JP3551340B2 - 磁性材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁性材料の製造方法に関し,高飽和磁束密度焼結材料として用いられる磁性ヨーク等に用いられる純鉄系高電気抵抗及び高飽和磁束密度を有する焼結磁性材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在,チョークコイルは小型化が著しく進んでいる。このチョークコイルには,高周波領域における磁気損失が小さいということが最も重要視されていた。したがって,従来は高周波域での磁気損失の小さいものということで,飽和磁束密度は低いながらも,比抵抗の大きな材料ということでフェライトが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,チョークコイルにフェライトを用いた場合,飽和磁束密度が低くせいぜい〜5kGしかなく,すぐ飽和してしまい,飽和させないようにするには先のチョークコイルのトレンドに逆行し大形化の方向に進まなければならない。これは,時代の趨勢とは逆行するものである。
【0004】
そこで,今後の動向としては高い飽和磁束密度を持ち,かつ磁気損失の小さな,つまり電気抵抗の大きな磁性材料が要求されている。
【0005】
従来,金属材料はその電気抵抗が小さいために殆ど使用されず,これまでは比較的電気抵抗が大きい(約100μΩcm)珪素鋼が唯一金属材料として使用されてきたのみである。したがって,より高周波域での高飽和磁束密度の高い,フェライトのようにすぐ飽和することのない金属磁性材料が望まれている。
【0006】
そこで,本発明の技術的課題は,前記従来技術の欠点を除去し,高周波域において従来より損失(コアロス)が小さい磁心材料として十分実用に供する高電気抵抗高飽和磁束密度を有する金属磁性材料の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は,高飽和磁束密度の高い材料を得る方法としては,粒界層を高電気抵抗物質で満たすことが必要であると考えた。ここで,渦電流損失は,材料の比抵抗に反比例し,渦電流半径に比例することから,このような粒界層が切断された組織形態であると渦電流半径は大きく,比抵抗は小さくなり渦電流損失が増大することになる。このことから,高電気抵抗物質を粒界層で分断させることなく高密度に分布させることが必要であると本発明者らは,考えた。このように粒界層に均一に分散させるためには分散粒子としての微粉末の入手が不可欠であるが,一部研磨用としての微粒子アルミナは存在したが,バインダー等純度の問題で使用されることがなかった。従来においては,粒径のφ0.2μm以下の細かなしかも高純度なアルミナは入手困難であった。
【0008】
そこで,本発明者は,種々の検討を行った結果,アルミニウムイオンを含む水溶液に対して,重量%でFe−0.05wt%〜0.50wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えて,pH調整を行ってできる沈殿物を,濾過した後水洗いし,加熱・脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することにより,従来のボールミル混合で,鉄に対してアルミナを添加した焼結合金よりも飽和磁束密度が高く,電気抵抗の高い値を有する金属磁性材料を提供することが可能であることを見い出した。また,アルミニウム水溶液に対してアミノ酸を加え,重量%でFe−0.05wt%〜0.50wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えて,pH調整を行ってできる沈殿物を,濾過した後水洗いし,加熱・脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することにより,さらに高電気抵抗を有する金属磁性材料を提供することが可能であることも見いだし,本発明をい為すに至ったものである。
【0009】
本発明によれば,アルミニウムイオンを含む水溶液に対して,重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整して生成する沈殿物を乾燥後,加熱脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することを特徴とする磁性材料の製造方法が得られる。
【0010】
また,本発明によれば,前記磁性材料の製造方法において,前記アルミニウムイオンを含む水溶液にアミノ酸を添加することを特徴とする磁性材料の製造方法が得られる。
【0011】
これまで,金属材料である純Feの低損失化に対して,各種粒界への添加物の添加が有効であると考え,様々な検討がなされている。
【0012】
