JP3552528B2 - 登山用ナビゲーション装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯型の歩行者用ナビゲーション装置に関し、特に、登山時における登山路の目的地までの所要時間を予測し、表示する登山用ナビゲーション装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
登山計画を立てる際、当該地域の地図(日本国内の場合、国土地理院発行の縮尺五万分の一または二万五千分の一)等を検討し、登山路を選択する。この際、登山路の選定と1日毎の道程距離を予定することになる。そして、単独行ならば自分だけの体力と登山技量を考慮すればよいが、複数人でパーティを組む場合は、パーティ員各自の体力を考慮した登山計画を企る必要がある。
【0003】
そして、日の出から日没までの間に歩行する予定距離は、地図等に記載されている標準時間または登山路の要所々々に立てられている案内標識の「ここからyy地点までxxkm,所要時間xx時間」等から得ていた。
【0004】
図10は登山経路説明図であり、同図Aは登山路の垂直表示図であり、また同図Bは例えば標高差が所定の値になる毎に描画される等高線100で示される平面表示図である。
【0005】
図において、101及び102は経路であって、例えば尾根道または沢登りを示す登山コースを示し、図中の符号で、Sは登山路のスタート点、Nは後述するGPS(Global Positioning System;全地球測位システム)信号を受信している現在点、Dは到達予定の目標点である。
【0006】
図中の経路101は同図Bの平面表示図で示すように、尾根道であり、登山者は麓のスタート点Sから目標点Dを目指して登山を開始し、現在は目標点Dの手前にある小さな峰を登っていることを示している。
【0007】
登山者は経路101を逐次歩行し、展望が開けた場所や一時休憩を取る場所毎に周囲の地形や地勢を確認し、持参した地図を参照して自分の現在位置を地図上にプロットする。こうして現在地点までの経過時間と歩行距離を確認し、今後の歩行予定距離や所要時間を予測していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、登山における歩行速度は同じ山の同じ登山ルートをであっても、夏季の登山である場合と、冬季の雪山登山では大きく状況が異なる。また、冬季の場合は積雪状況にも影響される。更に、当日の天候(晴れ,雨天,風,霧)や登山者の体調にも左右され、地図等に記載された登山路を上記の標準時間では走行できないのが通例である。
【0009】
例えば、図10で図示していないが、麓のスタート点Sから目標点Dまでの標準歩行時間はxx時間が掛かるとガイド標等には記載されていても、経路101にガレ場があったり、前日の雨で滑りやすい箇所があったりした場合は、上記の標準時間で目標点Dに到達するのは困難である。
【0010】
或いは、パーティ員中に登山の未熟連者が混じっている場合は、登山路の傾斜(斜度)の変化によって歩行速度が大きく変化する。熟練者の場合は斜度の多少の変化に対しても略同じ速度で歩行できるが、未熟練者の場合は斜度の多少の変化に対しても敏感に反応して歩行速度が遅くなる傾向がある。
【0011】
しかも、登山の安全のため、パーティの前進速度は未熟練者の歩調に合わせることとなるため、登山路の斜度(上り,下り)が大きくなると短い距離でも長時間を消費する結果となり、当日の到達目標点への到達が日没迄に不可能となって、遭難の危険が生じるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような点にかんがみて、登山経路における所要時間を経過してきた現在地点迄の実績値を利用して、到達目標点までの残りの所要予定時間を予測し、安全で楽しく登山ができる手段を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は図1に示す如くに構成された本発明によって解決される。
