JP3553415B2 - 半導体製造装置用シール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置用シールに関し、さらに詳しくは、耐酸素プラズマ性に優れた半導体製造装置用シールに関する。
【0002】
【従来技術】
半導体製造装置用シールは、半導体の基板であるシリコンウエハー等の表面にエッチング、あるいは薄膜を形成させるなどの処理をするための加工室等に用いられるシールとして適用され、このシールには、耐熱性、低ガス透過性の他、シール使用時にプラズマにより劣化し、塵となって半導体基板へ汚染しないことが要求されている。
【0003】
従来の半導体製造装置用シールに用いられるエラストマーとしては、フッ素系エラストマー、シリコーン系エラストマーがある。フッ素エラストマーは、通常、ポリオール架橋剤やアミン架橋剤が配合され、さらにマグネシウムや鉛系等の重金属を含む受酸剤が配合される。また、引張強さ、伸び率、及び圧縮永久歪み特性を向上させるために、補強剤としてカーボンブラックなどが配合される。
【0004】
これらのシールは、シリコンウエハーへのエッチング処理時等には、酸素雰囲気下でプラズマ処理条件下にされるので、換言すると、酸素ガスが励起された状態にさらされるため、劣化しやすく脆くなり、シール劣化物が飛散してシリコンウエハーを汚染する等の問題があり、微細な異物混入を極端に嫌う半導体の製造装置用シールに適用するには十分な特性を有しているとは言えなかった。
【0005】
このような問題を解決するシールとして、ふっ素エラストマー100重量部に対して、シリカ1〜50重量部を配合し、金属化合物、カーボンを低減させた組成物を有機過酸化物にて加硫したシールがある(特開平6−302527)。
【0006】
しかしながら、この組成物を用いたシールであっても、圧縮永久歪みが大きく、またプラズマ照射条件下でのシールの重量減少も大きく、すなわちシールからの発塵により半導体製造装置内部を汚染する問題が依然あり、また半導体製造装置用シールに適用する場合には、シールとしての寿命が短いという問題もあった。
【0007】
また、耐オゾン性フッ素ゴムとして、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体を有機過酸化物にて加硫したシールがある(特開平8−151450)。
しかしながら、この組成物を用いたシールであっても、半導体製造装置に適用しうるだけの圧縮永久歪み特性がないという問題が依然あった。また、プラズマ照射条件下という過酷使用条件下では、シールとしての寿命が短いという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐酸素プラズマ性、ガス透過性、圧縮永久歪み特性に優れた半導体製造装置用シールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体100重量部に対して、硫酸バリウム20〜100重量部を配合してなる組成物をポリオール加硫した半導体製造装置用シールによって解決される。また、この組成物に対し、さらに四フッ化エチレン樹脂0.5〜30重量部を配合してなる半導体製造装置用シールによって解決される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明では、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及びフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体を用いる。これらの材料は、公知の材料を用いることができ、また単独で用いてもよく、また併用してもよいが、圧縮永久歪み、及びガス透過性の点から フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体を用いる方が好ましい。
【0011】
硫酸バリウムは、共重合体100重量部に対して、20〜100重量部を配合する。20重量部よりも少なければ、耐酸素プラズマ性に劣り、100重量部を越えるとシール性能が低下する。したがって、好ましくは、30〜90重量部、より好ましくは50〜80重量部である。
【0012】
また、本発明ではポリオール加硫する必要がある。一般的に加硫方法としては、有機過酸化物加硫、アミン加硫、ポリオール加硫などがあるが、本発明では半導体製造装置に必要な圧縮永久歪みを得るためには、ポリオール加硫しなければならない。特定のフッ素エラストマーに対して、硫酸バリウムを大量に配合し、ポリオール加硫することにより、ふっ素エラストマーをプラズマから保護する、すなわち遮蔽効果が生じ、耐プラズマ性が向上すると共に、圧縮永久歪み、耐酸素プラズマ性が向上するのである。
【0013】
ポリオール加硫剤としては、公知のものが適用でき、例えばビスフェノールAFが用いられる。 ポリオール加硫剤は、共重合体100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ましくは1〜2重量部配合すればよい。また、促進剤,受酸剤としては、4級フォスホニウム塩,4級アンモニウム塩,水酸化カルシウム,酸化マグネシウムなどが用いられる。
【0014】
また、本発明では、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体100重量部に対して、さらに四フッ化エチレン樹脂0.5〜30重量部を配合すれば、さらに耐酸素プラズマ性が向上する。 用いることができる四フッ化エチレン樹脂としては、特に制限はなく公知の材料が適用できる。
四フッ化エチレン樹脂の配合量が0.5重量部未満であると、耐酸素プラズマ性の改善効果が少なく、30重量部を越えると、引張強さ、伸びなどの機械的特性が低下する傾向にある。したがって、好ましい配合量は、1〜20重量部である。
【0015】
本発明における半導体製造装置用シールは、圧縮成形、押出成形等の公知の方法によって成形し、公知の方法により加硫すればよい。
【0016】
以下に、発明の実施例、比較例について説明する。表1に示した配合組成物をニーダー及びオープンロールにて混練し、175℃で10分間プレス加硫してOリング成形した後、さらに230℃で24時間の2次加硫を行なった。このOリングを下記方法での各特性試験を行い結果を表1に記した。
【0017】
【表1】
【0018】
また、比較例については、配合組成、及び各特性試験の結果を表2に記した。
【0019】
【表2】
【0020】
1)耐酸素プラズマ性
上記方法で作成したOリングを下記のプラズマ照射条件下に暴露し、その前後の重量変化を調べた。
[プラズマ照射条件]圧力200Pa、出力300W、照射時間2時間、流量100ml/min。
2)耐ガス透過性
上記方法で作成したOリングの耐ガス透過性を下記の方法にて調べた。
フード法:フランジにOリングを組み込み、フランジにポリ袋をかぶせ、袋内にヘリウムガスを充満させ、シールを透過したヘリウムガスをヘリウムリーディテクタを用いて測定した。
3)圧縮永久歪み
上記方法で作成したOリングを200℃で70時間加熱した後、ASTM D1414により圧縮永久歪みを測定した。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、耐酸素プラズマ特性、ガス透過性、シール性に優れた半導体製造装置用シールを提供することができる。また、四フッ化エチレン樹脂を配合すれば、さらに耐酸素プラズマ性が向上する。
【0022】
したがって、本発明のシールを用いれば、酸素プラズマに対して優れた安定性を有するため、該条件下であっても、該シールの劣化によって発生する異物が半導体基板のシリコンウエハーに付着せず、異物付着による不良半導体製品が減少する。また、シールの長寿命化が図れたため、シールのメンテナンスが軽減する。
Claims (3)
- フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体100重量部に対して、硫酸バリウム20〜100重量部を配合してなる組成物をポリオール加硫した半導体製造装置用シールであって、前記半導体製造装置用シールが酸素雰囲気下でプラズマ処理条件下で使用される半導体製造装置用シール。
- フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体、または、及び、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン−四フッ化エチレン共重合体100重量部に対して、硫酸バリウム20〜100重量部を配合し、さらに四フッ化エチレン樹脂0.5〜30重量部を配合してなる組成物をポリオール加硫したことを特徴とする半導体製造装置用シール。
- 請求項2に記載の半導体製造装置用シールであって、酸素雰囲気下でプラズマ処理条件下で使用される半導体製造装置用シール。
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JP12224399A JP3553415B2 (ja) | 1999-04-28 | 1999-04-28 | 半導体製造装置用シール |
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