JP3551047B2 - インクジェット記録用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印画紙様の風合い(記録面の光沢感、裏面の外観、手触り)を有し、インクジェット記録適性に優れ、カールが抑制され、プリンター走行性にも優れた、インクジェット記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタによる記録は、騒音が少なく、高速記録が可能であり、かつ、多色化が容易なために多方面で利用されている。インクジェット記録用紙としては、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や、表面に多孔性顔料を塗工した塗工紙等が適用されている。ところで、これらの用紙はすべて表面光沢の低い、いわゆるマット調のインクジェット記録用紙が主体であるため、 表面光沢の高い、優れた外観を持つインクジェット記録用紙が要望されている。
上記問題を解決する方法として、顔料および接着剤を主成分とする下塗り層を設けた原紙上に、エチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる40℃以上のガラス転移点を有する共重合体組成物を主成分とする塗工液を塗工してキャスト用塗工層を形成せしめ、該キャスト用塗工層が湿潤状態にある間に加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げることにより、優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用キャスト紙が得られることを本発明者等は見出し、特開平7−89220号として提案した。
【0003】
また、上記問題を解決するもう一つの方法として、基材にキャスト塗工層を設けたインクジェット用紙において、キャスト塗工層が、1次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、2次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を含有させることにより、優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用キャスト紙が得られることを本発明者等は見出し、特願平10−131532号として提案した。
しかしプリンター内での走行性、紙送り等の点で必ずしも十分ではなかった。また近年インクジェット記録装置の進歩に伴い、銀塩方式の写真に迫る記録画像が可能になってきている。このため印画紙に匹敵する様な光沢、記録品質、風合いの記録用紙が求められている。しかしながら、印画紙の風合いという点では、先に提案した技術を使用しても達成が困難であるのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、インクジェット記録用紙に関し、印画紙様の風合い(記録面の光沢感、裏面の外観、手触り)を有し、インクジェット記録適性に優れ、カールが抑制され、プリンター走行性にも優れた、インクジェット記録用紙を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の態様を含む。
〔1〕紙基材の記録面側に光沢層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたインクジェット記録用紙において、光沢層は、樹脂及び必要に応じて顔料を主成分とする塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた層であり、且つ、光沢層表面の75°光沢度(JIS−P8142)が30%以上であり、ポリオレフィン樹脂含有層は、光沢層を設けた後に、溶融押出しラミネート法により形成され、マット仕上げしたクーリングロールで冷却固化し、マット仕上げされてなる層であり、且つ、ポリオレフィン樹脂含有層表面の75°光沢度が50%以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
〔2〕紙基材に顔料と接着剤を含有する記録層を設け、更に該光沢層を設けたことを特徴とする〔1〕記載のインクジェット記録用紙。
〔3〕ポリオレフィン樹脂の曲げ剛性(ASTM D 747)が3000kg/cm2以上であることを特徴とする〔1〕または〔2〕記載のインクジェット記録用紙。
〔4〕ポリオレフィン樹脂含有層がポリプロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を含有することを特徴とする〔3〕記載のインクジェット記録用紙。
〔5〕インクジェット記録用紙全体の紙厚が150〜250μmであり、ポリオレフィン樹脂含有層の厚さが10〜30μmであることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
【0006】
〔6〕光沢層が、少なくともエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる、ガラス転移点が40℃以上の重合体または該共重合体とコロイダルシリカの複合体を含有することを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
