが、通常、ピット列に応じた凹凸面となる。しかし、この凹凸は、印刷層の面積および厚みに比較して無視できる程度である。裏面が平滑面になるように反射膜2を形成してもよい。
【0019】
この実施の形態は、反射膜2で覆われた情報記録面を片側に有する第1の透明基盤1と情報記録面を有しない第2の透明基盤4が透明な接着層5を介して貼り合わされた光ディスクであって、反射膜2が透明保護膜3で覆われ、第2の透明基盤4の表裏両面,透明保護膜3の表面,反射膜2の裏面のうち、複数の面に印刷層6〜9を有するものである。透明保護膜3の表面と第2の透明基盤4の裏面とが透明な接着層5を介して貼り合わされている。
【0020】
ここで、第2の透明基盤4の表面とは、貼り合わせた後に外側を向く面を意味し、その反対側を裏面とする。また、透明保護膜3の表面とは、反射膜2を覆った状態の表面を意味し、その反対側の反射膜2の側を裏面とする。反射膜2の表面とは、ピックアップで読み取られる側を意味し、その反対側を裏面とする。
【0021】
第2の透明基盤4の表面が第1の印刷面となり、ここに印刷層6が設けられ、第2の透明基盤4の裏面が第2の印刷面となり、印刷層7が設けられる。また、紫外線硬化樹脂を用いて反射膜2をコートする透明保護膜3の表面が第3の印刷面となり、印刷層8が設けられる。情報の入った第1の透明基盤1上に積層された反射膜2の裏面が第4の印刷面となり、印刷層9が設けられる。なお、第2の透明基盤4の両面は必ずしも完全な平滑面である必要はなく、印刷層を設けることができる程度の平滑な表面であればよく、また、印刷インクの印刷面への被着力を大きくするために粗面にしてもよい。
【0022】
図2は、図1に示した光ディスクの貼り合わせ前の状態を説明する光ディスクの断面図である。図中、図7,図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。上述した第1ないし第4の印刷面の内、複数の面に印刷を施した後、紫外線硬化樹脂などの透明な接着層5によって第1の透明基盤1と第2の透明基盤2の貼り合わせを行ない、図1に示したような断面構造となる。印刷層9は、紫外線硬化樹脂の透明保護膜3のコーティング前に印刷する必要があり、また、印刷層6は、貼り合わせ後に印刷をしてもよい。
【0023】
貼り合わせ完成後において、印刷層6の第1の印刷面と印刷層7の第2の印刷面の間隔は、第2の透明基盤4の盤厚に等しくなるため約0.6mm、印刷層7の第2の印刷面と印刷層8の第3の印刷面の間隔は、貼り合わせのスペース層となる透明な接着層5の厚みとなるため数μm〜数十μmとなる。印刷層8の第3の印刷面と印刷層9の第4の印刷面の間隔は、透明保護膜3の厚みとなるため、数μm〜数十μmとなる。
【0024】
このように、光ディスクの厚み方向の異なった位置にある複数の印刷面に印刷層を設けるようにしたので、奥行き感および立体感のある印刷表示を行なうことができる。また、複数の印刷面に分散して印刷層を設けているため、各印刷面に1色づつの印刷を行なっても、全体としては多色印刷として視認することができる。
【0025】
図3は、本発明の第2の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に比べて、透明保護膜3がないものである。また、図示の例では、印刷層を印刷層6,印刷層7の2層としている。
【0026】
図4は、図3に示した光ディスクの外観の一例を示す平面図である。図4(A)は第2の印刷面の印刷層、図4(B)は第1の印刷面の印刷層、図4(C)は完成した光ディスクの外観図である。図中、図7と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。図4(A)に示すように、第2の透明基盤4の裏面側である第2の印刷面に背景の図柄の印刷層7を形成する。一方、図4(B)に示すように第2の透明基盤4の表面側である第1の印刷面に近景の図柄の印刷層6を形成する。第2の透明基盤4を裏返して図3に示した第1の透明基盤1側に貼り合わせると、図4(C)に示すような光ディスクが完成する。
【0027】
この光ディスクは、見る方向によって背景と近景の図柄の位置関係が変化するため、立体感、奥行き感のある印刷となる。もちろん、図柄は任意に選択することができ、タイトル等の文字を印刷することができる。このように、本発明は、貼り合わせディスクの特徴を生かし、付加価値を高めた印刷が可能となる。
【0028】
図5は、本発明の第3の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。図中、図7,図10と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。この実施の形態は、情報記録面を有する第1の透明基盤1側を、図10に示したDVD−18の第1の透明基盤1側と同様な片側2層の断面構造としたものである。
【0029】
このような第1の透明基盤1側と情報記録面を有しないダミーの第2の透明基盤4を貼り合わせると、記録容量は図9に示したDVD−9と同様ながら、多層印刷とすることができる。図示の例では、印刷層6,印刷層7の2層としているが、反射膜13の裏面に印刷層を設けることもできる。また、図1に示したような透明保護膜3を設ければ、この表面を印刷面として、ここにも印刷層を設けることができる。