図1は、本発明の請求項1の原理ブロック図であり、静止衛星または地上基地局からのGPS信号を受信し、当該受信位置の位置情報を受信時刻を付加して算出する位置情報解析部1と、地図の地名と地理的な位置情報と等高線データおよび付随情報を格納する地形情報格納部2と、入力された登山予定ルートを格納する経路情報格納部3と、現在時刻および/または経過時間を供給するタイマ4と、前記位置情報解析部からの位置情報を受け、前記地形情報格納部から供給される当該位置に基づく地形の斜度と、当該斜度位置の通過所要時間を前記タイマで計測した通過速度との相関を算出すると共に、未経過な斜度における通過時間を前記付随情報に基づいて予測する斜度と速度の相関作成部5と、前記相関作成部が作成した斜度と速度の相関を用いて、前記予定経路の通過所要時間を予想する所要時間計算部6、とから構成する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図2乃至図9を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図3は熟練者と未熟練者の歩行速度を登山路の斜度に対応してプロットした斜度速度マップのグラフ表示図であり、水平方向の軸(g)は登山路の斜度を示し、中心が平坦地であり、右方向は上り坂を、左方向は下り坂を示す。また、垂直軸は速度(v)を示している。そして、同図Aは熟練者のグラフであって、91は熟練者曲線である。また、同図Bは未熟練者のグラフであって、92は未熟練者曲線である。
【0015】
同図Aの熟練者曲線91が示すように、熟練者の歩行速度は斜度の多少の変化に対しても大きく変動することはない。一方、同図Bの未熟練者曲線92が示すように、未熟練者の歩行速度は斜度の多少の変化に対しても如実に追随した変動をしている。
【0016】
図4は上記図3のグラフをテーブル表示した斜度速度マップ例示図であり、標準的な登山者の斜度速度マップと、技量の異なる登山者の斜度速度マップと、気象に左右された場合の登山者の斜度速度マップ等を勾配5%刻みで示したものである。
【0017】
そして、同図Aは標準者及び熟練者の場合、同図Bは未熟練者の場合である。なお、勾配の刻みは任意であり、1%刻みとして、1%以下の場合は勾配に変化なしとすることもできる。
【0018】
そして、図4では、速度(v)表示に関しては平坦地での速度(例えば,時速4km)を基準値とした相対値で示し、斜度(g)における5%とは10mで0.5m登る勾配を意味し、「−」は「下り坂」を示している。
【0019】
更に、同図中の符号について、24−1は標準的な登山者の斜度速度マップ,24−2は快晴時における熟練者の斜度速度マップ,24−3は悪天候(例えば,霧)時における熟練者の斜度速度マップ,24−4は未熟練者の斜度速度マップ,24−5は他の未熟練者の斜度速度マップを示している。
【0020】
上記の斜度速度マップを用いた本発明の構成および作用を以下に説明する。
図2は本発明の実施の形態を説明するシステムの機能ブロック構成図である。
図において、
11は静止衛星から、或いは静止衛星及び地上基地局からの距離補正の信号を受信するGPS信号受信部であり、
40は時刻または経過時間を計数出力するタイマであり、
12はタイマ40の所定計時毎に、GPS信号受信部11から入力される信号に基づく登山者の三次元的な現在位置(日本の場合は,東経xx度,北緯yy度,及び標高)を算出し、タイマ40による前回計時で算出した位置(図示しないバッファに保存しておいた前回の算出位置)との間に位置変化があった時は今回の算出位置をバッファに保存し、当該受信した時刻と共に前回位置からの距離を含む現在位置情報を出力する現在位置計算部である。
【0021】
次に、20はデータベースであって、履歴情報23及び後述する図5で説明する地形情報21と登山路情報22と斜度速度マップ集24とを含んでいる。
次に、71は登山予定路のコースやスタート点位置や到達目標点位置を入力する入力部であり、72は地形図,選択したコース,登山所要時間等を画面または音声等を用いて表示する出力部であり、73は後述する予定路情報設定部25と後述する到達時刻予測部60と入力部71及び出力部72との間でデータを制御する入出力制御部である。
【0022】
そして、上記した予定路情報設定部25は、出力部72にデフォルトで表示される地域/コース選択画面によって入力部71から指定された地域とコースに基づいてデータベース20にアクセスし、読み出した地図等を入出力制御部73を介して出力部72に表示させると共に、後述する経路テーブル26−1及び斜度速度テーブル26−2に初期状態をセットする。
【0023】
次に、26−1は登山者が歩行する毎に更新される経路テーブル(後述する図7)であり、26−2は斜度毎の登山者の歩行速度を対応させた斜度速度テーブル(後述する図8)である。
【0024】