本発明による磁性材料の製造方法においては,所定量のアルミニウムイオンを含む水溶液に,さらに可能であればアミノ酸を添加し,この水溶液に重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整してpHを上げることによって,沈殿物が生じ,それを濾過して,水洗した後,加熱・脱水・還元することにより,Fe粉末表面をアルミナが覆った非常に細かな粉末を作製することができる。
【0013】
このようにして生成したFe−Al2 O3 粉末を成形,焼結することにより厚みおよび組成が均一で高抵抗な粒界層を持ったFe−Al2 O3 焼結体が得られる。
【0014】
本発明においては,高抵抗な,Al2 O3 粒界層が均一に形成されることより,材料の比抵抗が大きくなり,渦電流半径も小さくなるので渦電流損失を低減させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず,本発明の第1の実施の形態について説明する。硝酸アルミニウム´Al(NO3 )2 ・9H2 O)水溶液中に対してアミノ酸(グルシン)を20wt%添加したものとそれを添加しないものとを作製し,重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムを少しづつ添加してpHを7〜8程度に調整し,生成する沈殿物を,まず考慮して,粉末表面の不純物を除去するため,水洗した。その後大気中(Ar+O2 雰囲気でも十分その効果が得られることが十分予想される。)で加熱,脱水し,300℃で水素気流中で還元(水素気流中だけでなく加熱真空中でも十分に還元することができると予想される。)してFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結した。
【0017】
ここで従来のカルボニル鉄にφ0.1μmのアルミナをボールミル混合(20Hr)し,プレス・焼結を引き続き行って得られたFe−Al2 O3 を従来法で得られる比較例とした。そうして得られた微細なFe−Al2 O3 粉末をSEM観察にて観察した。本発明法によって作製したFe−Al2 O3 及び比較例をお互いにSEM観察比較すると,本発明法のものは添加したアルミナが全て粒界に分布していることが分かった。一方,従来法のものは粒内・粒界問わず分散しており,高周波での磁気損失を考慮した場合,磁気特性の大きな低下は避けがたいことが明白である。本発明法で作られた焼結体は粒内にアルミナ等は存在しない高周波域での磁気損失の小さな磁性材料を提供できることにおいて,画期的な製造法といいえる。
【0018】
さらにアミノ酸の有無に関して,それを添加しないものでも粉末の粒度が均一であり,φ0.1μmを超えるもの等はほんの少し確認されるだけであるが,そのアミノ酸を添加したものの方が粉末の粒度がより均一であり,φ0.1μmを超えるもの等は一切確認されず,ほぼSEM観察ではφ0.03〜0.05μmの均一な粉末が得られている。また,この様にして得られた平均粒径0.04μmのFe−Al2 O3 粉末を5トン/cm2 でプレスし,引き続き焼結を約0.1torrの真空中において,900℃×20Hr処理した。かくして得られた試料を樹脂埋め込みによって固定し,その断面を#320から#1500まで研磨し,最後にバフ研磨し,ナイタールにてエッチングした後,光学顕微鏡,SEMにて結晶粒内及び結晶粒界を観察した結果,光学顕微鏡(×400)では違いが認められなかったが,SEM観察においてはアルミニウム水溶液にアミノ酸を加えたものは,粒界層の厚みが非常に均一でかつ薄いことがわかり,高周波域における磁気特性の安定化が図られる。
【0019】
実際の焼結後の金属組織についても,その結晶粒界の厚みやその厚みに関してもアミノ酸を加えたものの方が均一性が向上した組織となっておる。さらには金属組織のEDX分析を行うと,結晶粒界のAl2 O3 の分析を行うと,粒界部全体に渡って,そのAl2 O3 が検出される。また,アミノ酸添加しないものはEDXでは結晶粒内にもアルミナが微量検出される。このことから,アミノ酸の添加により,その金属組織の均一性は向上することが分かる。よって,望ましくはアミノ酸添加した方がよい。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。硝酸アルミニウム´Al(NO3 )2 ・9H2 O)水溶液中に対して,カルボニルFe粉末を添加し,さらにその溶液を撹拌しながら水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニアをpHを7〜8になるように調整するため,添加して得られた沈殿物を濾過・水洗し,大気中で加熱脱水し,その後水素気流中で還元して,微細なFe−Al2 O3 を作製した。
【0021】
この様にして得られたFe−Xwt%Al2 O3 粉末(平均粒径0.05μm)でX=0〜2wt%を5トン/cm2 でプレスを行い,引き続き焼結を真空中(約0.1torr)において,900℃×20Hr処理した。
【0022】
