JP3553132B2 - 釣竿の握り筒取付構造とその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は釣竿の握筒取付構造とその製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の握筒は図3に示すように、竿本体(21)の握り部(22)にエポキシ系2液接着剤を塗布し、薄肉握り筒(24)に竿本体(21)を挿通し、2液接着剤層(23)にて薄肉握り筒(24)を接着するようにしていた。この場合、2液接着剤層(23)を握り部(22)に均一に形成する事が出来ればよいのであるが、2液接着剤層(23)にはある程度粘性があり、その厚みに厚薄が出来たり、塗布の仕上げ状況によっては全く2液接着剤層(23)が塗布されていない箇所が発生する事がある。
【0003】
それ故、薄肉握り筒(24)に竿本体(21)を挿入して、握り部(22)の外周に2液接着剤層(23)を介して薄肉握り筒(24)を接着する場合、2液接着剤層(23)の厚みに合わせて薄肉握り筒(24)が変形し、図3に示すように薄肉握り筒(24)の表面に不規則な凹凸を形成する。
【0004】
又、2液接着剤層(23)の厚みに厚薄がある場合、薄い部分は早く凝固し、2液接着剤層(23)の厚い部分の固化が遅れるため、まだ柔らかい部分の残っている厚塗り部分が、先に固化した薄塗り部分に引っ張られ、その結果厚い部分の中央がクレータのようにへこむ。
その結果、薄肉握り筒(24)がそのクレータ部分に引っ張られてへっこみを生じ、薄肉握り筒(24)の表面にクレータ状の凹みが現れるという問題がある。
薄肉握り筒(24)の厚みが比較的厚い場合は、そのような表面の凹凸が表面に現れにくいものであるが、例えば1.5tのゴム、または軟質塩化ビニルのような素材で薄肉握り筒(24)が形成された場合には、明確に2液接着剤層(23)による前記影響に起因する凹凸が薄肉握り筒(24)の表面に現れ、釣竿の握り部(22)の外観を醜くし、商品価値を低下させるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、握り筒に薄く且つ柔らかい素材を用いたとしても、その表面に凹凸が発生しないように竿本体に接着出来るようにする事にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の釣竿の握り筒取付構造は『竿本体 (1) と、中間シート (4) と、薄肉握り筒 (6) と、竿本体 (1) と中間シート (4) との間で均一に延ばされた下層接着剤層 (3) と、中間シート (4) と薄肉握り筒 (6) との間で均一に延ばされた上層接着剤層 (5) とで構成された事』を特徴とする。
【0007】
これにより、上・下層接着剤層(3)(5)は中間シート(4)の存在によって分割されて薄く均一に延ばされた状態となり、薄く柔らかい素材で薄肉握り筒(6)を構成したとしてもその表面に凹凸が表れず、薄肉握り筒(6)を竿本体(1)の握り部(2)にきれいに接着する事が出来る。
【0008】
本発明の請求項2に記載の釣竿の握り筒取付方法(第1実施例)は『竿本体(1)の握り部(2)に接着剤を塗布して下層接着剤層(3)を生成し、下層接着剤層(3)上にシートを巻着して中間シート層(4a)を形成し、中間シート層(4a)上に接着剤を塗布して上層接着剤(5)を形成し、上層接着剤層(5)に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)を中間シート層(4)に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事』を特徴とする釣竿の握り筒取付方法。
【0009】
これによれば、上・下層接着剤層(3)(5)は中間シート層(4a)の存在によって分割されて薄く均一に延ばされた状態となるのに加えて、中間シート層(4a)上に塗布された上層接着剤(5)に溶剤を塗布して、上層接着剤(5)をより薄く均一に延ばすと同時に上層接着剤(5)の流動性を高めて薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し易くしており、その結果、薄肉軟質材で形成された握り筒(6)の表面に凹凸を発生させる事なく竿本体(1)の握り部(2)に接着する事が出来る。
【0010】
本発明の請求項3に記載の釣竿の握り筒取付方法(第2実施例)は『両面に接着剤が塗布された中間シート(4)を、竿本体(1)の握り部(2)の外周面に巻着して下層接着剤層(3)にて中間シート(4)を握り部(2)に接着し、次に中間シート(4)の上層接着剤層(5)に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)を中間シート(4)に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事』を特徴とするもので、これによれば請求項2と同様、軟質の薄肉握り筒(6)の表面に凹凸を発生させる事なく竿本体(1)の握り部(2)に接着する事が出来る。
【0011】
