JP3553201B2 - ウレタン変成エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

ウレタン変成エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、低温での硬化性及び各種基材への密着性に優れ、かつ、柔軟性、防食性に優れた硬化皮膜を形成しえるウレタン変成エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
エポキシ樹脂は、ポリアミン系、ポリアミド系等の活性水素を含有する硬化剤によって硬化することが知られており、また、この硬化物は防食性、耐薬品性等に優れるため、塗料、接着剤、各種成形材料等として広く用いられている。
【0003】
しかしながら、エポキシ樹脂の硬化物は、硬度が大きい反面、柔軟性に乏しいため、接着剤として用いた場合には剥離強度が小さかったり、塗料あるいは成形材料として用いた場合にはクラックが発生しやすい等の欠点があった。このため、特に、柔軟性とともに弾力性をも要求される用途、例えば、コンクリート構造物用の被覆材、クッション材、内部応力のかかる部位のポッティング材に用いる場合には、従来のエポキシ樹脂では全く不十分なものであった。
【0004】
また、通常のエポキシ樹脂は低温における硬化性が不十分であり、特に、寒冷地および/または冬季の屋外において使用した場合には、硬化に長時間を要するため作業性が低下するばかりでなく、目的とする性能の硬化物が得られない欠点もあった。
【0005】
ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物から得られる末端にイソシアネートを有するウレタン結合含有化合物と、分子内に少なくとも一個の水酸基を有するエポキシ化合物を反応させて得られるウレタン変成エポキシ樹脂を用いることによって柔軟性を改善することが、特開昭60−260619号公報、特開昭60−260620号公報、特開平2−238019号公報、特開平3−139519号公報、特開平3−143916号公報、特開平3−212420号公報、特開平5−32758号公報等に提案されている。これらのウレタン変成エポキシ樹脂を用いることによって硬化物の柔軟性はある程度改善されるが、硬化性はほとんど改善されないため、低温時の作業性を改善することはできなかった。
【0006】
また、低温での硬化性を改善するために、特開昭51−101100号公報にはエポキシ樹脂とオリゴエステル(メタ)アクリレートを併用することが提案され、特開昭53−132099号公報および特開平4−91113号公報にはエポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応物を用いることが提案され、特開昭61−44918号公報には水酸基含有アクリル化合物とポリイソシアネートの反応物で末端にイソシアネート基を有する化合物と水酸基含有エポキシ樹脂とを反応させて得られるアクリル変成エポキシ樹脂を用いることが提案されているが、これらを用いた場合には、得られる硬化物の柔軟性が不十分であり、実用上満足できるものではなかった。
【0007】
従って、本発明の目的は、低温での硬化性に優れ、かつ、柔軟性、接着性、耐食性、耐薬品性等に優れたエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のウレタン結合含有化合物と、分子内に水酸基を有するアクリル化合物および分子内に水酸基を有するエポキシ化合物との反応生成物が、上記目的を達成し得ることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、(A)ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とから得られる末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物と、(B)分子内に少なくとも一個の水酸基を有するアクリル化合物および(C)グリシドールとを反応させて得られる反応生成物からなるウレタン変成エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
以下、本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物について詳細に説明する。
【0011】
本発明で用いられる(A)成分のウレタン結合含有化合物を製造するために用いられるポリヒドロキシ化合物としては、一般のポリウレタンの製造に用いられるポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等があげられる。
【0012】
ここで、上記ポリエーテルポリオール〔以下、(A−1)成分ということがある〕とは、低分子量多価アルコール類、アミン類、多価フェノール類、水等の2個以上の活性水素を有する化合物を開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等の低級アルキレンオキサイドあるいはテトラヒドロフラン等の環状エーテルを付加重合させた生成物であり、上記低分子量多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等があげられ、上記アミン類としてはアンモニウム、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等があげられ、上記多価フェノール類としてはレゾルシン、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等があげられる。
【0013】
また、上記ポリエステルポリオール〔以下、(A−2)成分ということがある〕とは、上記低分子量多価アルコール類またはポリエーテルポリオールと多価カルボン酸、ヒドロキシカルボン酸または炭酸との縮合物、ラクトンの開環重合物があげられ、上記多価カルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等があげられ、上記ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸等があげられ、上記ラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクタム等があげられる。
【0014】
その他、上記ポリヒドロキシ化合物としては、ヒドロキシカルボン酸とアルキレンオキシドの付加物、ポリブタジエンポリオール、ポリオレフィンポリオール等を用いることができる。
