JP3553564B2 - 冷菓製造装置の固さ制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造する冷菓製造装置の固さ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の冷菓製造装置の一例を図3に示した。図3は冷菓製造装置の原料タンク・フリーザ胴及び冷媒配管系統(冷凍サイクル)を示す図である。
図において、1は冷菓原料24を冷却して冷菓25とするフリーザ胴であり、8は冷菓原料24を貯蔵するとともにフリーザ胴1に冷菓原料24を供給する原料タンクである。原料タンク8はフリーザ胴1の上方に設けられ、キャブレータチューブ9を介して冷菓原料が連通するようになっている。
【0003】
原料タンク8の周囲には伝熱管21が巻かれ、フリーザ胴1の周囲にはジャケット3が設けられている。フリーザ胴1の内部には撹拌機2が配設されており、この撹拌機2はフリーザ胴1外部に設置された電動機7から回転軸4を介して駆動力が伝達されるようになっている。フリーザ胴1には、その一端開口を閉塞するフリーザ蓋23が設けられており、フリーザ蓋23にはレバー11が設けられている。フリーザ蓋23には通孔31が設けられており、レバー11と連動するプランジャー14によって閉塞、開放されるようになっている。
【0004】
伝熱管21及びジャケット3には圧縮機15によって送出された冷媒が流動されることにより、冷菓原料24及び冷菓25を冷却するようになっており、冷媒流動経路には、四方弁16、凝縮器17、膨張弁20、膨張弁22が設けられている。なお、これら四方弁16、凝縮器17、膨張弁20,22、伝熱管21及びジャケット3を冷媒流動経路となる配管で接続することにより、冷媒が状態変化を繰り返しながら循環する冷凍サイクルを構成している。
また、冷菓製造装置全体は、不図示の制御装置によって制御されるようになっている。
【0005】
この冷菓製造装置は、以下のように使用される。まず冷却運転に先立って原料タンク8内に冷菓原料24を充填する。冷菓原料24は、キャブレータチューブ9に設けられた孔10及びキャブレータチューブ9内を通ってフリーザ胴1内にも充填される。
キャブレータチューブ孔10及びキャブレータチューブ9内を通って、フリーザ胴1内に充填されるのに時間がかかる場合は、キャブレータチューブ9を挿入する前に、予めフリーザ胴1内に規定量の冷菓原料24を投入しておいても構わない。
【0006】
次に冷却運転を行う。制御装置によって電動機7及び圧縮機15が作動されると、圧縮機15から吐出配管41へ冷媒ガスが吐出される。冷媒ガスは図中の実線矢印で示すように、吐出配管41を経て凝縮器17に入り、凝縮器17内部の伝熱管18内を流過する冷却水に放熱することによって凝縮液化する。この液冷媒はその後2つに分岐し、その一方は膨張弁20で絞られることによって断熱膨張し、その後伝熱管21内を流過する過程で蒸発気化することによってその蒸発潜熱により原料タンク8内の冷菓原料24を冷却する。他方の液冷媒は膨張弁22で絞られることによって断熱膨張した後、ジャケット3内で蒸発気化することによってその蒸発潜熱によりフリーザ胴1内の冷菓原料24を冷却する。
【0007】
伝熱管21内で蒸発した冷媒ガス及びジャケット3内で蒸発した冷媒ガスは合流して吸入配管40を経て圧縮機15に吸入され上記過程を繰り返す。この間撹拌機2は電動機7により回転軸4を介して駆動されてフリーザ胴1内の冷菓原料24を撹拌する。上記冷却運転を暫時継続すると、フリーザ胴1内の冷菓原料24が凍結して冷菓25となる。
以後この冷却運転及び撹拌機2の停止、起動を繰り返すことによって冷菓25が所定の固さを維持するよう制御する。
【0008】
具体的な従来の固さ制御は、電動機7の電流からトルクを算出し、同トルクが設定値まで上昇した場合に、換言すれば冷菓25の固さが増すことで撹拌機2の負荷が所定値まで上昇した場合に冷却運転を停止し、所定時間の冷却運転停止後に再起動するというトルク制御方式で行われている。