〔7〕光沢層が、顔料と接着剤を含有し、顔料として一次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、二次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を含有することを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
[8]下塗り層が、無定形シリカ、酸化アルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイトの内、少なくとも 1 種の顔料を含有することを特徴とする〔1〕〜[7]のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
[10]必要に応じ下塗り層を設けた紙基材に、樹脂及び必要に応じて顔料を含有する塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは乾燥後に再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げ光沢層を設けた後、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出しラミネート法により設けるインクジェット記録用紙の製造方法。
[11]紙基材上の記録面側に光沢層を設け、裏面に樹脂ラミネート層を設けたインクジェット記録用紙において、光沢層表面の75°光沢度(JIS−P8142)が30%以上であり、樹脂ラミネート層表面の75°光沢度が50%以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
[12]紙基材上の記録面側に光沢層を設け、裏面に樹脂ラミネート層を設けたインクジェット記録用紙において、樹脂ラミネート層表面の75°光沢度が50%以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる紙基材は、木材パルプと必要に応じ顔料を主成分として構成される。木材パルプは、各種化学パルプ、機械パルプ、再生パルプ等を使用することができ、これらのパルプは、紙力、抄紙適性等を調整するために、叩解機により叩解度を調整できる。パルプの叩解度(フリーネス)は特に限定しないが、一般に250〜550ml(CSF:JIS P−8121)程度である。顔料(填料)は不透明性等を付与したり、インク吸収性を調整する目的で配合し、炭酸カルシウム、タルク、焼成カオリン、シリカ、ゼオライト、酸化チタン等が使用できる。この場合、配合量は1〜20%程度が好ましい。多すぎると紙力が低下するおそれがある。助剤としてサイズ剤、定着剤、紙力増強剤、カチオン化剤、歩留り向上剤、染料、蛍光増白剤等を添加することができる。さらに、抄紙機のサイズプレス工程において、デンプン、ポリビニルアルコール、カチオン樹脂等を塗布・含浸させ、表面強度、サイズ度等を調整できる。サイズ度は1〜200秒程度が好ましい。サイズ度が低いと、塗工時に皺が発生する等操業上問題となる場合があり、高いとインク吸収性が低下したり、印字後のカールやコックリングが著しくなる場合がある。
【0008】
印画紙の風合い、紙腰、手触り感を付与する目的から、記録用紙全体の紙厚は100〜300μmであることが好ましく、さらに好ましくは150〜250μmである。このことから、紙基材の坪量は、緊度(密度)、塗工層やポリオレフィン樹脂含有層の厚さにもよるが、80〜200g/m2程度が好ましく、さらに好ましくは100〜150g/m2程度である。また、緊度は特に限定しないが、0.6〜1.2程度である。
本発明では紙基材に、下塗り層を1層以上設けるのが好ましい。光沢層のインク定着・吸収能が少ない場合には、下塗り層がインク定着・吸収の役割を果たし、光沢層はインク通過層となる。光沢層にインク定着・吸収能がある場合でも、下塗り層を設けることにより、インクの定着・吸収が促進される。
紙基材上に設けられる下塗り(記録)層は、顔料と接着剤を主成分として構成される。顔料としては、例えばカオリン、クレー、焼成クレー、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、アルミナ、コロイダルシリカ、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、合成スメクタイト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント、ベンゾグアナミン系プラスチックピグメント等、一般塗工紙製造分野で公知公用の各種顔料が使用できるが、上記の顔料の中で、塗工層の構造をポーラスでインク吸収性の優れたものにする意味で、無定形シリカや酸化アルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイト等を少なくともその一部として使用するのが好ましい。
【0009】
顔料と接着剤の配合割合は特に限定しないが、顔料100重量部に対し接着剤樹脂15〜1000重量部程度から選ぶことができる。
【0010】
下塗り記録層用いる顔料は、凝集粒子(二次粒子)がインク吸収性に優れ好ましい。二次粒子の平均粒子径は、0.1μm以上15μm以下のものが好ましく、1μm以上10μm以下のものがより好ましい。二次粒子の平均粒子径が0.1μm未満になると、インク吸収性が低下し、にじみやインク吸収ムラが発生し、所望とする画像品位を得られ難くなる。また、顔料の二次粒子の平均粒子径が15μmを超えると、光沢の低下が起こるとともに、発色性の低下が発生し、所望する画像品位を得ることができ難くなる。