また、50は現在位置計算部12からの出力とタイマ40の出力に基づいて、歩行中の経路の斜度に変化を認めた時に斜度速度テーブル26−2を更新し、更新した旨を通知する斜度速度テーブル更新部であり、60は上記の斜度速度テーブル更新部50からの通知を受け、現在位置計算部12からの出力及び斜度速度テーブル更新部50が更新済の斜度速度テーブル26−2を参照し、タイマ40の出力に基づいて、経路テーブル26−1を更新し、目標点までの所要時間を予測して出力部72に表示させる到達時刻予測部である。
【0025】
次に、図5は図2におけるデータベース20を説明するデータベース情報説明図である。即ち、地形情報21には、例えば日本全国の所定縮尺(1/50000,1/25000)の地図が各地域毎に区分けされて格納されている。地図に記入される記号類(境界線,等高線データ,地名,三角点,川,湖沼,滝,崖,岩場等)は、説明は省略するがビットマップ形式,ドロー形式、また周知のビジュアル向け言語を用いて記録されている。
【0026】
登山路情報22には、それぞれの地域別の登山路に関した情報が格納され、既設の登山路に対しては「難易」,「危険箇所」,「水場」,「展望地」,「動植物種別」,「標準所要時間」等が、また自由設定路に対しては「尾根/沢」,「通過不能場所」等の情報が格納されている。
【0027】
履歴情報23には、過去の登山歴データとして、登山年月日,地名,標高差,所要時間,メモ,実績斜度速度マップ等が格納されている。
斜度速度マップ集24には、図4で例示した如きパターンで、種々の年代の標準的なまた技量別の斜度速度マップが格納されている。
【0028】
次の図6は、図2における予定路情報設定部25の機能を説明する初期値設定説明図である。
図において、25−1はコースであり、スタート点の位置、目標点の位置、経路テーブル26−1(図2)におけるチェックポイントを設定するためのものであり、25−2は当日予定コースの目標点迄の到達予想時刻であり、25−3はスタート時刻であり、25−4は斜度速度テーブル26−2(図2)に設定するために、データベース20の斜度速度マップ集24から読み出した斜度速度マップである。
【0029】
次に、図7は経路情報図であって、経路テーブル26−1(図2)の詳細説明図であり、また図8は斜度速度テーブル例示図であって、斜度速度テーブル26−2(図2)の詳細説明図である。
【0030】
以下、本発明の実施の形態の作用を図7と図8を用いて説明する。
図7Aは経路テーブルであって、到達時刻予測部60(図2)の作用を説明するものであり、同図Bは平面表示した経路図である。
【0031】
図において、経路101上のP点はチェックポイントであって、当初は予定路情報設定部25によって所定距離毎に設定される。しかし、登山者の歩行経過に従って斜度の変化が検出された地点で、当該地点を新たにチェックポイントとして追加し、当該位置迄の距離が新たに設定される。また、斜度に変化がない当初設定のチェックポイントは削除され、次のチェックポイントまでの距離が更新される。
【0032】
同図Bにおいて、実線で描いた経路101上のチェックポイントP0(S)はスタート点,チェックポイントP1乃至P3は登山者がすでに歩行した既経過点,チェックポイントP4(N)は現在点であり、破線で描いた経路101上のチェックポイントP5乃至P9は未経過点であり、チェックポイントP9(D)は目標点である。
【0033】
到達時刻予測部60によって更新される経路テーブル(図7A)と斜度速度テーブル更新部50によって更新される斜度速度テーブル(図8)を説明する。
経路テーブル26−1は、予定路情報設定部25によって初期値が設定される。即ち、位置P欄には図6のコース25−1のデータを書き込み、距離s欄には図6のコース25−1のチェックポイント点間の距離を算出して書き込み、斜度g欄にはチェックポイント点間の標高差と距離による斜度を計算して書き込み、速度v欄には上記の算出された斜度に対応する速度を図6の斜度速度マップ25−4を参照して書き込み、そして、所要時間t欄はゼロに設定する。
【0034】
また、斜度速度テーブル26−2(図2)にも図6に示す斜度速度マップ25−4を書き込み、図8の斜度速度テーブル26−2を作成する。ここで、図8における26−20は相対値で表わされた初期テーブルを示し、26−21は後述する手順で換算された絶対値(毎時キロメートル)で表示された更新テーブルである。
【0035】