本発明の請求項4に記載の釣竿の握り筒取付方法(第3実施例)は『竿本体(1)の握り部(2)に接着剤を塗布して下層接着剤層(3)を形成し、片面に接着剤が塗布された片面接着シートの非接着剤面を前記握り部(2)に巻着して下層接着剤層(3)にて握り部(2)に片面接着シートを接着して中間シート層(4a)を形成し、次に中間シート層(4a)の上層接着剤層(5)に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)を中間シート層(4)に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事』を特徴とするもので、前請求項2、3と同様の作用をなす。
【0012】
【実施例】
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1は本発明に係る竿本体(1)のリールシート(7)の前方に形成された握り部(2)に薄肉握り筒(6)が接着された場合の一例である。勿論、握り部(2)がリールシート(7)の後方に、又は両方に形成される事もある。
【0013】
(6)は薄肉の握り筒で、例えば1mmから2mm程度の薄肉の軟質ゴム、又は軟質塩化ビニルにて形成されており、竿本体(1)の握り部(2)に取り付けられて滑り止めとして使用されるものである。
【0014】
(1)は竿本体(即ち、元竿部分である。)で、(8)がリールシート(7)の後部に取り付けられたリールシート固定フードであり、(11)がリールシート(7)の前部に取り付けられ、移動筒(9)と共に移動する移動フードである。移動筒(9)はネジ部(10)に螺合しており、移動筒(9)を回転する事により、移動筒(9)が螺進・螺退し、移動筒(9)と共に前記移動フード(11)が移動する事になる。
【0015】
(4)は中間シートで、その第1実施例は、両面に接着剤が塗布されていない単なるシート材であり、第2実施例は一方の面に接着剤が塗布された片面接着シートであり、第3実施例は両面に接着剤が塗布された両面接着シートであり、後述のそれぞれにあった使用方法で使用される。
【0016】
接着剤は特に限定されないが、例えば、ゴム系エラストマやアクリル樹脂乃至はホットメルト系接着剤が使用される。後述するように、前記接着剤は、アルコールやシンナーのような溶剤にて軟化又は溶けるような性質のものが使用されることが好ましい。
【0017】
本発明方法の第1実施例によれば、先ず、竿本体(1)の握り部(2)に接着剤を均一に塗布して下層接着剤層(3)を形成し、続いて下層接着剤層(3)上に接着剤層の形成されていない中間シート(4)を巻着して中間シート層(4a)を形成する。ここで、下層接着剤層(3)に塗布ムラが多少あったとしても中間シート(4)を強く巻着することにより、下層接着剤層(3)が巻絞められて均一層になる。中間シート(4)の巻着は、重なり部分がないように且つ隙間があかないように注意深く行われる。
【0018】
中間シート(4)の巻着後、更に中間シート(4)上に接着剤を塗布して上層接着剤層(5)を形成し、続いて上層接着剤層(5)上にシンナーやアルコールのような溶剤を薄く塗布して、上層接着剤層(5)の表面を溶かし、その状態で薄肉握り筒(6)に竿本体(1)の握り部(2)を挿入し、上層接着剤層(5)にて薄肉握り筒(6)を中間シート(4)に接着する。
【0019】
上層接着剤層(5)に塗布された溶剤は、上層接着剤層(5)全体を均質の厚さにすると同時に上層接着剤層(5)を軟化させ、薄肉握り筒(6)に中間シート層(4a)が均一に接着するように働く。
上層接着剤層(5)全体が均一な厚さで薄肉握り筒(6)に接着されると、しばらくして上層接着剤層(5)に塗布された溶剤は蒸発し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)は中間シート(4)に強固且つ全体に均一に固着される事になる。
【0020】
このように溶剤を上層接着剤層(5)に塗布する事により、上層接着剤層(5)が軟化されると同時に上層接着剤層(5)の肉厚が均一になり、全体的に固化速度が一定になって薄肉握り筒(6)の内周面全周が接着不良箇所を生ずる事なく、上層接着剤層(5)にて中間シート層(4a)に接着され、薄肉握り筒(6)の表面に凹凸が発生しない。
尚、中間シート(4)の巻着に際しては、前述のように重なり部分や継ぎ目部分が発生しないように巻着する事が肝要である。
【0021】
本発明方法の第2実施例は、中間シート(4)に両面接着シートを使用する場合で、この場合は、竿本体(1)の握り部(2)の外周面を清掃した後、両面接着中間シート(4)を前記竿本体(1)の握り部(2)の外周面に巻着する。
この場合、予め工場施工にて両面に接着剤が塗布されているもの(いわゆる両面接着テープ)を使用する事が接着剤層の均一化を確保するうえで好ましい。
【0022】
然る後、第1実施例と同様、握り部(2)に接着した中間シート(4)の上層接着剤層(5)に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)を中間シート(4)に接着する。
【0023】
