JP3554043B2 - プラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を警報するようにしたプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法としては、例えば、車両の進入時または発進時に乗客または支障物等の障害物を駅員が監視しており、危険な状態にあるとその旨を音声などで警告するとともに、場合により車両の停止を促すようにするのが一般的である。
【0003】
また、プラットホームの側縁に防護壁を連設して、車両の乗降ドアと、防護壁に車両の乗降ドアに対応して設けたホーム側の乗降ドアとにより二重の乗降ドアにして、車両に過度に近接した危険区域に乗客または支障物等の障害物が進入しないようにしたものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法では、前者においては、駅員が見落さないよう、車両運行中は集中力を持続する必要があって、駅員の大きな負担となり、また、駅員の見落としがあった場合には、安全性が十分に確保できないという問題点があった。
【0005】
また、後者においては、防護壁や二重の乗降ドアの設置により、設置コストが嵩み、全ての駅には採用し難いという問題点があった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、駅員の負担を軽くした上で、安全性を向上し、また、コストを低減することができるようにしたプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項に存する。
【0008】
[1] 電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を警報するようにしたプラットホームの安全監視システムであって、
電車への乗降に対応してプラットホーム(10)上の乗降ドアの前に所定数設置され、電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に電車に過度に近接する前記危険区域に進入した乗客または支障物等の前記障害物を感知したとき障害物感知信号(20a)を生成する乗客センサ(20)と、
プラットホーム(10)上に所定数設置され、電車を感知したとき電車感知信号(30a)を生成し電車を感知していないとき電車不感知信号(30b)を生成する電車センサ(30)と、
電車が発進したと判定してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に前記障害物感知信号(20a)を受けたとき、電車の運転員に該電車の緊急停止警報(60a)を知らせるための支障灯駆動信号(50a)を生成する安全監視制御手段(50)と、
前記支障灯駆動信号(50a)を受けたとき、点灯することによって前記電車の緊急停止警報(60a)を発する表示器である支障灯(60)と、
電車に搭載されたトランスポンダ車上子(41)および、プラットホーム(10)内の所定の停止位置に設けられ、電車の該停止位置への停止時から発進時までの間に前記トランスポンダ車上子(41)と結合(これをトランスポンダ結合と呼ぶ)して通信を行うトランスポンダ(40)と、を備えて成り、
前記安全監視制御手段(50)は、電車が動きだし前記トランスポンダ(40)と前記トランスポンダ車上子(41)との通信の結合が外れる(これをトランスポンダ結合外れと呼ぶ)までに前記障害物感知信号(20a)を受けなかったとき、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の前記進行行為を促すとともに、
電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に電車に過度に近接する前記危険区域に進入した前記障害物を感知したとき、前記乗客センサ(20)が前記障害物感知信号(20a)を生成し、前記電車センサ(30)が、電車を感知したとき前記電車感知信号(30a)を生成し電車を感知していないとき前記電車不感知信号(30b)を生成し、電車が発進したと判定してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に前記障害物感知信号(20a)を受けたとき、前記安全監視制御手段(50)が、電車の運転員に該電車の緊急停止警報(60a)を知らせるための前記支障灯駆動信号(50a)を生成し、前記支障灯駆動信号(50a)を受けたとき、前記支障灯(60)が点灯することによって前記電車の緊急停止警報(60a)を発する、