なお、登山者はスタート点P0において現在時刻を入力してスタートするが、因みにスタート点P0は斜度がゼロ、即ち平坦地であり、速度v,所要時間tともにゼロに設定されている。
【0036】
また、タイマ40の所定時間間隔毎に現在位置計算部12から出力される信号(位置,距離,時刻)を受信した斜度速度マップ作成部50は、受信した標高と距離から当該点における斜度gを算出し、図示しないバッファに格納してある前回受信時の斜度と比較し、変化がなければ現在位置計算部12からの信号(位置,距離,時刻)を無効とするものであり、説明の便宜のため、経路図(図7B)における各チェックポイントP点は斜度の変化点であると仮定する。従って、現在位置計算部12からの信号(位置,距離,時刻)は常に各チェックポイントP点で出力されるものだけが有効となる。
[P1点]
スタートしてt1時間が経過した時に登山者はP1点に達し、現在位置計算部12から当該位置での信号(位置,距離,時刻)が出力される。
【0037】
この信号を受信した斜度速度テーブル更新部50は、受信した標高と距離からチェックポイントP1点における斜度g1を算出し、斜度に変化があったことを確認する。また、タイマ40の計数値を読み出し、図示しないバッファに保存しておいた前回受信時のタイマ40の計数値の差と受信した距離を用いて実績速度V1(チェックポイントP0からP1までの平均速度)を算出する。
【0038】
続けて、初期テーブル26−20にアクセスし、算出した斜度g1に対応する相対速度(%表示)を上記の算出した実績速度V1で置換し、更に、当該テーブルにおける基準速度(平地での速度)を算出してから初期テーブル26−20内の相対速度を絶対速度に換算して更新テーブル26−21を作成し、到達時刻予測部60に対してトリガ信号を出力する。
【0039】
例えば、初期テーブル26−20において、斜度5%(g1)における相対速度が−2%と設定されているとき、算出された斜度5%(g1)における実績速度(V1)が時速3.92キロメートルであれば、逆算することで基準速度が時速4キロメートルであることが分かる。次に、この時速4キロメートルの数字を用いて、初期テーブル26−20の相対速度の全データを絶対速度に換算したものが更新テーブル26−21である。
【0040】
一方、現在位置計算部12からの信号(位置,距離,時刻)を受信した到達時刻予測部60は、斜度速度テーブル更新部50からのトリガ信号を受けてから動作し、タイマ40の計時出力と更新テーブル26−21の出力を受信する。
【0041】
到達時刻予測部60は、経路テーブル26−1の位置P欄の経過点(経緯度)を検索し、チェックポイントP1点との一致及び斜度g欄との一致を確認し、(但し、一致する経過点が検出できない時、補正範囲であれば座標点を補正し、補正範囲外であればコースを外れたとしてアラームを出力する。)、速度V1と所要時間t1を書き込む。
【0042】
続けて、到達時刻予測部60は経路テーブル26−1の位置P欄内のP2乃至P9までの斜度g欄を検索し、斜度速度テーブル更新部50が更新した更新テーブル26−21の斜度(登り勾配,下り勾配)対応の速度で速度v欄を全て置換し、距離s欄との値から所要時間tを計算し、所要時間t欄を書き込む。
【0043】
上記の作業が完了することで、経路テーブル26−1の所要時間t欄が未経過路のチェックポイントを含めて書き込まれ、t2乃至t9の値を集計することで、P1点以降の目標点までの所要時間が予測できる。
【0044】
因みに、P5とP7での斜度はg1であるから、P1点における実績斜度V1を予測速度として使用し、所要時間t5,t7が算出される。
[P2点]
登山者が更に経路101を歩行し、次に斜度が変化するチェックポイントP2点に到達することで、当該位置信号が現在位置計算部12から出力される。
【0045】
この信号を受信した斜度速度テーブル更新部50は、受信した標高と距離からチェックポイントP2点における斜度g2を算出する。また、タイマ40の計数値を読み出し、図示しないバッファに保存しておいたチェックポイントP1点において受信した時のタイマ40の計数値の差と今回受信した距離を用いて実績速度V2を算出する。
【0046】
続けて、更新テーブル26−21にアクセスし、算出した斜度g2に対応する速度を上記の算出した実績速度V2で置換してからトリガ信号を到達時刻予測部60に出力する。
【0047】
一方、現在位置計算部12からの信号を受信した到達時刻予測部60は、斜度速度テーブル更新部50からのトリガ信号を受けてから動作し、タイマ40の計時出力と更新テーブル26−21の出力を受信する。