上記顔料は、異なる種類や平均粒子径のものを併用することができる。
【0011】
接着剤としては、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、澱粉や酸化澱粉等の各種澱粉類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、等一般に塗被紙用として用いられている従来公知の接着剤が単独、あるいは併用して用いられる。なお接着剤の配合量は顔料100重量部に対し、1〜200重量部、より好ましくは2〜100重量部の範囲で調節される。ここで接着剤の量が少ないと、記録層の強度が弱くなり表面が傷つきやすくなったり、粉落ちが発生する場合がある。逆に接着剤の量が多いと、インク吸収性が低下し、所望のインクジェット記録適性が得られなくなる場合がある。
【0012】
下塗り層には、従来インクジェット記録用紙に使用されているカチオン性化合物を、画像濃度および印字画像耐水性および光沢層を設けた後の光沢を向上させる目的で顔料100重量部に対し、1〜100重量部、より好ましくは5〜60重量部の範囲で使用することができる。
カチオン性化合物としては、カチオン性樹脂や低分子カチオン性化合物(例えばカチオン性界面活性剤等)が例示できる。印字濃度向上の効果の点ではカチオン性樹脂が好ましく、水溶性樹脂あるいはエマルジョンとして使用できる。更にカチオン性樹脂を架橋等の手段により不溶化し粒子状の形態としたカチオン性有機顔料としても使用できる。このようなカチオン性有機顔料は、カチオン性樹脂を重合する際、多官能性モノマーを共重合し架橋樹脂とする、あるいは反応性の官能基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アセトアセチル基等)を有するカチオン性樹脂に必要に応じ架橋剤を添加し、熱、放射線等の手段により架橋樹脂としたものである。
カチオン性化合物、特にカチオン性樹脂は接着剤としての役割を果たす場合もある。
【0013】
カチオン性樹脂は下記のものが例示できる。
具体的には、1)ポリエチレンポリアミンやポリプロピレンポリアミンなどのポリアルキレンポリアミン類またはその誘導体、2)第2級アミン基や第3級アミン基や第4級アンモニウム基を有するアクリル樹脂、3)ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン類、4)ジシアンジアミド−ホルマリン重縮合物に代表されるジシアン系カチオン樹脂、5)ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン重縮合物に代表されるポリアミン系カチオン樹脂、6)エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合物、7)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−S02共重合物、8)ジアリルアミン塩−S02共重合物、9)ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、10)アリルアミン塩の重合物、11)ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート4級塩重合物、12)アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合物等のカチオン性化合物。
【0014】
下塗り層には、一般塗工紙の製造において使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤が適宜添加される。上記材料をもって構成される各記録層用組成物は、一般に固形分濃度を5〜65重量%程度に調整し、坪量が約20〜400g/m2程度の基材上に塗工される。塗工量は乾燥重量で1〜50g/m2程度、より好ましくは2〜30g/m2程度である。塗工はブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の各種公知公用の塗工装置により塗工、乾燥される。さらに、必要に応じて記録層の乾燥後にスーパーキャレンダー、ブラシ掛け等の平滑化処理を施すこともできる。
【0015】
紙基材上に、或いは必要により上記した顔料と接着剤よりなる下塗り層を設けその上にさらに光沢層を設ける。光沢層はインクを速やかに通過あるいは吸収できるよう、光沢を阻害しない範囲で多孔性もしくは通液性にするのが好ましい。このようにするためには、顔料を配合するか、光沢を落とさない範囲で、光沢層が完全に成膜しないような乾燥条件を選択すると良い。
光沢層は樹脂及び必要に応じて顔料を主成分とする。
光沢層の樹脂としては、水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白質類、でんぷん、カルボキシルメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体)、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス等の水分散性樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂等、その他一般に塗工紙分野で公知公用の各種樹脂(接着剤)が単独あるいは併用して使用される。
