JP3551880B2 - 電子部品の測定方法および測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品の測定方法および測定装置、特に上側の加熱板に付着している電子部品を加熱板から引き剥がすための方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子部品の性能試験の1つに、電子部品に熱負荷を与えた状態で電気的特性を測定する熱衝撃試験がある。熱衝撃試験の方法として、例えば多数の電子部品をトレーと呼ばれる収納凹部を有する治具に収納し、測定位置まで搬送した後、トレーの下方から測定端子を突き上げ、電子部品をトレーの上方に配置された加熱板に押し付けた状態で電子部品の電気的特性を測定するものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、熱衝撃試験は電子部品がほぼ完成品の状態で行なわれるのが通例である。そのため、電子部品の天面に印刷された製品番号などの表示インクが加熱板の熱によって溶け、電子部品が加熱板に付着することがある。付着状態のまま、次の電子部品が搬送されてくると、電子部品が2段重ねの状態となり、電子部品が破損したり、あるいは電子部品が予定外の位置で加熱板から落下して、紛失してしまう恐れがある。
【0004】
このような問題を解消するため、従来では加熱板の下面に剥離性の良好なコーティングを施していたが、コーティング面にゴミ等が付着すると、剥離性が低下し、再び電子部品が付着するようになる。そのため、1回の熱衝撃試験を行なう度に加熱板に付着した電子部品を引き剥がす作業が必要となり、設備稼働率が低下する原因となっていた。
【0005】
そこで、本発明の目的は、格別な引き剥がし作業を必要とせずに、加熱板に付着した電子部品を簡単に引き剥がすことができる電子部品の測定方法および測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、複数の収納用凹部が形成されたトレーに電子部品を収納する工程と、上記凹部の底面に形成された端子挿通穴に測定端子を下方から挿入し、測定端子を電子部品の電極に接触させるとともに、電子部品を突き上げてトレーの上方に配置された加熱板に対し電子部品を押し付け、電子部品を加熱板との接触により伝熱加熱するとともに、電子部品の電気的特性を測定する工程と、測定後、上記測定端子を引き下げる工程と、上記加熱板とトレーとの上下方向の間隔を電子部品の厚み以下にした状態で、加熱板およびトレーの一方を、電子部品と凹部との横方向隙間以上横方向に移動させる工程と、を備えたことを特徴とする電子部品の測定方法を提供する。
また、請求項2に記載の発明は、電子部品を収納するための複数の収納用凹部が形成されたトレーと、トレーの上方に配置され、電子部品を接触により伝熱加熱する加熱板と、上記凹部の底面に形成された端子挿通穴に下方から挿入され、電子部品の電極に接触するとともに、電子部品を突き上げて加熱板に押し付けることにより電子部品の電気的特性を測定する測定端子とを備え、上記測定端子が引き下げられた後、加熱板とトレーとの上下方向の間隔を電子部品の厚み以下にした状態で、加熱板およびトレーの一方を、電子部品と凹部との横方向隙間以上横方向に移動させる機構を設けたことを特徴とする電子部品の測定装置を提供する。
【0007】
トレーの凹部に電子部品を収納し、凹部の底面から測定端子を突き上げて電子部品を加熱板に押しつけ、電気的特性を測定する。測定後、測定端子を引き下げると、電子部品が加熱板に付着したまま、凹部へ戻らない場合が生じる。ここで、加熱板およびトレーの一方を、電子部品と凹部との横方向隙間以上横方向に移動させる。このとき、加熱板とトレーとの上下方向の間隔は電子部品の厚み以下にされているので、凹部の側面が加熱板に付着した電子部品の側面に当たり、電子部品を加熱板から剥離させる。そのため、電子部品は再び凹部へ収納される。
次の電子部品が搬送されてきても、電子部品が2段に重なることがなく、電子部品の破損を防止できるとともに、紛失することもない。さらに、支持体とトレーとを相対的に横方向に移動させるだけでよく、電子部品を加熱板から剥がすための格別な手段を設ける必要がないので、構造を簡素化できる。
【0008】
本発明では、上記加熱板が電子部品を接触させることにより伝熱加熱する加熱板としたものである。熱衝撃試験で使用される加熱板に電子部品を接触させると、電子部品の天面の印刷が溶けて付着しやすくなるが、本発明を用いることにより簡単に電子部品を剥離することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明で使用されるトレー1の一例を示す。
このトレー1は硬質の平板よりなり、電子部品5を収納するための有底の収納用凹部2が多数個分散形成されている。凹部2の底面には、上下に貫通する2個の端子挿通穴3が形成されている。
【0010】
この実施例の電子部品5は、2個の端子電極5a,5bを有する2端子型チップ部品であり、上記凹部2に収納されて後述する熱衝撃試験装置へ送られる。なお、電子部品5が3端子型の場合には、凹部2の底面に3個の端子挿通穴3を形成すればよい。
【0011】
熱衝撃試験装置は、図2に概略を示すように、トレー1を一定位置で位置決め固定する固定手段10と、トレー1の上方に配置された加熱板20と、トレー1の下方に配置された端子台30とを備えている。加熱板20はセラミック材料よりなり、内蔵されたヒータ21によって加熱板20の下面(加熱面22)を熱衝撃試験に要求される温度に加熱している。加熱板20は、昇降駆動装置23によって上下方向に駆動され、水平駆動装置24によって水平方向に駆動される。
【0012】