【0048】
到達時刻予測部60は、経路テーブル26−1の位置P欄の経過点(経緯度)を検索し、P2点との一致及び斜度g欄との一致を確認し(但し、一致する経過点が検出できない時、補正範囲であれば座標点を補正し、補正範囲外であればコースを外れたとしてアラームを出力する。)、速度V2と所要時間t2を更新する。
【0049】
続けて、到達時刻予測部60は経路テーブル26−1の位置P3乃至P9までの斜度g欄を検索し、斜度g2(登り勾配,下り勾配)と格納されているチェックポイントの速度を実績速度V2で置換し、距離s欄との値から所要時間tを計算し、所要時間t欄を書き込む。
【0050】
上記の作業が完了することで、経路テーブル26−1の所要時間t欄が未経過路のチェックポイントを含めて更新され、t3乃至t9の値を集計することで、P2点以降の目標点までの所要時間が予測できる。
[P3点乃至P4点]
図7に示す経路テーブル26−1は、登山者が更に経路101を歩行してチェックポイントP4点に到達し、上記した斜度速度テーブル更新部50及び到達時刻予測部60による作用が完了した状態である。
【0051】
登山者の現在位置はチェックポイントP4点であるから、チェックポイントP0ないしP4点までの速度(V1〜V4)及び所要時間(t1〜t4)は実績値である。一方、チェックポイントP6点,P9点での速度(v6,v9)及び所要時間(t6,t9)は予測値であるが、チェックポイントP5点,P7点,P8点での斜度はg1,g1,g3なので実績速度(V1,V1,V3)を使用することになり、所要時間(t5,t7,t8)は実績速度(V1,V1,V3)で算出した予測値である。
【0052】
従って、スタート点P0から、実績時間t1〜t4の累計値でチェックポイントP4点に到達した登山者の目標点P9迄の所要予測時間は、t5〜t9の累計値となる。
【0053】
また、経路101上の同一斜度における歩行速度は常に同じ速度で歩行されるものでなく、登山者の体力の消耗に従って変化する。従って、チェックポイントP1点の斜度がg1で実績速度がV1であった時に、同一斜度g1を持つP5点,P7点での予測速度はV1として、その地点の通過時間(t5,t7)を算出予測しているが、登山者が更に歩行しチェックポイントP5点に達した時は、当該地点の斜度が改めて算出され、歩行距離s5と実績所要時間t5*から実績速度V1*が算出され、P7点の速度V1が実績速度V1*に更新され、改めて所要時間t7*が計算され直すことになる。
【0054】
[操作方法]
以下に図9を用い、本発明が適用された登山用ナビゲーションの操作方法を説明する。
【0055】
ステップS1:操作開始であり、本機の電源をオンにし、GPSからの受信を開始する。
ステップS2:出力部72にデフォルト画面として、地図選択のための入力画面が表示されるので、入力部71を操作し、登山予定の地域の地図を縮尺率等を指示して入力する。
【0056】
ステップS3:選択した地図が出力部72に表示され、当該地図に含まれている複数の登山路(図10,経路101,102を参照)がブリンクなどするので、入力部71を操作して予定した登山路を選択入力する。或いは、自由登山路を別途設定することもできるが、登山路の設定については特に言及しない。次に、当日の登山で参考とすべき斜度速度マップを、天候や登山者の体調を考慮してデータベースの履歴情報23等から選択する。
【0057】
ステップS4:現地に到達し、スタート点に来たらばそのときの時刻を入力することでナビゲーションを開始させる。
ステップS5:画像または音声を用いたナビゲーション情報が、登山の進行につれて逐次出力される。
【0058】
ステップS6:目標点到達または強制打ち切り指示でナビゲーションを終了する。
ステップS7:作成された斜度速度の更新テーブル26−21の速度データを当日の基準速度との比率による相対速度に換算してからデータベースの履歴情報23として保存する。
【0059】
ステップS8:電源をオフし、GPSからの受信を終了する。
以上は本発明を最適に説明するための実施の形態の説明であり、ナビゲーションシステムとして周知の技術には特に言及していない。従って、GPSによるチェックポイントの位置データのずれによる誤差補正や斜度の算出誤差による補正にも特に言及しない。
【0060】
また、ナビゲーション情報の出力として、特に言及していないが、画面に地図を逐次表示し、地図内に示されている登山コースの現在位置を明示しながら、経過時間や到達目標点までの予測時間を表示させるようにしてもよい。