ことを特徴とするプラットホームの安全監視システム。
【0011】
[2] 電車が動きだし前記トランスポンダ(40)と前記トランスポンダ車上子(41)との通信の結合が外れる(トランスポンダ結合外れ)までに前記障害物感知信号(20a)を受けなかったとき、前記安全監視制御手段(50)が、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の前記進行行為を促し、
電車の進行方向に対して最先端に設けられた前記電車センサ(30)が前記電車感知信号(30a)を生成した後前記電車不感知信号(30b)を生成したとき、前記安全監視制御手段(50)が、最後尾の車両が前記プラットホーム(10)を通過したと判定して、前記障害物の感知を解除する、
ことを特徴とする[1]項に記載のプラットホームの安全監視システムを用いた安全監視方法。
【0013】
[3] 電車の進行方向に対して後方側に設けられた前記電車センサ(30)が該後方側より順次、前記電車感知信号(30a)を生成した後前記電車不感知信号(30b)を生成したとき、前記安全監視制御手段(50)が、該電車センサ(30)の感知エリアを最後尾の車両が通過したと判定して、該電車センサ(30)の感知エリアにおける前記障害物の感知を順次解除していく、
ことを特徴とする[1]項に記載のプラットホームの安全監視システムを用いた安全監視方法。
【0014】
【作用】
本発明におけるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法は電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を出力して警告する(以降、支障灯警戒態勢と呼ぶ)ものである。該支障灯警戒態勢は、電車が発進したと判定されると支障灯警戒態勢が開始され、電車がプラットホーム(10)を通過すると支障灯警戒態勢が解除される。
【0015】
これにより、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法が実現できる。
【0016】
以下に、プラットホームの安全監視システムにおける支障灯警戒態勢の開始および作用を説明する。
【0017】
電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に電車に過度に近接する前記危険区域に進入した前記障害物を感知したとき、前記乗客センサ(20)が前記障害物感知信号(20a)を生成する。前記各乗客センサ(20)が前記障害物を感知できるプラットホーム(10)上の範囲を警戒エリアという。つまり、各乗客センサ(20)は各々管轄の警戒エリアを持つことになる。
【0018】
前記電車センサ(30)は、電車を感知したとき前記電車感知信号(30a)を生成し電車を感知していないとき前記電車不感知信号(30b)を生成する。
【0019】
電車が動きだし前記トランスポンダ(40)と前記トランスポンダ車上子(41)との通信の結合が外れる(トランスポンダ結合外れ)までの間に、前記トランスポンダ(40)は、前記トランスポンダ車上子(41)と結合(トランスポンダ結合)して運転席との通信を実行する。
【0020】
前記安全監視制御手段(50)は、以下の[発進判定条件]が成立したとき、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の前記進行行為を促す。
【0021】
[発進判定条件] 電車が動きだし前記トランスポンダ(40)と前記トランスポンダ車上子(41)との通信の結合が外れる(トランスポンダ結合外れ)までに前記障害物感知信号(20a)を受けなかったとき。
【0022】
さらに、前記安全監視制御手段(50)は、電車が発進したと判定(すなわち、発進判定条件が成立)してからプラットホーム(10)を通過(すなわち、通過判定条件が成立)するまでの間に前記障害物感知信号(20a)を受けたとき、電車の運転員に該電車の緊急停止警報(60a)を知らせるための前記支障灯駆動信号(50a)を生成する。
【0023】
前記支障灯(60)は、前記支障灯駆動信号(50a)を受けたとき、点灯することによって前記電車の緊急停止警報(60a)を発する。
【0024】
これにより、電車が発進してからプラットホーム(10)を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を出力して警告する支障灯警戒態勢を実現することができる。
【0025】
前記安全監視制御手段(50)は、以下の[通過判定条件1]が成立したとき、最後尾の車両が前記プラットホーム(10)を通過したと判定して、前記障害物の感知を解除して支障灯警戒態勢を解除する。