その後,外径25mm×内径15mm×高さ5mmのトロイダルリングを作製し,Bsを測定した。また,比抵抗測定用に幅10mm×高さ5mm×長さ30mmの棒状な試料を作製し,4端子法により比抵抗の測定を行った。また,溶製材Feとの比較を行った。その結果を,下記表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
上記表1より本発明の実施の形態に係る試料は比較材である溶成材の試料よりも抵抗値が高く,Bsの低下を抑制しつつ,電気抵抗の高い本発明であるFe−0.05〜0.5wt%Al2 O3 粉末において優れたた特性,つまり高周波特性が良好であること分かる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように,本発明においては,所定量のアルミニウムを含む水溶液,さらにできればアミノ酸を添加し,この水溶液に重量%でFe−0.05〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整してpHを上げることによって,沈殿物が生じ,それを濾過して,水洗・乾燥した後,大気中で加熱,還元することにより,非常に細かなFe−Al2 O3 粉末を成形,焼結することにより,その厚みおよび組成が均一で高抵抗な粒界層を持ったFe−Al2 O3 焼結体が得られ,高周波特性の優れた磁性材料が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は,磁性材料の製造方法に関し,高飽和磁束密度焼結材料として用いられる磁性ヨーク等に用いられる純鉄系高電気抵抗及び高飽和磁束密度を有する焼結磁性材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在,チョークコイルは小型化が著しく進んでいる。このチョークコイルには,高周波領域における磁気損失が小さいということが最も重要視されていた。したがって,従来は高周波域での磁気損失の小さいものということで,飽和磁束密度は低いながらも,比抵抗の大きな材料ということでフェライトが使用されてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,チョークコイルにフェライトを用いた場合,飽和磁束密度が低くせいぜい〜5kGしかなく,すぐ飽和してしまい,飽和させないようにするには先のチョークコイルのトレンドに逆行し大形化の方向に進まなければならない。これは,時代の趨勢とは逆行するものである。
【0004】
そこで,今後の動向としては高い飽和磁束密度を持ち,かつ磁気損失の小さな,つまり電気抵抗の大きな磁性材料が要求されている。
【0005】
従来,金属材料はその電気抵抗が小さいために殆ど使用されず,これまでは比較的電気抵抗が大きい(約100μΩcm)珪素鋼が唯一金属材料として使用されてきたのみである。したがって,より高周波域での高飽和磁束密度の高い,フェライトのようにすぐ飽和することのない金属磁性材料が望まれている。
【0006】
そこで,本発明の技術的課題は,前記従来技術の欠点を除去し,高周波域において従来より損失(コアロス)が小さい磁心材料として十分実用に供する高電気抵抗高飽和磁束密度を有する金属磁性材料の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は,高飽和磁束密度の高い材料を得る方法としては,粒界層を高電気抵抗物質で満たすことが必要であると考えた。ここで,渦電流損失は,材料の比抵抗に反比例し,渦電流半径に比例することから,このような粒界層が切断された組織形態であると渦電流半径は大きく,比抵抗は小さくなり渦電流損失が増大することになる。このことから,高電気抵抗物質を粒界層で分断させることなく高密度に分布させることが必要であると本発明者らは,考えた。このように粒界層に均一に分散させるためには分散粒子としての微粉末の入手が不可欠であるが,一部研磨用としての微粒子アルミナは存在したが,バインダー等純度の問題で使用されることがなかった。従来においては,粒径のφ0.2μm以下の細かなしかも高純度なアルミナは入手困難であった。
【0008】
そこで,本発明者は,種々の検討を行った結果,アルミニウムイオンを含む水溶液に対して,重量%でFe−0.05wt%〜0.50wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えて,pH調整を行ってできる沈殿物を,濾過した後水洗いし,加熱・脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することにより,従来のボールミル混合で,鉄に対してアルミナを添加した焼結合金よりも飽和磁束密度が高く,電気抵抗の高い値を有する金属磁性材料を提供することが可能であることを見い出した。また,アルミニウム水溶液に対してアミノ酸を加え,重量%でFe−0.05wt%〜0.50wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えて,pH調整を行ってできる沈殿物を,濾過した後水洗いし,加熱・脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することにより,さらに高電気抵抗を有する金属磁性材料を提供することが可能であることも見いだし,本発明をい為すに至ったものである。