【0016】
尚、樹脂を主体に光沢層を形成する場合、特にエチレン性不飽和結合を有するモノマー(以下エチレン性モノマーという)を重合させてなる重合体、あるいは共重合体(以下一括して重合体とも称する)を主成分として構成されるのが好ましい。この様な重合体としては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等のアルキル基炭素数が1〜18個のアクリル酸エステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のアルキル基炭素数が1〜18個のメタクリル酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン、ブタジエン等のエチレン性モノマーを重合して得られる重合体が挙げられる。
【0017】
なお、重合体は、必要に応じて2種類以上のエチレン性モノマーを併用した共重合体であっても良いし、さらに、これら重合体あるいは共重合体の置換誘導体でも良い。因みに、置換誘導体としては、例えばカルボキシル基化したもの、またはそれをアルカリ反応性にしたもの等が例示される。
また、上記の重合体あるいは共重合体とコロイダルシリカの複合体を使用した場合、光沢とインク吸収性のバランスに特に優れるため好ましい。この際のエチレン性モノマーとコロイダルシリカの存在割合は、重量比で5/95〜95/5程度が望ましい。コロイダルシリカの割合が95を超えて多くなると複合化に寄与しないコロイダルシリカが多くなり、光沢が低下する場合があり、5未満であると所望の効果が得られない場合がある。
コロイダルシリカとの複合化は、上記のエチレン性モノマーをシランカップリング剤等とコロイダルシリカの存在下で重合させ、Si−O−R結合(R:重合体成分)によって複合体にする、あるいは必要に応じシラノール基等で変性した重合体樹脂とコロイダルシリカを反応させ、Si−O−R結合(R:重合体成分)によって複合体にする方法が挙げられる。
【0018】
光沢層は、湿潤状態で加熱した鏡面ドラム等に押し付けることによりキャスト処理し、平滑性を高めることができる。
【0019】
キャスト処理する態様においては前記重合体は、そのガラス転移点が40℃以上のものが好ましく、50〜100℃の範囲であるものがより望ましい。ガラス転移点が低いと乾燥の際に成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下するおそれが生じる。また、乾燥温度が重要であり、乾燥温度が高すぎると成膜が進みすぎ、表面の多孔性が低下する結果、インクの吸収速度が低下し、逆に乾燥温度が低すぎると、光沢に乏しくなる傾向が有り、生産性も低下する。
光沢層に顔料を配合する場合、顔料としては、下塗り層に用いたものと同様のものが挙げられるが、光沢、透明性、インク吸収性の点で、コロイダルシリカ、無定形シリカ、酸化アルミニウム、ゼオライト、合成スメクタイト等が好ましく、顔料の平均粒子径は、0.01〜5μmものが好ましく、0.05〜1μmのものがより好ましい。粒子径が0.01μm未満になると、インク吸収性の効果に乏しく、5μmを超えると、光沢や印字濃度の低下が起こる可能性が生じる。
光沢層が顔料を主成分(50%以上)として形成される場合、顔料として一次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、二次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を使用すると、光沢、インクの吸収性に特に優れたものとなり易い。この場合、光沢層がインク吸収性および透明性に優れるため、光沢層にカチオン性化合物を配合すると、インク染料が効率よく光沢層に定着し、光沢層の透明性とあいまって印字濃度の極めて優れたものとなり易い。
【0020】
光沢層には、画像濃度および印字画像耐水性を向上させる目的で、カチオン性化合物を、1〜100重量%、より好ましくは5〜50重量%の範囲で配合することができる。カチオン性化合物としては、下塗り層に配合するカチオン性化合物として例示したものが使用できる。
光沢層用塗工液には、その他に通常の印刷用塗工紙やインクジェット用紙に使用されている消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤及び分散剤、増粘剤等の各種助剤が適宜添加される。
【0021】
光沢層は、上記したような塗工液を塗工して、該塗工層が湿潤状態(少なくとも可塑性を有する程度の水分を含有)にある間に、あるいは一旦乾燥し再湿潤した後、加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げる方法(キャスト方式)を採用する。キャスト法により優れた光沢とインク吸収性を兼ね備えるインクジェット記録用紙が得られる。キャスト方式で光沢層を形成する場合、基材の通気性が必要である。このため、キャスト仕上げした後で裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設ける。前述した光沢層用塗工液を記録層上に塗工する場合、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、ブラシコーター、チャンプレックスコーター、バーコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、カーテンコーター等の各種公知の塗工装置が使用できる。光沢層用塗工液の塗工量は、乾燥固形分で0.2〜100g/m2、好ましくは、1〜50g/m2である。ここで、0.2g/m2未満では光沢が十分に出ない場合があり、100g/m2を越えて多いとインク乾燥性が劣ったり、記録濃度が低下する場合がある。キャスト仕上げにより光沢層を設けた後で、さらにスーパーカレンダー等により平滑化処理を行うこともできる。光沢層表面の75°光沢度(JIS−P8142)は、印画紙の風合いを付与するためには、30%以上である必要があり、好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上である。