【0026】
[通過判定条件1] 電車の進行方向に対して最先端に設けられた前記電車センサ(30)が前記電車感知信号(30a)を生成した後前記電車不感知信号(30b)を生成したとき。
【0027】
また、[通過判定条件1]に替えて[通過判定条件2]用いて、支障灯警戒態勢を解除することもできる。
【0028】
つまり、前記安全監視制御手段(50)は、以下の[通過判定条件2]が成立したときに、該電車センサ(30)の感知エリア(則ち、各乗客センサ毎の警戒エリア)を最後尾の車両が通過したと判定して、該電車センサ(30)の感知エリア(則ち、各乗客センサ毎の警戒エリア)における前記障害物の感知を順次解除していくこともできる。
【0029】
[通過判定条件2] 電車の進行方向に対して後方側に設けられた前記電車センサ(30)が該後方側より順次、前記電車感知信号(30a)を生成した後前記電車不感知信号(30b)を生成したとき。
【0030】
これにより、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法が実現できる。
【0031】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の一実施例を説明する。図1は本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの機能ブロック図であり、図2は本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの平面図であり、図3は本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの拡大図であり、図4は本発明の一実施例を示す一対のポール部材12,13における乗客センサ20の設置図であり、図5は本発明の一実施例を示すポール部材(センサポール12)における電車センサ30の設置図である。
【0032】
本実施例のプラットホームの安全監視システムは、支障灯警戒態勢において、電車が発進(これをノッチインと呼ぶ)してからプラットホーム10を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を出力して警告するようにしたプラットホームの安全監視システムであって、図1に示すように、乗客センサ20と電車センサ30とトランスポンダ車上子41とトランスポンダ40と安全監視制御手段50と支障灯60とを装置して成る。
【0033】
乗客センサ20は、図2および図3に示すように、電車への乗降に対応してプラットホーム10上の乗降ドアの前に所定数設置され、電車が発進(これをノッチインと呼ぶ)してからプラットホーム10を通過するまでの間に電車に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知したとき障害物感知信号20aを生成するよう、安全監視制御手段50に接続されて成る。
【0034】
本実施例の乗客センサ20は、図4に示すように、プラットホーム10の側縁に危険区域を間にし相互に約6m離して立設された一対のポール部材に装置されている。一対のポール部材の一方のポール部材(センサポール)13に危険区域への乗客の進入を検出可能な発光部(図示せず)および受光部(図示せず)を装置し、他方のポール部材に回帰反射板14を装置している。
【0035】
ミラーポール12に内設された回帰反射板14は、乗客センサ20から投光された光線を反射するものであって、当該反射光が再び乗客センサ20が受光できるように光軸調整されている。
【0036】
一対のポール部材は、図3に示すように、車両11に複数設けられた各乗降ドア15の前に対応して設けられ、プラットホーム10の側縁部であって乗車用の通路である危険区域を間にして、両側に立設されている。
【0037】
一方のポール部材(センサポール)13には、図4に示すように、乗客センサ20における発光部と受光部との組が所定数(本実施例では、4つ)、ほぼ等間隔でそれぞれ埋設されている。この間に光線を4本張り、該4本の光線の内、何れの1つでも遮断すると障害物を感知する。
【0038】
乗客センサ20における発光部と受光部との組は、プラットホーム10上に寝た状態での乗客の体の高さ位置(プラットホーム10上から約15cm)を最下位としている。この最下位の高さは、例えば、泥酔者がプラットホーム10上に寝てしまった場合、乳児が這って進入した場合などを考慮している。
【0039】