【0015】
上記のポリヒドロキシ化合物のなかでも、特に、上記(A−1)成分であるポリエーテルポリオールを用いた場合に、密着性、柔軟性等に優れた硬化塗膜が得られるので好ましい。
【0016】
また、上記のポリヒドロキシ化合物の分子量には特に制限を受けないが、一般には、重量平均分子量が300〜5000、特に、500〜2000の範囲のものを用いることが好ましい。上記重量平均分子量が300未満のものを用いた場合には柔軟性に劣る傾向があり、また、5000を超えるものを用いた場合には硬化性に劣る傾向がある。
【0017】
また、本発明で用いられる(A)成分のウレタン結合含有化合物を製造するために用いられるポリイソシアネート化合物〔以下、(A−3)成分ということがある〕としては、一般のポリウレタンの製造に用いられる脂肪族、脂環族または芳香族ポリイソシアネートがあげられ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネートなどがあげられ、これらのポリイソシアネート化合物は単独でも2種以上を併用することもできる。
【0018】
本発明で用いられる(A)成分のウレタン結合含有化合物は、上記のポリヒドロキシ化合物および上記ポリイソシアネート化合物から常法に従って製造することができ、例えば、60〜120℃で1〜15時間攪拌することによって容易に製造することができる。この場合、必要に応じて、アミン系、錫系等の周知の触媒を用いることができ、また、反応に不活性な溶媒中で反応させることもできる。
【0019】
上記ポリヒドロキシ化合物と上記ポリイソシアネート化合物との反応比率は、得られるウレタン結合含有化合物の末端にイソシアネート基を残存させるために、上記のポリヒドロキシ化合物中の水酸基に対して、上記ポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基が過剰となる比率、特に、1.2〜2.2倍となる比率で用いられるのが好ましい。上記イソシアネート化合物の比率が1.2倍未満の場合は、末端に水酸基が残存したり、ウレタン結合化合物の分子量が大きくなりすぎるために硬化性が不十分となるおそれがあり、また、2.2倍を超える場合にはウレタン結合化合物中に未反応のポリイソシアネートが多量に残存することとなり、引き続く後述の(B)成分および(C)成分との反応において副生成物が多量に生成して保存安定性を低下させるおそれがある。
【0020】
本発明で用いられる(B)成分の分子内に少なくとも一個の水酸基を有するアクリル化合物としては、アクリル酸またはメタクリル酸と多価アルコールの部分エステル化合物があげられ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリス(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールの(メタ)アクリレートがあげられ、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを用いた場合に硬化性が優れるので好ましい。
【0021】
本発明では、(C)成分として分子内に少なくとも一個の水酸基を有するエポキシ化合物であるグリシドール(以下、分子内に少なくとも一個の水酸基を有するエポキシ化合物ともいう)を用いる。また分子内に少なくとも一個の水酸基を有するエポキシ化合物であるグリシドールは、水酸基を持たないエポキシ化合物との混合物であってもよい。上記の水酸基を持たないエポキシ化合物との混合物を用いるときは、各々別途に製造した後に混合してもよいが、市販の比較的大きなエポキシ当量を有するエポキシ樹脂を用いることもできる。
【0022】
上記(C)成分の分子内に少なくとも一個の水酸基を有するエポキシ化合物は、エポキシ当量が1000以下、特に700以下のものが好ましく、該エポキシ当量が1000を超える場合は硬化性が低下する傾向がある。
【0023】
酸基含有エポキシ化合物のなかでも、分子末端にエポキシ基を有するグリシジル化合物であるグリシドールを用いた場合に硬化性、密着性等に優れる。
【0024】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、前記の(A)末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物と、(B)水酸基を有するアクリル化合物および(C)水酸基を有するエポキシ化合物とを反応させることによって得られる反応生成物からなるものであり、該(A)成分のイソシアネート基1当量に対して、該(B)成分および該(C)成分を合計した水酸基が好ましくは1当量以上、更に好ましくは1.0〜1.5当量となるような比率で、常法に従って、例えば、60〜120℃で1〜20時間反応させることによって容易に製造することができ、この場合、必要に応じて、アミン系、錫系等の周知の触媒を用いることができ、また、反応に不活性な溶媒中で反応させることもできる。
【0025】
上記水酸基の比率が1当量未満の場合は未反応のイソシアネート基が残存することとなり、使用時に発泡したり、柔軟性が不十分となる傾向があり、また、1.5当量を超える場合は、耐水性が不十分となる傾向がある。
【0026】
また、上記反応における上記(B)成分と上記(C)成分との使用量の比率〔(B)成分/(C)成分〕は、モル比で好ましくは3/97〜60/40、更に好ましくは5/80〜50/50であり、上記比率が3/97未満の場合は、低温硬化性が不十分となり、また、上記比率が60/40超の場合は、密着性が低下し、防食性が劣る傾向がある。
【0027】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、上記(A)成分と、上記(B)および(C)成分とを反応させて得られる反応生成物からなり、該反応生成物としては、(D−▲1▼)ウレタン結合含有化合物の両末端にアクリル化合物が結合された成分、(D−▲2▼)ウレタン結合含有化合物の両末端にエポキシ化合物が結合された成分および(D−▲3▼)ウレタン結合含有化合物の末端の一方にアクリル化合物が結合されもう一方にエポキシ化合物が結合された成分を含有するものと考えられる。このように本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、アクリル基を含有するウレタン変成エポキシ樹脂を含むものである。