端子台30には、測定端子の一例である2本一対のコンタクトプローブ31が上下動自在に挿通されている。コンタクトプローブ31にはスプリング32が挿通され、このスプリング32によって常時上方へ付勢されている。コンタクトプローブ31は配線33を介して電子部品5の電気的特性を測定するための測定器34と接続されている。端子台30は昇降駆動装置35によって一定ストロークだけ上下方向に駆動される。
なお、図2では一対のコンタクトプローブ31のみを示したが、実際には凹部2に収納された全ての電子部品5に同時に接触できるように多数対のコンタクトプローブ31が設けられ、それぞれ測定器34と接続されている。
【0013】
上記構成の熱衝撃試験装置の作動を、図3にしたがって説明する。
まず、(a)のように凹部2に電子部品5を収納したトレー1を熱衝撃試験装置に搬入し、固定手段10を閉じることによって一定位置に位置決め固定する。この位置は、トレー1の端子挿通穴3とコンタクトプローブ31とが上下に正確に対応する位置である。この状態で、加熱板20を昇降駆動装置23によって降下させ、加熱板20の下面22とトレー1の上面との間隔hを、電子部品5の厚み以下に近接させる。
次に、(b)のように端子台30を昇降駆動装置35によって上昇させると、コンタクトプローブ31がトレー1の端子挿通穴3を介して電子部品5を突き上げ、電子部品5を加熱板20に押しつける。この時、コンタクトプローブ31は電子部品5の電極5a,5bに接触する。なお、コンタクトプローブ31による電子部品5への押圧力はスプリング32によって与えられるので、端子台30の上昇ストロークが多少ばらついても、常に安定した押圧力を発生することができる。上記のように電子部品5を加熱板20に押しつけた状態で、コンタクトプローブ31を介して電子部品5に測定器34から電気信号を印加し、電子部品5の熱負荷をかけた状態での電気的特性を測定する。
測定後、(c)のように端子台30を降下させると、本来であれば電子部品5は押し上げ力を失って再び凹部2に収納される筈であるが、例えば電子部品5の天面に形成された印刷が加熱板20の熱によって溶けたりすると、電子部品5が加熱板20の下面に付着したまま剥がれないことがある。
そこで、(d)のように加熱板20を水平駆動装置24によって微少ストロークだけ水平方向に移動させた後、昇降駆動装置23によって初期位置まで上昇させる。水平駆動装置24による水平方向のストロークSは、電子部品5と凹部2との横方向隙間δ以上であればよい。横方向の隙間δは、電子部品5の左右の側面と凹部2の左右の側面との隙間の和である。このように加熱板20を水平方向へ移動させると、加熱板20に付着した電子部品5の側面がトレー1の凹部2の側面に当たり、電子部品5は加熱板20から確実に剥離されて凹部2に落下する。その後、固定手段10を開いてトレー1を解放し、次の工程へ搬送する。
【0014】
上記実施例では、加熱板20に付着した電子部品5を剥離するために、加熱板20を水平方向へ移動させる例を示したが、トレー1を水平移動させてもよい。
実施例のように加熱板20を水平移動させる場合には、固定手段10によって位置決めされたトレー1と端子台30との水平方向の位置が変化しないので、コンタクトプローブ31を端子挿通穴3に対して常に正確に挿入できるという利点がある。
【0015】
本発明は、熱衝撃試験にのみ適用されるものではなく、一般の電気的特性の測定にも適用することができる。
また、本発明で使用可能な電子部品としては、トレーの凹部に収納可能で、測定端子を導通接触可能な電極を有するものであれば、種類は問わない。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、測定端子を引き下げた時に電子部品が加熱板に付着したまま凹部へ戻らない場合に、加熱板およびトレーの一方を横方向に移動させることにより、電子部品を加熱板から剥離させるようにしたので、電子部品は再び凹部へ収納され、次に搬送されてきた電子部品と2段に重なることがなく、電子部品の破損を防止できるとともに、紛失することもない。
また、加熱板とトレーの一方を横方向に移動させるだけでよく、電子部品を加熱板から剥がすための格別な手段を設ける必要がないので、構造を簡素化できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用されるトレーの一例の斜視図である。
【図2】本発明を適用した熱衝撃試験装置の一例の概略断面図である。
【図3】図2に示す熱衝撃試験装置の作動説明図である。
【符号の説明】
1 トレー
2 凹部
3 端子挿通穴
5 電子部品
20 加熱板
24 水平駆動装置
30 端子台
31 コンタクトプローブ(測定端子)
Claims (2)
- 複数の収納用凹部が形成されたトレーに電子部品を収納する工程と、
上記凹部の底面に形成された端子挿通穴に測定端子を下方から挿入し、測定端子を電子部品の電極に接触させるとともに、電子部品を突き上げてトレーの上方に配置された加熱板に対し電子部品を押し付け、電子部品を加熱板との接触により伝熱加熱するとともに、電子部品の電気的特性を測定する工程と、
測定後、上記測定端子を引き下げる工程と、
上記加熱板とトレーとの上下方向の間隔を電子部品の厚み以下にした状態で、加熱板およびトレーの一方を、電子部品と凹部との横方向隙間以上横方向に移動させる工程と、を備えたことを特徴とする電子部品の測定方法。 - 電子部品を収納するための複数の収納用凹部が形成されたトレーと、トレーの上方に配置され、電子部品を接触により伝熱加熱する加熱板と、上記凹部の底面に形成された端子挿通穴に下方から挿入され、電子部品の電極に接触するとともに、電子部品を突き上げて加熱板に押し付けることにより電子部品の電気的特性を測定する測定端子とを備え、
上記測定端子が引き下げられた後、加熱板とトレーとの上下方向の間隔を電子部品の厚み以下にした状態で、加熱板およびトレーの一方を、電子部品と凹部との横方向隙間以上横方向に移動させる機構を設けたことを特徴とする電子部品の測定装置。
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