【0022】
本発明では、光沢層(光沢を有する記録層)を設けた面の反対面に、ポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出しラミネート法により設ける。
ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、α−オレフィン類例えばプロピレンなどの単独重合体、ないしは前記オレフィンの少なくとも2種類の共重合体、およびこれらの各種重合体の少なくとも2種類の混合物などから選ぶことができる。好ましいポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体およびこれらの混合物である。
ただし、紙基材そのものの表面に比較し、ポリオレフィン樹脂層の表面は一般に柔らかいため、プリンターで印字する際、裏面に当たる送りロールでの変形により送り量が減少し、印字画像が縮む等の問題が発生する場合がある。このため、より硬い樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂の硬さの尺度としては、曲げ剛性(ASTM D 747)が挙げらる。本発明で使用するポリオレフィン樹脂の曲げ剛性は3000kg/cm2以上が好ましく、さらに好ましくは5000kg/cm2以上である。上限は特に限定しないが、ラミネート加工が可能な樹脂の曲げ剛性は一般に20000kg/cm2以下である。ラミネート加工適性に優れ硬い樹脂としては、ポリプロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体が適当であり、ポリオレフィン樹脂の少なくとも一部としてポリプロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を使用するのが好ましい。
【0023】
さらに、ポリオレフィン樹脂含有層を溶融押出しラミネート法により設けた場合、一般に、ポリオレフィン樹脂含有層側にカールし易いが、ポリオレフィン樹脂の少なくとも一部としてポリプロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を使用した場合、カールの発生が抑制される傾向があり好ましい。
ポリオレフィン樹脂含有層ラミネートポリオレフィン樹脂の分子量に特に制限はないが、例えば2万〜20万程度の範囲のものが使用される。
ポリオレフィン樹脂としては市販品から適宜選択して使用することができるが、その密度は0.90g/cm3〜0.97g/cm3、メルトフローインデックスは2〜20g/10分であることが好ましい(JIS K−6760)。
メルトフローインデックスが小さい場合および大きい場合は、溶融押出しの操業工程の管理が困難になり、均一な塗工層が得られ難くなる場合がある。
ポリオレフィン樹脂含有層には、不透明度を向上させたり、白さを向上させる目的で白色顔料を配合することができる。白色顔料としては、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカ、合成ゼオライトなどから適宜選択して使用でき、また2種類以上を混合して使用することもできる。特に、不透明度と白色度の点からアナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン等の二酸化チタンが好ましい。白色顔料の表面はポリオレフィン樹脂との分散性を向上させる目的で、表面処理を施すこともできる。
白色顔料の配合量は特に限定しないが、ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、1〜50重量部程度である。少ないと不透明度と白色度向上の効果が得られない場合がある。多いとポリオレフィン含有層にひび割れが生じて、均一な塗工層が得られ難い場合があり、印字後のカール・コックリング防止、印画紙様の風合い付与等の効果が得られない場合がある。
【0024】
溶融押出しラミネートを実施するには、通常ポリオレフィン樹脂および必要に応じ白色顔料を溶解混練し、走行するシートの塗工される面(裏面)の上に押出し機のスリットダイからフィルム状に押出し塗工する。通常、溶融押出し温度は250〜350℃程度である。尚、添加剤として、有色顔料、染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、可塑剤、分散剤等を必要に応じ添加することができる。
ポリオレフィン樹脂含有層は、単層または多段塗工あるいはマルチスリットダイコート法等で設けた多層であってもよい。