また乗客センサ20における発光部と受光部との組は、乗客の腰部以上であって車両11の窓以下の高さ位置(プラットホーム10上から1m)を最上位としてそれぞれ配されており、さらに、前記最下位と最上位との間に2つの組がそれぞれ配されている。前記最下位と最上位との間には、1組以上が配されていればよい。4つの組の乗客センサ20における発光部と受光部とは、乗客がどのような姿勢で、危険区域に進入した場合であっても、危険区域にいる乗客を検出可能に配されている。
【0040】
一対のポール部材の他方(ミラーポール)12には、図4に示すように、乗客センサ20における発光部と受光部との組に対応して回帰反射板14を設けている。回帰反射板14は、乗客センサ20における発光部と受光部との組に対応して矩形状の窓が開設され、該窓には透光性のアクリル部材がゴムパッキングを介して嵌込まれている。
【0041】
本実施例では、回帰反射板14としてミラーを用いている。図4に示すように、乗客センサ20から投光された光線が一対のポール部材の他方(ミラーポール)12内の回帰反射板14(ミラー)によって反射され、該反射光は乗客センサ20が受光するように、回帰反射板14(ミラー)および乗客センサ20における発光部と受光部は光軸調整がされて設置されている。
【0042】
なお、乗客センサ20における発光部と受光部との組並びに回帰反射板14の取付態様としては、一対のポール部材の一方に発光部を設ける一方、他方のポール部材に受光部を設けてもよい。また、一つのポール部材に乗客センサ20における発光部と受光部との組並びに回帰反射板14を共に埋設し、隣り合う他の一つのポール部材に設けられる回帰反射板14並びに乗客センサ20における発光部と受光部との組にそれぞれ対応させて用いてもよい。
【0043】
電車センサ30は、図2、図3および図5に示すように、プラットホーム10上に所定数設置され、電車を感知したとき電車感知信号30aを生成し電車を感知していないとき電車不感知信号30bを生成するよう、安全監視制御手段50に接続されて成る。
【0044】
本実施例の電車センサ30は、一対のポール部材30の一方に支持具を介して、電車の乗降ドア15単位に3×3=9個設けられている。電車センサ30は、図5に示すように、車両11に投光し、かつ、プラットホーム10に進入した電車の車両11からの反射光を受光して、車両11の存在を検出可能な車両検出用の受発光部を有して成る。
【0045】
トランスポンダ車上子41は、電車に搭載され、電車の停止位置への停止時から発進時(ノッチイン)までの間に、トランスポンダ40を介して、障害物が介在している旨を運転席に通信できるように接続されて成る。
【0046】
本実施例では、運転席には障害が発生するとその旨の運転席にランプを設け、該ランプを点灯させることにより、障害物が介在して電車の発進行為の拘束(ノッチインの禁止)が発生している旨をつたえている。
【0047】
トランスポンダ40は、プラットホーム10内の所定の停止位置に設けられ、電車の停止位置への停止時から発進時(ノッチイン)までの間にトランスポンダ車上子41と結合(これをトランスポンダ結合と呼ぶ)して通信を行うように接続されて成る。
【0048】
安全監視制御手段50は、電車が発進したと判定してからプラットホーム10を通過するまでの間に障害物感知信号20aを受けたとき、電車の運転員に電車の緊急停止警報60aを知らせるための支障灯駆動信号50aを生成するよう、乗客センサ20と電車センサ30とトランスポンダ40と支障灯60とに接続されて成る。
【0049】
表示器である支障灯60は、支障灯駆動信号50aを受けたとき、点灯することによって電車の緊急停止警報60aを発するよう、安全監視制御手段50に接続されて成る。
【0050】
本実施例では、非常(電車の緊急停止警報60a)時に駅務員等が支障灯60を手動で操作するためのスイッチ類、該スイッチ類に対応して設けられたランプ類、および障害物がある乗降ドア15の位置に対応して点灯する障害位置表示ランプが納置された支障灯操作手段をプラットホーム10上に設置している。なお、該支障灯操作手段は支障灯60に接続されて成る。
【0051】
電車の緊急停止警報60a状態を復帰させる復帰スイッチ(復帰SW)も納置されている。障害乗降ドア15の位置を知り乗客または支障物等の障害物を取り除いた後、安全を確認して復帰スイッチ(復帰SW)を押下することによって支障灯60を復帰させることができる。
【0052】
また、駅務員等が支障灯60を手動で点灯させるための非常押釦(非常SW)も納置されている。非常SWを押下すると、支障灯操作手段の所定のランプが点灯する。該点灯したランプは復帰スイッチ(復帰SW)を押下することによって滅灯する。