【0009】
冷菓25を取り出すにはレバー11を下方に引く。レバー11と連動して作動するプランジャ14が上方に移動し、これに伴って取出しスイッチ13が閉路するとともに通孔31が開となる。するとフリーザ胴1内の冷菓25が通孔31を経て取出し口33から取出される。取出しスイッチ13が閉路している間圧縮機15及び電動機7が運転を継続し、しかる後に停止する。
【0010】
また、毎日の閉店後は原料タンク8内の冷菓原料24及びフリーザ胴1内の冷菓原料24及び冷菓25を加熱殺菌する加熱殺菌運転が行われる。
加熱殺菌運転時、圧縮機15から吐出された高温・高圧の冷媒ガスは、図中に破線矢印で示すように四方弁16を経た後2つに分岐し、一方は伝熱管21を流過する過程で原料タンク8内の冷菓原料24を加熱するとともに凝縮液化し、その後、膨張弁20で絞られることにより断熱膨張する。他方はジャケット3内に入り、ここでフリーザ胴1内の冷菓原料24及び冷菓25を加熱殺菌するとともに凝縮液化し、その後、膨張弁22で絞られることにより断熱膨張する。これら膨張弁20及び膨張弁22を流過した冷媒は合流して凝縮器17に入り、ここで伝熱管18内を流過する冷却水から吸熱することによって蒸発気化し、その後四方弁16を経て圧縮機15に吸込まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の冷菓製造装置においては、フリーザ胴1内の冷菓25の固さ制御が良好な食感を得るために重要であり、従来よりトルク制御方式が採用されている。
このトルク制御方式は、固さの変化が負荷変動となることに着目し、撹拌機2の電動機7に流れる電流値からトルクを算出して固さを判断するものである。しかし、この方式では、図4に示すように、電源の電圧変動に伴って電流値とトルク(負荷)との特性が変化するため、固さの判断を正確に行うことは困難であった。すなわち、電流値がiの場合において、実線で示した定格電圧vであれば負荷はk2となるが、破線で示すように電圧がプラス側またはマイナス側に変動すると負荷もk1またはk3に変化するので、電流値のみでは正確な固さの判断はできなかった。なお、電圧変動に関しては補正が可能であるが、三相の相関電圧バランスまで補正することはできないのが実状である。
【0012】
また、冷菓25の取出がない場合であっても、所定の固さを維持するため、冷却運転及び撹拌機2の運転・停止が繰り返される。これが長時間継続されると、冷菓25の空気含有率が変化して同じ温度でも柔らかいものとなるので、いわゆる「へたり」と呼ばれる状態になって食感や保形性が低下する。
従来、このようなへたり状態の判定(へたり検知)は、所定時間内の冷菓25の取出量をカウントし、所定数に達しない時にへたりと判定していたが、その正確性には問題があった。
【0013】
そして、冷菓25の取出が連続して行われた場合、フリーザ胴1の冷却能力が追いつかず、補充された冷菓原料24が十分に冷却されないため柔らかいまま取り出されることがある。しかし、このような冷却不足の軟化状態を検知する従来手段は、上述した固さ制御と同様に撹拌機2を駆動する電動機7の電流値から判断するトルク制御方式であるため、正確性に欠けるという問題があった。
【0014】
上記事情に鑑み、本発明においては、冷菓(冷菓原料)の冷却不足による軟化状態を正確に判定することができる冷菓製造装置及びその固さ制御方法を提供することも目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するため、本発明では以下の手段を採用した。
請求項1に記載の冷菓製造装置の固さ制御方法は、冷菓原料が収容された原料タンクと、該原料タンクと連通し冷媒により前記冷菓原料が冷却されて冷菓とされるフリーザ胴と、電動機を駆動源として前記フリーザ胴内の冷菓原料を撹拌する撹拌手段と、前記フリーザ胴に冷媒を供給する冷凍サイクルとを具備してなる冷菓製造装置の固さ制御方法において、