【0061】
この時、コースの消化予定時間が実績時間と大きく乖離するようであれば、アラームを出力するようにすることも出来る。
【0062】
【発明の効果】
当日の登山ペースに沿った到達時刻の予測が簡単にでき、安全で楽しい登山が可能となる。
【0063】
また、天候の急変や、パーティ員の不慮の事故による歩行速度の低下等が生じ、目標点への予定時間内の到達が困難と判断した場合に、日没までに到達可能な時間内にある宿泊設備(山小屋)または休息が安全に取れる場所を検索することができ、遭難を未然に防止できると言う格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の原理ブロック図である。
【図2】システムの機能ブロック構成図である。
【図3】斜度速度マップのグラフ表示図である。
【図4】斜度速度マップ例示図である。
【図5】データベース情報説明図である。
【図6】初期値設定説明図である。
【図7】経路情報図である。
【図8】斜度速度テーブル例示図である。
【図9】登山ナビ操作フローチャートである。
【図10】登山経路説明図である。
【符号の説明】
1 位置情報解析部
2 地形情報格納部
3 経路情報格納部
4 タイマ
5 斜度と速度の相関作成部
6 所要時間計算部
11 GPS信号受信部
12 現在位置計算部
20 データベース
21 地形情報
22 登山路情報
23 履歴情報
24 斜度速度マップ集
24−1 標準的な斜度速度マップ
24−2 快晴時における熟練者の斜度速度マップ
24−3 悪天候(例えば,霧)時における熟練者の斜度速度マップ
24−4 未熟練者の斜度速度マップ
24−5 他の未熟練者の斜度速度マップ
25 予定路情報設定部
25−1 コース
25−2 到達予想時刻
25−3 スタート時刻
25−4 アクティブ斜度速度マップ
26−1 経路テーブル
26−2 斜度速度テーブル
26−20 初期テーブル
26−21 更新テーブル
40 タイマ
50 斜度速度テーブル更新部
60 到達時刻予測部
71 入力部
72 出力部
73 入出力制御部
91 熟練者曲線
92 未熟練者曲線
100 等高線
101,102 経路

Claims (3)

  1. GPS信号を受信し、当該受信位置の地理的な位置情報を受信時刻を付加して算出する位置情報解析部と、
    地図上の地形情報および付随情報を格納する地形情報格納部と、
    指示された予定経路を格納する経路情報格納部と、
    現在時刻および/または経過時間を供給するタイマと、
    前記位置情報解析部からの位置情報を受け、前記地形情報格納部から供給される当該位置に基づく地形の斜度と、当該斜度位置の通過所要時間を前記タイマで計測した通過速度との相関を算出すると共に、未経過な斜度における通過時間を前記付随情報に基づいて予測する斜度と速度の相関作成部と、
    前記相関作成部が作成した斜度と速度の相関を用いて、前記予定経路の通過所要時間を予想する所要時間計算部と、からなることを特徴とする登山用ナビゲーション装置。
  2. 前記付随情報は、前記地形情報格納部に格納されている経路について、経路上の斜度における速度を絶対値または平坦地での歩行速度に対する相対値で記録したマップであることを特徴とする請求項1記載の登山用ナビゲーション装置。
  3. コンピュータを、
    GPS信号を受信し、当該受信位置の地理的な位置情報を受信時刻を付加して算出する位置情報解析部、
    地図上の地形情報および付随情報を格納する地形情報格納部、
    指示された予定経路を格納する経路情報格納部、
    現在時刻および/または経過時間を供給するタイマ、
    前記位置情報解析部からの位置情報を受け、前記地形情報格納部から供給される当該位置に基づく地形の斜度と、当該斜度位置の通過所要時間を前記タイマで計測した通過速度との相関を算出すると共に、未経過な斜度における通過時間を前記付随情報に基づいて予測する斜度と速度の相関作成部、
    前記相関作成部が作成した斜度と速度の相関を用いて、前記予定経路の通過所要時間を予想する所要時間計算部、として機能させるプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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