【0053】
乗降ドア番号(1〜9)、電車センサ番号(1〜9)、および乗客センサ番号(1〜9)は、図2に示すように、運用上、上り(則ち、進行方向)から下り方向に向かって1〜9と番付されている。乗降ドア番号、電車センサ番号、および乗客センサ番号は対応づけられている。例えば、本実施例では、乗降ドア番号(i)と電車センサ番号(i)と乗客センサ番号(i)が対応づけられている。ただし、i=1〜9。
【0054】
障害位置表示ランプは各乗降ドア15毎に設定された障害物の発生乗降ドア番号を表示するためのものであり、プラットホーム10毎に設置される。
【0055】
障害位置表示ランプは、支障灯警戒態勢のときに、障害物がある乗降ドア15の位置(1〜9)に対応してを点灯する。
【0056】
次に作用を説明する。
本発明におけるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法は電車が発進してからプラットホーム10を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を出力して警告する(以降、支障灯警戒態勢と呼ぶ)ものである。支障灯警戒態勢は、電車が発進したと判定されると支障灯警戒態勢が開始され、電車がプラットホーム10を通過すると支障灯警戒態勢が解除される。
【0057】
これにより、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法が実現できる。
【0058】
以下に、プラットホームの安全監視システムにおける支障灯警戒態勢の開始および作用を説明する。
【0059】
電車が発進してからプラットホーム10を通過するまでの間に電車に過度に近接する危険区域に進入した障害物を感知したとき、乗客センサ20が障害物感知信号20aを生成する。各乗客センサ20が障害物を感知できるプラットホーム10上の範囲を警戒エリアという。つまり、各乗客センサ20は各々管轄の警戒エリアを持つことになる。
【0060】
本実施例では、支障灯警戒態勢において、センサポール13上に設けられた乗客センサ20の発光部が投光した光線は、図2、図3および図4に示すように、危険区域を通過して、ミラーポール12上に設けられた回帰反射板14で反射され、再び危険区域を通過して、受光部に入射される。
【0061】
これにより、危険区域に乗客または支障物等の障害物の進入がないこと、つまり「障害物感知無し」を検出できる。
【0062】
このとき、乗客または支障物等の障害物がプラットホーム10の側縁に過度に近づいていると、それらによって光線が遮断され、受光部に反射光が入射されないと、つまり「乗客または支障物等の障害物の感知有り」を意味する障害物感知信号20aを生成する。
【0063】
電車センサ30は、電車を感知したとき電車感知信号30aを生成し電車を感知していないとき電車不感知信号30bを生成する。
【0064】
本実施例では、支障灯警戒態勢において、電車が電車センサ30の前に存在と、センサポール13上に設けられた電車センサ30が投光した光線は、図2、図3および図5に示すように、車両11で反射され、再び電車センサ30に入射される。これにより、「電車の感知有り」を意味する電車感知信号30aを生成する。
【0065】
電車が動きだしトランスポンダ40とトランスポンダ車上子41との通信の結合が外れる(これをトランスポンダ結合外れと呼ぶ)までの間に、トランスポンダ40は、トランスポンダ車上子41と結合(これをトランスポンダ結合と呼ぶ)して運転席との通信を実行する。
【0066】
安全監視制御手段50は、以下の[発進判定条件]が成立したとき、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の進行行為を促す。
【0067】
また、電車の発進行為の拘束(ノッチインの禁止)が発生したとき、トランスポンダ40と結合(トランスポンダ結合)したトランスポンダ車上子41を介して、障害物が介在している旨は運転席に通信される。本実施例では、運転席には障害が発生するとその旨の運転席にランプを設け、該ランプを点灯させることにより、障害物が介在して電車の発進行為の拘束(ノッチインの禁止)が発生している旨をつたえている。
【0068】
[発進判定条件] 電車が動きだしトランスポンダ40とトランスポンダ車上子41との通信の結合が外れる(これをトランスポンダ結合外れと呼ぶ)までに障害物感知信号20aを受けなかったとき。
【0069】
さらに、安全監視制御手段50は、電車が発進したと判定(すなわち、発進判定条件が成立)してからプラットホーム10を通過(すなわち、通過判定条件が成立)するまでの間に障害物感知信号20aを受けたとき、電車の運転員に電車の緊急停止警報60aを知らせるための支障灯駆動信号50aを生成する。