所定時間内の冷菓取出回数を検出し、該冷菓取出回数が所定の回数以上となった時に冷菓が冷却不足の軟化状態にあると判定すると共に、表示手段に表示して取出を停止させることを特徴とするものである。
【0016】
このような冷菓製造装置の固さ制御方法によれば、装置の冷却能力から連続取出可能な冷菓の個数を事前に知ることができるので、所定時間内の冷菓取出回数をカウントすれば冷却不足の軟化状態を正確に判定して取出を停止させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本実施形態にかかる冷菓製造装置を示す図、図2はインバータ制御を行った電動機の電動機出力トルク値と出力信号との相関関係を示す図である。
【0018】
図1において、図中の符号1は冷菓原料24を冷却して冷菓25とするフリーザ胴であり、また、符号8は冷菓原料24を貯蔵するとともにフリーザ胴1に冷菓原料24を供給する原料タンクである。この原料タンク8はフリーザ胴1の上方に設けられ、キャブレータチューブ9を介して冷菓原料24が連通されるようになっている。
【0019】
原料タンク8の周囲には伝熱管21が巻かれ、フリーザ胴1の周囲にはジャケット3が設けられている。フリーザ胴1の内部には撹拌機2が配設されており、この撹拌機2はフリーザ胴1の外部に設置された電動機7から回転軸4を介して駆動力が伝達される構成となっている。そして、電動機7はインバータ制御部7Aを備えてインバータ制御され、該インバータ制御部7Aで検出した電動機出力トルク値51は、固さ制御部50に入力される。
この固さ制御部50では、電動機出力トルク値51から撹拌機2の負荷、すなわち冷菓25(冷菓原料24)の固さを判定し、固さを制御するための制御信号52を出力する。なお、図中の符号53は冷菓25のへたり状態を検知した場合に表示するへたり表示部、54は冷却不足による軟化状態を検知した場合に表示する軟化表示部であり、いずれもランプ表示等の表示手段である。
【0020】
また、フリーザ胴1には、その一端開口を閉塞するフリーザ蓋23が設けられており、フリーザ蓋23にはレバー11が設けられている。フリーザ蓋23には通孔31が設けられており、レバー11と連動するプランジャー14によって閉塞、開放されるようになっている。なお、図中の符号13はレバー11の操作に連動してプランジャー14の開閉状態を検出する取出しスイッチである。
【0021】
伝熱管21及びジャケット3には、ガス冷媒を圧縮して送出する圧縮機15によって内部に冷媒が流動されることにより、冷菓原料24または冷菓25を冷却するようになっている。
冷媒流動経路は従来と同様の冷凍サイクルを構成するもので、伝熱管21及びジャケット3から圧縮機15に冷媒を戻す冷媒管34と、圧縮機15から伝熱管21及びジャケット3に冷媒を送る冷媒管35とを備えている。冷媒管34と冷媒管35とは、四方弁16を介して圧縮機15と連結されている。四方弁16と圧縮機15とは、吸入配管40及び吐出配管41により接続されている。また、冷媒管35には圧縮機15から送出された高温高圧のガス冷媒を冷却する凝縮器17が介装されている。さらに、冷媒管35は下流側が伝熱管21側及びジャケット3側の冷媒管35a,35bに分岐しており、それぞれ凝縮器17から吐出した高温高圧の液冷媒を減圧・膨張させる膨張弁(膨張手段)20,22が介装されている。
なお、上述した取出しスイッチ13の検出信号や固さ制御部50から出力される制御信号52などは、不図示の制御装置に入力されて装置全体の運転制御に利用されるようになっている。
【0022】
ここで、上述したインバータ制御部7Aで直接検出される電動機出力トルク値について図2を参照して説明する。