【0030】
上述した各実施の形態において、第2の透明基盤4側の表面または裏面に、同様に透明保護膜3と同様の紫外線硬化樹脂コート層を設け、その表面を印刷層として用いてもよく、この場合、印刷面の数は5面なる。同様に、第1の透明基盤1,第2の透明基盤基盤4共に、紫外線硬化樹脂コート層を多層とすることで印刷面をさらに増やすこともできる。
【0031】
図6は、本発明の第4の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。この断面図は、光ディスクの径方向に切断した断面図であり、データ領域とこれより外周側の領域とを説明するために、光ディスクの径方向を圧縮して図示している。図中、図7,図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。21はデータ領域、22はリードアウト部、23,24は印刷層である。
【0032】
この実施の形態は、第1の透明基盤1の情報記録領域のリードアウト部22の外側に位置する第1の透明基盤1の裏面を第5の印刷面として、ここに印刷層23を、また、この表面を第6の印刷面として、ここに印刷層24を設けたものである。上述した各実施の形態の印刷層6〜8に加えれば、さらに印刷層を増やすことができる。リードアウト部22の外側の領域では、反射膜2がないためこの裏面に印刷層を設けることができないが、5層の印刷ができる。
【0033】
DVD−5の規格において、情報記録領域のリードアウト部22の位置は、データ領域21の外側にあると規定されているだけである。したがって、光ディスクに記録されているプログラム量,データ量が少ない場合は、リードアウト部22の外側の領域が広くなる。そのため、印刷表示にこの領域を利用することができる。
【0034】
【実施例】
本発明の第1の実施例について具体的に説明する。この第1の実施例は、図3,図4に示した光ディスクの実施例である。表面を研磨などの方法で平坦にした、直径200mm、厚さ6.0mm、のガラス基盤をホットプレートにて120℃、5分で脱水ベイクを行ない、その基盤上に、スピンコート法でi線用ポジ型レジスト(日本ゼオン社、商品名「ST11」)を塗布し、ガラス原盤を作製した。
【0035】
記録したい信号に応じてレーザ光をEO変調器等を用いて光強度変調し、対物レンズで絞り込んでフォトレジスト層が塗布されたガラス原盤に照射した。記録直径45〜116mmをデータ記録エリアとして記録を行なった。ポストベークおよび現像の後、Ni電鋳、射出成形を経て、厚さ0.6mmのポリカーボネートの透明樹脂ディスクを得た。この透明樹脂ディスクにスパッタリング法で、反射膜2としてアルミニウム(Al)を10nm積層し、第1の透明基盤1を得た。
【0036】
一方、厚さ0.6mmの透明基盤を第2の透明基盤4とし、貼り合わせ面となる第2の印刷面に印刷層7の印刷を施した。さらに、第1の印刷面にも印刷層6を施した。以上のようにして得られた第1の透明基盤1と第2の透明基盤4とを紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせを行ない、透明な接着層5の樹脂厚を40μmとした。こうして立体感、奥行き感のある印刷が施された光ディスクを得ることができた。
【0037】
本発明の第2の実施例について具体的に説明する。この第2の実施例は、図5に示した光ディスクの実施例である。第1の実施例と同様にして、厚さ0.6mmのポリカーボネートの透明樹脂ディスクを得た。この透明樹脂ディスクにスパッタリング法で、半透明膜11として窒化シリコンを10nm積層し、さらに2P法にて情報面を作成し、反射膜13としてアルミニウム(Al)をスパッタリング法にて100nm積層し第1のディスク基盤を得た。
【0038】
一方、厚さ0.6mmの透明基盤を第2の透明基盤4とし、貼り合わせ面となる第2の印刷面に印刷層7の印刷を施した。さらに、第1の印刷面にも印刷層6の印刷を施した。以上のようにして得られた第1の透明基盤1と第2の透明基盤4とを紫外線硬化樹脂を用いて貼り合わせを行ない、透明な接着層5の樹脂厚を40μmとした。こうして立体感、奥行き感のある印刷が施された光ディスクを得ることができた。
【0039】
上述した説明では、DVD−5およびDVD−18の変形例について例示したが、同様な貼り合わせの断面構造を有する光情報記録媒体であれば、同様に複数の印刷層を設けることができる。また、情報記録面は、再生専用のものである必要はなく、記録再生が可能なものでもよい。
【0040】
上述した説明では、印刷インクについては説明しなかったが、顔料系,染料系いずれの印刷インクでも、それぞれの印刷面に印刷可能であればどのような種類のものでもよい。CDの表面への印刷に用いている従来の印刷インクと同様のものを用いることができる。CDの表面への従来の印刷では、比較的盛り上がった印刷層であり、また、光を透過しにくい遮蔽色が用いられている。
【0041】
しかし、図1に示した印刷層7など、光ディスクの内部に形成される印刷層については、この上にさらに合成樹脂層が形成されるため、層の厚みを薄くする方が好ましい。また、図1に示した印刷層6など、光ディスクの表面または表面に近い印刷層について、光を透過しやすい半透明のインクを用いると、この印刷層に領域が重なる内部の印刷層と混合されて見えるため、透明感が得られる。さらにまた、金属箔、金属粉を単独または接着剤とともに用いてもよく、このようなものも、本発明でいう印刷層に含まれる。