【0009】
本発明によれば,アルミニウムイオンを含む水溶液に対して,重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整して生成する沈殿物を乾燥後,加熱脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することを特徴とする磁性材料の製造方法が得られる。
【0010】
また,本発明によれば,前記磁性材料の製造方法において,前記アルミニウムイオンを含む水溶液にアミノ酸を添加することを特徴とする磁性材料の製造方法が得られる。
【0011】
これまで,金属材料である純Feの低損失化に対して,各種粒界への添加物の添加が有効であると考え,様々な検討がなされている。
【0012】
本発明による磁性材料の製造方法においては,所定量のアルミニウムイオンを含む水溶液に,さらに可能であればアミノ酸を添加し,この水溶液に重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整してpHを上げることによって,沈殿物が生じ,それを濾過して,水洗した後,加熱・脱水・還元することにより,Fe粉末表面をアルミナが覆った非常に細かな粉末を作製することができる。
【0013】
このようにして生成したFe−Al2 O3 粉末を成形,焼結することにより厚みおよび組成が均一で高抵抗な粒界層を持ったFe−Al2 O3 焼結体が得られる。
【0014】
本発明においては,高抵抗な,Al2 O3 粒界層が均一に形成されることより,材料の比抵抗が大きくなり,渦電流半径も小さくなるので渦電流損失を低減させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず,本発明の第1の実施の形態について説明する。硝酸アルミニウム´Al(NO3 )2 ・9H2 O)水溶液中に対してアミノ酸(グルシン)を20wt%添加したものとそれを添加しないものとを作製し,重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムを少しづつ添加してpHを7〜8程度に調整し,生成する沈殿物を,まず考慮して,粉末表面の不純物を除去するため,水洗した。その後大気中(Ar+O2 雰囲気でも十分その効果が得られることが十分予想される。)で加熱,脱水し,300℃で水素気流中で還元(水素気流中だけでなく加熱真空中でも十分に還元することができると予想される。)してFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結した。
【0017】
ここで従来のカルボニル鉄にφ0.1μmのアルミナをボールミル混合(20Hr)し,プレス・焼結を引き続き行って得られたFe−Al2 O3 を従来法で得られる比較例とした。そうして得られた微細なFe−Al2 O3 粉末をSEM観察にて観察した。本発明法によって作製したFe−Al2 O3 及び比較例をお互いにSEM観察比較すると,本発明法のものは添加したアルミナが全て粒界に分布していることが分かった。一方,従来法のものは粒内・粒界問わず分散しており,高周波での磁気損失を考慮した場合,磁気特性の大きな低下は避けがたいことが明白である。本発明法で作られた焼結体は粒内にアルミナ等は存在しない高周波域での磁気損失の小さな磁性材料を提供できることにおいて,画期的な製造法といいえる。
【0018】
さらにアミノ酸の有無に関して,それを添加しないものでも粉末の粒度が均一であり,φ0.1μmを超えるもの等はほんの少し確認されるだけであるが,そのアミノ酸を添加したものの方が粉末の粒度がより均一であり,φ0.1μmを超えるもの等は一切確認されず,ほぼSEM観察ではφ0.03〜0.05μmの均一な粉末が得られている。また,この様にして得られた平均粒径0.04μmのFe−Al2 O3 粉末を5トン/cm2 でプレスし,引き続き焼結を約0.1torrの真空中において,900℃×20Hr処理した。かくして得られた試料を樹脂埋め込みによって固定し,その断面を#320から#1500まで研磨し,最後にバフ研磨し,ナイタールにてエッチングした後,光学顕微鏡,SEMにて結晶粒内及び結晶粒界を観察した結果,光学顕微鏡(×400)では違いが認められなかったが,SEM観察においてはアルミニウム水溶液にアミノ酸を加えたものは,粒界層の厚みが非常に均一でかつ薄いことがわかり,高周波域における磁気特性の安定化が図られる。
【0019】