この電動機出力トルク値は、電動機7のインバータ制御部7Aから出力される出力信号(直流電圧値)と比例する関係にある。たとえば電源が60Hzである時のトルク値を100%とした場合、出力信号はα(V)の直流電圧として出力され、負荷が低下してトルク値が50%まで低下した場合に0.5α(V)の出力信号となる。このように、冷菓25の固さによって変動する撹拌機2の負荷(電動機出力トルク値)を出力信号の形で検出すれば、電圧の影響を受けることなく正確に固さを判定することができる。
【0023】
そして、直流電圧の値で検出した電動機出力トルク値51が所定値以上に高くなった時、冷菓25がこれ以上の冷却を必要としていないと判断した制御信号を制御部(不図示)へ出力し、冷凍サイクルからフリーザ胴1へ、具体的にはジャケット3への冷却用冷媒の供給を停止するようにして固さを調整する。
このようにして、電動機出力トルク値51から直接電動機7の負荷を検出して冷菓25の固さを判定し、そしてこの判定に基づいた制御信号52を出力して固さ調整を行う固さ制御方法においては、電源の電圧が算出及び検出過程に関与していないため、電圧変動による影響を受けることなく正確に冷菓25の固さを判定することができる。
【0024】
そして、いったん所定の固さになった冷菓25の固さを維持する運転中、上述した電動機出力トルク値51が所定値まで上昇しない時、すなわち所定時間を超えて冷却運転および撹拌を続けても冷菓25が所定の固さにならない時には、へたり状態にあると判断することができる。この場合も、冷菓25が柔らかいため撹拌機2の負荷が上昇しないことを検知し、へたりの発生を正確に判定することができる。
こうして、冷菓25がへたり状態にあると判定した時には、へたり表示部53に表示すると共に、制御信号52を出力し、冷菓25を解凍してから再度冷却する解凍再生運転を実施する。なお、へたり表示部53は、ランプ等を点灯させる視覚表示の他にも、ブザー等の音声を併用することも可能である。
【0025】
さらに、冷菓25を連続して取り出した場合には、原料タンク8から冷菓原料24が取出回数分フリーザ胴1に補充されるので、冷却能力が追いつかず所望の固さを維持できないことがある。このような場合も、電動機出力トルク値51所定値まで上昇しないので、取出スイッチ13の検出信号から分かる連続取出状態の条件を満たせば、冷菓25が冷却不足による軟化状態にあると判断することができる。この場合も、冷菓25が柔らかいため撹拌機2の負荷が上昇しないことを検知し、冷却不足による軟化状態を正確に判定することができる。
こうして、冷菓25が冷却不足の軟化状態にあると判定した時には、軟化表示部54に表示すると共に、制御信号52を出力し、冷菓25の取出を停止して冷却及び撹拌を実施する。なお、軟化表示部54は、上述したへたり表示部53と同様に、ランプ等を点灯させる視覚表示の他にも、ブザー等の音声を併用することが可能である。
【0026】
上述した構成の冷菓製造装置は、以下のように使用される。まず冷却運転に先立って原料タンク8内に冷菓原料24を充填する。この冷菓原料24は、キャブレータチューブ9を通ってフリーザ胴1内にも充填される。また、これと同時に、上端が冷菓原料24の最高液面より高い位置に開口するキャブレータチューブ9からフリーザ胴1内に大気圧の空気が導入される。なお、冷菓原料24の充填及び空気の導入は、キャブレータチューブ9の下端開口が液面により閉じられた時点で終了する。
キャブレータチューブ9を通って、フリーザ胴1内に充填されるのに時間がかかる場合は、キャブレータチューブ9を挿入する前に、予めフリーザ胴1内に規定量の冷菓原料24を投入しておいても構わない。
【0027】
次に冷却運転を行う。制御装置によって電動機7及び圧縮機15が作動されると、圧縮機15から吐出配管41へ冷媒ガスが吐出される。冷媒ガスは図1の実線矢印で示すように、吐出配管41から四方弁16,冷媒管35を通って凝縮器17に入り、凝縮器17内部の伝熱管18内を流過する冷却水に放熱することでさらに温度が低下する。この液冷媒は冷媒管35a及び35bの2つに分岐し、その一方は膨張弁20で絞られることによって断熱膨張し、その後伝熱管21内を流過する過程で蒸発気化することによってその蒸発潜熱により冷却タンク8内の冷菓原料24を保冷する。他方の液冷媒は膨張弁22で絞られることによって断熱膨張した後、ジャケット3内で蒸発気化することによってその蒸発潜熱によりフリーザ胴1内の冷菓原料24または冷菓25を冷却する。