塗工したポリオレフィン樹脂含有層の表面は、クーリングロールで冷却固化して仕上げるが、印画紙様の風合いを付与する目的から、ポリオレフィン樹脂含有層の表面はマット仕上げする。このため、サンドブラストやエンボス加工により細かい凹凸をつけマット仕上げをしたクーリングロールを使用する。マット仕上げすることにより、ブロッキング防止、プリンター走行性(搬送性)改善の効果も得られる。
クーリングロール表面のJIS B0601表面粗さRzは3〜50μmが好ましい。
【0025】
本発明のインクジェット記録用紙においては、記録層表面が滑り難くなっている。このため、裏面に処理を施しておらず、原紙(紙基材)の面がそのままむき出しになっている場合、紙間摩擦係数(用紙の記録面と裏面との摩擦係数)が高くなり、インクジェットプリンターにて用紙を多数枚重ねて印字をする際、▲1▼用紙が全く送られない、▲2▼用紙が正しく送られず印字がずれてしまう、▲3▼重送(2枚以上が重なって送られる現象)する、といったプリンター走行性の問題が生じ易くなる。しかし、本発明では裏面に特定の樹脂含有層を設けることにより、記録用紙間摩擦を低減し、上記問題を解消することができた。表面と裏面の記録用紙間動摩擦係数は0.7以下程度が好ましく、より好ましくは0.68以下、下限は特にないが0.2程度。
ただし、裏面がマット仕上げされていない、あるいはマット仕上げが不十分で裏面の光沢が高い場合は、紙間摩擦力の低減が不十分となる。このため、ポリオレフィン樹脂含有層表面は、光沢度で表わせば、50%以下である必要がある。好ましくは、40%以下であり、さらに好ましくは、35%以下である。裏面の樹脂層をこの様な光沢度の範囲にすることにより、印画紙様の風合いが付与されるだけでなく、プリンター走行性も良好なものとなる。
【0026】
ポリオレフィン樹脂含有層の塗工厚さは、5〜50μm程度が適当であり、特にインクジェット記録用紙全体の紙厚を150〜250μmとする場合、10〜30μm程度に調整するのが、風合いやカール抑制の点で好ましい。コート量(塗工厚さ)が少ないと、均一な塗工が困難となり、外観不良となりやすい。一方コート量が多いとカールが著しくなる傾向にあり、またコスト的に不利となる。
ポリオレフィン樹脂含有層の上にさらにカール防止やブロッキング防止、筆記性付与、帯電防止、プリンターでの給紙走行性改善等の目的で塗工層を設けることができる。該塗工層は特に限定はしないが、例えば、樹脂と顔料とを主成分とするものである。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。また、例中の部および%は特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を示す。
[紙基材の作製]
木材パルプ(LBKP;ろ水度500mlCSF)100部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス,エンゲルハードミネラル)10部、市販サイズ剤0.05部、硫酸バンド1.5部、湿潤紙力剤0.5部、澱粉0.75部よりなる製紙材料を使用し、長網抄紙機にて各種坪量の紙基材を製造した。
紙基材▲1▼坪量: 80g/m2、紙厚:100μm、ステキヒトサイズ度:5秒
紙基材▲2▼坪量:100g/m2、紙厚:125μm、ステキヒトサイズ度:8秒
紙基材▲3▼坪量:120g/m2、紙厚:150μm、ステキヒトサイズ度:10秒
紙基材▲4▼坪量:140g/m2、紙厚:175μm、ステキヒトサイズ度:12秒
紙基材▲5▼坪量:170g/m2、紙厚:215μm、ステキヒトサイズ度:15秒
【0028】
[ポリオレフィン樹脂組成物]
[ポリオレフィン樹脂組成物A]
ポリプロピレン樹脂(密度0.90g/cm3)
曲げ剛性:12500kg/cm2
[ポリオレフィン樹脂組成物B]
プロピレン/エチレン共重合体樹脂(密度0.90g/cm3)
曲げ剛性:8500kg/cm2
[ポリオレフィン樹脂組成物C]
低密度ポリエチレン樹脂35部(密度0.92g/cm3)/高密度ポリエチレン樹脂65部(密度0.95g/cm3)
曲げ剛性:4500kg/cm2
[ポリオレフィン樹脂組成物D]
低密度ポリエチレン樹脂(密度0.92g/cm3)
曲げ剛性:1500kg/cm2
【0029】
実施例1
顔料として平均一次粒子径15nm,平均二次粒子径4.5μmの無定形シリカ100部(商品名、ファインシールX−45、(株)トクヤマ製) 、接着剤として、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130 クラレ株製)20部、カチオン性樹脂としてジシアンジアミド系樹脂(商品名、ネオフィックスE117、日華化学(株)製)5部およびアクリルアミド系樹脂(商品名、スミレッツレジンSR1001、住友化学(株)製)15部、分散剤として、ポリ燐酸ソーダ0.5部を添加し、固形分濃度18%の下塗り層(記録層)用塗工液を調成した。この下塗り層用塗工液を、上記した紙基材▲3▼の片面に、乾燥重量で6g/m2 になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥し、下塗り層を形成した。
一方、ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体とコロイダルシリカ(平均粒子径30nm)との複合体(共重合体とコロイダルシリカは、重量比で50:50)100部、増粘・分散剤としてアルキルビニルエーテル・マレイン酸誘導体共重合体5部、離型剤としてレシチン1.5部よりなる固形分濃度が25%の光沢層用塗工液を調製した。