【0028】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物が従来既知のものと比較して著しく優れた効果を奏する理由は明らかではないが、アクリル基による硬化とエポキシ基による硬化が同時に進行する際に、上記(D−▲1▼)成分と上記(D−▲3▼)成分および上記(D−▲2▼)成分と上記(D−▲3▼)成分との反応も進行し、組成物全体が均一な硬化物を形成するためであると推定される。
【0029】
また、本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、(A)成分のウレタン結合含有化合物と結合していないアクリル化合物(水酸基を有する化合物であっても水酸基を持たない化合物であってもよい)あるいはエポキシ化合物(水酸基を有する化合物であっても水酸基を持たない化合物であってもよい)を含有していてもよく、この場合にも上記のように全体が均一な硬化物を形成することができる。
【0030】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、上記のウレタン結合含有化合物と結合していないアクリル化合物および/またはエポキシ化合物を含めた全樹脂成分として、エポキシ当量が500〜10000、特に700〜7000であることが好ましく、該エポキシ当量が500未満の場合には柔軟性が低下する傾向があり、また、10000を超えると硬化性および防食性が不十分となる傾向がある。
【0031】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、一般には、硬化剤が配合されて塗料、接着剤等の用途に用いられる。
【0032】
上記硬化剤としては、通常のエポキシ樹脂用硬化剤として用いられているものであれば特に制限を受けずに使用することが可能であり、例えば、芳香族、脂肪族あるいは複素環式ポリアミン類およびそれらのエポキシド付加変成物、アミド化変成物、マンニッヒ化変成物等を必要に応じて使用することができる。これらの硬化剤の中でも、塩基性の硬化剤は低温で硬化させる効果に優れているので、本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物に用いるのに適している。
【0033】
上記ポリアミン類としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類があげられる。また、上記エポキシド付加変成物は、上記のポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類またはカルボン酸のグリシジルエステル等の各種のエポキシ樹脂とを常法によって反応させることによって製造され、上記アミド化変成物は、上記のポリアミン類とダイマー酸等のカルボン酸類を常法によって反応させることによって製造され、上記マンニッヒ変成物は、上記のポリアミン類と、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類およびフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド反応点を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造される。
【0034】
上記の硬化剤は、ウレタン変成エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基およびアクリル基の合計に対して、該硬化剤の活性水素が好ましくは0.7〜1.3倍当量、更に好ましくは0.8〜1.2倍当量となるように用いられる。該硬化剤の使用量が0.7倍当量未満の場合は硬化性が不十分となり、また、1.3倍当量を超える場合は未反応の硬化剤が残存するため、硬化物の特性に悪影響を及ぼす惧れがある。
【0035】
また、本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物を塗料として用いる場合には、粉体塗料、水に分散させたエマルジョン塗料あるいは溶剤に溶解させた溶剤型塗料として用いることができる。上記溶媒としては、一般には、テレピン油、トルエン、キシレン、メシチレン、市販の脂肪族、脂環族あるいは芳香族高沸点炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等があげられ、これらの溶剤は2種以上の混合溶剤として用いることもできる。
【0036】
また、本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ベンジルアルコール、コールタール等の希釈剤(可塑剤)、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース、ケイ砂、セメント、カオリン、クレー、水酸化アルミニウム、ベントナイト、タルク、シリカ、微粉末シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、歴青物質などの充填剤もしくは顔料、増粘剤、チキソトロピック剤、難燃剤、消泡剤等の常用の添加物を併用してもよく、さらに、キシレン樹脂、石油樹脂等の粘着性の樹脂類を併用することもできる。
【0037】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物を使用して塗料を調製する方法としては、常法に従い、ウレタン変成エポキシ樹脂組成物にフィラー等の所望の添加物を加え、ガラスビーズを入れて所定時間振とう機等で混練りする方法があげられる。得られた塗料は、硬化剤を混合したあと、バーコーター等を用いて所定の膜厚で塗布し、乾燥硬化させることによって塗膜を形成させることができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、各実施例中で部は特に断りのないかぎり重量部を示し、また、エポキシ当量とはエポキシ基1個あたりのウレタン変成エポキシ樹脂の分子量で定義され、水酸基当量は水酸基1個あたりのウレタン変成エポキシ樹脂の分子量で定義され、不飽和結合当量はアクリル化合物の不飽和結合1個あたりのウレタン変成エポキシ樹脂の分子量で定義される。
【0039】
実施例1
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール500部(水酸基=1当量)とトルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、イソシアネート含有率(NCO%)=6.23%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。