実際の焼結後の金属組織についても,その結晶粒界の厚みやその厚みに関してもアミノ酸を加えたものの方が均一性が向上した組織となっておる。さらには金属組織のEDX分析を行うと,結晶粒界のAl2 O3 の分析を行うと,粒界部全体に渡って,そのAl2 O3 が検出される。また,アミノ酸添加しないものはEDXでは結晶粒内にもアルミナが微量検出される。このことから,アミノ酸の添加により,その金属組織の均一性は向上することが分かる。よって,望ましくはアミノ酸添加した方がよい。
【0020】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。硝酸アルミニウム´Al(NO3 )2 ・9H2 O)水溶液中に対して,カルボニルFe粉末を添加し,さらにその溶液を撹拌しながら水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニアをpHを7〜8になるように調整するため,添加して得られた沈殿物を濾過・水洗し,大気中で加熱脱水し,その後水素気流中で還元して,微細なFe−Al2 O3 を作製した。
【0021】
この様にして得られたFe−Xwt%Al2 O3 粉末(平均粒径0.05μm)でX=0〜2wt%を5トン/cm2 でプレスを行い,引き続き焼結を真空中(約0.1torr)において,900℃×20Hr処理した。
【0022】
その後,外径25mm×内径15mm×高さ5mmのトロイダルリングを作製し,Bsを測定した。また,比抵抗測定用に幅10mm×高さ5mm×長さ30mmの棒状な試料を作製し,4端子法により比抵抗の測定を行った。また,溶製材Feとの比較を行った。その結果を,下記表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
上記表1より本発明の実施の形態に係る試料は比較材である溶成材の試料よりも抵抗値が高く,Bsの低下を抑制しつつ,電気抵抗の高い本発明であるFe−0.05〜0.5wt%Al2 O3 粉末において優れたた特性,つまり高周波特性が良好であること分かる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように,本発明においては,所定量のアルミニウムを含む水溶液,さらにできればアミノ酸を添加し,この水溶液に重量%でFe−0.05〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整してpHを上げることによって,沈殿物が生じ,それを濾過して,水洗・乾燥した後,大気中で加熱,還元することにより,非常に細かなFe−Al2 O3 粉末を成形,焼結することにより,その厚みおよび組成が均一で高抵抗な粒界層を持ったFe−Al2 O3 焼結体が得られ,高周波特性の優れた磁性材料が得られる。
Claims (2)
- アルミニウムイオンを含む水溶液に対して,重量%でFe−0.05wt%〜0.5wt%Al2 O3 になるようにFe粉末を加えた後,pH調整して生成する沈殿物を乾燥後,加熱脱水・還元して得られるFe−Al2 O3 粉末を成形・焼結することを特徴とする磁性材料の製造方法。
- 請求項1記載の磁性材料の製造方法において,前記アルミニウムイオンを含む水溶液にアミノ酸を添加することを特徴とする磁性材料の製造方法。
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JP26852295A JP3551340B2 (ja) | 1995-10-17 | 1995-10-17 | 磁性材料の製造方法 |
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JP26852295A JP3551340B2 (ja) | 1995-10-17 | 1995-10-17 | 磁性材料の製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH09115716A JPH09115716A (ja) | 1997-05-02 |
JP3551340B2 true JP3551340B2 (ja) | 2004-08-04 |
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CN113543908B (zh) * | 2019-03-22 | 2023-05-23 | 日本特殊陶业株式会社 | 压粉磁芯 |
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1995
- 1995-10-17 JP JP26852295A patent/JP3551340B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09115716A (ja) | 1997-05-02 |
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