この光沢層用塗工液を上記の記録層上にロールコーターを用いて塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、6g/m2であった。
次に、上記インクジェット記録用紙の光沢層を設けた面と反対面に、上記したポリオレフィン樹脂組成物Aを、塗工量が20μmになるようにして、T型ダイを有する溶融押出し機(溶融温度320℃)で塗工し、その表面をマット面を有するクーリングロール(表面粗さRz=8μ)で冷却固化して裏面層(ポリオレフィン樹脂含有層)を設けた。
【0030】
実施例2
紙基材▲3▼上に、下記下塗り層用塗工液を、乾燥重量で12g/m2 になるように、エアーナイフコーターで塗工、乾燥した。
次に、下記光沢層用塗工液を、上記の下塗り層上にエアーナイフコーターで塗工し、冷風で20秒乾燥し半乾燥状態にした後(塗工層絶乾量に対する水分率150%)、表面温度が100℃の鏡面ドラムに圧接し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときのキャスト塗工層の塗工量は固形分重量で、5g/m2であった。
[下塗り層用塗工液(固形分濃度17%)]
合成シリカ(ファインシールX−60;トクヤマ製、平均二次粒子径6.0μm、一次粒子径15nm)80部、ゼオライト(トヨビルダー;トーソー製、平均粒子径1.5μm )20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)20部、ガラス転移点75℃のスチレン−2メチルヘキシルアクリレート共重合体と粒子径30nmのコロイダルシリカとの複合体エマルジョン(共重合体とコロイダルシリカは重量比で40:60、エマルジョンの粒子径は80nm)40部
[キャスト塗工層用塗工液(固形分濃度12%)]
シリカ微細粒子A(下記に記載)100部、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合体(日東紡績社製、商品名;PAS−J−81)10部、カチオン性アクリル樹脂(XC−2010;星光化学製、四級アミン変性アクリル水性樹脂、Tg85℃)20部、シリル変性ポリビニルアルコール(R1130;クラレ製)10部、離型剤(ステアリン酸アミド)2部
[シリカ微細粒子Aの調製]
合成無定形シリカ(トクヤマ社製、商品名:ファインシールX−45、2次粒子径4.5μm、1次粒子径15nm)の水分散液を用い、圧力式ホモジナイザー(SMT社製、商品名:超高圧式ホモジナイザー GM−1)を用いて粉砕の操作を繰り返した(加圧500kg/cm2)。処理後の分散液の1次粒子径は15nm、平均2次粒子径は50nm、固形分濃度は12%であった。
次に、上記インクジェット記録用紙の光沢層を設けた面と反対面に、実施例1と同様にして裏面層を設けた。
【0031】
実施例3
裏面層を設ける際、クーリングロールとして、表面がマット面を有するクーリングロール(表面粗さRz=4μ)を用いた以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例1
裏面層を設ける際、クーリングロールとして、表面がマット面を有するクーリングロール(表面粗さRz=2μ)を用いた以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例2
裏面層を設ける際、クーリングロールとして、表面を鏡面仕上げしたクーリングロールを用いた以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0032】
比較例3
裏面層を設けなかった以外は実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例4
実施例1において、光沢層を設けなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例5
比較例4において、裏面層を設けなかった以外は、比較例4と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
比較例6
紙基材▲3▼をそのまま用いた。
【0033】
実施例4
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Bを用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例5
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Cを用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例6
裏面層に、ポリオレフィン樹脂Dを用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0034】
実施例7〜10
実施例7、8、9、10の紙基材として、それぞれ▲1▼、▲2▼、▲4▼、▲5▼を用いた以外は、実施例2と同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例11
裏面層の塗工厚さを7μmとした以外は、実施例2同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
実施例12
裏面層の塗工厚さを35μmとした以外は、実施例2同様にしてインクジェット記録用紙を得た。
【0035】
この様にして得られたインクジェット記録用紙の品質を表1にまとめて示した。