ここに、ヒドロキシエチルアクリレート29部(水酸基=0.25当量)およびグリシドール56部(水酸基=0.75当量)を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=1015、不飽和結合当量=3045のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−1)を得た。
【0040】
実施例2
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール650部(水酸基=1.3当量)とトルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、イソシアネート含有率(NCO%)=5.1%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。
ここに、ヒドロキシエチルアクリレート29部(水酸基=0.25当量)およびグリシドール56部(水酸基=0.75当量)を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=1210、不飽和結合当量=3640のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−2)を得た。
【0041】
実施例3
ヒドロキシエチルアクリレートの量を11.6部(水酸基=0.1当量)とし、グリシドールの量を66.6部(水酸基=0.9当量)とする以外は実施例1と同様の操作により、エポキシ当量=835、不飽和結合当量=7520のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−3)を得た。
【0042】
実施例4
ポリテトラメチレングリコールに代えて、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール500部(水酸基=1当量)を用いた以外は実施例1と同様の操作により、エポキシ当量=1015、不飽和結合当量=3045のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−4)を得た。
【0043】
実施例5
重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールに代えて重量平均分子量850のポリテトラメチレングリコール425部(水酸基=1当量)を用いる他は実施例1と同様の操作によって、エポキシ当量=920、不飽和結合当量=2760のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−5)を得た。
【0044】
実施例6
トルエンジイソシアネートに代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート168部(NCO=2当量)を用いた以外は実施例1と同様の操作により、エポキシ当量=1005、不飽和結合当量=3010のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−6)を得た。
【0045】
実施例7
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール500部(水酸基=1当量)とイソホロンジイソシアネート222部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、NCO%=5.82%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。
ここに、ヒドロキシプロピルアクリレート32部(水酸基=0.25当量)およびグリシドール56部(水酸基=0.75当量)を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=1080、不飽和結合当量=3240のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−7)を得た。
【0046】
実施例8
重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコールに代えて重量平均分子量2000のポリテトラメチレングリコール1000部(水酸基=1当量)を用いる他は実施例6と同様の操作によって、エポキシ当量=1750、不飽和結合当量=5240のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−8)を得た。
【0047】
実施例9
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量1000のポリカプロラクトンポリオール500部(水酸基=1当量)とトルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、NCO%=6.23%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。
ここに、ヒドロキシプロピルアクリレート32部(水酸基=0.25当量)およびグリシドール56部(水酸基=0.75当量)を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=1015、不飽和結合当量=3050のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−9)を得た。
【0051】
実施例10
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量850のポリテトラメチレングリコール425部(水酸基=1当量)とトルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、NCO%=7.01%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。ここに、ヒドロキシプロピルアクリレート13部(水酸基=0.1当量)、グリシドール51.8部(水酸基=0.7当量)および224部(水酸基=0.2当量)のアデカレジンEP−4000を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=635、不飽和結合当量=8880のアクリル結合含有ウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−13)を得た。