本発明の第3方法は、中間シート(4)として片面接着シートを使用する場合で、竿本体(1)の握り部(2)に接着剤を塗布して下層接着剤層(3)を形成し、片面接着シートの非接着剤面を前記握り部(2)に巻着して下層接着剤層(3)にて握り部(2)に片面接着シートを接着して中間シート層(4a)を形成する。ここで使用する片面接着シートの接着剤層は、両面接着シートの場合と同様工場製作のものが好ましい。
【0024】
次に、前述の実施例と同様、中間シート層(4a)の上層接着剤層(5)に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒(6)に竿本体(1)を挿入し、上層接着剤層(5)を介して薄肉握り筒(6)を中間シート層(4)に接着する。
【0025】
【発明の効果】
本発明の釣竿の握り筒取付構造は、竿本体の握り部に塗布された下層接着剤層を介して握り部(2)に中間シートが接着され、更に中間シートに塗布された上層接着剤層を介して中間シートに薄肉握り筒が接着されているので、上・下層接着剤層は中間シートの存在によって分割されて薄く均一に延ばされた状態となり、その結果、薄く柔らかい素材で薄肉握り筒を構成したとしてもその表面に凹凸が表れず、薄肉握り筒を竿本体の握り部にきれいに接着する事が出来る。
また、本発明方法では、中間シートを用いると同時に上層接着剤層に溶剤を塗布し、然る後、薄肉握り筒に竿本体を挿入して薄肉握り筒を中間シート層に接着するので、中間シートによる接着剤層の分割均一化を図る事が出来ると同時に上層接着剤の流動性が溶剤によって高められて薄肉握り筒が竿本体に挿入し易くなっており、且つ均一に接着する事が出来て薄肉軟質材で形成された握り筒の表面に凹凸を発生させる事なく竿本体の握り部に接着する事が出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる竿本体の握り部の部分正面図
【図2】図1の接着構造を説明する拡大断面図
【図3】従来の握り部の接着構造を説明する拡大断面図
【符号の説明】
(1)…竿本体
(2)…握り部
(3)…下層接着剤層
(4)…中間シート
(4a)…中間シート層
(5)…上層接着剤層
(6)…薄肉握り筒
Claims (4)
- 竿本体と、中間シートと、薄肉握り筒と、竿本体と中間シートとの間で均一に延ばされた下層接着剤層と、中間シートと薄肉握り筒との間で均一に延ばされた上層接着剤層とで構成された事を特徴とする釣竿の握り筒取付構造。
- 竿本体の握り部に接着剤を塗布して下層接着剤層を生成し、下層接着剤層上にシートを巻着して中間シート層を形成し、中間シート層上に接着剤を塗布して上層接着剤を形成し、上層接着剤層に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒に竿本体を挿入し、上層接着剤層を介して薄肉握り筒を中間シート層に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事を特徴とする釣竿の握り筒取付方法。
- 両面に接着剤が塗布された中間シートを、竿本体の握り部の外周面に巻着して下層接着剤層にて中間シートを握り部に接着し、次に中間シート層の上層接着剤層に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒に竿本体を挿入し、上層接着剤層を介して薄肉握り筒を中間シート層に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事を特徴とする釣竿の握り筒取付方法。
- 竿本体の握り部に接着剤を塗布して下層接着剤層を形成し、片面に接着剤が塗布された片面接着シートの非接着剤面を前記握り部に巻着して下層接着剤層にて握り部に片面接着シートを接着し、次に中間シート層の上層接着剤層に溶剤を塗布した後、薄肉握り筒に竿本体を挿入し、上層接着剤層を介して薄肉握り筒を中間シート層に接着し、上層接着剤層および下層接着剤層を薄く均一に延ばされた状態とする事を特徴とする釣竿の握り筒取付方法。
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JP12452094A JP3553132B2 (ja) | 1994-05-13 | 1994-05-13 | 釣竿の握り筒取付構造とその製造方法 |
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Publications (2)
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JPH07303437A JPH07303437A (ja) | 1995-11-21 |
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- 1994-05-13 JP JP12452094A patent/JP3553132B2/ja not_active Expired - Lifetime
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