【0070】
なお、このとき同時に、障害物を感知した旨の放送を行ってもよい。
【0071】
支障灯60は、支障灯駆動信号50aを受けたとき、点灯することによって電車の緊急停止警報60aを発する。
【0072】
乗客または支障物等の障害物を取り除いて障害状態が解消されると障害物感知信号20aが解除されるので、障害物を介在させることなく発進行為を実行することができる。
【0073】
これにより、電車が発進してからプラットホーム10を通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を出力して警告する支障灯警戒態勢を実現することができる。
【0074】
以下に、プラットホームの安全監視システムにおける支障灯警戒態勢の解除を説明する。[通過判定条件1]が成立したとき、支障灯警戒態勢は解除される。
【0075】
以下の[通過判定条件1]が成立したときは、安全監視制御手段50が、最後尾の車両がプラットホーム10を通過したと判定して、障害物の感知を解除して支障灯警戒態勢を解除する。
【0076】
[通過判定条件1] 電車の進行方向に対して最先端に設けられた電車センサ30が電車感知信号30aを生成した後電車不感知信号30bを生成したとき。
【0077】
また、[通過判定条件1]に替えて[通過判定条件2]用いて、支障灯警戒態勢を解除することもできる。
【0078】
つまり以下の[通過判定条件2]が成立したときは、安全監視制御手段50が、電車センサ30の感知エリア(則ち、各乗客センサ毎の警戒エリア)を最後尾の車両が通過したと判定して、電車センサ30の感知エリア(則ち、各乗客センサ毎の警戒エリア)における障害物の感知を順次解除していくこともできる。
【0079】
[通過判定条件2]項 電車の進行方向に対して後方側に設けられた電車センサ30が後方側より順次、電車感知信号30aを生成した後電車不感知信号30bを生成したとき。
【0080】
これにより、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法が実現できる。
【0081】
本実施例のスイッチ類は非常(電車の緊急停止警報60a)時に駅務員等が支障灯60を手動で操作するためのものであり、ランプ類は該スイッチ類に対応して設けられたものであり、障害位置表示ランプは障害物がある乗降ドア15の位置に対応して点灯するものである。
【0082】
電車の緊急停止警報60a状態を復帰させる復帰スイッチ(復帰SW)は、障害乗降ドア15の位置を知り乗客または支障物等の障害物を取り除いた後、安全を確認して復帰スイッチ(復帰SW)を押下することによって支障灯60を復帰させることができる。
【0083】
また、駅務員等が支障灯60を手動で点灯させるための非常押釦(非常SW)は、押下されることによって、支障灯操作手段の所定のランプが点灯する。また、該点灯したランプは復帰スイッチ(復帰SW)を押下することによって滅灯する。
【0084】
乗降ドア番号(1〜9)、電車センサ番号(1〜9)、および乗客センサ番号(1〜9)は、図2に示すように、運用上、上り(則ち、進行方向)から下り方向に向かって1〜9と番付されている。乗降ドア番号、電車センサ番号、および乗客センサ番号は対応づけられている。例えば、本実施例では、乗降ドア番号(i)と電車センサ番号(i)と乗客センサ番号(i)が対応づけられている。ただし、i=1〜9。
【0085】
障害位置表示ランプは各乗降ドア15毎に障害物の発生乗降ドア番号を表示するためのものである。
【0086】
障害位置表示ランプは、支障灯警戒態勢のときに、障害物がある乗降ドア15の位置(1〜9)に対応してを点灯する。
【0087】
以上説明したように、プラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法は、電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を警報することができ、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができる。
【0088】
【発明の効果】
本発明にかかるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法によれば、電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を警報することができ、駅員の負担を軽くした上に、安全性を向上し、また、コストを低減することができるプラットホームの安全監視システムおよびこれを用いた安全監視方法が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの平面図である。