【0042】
なお、第2の透明基盤4,透明保護膜3,接着層5は、必ずしも光の透過率が100%に近い高透明度のものとする必要はない。たとえば、染料や顔料などを合成樹脂材料に混ぜて光の透過率を低くしたり、波長選択性のある透過率にすることもできる。また、第2の透明基盤4の表裏面のみに印刷を施す場合は、接着層5が透明である必要はない。ただし、第1の透明基盤1は、情報記録面をピックアップで読み取るために所定の透過率が必要である。
【0043】
印刷内容としては、必ずしも、タイトル,発売元等、記録情報に関係した内容の情報に限らない。また、光ディスクの内部にある印刷層は、外表面にある印刷層に比べて、経年変化や傷つきによって剥がれるおそれがない。したがって、このような内部の印刷層には、重要度の高い情報を印刷するのに好適であり、印刷内容の改ざんの防止にもなる。このような情報が印刷された領域の光ディスクの表面側に不透明な印刷層を設けて、外からこの情報を隠すことも可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、第2の透明基盤の表裏両面,および前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことから、また、請求項2に記載の発明によれば、反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面は透明保護膜で覆われたものであり、第2の透明基盤の表裏両面,透明保護膜の反射膜を覆った状態の表面,および反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことから、少ないコストで付加価値の大きい光情報記録媒体が得られるという効果がある。請求項3に記載の発明のように、画像を近景の図柄と背景の図柄に分散させたことにより、より立体感、奥行き感のある印刷ができる。
【0045】
請求項4に記載の発明によれば、複数の面の各面に印刷された印刷層が、各面ごとに異なる1色づつに印刷された印刷層であることにより、各印刷面に1色づつの印刷を行なっても、全体としては多色印刷として視認することができるという効果がある。また、請求項5に記載の発明によれば、印刷層が半透明のインクで形成されていることにより、透明感が得られる画像が視認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。
【図2】図1に示した光ディスクの貼り合わせ前の状態を説明する光ディスクの断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。
【図4】図3に示した光ディスクの外観の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態を説明するための光ディスクの断面図である。
【図7】DVD−5の構造を説明するための光ディスクの断面図である。
【図8】DVD−10の構造を説明するための光ディスクの断面図である。
【図9】DVD−9の構造を説明するための光ディスクの断面図である。
【図10】DVD−18の構造を説明するための光ディスクの断面図である。
【符号の説明】
1…第1の透明基盤、2…反射膜、3…透明保護膜、4…第2の透明基盤、5…接着層、6〜9、23,24…印刷層、11…半透明膜、12…透明樹脂層、13…反射膜、21…データ領域、22…リードアウト部。
Claims (5)
- 反射膜で覆われた情報記録面を有する第1の透明基盤と情報記録面を有しない第2の透明基盤が接着層を介して貼り合わされた光情報記録媒体において、前記第2の透明基盤の表裏両面,および前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことを特徴とする光情報記録媒体。
- 反射膜で覆われた情報記録面を有する第1の透明基盤と情報記録面を有しない第2の透明基盤が接着層を介して貼り合わされた光情報記録媒体において、前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面は透明保護膜で覆われたものであり、前記第2の透明基盤の表裏両面,前記透明保護膜の前記反射膜を覆った状態の表面,および前記反射膜のピックアップで読み取られる面とは反対側の面のうちの複数の面に、領域が重なるように、画像を分散させて印刷された印刷層を有し、立体感、奥行き感のある印刷が施されたことを特徴とする光情報記録媒体。
- 前記画像を近景の図柄と背景の図柄に分散させたことを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
- 前記複数の面の各面に印刷された印刷層が、各面ごとに異なる1色づつに印刷された印刷層であることを特徴とする請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
- 前記印刷層が半透明のインクで形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
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