なお、品質については下記の如き方法で評価を行った。
[光沢度]
JIS−P8142に準じて記録面白紙部および裏面の75°光沢度を測定した。
[白紙カール]
A4サイズに断裁した用紙を、23℃、55%RHの環境下で、記録面を下にして、平らな台上に置き、30分放置後のカールを目視判定した。
5 :カールはほとんど無い。
4 :若干カールが認められるが、実用上問題無し。
3 :カールがやや大きく、実用上問題となる可能性有り。
2 :カールが大きく、実用上問題となる。
1 :カールが著しい。
[インクジェット記録適性]
インクジェットプリンターBJC420J(キヤノン(株)製)を用いてA4サイズの用紙に印字を行なった。
(ベタ印字部の均一性)
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部の印字ムラ(濃淡ムラ)を目視にて評価した。
5:印字ムラは見られず良好なレベル。
1:印字ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
【0036】
(インクの乾燥性)
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印字部につきインクの乾燥性を評価した。
5:印字直後に指で触れてもまったく汚れない。
(インクジェット記録後の印字濃度)
黒ベタ印字部分の印字濃度をマクベスRD−914で測定。
【0037】
(プリンター走行性)
プリンターに用紙を20枚積載し連続印字を行った。20枚1セットで5セットをテストした(合計100枚)際の、正常に搬送しなかった(不送り、重送、印字位置不良)回数をカウントした。
5 :全く問題無し。
4 :不送り、重送は無いが、印字位置のズレが若干生じたものが1〜5枚有り。
3 :不送り、重送が1〜5枚。
2 :不送り、重送が6〜10枚。
1 :不送り、重送が20枚以上。
(画像縮み)
15cm×25cmの面積に黒ベタ印字を行い、印字画像の縦方向の縮みを測定した。
5 :縮みは0.2%以下で全く問題無し。
4 :0.3〜0.5%の縮み有り。
3 :0.6〜1.0%の縮み有り。
【0038】
[外観]
表面の光沢感、裏面の風合い、手触り感、用紙の腰等を総合的にみて、印画紙様の外観を有するかどうかを判断した。
5:極めて優れる。
4:優れる。
3:やや劣る。
2:劣る。
1:著しく劣る。
[総合評価]
品質を総合的に判断し、5段階評価した。
5:極めて優れる。
4:優れる。
3:普通。
2:やや劣る。
1:劣る。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】
本発明は印画紙様の風合い(記録面の光沢感、裏面の外観、手触り)を有し、インクジェット記録適性に優れ、カールが抑制され、プリンター走行性にも優れた、インクジェット記録用紙であった。
Claims (7)
- 紙基材の記録面側に光沢層を設け、裏面にポリオレフィン樹脂含有層を設けたインクジェット記録用紙において、光沢層は、樹脂及び必要に応じて顔料を主成分とする塗工液を塗工し、該塗工層が湿潤状態にある間に、あるいは再湿潤した後加熱された鏡面ドラムに圧接、乾燥して仕上げた層であり、且つ、光沢層表面の75°光沢度(JIS−P8142)が30%以上であり、ポリオレフィン樹脂含有層は、光沢層を設けた後に、溶融押出しラミネート法により形成され、マット仕上げしたクーリングロールで冷却固化し、マット仕上げされてなる層であり、且つ、ポリオレフィン樹脂含有層表面の75°光沢度が50%以下であることを特徴とするインクジェット記録用紙。
- 紙基材に顔料と接着剤を含有する記録層を設け、更に該光沢層を設けたことを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。
- ポリオレフィン樹脂の曲げ剛性(ASTM D 747)が3000kg/cm2以上であることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット記録用紙。
- ポリオレフィン樹脂含有層がポリプロピレンまたはプロピレンと他のオレフィンとの共重合体を含有することを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録用紙。
- インクジェット記録用紙全体の紙厚が150〜250μmであり、ポリオレフィン樹脂含有層の厚さが10〜30μmであることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のインクジェット記録用紙。
- 光沢層が、少なくともエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させてなる、ガラス転移点が40℃以上の重合体または該共重合体とコロイダルシリカの複合体を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
- 光沢層が、顔料と接着剤を含有し、顔料として一次粒子の平均粒子径が3nm以上40nm以下で、二次粒子の平均粒子径が10nm以上400nm以下であるシリカ微細粒子を含有することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のインクジェット記録用紙。
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