この時、電動機7を起動して撹拌機2を駆動させ、冷菓25を撹拌するが、インバータ制御部7Aから固さ制御部50へ電動機出力トルク値51が直接入力され、冷菓25の固さが判定されている。
【0028】
伝熱管21内及びジャケット3内で蒸発した冷媒ガスは冷媒管34において合流し、吸入配管40を経て圧縮機15に吸入され上記過程を繰り返す。この間撹拌機2は電動機7により回転軸4を介して駆動され、フリーザ胴1内の冷菓原料24を撹拌する。上記冷却運転を暫時継続すると、フリーザ胴1内の冷菓原料24が凍結して冷菓25となる。この過程で、冷菓25が所定の固さになると、撹拌機2の負荷が増して電動機7のトルクが所定値まで上昇する。
【0029】
このような状態になると、固さ制御部50において、電動機出力トルク値51から冷菓25が所定の固さになったと判断し、ジャケット3に冷却用冷媒を供給する冷却運転を停止する。そして、たとえば冷却運転の停止から所定時間経過した後、あるいは適所に設けた温度検出手段(不図示)の検出値が所定値まで上昇した時など、再度冷却運転を開始する。
以後この冷却運転の停止、起動を繰り返すことによって冷菓25が所定の固さを維持するよう制御する。そして、このような固さ維持運転が長時間続き、へたりが発生したと判断されると、へたり表示部53にへたりの発生が表示され、制御信号52が出力されて自動的に解凍再生運転が開始される。また、手動スイッチ(図示せず)で解凍再生運転する場合は、開始時期を知らせるため、へたり表示部53にへたり表示のみ出すこともできる。
【0030】
また、適切な冷菓25の固さや、へたりの発生を判断する冷菓25の固さなどについては、たとえば冷菓25がソフトクリームである場合とシェークである場合とでは全く異なるので、適宜選択切換スイッチを設けるなどして切換可能にしておくのが好ましい。
なお、原料タンク8内の冷却制御については、上述したフリーザ胴1の冷却運転制御とは切り離し、冷菓原料24が10℃以下になるよう維持する。
【0031】
冷菓25を取り出すにはレバー11を下方に引く。レバー11と連動して作動するプランジャ14が上方に移動し、これに伴って取出しスイッチ13が閉路するとともに通孔31が開となる。するとフリーザ胴1内の冷菓25が通孔31を経て取出し口33から取出される。取出しスイッチ13が閉路している間圧縮機15及び電動機7が運転を継続し、しかる後に停止する。
こうして冷菓25が取出されると、冷菓原料24及び空気が撹拌機2側へ補給され、その分だけ液面が低下する。従って、フリーザ胴1内には、原料タンク8及び大気からキャブレータチューブ9を経て、冷菓原料24及び空気が補給される。
この場合、冷菓取出が冷却能力を上回るほど連続すると、電動機出力トルク値51が低下するので、固さ制御部50では冷却不足による軟化状態と判定する。この判定がなされると、軟化表示部54に表示され、冷菓25の取出は軟化表示が解消されるまで、すなわち所定の固さになるまで停止される。
【0032】
また、毎日の閉店後は原料タンク8内の冷菓原料24及びフリーザ胴1内の冷菓原料24及び冷菓25を加熱殺菌する加熱殺菌運転が行われる。
加熱殺菌運転時、圧縮機15から吐出された高温・高圧の冷媒ガスは、図1に破線矢印で示すように、四方弁16から冷媒管34に導入される。その後2つに分岐し、一方は伝熱管21を流過する過程で原料タンク8内の冷菓原料24を加熱するとともに凝縮液化し、その後、冷媒管35aに介装されている膨張弁20で絞られることにより断熱膨張する。他方はジャケット3内に入り、ここでフリーザ胴1内の冷菓原料24及び冷菓25を加熱殺菌するとともに凝縮液化し、その後、冷媒管35bに介装されている膨張弁22で絞られることにより断熱膨張する。これら膨張弁20及び膨張弁22を流過した冷媒は合流して凝縮器17に入り、ここで伝熱管18内を流過する冷却水から吸熱することによって蒸発気化し、その後四方弁16を経て圧縮機15に吸込まれる。