【図3】本発明の一実施例を示すプラットホームの安全監視システムの拡大図である。
【図4】本発明の一実施例を示す一対のポール部材における乗客センサの設置図である。
【図5】本発明の一実施例を示すポール部材(センサポール)における電車センサの設置図である。
【符号の説明】
10…プラットホーム
20…乗客センサ
20a…障害物感知信号
30…電車センサ
30a…電車感知信号
30b…電車不感知信号
40…トランスポンダ
41…トランスポンダ車上子
50…安全監視制御手段
50a…支障灯駆動信号
60…支障灯
60a…電車の緊急停止警報
Claims (3)
- 電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に車両に過度に近接する危険区域に進入した乗客または支障物等の障害物を感知して、危険な状態にあるとその旨の情報を警報するようにしたプラットホームの安全監視システムであって、
電車への乗降に対応してプラットホーム上の乗降ドアの前に所定数設置され、電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に電車に過度に近接する前記危険区域に進入した乗客または支障物等の前記障害物を感知したとき障害物感知信号を生成する乗客センサと、
プラットホーム上に所定数設置され、電車を感知したとき電車感知信号を生成し電車を感知していないとき電車不感知信号を生成する電車センサと、
電車が発進したと判定してからプラットホームを通過するまでの間に前記障害物感知信号を受けたとき、電車の運転員に該電車の緊急停止警報を知らせるための支障灯駆動信号を生成する安全監視制御手段と、
前記支障灯駆動信号を受けたとき、点灯することによって前記電車の緊急停止警報を発する表示器である支障灯と、
電車に搭載されたトランスポンダ車上子および、プラットホーム内の所定の停止位置に設けられ、電車の該停止位置への停止時から発進時までの間に前記トランスポンダ車上子と結合して通信を行うトランスポンダと、を備えて成り、
前記安全監視制御手段は、電車が動きだし前記トランスポンダと前記トランスポンダ車上子との通信の結合が外れるまでに前記障害物感知信号を受けなかったとき、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の前記進行行為を促すとともに、
電車が発進してからプラットホームを通過するまでの間に電車に過度に近接する前記危険区域に進入した前記障害物を感知したとき、前記乗客センサが前記障害物感知信号を生成し、前記電車センサが、電車を感知したとき前記電車感知信号を生成し電車を感知していないとき前記電車不感知信号を生成し、電車が発進したと判定してからプラットホームを通過するまでの間に前記障害物感知信号を受けたとき、前記安全監視制御手段が、電車の運転員に該電車の緊急停止警報を知らせるための前記支障灯駆動信号を生成し、前記支障灯駆動信号を受けたとき、前記支障灯が点灯することによって前記電車の緊急停止警報を発する、
ことを特徴とするプラットホームの安全監視システム。 - 電車が動きだし前記トランスポンダと前記トランスポンダ車上子との通信の結合が外れるまでに前記障害物感知信号を受けなかったとき、前記安全監視制御手段が、障害物を介在させることなく電車が発進したと判定して電車の前記進行行為を促し、
電車の進行方向に対して最先端に設けられた前記電車センサが前記電車感知信号を生成した後前記電車不感知信号を生成したとき、前記安全監視制御手段が、最後尾の車両が前記プラットホームを通過したと判定して、前記障害物の感知を解除する、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラットホームの安全監視システムを用いた安全監視方法。 - 電車の進行方向に対して後方側に設けられた前記電車センサが該後方側より順次、前記電車感知信号を生成した後前記電車不感知信号を生成したとき、前記安全監視制御手段が、該電車センサの感知エリアを最後尾の車両が通過したと判定して、該電車センサの感知エリアにおける前記障害物の感知を順次解除していく、
ことを特徴とする請求項1に記載のプラットホームの安全監視システムを用いた安全監視方法。
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