【0052】
比較例1
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、重量平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール500部(水酸基=1当量)とトルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)をとり、100℃で5時間攪拌し、NCO%=6.23%の末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物を得た。
ここに、グリシドール74部(水酸基=1当量)を加え、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=750のアクリル結合を含有しないウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−14)を得た。
【0053】
比較例2
温度計、攪拌装置、冷却管及び窒素導入口を備えた反応容器に、1120部(水酸基=1当量)のアデカレジンEP−4000、トルエンジイソシアネート174部(NCO=2当量)およびヒドロキシエチルアクリレート114部(水酸基=1当量)をとり、100℃で5時間攪拌した後、ジブチル錫ジラウレート100ppmを加え、赤外分光分析によってイソシアネートに基づく吸収が消失するまで(100℃で更に5時間)攪拌し、エポキシ当量=400、不飽和結合当量=1410のポリヒドロキシ化合物に由来する成分を含有しないウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−15)を得た。
【0054】
比較例3
比較例1で得られた変成エポキシ樹脂150部とエチレングリコールジアクリレート17部とを混合して、エポキシ当量=835、不飽和結合当量=835のアクリル化合物を含有する変成エポキシ樹脂組成物(D−16)を得た。
【0055】
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた変成エポキシ樹脂組成物75部にキシレン25部を加え、固形分濃度75%の溶液を調整し、ここに、硬化剤として活性水素当量76の変成ポリアミン(旭電化工業株式会社製アデカハードナーEH−220)を、変成エポキシ樹脂組成物中のエポキシ基とアクリル結合の合計と、硬化剤の活性水素の比率が1/1となるように、下記〔表1〕に記載した量を配合して硬化性組成物を調製した。
【0056】
この硬化性組成物をバーコーターを用いて、JIS G−3141の圧延鋼板上に膜厚100μになるように塗布した。次いで、この塗布物の低温における硬化性をみるために5℃での指触乾燥時間を測定し、また、5℃で7日間放置後の塗膜の鉛筆硬度を測定し、さらに、キシレンによるラビング試験(キシレンを含ませた脱脂綿で表面を擦り、表面が白化するまでの回数)およびJIS K−5400に基づく500時間の塩水噴霧試験(SST)を行った。
【0057】
また、上記と同様にして調製した硬化性組成物を23℃で1日放置した後に100℃で1時間硬化させて硬化物を作成し、50mm/分の引っ張り速度で引っ張り、引っ張り強度(kgf/cm)および引っ張り伸び(%)を測定した。
それらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0058】
【表1】
Figure 0003553201
【0059】
上記〔表1〕の結果から以下のことが明らかである。
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−1〜D−13;実施例1〜13)は、アクリル基を含有したウレタン変成エポキシ樹脂を含んでおり、低温における硬化性に優れ、また、耐食性および耐薬品性の良好な塗膜を形成することができる。
【0060】
これに対し、アクリル基を含有しないウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−14;比較例1)は、低温における硬化性に劣るばかりでなく、耐食性および耐薬品性も全く不十分であり、また、これにアクリル化合物を配合(D−16;比較例3)しても、低温における硬化性は改善されるものの、耐食性および耐薬品性についての改善効果は認められず、また、得られる硬化物の伸びが著しく低下してしまう。また、ポリヒドロキシ化合物を用いずに、イソシアネートのみで架橋したアクリル基を含有するウレタン変成エポキシ樹脂組成物(D−15;比較例2)は低温における硬化性は良好であるが、耐食性が不十分であり、しかも、得られる硬化物の伸びが著しく小さく実用上は全く不十分である。
【0061】
【発明の効果】
本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物(請求項1)は、低温における硬化性に優れ、かつ、耐食性、耐薬品性、密着性等に優れ、また、柔軟性に優れる塗膜を形成することができ、塗料、接着剤等の用途に有用である。本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物(請求項2)は、上記効果が更に向上したものである。本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物(請求項3)は、更に硬化性が優れたものである。本発明のウレタン変成エポキシ樹脂組成物(請求項)は、上記効果が更に向上したものである。

Claims (4)

  1. (A)ポリヒドロキシ化合物とポリイソシアネート化合物とから得られる末端にイソシアネート基を有するウレタン結合含有化合物と、(B)分子内に少なくとも一個の水酸基を有するアクリル化合物および(C)グリシドールとを反応させて得られる反応生成物からなるウレタン変成エポキシ樹脂組成物。
  2. 上記(B)成分と上記(C)成分との比率〔(B)成分/(C)成分〕が、3/97〜60/40(モル比)である請求項1記載のウレタン変成エポキシ樹脂組成物。
  3. 上記(B)成分が、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートである請求項1または2記載のウレタン変成エポキシ樹脂組成物。
  4. エポキシ当量が500〜10000である請求項1〜の何れかに記載のウレタン変成エポキシ樹脂組成物。
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