【0033】
続いて、冷却不足の軟化状態を判定する他の実施形態を説明する。
この実施形態では、所定時間内の冷菓取出回数を取出スイッチ13により検出し、この冷菓取出回数が所定の回数以上となった時に冷菓が冷却不足の軟化状態にあると判定する。すなわち、予め設定された短時間内に予め設定された個数を上回る冷菓25の取出が行われると、冷却能力以上の冷菓原料24が補充されることになるため、フリーザ胴1内では冷菓25の冷却が追いつかず、十分に冷却されないため柔らかい冷菓25となっている。従って、こうして冷却不足の軟化状態が検出された場合も、上述した電動機出力トルク値51から判定する場合と同様に、軟化表示部54に表示して取出を停止させる。
なお、冷菓製造装置の冷却能力は、装置自体の性能として予め知ることができるものであるから、連続取出可能な冷菓の個数を計算上あるいは実験により事前に知ることは容易である。
【0034】
以上のように、本発明の冷菓製造装置及びその固さ制御方法においては、電動機7のインバータ制御部7Aから直接検出した電動機出力トルク値52を用いて固さを判定するようにしたので、周囲の状況で変化する電源の電圧変動に左右されることなく正確に固さを判断し、冷菓25を安定した固さに維持することができる。また、冷菓25のへたり状態や冷却不足による軟化状態についても、固さの判定と同様に正確な判定が可能になる。
【0035】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる冷菓製造装置の固さ制御方法によれば、所定時間内の冷菓取出回数を検出し、該冷菓取出回数が所定の回数以上となった時に冷菓が冷却不足の軟化状態にあると判定すると共に、表示手段に表示して取出を停止させるので、冷却不足の軟化状態については、所定時間内の連続取出個数を検出し、所定回数以上となった場合に軟化状態と判定するようにして、撹拌機を駆動する電動機の電流値から判定する従来方式より正確な判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として示した冷菓製造装置の断面図及び配管系統を示す図である。
【図2】図1の冷菓製造装置に用いられたインバータ制御部で検出される電動機出力トルク値と出力信号との関係を示す図である。
【図3】従来の冷菓製造装置の断面図及び配管系統を示す図である。
【図4】従来の撹拌機における電動機の負荷(固さ)と電流値との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 フリーザ胴
2 撹拌機(撹拌手段)
7 電動機
7A インバータ制御部
8 原料タンク
15 圧縮機
16 四方弁
24 冷菓原料
25 冷菓
50 固さ制御部
51 電動機出力トルク値
52 制御信号
53 へたり表示部(表示手段)
54 軟化表示部(表示手段)
Claims (1)
- 冷菓原料が収容された原料タンクと、該原料タンクと連通し冷媒により前記冷菓原料が冷却されて冷菓とされるフリーザ胴と、電動機を駆動源として前記フリーザ胴内の冷菓原料を撹拌する撹拌手段と、前記フリーザ胴に冷媒を供給する冷凍サイクルとを具備してなる冷菓製造装置の固さ制御方法において、
所定時間内の冷菓取出回数を検出し、該冷菓取出回数が所定の回数以上となった時に冷菓が冷却不足の軟化状態にあると判定すると共に、表示手段に表示して取出を停止させることを特徴とする冷菓製造装置の固さ制御方法。
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